ワールドトリガー もう一人の家族   作:ひよっこ召喚士

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40日ぶりくらいですかね。久しぶりに投稿です。
今回はちょっと長めですね。6000文字くらい書いたところでパソコンがフリーズして書きかけのデータが消えた時は泣きたくなりました。


正式入隊②

「あれが空閑の息子か」

「そう、空閑遊真。なかなかの腕だろ」

 

 C級ランク戦にて戦っている一人の隊員、この前の騒動の中心人物の一人でもある空閑遊真の姿を全員が観察していた。そして、その動きを見て城戸は風間に問いかけた。

 

「風間、おまえの目から見てやつはどうだ?」

「……まだC級なので確実なことは言えませんが明らかに戦い慣れた動きです。戦闘用トリガーを使えばおそらくマスターレベル……8000点以上の実力はあるでしょう」

 

 A級3位部隊の隊長にして個人総合3位、攻撃手2位の腕を持ち、他者の才能・才覚を見抜く目と優れた人材育成術を持つ風間の評価はきっと正しいのだろう。

 

「8000……!!それなら一般のC級と一緒にしたのはまずかったかもしれんな。初めから3000点くらいにして早めにB級に上げるべきだった。たしか木虎は3600点スタートだったろう?」

 

 忍田の疑問はもっともで、使える人材を放っておくのも、新人を異物と言ってもいいくらいの強者と共にいさせる事も非合理的である。

 

「そうしたかったけど、城戸さんに文句言われそうだったからなー」

「……やつはなぜ黒トリガーを使わない?昇格したければS級になるのが一番早いだろう」

「またまた~、悠菜の守りがあるけど難癖位はつける気でしょ?『入隊は許可したけど黒トリガーの使用は許可していない』とか言って」

「……」

 

 何も答えようとしない城戸の沈黙は果たして肯定なの否定なのか分からないがこれ以上話す気は無いと言わんばかりに話題は移った。

 

「……先日訓練場の壁に穴を開けたのも玉狛の新人だったそうだな『雨取千佳』」

「あの子はちょっとトリオンが強すぎてね。いずれ戦力になるから大目に見てやってよ」

「黒トリガーの近界民にトリオン怪獣……そいつらを組ませてどうするつもりだ?」

 

 何を企んでいると問いただすように林藤の方に鋭い視線を向けるが、あっけらかんとした表情でその視線を受け止める。

 

「別にどうもしやしないよ。城戸さんって俺や迅のこと常に何か企んでると思ってないか?チーム組むのも、A級目指すのも本人たちが自分で決めたことだ。千佳の兄さんと友達が近界民にさらわれて、あの子は二人を取り戻したくて遠征選抜部隊を目指してる。遊真ともう一人の隊員の修はそれに力を貸してるんだ」

 

 それを静かに聞いていた風間は納得がいったと自分で見た迅の後輩の姿を思い返した。最初に問いかけていた城戸は何を考えているんだと一蹴にした。

 

「近界民にさらわれた人間を近界民が奪還するか……馬鹿げた話だ……近界には無数の国がある。どの国にさらわれたか判別するのは非常に困難だ。そもそも被害者がまだ生存しているかどうか……残念だが救出はあまり現実的ではないな」

「だから助けに行くのはやめろと?可能性で論じる事ではないだろう!」

「子どもが想像するより世界は残酷だという話だ」

「でもまあ、何か目標はあったほうがやる気は出るでしょ。救出だろうが、復讐だろうが……なあ?蒼也」

 

 厳しく突き放す様な城戸の言葉に忍田は新たに入った隊員を庇った。しかし、現実的ではないという城戸の言葉は確かだろう。そして、話を摩り替えて振られた風間は感情を出さず答えを返す。

 

「……三輪あたりはそうでしょう……自分は別に兄の復讐をしようとは思っていません」

「お?遠征で少し価値観変わった?」

「自分は何も今までと変わりません。ボーダーの指令に従って近界民を排除するのみです。三輪は先月の小競り合い以降何やら考え込んでいるようですが……」

「ありゃまどしたの?」

「嵐山に何か言われたようです」

「へぇ……なんだろな?」

 

 だいぶ話はずれていったが、空気を破るように会議室に誰かが入ってきた。遅れていたようだが特別悪びれる様子のない、議題において重要な人物である。

 

「どもども遅くなりました。実力派エリートです」

「よし揃ったな。では本題に入ろう。今回の議題は近く起こされると予測される……近界民の大規模侵攻についてだ」

 

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SIDE:修

 

 久しぶりに本部をうろつき、少し休憩しようと椅子に座って飲み物を飲んでいる。ここまでは普通の事だが、周囲から聞こえてくる声が落ち着かない。

 

「ほらあのメガネがこないだの……」

「風間さんを倒したってやつか!」

「言われてみればなんか落ち着きがあるな……」

 

 ……ありません。落ち着きありません。間違ってはいないけど『倒した』って……9敗1勝なのに……だけど訊かれてもいないのに『9敗してますから!』とかいうのは変な気がする。誰かが訊いてくれれば……

 

「ねえねえ、ちょっと訊きたいんだけどさ」

「な、何かな」

 

 人付き合いは苦手と言う訳では無いが、話したこと無い人にいきなり話しかけられたせいか少し噛んでしまった。だけどA級隊員の彼が訊きたい事って何だろう。風間さんとの戦いについてだったら丁度良いんだけれど……そう思っていたら目の前の彼は僕の方を指さした。

 

「その肩のマーク、玉狛のやつだよね。玉狛支部の人?」

「え?ああ……そうだよ。最初は本部で入隊したんだけど玉狛に転属したんだ」

 

 予想してない質問に戸惑いはしたが、答えられないような質問では無かったので伝えた。すると彼は不思議そうな表情を浮かべた。

 

「転属……?なんで?どうやって転属したの?」

「いろいろあったけど玉狛の迅さんていう人に誘われて……」

「迅さん……?ふーん……そうなんだ今日って非番?防衛任務は休み?」

「あ、うん。休みだけど……」

「じゃあさ、今からオレと個人のランク戦しようよ」

 

 ここ最近は玉狛で訓練ばかりしていたが、その訓練の過程でトリガーやボーダーについて色々と調べたので個人ランク戦については知っている。訓練ばかりでちゃんとしたランク戦なんてやっていないなと思いはしたが、相手が悪いだろう。

 

「A級4位部隊の人と戦えるほど僕は強くないよ?それでも良ければやるのは良いけど、どうする?」

「へぇ!知ってたんだ!別に良いよ、興味があっただけだからさ」

「うん、ならやろうか」

 

 僕がそう言って席を立つと周囲のざわめきが大きくなり、注目度が上がった気がする。事実、ひそひそと話す声や僕たちの後を着いてくる人が大勢いる。面倒な事になっちゃったかもしれないな。

 

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SIDE:遊真

 

 この国でのお金の仕組みやおつりと言う概念について頭を悩ましながら自動販売機と言う便利な機械で飲み物を買っていると、手から一枚の硬貨がこぼれて転がっていった。

 

「おっ……?」

「我が物顔でうろついているな……近界民……!」

 

 転がっていったお金はこの前戦った部隊の隊長の足元で止まった。たしか……

 

「あんたは……『重くなる弾の人』」

 

 重くなる弾の人は俺が落とした金を拾うと広げたままだった手のひらに落とした。

 

「どうも」

 

 礼を言うも何も答えず、静かに飲み物を買っている。

 

「どうした?元気ないね。前はいきなりドカドカ撃って来たのに」

「本部がおまえの入隊を認めた以上……おまえを殺すのは規則違反だ」

「ほう……?」 

 

 この前の戦いの時の印象を思い出すと少し意外に感じた。しかし、元気の無さについては何も触れていない。そう思っていると階段の上から声が掛かった。

 

「おっ!黒トリの白チビじゃん!そういやボーダー入ったんだっけか!」

「がんばっとるかね?しょくん」

「『ヤリの人』とようたろう……?なんで一緒にいんの?」

 

 声を掛けてきたのは『重くなる弾の人』のチームの人と玉狛のようたろうだったが、二人が一緒にいることは疑問に思える。

 

「クソガキ様のお守りしてんだよ」

「陽介はしおりちゃんのイトコなのだ」

「ほうしおりちゃんの……玉狛と本部は思ったより仲が悪くないのか……?」

 

 身内とは言え派閥争いがある中でこれだけ親しそうに関わっているのを見るとおれが思っていたほどギスギスしていないのか?

 

「しおりちゃんととりまるは1年ちょっとまえまで本部にいたからな」

「今もたまに本部に来てるし」

「へぇ、オサムと似た様な感じか」

 

 なるほど、元々本部の人間なら本部の人と関わりがあってもおかしくない。だが、中には本部から玉狛へ行ったとして余計に恨んでる人もいるんじゃないのかそれ?

 

「つーか秀次、おまえなんか会議に呼ばれてなかったっけ?」

「……風間さんに体調不良で欠席すると言ってある」

「ふむ体の調子が悪いのか」

「ちがうちがう、近界民ぶっ殺すのは当然だと思ってたのに、最近周りが逆のこと言い出したから混乱してんだよ」

 

 ふむ、体調は悪くなかったのか、どこか顔色が悪い様な気がしたが、気のせいだったか?それにしても混乱か……以前やりの人、よーすけ先輩が言ってったっけ、えっとたしか……

 

「あーそっか、お姉さんが近界民に殺されてるんだっけ」

「……!!なぜそれを……!?」

「仇討ちするなら力貸そうか」

「……!?なに……!?」

 

 知られたくなかったのか、知っていたことに驚いたのか分からないがこちらに顔を向ける。追い打ちを掛けたい訳では無いが協力を申し出ると怪訝な顔でこちらをじっと見つめてきた。

 

「おれの相棒が詳しく調べればお姉さんを殺したのがどこの国のトリオン兵かけっこう絞れるかもよ?どうせやるなら本気でやったほうがいいだろ」

「…………ふざけるな……!おまえの力は借りない……!近界民は全て敵だ……!」

 

 提案に対して悩んでいたのか、それとも想定していない状況に戸惑ったのか、真偽は分からないが数秒間固まってから、そう言うとわざと俺を押しのけてからゆっくりと歩いて行った。

 

「おい秀次どこ行くんだ?」

「……会議に出る」

「やれやれマジメなやつはつらいねぇ……あ!そういやオレおまえと勝負する約束だったよな!ヒマならいっちょバトろうぜ!」

「正隊員と訓練生って戦えるんだっけ?かざま先輩は戦ってくれなかったけど」

「ポイントが動くランク戦は無理だけど、フリーの練習試合ならできるぜ。風間さんはプライド高いからガチのランク戦で戦いたいんだろ。オレは楽しけりゃなんでもいーんだよ。ほれほれ対戦ブース行くぞ」

「ほう」

 

 なるほどそう言う事だったのか、なら風間先輩とは上に上がってから存分に戦わせてもらおう。それと提案に関してもボーダーのトリガーに慣れるのによーすけ先輩と戦うのは悪くないな。そう思ってブースに向かうとなにやら雰囲気がいつもと違う。

 

「なんだあ?妙に観客多いな」

「『三雲』……?」

 

 いつもと比べて人が多く、そして全員が見ている画面にはよく知っている名前が表示されていた。そして戦闘が終わり、勝者が告げられる。

 

[十本勝負修了]

[7対3]

[勝者 緑川]

 

「あっ、おさむ!?負けた!?」

「いつぞやのメガネボーイじゃん。緑川とランク戦か!あいつから3本取るとは……結構やるな。今度一戦やるのも悪くないかもな!」

「ミドリカワ……?」

 

 待ってると疲れたのかため息を吐きながらオサムが出てきたので陽太郎と一緒に近づいて行くするとオサムもこちらに気付いたようで驚いている。

 

「こらおさむ!負けてしまうとはなにごとか!」

「なんか目立ってんなー」

「陽太郎……!?遊真……!」

 

 どういった経緯でランク戦をやっていたのか聞こうと思ったら初めて聞く声が2階の方から聞こえてきた。

 

ちっ、何がA級4位部隊の人と戦えるほど僕は強くないよだ。これじゃあ無理か?……おつかれメガネくん。実力は大体わかったから帰って良いよ……風間さんに勝ったって聞いたけど、こんなもんか」

 

 

「いや十分凄いだろ」

「A級から3本も取っちゃったしね」

「B級上がりたてであれはヤバいな」

「勝ってるとはいえ変に上からだな緑川」

「風間さんに勝ったってのも信憑性出てきたな」

 

ちっ、やっぱりか

「おさむのカタキはおれがとる!いくぞ!らいじん丸!らいじん丸ーーッ!!」

「……なあこの見物人集めたのおまえか?」

「……ちがうよ風間さんに勝ったってウワサに寄って来たんだろ。オレは何もしてないよ」

「へぇ……おまえつまんない”ウソ”つくね」

「……!?」

 

 オサムは気づいてないみたいだし、上手くいってないみたいだけど、これは許せないな。

 

「おれとも勝負しようぜミドリカワ。もしおまえが勝てたら……おれの点を全部やる1508点」

「「な……!?」」

「あれ?オレとの勝負は?」

 

 おれの提案にミドリカワはもちろん、オサムも驚いている。それとよーすけ先輩には悪いけどこっちの方を優先させてもらう。

 

「1500ってC級じゃん。訓練用トリガーでオレと戦うつもり?」

「うん、おまえ相手なら十分だろ」

「……!!」

 

 おれはわざと挑発するような言い方で刺そうと、普通なら気付かない位少しだが口を歪ませて目の力が強くなった。ミドリカワはそのまま二階から飛び降りて目の前にやってきた。

 

「メガネくんが何本かとったから勘違いした?……いいよやろうよ。そっちが勝ったら何がほしいの?3000点?5000点?」

「点はいらない。そのかわりおれが勝ったら『先輩』と呼べ」

「……OK、万が一オレが負けたらいくらでもあんたを『先輩』って呼んであげるよ」

「いや、おれじゃない。ウチの隊長を『先輩』って読んでもらう」

「お……意外とゆうまおこってる!?」

 

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SIDE:修

 

「お、おい遊真……」

「こいつはおもしろくなってきたぜ」

「くっそー、白チビとはオレが先約だったのにー」

「あ……三輪隊の……米屋先輩ですよね?」

「おっ!知ってんのか。そう、米屋陽介だ。陽介でいーよ、メガネボーイ」

「メガ……!?」

「陽介はしおりちゃんのイトコなのだ」

「えっ……宇佐美先輩の!?」

「そしておれの『陽』なかまでもある」

「『陽』仲間……!?」

 

 勝手に進んでいく状況とどんどんと入ってくる情報に頭がパンクしそうだが、遊真を止める事はもうできそうにないので諦めて遊真が出てくるのを待つことにした。

 

「なあなあ、メガネボーイ。なんで緑川とランク戦やってたんだ?それにあいつから3本とるなんてやるじゃん。今度オレともバトろうぜ!!」

「えっ、あ、いや、なんかよく分からないんですけど飲み物飲んでいたら、玉狛の人だよね?どうやって入ったの?って聞かれたので迅さんに誘われたからと答えたら、なんか急にランク戦をする事になって」

「あー、なるほどね。そう言う事か、それであいつあんなことをやって、失敗してりゃせわねぇな」

 

 僕の拙い説明でどれだけ伝わるかなと不安に思ってると今話した情報だけでどうやら陽介先輩には分かったようだ。それに緑川が僕をランク戦に誘って来たのにも何か目的があったらしい。しかも失敗してるなんて言う結果まで分かってるみたいだ。僕には何も分からないけど……

 

「なあ陽介とどっちが強いんだ。あいつ」

「個人だろ、どーだろーなー。オレポイント覚えてねーし、勝ったり負けたりだなー。でもまあ緑川は中坊だし、才能ならあっちが上なんじゃねーの?それでそんな緑川から3本とったメガネボーイはどうやったんだ?」

「ぬ!?陽介、きさま玉狛の隊員であるおさむのてのうちをきいてどうするつもりだ!?」

「いやいや、別にスパイとかしたいわけじゃねーよ。なんかさ、前にあった時の印象だとメガネボーイは戦いがそれほど得意そうに見えなかったから、どうやって3本もとったのか純粋に気になったんだよ。陽太郎じゃねーが手の内を隠すのも大事な事だし、話したくなけりゃ話さなくてもいーぜ」

「あ、いえ、別にそこまで特別な事はしてないので」

 

 そう言うと、僕は陽介先輩と陽太郎に何があったのかを最初から順番に話した。緑川の誘いに乗ってランク戦ブースまでやって来てからはランク戦の内容をまず緑川と話し合った。

 

『こっちから誘ったし、そっちがルール決めて良いよ』

「えっと、それじゃあステージはランダム、天候は晴れで固定、転送位置は僕は射手なので高速攻撃手のそっちとよーいドンだと分が悪いのでそちらもランダムでいいですか?トリガーの制限は無し、本数は10本が慣れてるのでそれでいいですか?」

『いいよ、それじゃやろっか?』

 

 

[ランク戦10本勝負 開始]

 

 そう言って始まった1本目は市街地Aに決まった。ここは全体的に平地で背の低い民家が多く、開けた場所や狭い場所もある。今回は関係ないが所々にマンションもあるので狙撃ポイントも無い訳では無い。緑川がいる草壁隊のランク戦を思い出すと既に近くに来ててもおかしくはない。レイガストを構え、待ちの姿勢をとる。

 

「スラスター起動」

「あ、避けられた。思ってたより動ける?」

 

 屋根の上を飛んできたのか、移動補助が主な役割のオプショントリガー、グラスホッパーの勢いをそのままにスコーピオンで斬りかかってきた。彼が持ってるのはスコーピオン、シールド、グラスホッパーだけで他は何も持ってないはずだ。となると警戒するべきなのはスコーピオンの形状変化にグラスホッパーを用いた高速戦闘と立体的な動きだ。

 

「グラスホッパー」

「シールド!!」

 

 グラスホッパーでこちらにもう一度跳んできたのですり抜ける際に斬られない様にレイガストを相手の居る方向に置いて対応できるようにし、空中で飛ぶ方向を変える事を想定し、背中側を守る様にシールドを展開する。守る必要性の高い首と胸に集中して貼ると、スコーピオンを弾いた音が聞こえた。

 

「アステロイド」

「シールド」

 

 少し散らしたり、置き弾で時間差攻撃を行い追撃されない様に時間を稼ぎ、距離を取って振り返る。散らした事で一発一発の威力は低めなので僕のトリオン量ではシールドで簡単に防がれるが問題はない。

 

「面倒だね。乱反射(ピンボール)

「くっ、駄目か」

 

 僕の眼では追い切れず、何処からくるのか読めない。幾つかは防ぐことが出来ているが、身体をあちこち切り刻まれたあっという間にトリオン切れにさせられた。

 

[三雲 緊急脱出 1-0 緑川リード]

 

「重いレイガストはもちろん、シールドも攻撃に合わせて展開するのは難しいか……」

 

 気持ちを切り替えて2戦目、選ばれたのは市街地Cだった。坂道と高低差のある住宅地のMAPで、道路を挟んで階段上に宅地が続き、上下移動の際には道路を横切る必要がある。スナイパーに狙われやすいMAPになっている。多少の高低差はグラスホッパーでカバーされるが、上を取れたらアステロイドでチマチマ撃つのが良いかもしれない。

 

「場所は……微妙だな。相手が上に居る可能性もあるし、大きく移動すると危ないけど、上からの奇襲を避けるのに急ごう」

 

 転送位置は圧倒的に高所と言える程の場所ではなく、良くも悪くもないと言った場所になった。高低差があり、空中が見えやすいのでグラスホッパーで索敵していれば向こうの姿が目に映るはずだ。そう思って建物に身を隠しながら時折空中に目を向けていると緑川を見つけた。

 

「こっちの方が上だな。あっちの少し高めの建物の上を陣取ろう」

 

 気づかれない様にさっきよりも注意しながら家の裏を通って雑居ビルの屋上に身をひそめる。そして、下の方から上ってきている緑川を目掛けて少し威力に大きく振った弾を放った。

 

「アステロイド」

「上取られてたのか……おっと危ない」

 

 攻撃はグラスホッパーで左右にジグザグに跳ばれる事で簡単に避けられてしまう。散らして撃てば1戦目の様にシールドで防がれて終わりだろう。バイパーは僕では使えないが、ハウンドであれば使えるし、この状況下であればそちらの方が適していただろう。

 

「アステロイド」

「同じ攻撃ばっかだね」

 

 難なく避けて近づいてくるがそれでいい、撃った弾のおかげで避ける方向がなんとなく読みやすく、次に来る場所が分かる。僕がいる雑居ビルに跳び移る場合に着地地点はそこだ!

 

「スラスター起動!!」

「げっ……なーんてね。シールド」

 

[三雲 緊急脱出 2-0 緑川リード]

 

 シールドを集中させて攻撃を凌いでスコーピオンで胸を一突きにされた。誘導していたのがバレていたようだ。流石にA級で戦っているだけあり、経験の差が大きいな。それと攻撃の速さが段違いだ。僕の反応速度だと今以上に避けれない状況に嵌めるか、問題のスピードを出せない状況にするかしないとまともに攻撃は入りそうにない。

 

「ここは工業地区か、場所によっては入り組んでるし、MAP自体が狭い。上手く牽制すれば機動力は削れるか……」

 

 建物同士の間の方が開けていて射撃戦を行いやすいが広いという事は僕のまだ慣れていない空中戦をやられやすいという事だ。ここなら入り組んだ場所に逃げてもおかしくはないので罠に嵌めやすい……室内に呼び寄せれば、攻撃を入れられるかもしれない。

 

 そうと決まれば向かうとしよう。自分の位置は少し外側なので内側に向かいつつ、緑川と接敵したら多少は打ち合った方が良いだろう。その方が怪しまれないだろう。本当なら攻撃をレイガストで受けて吹き飛ばされる様な形で中にはいればさらに良いけど、スコーピオンの攻撃で弾かれる方が怪しいからそれは止めとこう。

 

「くっ、盾モード!」

「あれ?首いけたと思ったんだけどなぁ」

 

 普通に危なかった。初手でやられる事は無かったけど、彼はA級隊員だ。不意を突かれてやられるなんて当然あり得る事だ。だけど、これは丁度いい具合だ。

 

「アステロイド」

「これ位ならスコーピオンで防げる…いや撤退目的か」

 

 細かく散らしたアステロイドで足止めすると予定していた場所に逃げ込む形で入った。緑川は追ってくるので、続けてアステロイドを撃つ、だが殆どの弾がスコーピオンで斬り伏せられている。狭い通路内で床だけでなく壁や天井なども蹴って物凄い速度で追ってきている。

 

「今だ、盾モード!!」

「がっ、何を、うっ!?」

 

[緑川 緊急脱出 2-1 緑川リード]

 

「ふぅ、置き弾が上手くいって良かった」

 

 逃げ込んだ際使った入り口の壁に置き弾を設置し、レイガストの盾モードで動きを止めた所を後ろから撃ち抜いたわけだ。使える状況が限られてるし、同じ作戦は絶対に通じないだろうけどどうにか1勝することが出来た。気を抜かず少しでも自分の糧に出来る様に頑張ろう。

 

 今度はまた市街地Cか、今度は置き弾も使って多角的に弾を放ってみようかな。空中の移動の時はこちらの攻撃をシールドで防いでたから少し威力にトリオンを注いで。空中ならグラスホッパーを起動してるからフルガードは出来ないし、少しは削れるだろう。

 

「いた!アステロイド!」

 

 予想通り、空中に居る所を狙うと広い範囲を1枚のシールドで防ぎきれず攻撃を喰らっていた。しかし、こちらの姿を捕捉するとシールドを消して向かって来た。スピードで翻弄するならと広範囲に弾を放つと弾に当たる直前に緑川の身体が大きく上に跳んだ。

 

「なっ!?」

 

[三雲 緊急脱出 3-1 緑川リード]

 

「捨て身に見せかけての攻撃か……急に引いたせいで動揺したのが駄目だったな。上に跳んだ分、グラスホッパーを使っても少し時間があるし、落下速度を入れてもレイガストならスコーピオンの攻撃を防げたな」

 

 

 次は市街地Bか、開けた場所が少なく大き目の建物が多くて射線を切りやすい、攻撃手有利のMAPだ。中距離で戦っている僕には辛いMAPだ。一度身を隠してからどこで待ち構えるのか考えようと思っていたら胸元にスコーピオンが飛んできた。一つ目はどうにか弾いたが斜め後ろから飛んできたもう一本を止めきれず、トリオン供給器官からはどうにかそらしたが、初めから致命傷を喰らった。

 

「くっ、アステロイド!!……だめか」

 

[三雲 緊急脱出 4-1 緑川リード]

 

 ダメもとでアステロイドをスコーピオンが飛んできた方向に放ったがトリオン供給器官の近くに大きな傷を負った僕は直ぐにトリオン切れに成り、そのまま緊急脱出した。

 

「そっか、グラスホッパーを使った翻弄が目立ってて忘れてたけど、基本的な使い方ならマスターしてるに決まってるよな」

 

 次は河川敷か……名前から分かるようにMAPの中央に川があり、渡るための大きな橋が一本あるんだけどチーム戦ならまだしもここも個人戦ではあまり意味が無いな。障害物は民家が広がる他大通り付近にアパートやマンションなど背の高めの建物がある。とは言っても高さは5,6階ぐらいまでだ。そのため射線は通りやすいMAPだ。

 

「ここはMAPの東側で位置は北より、橋まで距離は近いか」

 

 遮蔽物のない橋の上で今度は仕掛けてみるとしよう。空中戦は確かに厄介だが、開けすぎてるので奇襲の心配はしなくても良い。近くで乱反射をしかけてきた場合は盾モードで覆って様子見しよう。

 

「来た、盾モード!!」

「閉じ篭ってるだけじゃ勝てないよ」

 

 乱反射を仕掛けてきたので盾モードでで全域をカバーする。そして、アステロイドをスピードと威力重視で周囲一帯に放つ、緑川はシールドを狭めて対応しているが、アステロイドが当たったグラスホッパーが壊れ、乱反射は崩れた。距離を取ろうと新しくグラスホッパーを起動した所にレイガストを当てる。

 

「スラスター起動!!」

「なっ!?」

 

 グラスホッパーは弾で壊れるが武器などは弾いてくれる。緑川が跳んだグラスホッパーはスラスターとグラスホッパーの勢いで緑川にレイガストを届けてくれた。

 

[緑川 緊急脱出 4-2 緑川リード]

 

 次は森か……コンクリートと比べて不安定な足場と密集した木で射撃は通りにくく、攻撃は振り回しが利きにくい、メテオラや閃空弧月などの地形ごと攻撃する手段が無ければ戦いにくい。

 

「スラスターを使えば木の2,3本、いや勢いをつける空間がないから1本が限界か……葉に隠れて上が見えないからグラスホッパーで跳ばれても見つけにくいのが厄介だな」

 

 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると言うが僕のトリオン量では木やシールドで防がれている内にトリオン切れになるのが目に見えている。となれば決めるのはスラスターに絞って、アステロイドも牽制だけに留めよう。木で動きが制限されるのは向こうもだ。よほど懐に入らない限りは縦に振ってくるだろう。それに横に振り抜ける位置まで来るなら突きで供給器官を狙った方が早いだろうから横振りは警戒しない。頭よりも心臓を守るつもりで動こう。

 

「いや、先にアステロイド」

 

 相手に当てるつもりではなく邪魔な葉っぱを散らすためだけなので射程も威力も弾速もいらない。とにかく周囲一帯の空にアステロイドを放ってある程度は空が見える様にする。これで上からの奇襲は考えなくてもよくなった。

 

「来たか」

 

 木の隙間からスコーピオンが投げられた。これだけ木が多いと横に大きく移動は出来ないので多方面からの攻撃は警戒しなくても良さそうだ。レイガストを正面に構えてスコーピオンを弾く。

 

 近づいてきた緑川が両手で攻撃を仕掛けてきたので正面に広くレイガストを覆い、シールドも左右に展開して確実に負傷を避ける。後は向こうが下がろうとしたタイミングで仕掛ける。

 

「スラスター起動」

「うおっ!?」

 

 咄嗟に二本のスコーピオンで防御したのかあまり深く傷をつける事は出来なかった。しかし身体を大きく切り裂く事は出来たので逃げに徹しても勝てるかもしれない。ここからはアステロイドで牽制を意識するか、前方を盾モードで完全に多い、穴を開けてそこからアステロイドを放っていく。

 

 このまま追っても仕留められないと判断したのか緑川が距離を取った。奇襲を避けるために逃げた先の葉っぱを散らしておくのを忘れない。中々攻めてこない緑川に不思議に思っていると周囲の木が少しずつ倒れて言っているのが見えた。

 

「しまった!?これじゃ逃げれない」

 

 倒された木が行く手を阻んでいる。動きの改善の為に地形踏破の練習もやっているが向こうの機動力と比べたら段違いだ。逃げようと木を乗り越えている僕に追いつくのは簡単だろう。

 

 この倒れた木で囲まれた狭い空間でどれだけ耐えれるか、そして相手のトリオンを削れるかが勝負になってくる。同じ攻撃が効くかは微妙だが狙えそうだったらもう一度スラスターを使うのが一番だろう。

 

 相手が追ってくるからアステロイドが効果的だったが、こちらから狙っても防がれる。盾モードとシールドでとにかく耐えるのも考えたが、守るだけでは勝つことは出来ないし、逆にこちらがトリオン切れにさせられるか、隙間をねって攻撃を入れられる危険性もある。

 

 向こうは攻撃を喰らって焦っているのでこちらから行かなくても近寄って来てくれるだろう。なら、そこにスラスターを当てるしかない。相手もスラスターを警戒して下がる時は素早く、もしくは木が多い場所を通っている。アステロイドを併用して相手の攻めてくる場所を誘導し、仕掛ける。

 

「スラスター起動」

「グラスホッパー」

 

 スラスターで木ごと斬り伏せようとした瞬間、木を守る様にグラスホッパーが展開されレイガストが弾かれて大きく体勢が崩れた。咄嗟に心臓をシールドで覆ったが伸ばしたままの両腕を素早く斬られ、次には頭を斬られた。

 

[三雲 緊急脱出 5-2 緑川リード]

 

 

「攻撃自体は上手くいってた。木ごと攻撃できる強みを生かしてたけど、それに少し固執しすぎてたかな。ブレードを弾く……グラスホッパーで飛ばす以外にも何かできるか……」

 

 この時点で緑川の勝ちにリーチが掛かっている。残り3戦を連続で取る事が出来れば引き分けに持ち込めるけど、流石に出来る気はしない。

 

 次のMAPは市街地D、中央に大型のショッピングモールがあり、MAP自体は狭いけど縦に広いステージだ。屋内戦がメインになりやすく、比較的攻撃手有利になっている。外なら弾トリガーが有利になるけど、今の構成だと微妙だ。

 

「中なら壁も多いし、試してもいいかもな」

 

 さっきの戦いで一つのアイデアが浮かんだのでそれを試すのにちょうど良いと屋内に入る。ショッピングモールの中に入ると真ん中の吹き抜けを緑川が跳んで移動していた。下から彼を見上げる形で射程と弾速重視で弾を吹き抜けの中を走らせる。

 

「アステロイド」

「グラスホッパー」

 

 流石に避け切れないと判断したのか途中の階に入り込んで射撃を避けた緑川。入った階を確認して階段で向かう。不意打ちされる可能性を考えて警戒をしていると上った所をすかさず斬り込んで来た。

 

「盾モード、スラスター起動」

「なっ!?がっ!!」

 

 レイジさんがレイガストを拳に纏って殴ったりしているのを見せてもらい、それを真似して相手を押し出すために少し広くして攻撃を受けたレイガストを持ったまま緑川に横から当てて吹き飛ばした。逃がさない事を意識して盾モードを使ったので当たってもダメージは無いはずだ。

 

 店内にガラスを突き破って入った緑川、既に体勢は整えているようだけどこれで良い。アステロイドを放ちながらレイガストで斬りつける。緑川が棚を利用して撒こうとしたところで森でやったように棚ごと斬り伏せようとスラスターを起動する。 

 

「スラスター起動」

 

 棚を斬り伏せたが緑川に当たった手ごたえは無く、咄嗟にジャンプして避けた様だ。スコーピオンを構えてこちらを狙っている。よし、これならいける!!

 

「盾モード、解除、スラスター起動」

「はぁ!?」

 

 

[緑川 緊急脱出 5-3 緑川リード]

 

「はぁ、上手くいったけど体勢が崩れてるし、チーム戦じゃ隙を作るだけになりそうだ。落ちる事前提で点を取るなら良いけど、実用性は低いかな」

 

 さっきやったのはレイガストを盾モードにすることで切れ味を落とし、レイガストを壁で弾いてその反動で反対方向に勢いをつけてもう一度スラスターを起動して斬りつけたのだ。重たいレイガストを左右に素早く振るのは難しいので反動を利用したわけだけど、一歩間違えればレイガストを支えきれずすっぽ抜けたり、勢いを抑えられずに転ぶ可能性が高い。今回上手くいったのは運が良かっただけだ。

 

 後2戦、精神的に疲れてきたが気持ちを引き締めて向かう。転送されたのは市街地B、攻撃手有利のMAPで、1回目はスコーピオンの投擲でやられたが、あれは開始位置が近かったのも大きい。今度は建造物に入って戦いを展開していきたい。

 

「ここは学校か……盾モードを上手く使えば有利を取れるか?」

 

 工業地区でやったように狭い通路をレイガストで防いで弾を撃ち込んでみるか。教室や階段などで置き弾…後はさっきやった殴るのではなく風間さんにやった時みたいにシールドチャージを試しても良いかもしれない。そう考えていると勢いよく近づいてくる緑川が見えた。

 

「シールド!アステロイド!!」

 

 攻撃を防ぎながら弾を放つ、前方に向けて威力と射程に多めに振って弾速は遅めの弾を放つ、近寄りにくくして仕掛けをするだけの時間を稼ぐのが目的だ。隙間を潜りぬけて進んでくるがレイガストで受け止めて左右から置き弾で攻撃する。緑川はグラスホッパーで天井に着地して置き弾を避ける。降りてきた所をシールドチャージで先ほど放った弾に緑川をぶつけようとしたが緑川が天井にくっついたままだった。

 

「しまった!?シールド!?」

「遅いよ」

 

[三雲 緊急脱出 6-3 緑川リード]

 

 モグラ爪(モールクロウ)、壁や床などを潜るようにスコーピオンを通して刃を隠して攻撃する技だ。天井にくっついた時に足の裏からスコーピオンを伸ばし、レイガストを避けて頭に攻撃を入れられた。

 

「負けは確定か……最後まで頑張ろう」

 

 転送されたのは市街地A、ソロランク戦でよく使われるMAPで1戦目も市街地Aだったっけ、負けは決まってるし、最後は動きにどれだけ慣れたか確認するためにも正面から戦わせてもらおうかな。

 

「レイガスト、シールド」

「防げるようになってきたみたいだね」

 

 グラスホッパーで踏み込んでの攻撃、それと同時に足元からモグラ爪、足の裏限定してシールドを貼り、正面の攻撃はレイガストで受けきる。そして、連撃を喰らう前に距離を取る。僕は緑川を狙う様に構えてからスラスターを起動した。

 

「ブラフか!?」

「アステロイド」

 

 僕はスラスターを後ろ方向に使い、距離を稼いでアステロイド撃つ。緑川は素早くスコーピオンを解除してグラスホッパーで空中に逃げた。そして僕は一か八かでそこに攻撃を放つ。

 

「スラスター起動、アステロイド」

 

 緑川がいる位置にレイガストをスラスターで投げて、その周囲にアステロイドを放って逃げ道を無くした。いきなり武器を投げた行動に驚き止まった緑川の足を斬りつけ、アステロイドがチマチマと緑川のトリオンを削った。

 

 機動力を少し下げる事が出来たがグラスホッパーがあるからそこまで変わらないだろう。僕のトリオン量ではレイガストを作り直したらカツカツになってしまうので、レイガストを拾いに行くか、アステロイドとシールドで勝負する必要が出てくる。

 

 だが拾いにいく余裕などある訳がなく、緑川がグラスホッパーで一気にこちらに降りてきた。僕は全力でアステロイドを放ち続けるがフルガードで防がれている。

 

「レイガスト!!スラs…」

「また、遅かったね」

 

[十本勝負終了]

[7対3]

[勝者 緑川]

 

 最後はレイガストを先に生み出してたらトリオン切れを狙われただろうし、引き付けないとレイガストを出しても避けられると思って粘ったけど、攻撃に拘らないでシールドを展開した方が良かったか……いや、単体のシールドだと連撃で負けてたか。

 

「A級か……目指すところは高いな」

 

 戦って貰ったお礼を言う為にも外に出るとするか、それとポイント差が大きい相手に何本か取れたからかポイントがこれまでに見たこと無いくらい上がってる。これ良いのかな?そこいら辺も話してみるか。

 

 

 

 

「そう思って外にでたら遊真たちが居て今に至ります」

「なるほどねぇ。とにかく作戦を押し付けたり、相手の意表をついて隙を作って戦ったと……選ばれたMAPで即座に作戦立てるとは……メガネボーイもしかして頭良い?」

「さすがはおさむだ!!」

「いやぁ、特別良い訳ではないかと、あっ!」

「ああ~……!!」

 

 話すのに夢中になっていると遊真は素早く2本を取られてしまった。思わず驚きの声を上げたが、慣れてないトリガーでもあそこまであっさり遊真が負けるのかと疑問が湧いた。

 

「あー、けっこう経験の差があんなー」

「けいけんの差ってなんだ!?ゆうまもミドリカワに負けるっていうのか!?」

「いや、違うんじゃないかな」

「おっ!メガネボーイも気づいた?そう、逆だよ逆。見てなそろそろ勝つぞ」

 

 次の1戦で遊真は右腕を斬られながらも相手の胸を貫いて一撃で緊急脱出させた。やっぱり、手を抜いてたのか……だけどなんで…?

 

「捕まえた。もう負けはねーな」

「どういうことだ、陽介!!」

「ウチの隊の攻撃を4対1で凌いだやつが緑川一人を捌けないわけねーだろ。予想は付いてるが白チビのやつ、そーと―キレてるみたいだ。緑川の事をボッコボコにしたいらしーや」

 

 そこからはとても早く戦いは終わって行った。どちらもスピードタイプの攻撃手な事も関係してるだろうが、遊真が一方的に緑川を倒していった。

 

[十本勝負終了]

[2対8]

[勝者 空閑遊真]

 

 

「A級がC級に負けた……」

「緑川後半は手も足もでなかったな」

「ボロ負けだ」

 

 戦いが終わった遊真はポンポンと手を叩いて簡単な仕事を終わらしたかのような様子で出てきた。遊真と僕の差も大きい……少しでも足を引っ張らない様に頑張らないとな。

 

「よくやったゆうま!おれはしんじてたぞ!」

「よーし白チビ、今度こそオレと対戦……」

「遊真、メガネくん」

「迅さん……!?」

 

 陽介先輩が遊真に声を掛けてると聞きなれた声が僕と遊真に掛けられ、そちらを向くと迅さんが立っていた。何か用なのかと思っていると迅さんは要件を伝えた。

 

「ちょっと来てくれ城戸さんたちが呼んでる」

「城戸司令がぼくたちを……!?」

「ふむ?誰?」

 

「S級の迅さんだ……」

「玉狛支部の……」

「おっと悪いけどおれはもうS級じゃない。単なるA級の実力派エリートです」

 

 迅さんの知名度は高く、現れただけで周囲は騒めいた。それともう一人、迅さんが現れたことに反応した人がいた。

 

「あっ!迅さん!!迅さんS級辞めたの!?じゃあ対戦しよう!対戦!」

「おっ駿、相変わらず元気だな」

 

 緑川は迅に気付くと一目散に近寄り、迅さん迅さんと声を掛けている。その姿は先ほどまでと違い、印象がガラッと変わりそうなくらいはしゃいでいた。

 

「これは一体……」

「緑川は熱烈な迅さんファンなんだよ。近界民に食われそうなとこを迅さんに助けられてボーダーに入ったらしいからな」

「なるほど。だから玉狛に入ったオサムに嫉妬したのか」

 

 えっ!?僕嫉妬されてたの?なんかあたりが少し強いな。好戦的な性格の子なのかなと思ってたけどそうじゃ無かったんだ……

 

「……三雲先輩。すみませんでした」

「えっ!?何!?なんで!?」

「因縁着けて無理にランク戦に誘って、大勢の前で負けさせて、本気でやっていた先輩の事を大勢の前で馬鹿にするような発言をしました」

「メガネボーイが善戦したから発言は意味が無かったけどな」

「確かに少し勢いに驚いたけど気にしてないし、大勢の前なのはランク戦なら当たり前でしょ」

「ちがうんです。三雲先輩に恥をかかそうと思ってわざと観客を集めたんです。失敗しましたけど」

「あ、そうなの?まあ、それはそれでよかったよ。なんか見ていた人は粘った僕の事を認めてくれたみたいだけど、実力以上の評判が立ってたのは事実だしね。実際に風間先輩との戦いだって10本やってギリギリ1勝できただけだからね」

 

 

 

「あー確かに噂が一人歩きしてたみたいだけど……」

「風間さんから一本取れりゃ十分なんじゃ?」

「あのメガネ謙虚だな」

 

 

 わざと大声で9敗1勝だったことを言うと、それでも僕への注目は変わらなかった。だけど9敗した事実を伝えられたからもう良いや。

 

「なかなか素直でよろしい」

「……そういう約束だったからな白チビ先輩」

「空閑遊真、遊真で良いよ」

「大勢の前でボコボコにしてわるかったな」

「いいよ別に、自分で集めた観客だし、次はボコボコにし返すから」

「ほう、お待ちしています」

 

「うんうんライバルっていいね」

 

 遊真と緑川の仲も険悪になって無いようだし、むしろ遊真に僕と千佳以外の友達が出来たから良い事だな。

 

「迅さん!遊真先輩に勝ったら玉狛支部に入れてよ!」

「遊真で良いよ」

「いやおまえ草壁隊はどうすんの?」

「兼業する!どっちもやる!」

「無茶言うなあ……さてほんじゃ行こうか遊真、メガネくん」

「すまんねよーすけ先輩、勝負はまた今度な」

「すまんな陽介」

「ちぇー」

 

 話が終わるとすぐに迅さんは歩き出し、遊真となぜか陽太郎も続いて行った。僕も置いて行かれない様に慌てて着いて行った。

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

「なあ今気づいたけど……あの白いのって戦闘訓練で0.4秒出したやつじゃないか?緑川の記録抜いたっていう……」

「がせじゃなかったのか……!」

「メガネの方は白チビに隊長って呼ばれてたぞ」

「あのメガネも緑川から3本取ってるし、風間さんからも1本とったみたいだしな」

「B級上がりたてには見えねぇな」

「城戸司令からも呼び出しされてるし、元S級とも知り合いっぽいし……」

「ヤバそうだなあのメガネ……」

 

 




書いててオサムを強くしてるとなんか楽しくなってきた。ちょっとやり過ぎたかなと思ったけど後悔はしてない。元々強化の予定はあったからね。

今回オリジナルキャラが一切登場していないというね。それでいてこの改変ぶり……悠菜に関しては次に書く予定の会議には参加してるので次の投稿をお待ちください。

オサムのトリオン量とかが改善された訳じゃないからいくつもトリガーは入れられないし、指導してもらってないのにワイヤー入れてんのもおかしいしでとりあえず持ってるトリガーだけで戦ったらこうなった。

強くなったけど上位だとまだ勝てないレベルに収まってるかな?挫折経験は大事、主人公の成長イベントは潰しちゃダメだからねぇ。

ではそろそろいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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