現在投稿作品をどうにか今年中に1話ずつ上げてる最中です。
どうにか書き上げることが出来ました。
SIDE:悠菜
会議をする予定の部屋で準備を手伝っているとようやく迅が遊真と修くんを連れてきた。呼んでくるよと言って出た割には遅かったねぇ。鬼怒田さんなんて苛立ちがにじみ出てるよ。
「遅い!何をモタモタやっとる!」
「いやーどうもどうも」
「またせたなぽんきち」
「なぜおまえが居る!?」
「陽太郎!陽介はどこいったの?」
「かれはよくやってくれました」
思いがけない存在に更に声を荒げている。それはさておき、陽太郎といったか……この子があの時の子供と言う訳だな。こちらで長く過ごしてるからか、らしさがないな。それにしても瑠花より先に会う事になったか、いや玉狛に出入りしてるんだからどうせすぐに会っていただろう。
「時間が惜しい。早く始めてもらおうか」
城戸さんは全員が揃った事で会議の進行を促した。まぁ、ボーダーに置いて立場がある人がたくさんいるからね。それほど時間を取ってはいられないか。概要は忍田さんが話すらしい。
「我々の調査で近々近界民の大きな攻撃があるという予想が出た。先日は爆撃型の近界民1体の攻撃で多数の犠牲者が出ている。我々としては万全の備えで被害を最小限に食い止めたい。平たく言えば遊真くんや悠菜くんには向こうで長く過ごした者としての意見を聞きたいという事だ」
「近界にもいくつもの国がある事はわかっとる。いくつかの国には遠征もしとる。だがまだデータが足らん!」
まぁそうだろうね。ボーダーが大きく動けるようになったのは母トリガーがあってこそだ。それに防衛に回す人手を減らす必要があるとなればしっかりと計画を立てて行う必要がある。母トリガーがボーダーに渡って機能し始めたのが5年前としても、準備期間を含めれば現ボーダーのこれまでの遠征の回数は20にも達していないのではないだろうか。
「知りたいのは攻めてくるのがどこの国でどんな攻撃をしてくるかということだ!お前が玉狛とはいえボーダーに入隊した以上は協力してもらう」
「なるほど。そういうことならおれの相棒に訊いたほうが早いな。よろしく」
[心得た。はじめまして私の名はレプリカ、ユーマのお目付け役だ」
「なんだこいつは……!?」
[私はユーマの父、ユーゴに造られた多目的型トリオン兵だ]
「トリオン兵だと……!?」
「空閑有吾……!」
[私の中にはユーゴとユーナ、ユーマが旅した近界の国々の記録がある。おそらくそちらの望む情報も提供できるだろう]
「!」
「おお……!」
[だがその前に……ボーダーには近界民に対して無差別に敵意を持つ者もいると聞く、私自身まだボーダー本部を信用していない。ボーダーの最高責任者殿は私の持つ情報と引き換えにユーマの身の安全を保障すると約束して頂こう]
回りくどい事をすると思いつつもレプリカとユーマからすれば必要な手順か。味方の少ない状況で相手について知っておくことは重要だ。
「……よかろう。ボーダーの隊務規定に従う限りは空閑遊真隊員の安全と権利を保障しよう」
その言葉にそれぞれの人物が思い思いの感情を表情に出す。まぁ、城戸さんならそう言うだろうし、そもそも私と迅が入隊させた以上、こんな約束せずとも隊員としての権利や安全なんて保障してくれただろうけどね。
[確かに承った。それでは近界民について教えよう。近界民の世界……すなわち近界に点在する「国」はこちらの世界のように国境で分けられているわけではない。近界のほとんどを占めるのは果てしない夜の暗黒であり、その中に近界民の国々が星のように浮かんでいる。それらの国々はそれぞれ決まった軌道で暗黒の海を巡っており、ユーマの父ユーゴはその在り方を「惑星国家」と呼んだ。太陽をまわる惑星の動きとは少々異なるが惑星国家の多くはこちらの世界をかすめて遠く近く周回している。そしてこちらの世界と近づいた時のみ、遠征船を放ち門を開いて進行することができる「攻めてくるのがどこの国か」その問いに対する答えは「今現在こちらの世界に接近している国のいずれか」だ]
「そこまではわかっとる!知りたいのは『それがどの国か』!その『戦力』!その『戦術』だ!」
[どの国がそうなのかを説明するにはここにある配置図では不十分だ。私の持つデータを追加しよう。リンドウ支部長]
「OKレプリカ先生、宇佐美よろしく」
「あいあいさー」
レプリカは事前に打ち合わせをしていたのか宇佐美は手元の機会をいじくると部屋の中央に置かれていた配置図のデータが一気に増大した
[これがユーゴが自らの目と耳で調べ上げた惑星国家の軌道配置図だ]
「おお~!でかい!」
「これは……!」
「さすがは有吾さんだな……」
「これが近界民の世界の地図」
誰もがその情報量に驚き、目を見開いている。そのデータの中には確かに私と義父さんが旅して得た記録であり、目を閉じれば今でもその時の光景が鮮明に浮かぶ、大事な宝だ。
[この配置図によれば現在
広大で豊かな海を持つ水の世界『海洋国家”リーベリー”』
特殊なトリオン兵に騎乗して戦う『騎兵国家”レオフォリオ”』
激しい気候と地形が敵を阻む『雪原の大国”キオン”』
そして、近界最大級の軍事国家『神の国”アフトクラトル”』 ]
「その4つのうちのどれか……あるいはいくつかが大規模侵攻に絡んでくるというわけか?」
[断言はできない。未知の国が突然攻めてくる可能性もわずかだがある。また惑星国家のように決まった軌道を持たず、星ごと自由に飛び回る『乱星国家』が近界には存在する]
「……『乱星国家』……!」
「細かい可能性を考えていたらキリがないな」
乱星国家と言うのは城戸さん達は知らなかったのかな?少し目を見開いて驚いているようだ。まぁだいぶ特殊だし、数も少ないから知ってるのは結構一部だけだったりするからね。でも、その可能性は捨てても良さそうだと伝えておこう。
「乱星国家の心配は必要ないですよ”レプリカ”頼んだよ」
[了解、私と直接つなぐ必要があるが可能か]
「それぐらいわけないよ~。それ!!」
私のレプリカが室内に置いてある配置図を映し出す機会に接続されると先ほどまで存在していなかった国が軌道を描かずに点在していた。
「これは……!?」
「この配置図の表示はまさか!?」
「全部とは言えないけど、巡った国をマーキングしてきたんですよ。距離が離れるとどうしても精度は落ちるんですけどね。逆に近づいて居れば確実に気付けるんです。初めに言った通り全部では無いですが、今現在はこの国に接近している乱星国家はいないと思って良いですよ」
「おい、このデータを配置図に正式に加える事は出来ないのか?」
「これは私の船にある施設がリアルタイムで受信した信号をレプリカが連動させて映し出しているんです。私の船がここにある間は私の基地と本部を繋げれば写せます。ですがボーダーで設備を元から作ろうと思ったら1年から2年はかかりますし、信号の送受信に少し特殊な方法を使用しているので送受信機を分ける事はまだ出来ないんですよ」
本来は観測が難しい乱星国家の情報が一時的ではあるが手に入った事に遊真を含め全員が驚いていた。鬼怒田さんには悪いがあれは完全に船と連動しているから私が居る間しか無理だ。
「心配が消えた所で話を戻しましょう。先日の爆撃型トリオン兵と偵察用小型トリオン兵、あれらを大規模侵攻の前触れとして対策を講じるという話だったはず」
「それだったら確率が高いのはアフトクラトルかキオンかな。イルガ―使う国ってあんまりないし、ていうかそういうの迅さんのサイドエフェクトで予知できないの?どこが来るかとか」
「おれはあったこともないやつの未来は見えないよ。『近々何かが攻めてくる』ってのはわかってもそいつらが何者かはわからない」
「ふむ……なるほど」
まぁ、私も議題を聞いて配置図を見た時点である程度を予測がついていた。そして、移動中に聴いた噂や持ち掛けられた依頼などを考慮すると私の中では国は1つに絞られている。
「アフトクラトルでしょうね。攻めてくるのは」
「……それは根拠があってか?」
「あそこの神がもうすぐ死ぬって噂を聞きました。あの国の大きな家があちこちに遠征を仕掛けてるみたいだし、なりふり構わない所や自分たちが動いてるとバレたくない所は外の人を雇おうとしてる動いているので少しだけ話が外にも漏れていたんでしょう。それと私にもアフトクラトルからの
「狙いは此処では無かったのにアフトクラトルだと言うのか?」
「ええ、あそこは大きな家、領主が4人います。私へ依頼を出していた領主とここを責める領主が別だと考えればおかしくはありません」
「……ではそのアフトクラトルが相手と仮定して対策を進めよう。次に知りたいのは相手の戦力と戦術、特に重要なのは敵に黒トリガーがいるかどうかだ」
突然の大きな情報に皆が静まり返り、私と城戸さんでの1対1の会話が続く、敵国はアフトクラトルと仮定するので良いらしい。そして黒トリガーか……遊真のレプリカに視線を送るとこちらに任せるとの合図が送られて来た。
「私の情報も少し古いですがアフトクラトルの黒トリガーは3年前で15本です」
「15本……!」
「はい、そのうち7本の性能は知って居ますので後程資料を提出します。ですがその殆どが関わりがあった依頼を出していた家の所持している黒トリガーですのであまり意味は無いでしょう。それと数があっても黒トリガーは稀少ですので通常は本国の守りに使われます。遠征に大量に投入されることは考えにくいです。遠征に使われる船はサイズが大きいほどトリオンの消費が大きいのはご存じでしょうが、そのため人員は出来る限り削減し、攻撃には卵にして持ち運び可能なトリオン兵を使うはずです」
黒トリガーの量には驚愕を表していたがそれほど心配は必要ないと考えている。戦争ならまだしも、遠征に5個以上使われるような事はまずない。それに数だけであれば私のコレクションの方が多いぐらいだ。まぁ、性能がピーキーな物も多いけどね。
「つまりいずれにしろ敵の主力はトリオン兵で人型近界民は少数だという事だな」
「推察でしかありませんが、可能性は高いです」
「では人型近界民の参戦も一応考慮に入れつつ、トリオン兵団への対策を中心に防衛対策を詰めていこう。三雲君、きみは爆撃型と偵察型の両方の件を体験している。何か気付いたことがあったらいつでも言ってくれ」
「は、はい!」
そう言う事で呼ばれたのか、三雲君も玉狛や遊真に関する事でなくてほっとしているようだ。まぁ、実際に現場で見た人の意見と言うのは参考になるだろう。最近は頭をよく使う様になってきているし、修行だと思って意見を出すと良いだろう。
「遊真くんと悠菜くんには我々の知らない情報の捕捉をお願いする」
「了解、了解」
「遊真、返事は1回にしなさい。了解しました」
余裕があるの良い事だけど礼儀を軽んじるのはまた別だ。まぁ、学校にも通い出したという事だし、時間がある時に色々と教えていくとしよう。
「さあ、近界民を迎え撃つぞ」
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SIDE:三雲
会議の雰囲気に潰されそうで内心ずっとひやひやした状態だった。何で呼ばれたのかも最後に忍田本部長が声を掛けてくれるまで分からなかったから余計に怖かった。遊真もざっと話してきたらしいが後は悠菜さんが細かい所は話してくれるらしく早めに帰れそうだ。
「三雲くん、遊真くん」
「忍田本部長……」
廊下を歩いていると突然後ろから声を掛けられた。そこには先ほどまで会議に参加していた忍田本部長の姿があった。どうやら遊真と話したい事があるらしく、ここではなんだからと場所を移る事になった。僕は席を外しましょうか?と尋ねたが別に同席していても構わないという事なので一緒に席に座った。
「今日は協力してくれてありがとう。特に近界の情報はとても助かった」
「いやいや、ボーダーに入ったからにはこのくらい。あの丸いおっちゃんもそう言ってたし」
「鬼怒田さんも喜んでいたよ『あの軌道配置図には遠征30回分の価値がある』とね」
鬼怒田開発室長の覚え方……関わる人が増えて特徴で覚えようとしているみたいだけど、もう少しやり方は無かったのか。忍田本部長は気にせずに会話を続けてるし、気にしなくても良いのか?
[近界のトリガーはそれぞれの国で独自の進化を続けている決して侮らずに対応に当たることだ]
「肝に銘じよう」
ボーダーと近界の国々とではトリガーの在り方がだいぶ違うという話は僕も聞いた。玉狛の先輩たちのトリガーはどちらかと言うと近界民に近い性質だからよくみておけと資料を見せられた。独自の技術で形作られた未知のトリガー、実際に相対した時の動きを今から考えておかないとな。
「……私はきみのお父さんに昔とてもお世話になった。有吾さんが亡くなったのは残念だが……きみに会えてうれしく思っている。困ったことがあればなんでも言ってくれ。城戸さんも何も言わないが気にしているはずだ。きみのお父さんとは一番古い付き合いだった」
「ほう……」
「私はもしきみが望むならきみを正隊員に昇格させたいと思っている。きみにはそれだけの実力がある。どうだ?遊真くん」
遊真が正隊員か……僕が正隊員になったのも特殊な形だった事を考えればおかしくは無いかもしれない。そもそも実力があるのに言い方は悪いがC級で遊ばせておくほど余裕も無いのかもしれない。どうするんだ遊真?
「正隊員か……う~ん……正隊員になったらすぐにオサムと隊を組めるんだよな」
「ああ、防衛任務にも出れるようになる。正直きみの力は大規模侵攻に対しても大きな戦力になる。理由が必要ならばきみや悠菜くんがもたらしてくれた情報の価値は先ほども言ったがあれらは功績に数えられても良い物だ」
僕のB吸昇格も遊真のみつけた門を開いていたラッドの発見を功績を貰ったからだった。全体にそのまま伝える訳にはいかないだろうが、旧ボーダー関係者や情報提供者とすれば問題はないのか。
「それらを踏まえれば君を正隊員に上げるだけでもまだ足りない位さ……そう言えば君たちの隊のメンバーはもう一人いたね。雨取千佳くんといったね。彼女のトリオン量の話は私も耳にしたよ。彼女もC級にしておくにはもったいない隊員だよ……そうだ!彼女も君と一緒にB級に上げようじゃないか!そうすれば本格的に隊として動けるし、こちらとしては大規模侵攻前に大きな戦力が手に入る」
「千佳もですか!?」
「ほうほう……」
流石に予想外過ぎて横から声を出してしまった。身を乗り出して忍田さんに尋ねるという失礼な形になってしまったが忍田さんは笑って落ち着く様に促してくれた。
「千佳いいけどおれは近界民だし納得しない人も出てくると思うんだよな」
「そこは心配しなくてもいいだろう。大規模侵攻の際に少なからず行政にもダメージがあり、一部のデータが失われて未だに修正されてない所があるのだが、悠菜くんが手続きを利用して君の正式な戸籍を作成している。自身と有吾さんの戸籍は残っていたみたいだからボーダーの口添えもあり、すんなりと作成できたよ」
「それって!?」
「遊真くんが近界民では無いという証明になる。事実を知ってるのは上層部とA級隊員の一部だ。そちらについても悠菜くんとの取引もあって箝口令が敷かれている」
遊真も忍田さんの話を聞いて少しだけ目が開いていた。悠菜さんから聞いていなかったようだけど、レプリカも知らない様だ。悠菜さんが裏で色々とやる事があると言ってたのはこれなのかな。それと悠菜さんとの取引?なにか上層部と悠菜さんとの間であったんだろうか?それにしてもこの話が本当ならデメリットは無いに等しいぞ。
「チカがどうするかは勝手に決めれないけどおれは受けようかな」
「ならば手続きは私と林藤で進めていこう。雨取隊員の返事を受け取ってからになるがじきに連絡が届くはずだ」
そう言うと忍田本部長は手続きの準備をさっそく進めようと分かれの挨拶を告げて去って行った。遊真の決定に口を挿むつもりはないが良かったのかと念のためきいておく。
「ん-、オサムの昇格も功績を考慮してって事だったからな。きちんと理由があればボーダーのルールに触れないだろう。それに近界民である事が問題にならないならオサム達に迷惑かける事もなさそうだからな」
「そうか……お前が決めたならそれでいい。だけど僕の迷惑とかは考えるな。同じ隊だし、何があっても誘った僕の責任だ」
「おっ、リーダーも様になってるな」
「からかうなよ」
そのまま千佳に知らせるために連絡を入れて合流した。千佳にも忍田本部長の話を伝えると非常に申し訳なさそうと言うか重圧に潰されそうになっていた。提案のメリットやデメリットを話し、考える様に伝えると少ししてから頷いた。
「遠征に少しでも早く行けるなら」
その理由が一番大きかったようでその後で玉狛支部に戻ると先輩たちにも話し、念のため許可をもらってから林藤支部長経由で連絡をお願いした。そして数日後には遊真と千佳のB級昇格が言い渡された。
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SIDE:悠菜
大規模侵攻に向けて会議があった次の日、以前から予定していた隊長たちへの顔通しを兼ねて隊長同士の会議に参加することになった。事前に情報では知っているが対面してどうなるかは分からないな。先に迅が参加していて、私の議題が出た所で入ればいいらしいが、その合図がようやく送られて来た。部屋の中に耳を集中させると何やら色々な意見が聞こえる。
「はぁ、新しいS級ねぇ」
「おい、迅!それってアイツだろ。一戦やる約束した件について訊いてもいいか?」
「ちょっ、太刀川さん。シー」
「これが資料か……ふむ」
「黒トリガーの複数所持ってヤバすぎんだろ」
「次の議題の黒トリガーに関しての通達ってのと関係してそうね」
「この名前どこかで見た気がするな」
「玉狛所属ってことは木崎も知ってんだな」
「ああ、昔からの知り合いだ」
「あっ、旧ボーダー所属ってあるね」
騒々しいくらいに思えるが20人以上の人が集まればそれもしょうがないだろう。この空気の中に入って良いのかと少し躊躇してしまいそうになるが、立ち止まっていてもしょうがないので扉を開けて中にはいる。すると先ほどまでの声が一度止んで静まり返った。
「それじゃとりあえずおれから紹介させてもらうね。こちらが議題にあった新しいS級隊員で旧ボーダーにも所属していた。おれや小南たちの先輩でもある空閑悠菜さんだ」
「空閑悠菜と言います。ここに居る方々にはお話ししても良いと聞いてますのでお話しさせてもらうと8年間向こうの世界を旅してまわっていました。旧ボーダーとか関係なく、今のボーダーでは新参者ですので気兼ねなく話しかけてください。よろしくお願いします」
私の自己紹介はおおむね問題なかったようでパチパチと拍手が鳴り、興味なさげな人たちを除いて歓迎される形で会議に加わることが出来た。そして進行は迅に任せているので席に座って視線を向けて促す。
「ざっと資料に目を通して貰ってると思うけど、まぁボーダーへの復帰方法が少し特殊だし、使ってる技術とかも
そこには私と遊真の関係、旧ボーダーの設立者として有吾お義父さんの名前も書かれていた。カバーストーリーとしてはお義父さんが死んだことで玄界、要するにこちらの世界に遊真は帰ろうとしていたが大規模侵攻の際に遊真の戸籍が失われていて、長い間近界で過ごしており、こちらの知識が不足していた事もあって近界民と間違われ本部から攻撃され、応戦してしまった。
事情を先に理解した玉狛支部が匿ったが遊真が黒トリガーを持っていた事を重く見た本部と玉狛でのいざこざがあった。帰って来た遠征チームが黒トリガーの確保の為に動いていた際に
次の大規模侵攻の話が浮上して警戒を強めていた事により起きた事故として処理され、動いていた本部と玉狛の隊員にお咎めは無し。ボーダーと遊真、悠菜との間での話し合いは済んでいて、最近の出来事では情報やトリガーの提出などの功績により遊真とその隊仲間のB級昇格が決定している。
悠菜に関して言えばその知識はもちろん、持ってるトリガーや実力なども考慮した結果S級隊員として扱う事に成った。といった感じだが少しおかしい部分も出てきてしまうだろうがまあある程度のつじつま合わせには使えるだろう。それにボーダーの上層部が決定した情報にあまり突っ込む様な事はされないだろう。
「にしても色白で綺麗な人やな」
「お前はそればっかりか生駒」
「そりゃ綺麗な女性が多い方がうれしいし、モチベーションもあがるやろ」
「確かに綺麗ね。それにKなのね。ふふふ」
「S級は誘えないぞ、加古」
「義弟くんがいるらしいじゃない。そっちに期待ね」
「迅さんや木崎さんの先輩って事はおいくつ」
「おいおい、女性に年の話ふるなよ」
「別に構いませんよ。レイジの一つ上で22ですよ」
「旧ボーダーに入ったのはいつか訊いても?」
「7歳の時でしたのでかれこれ15年前ですね」
「7歳!?」
「……やばくね?」
質問に答えるだけでだいぶ盛り上がってきた。興味無さそうにしていた人も7歳の時に入ったという情報を聞くと少し驚いている様に見えた。
「質問はそれ位にしてとりあえず話を戻すよ。それで悠菜さんや遊真は注目をあびてる部分が少なからずあるから、玉狛所属って事で変に勘ぐる人も出てくるかもしれないしね。そこいら辺の話を隊の中で広めといてってのが二つ目ね。それで次なんだけど遊真は単純に新人として扱って良いけど、悠菜さんはS級なわけだけど、色々と仕事があるのでそのざっくりとした説明ね」
「S級の仕事ねぇ。お前は働かねえのか迅?」
「いや、おれこう見えてけっこう働いてるからね」
「どうせ暗躍だろ」
「もう次の話に進ませてよ。それで初めのはあまり周りには関係無いけど向こうの近界民の世界の情報や技術の提出があったって言ったけどそこいら辺をボーダーで使っていくうえでの話し合い、開発の手伝いとかね。技術者と、研究者としても悠菜さんは凄腕でね。みんなが使ってる射手や銃手用の弾のトリガーの基礎を組んだのは悠菜さんだよ」
「うお!?普通にすげーじゃねーか!!」
「銃手や射手は頭が上がらねーな」
「最初は無かったの?」
「昔にも一応遠距離用のトリガーは在りましたが今ほど高性能では無かったんです。威力や射程を伸ばしたり、使いやすさを向上させて、トリオン消費とかも調整してどうにか誰でも使える形にしたんですよ。懐かしいですね」
その作り上げた基礎を基に今のアステロイドやそれを進化させた弾がある。そう考えると私の作った者が残り続ける様で嬉しい気持ちになる。そしてその事実を知った一部の人たちから尊敬の視線を感じる。
「次がみんなにも関係してくるんだけどオペレーターへの指導とランク戦の実況に出て貰う事になってるんだよね」
「オペレーター?」
「貴重な意見になるかもね」
「指導……なるほど道理で聞き覚えがあったわけだ。マニュアルに載ってた名前か」
「実況ね」
「長年戦ってた人に評価されるのか」
「指導って事は各隊のオペレーターにか?それとも隊に入ってないオペレーターもか?」
「全体と隊に入ってる人向けと両方あるみたいだよ。東さんは何か気付いた?」
「たしか以前ちらっと見たオペレーターのマニュアルに名前が載ってた気がしたんだが、あってるか?」
「正解です。悠菜さんは一番最初、旧ボーダー時代に全体の指揮とは別にチームごとに補佐する役目が必要と訴えた人で、東さんに習って言うなら『最初のオペレーター』とでも言うような人だよ。昔は設備とかもろくに無かった中で補助してたからオペレーターの仕事も今とは少し違うけど参考になる所はたくさんあるよ」
「オペレーターも出来るのか」
「属性盛り盛りやな」
「そう言う話では無いでしょう」
マニュアルに私の名前が載っているという驚きの事実、内容は目を通したけど流石に作った人とか関係者の名前が書かれている所までは見ていなかった。後で確認しておこう。
「それじゃ大体は話し終えたし、個人的な質問は会議の後にして次の議題に行くよ。さっき色々な物がボーダーに渡されたと言ったけどその中に黒トリガーが2つある。近々その適正を調べる事になってるから隊のみんなに連絡よろしく」
「私がボーダーに渡したのはざっくりいうと罠を張る黒トリガーと狙撃用の黒トリガーです。罠を張るトリガーはその性質からか少し性格が悪い、敵の嫌がる事を出来る人の方が適性が高いです。狙撃用の方は少し特殊で多角的に物事見れる人とかが適性が高いです」
「性格悪い奴か……うちの敏志はどうや」
「いや仲間の扱い、それに黒トリガーになったら隊から抜けるぞ」
「あかんやん」
「狙撃用の黒トリガーか……」
「東さんはやっぱり気になる?」
「性格悪いねぇ……二宮くん試してみれば?」
「どうせ全員やる事だ。くだらない」
「それと最後はサイドエフェクト持ちに関してだ。この場だとおれと影浦くらいか」
「私は研究ではトリオンの医療研究などが主な分野になっているの。サイドエフェクトと言うのは医学的に見ればトリオンによって体に異常が起きている様な状態です。迅にもつい最近に検査を受けて貰いました。サイドエフェクト持ちは一度検査に参加してもらうよう通達が届きます。念のため周知をお願いします」
「検査ってことは結構やべえのか?」
「異常か、はっきり言うね」
「ケッ、どれくらいかかんだ?ああ!?」
「検査項目はサイドエフェクトによって変わりますので時間も変化します。もしかしたら長時間拘束することになるかもしれませんが必ず受けてください。強力な作用があるというのはそれだけ負荷も多いという事です。実際に迅は将来的に失明の恐れ、いえ濁してもしょうがないですね。失明する未来が見えています」
「おいおい!?」
「マジか!?」
「迅の未来視で失明……聴覚の場合は聾か?」
「鋼……」
「迅それマジなのか?」
「そこまで話しちゃう?……本当だよ。だけど検査で薬とか負担を抑える仕組みをトリオン体に入れて貰ったからだいぶ先の事だよ。それにトリオン体なら問題なく見えるからそこまで問題はないよ」
私の未来が見えなくとも周囲の人の様子を見ればわかるでしょう。止めなかったってことはそこまで問題は無いという事でしょう。脅すようで申し訳ないとは思いますが軽くみられることだけは防ぎたいですからね。
その後はざわざわとした空気を鎮静するのに時間が掛かりはしましたが問題なく会議は進み、無事終えることが出来た。早めに検査してくれとか、早く戦おうぜとか、向こうの事を教えてくださいなど個人的に話しかけられる事も多く、無事顔合わせは終えることが出来た。
悠菜の技術は高めにしているが、そろそろ制限要素をつけた方が良いかな。
次から大規模侵攻に入れそう。そうなればオリジナル黒トリガーとか書いてて楽しい要素も出てくる。それと遊真と千佳の正式参戦でどうなるやら。次回をお楽しみに。
次の投稿がいつになるか分からないのが申し訳ない所、今回の投稿も3か月以上空いてますからね。
それではいつものご挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。