ワールドトリガー もう一人の家族   作:ひよっこ召喚士

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少し時間が空きましたが生きております。一カ月と少しと時間が空いてしまい申し訳ありません。仕事が本格的に始まったのと他の作品の投稿で時間が取れませんでした。


空閑悠菜⑧

 玉狛支部のトップである林藤さんの部屋に改めて訪れている。模擬戦の様子も見ていたようだがしっかりと話はまだ出来ていないので、正確な報告を行う予定だ。

 

「まあ昨日も言ったがよく帰ってきてくれた。おかえり悠菜」

「ただいま林藤さん。色々とあったからね。渡しておきたい物もあるんだけど、まずは報告かな?」

「ああ、お前さんの話を聞かせてくれ」

 

 向こうに行ってから年単位で会う事は無かった。ここ最近に至っては連絡の一つもしていなかったのもあり、林藤さんも真剣に私の話に耳を傾けてくれている。

 

「私の目的の1つの義父さんと遊真については向こうでも何回か顔を合わせることが出来てたし、義父さんから教えて貰った物もある程度引き継げてるわ。私のレプリカもその1つ、そっちの目的は旅立ってから1年も経たない内に達成できてたのは聞いてるのかな?」

 

 初めの2年間は同盟国経由や近づいた際に送ったりと連絡だけは出来ていたので知ってくれていると思うが、私の旅における目的の中には義父を追いかけると言う物もあった。8年も前の話なので私からしても思い出しながらの確認になるので、かなり懐かしい話題である。

 

「ああ、知ってるさ。昔に同盟国経由で情報が送られてきた時は驚いたがな。『アリステラ』の件で動き始めてからめっきり連絡が途絶えたから、こっちは全員が嫌な考えが浮かんだぐらいだ」

「かなり忙しかったけど、死にはしないから。いや、()()()()()()だけなんだけどね。みんなはあの戦場で死んでいったと言うのに……」

「気に病むなとは言わんが、お前さんの所為では無い。むしろ、お前さんが居なければあの場だけで済まなったし、()()()()も無事だったか、事実悠菜はよくやってくれたよ」

 

 5年前の戦いで旧ボーダーの仲間の多くが死ぬか黒トリガーに変わった。私はあの地で戦う事は出来なかったが、その代わりとして襲っている敵の国を襲い、徹底的に妨害した。当時はたった一人で国、それも玄界と違い神の居る国と戦えるだけの力は無かったが、それでも被害を減らせたのであれば良かった。だけど、どうしてもその場に居れば救えたのではないかと言う思いが頭の中を過るのはもうどうしようもない。

 

「クローニンと今の名前は瑠花だな。二人とは結構面識があるみたいだし、こっちに帰って来て時間はあるんだろ?顔を出してやれば喜ぶだろうよ。もう一人、瑠花の弟に関しては此処にいる。一応俺の親戚と言う事になって、陽太郎って名前だ。瑠花の方は忍田の親戚になってる」

 

 って事はフルネームだと忍田瑠花に林藤陽太郎か、こっちに馴染めているのであれば良いのだが……まあ言われた通り顔を出すとしよう。クローニンは此処を離れていると聞くし、陽太郎は覚えてるわけもないだろう。となると優先して会うべきなのは瑠花だけになるが、本部に行ったら忍田さんに話を通してもらうとしよう。

 

「それで、連絡が途絶えてからは何をしていたんだ?いや、それ以前になんで連絡をしなかったんだ?」

「敵国での妨害を成功させた後で逃げ出したんです。それから私も『アリステラ』に行って、そこで3人をボーダーの手引きがされてる場所まで護衛してました。途中で別れる形にはなりましたが、そこで追手を潰して、その途中で結構な痛手を喰らって、そこからは()()で戦ってましたね」

「お前っ!?いくらトリオンに浸食されてるとはいえ、不安定な身体で戦場に立ち続けてたのか!?」

 

 私の言葉を聞いた瞬間に血相を変えて詰め寄るように訊いてきた。確かに今考えても危険な事だったと思うがあの状況で引き下がる訳にもいかなかったのだからしょうがない。

 

「そう言わないでくださいな。当時は治療どころか対処もままならなかったんですから。まあ、無理をしただけあって症状は一気に進行しましたし、度重なる戦闘でボロボロにはなりましたけどね。どうにか相手に諦めさせることが出来ました。その時には私は傭兵家業をやっていたので、玄界(こっち)に被害が向かないように『アリステラ』に雇われた傭兵と言うていで自分の情報は流して連絡を絶ったんです」

 

 敵の言葉を素直に信じたかどうかは微妙だがその後も念のために接触を断っていたと言うのはある。報復もまったくないとは言えないし、相手国の軌道から外れて動き、一つの国に長く留まらないように意識していた。なので長く居座れないとやっぱりその場ごとに雇われる傭兵と言う立場が都合よくてだいぶ名前も売れてしまったけど。

 

「それで傭兵家業をしながら多くの国を廻ってトリガー技術やトリガーを集めて、ようやく治療紛いの物が出来、私の身体も一応は安定しました。そこからは純粋に研究者としての知識欲や義父さんの目的の達成、後はボーダーへのお土産感覚で色々と収集したりもしました。都合が良い傭兵家業も続けて、色々とコネクションも作って、強さの面でも満足いくレベルにはなったんじゃないでしょうかね?」

 

 船に関してやレプリカもかなり改造を繰り返している。私作のトリガーのレベルもそこいら辺の量産品には負けていないと感じている。そう言うと林藤さんは苦笑いではあったが、どこか嬉しそうな表情をしていた。

 

「まあ、話を聞いていると色々と心配になるが……お前さんも感情豊かになったな。昔から興味関心は人並み以上にあったが、そんなに自分を表に出してる姿は見たことが無かったよ。昔と比べて良い物だと俺は思うよ」

 

 そう言われるとどこか気恥ずかしい思いはある。昔の姿は自分で考えても無いなと思う部分はある。義父さんを除いた2番目に私を知ってる人の1人である林藤さんにそう言われるとより痛感する。

 

「生きるために必死なのも、周りに興味があるのも昔と変わってない。生きたがりなのに他人を優先しがちな所とかもな。まだやる事もあるんだろうが、危ない事は控えろよ。まっ、遊真の事を考えれば心配は要らねえぇだろうがな」

「可愛い義弟を残して死ねませんよ。それで旅と仕事の合間に研究を続けて、色々と技術も開発して、発展させてを繰り返す日々でしたね。その途中で運よく技術研究の進んでいる『乱星国家』に出会えて、しばらくはそこに滞在しました。後は有名な技術を持つ国や武力を持つ国にも出向きました。詳細は手に入れた技術と一緒にデータで纏めてます。その後は義父の死を知って、遊真に会いに行こうと最後に義父が居た国に向かえば、その情報が少し古かったらしく、遊真はこちらに向かったと聞き、追いかける形で帰ってきました」

 

 話をしながら手に入れたトリガーとその付随情報を纏めて渡す、8年分の成果だけあってその量はかなりの物に成っているので目を通すには時間が掛かりそうだが……林藤さんならなんとかするだろう。これでも選んで渡しているのだけどな。

 

「これまた凄いな。これだけあればボーダー全体の技術もかなり底上げできそうだ」

「本部にもこれは提出しますが、こっちでも好きに使ってください。さて、それじゃ私はこれから本部にも行ってきますね」

「ああ、データやトリガーは助かる。それと話が聞けて良かった……城戸さんともよく話してこい」

 

 どこか考える様な目で最後に言ったその言葉。昔のことを思い出しているのか、それとも私の知らない城戸さんの事を考えてか、もちろん私の事も思っているのだろう。林藤さんは必要な配慮をしてくれる人だ。その助言に刃従っておこうと笑って返事をして部屋を出た。

 

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SIDE:林藤

 

「あいつのことだから価値が分かった上で渡してるんだろうが、これは底上げどころじゃないぞ」

 

 提出されたデータとトリガーの量だけでも凄まじいと思っていたが、中身をみて見れば一つ一つのデータの質がかなり高く、これ一つでも技術の底上げが可能と言える。この量全てをボーダーに使えるようになったその時には今までとは比べ物にならない姿へと変貌するんじゃないかと思えるほどだ。

 

「自分を前面に出す事で遊真の正当性を高めた当たりも全部計算してるんだろうよ」

 

 戸籍が存在し、旧とはいえボーダーに元々所属していた人間が正式に義弟と認めている以上は下手な手を打つことが出来ず、遊真を近界民(ネイバー)として扱う事は出来なくなると言い切っても良い。取引の手札やこれらの技術の提出による貢献度を考えれば蔑ろには絶対に出来ない。それ以前に戦力としても失う事は出来ないだろう。

 

 本部が強硬手段に打って出たあの時に無理やりにでも介入してきたのは()()()()()を考えての事だろう。決して遊真に対して手を出させないように釘を打つためや遊真と敵対した事に対する怒りだけでは無い。それがあの場における最良だったのだ。

 

「まったく、今となっては成人してるが、もっと子供らしく、本の少しでも気楽に生きていける世界だったら良かったのにな」

 

 誰もが楽に生きていける世界などは無いが、彼女にとって辛すぎるこの世界に少しでも温情を願えないものかとお節介な考えを胸に本部での話し合いが無事に終わる事を願い、仕事に戻る。

 

「それにしても量がヤバいな。宇佐美にヘルプを頼むか、こりゃ」

 

 

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SIDE:悠菜

 

 

 林藤さんとの話を終えてから私の知ってる街並みとは少し変わった三門を感じながら昔の様に街を巡ってから本部までやってきた。見慣れない私の姿に多少の視線が送られているが気にすることなく、約束の部屋へと向かう。少し時間的には早いが、向こうはもう待っていてもおかしくない。

 

 本部についても情報は仕入れているので迷う事は無いが、私は旧時代のボーダー、要は今の玉狛支部しか知らないので実際に目でみて見ると新しい物だらけで色々と面白い。昔は秘匿して動いていたのに、今では堂々と組織だって行動している辺りも新鮮である。

 

 何のハプニングもなく、目的地まで淡々と歩いてきた為にもう着いてしまった。私は扉をノックして返事を待つと入室の許可が出たので失礼しますと声を出してから扉を開けて部屋に入った。そこには城戸さん、忍田さん、沢村さん、鬼怒田さん、根付さん、唐沢さんといった面々が既にそこにはいた。

 

「約束の時間までまだあると思ったが…?」

「念のため早めに着いておこうと思いまして、準備は出来ていますか?」

「ふん、セッティングは既に済んでいる。こっちも忙しい、特にお前さんの一件で色々と手も廻している。揃ったのであればとっとと始めるぞ」

 

 早めに着ておいたが忍田さんからすれば少し早く着きすぎなようだ。早すぎて迷惑では無いかと確認も含めて準備は出来ているかと訊くとエンジニアのトップである鬼怒田さんが答えてくれた。そしてもう話し合いは始まる様だ。私も忍田さんに言われて用意された席に座った。

 

「それでは会議を始める。まずはこの前の突発的な取引の書類とそれに付随してこちらで用意したものだ。さっとでいいからこの場で目を通してほしい」

 

 そう言って言われた通りにみて見ると、この前に迅と一緒に暴れて乗り込んだ時の内容についてだ。それと私の待遇と一応ちゃんとした家や銀行の口座などについても用意してくれたみたいだ。まあ、支部の住所を使うと面倒だし、役所関係にも手は廻してくれてるみたいだ。

 

 特に問題点は見当たらず、取引や今後の私や遊真の扱いに関しても抜け穴の無い、ちゃんとした扱いをされるみたいだ。ご丁寧に遊真の戸籍なども用意して、私の戸籍にもちゃんと情報が付けたされている。とりあえずはいう事は無さそうだ。

 

 目を通したことを伝えて問題は無いと返すと私が持ってる方はそのまま持ち帰っても良いとの事なので返さずに手元に置いておく。そして、次に話した内容は林藤さんに話した事とあまり変わりなく、私が何をしていたのか、特に連絡が無くなってからの事を一通り聞かれた。

 

 そして今回の本題であり、鬼怒田さんがいる理由でもあるトリガーとそのデータなどを渡す。林藤さんに渡したのと同じ物で、全てでは無いが多くのトリガーとデータに鬼怒田さんは感嘆の声を上げた。

 

「これは!?黒トリガーの際にも驚いたが、これほどのトリガーを本部の技術に組み込めばボーダーを大きく進化させられることは間違いない!!」

「買ったり、譲ってもらったり、奪ったり、報酬として渡されたり、色々と入手した経緯は違いますが、私の方でも長い間研究しているので、気になるデータや技術があれば聞いてください」

「ふん、環境や手に入る物に違いがある所為もあるが、技術力では負けを認めるしかなさそうだな」

 

 その言葉は嬉しいが、(マザー)トリガーがあるとはいえ、たった数年でこれだけの設備を整えた鬼怒田さんの技術は普通に感心している。その事を伝えると詰まらない顔でそっぽ向いたが、微妙に頬が赤くなったように見える。

 

「鬼怒田室長、本部でそれらを運用していくのにどれくらいかかる」

「研究データもある事を考えれば1つを試験的に運用していくのに1か月もあれば、正式に運用していく場合でも3か月もあれば可能です。しかし、量が量ですので一気にドンとはいかないでしょう」

 

 城戸さんの言葉にパッと気持ちを切り替えて答える鬼怒田さん。今までにない技術だと言うのに断言する姿は流石としか言えない。データがあってもそれをボーダーで使っていく形に整えるのに1か月と言うのは驚きだ。

 

「それとこれは悠菜くんが来るまでに話をして決めた事なのだが、遊真くんと悠菜くんについてはB級以上の隊員には周知させておきたいと考えている。特に悠菜くんはS級として改めてボーダーに所属したわけだが、経緯についても話しておかなければ何処でどの様な事態に転ずるか分からないからね」

 

 忍田さんのいう事は納得がいく、いきなり現れた人材をS級にしたとなれば話題になる前にクレームが来てもおかしくない。そちらに関してはこっちとしても余計なトラブル防止として頷いて答える。

 

「とりあえずは部隊の隊長が集まる場に顔を出して欲しいと考えている。その他にも悠菜くんには色々とボーダーで手伝って欲しい事もある。隊員としての仕事以外にもたとえば鬼怒田さんの所の研究とかになる。それと可能であれば、ランク戦の解説や()()()()()()()()()()なんかも検討して欲しい。」

 

 なるほど……そっち方面の話も入ってくるわけか、最初のコンタクトが色々と問題ある感じだったが、別に敵と言う訳では無い。面倒な部分もあるかもしれないが、問題は無いので予定が合えばと一応了承の意を返すと忍田さんは喜んでくれた。

 

 その後も色々と話し合いは続いたが、大きな話題は私が渡した黒トリガーや未だに持っているコレクションに対ぐらいだ。後は細かい部分を詰めていったり、今後の動き次第でまた話し合う事に成りそうだ。

 

「それでは今回はこれで終わりだ」

 

 城戸さんの終りの言葉でもって会議らしい空気は消え、鬼怒田さんはトリガーやデータの確認のために開発室の方へ直ぐに向かって行った。メディア担当の根付さんは問題だけは起こさないでくださいと言い仕事に戻って行った。唐沢さんは私のあれこれを用意するのに頑張ってくれたようなのでお礼を言っておいた。それと沢村さんとも仲良くなれたと思う。昔の忍田さんについて少し話すと喜んでもらえた。

 

「そうだ。悠菜くんこれを」

「これは携帯電話ですか?」

「トリガーでも良いが、街中でも使える通信機器を持っていてくれると助かる。これに今後の集まりなどについてのスケジュールも送る事になっているので確認して欲しい」

 

 用意された物は全部合わせると多くなった。書類、家(使う予定なし)、戸籍(遊真のも)、口座(通帳やカード)、携帯電話とそれぞれ帰ってから確認していこう。感謝を伝えた所でちょうどいいので例の件の話を伝える事にした。

 

「忍田さん、瑠花さんと会う事は可能ですか」

「っ!?いや、そうか君は前から面識があるし、あの時に君も動いていたのか。今はごたごたもあって場を用意する時間が無いけど、彼女に連絡は入れておくから、君ならそっちで会ってくれて構わないよ」

 

 彼女の連絡先も教えておこうと先ほど渡された携帯電話を操作して連絡先を追加してくれた。とりあえずは忍田さんが伝えたら教えて貰うか、向こうから連絡してもらう事になった。とりあえず今日のやる事はこれで終わったので玉狛支部に戻っても良いが、私は少し本部を見て回る事にした。

 

 




今回は話自体はあまり進まない。

次で誰か本部の面子と会う予定なんですが、誰が良いとかありますか?私としては米屋、風間、太刀川の誰かは確実に入れようと思ってます。後はサイドエフェクト持ちの誰かもありかなぁ。後はトリガーによる治療関係の話で那須もありよりのあり。三輪は除外、理由は遊真との絡みを優先するため。

後は遊真の治療と玉狛のサイドエフェクト持ちの検査も入れられたら入れる。後は一気に途中は飛ばして入隊日に跳んでも良い。

5巻で遊真がボーダーのルールで下から上がって行かないと納得しない人がいると言って、最後におれは近界民だからと付け加えてますが、この作品では玄界での立場がしっかりとあり、近界民扱いがされなくと言うか出来なくなるので、戦力確保や悠菜の功績を理由に入れれば遊真やなんなら千佳も直ぐにB級にする事も出来そうなんですが、それをした場合に大規模侵攻においての動きに変化を加えられそうなんですが、どっちが良いですかね。


上記に関してはアンケートを用意しますが、意見としてどちらが多いかの確認が目的で、多い方が必ず採用される訳では無いと言う点をご了承ください。


では久しぶりにいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を・

正式入隊後の展開について意見調査

  • 遊真、千佳の2人ともB級になる。
  • 遊真だけがB級になる。
  • 千佳だけがB級になる。
  • 遊真、千佳の2人ともB級にはならない。
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