絶対守護 ヒーロー嫌いのヒーローアカデミア 作:ひよっこ召喚士
戦闘訓練の翌日の朝。オールマイトが雄英高校の教師になった影響で校門の前にマスメディアのカメラやマイクが山のように集まっていた。捕まると面倒と思い、心操と共に少し離れた位置に隠れた。
「プリズムで中に入ろうか」
「個性の無断使用だが、しょうがないか」
「流石に
突然後ろから聞こえてきた声に驚き身構えるが、そこに立っていたのは私服姿のミッドナイト先生だった。普段の過激な衣装とは印象が全然違うので一瞬分からなかった。
「迷惑なマスコミには先生方が対応してるけど、生徒の邪魔になってるのは確かだから。私が使用許可を出すから何人か、困ってる生徒も連れて中に入ってちょうだい」
ついでに私も送ってと付け足して個性の使用許可を貰った。既にマスコミと接触している生徒やマスコミをものともせずに登校している生徒は放っておくとして、遠目で見てどうしようかと悩んでいる生徒をプリズムで包み込んで転送していく。最後にミッドナイト先生を職員室前に飛ばして、自分と心操を教室に送る事で上手くマスコミは回避できた。
「昨日の戦闘訓練、お疲れ。Vと成績見させてもらった。全員初めてにしては上出来だ」
朝のHRの時間、門でマスコミの対処をしていた筈の相澤先生は遅れずに来た。流石は雄英職員、こういった騒動なんかにも慣れているのだろう。それにしてもまさか相澤先生が分かりやすく褒めるとは思ってもいなかったので全員驚いている。
「だが爆豪、お前もうガキみてえな真似するな。焦ってるのかは知らんが能力あるんだから」
「……分かってる」
流石に爆豪の所業はきちんと伝わっているようでかなり厳しめに注意が成された。爆豪も思う所があるのかまあまあ素直な声色で返している。
「さてHRの本題だ……急で悪いが今日は君らに学級委員を決めてもらう」
「「「「学校っぽいの来たーー!!!」」」」
全員が好き好きに自分がやりたいと手をあげているが、そう言った面倒事は避けたい私と心操は手をあげずに状況を見ているだけにとどめた。このまま騒ぎが収まらない様なら相澤先生から注意される前に止めるのはやぶさかでは無いがその必要は無かった。
「静粛にしたまえ!!」
この声は飯田君のものだろう。突然の大声に騒ぐ皆が一度静かになり、飯田の方に視線が集まる。
「"多"を牽引する責任重大な仕事だぞ……「やりたい者」がやれるモノではないだろう!!周囲からの信頼あってこそ務まる聖務……! 民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら……これは投票で決めるべき議案!!」
「そびえ立ってんじゃねーか!! 何故発案した!!」
自身が手を挙げていては、説得力があまりないと思うが、実際短時間で決めるなら投票も良い手段だろう。万が一にも票が集まる事の無いように自分への投票は控えたい、とは言え誰に入れようかと少し悩んだが、苦労が似合っている奴が居たなと失礼な事を考えつつ緑谷の名前を書いて入れた。
「僕に4票も!?」
かなり驚いている様子を見ると悪い気もしてくるが辞退するつもりは無いようだ。どうやら心操も緑谷に入れていたらしい。私らを除いても2人から票を得ているのだから私たちが居れなくても八百万と同票だったのだからそこまで問題でもないだろう。
緑谷はいざ自分が委員長となると自信が無いのか、少し狼狽えていたが周りからのしっかりしろという応援とも揶揄いともとれる声を聞き、壊れたロボットの様にみんなの前で意気込みを語ってくれた。
午前の授業が終わり、いつも通り弁当の昼食を食べ終わり頭を休ませていると、何やら校内が騒がしくなり、話に耳を傾けると侵入者という事なので感知用プリズムを校内全体に広げる。その結果殆どがマスコミであるという事が分かった。
「心操、ちょっと来てくれ」
「ん、ああ。分かった」
暗示の練習をしている心操の方を少し強めに叩きながら用件を伝えて、職員室の方へと二人で向かった。すると
感知した通りの人影が確認できた。
「あいつらが原因か?」
「たぶんね」
あえて話をしながら姿を見せる様に人影に歩いて行く、向こうは向こうでこの場所に人が来るとは思っていなかったようで、驚き半分苛立ち半分といった表情で此方を見てくる。
「黒霧、なぜ今此処に生徒がやってくるんだ?」
「言動から考えて此処に我々が居ると知って居てきたようです。どちらかの個性が索敵や感知に特化していると考えるのが妥当でしょう。となると既に雄英の教員にも知られていると考えるべきでしょう」
「ちっ、カリキュラムは手に入れた。撤退だ」
黒い靄の様な物が広がったかと思うと彼らがゆっくりと歩いて行く、これだけ油断してくれているのなら十分引っ掛かってくれそうだ。心操がその場で声を掛ける。
「生徒を前に逃げるとは、なんとも臆病なヴィランが居たもんだな」
「あぁ!?今すぐ殺してやろうか?」
「死柄木、やめなさい。今はこの場を離れるべきです。」
反応を示した時点で失策なんだよ。
「威勢だけは良いみたいだな。まあ、忍び込んだのも勢いだけのくだらない目的だろう」
「はっ、俺達がやろうとしているのはNO1ヒーローであるオールマイトの抹殺だぞ。くだらなくなんてないそこらの陳腐なヴィランでは到底成し得ない大事件だ!!」
「へぇ、そんなことをするなんて凄いんだな。それならお前らの個性もさぞかし凄いんだろうな」
「当たり前だ俺の個性は『崩壊』五指で触れた対象を崩壊させる。黒霧は侵入した時にも見せたがワープゲートの役割をこなす、そして何より先生の個性は「死柄木!!??」」
「先生って言われるぐらいだ。凄いヴィラン何だろうな?」
「当たり前だ!!かつて裏社会を支配した伝説のヴィラン、『
(やってくれましたね。対応が遅れました)
「馬鹿のお守りはそれなりに優秀のようだな」
こちらの声に応えずにこちらを憎々し気に睨みつけてくる。そのまま黒い靄の中へと消えていった。
「マスコミを利用して騒動を起こしてからの侵入、組織だった行動、裏にいるらしい大物」
「とりあえずは報告だな」
勝手に侵入したヴィランの下へ向かった事にはお叱りを受けたが、情報は職員会議の議題の内容として慎重に扱うと言われた。しかし、聞き取れなかった『AF』の事を話した際にオールマイトの驚きが気になった。もしかして本当に大物なヴィランなのだろうか?