ワールドトリガー もう一人の家族   作:ひよっこ召喚士

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感想をもらって嬉しかったからストック溶かして投稿しちゃった。テヘッ♪



大規模侵攻④

 戦闘が開始してこれまで結構なトリオン兵を倒してきた。それ故にトリオンはそれなりの量を消費してしまっている。だがトリオン体に損傷が無いだけマシと言えるだろう。しかし、状況が黒トリガー3体と能力の分からないトリガー使い相手でなければの話だ。

 

「ほっほっほ、どうやらこの杖を知っているようですね?」

「どこで知ったのか気になるが、それより先にやる事があるのでな。ウィザ、ヒュース邪魔をさせるな!『卵の冠(アレクト―ル)』」

「「了解しました」」

 

 隊長らしき男が命じると彼らもトリガーを構えてこちらへ動き出した。それとほぼ同時に隊長らしき男はトリオンで造られた卵の様な光から多くの生き物の形をした弾を生み出した。強力な黒トリガー持つウィザと呼ばれた老人は斬りかかり、部下らしき青年も黒い欠片を操って攻撃を仕掛けてきている。

 

「ご老人の範囲に入ってはいけない。遠くから撃ち続けるんだ!」

「しかし、あの欠片に跳ね返されますよ」

「くっ、シールドではよほど強化しないと防げないか……」

 

 部下二人を嵐山隊が相手をして、残る二人はどちらに向かうかは簡単な事である。敵は静かに玉狛第二のメンバーに相対し攻撃を仕掛けていた。

 

【あれはどんな性質か分からない。出方を伺う】

「防げるか?アステロイド!」

 

 距離をとりつついくつかの弾を撃ち堕とすとそれらは新型に捕らわれた隊員が変えられたキューブと瓜二つの形になった。それを見た瞬間に弾に当たる事の危険度が跳ね上がった。下手をすれば一発当たるだけで戦えなくなってしまうだろう。

 

「新型と同じ能力!?」

「いや、たぶん新型が同じ能力を持ってんだろ。ほらあの鋭い弾飛ばしてた奴、あっちが使ってるトリガーとそっくりだ」

 

 遊真も『射』を放ったり『盾』を生み出して弾を確実に防いでいる。修も重いレイガストでは避けにくいと判断し弾を放ってはシールドを張ってを交互に行ってどうにか凌いでいる。いちいち切り替えないといけない手間に精神的に疲労が溜まるが、千佳の広い範囲に展開したフルガードや遊真のフォローで対処しながら時間を稼いでいた。

 

「『窓の影(スピラスキア)』」

「なんだ!?ゲートに似てる……?」

[まさか空間操作系か!?周囲を警戒するんだ!!]

「あ……」

「修!!跳べっ!!」

 

 開いたゲートに気付いた千佳は一番に弾に触れてしまいその体をキューブへと変形させていった。ベイルアウトも間に合わずキューブになる。そのまま遊真と修にも弾がぶつかろうとしたが咄嗟に『弾』を展開して撥ねる事で攻撃を避ける事が出来た。だが、その間に千佳のキューブは敵の手の中に回収されてしまった。

 

「あ、あぁ……千佳……千佳を返せ!!!アステロイド!!スラスター起動!!」

「おいっ修!!」

 

 修は千佳を取り戻すために千佳のキューブを手に持ったワープ使いの女とそれを遮ろうとする隊長に単身で突っ込んでいった。火事場の馬鹿力か、撃ち放ったアステロイドは修に当たりそうな弾を全て弾き、レイガストの攻撃範囲にまで近づく事が出来ていた。しかし、振るった刃は顔に掠り傷をつけるだけで、ブレードもキューブになって防がれてしまった。

 

「接近を許してしまい申し訳ありません」

「いや、不意を突かれたのは私も同じだ。突き抜けた才は無いと思っていたが油断は出来んな」

 

 敵を目前にして余裕を見せる男のマントの下には先ほどまで撃ち放っていた弾で出来た虫などがびっしりと身体を守るように展開されていた。もう一度と思い、ブレードを再生させようと思ったが流石にトリオンが足りない。怒りのままに睨んでいるが硬直した修に向けて先ほど放ったキューブ化の弾が戻ってくる。

 

「三雲君!?」

「あの馬鹿何を止まってるの!!シールドを張って下がりなさい!!」

 

 叫びはするが間に合う訳がない。むしろ、そちらに目が行ってしまい集中が途切れてしまった。射程範囲に入ってしまったのか黒い欠片が何発か撃ち込まれて身動きが取れなくなる嵐山と木虎、カバーに時枝が入り、反射されないようにとメテオラを地面に放つ。

 

 その瞬間に佐鳥が欠片の間をぬって狙撃を打ち込むが気付いた老人が杖で弾いた。だが隙を上手く利用して一か八かで嵐山はテレポートを発動させるとトリガーの効果範囲から離れられたのか動けるようになりそのまま素早く距離を取り、それを見て木虎は撃ち込まれた腕を斬り落としてその場を逃れた。

 

 そして少し落ち着いたところで修がどうなったのかちらりと確認の目線を向けるとそこに修の姿はなく、やられたのかと思ったがキューブもなく、ベイルアウトの光も知らせも届いていない事に気付く。

 

「悠姉!」

 

 遊真の声を聴き視線の先を見ると修を回収して敵を見据えている悠菜の姿があった。今使っているのは超人化のトリガーだ。一瞬で拾って飛び退くそのスピードを追えたのはおそらく老人だけだろう。

 

「修くん?私が戦闘訓練の時に言ってたこと覚えてる?」

「……勝てない戦いをしてはいけない、相手が何をしてくるか、自分が何を出来るかを考え、冷静に場を見て勝てる時を待て、自分が勝てないときは次に繋げる事を考えろです」

「冷静さにかけて突っ込むとか戦場では考えられないよ。落ち着かないと取り返せるものも取り返せない。トリオンもカツカツみたいだし、後は任せなさい」

「でも!!」

 

 縋るような思いで食い下がる修を悠菜は掴むと素早く後ろに投げ捨て、自分もその場から飛びのく。そこには無数の生物弾と切り刻まれた跡が刻まれた。そして、それをやったであろう敵と相対しながら修の方を見ずに伝える。

 

「戦場で甘えられても邪魔だよ。君の迂闊な行動で嵐山隊にも被害が出た。目ェ覚まして自分の出来る事を考えなさい!」

「ほっほっ、重みある言葉…流石は百戦錬磨の傭兵『白鬼』……仲間を庇ってなお軽々しく避けられると自信を無くしてしまそうですな」

「アイツの家に雇われてると思っていたが、こんな所で出会うか……もしやここが故郷か?」

 

 『白鬼』、比較的小柄でトリオンの浸食影響で白い体で有名だった悠菜に着いた傭兵としての二つ名のようなものだ。すぐさまに攻撃を仕掛けて潰しにかかる程度には警戒してくれているようだ。

 

「まぁ、隠す事ではありませんか。その通りあなた方が呼ぶ『玄界』が私の故郷です。私の義弟に弟子、そのチームメイトがお世話になったようで、返してもらいますよ」

「貴女の関係者であれば厄介な事にも頷けますな」

「だが手負いの者達を庇いながら俺たち全員を相手に勝てるとでも?お前が得意とする破壊を故郷で行うつもりか?」

 

 流石の悠菜であっても周囲に気を配り、仲間を庇いながら全員を相手どるのは厳しい。周囲の被害に目を瞑って、自爆覚悟であれば倒す事も出来るだろうがそれはできない。

 

「そうですねぇ。たしかに、私一人では無理でしょうね」

「なに?」

 

「バイパー+メテオラ、変化炸裂弾(トマホーク)!!」

「旋空弧月!!」

 

「くっ!『金の成鳥』を!?」

 

 既に近くまで来ていた太刀川隊の射手である出水は悠菜が時間を稼いでいる間に合成を行い、敵の身体を削り、足止めも兼ねたトマホークによる爆撃攻撃を行った。そして驚きによって隙が出来た所をグラスホッパーで跳びながら旋空弧月でキューブを持つワープ使いに斬りかかった太刀川。

 

「隊長!ウィザ翁!」

「エスクード、悪いけど足止めさせてもらうよ」

 

 戦況の変化に慌てつつも隊長たちの援護に向かおうとしたヒュースだが、それを拒むように壁に囲まれていく。そして、バリケードを発生させる防御用トリガー『エスクード』を起動させた迅がその行く手を阻んだ。

 

「よっと、黒トリガーだらけでテンション上がるなぁ」

「あれだけやって致命傷入ってないってマジか」

 

「太刀川さん、それに出水も!!」

「僕たちだけでは厳しかったので助かりました」

「ありがとうございます」

 

「ん、そこのメガネ、三雲って言ったか?これどうする?」

「えっ!?」

 

 そう言って太刀川が差し出すのは千佳のキューブだった。意図的に千佳を狙った事を聞いた太刀川は仕留めるのではなく千佳の回収を優先して攻撃をしかけ、確実に腕を斬り取る動きを見せた。

 

「向こうはコイツ狙いなんだろ?トリオン切れ間近のお前が持ってるより俺が持ってた方が取り返されるリスクをいれてもまだ安全だ。本部に入っちまえば安全だろうが、そこまでお前たちだけで守れるか?そっちの黒トリガー持ちは流石に連れていけねぇぞ」

 

 敵の隊長は爆撃を受けて多く展開していた弾は殆どがキューブ化して散らばり、更には五体満足ではあるものの体中から薄くトリオンが漏れ出ている。ワープ使いは片腕を完全に失い、こちらも少なくないトリオンを消失している。

 

 要注意人物である『星の杖』の使い手は隊長を庇ったのかトリオンの漏れが多いがこちらも五体満足、攻撃の範囲におらず、奇襲も受けなかったヒュース以外は軽く手負いの状態である。今向かってきている玉狛第一の戦力も含めれば優勢といっても良いだろう。

 

 とは言っても黒トリガー三体を相手にして太刀川隊だけではこの場を持たせるのは難しい。そもそも、戦力として優秀だから使用許可が下りたのにその遊真を戦場から離す事は本部が許さないだろう。それらを踏まえて悩みはしたが修は顔を上げると太刀川の顔を見て答えた。

 

「守れるかはやってみないと分かりませんが千佳は僕たちの仲間です。僕が今、出来る方法でやれるだけの事をやります」

「そうか、なら持ってけ。それと嵐山隊も三雲についてけよ。お前らもけっこう危ないだろ?」

 

「賢以外は結構被弾してるからお言葉に甘えて一緒に下がらせてもらいます」

【俺はこのまま援護ですかね。撤退に合わせてだとあまり役立てそうにないんで】

 

 黒トリガーとの戦いが繰り広げられている場所の近くを通って隠れて狙撃を行いながら撤退について行くというのはまぁ不可能とまではいかないが厳しいものである。

 

「それじゃぁ、行こうか三雲君!」

「はい。遊真!気をつけろよ!」

「おう!千佳は頼んだ!」

 

 

「逃がすか!」

 

「追わせるわけないだろ!」

 

 賢を除く嵐山隊と三雲はそのまま千佳のキューブを持って戦場を離れた。追撃しようとも思ったが、目の前でそれを許すような者ではなく、隊長は先に邪魔する者を倒すように切り替えた。

 

「やれやれ、困ったものですな」

 

「急いで排除して追うぞ。あれを逃しては痛い」

 

「了解しました」

 

 

「さて、あの爺さんは貰っても良いか?」

 

「では私はハイレイン、あの隊長を」

 

「俺がワープ使いね。了解」

 

 余裕とは決して言えないが黒トリガーに臆することなく向かい合う。この大規模侵攻におけるもっとも重要な戦いが始まろうとしていた。

 

「ん-、向こうの戦闘が始まったね。それにメガネくんも撤退したか、今の所順調に思えるんだけどなぁ。やっぱり、ここで足止めしてないとダメみたいだね」

 

「チッ、面倒な」

 

「それはこっちのセリフだよ。多彩で便利なトリガー、嵐山達から貰った情報を見るに『磁力』と『反射』かな。使い手のウデもいい。大事な戦力だろうになんで……なんでお前はここで見捨てられるんだ?」

 

「……?何を……き……貴様!!ふざけたことを……」

 

「はい、予測確定」

 

 迅の言葉に思う所でもあるのか、否定するように真っすぐに仕掛けて来たヒュース、そこに行く手を阻む壁であったエスクードから更にエスクードを発動して相手の動きを封じた。

 

「ふざけてなんかないよ。おれにはおまえの未来が見えるんだ」

 

「何……!?」

 


 

 B級合同部隊の戦況はだいぶ優勢に傾いていた。米屋と緑川という白兵戦で敵を押さえ込む事が出来る相手が出来たことで東の黒トリガーや他の隊員の援護も届く様になり、少しずつ相手にダメージを与えていた。そこに狙撃を警戒して屋内に引き込んだ緑川を倒そうとしたところで緑川が相手の足をすり抜け様に切り裂いて奪った。

 

 それによって移動を封じられた敵は空を飛んで移動を開始した。狙撃を警戒しているのか少し低高度ではあるがそのスピードはかなりのものであった。建物の射線を意識して隊員を探して狩る方式に切り替えた。そのせいで茶野隊の二人と風間隊の助っ人に送る予定であった堤がやられてしまった。

 

「またベイルアウト……?」

「茶野隊と堤さんです」

 

「警戒して隠れて正解でしたね」

「狙撃手以外殆どやられていってますね」

「とは言ってもこのままでもいられませんね」

 

【建物の上に陣取って援護を頼む、相手はとにかく射線が通る事を嫌っている。相手に気付かれたと思ったらすぐに避けろ。今の敵の位置からであれば到達までにわずかだが時間がある。避けれない攻撃ではない。このまま繰り返して更に相手の集中力を切らせるぞ】

 

 これ以上削られるのを嫌って下に居たが今度は上から撃たれるようになり、反撃をしても手ごたえが無く、またじわじわと削られる敵からしてみれば嫌な展開となっていった。

 

「ならば足元を削ってくれよう!!」

 

 射線は通らない様に気にしながら敵がいるであろう建物をお得意の射撃で崩すと落ちてくる隊員、来馬と目を合わせたランバネイン。

 

「……」

「何処を見ている」

 

 取ったと思った瞬間に眼の前の男がこちらだけでなく上空を確認しているのに気付く、そして嫌な予感を感じ取ると同時に上空からの狙撃を喰らい、飛行システムが完全にダウンして自身も落下していく、目の前の隊員だけでも仕留めようとし、体勢が崩れた状態で狙いは定まらなかったが数発の弾が真っすぐに向かって行ったが、それはシールドと盾にもなるブレードによって防がれた。

 

「来馬先輩、遅れました」

「鋼!!」

 

「スラスター起動!」

 

「なにっ!?」

 

 そのまま落下をなんとも思わずスラスターで空中の敵を斬りつけながら地面に叩き落した。そして、落下した場所には米屋と緑川が待ち構えていた。

 

「おらぁ!!」

「よっと!!」

 

 起き上がる前の一瞬の隙を逃がすことなく、相手の身体に攻撃を通すとそのまま敵のトリオン体は崩れて、生身の身体が現れた。

 

「……見事、よもやこの俺が5人足らずしか仕留められんとは……ウィザ翁の言うとおり玄界の進歩も目覚ましい」

 

「こっちは10人以上+黒トリガーがいたからね」

「むしろ勝てないとヤバいからな。悪りーな1対1で戦れなくて」

 

「謝る必要はあるまい。これは戦争だからな」

 

「ランバネイン、退却させるから急ぎなさい」

 

「ああ、分かってる。楽しかったぞ玄界の戦士たち。縁があったらまた戦おう」

 

 いきなり戦っていた男の後ろに黒いゲートが展開され、男はなにやら喋りながらそのゲートをくぐって撤退していった。脅威であった人型を仕留め一息付きたいところであるがまだまだトリオン兵は存在している。隊員たちは次の準備を始めた。

 

「来馬、咄嗟だったが視界の共有助かった」

「い、いえ、言われて上を見上げただけですから。それより鋼、お前いつ来たんだ?」

「着いたのはついさっきです。思ってたより速く三輪が来てくれたので変わって貰って追いかけてきたんです」

 

 A級や元A級たちが広範囲のトリオン兵を倒し、黒トリガーによる援護もあって全体的に回る範囲が小さくなっていたようで三輪が来るまでのダメージもだいぶ抑えられたそうだ。

 

「お前らはどうするつもりだ?」

「あー、狙われてる玉狛の助っ人に行こうと思ってます」

「ワープで回り込まれる可能性もあるし、嵐山さんたちだいぶ削られてるって話だからね」

「そうか。二人のおかげで動きやすかった。今度なんかメシ奢らせろ」

「ラッキー」

「じゃぁ、焼き肉で」

 

 ようやく敵の一人を仕留める事が出来、射手や銃手のトリガーを持つ者は風間隊の援護に向かい、他のものは先ほどまでと同じようにトリオン兵の排除に動き出した。

 

 


 

「うぅん、好転はしたけど微妙だなぁ。今回は面倒だ」

 

「何をごちゃごちゃ喋ってる真面目に戦え!!」

 

 いつまでも消えない不穏な結末を見据え、その先の未来までを考え、目の前の相手を抑え続ける。それしか出来ない自分の力の無さにため息を吐きながら迅は戦い続ける。

 

 

 


 

 

「厄介な黒トリガーにはこちらもそれなりの物で相手するしかないですね」

 

「この世界でならこれも使いやすいですからね。『融解(メルト)』起動」

 

 




後どれくらいで大規模侵攻終わらせられかなぁ?そしてその後をどうするか。書き始めた頃は原作がまだまだだったから大規模侵攻で終わりにする予定だったんだけど……ランク戦終わったし、選抜試験始まったしなぁ。でもおまけ程度のネタしかないから多分大規模侵攻で一旦終わりというか区切りになると思います。

とりあえずそれくらいかな。
それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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