絶対守護 ヒーロー嫌いのヒーローアカデミア   作:ひよっこ召喚士

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02 試験結果と登校

「実技総合成績がようやく出ました」

「……これは1位と2位の差が酷いな」

「2位のヴィランポイントだけで77も凄い結果だが、1位と比べると少し霞んでしまうな。筆記も問題ない以上合格にしないという選択肢は無いがヒーローとしての適性を考えると問題児かもな」

「それにしても1位が凄すぎるよ。ヴィランポイント200、レスキューポイント50、合計250ポイント。確かめるまでも無く過去最高ポイントでの入学だろうね」

「それと1位の他に2位とは対照的にレスキューポイントだけで60ポイント取った子もあの0ポイントを倒しているわね。9位に入ってる子なんだけど個性の制御が出来ていないみたい。でも力はあるし、人格的には間違いなく合格でしょう」

「あと7位の奴の個性『洗脳』ってあるが物凄いスピードで動き回ってたぞ。力も凄くてメリケンサックで的確にロボットを破壊してるのを見て増強系の個性だと思ってたがあれ自力なのか?」

「ああそいつはヴィランポイント27でレスキューポイント36とバランスよく稼いでたな。個性を使わずにそれだけ取ったんだとすると戦闘能力としての評価は高くなる」

「1位の奴も戦闘禁止を言い渡された後で会場の保護や受験者の手助けをしていたから人格的な問題は無いだろうが、プロと言われても納得できるほどの能力は指導する側が困るしな」

「いやあ、今年は二つの意味で個性が強い奴らが多いな」

「クラス分けはどうするべきかしら。個性が強い子はまとめるのか分けるのか決めないといけないわね」

「とりあえず1位、2位、7位、9位は俺の所で預かる。それでいいですよね」

「話題に上がってた奴ばかりだな」

「確かにイレイザーくんなら何があっても対処は出来そうだね」

「イレイザーなら個性の対処は容易だし、個性以外の能力を伸ばすことも出来るし適任ではあるか」

「よし、とりあえずその子たちはA組として、他も決めていこう。調整は最後だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 雄英高校から荷物が届いた。たぶん合格通知に関するものだろうが心操と私の家に一つずつ届けられている。中に入っていたのは映像照射装置だった。メッセージがこれに入っているのだろうが、どちらのを先に流すかという話になるんだが先に投函されていた心操のを流す事にした。

 

『私が投影された!!』

 

 突然の宣言を伴った登場には驚いたが映し出されたのは筋骨隆々な逞しい身体、力強く跳ね上がった二つの前髪、威風堂々とした佇まい、アメコミヒーローのような画風。もちろん誰もが知っているNo.1ヒーローであるオールマイトだった。最もヒーローらしいヒーローであるオールマイトは私も好きなヒーローであり、何故?という疑問は残るが有名人の投影は少し嬉しいものがある。

 

『初めまして心操人使くん!私はオールマイトだ!何故、私が投影されたのかって?ハハハ!それは私が春から雄英に教師として勤めるからさ!さあ早速、君の合否を発表しよう!』

 

 オールマイトと言う大御所中の大御所ヒーローが教師として雄英に勤めるという情報には二人そろって驚いた。誰もが憧れるヒーローからヒーローとは何かという点を学べるというのはヒーローを志す者からしたら誉れでしかない。

 

『おめでとう!合格だ!筆記試験はほぼ満点、実技は63ポイント!合格者の中でもトップクラスの成績だ!』

 

 

『先の実技入試!受験生に与えられるポイントは、説明にあった仮想敵ポイントだけにあらず!実は審査制の救助活動ポイントも存在していた!心操人使くん!ヴィランポイント27点、レスキューポイント36点、合計63点!文句なしの合格だよ。心操人使!改めておめでとう!雄英で待っているぞ!』

 

 心操は合格の通知を受け取り、子供の頃からの夢に一歩近づいた様な感覚に包まれ、油断したら泣いてしまいそうなぐらいに感動していた。

 

「さて、これで名前や点数以外が同じだったら台本があるってことになるね」

「感動の余韻に浸らせろ。今だけでも空気を読めよ」

 

 そんな空気をものともせずぶち壊したら結構な勢いで怒られた。勢いは凄かったが本当に怒っている訳では無く私への呆れと照れ隠しだろう。自分の分の機会のボタンを押す。

 

『私が投影された!!』

 

 まあ、最初の宣言はオールマイトが普段から言っている『私が来た!!』のパロディネタだろうし、ここは一緒なのは当然とも言える。

 

『初めまして山稜(さんりょう)瞳空(みら)くん!私はオールマイトだ!何故、私が投影されたのかって?ハハハ!それは私が春から雄英に教師として勤めるからさ!さあ早速、君の合否を発表しよう!』

 

「台本在るな。これ」

 

 挨拶はまあ分かるが、名前以外の部分は全て、途中に挟まる笑い声までそっくりそのまま同じと言うのは流石に違和感がある。

 

『おめでとう!合格だ!筆記試験は満点、実技は歴代最高得点で250ポイント!えっ、これホント?コホン、文句なしの首席合格だ。入学式で新入生代表の挨拶をしてもらうので文面を考えて置く様にとのことだ』

 

「録画中に驚いちゃってるし、撮り直さずにそのまま使ってて良いのかな?」

「いやそれよりポイントとか主席合格って所に食いつけよ」

 

『先の実技入試!受験生に与えられるポイントは、説明にあった仮想敵ポイントだけにあらず!実は審査制の救助活動ポイントも存在していた!山稜瞳空くん!ヴィランポイント200点、レスキューポイント50点、合計250点!文句なしの合格だよ。山稜瞳空!改めておめでとう!雄英で待っているぞ!』

 

「2回目だと感動薄れるな。どうしてくれる」

「いや、お前が先にどうぞって言ったんだろ」

 

 冗談だと分かっているのにきちんと返してくれるあたり心操は真面目だ。とりあえず合格していたことは普通に嬉しく、私の家族と心操の家族で一緒に食事に行って祝うことになった。色々と考えなくちゃいけないも多いが今日だけは楽しい時間を噛み締めた。

 

 中学に合格したことを伝えたら学年の全員から祝われた。二人も合格しているが雄英は超難関校であり、そこに通う者にも憧れる者も多い。心操も色々とあったから複雑な顔をしているが祝われること自体は嫌がっていないようなので良かった。

 

 その後は雄英に通うために借りる予定の家を見に行ったり、合格通知と一緒に入っていた書類に目を通して、必要書類に記入をして提出したり、色々と準備はあったがそれらも含めて他の生徒たちと特に変わらずに卒業式まで過ごせた。

 

 そしていよいよ雄英高校の初登校日となった。家の中はまだ引っ越しの荷物がそのままになっている部分もあるが生活に必要な家具や荷物だけは取り出してある。緊張はしていないが朝は落ち着ける様にと珈琲を淹れる。パンと付け合わせを朝ご飯にする。

 

「まだ全然余裕はあるけど、起きろ!!無駄な抵抗を辞めて部屋から出てこい!!」

「俺は犯罪者(ヴィラン)か!?」

 

 既に起きてはいたようで朝から元気にツッコミを返してくれる。おはよう、と伝えた後に既に用意してあった珈琲とパンが置かれている椅子の方を示し、早く顔を洗ってくるように告げる。帰ってくるまでに卵とハムも焼いておこう。そう言えば牛乳や砂糖は要るか?牛乳は要らない砂糖は1個、オーダー承りましたっと。

 

「はいよ、私特製モーニングセットだ」

「ありがと、いただきます」

「ふっふーん。召し上がると良い」

 

 既に食べ終わっている私は荷物の準備と着替えを済ませる。雄英高校の制服はシンプルだがそこまでダサいデザインでは無いのでまあまあ気に入っている。しかし、私のサイズだとある意味コスプレの様な見た目になってしまうのが何とも言えない。まあ小さいほうが便利だから自分のサイズに関する事は気にしない。

 

「あ、バリアの皿はゴミ箱に入れといて後で解除するから」

「洗い物要らずで便利だけど、これで良いのか?」

 

 何がいけないというんだろうか、洗い物をしなくて良いというのは仕事が減るだけでなく、水道代の節約にもなる。個性を普段から使うのは訓練にもなって一石三鳥じゃないか。自分の個性だ自分の好きにして文句を言われる筋合いはない。ああ、捕まるから外ではやらないよ。うん、ヒーローに成る前にヴィランになる気は無いよ。

 

 初日に遅刻とかになったらと想像するだけでも恐ろしいので余裕をもって家を出ることにした。雄英高校から比較的近い場所にあるが、そこらの小中学校の様に近所って言えるほど近くは無い。まあ普通の身体能力はしていない私達なら自転車で楽に通学できる範囲ではある。30分ぐらいで着くことが出来、しみじみと雄英高校の全貌を眺めている。

 

「いやぁ、今日からここに通うんだねぇ。クラスどんなかね?」

「時間まで結構時間があるが初日だし教室に何人かもう来てるし顔合わせと行こう」

 

 ヒーローと言う職業は一部を除いて目立ってなんぼと言った部分がある。そんなヒーローの卵ばかりを集めた学校の人間が普通な者ではないのは予想はしていたのだが……

 

「ねぇ、ヴィラン学校だっけここ?」

「目の前の光景を見ると疑いたくなるのは分かるが、安心しろヒーロー学校だ」

 

「机に足を掛けるのはやめないか! 雄英の先輩たちや机の製作者の方々に失礼だろう!?」

「あ゛あ゛!? んだテメェ文句あんのか!? どこ中だこの端役!」

 

 ヒーローかヴィランかと聞かれればたぶん10人中10人がヴィランと答える形相で注意して来た人間に対して怒鳴りつける男……超難関校である雄英に受かってる以上学力も高いのだろうが見た目や言動からは考えられない。しばらく私たちは教室の入り口で固まってしまった。

 

「……あ、あの!」

 

 おっと、後ろから声が掛かった。入り口で立ち止まって居れば他の人の邪魔になるのは自明の理。圧倒的な反面教師と成りえる存在を見た後では人への対応の仕方を考えさせられる。とりあえず謝罪をしておこう。

 

「ごめん、邪魔だったね」

「立ち止まってて悪いな」

 

「あ、いえ。たぶんですけどかっちゃんを見て驚いてたんだと思うので、その、えっと、しょうがないと思います」

 

 かっちゃんと言う比較的可愛らしくも聞こえる呼び名が現在進行形で暴れているアレを指すのであればその通りだが、そっと視線を向けて目の前の少年(同い年、背も向こうの方が高い)に尋ねると苦笑いして頷いている。暴れているのは爆豪勝己と言う名前らしいが呼び方からして友人なのだろうが苦労していそうだな。

 

「てめぇ、デク!何勝手に人のこと話してんだぶっ殺すぞ!!」

 

「苦労していそうだね。デク君?」

 

「すみません。デクはかっちゃんが僕を馬鹿にして読んでて、緑谷(みどりや)出久(いずく)って言います」

 

 どうやらデクと言うのは蔑称らしい。結構呼びやすいし、名前とも被っているので意味さえ考えなければいいあだ名に成りそうだが本人が嫌がっている事をやろうとは思わないのでとりあえず緑谷と呼んでおこう。

 

「そうか、私は山稜瞳空と言う。これからよろしく。でこっちのが」

「心操人使だよろしく」

 

「こちらこそよろしく」

 

 うん、緑谷はまともな分類に入りそうだ。爆豪とやらは論外としてそれを叱っている眼鏡も規則だのルールだので凝り固まって居そうで悪い奴では無いが厄介な気配を感じる。他の面々はよくわからないが、教室に入った瞬間に胸や尻を見てきた私と同じくらいのチビには近づかないでおこう。

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここはヒーロー科だぞ」

 

 

 一体いつからいたのか、バリアを展開していなかったので気づけなかったが教卓と黒板の間に寝袋に入りミノムシ状態のままこちらを眺めている不審者がいたが、言動から考えるに学校関連者だろうと推測し、110番に掛けようと伸ばしていた手を止める。

 

「ハイ。静かになるまで八秒かかりました。時間は有限。君達は合理性に欠くね」

 

 迅速な判断と行動が現場では求められるとはいえ、入学したての生徒にそこまでの練度を期待するのは厳しいという言葉だけでは言い表せない。合理性に欠くという言葉から目の前の人物は合理的である事を尊んでいるのだろう。

 

「担任の相澤(あいざわ)消太(しょうた)だ」

 

 どうやらこの長髪に無精ヒゲのくたびれた外見をしたおっさんは私たちのクラスの担任だったようだ。まあ、いきなり現れて置いて実は関係ないんだよね。みたいな事は無いだろうから少し考えれば分かる事か。

 

「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」

 

 寝袋から体操着を取り出し全員に見える様に掲げる。机の横に掛かっている袋を見るに同じものが入っているのだろう。用件を言うだけ言って相澤先生はさっさと教室から出て行ってしまった。たぶんグラウンドに向かったんだろうが、初日から大変な予感をひしひしと感じてしまう。

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