絶対守護 ヒーロー嫌いのヒーローアカデミア   作:ひよっこ召喚士

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少しずつちまちま投稿すると言ってましたが一ヶ月は空きましたね。自分の中ではもう少し早く投稿する予定だったですがねぇ……遅れてすみません。


24 雄英体育祭⑨

 第3種目開始後、外側に自分がいると感じた生徒たちは決まって内側を目指した。そして、イレイザーヘッドが言うようにマークされやすい強者が外側に多くいた。

 

そんな彼らは移動することに重きを置き、隠れることはせずに堂々と進んでいった。それは自分は平気であるといった驕りではなく、競技に臨む上での覚悟であった。

 

 自分がここに居ると示す、変わった自分を示す、自分の考えを示す、自分が一番だと示す……それぞれ望む姿は違えど目指す所は同じであった。

 

そして、常に全力であり続ける男も中央を目指していた。共に夢を目指した友人の姿を見るために、その隣に立ち続けるために走り続ける者もいる。

 

 託された想いを抱き締め、期待に応えるためにも不甲斐ない姿は見せるわけにはいかない。そんな思いで個性を使って気を引き締め続けていると、前方から気配を感じ立ち止まった。

 

「待ち伏せか……」

 

「あれれ、バレちゃったのか。そのまま足を止めずに来てくれてたらお互いに楽に終わったのになぁ」

 

 心底残念そうな表情と嘲笑うかのような声の差に普通であれば少しは苛つきそうなものだが、心を落ち着かせる事は誰よりも得意であった。

 

「誰かと思えばおこぼれで出場できた人じゃん、偉そうに指示だけ出してそれで結局勝ち進めてないんだからチームを組んでた人たちもがっかりだろうねぇ?」

 

 悪意に満ちた声、拳藤から聞いていた頭が残念と言う情報がここまでだったかと認識を改めた。しかし、その挑発自体はどうでも良いと感じている。相手を揺さぶる方法は心操の方が熟知しており、心を落ち着かせることは誰よりも得意である。

 

「そうだなぁ……お前の言う通り騎馬戦の結果は俺の見通しが甘かった。どう思おうが何を言われようが受け入れる。だが、そんな俺を送り出してくれた奴らの為にも『勝たせてもらう』!!」

 

「ハッ、勝って当たり前な態度、腹立つねぇ。個人的にもB組としても負けるわけにはいかないんだよ!!」

 

 だが、受け答えをしてしまった時点で勝負は決していた。残念な事に心操の個性はロボ相手には効かず、第一種目では自分の強化にしか使っていない。そして第2種目では一度だけ鉢巻を奪うのに使ったが、混戦の中でその一度を正確に把握することは出来ていない。さらに言えばA組を毛嫌いしている彼は一緒に特訓していたメンバーの話を聞き流していた。

 

「はぁ、『俺が来た道、エリア外の光の先まで走って行け』」

 

 その命令に抗う方法は無かったようで感情的に動いていた彼は感情を支配し、常に冷静であろうとした彼に敗北した。決して下に見ていた訳では無く、余裕があったが故に成し得た順当な勝利を得た彼はそのまま中央を目指し、再び走り出した。

 

 


 

『おおっと最初の脱落者の誕生だ!!d7からd8に移動後、そのままエリア外まで出てしまいB組の物間ここで失格!!』

「心操もそれほど目立つ順位に居なかったからしょうがないとはいえ、個性を知らなかったのがそのまま敗因に繋がった形だな」

『勝ち残った心操はそのまま夜の森林エリアを踏破!!d6、ハザード山岳エリアに突入だ』

「あそこはたしか豪雨だな。冷たい雨と不安定な足場に体力を持ってかれやすい。適した個性が無ければ避けた方が得策だな」

『どうやら心操はイレイザーの言う通り迂回を選択したようだぜ。真っすぐ東に進路をとってe6を目指してるようだ』

「あそこは自然系統の川原エリアだな。隣の豪雨の影響で水の勢いが強くなってるが、山岳エリアより足場はましだろうな」

 

 一番最初の脱落者の誕生に会場は更にスクリーンに集中していく、誰がどんな作戦で動くのか、個性をどのように使うのかと多くの人が今も動き続けている選手に思いをはせる。

 

「あれだけ偉そうなこと言っておいてこれか」

「だから訓練参加した奴と話しておけば良かったのに」

「報告聞いてるだけでも個性は分かったはずなのにね」

 

 詰まらないプライドによってしょうもない負け方をする事になった物間に対して同じB組のクラスメイトからの評価も著しく下がる事となった。

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 最中央エリアの一角であるE4エリア、そこは照明システムによって辺り一帯が薄暗く設定されていた。立ち並ぶビルによって他のエリアからの光も入ってき辛いために、ビルの内部などの室内照明が無い場所では完全な夜となっていた。

 

「おれは別に戦うのが得意なわけじゃないからな。普通に戦ったら負けるのは決まってんだ。立ち上る光からして位置はほぼ中心、余裕がある内にフィールドをつくってやる」

 

 もぎもぎという粘着性を持つ玉を操り、それぞれの種目で活躍を見せたA組の生徒峰田実は恵まれたスタート位置を利用して自分の活動しやすいフィールドを作り上げていた。暗い場所で自身の視界も遮られるが慣れれば少しずつ視界も広がっていき、自分の仕掛けが見つけられにくいのでむしろプラスに作用する。

 

「ビルにもくっつけてっと、後は拾ったロープとか使えそうな物を罠代わりにぶら下げて、逃げる場所や隠れる場所も用意しとけば大丈夫だろ。後は他のエリア、せめてとなりのエリアがどんな場所が調べた方が良いか?だけどここが最終エリアだし、ここからでなければ大丈夫だろ」

 

 幸い小柄なため、身を隠して動く事も出来そうだが、全身が真っ暗で個性もぴったりである常闇だったらもっと動きやすいんだろうなと自身の居るエリアの事を考える。仮に常闇が来たとするともぎもぎだけでは勝ち目は薄いだろう。常闇に限らず、光源を確保しもぎもぎを焼いたり凍らせて防げる轟、ビルごと吹き飛ばせる爆豪や緑谷、探知能力もある山稜など厄介な相手はたくさんいる。

 

「こんな感じで待ち構えてんだけどよ。訓練仲間には手の内バレてるし簡単に対応されそうなんだよ……って事で最後のエリア収縮まで協力をしてくれねぇか?」

 

 そう、最終エリアでスタートして最低限の罠を作り上げた峰田は既にその罠で同じ選手を捕まえていた。それはB組の泡瀬洋雪と言う男だった。

 

「捕まえてから言うセリフかッ!?」

「いや、敵だから捕まえるのは当たり前だろ?それに断られたらそのまま戦闘不能になって貰わないといけないだろ」

「くっ、いや仕方がないか……分かった手伝うから拘束を外してくれ」

「ああ、最後のエリア収縮が開始したら互いに離れる。最後で協力は無しだ。エリアにある罠は共有のままで構わない」

 

 つなぎ合わせる個性を用いればさらに罠のバリエーションは増える。エリア全体を見るにも限界はあり、一人で見て回る事は出来ない。休憩なども考えれば手を組むというのは、裏切りを考えなければメリットだらけである。そしてヒーロー志望が全国配信で裏切りをするとは思えない故の策略であった。

 

「なるほど、僕も混ぜてくれないかな?」

「「!?」」

「隣から来たんだけど平原だと利用できるものが少なくてね。罠なら僕も作れるよ」

 

 ビルとビルの隙間の小さな広間の様な空間、そこで小さな声で行っていた交渉を盗み聞きしていた存在がいた。彼は最終エリアの一つ外側、F4エリアから来たようだ。泡瀬と同じくB組であるが、一緒に特訓を行った仲間でもある庄田二連撃の姿がそこにあった。そして互いに手の内を知ってる者同士、今から潰し合うべきでは無いと分かっているため手を組む事に異論は無かった。

 

「もぎもぎに衝撃を込めれるか?」

「直接触るとくっつくからどうしても一か所塞がるけど、それでよければ」

「ビルの中を探すと以外と使えそうな物が落ちてるから泡瀬は扉を溶接したり、ロープやガレキとかで道を塞いだりだな。」

「やってくるが、大体で良いから既に張った罠を教えろ」

 

 飛んでくる奴の対策をしようと思えば模擬戦でも組んだ瀬呂か色々な物を作り出せる八百万が欲しかったが居ない者はしょうがない。瀬呂に関して言えば第3種目に参加していないしなと残念そうにつぶやくと更に罠を増やすためにビルからビルへと飛び去った。

 

 


 

『おいおいあのエリア人が集まりすぎじゃねえかイレイザー?』

「完全ランダムだが、同じエリアで開始することは無くはない。エリア内のどこからスタートかもランダムだからすぐに隣のエリアに移動して鉢合わせすることもあり得ることだ」

『さっきの雷・蔓・機械チームもそうだが、3人で固まって動かれると後から来た奴ら不利すぎるだろ。このゲームの元の人数全部で20人だぜ。20分の3って15%だぜ』

「ヒーロー同士でチームアップすることはおかしくもなんともないだろ。ルール違反もしていない、正しく頭を使った戦い方だ。普段はしょうもない所も多いが峰田は賢いぞ。戦闘能力だけで見れば弱いが競技的に動きを確実に封じることが出来るというのは強い。洋雪や庄田は触れる必要があるのに対してあいつは投げるという遠距離攻撃があるアドヴァンテージもでかい。まぁ庄田は騎馬戦で見せた衝撃のストックの解放を上手く使えばといったところだが、訓練に参加してる者同士で手札はある程度割れてる。あいつらの協定の内容までは拾えなかったが、それぞれがどう動くか注目していても面白いだろう」

『優勝者はたった一人と言う状況で手を取り合う奴らがこんなに出るとは予想外だぜ。ヒーローとしての姿が求められる競技、裏切りは許されないぜ。決められたルールの中での駆け引きに目を凝らせよ!!』

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 自然系統に分類され、多くの木々が立ち並び、自然にあふれた森林エリアとでも言うべき場所c5。広い会場の西側から中央を目指すべく進んでいた彼女は鬱蒼とした森を遠回りした際の時間のロスを避けてそのまま突っ切ろうとしていた。

 

「最初の相手は宍田さんですか、獣の力を使うあなたと森での戦いとは厄介ですね」

 

「八百万氏ですか……厳しい戦いに成りそうですな。その装備の数々、前のエリアで作ったんですかな?」

 

 そう、八百万は既にたくさんの武装で溢れていた。流石にバイクの様な移動手段をとれば居場所を教えて回るようなものなので、ヒーローのサポートアイテムやコスチュームを基に身体機能をサポートしているが個性を使う上で多少の露出が必要になるため防御を捨て機動力を上げた感じにはなっている。

 

 直接格闘をする事を想定してなのか籠手などを装着しており、肝心の武器はと言うと近接用に長物と遠距離様に銃の様な物が動きの邪魔にならない様に腰に括られている。さらに球状の何かがベルトに付けられているが閃光弾の類だと思われる。

 

「ええ、その場で素早く作る練習はしてきましたが準備時間があるのと無いのとでは大違いですからね。幸い私がいたエリアは住宅地のハザードエリアだったようでして、火に包まれていましたが無事な家の中で作業をすれば燃え上がる火の音で創造や準備の音を拾われる心配をしなくてすみましたの」

 

「なるほど火災ですか、そのようなエリアに飛ばされずに運が良かったですね。寒さには強い自信がありますが獣化して火の海に飛ばされるのはごめんですぞ」

 

 情報交換をしているかのような会話であるが互いに視線はそらさず気を伺っている。緊張した空気の中で動き出したのはほぼ同時と言っても良いが、瞬時に獣化して木々を利用して飛びかかってくる宍田の方が一手早かったようだ。

 

「『ガオンアロガンス』」

 

「『合体創造』」

 

 獣としての力を十全に振るい、目の前の敵をなぎ倒さんとする両腕から繰り出される薙ぎ払いは籠手から生える様に創造された盾によってどうにか防いで凌ぐ形になった。

 

「『ガオンアヴァリシャス』」

 

 盾で攻撃を受け止めるにしても衝撃は伝えることが出来るとそのまま盾ごと攻撃を喰らわそうと宍田は連続攻撃の構えに入った。八百万は最初の攻撃より一撃一撃は弱い事に気付くと盾を支える手を片手にし、外した手を腰に付けていた球体に伸ばした。それをすっと足元に落とすと衝撃に任せて飛びのいて目元にサングラスを創造した。

 

「くっ、閃光ですな」

 

「感覚の強化と言うのも厄介ですね。宍田さん相手に近接戦は不利ですので距離を取らせてもらいます『改創造』」

 

 もとからある物に追加するだけでなく、想像した物を生み出す際に多少であれば既に作った物の形をいじくる位は出来る様になった八百万。大きな盾はもういらないので左腕には小さな盾を残し、右腕には衝撃を防ぐ役割と追加で造った砲身を支える機構に変換する。そして現れたのは左を盾で防ぎ、右腕に大きな砲身とそれに沿う様に機関銃の様な物を括りつけた姿だった。足には体を支えるために地面に打ち込む刃がつけられていた。

 

「弾切れの心配は要りませんよ。弾倉は私の身体自身ですのでね『武器庫解放(ウェポンパーティ)』開催ですわ」

 

 大きな砲身からは先ほどの閃光弾の他に催涙弾や煙幕、粘着弾などの妨害を可能とした特殊弾が放たれ、周りの小さい砲身からは連続でゴム弾が発射されている。当たった場所から乱反射しているが八百万自身は砲身や盾で跳弾は防げており、宍田が必死に自身の強化された感覚を頼りに避け続ける時間が始まった。

 

「ちょっ!?これは酷いですぞ!?うがぁ!!……ここは戦略的撤退ですぞ!!」

 

 八百万のとんでもない攻撃に見舞われ対応に追われるしかない宍田はその場にとどまる事を諦め、撤退することを決めた。八百万は罠を警戒しながら武装を一部解除してその後を追いかけるとその姿を見失ってしまった。森の中という事も関係するがやはり移動能力では宍田の方が勝っているようだ。だが逃げたであろうエリアは特定できた。

 

「私の格好でこの中を進むのは不可能ですわね。厚着をすれば個性は使いにくくなりますし、私も諦めるしか無いですね。まぁ、もとより追いかけ続けるつもりはありませんがね」

 

 宍田は中央の方向である東に向かうのではなく北にあるエリアに向かった。迷うことなくこちらに進んだことを考えるとここが宍田の初期地点だったのだろう。雪が降り続ける山岳エリア、c6は入り口に居続けるだけでも体が震え、体力を奪われる極寒のエリアで会った。

 

「私は元の場所に戻ってから中央を目指した方が良さそうですね」

 

 そう言うと先ほどまで戦闘があった場所まで戻り、飛ばした弾などを出来る限り集め始めた。そして、それらを自身の身体に当てるとゆっくりと吸収していく。

 

「『還元』……ふう、時間が掛かるし、やはりエネルギーのロスが多いですね」

 

 作り出すためにカロリーを消費するので作りすぎると動けなくなるという欠点がこの個性には存在したが、作り出した物限定だが取り込みなおし、カロリーを回収することが特訓で出来る様になっていた。作り出した時よりエネルギー量は減るがそれでも継戦能力はかなり上がった。

 

「それでも連続して攻められるとエネルギー切れの心配が多いですからね。今のうちに補給しておきましょう」

 

 そう言うと八百万は前のエリアで手に入れておいた食料を口に入れて食べながら進んでいった。勝ち残るためには確実に勝てる状況でなければいけない。武装を整えながら中央を目指した。

 

 


 

『八百万の奴派手にぶっ放したなぁ』

「勝負を決めたかったにしては消極的に感じる。あれはたぶん威嚇に近いだろ。深追いせずに戻って自分の装備を整え直してる所を見ると長期戦になって序盤で消耗しすぎる事を嫌い、相手を撤退させたんだろう」

『なるほど、宍田は自身の得意とするフィールドへ逃げ込み一息ついてるようだな。八百万もエネルギーの補給と武装の補充をしながら中央に向かってるぜ』

「宍田も逃げ込む場所を決めていた当たり様子見だったんだろうな。相手の出方を見ようと思ったところで猛反撃を喰らって多少混乱したみたいだな。一緒に訓練をしてたなら八百万の個性の弱点も解ってたはずだが雪山から離れていないからな」

『戦うか戦わないかの判断、相手を動かすのも戦略ってわけだな。っと八百万はそうこうしてるうちにd5に入ったぜ』

「あそこは商業エリアだな。色々な店が立ち並んでいる場所だ。合体創造を駆使すればエネルギーの節約になるし、食料品を確保すればエネルギーの心配が減るだろうな」

『たどり着いたエリアにも恵まれたラッキーガール八百万、この後の動きに期待だな』

 

 




特訓の様子を書こうかとも思ったけど、ただでさえ視点が入り乱れてるのに回想まで入れたらわけわかんなくなりそうだからやめた。

物間は即退場、嫌ってる訳では無いですが、強化版心操と精神面の強さを比べた際にま簡単に挑発に乗りそうだなと言うのと個性を調べられなかった事にした結果こうなりました。

峰田は段々と綺麗になってる気がする。もちろん個性も強化されてるけど今の段階では描写されてません。協定解除後に戦闘になった際に真価を見せる……かもしれない。

八百万は武装して戦う方面と創造の応用、そしてエネルギー操作の観点で主人公との特訓で還元できるようになりました。サバイバルと言う長期戦、食料を確保したとしても咄嗟に確保することは出来ない。ならば作った物を戻せればと思い、自身が作った物限定でのエネルギー還元能力を作りました。もちろん弱点はありますがそれはまた後程。

特訓を共にした宍田については個性”ビースト”という純粋な強化系と獣としての力を活かす方向で戦闘方法を確立しました。まずは元からあった身体能力や五感の強化を心操との協力で研ぎ澄ませる事に成功、身体能力を活用に力とスピードを重視した攻撃を行う。更に強化された点はありますがそれも今後の展開でのお楽しみです。

予約投稿の設定してそろそろ結果が出てるかな仕事終わってサイトを開くと予約時間を間違えていた事が判明……朝の9時にしてた筈なんですけどね。慌てて投稿時間を変更しました。

それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。




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