ワールドトリガー もう一人の家族   作:ひよっこ召喚士

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書けたから寝る。書きあがり、午前3時40分……眠い。


空閑悠菜⑥

 ギスギスした雰囲気が漂う会議室、入ってきた報告に遂に鬼怒田室長が怒りを露わにした。

 

「迅の妨害!精鋭部隊の潰走!そして謎の女!だが問題は何より……忍田本部長!!なぜ嵐山隊が玉狛側についた!?なぜ近界民を守ろうとする!?ボーダーを裏切るつもりか!?」

「『裏切る』……?論議を差し置いて強奪を強行したのはどちらだ?」

「……!」

 

 どういう考えなのか聞こうとしたが、冷静かに思えた忍田本部長も静かに怒りを覚えていた。

 

「もう一度はっきり言っておくが、私は黒トリガーの強奪には反対だ。ましてや相手は有吾さんの子……もう一人も向こうについたようだからな」

「もう一人?」

「これ以上刺客を差し向けるつもりなら次は嵐山隊ではなく、この私が相手になるぞ城戸派一党」

 

 A級一位の太刀川に剣を教えた師匠でボーダー本部においてノーマルトリガー最強の男、その気迫に会議室に緊張が走る。

 

「なるほど……ならば仕方ない」

「次の刺客には天羽を使う」

「!!?」

「なっ……」

「天羽くんを……!?」

 

 迅悠一と並ぶもう一人の黒トリガー使い、素行にいろいろと問題はあるが単純な戦闘力では迅悠一をも凌ぐという存在。徹底的に対抗する事を選ぶ城戸司令の発言に派閥関わらず驚きを示す。

 

「い……いやしかしですねぇ城戸司令……彼を表に出すとボーダーのイメージが……なんと言いますか天羽くんの戦う姿は少々()()()()しておりますからねぇ……万が一市民に目撃されると非常にまずい……」

「アイツの事を除いても、A級トップを一人で倒せる迅の『風刃』に忍田君が加わる時点でこちらも手段は選んでおれまい」

「城戸さん……街を破壊するつもりか……!!」

 

 城戸司令の答えは殆ど脅しに近いやり方である。街を守るという考えの強い忍田本部長派を押さえ込むためと言う意味合いもあるだろうが、彼はやると言った事は必ずやるだろう。その時、一触即発といった雰囲気の会議室に似合わないこれが響いた。

 

「失礼します」

「……!?」

「どうもみなさんお揃いで会議中にすみませんね」

「な……!?」

「迅……!!」

「きっさまぁ~~~!!よくものうのうと顔を出せたな!」

「まあまあ鬼怒田さん血圧上がっちゃうよ」

 

 鬼怒田の叫びは間違っている所は無いだろう。問題として議題に上がっていた当人が敵地だと分かっていながらのこのことやってきたのだから。

 

「それにおれだけじゃないよ」

「お久しぶりですね。城戸さん、忍田さん」

 

 そう虚空から声が聞こえたと思うと、迅の隣にいきなりその姿が現れ、会議室の人間は一様に驚いて見せた。その顔をよく知ってる2人も同じように驚いていた。

 

「悠菜くん!?」

「空閑悠菜か……」

 

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SIDE:悠菜

 

 『虚無(ヴォイド)』を解除して、姿を現してみたが会議室の面々の顔は中々に面白い事になっている。驚いているが、気をつけながらこちらを観察してくる男は少し侮れないな。

 

「何の要件だ?2人そろって宣戦布告でもしに来たか」

「違うよ城戸さん交渉しに来たんだ。おれはね」

「私的には釘を刺しに来たと言った方が正しいかな」

「交渉だと……!?裏切っておきながら……」

「いや……本部の精鋭を撃破して本部長派とも手を組んだ。戦力で優位に立った今が交渉のタイミングでしょう」

 

 私たちの言葉に何を考えているんだと顔を歪める者もいたが、その理由を第三者の様に客観的に捉えている者がいる。冷静さを失わないのは中々だと感じる。交渉までの流れは迅に任せて私はとりあえず成り行きを見守ろう。

 

「こちらの要求はひとつ、うちの後輩の空閑遊真のボーダー入隊を認めて頂きたい」

「何ぃ?どういうことだ!?」

「太刀川さんが言うには本部が認めないと入隊したことにならないらしいんだよね」

「なるほど……『模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずる』か」

「ボーダーの規則を盾にとって近界民をかばうきか……!?」

「私がそんな要求を飲むと思うか……?」

「もちろん、タダでとは言わないよ」

 

 そこまで迅が言ったところで、私は見えないように彼の腕を止めて前に出る。それが何かは分かるし、それは止めないといけない。家族では無いがそれに近い関係で、弟分だ。多少は守ってやっても良いだろう。

 

「黒トリガーと言うのは強力で、それ一つで起こされるバランスの崩壊を恐れているというのであれば、黒トリガーが()()()()()文句は無いでしょう?」

 

 そう言うと私は目の前に机の上に()()()()()の形をしたトリガーを置いた。これらはそこまで制限が強くないし、性能でも、これからの事を考えても交渉としては十分である。

 

「この2つは私の大事な()()()()()()である()()()()()だが、先ほどの迅の要求を飲むのであればこれをボーダーに渡しましょう。」

「姉さん!?」

「……!?」

「なっ!!?」

「……!?」

 

 迅のやり方はなんとなく分かっており『風刃』の価値を高めて無理やり交渉するつもりだったのだろう。しかし、使えるのか向こうには分からない点がネックだが、それは遊真のだって同じだろう。こちらの方が反論はされにくいし、私は実際にはそこまでこれらに執着していないというのもある。

 

「弟はまだ未成年だしね。保護者としてよろしくって事で許してくれませんか?ちなみに制限はかなり緩い物ですから使える人の1人や2人はいると断言できますよ。ボーダーとしての戦力が一気に増えて、パワーバランスは保たれる。悪くないと思うんですけど」

 

(悪くないどころの話じゃないねぇ……!元より奪おうとしていた黒トリガーだって使えるか分からなかった。相手の言葉を鵜呑みにする訳では無いが、ボーダーとしては一切損はしない……!)

(交換条件で入隊させた近界民が問題を起こした時が怖いが、黒トリガー2つを研究に回すことが出来ればかなりの成果が期待できる。リスクはあるがそれを余裕で上回る取引だ……!)

 

「取引か……?お前はボーダーの所属では無い。不法なトリガー所持としてお前から回収させても良いんだぞ。何食わぬ顔でいるが迅、お前の風刃だって規定外戦闘を理由に取り上げる事が可能だ」

「その場合は太刀川さんたちのトリガーも没収だよね。それはそれで好都合、正式入隊日を待ってるだけで済むんだからね。おれのだけを没収するとかは通るはずがないよ。規則を盾にしてるんだから、命令であれば規則を破って良いんだったら、規則の意味が無いよ城戸さん」

「私がそれに素直に応じるわけ無いでしょう。適当な隊員を送って、何も得られずに負け続けるってね……そんな顔をしないでよ。そしてボーダーじゃないからって言うなら、私もボーダーに入れてよ昔みたいにさ」

「……!?」

「私の能力はさっきので初めましての人にも知ってもらえただろうし、黒トリガー以外のトリガーも結構持ってるし、色々と貢献できると思うよ……それに、コレクションって言った通り私は他にも黒トリガーを所持しているんだよね。私をボーダーに入れてくれた貸してあげても良いんだけど、それとも善良な市民である私を相手にボーダーは攻撃を仕掛けるのかな?」

 

 その言葉を聞き、全員の顔に緊張が走る。黒トリガーと言うのは切り札に近い、常識はずれな性能のトリガーである。それを2つ交渉に差し出すだけでも驚きだったのに、まだ持っていると言った。交渉にポンと出したことから嘘では無いと感じられた。

 

(彼女自身も未知数の戦力でしたがそれがボーダーに入るとなれば危険は減ります。むしろここで敵対すれば、彼女は話を聞く限り、こちらの正式な戸籍が存在してるでしょう。組織がたった一人を敵に回している事が世間に漏れればボーダーの評判はがた落ちです……)

(2つだけでも凄まじいというのにそれ以上の黒トリガーを所持しているというのか!?それはこやつ一人でボーダーの戦力を上回っているといっても過言ではないぞ!?)

 

「城戸司令……」

「城戸司令……!」

 

「「さあどうする?城戸さん」」

「…………」

 

 険しい表情でこちらを睨んでくるが、城戸司令はこれを断るという選択肢は無くなった。チェックメイトと言う奴である。

 

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SIDE:迅

 

「ふんふんふふーん♪」

「結構美味しいですね。これ」

 

 上機嫌で鼻歌を響かせ、ぼんち揚げを食べながら、悠菜姉さんと廊下を進む。姉さんも一緒にぼんち揚げを口にしている。高評価なようで何よりだ。姉さん呼びに関してはどうせあいつらの前に漏らしてしまったんだ。すぐに広まるので先に開き直っておいた方がダメージも少ないだろう。

 

「ん?」

「あれは……」

 

 太刀川さんと風間さんの姿が見えた、2人ともというか、太刀川さんは似合わないシリアスな空気を身に纏って佇んでいる。おれが言えた立場では無いが黙って居ればそれっぽく見えるんだよな。さて、何から話す事になるだろうか、とりあえずは……

 

「ようお二人さん……ぼんち揚げ食う?」

 

 そう言って袋を差し出すと、二人とも素直にと言うか、言われるがままにぼんち揚げを持って行った。話しやすくするためだろうが、ボリボリと音が出る所為で一気に空気が緩んだ。

 

「……まったく、今回は意味不明な事ばかりだ。声から察するにそっちの人か?俺達に妨害を仕掛けてきてたが、俺とお前はタイマンでやってたからな。支援なんてあまり関係ない。任務は終わったが勝ち逃げは許さん、今すぐ風刃の使用許可とってもっかい勝負しろ」

「ムチャ言うね太刀川さん」

「黒トリガー奪取の指令は解除された……太刀川ではないが今回のお前の動きはよくわからん。何がしたかったんだ。そっちの悠菜さんといったか?彼女が黒トリガーを渡すというのであればわざわざ俺たちと戦う必要もなかっただろ」

「可能性は高いでしょうが、確実では無かったといったところですね。そして元々の迅の作戦であれば戦う必要性はありましたよ」

「へぇ?」

「どんな作戦だったんだ。教えて貰おうか、迅」

 

 悠菜姉さんがそんなことを言うもんだから説明しろと言う視線が突き刺さる。まあ、元々説明するつもりではあったんだが、作戦が姉さんのせいで壊されたから最初から話す必要があるな。

 

「まず、俺は姉さんが居たことは知らなかった。そして俺の本来の作戦は『風刃』を本部に提出する事で遊真の入隊を認めてもらうつもりだった」

「『風刃』を!?」

「あれはお前の師匠の形見だろう?」

 

 争奪戦でのおれはらしくないほど真面目に戦って、アレを奪い取った。それだけ執着している代物を手放すつもりだったと聞かされた2人は目を見開いて驚く。

 

「ああ、戦いだって最初はトリオン切れで撤退して貰って、本部との摩擦を減らしながら時間稼ぎをするつもりだった。もし、その作戦がバレたら、太刀川さんたちと戦う事で『風刃』に箔をつけて、交渉に移るつもりだった。」

「A級上位の俺たちを派手に蹴散らすことで『風刃』の価値を引き上げるつもりだったということか?」

「ご名答、それがプランB」

「まったくムカつくやつだ」

「そこまでして、『風刃』を手放そうとしてまで近界民をボーダーに入れる目的はなんだ?何を企んでる?」

「あはははは、いや面白いね」

 

 悠菜姉さんが太刀川さんの言葉を聞いて笑い、急に笑った事に2人は疑問を抱いてこちらに答えを求めて見てきた。

 

「……城戸さんも今の太刀川さんと同じことを訊いてきたんだよ」

 

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「何を企んでいる?のせられている部分はあるが、この取引は我々にとって()()()()()。何が狙いだ?」

「おれは別に何も企んでないよ」

「いや、私も別に企んでいませんよ」

 

 迅と悠菜はそろって企みなんてないと答えた。しかし、それだけで納得する訳も無いので、続けるように答えていく。

 

「おれはかわいい後輩を悠菜姉さんにとっては可愛い義弟を陰ながらかっこよく支援してるだけ、おれは別にあんたたちに勝ちたいわけじゃない。ボーダーの主導権争いをする気も無い。ただ、後輩たちの戦いを大人たちに邪魔されたくないだけだ」

「私としては遊真を狙った城戸さんへの嫌がらせ半分な所もあるけど、他意は無いよ。黒トリガーを渡して遊真を守ってくれるんであれば、十分。家族の大切さ位は覚えてるでしょ?」

 

 迅の発言には嘘は感じられないが、それだけの為に動くのかと言う疑問は少し残る。嫌がらせと言う所で苦虫を嚙み潰したような顔をしたが、悠菜の考えに他意が無さそうな事は伝わった。

 

「ただ、ひとつ付け加えるなら……城戸さん。うちの後輩たちは城戸さんの『真の目的』のためにもいつか必ず役に立つ」

「………!」

「おれのサイドエフェクトがそう言ってる」

「そっちの役に立つかは分からないけど、2つのトリガーは近い戦いには役に立つよ。もちろん、私も働くしね」

 

 迅の最後の言葉が引き金になったのか、城戸司令の顔に変化が現れ、何かを考えてから重たい口を開いた。

 

「…………いいだろう」

「……!」

「取引成立だ。黒トリガー2つと空閑悠菜のボーダーの所属と引き換えに玉狛支部空閑遊真のボーダー入隊を正式に認める。空閑悠菜は現時点を持ってS級隊員とする」

 

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SIDE:迅

 

「その、玉狛に新しく入った遊真ってのがけっこうハードな人生送っててさ」

「そこんところは私も詳しく聞きたいけど、まあ会ってからにしようか」

 

 悠菜姉さんと遊真は行動を共にはしてこなかったようで、遊真がどういう状況なのか正確には知らない様だ。知ったらどうなるのか少し怖いと思いつつ、太刀川さんたちへの説明を続ける。

 

「おれはあいつに『楽しい時間』を作ってやりたいんだ」

「『楽しい時間』……?それとボーダー入隊がどうつながる?何か関係があるのか?」

「もちろあるさ。おれは太刀川さんたちとバチバチ()り合ってた頃が最高に楽しかった」

「………!」

 

 そこまで言った所で2人も理解したようだ。太刀川さんならおれの考えもより理解できるだろう。この人も戦いが好きな人間だ。

 

「ボーダーにはいくらでも()()()()がいる。きっとあいつも毎日が楽しくなる。あいつは昔のおれに似てるからな」

「泣き虫の迅としっかりした遊真は似てないと思うけど」

「そんな昔じゃないから!?てか昔の事まあり暴露しないで姉さん!!」

「くっくっく、泣き虫?あの迅が?はははははは」

「幼少期の事を言ってるのであれば別におかしくは無いだろう?」

 

 風間さんのフォローが逆に辛い、しかし太刀川さんみたいに堂々と笑われるのも嫌だ。どうにか、空気を塗り替えようと無視して続きを話す事にする。

 

「そのうちあがってくると思う方そん時はよろしく」

「へえ……そんなに()()()やつなのか、ちょっと楽しみだな」

「結果的に手放す事に成らなかったが、そんな理由で形見である『風刃』を手放すつもりだったという事がよく分からない」

「形見を手放してたとしても最上さんなら怒らなかったと思うよ。むしろボーダー同士のケンカが収まるなら喜んでくれるだろ」

「…………」

「ちなみに『風刃』の所有権はおれにあるけど、一度本部に預けた。これは取引とは関係ないよ」

「それこそ何故だ?」

「取引の材料を肩代わりしてもらったというのに結局、手元から離したわけは」

 

 確かに、一番謎な行動とも言える。悠菜姉さんにも怪訝な顔をされてしまったぐらいで、城戸さんにも今度こそ何を企んでると訊かれたからな。

 

「2人なら良いか。もうすぐ次の戦いがありそうなんだよね。その時におれの手元にあるよりほかの奴に使ってもらった方が良さそうなんだ。おれのサイドエフェクトがそう言ってる」

「既に見えてるのか?」

「いや、なんとなくその方が良いと思ったぐらいで、まだ少し先だよ。ああそれと」

 

 そこでいったん区切る。まだ何かあるのかとおれの事を睨むように見てくる2人。おれって信用が無さそうだなよ思いつつ、にやりと笑って口を開く。

 

「おれは一時的とはいえ黒トリガーじゃなくなったからランク戦に復帰するよ。とりあえず個人(ソロ)でアタッカー1位目指すからよろしく」

「……!?」

「……そうか預けたって事はもうS級じゃないのか!お前それを先に言えよ!何年ぶりだ!?3年ちょっとか!?」

 

 太刀川さんは心底嬉しそうに俺の肩を叩いてくるが、風間さんは普段の印象からは考えられないほどの顔で面倒くささを隠さずに見てくる。胡散臭い物を見る目は少し傷つくんだけどな。

 

「こりゃあおもしろくなってきた!なあ風間さん!」

「おもしろくない。全然おもしろくない」

 

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SIDE:悠菜

 

 懐かしいという言葉が正しいのだろう。元々は私の秘密基地であったここも、今では迅たちの大事な拠点となっている。中に入るようだが、私は少し後ろにたって隠れておく。迅も面白そうにしているのでばれる心配はなさそうだ。

 

「あ、迅さんおかえり~」

「おつかれさまです」

「ふぃ~す」

 

 片手を上げてぱっと見爽やかそうに見える顔でふわふわ浮きそうなぐらい軽い挨拶をする。室内の面々は遊真を含めて、迅の事を認めているようだ。

 

「最近いなかったけどどうしてたの?」

「あっちこっちで大人気なんだよ実力派エリートは」

 

 先ほど分け合ったとはいえぼんち揚げを一袋食べておきながら、迅は机の上に置かれたマカロンへと手を伸ばす。そしてそこまで人気では無いというより、確実に煙たがられてるでしょうに……

 

「遊真、ボーダーのトリガーには慣れてきたか?」

「しおりちゃんにいろいろ教えてもらったからな。こなみ先輩に勝ち越す日も近い」

「ほぉ、これは期待できるな」

 

 小南か、彼女は優しくて、努力家だったからな。きっと強くなっているのだろう。義父の教えを直接受けてきた遊真より強いのだから、一戦やるのも良いかもしれない。

 

「メガネくんは訓練進んでる?」

「えーと、そのぼちぼちです……」

 

 うーん、なんとも情けない返答。迅の話を聞く限り、遊真を認めて守ってくれた友人らしいけど、強さ的には微妙かな?しかし、叩けば伸びるだけの伸びしろはありそうだ。

 

「とりまるくんはバイトで忙しいからねー」

「いやでも特訓メニューは組んでもらってるんで……」

「まあ京介は教えるのが上手いから大丈夫だろ。鍛えろよ若者、あっという間に本番がくるぞ」

「そうそう、時間は有限。大事にしなさい」

「「おやすみ~~」」

「おつかれさまです?」

「おやすみなさーい」

 

 何気ない感じの雰囲気を出し、さりげなく私も迅のあとに続いて奥に進んでいこうと思ったが、呼び止める声が聞こえた。迅は少し疲れているのか私を置いて行ってしまった。

 

[さりげなく進もうとしてるが一度止まれ悠菜]

「ありゃ、レプリカにはばれるか」

[ばれるばれないではなく、その場の空気に合わせただけで皆気付いてはいる]

 

 そりゃそうだろうけど、迅と一緒に居たことで怪しまれずに行けそうだったんだけどな。まあ、元々冗談でやっていた事だから。諦めて挨拶といきましょう。

 

「遊真以外は初めしてだね。私は空閑悠菜、旧ボーダー時代の人間で、ここのボス世代の直接の後輩にあたり、そこにいる遊真の義姉でもある。よろしく」

「え?遊真くんのお姉さん?ええーそれに旧ボーダー時代って事は迅さんや小南たちの知り合いだよね。呼んでこなきゃって、違う先にお客さんにはお菓子はあるから、飲み物を!!」

「空閑、お前義姉が居たのか?」

「そう言えばレプリカや親父から聞いてたし、まだ小さい頃に何度か会った気が薄っすらと、というか嘘ではないから本当だよ」

 

 あまりにも一方的な自己紹介ではあったが、与えられた情報量に遊真とレプリカ以外は混乱している。特に酷いのがテンションが上がってるのか、騒ぎ立てながら歓迎の準備をしている。メガネくんと呼ばれていた彼は遊真に確認を取ってるようだが、遊真私のこと忘れてないだろうか?そんなことを考えていると更に騒がしいのがやってきた。

 

「ああー?!本当に悠菜姉さんがいる!?嘘じゃ無かったの!?」

「驚いたな。嘘と決めつけて悪かったな宇佐美。悠菜さん、いつ帰ってきてたんですか?」

「本当だよ。小南もレイジさんが嘘って言ったから嘘だと思っちゃったじゃない」

「相変わらずだね。帰って来たのは少し前だよ。さっき本部にも顔を出してきて、ボーダーに入り直してS級って事になった。住処はあるけど、こっちの部屋の方が落ち着くから、これからまたよろしく」

 

 再会はかなり騒がしくなったが、彼等らしいから良いだろう。後で林藤さんにも挨拶しに行くとしよう。それと遊真やその仲間にも話を聞いておきたいし、やる事が多いなまったく。だが、悪くは無いな。




ようやく、会合した姉弟。そして再会した旧ボーダーメンバー達。こっから先はやりやすいから嬉しい。ようやく、ようやく、しっかりと原作の方(主に原作主人公たち)に関われる。

更新が遅くなってすみません。他の作品をまた投稿するようになったんですが、一時的に人気で日間ランキングに載るほどだったので、ついそちらを優先してしまいました。(ちなみにワンピースと鋼錬です。良かったら覗いてください。という露骨な宣伝)

ちまちまとこちらも書いていたんですが、セリフの確認をしながらだとなかなか進まないので、それも時間が掛かった理由の一つです。

そしてランキングには載りませんがこの作品も評価に色が付く様になりましたね。評価や感想の方、ありがとうございます。もう、期待に応えるためにどうにかして書かないといけないと頑張りました。

そして悠菜が所持している黒トリガーが現時点で3つ出てきました。一つは名前も出てきている『虚無』とかいてヴォイドと読む、隠れていた事から分かるように隠密用トリガーです。あと二つは形状だけですが取引に使われた物です。

それらもいずれ詳しく説明することになると思います。きちんと設定は作ってあります。性能だけでなく、いつどうやって手に入れたのかとかも含めて練ってきました。

それらが今後にどのような影響を与えるのか、悠菜自身が原作組に与える影響などもお楽しみください。

ではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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