ワールドトリガー もう一人の家族   作:ひよっこ召喚士

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すみません。投稿が予定より遅れました。
実家住まいなのですが引っ越しをしてまして、パソコンが使えずに小説の作成が出来ないでいました。

まあ、そんなことはさておきとりあえず本編どうぞ。


始まりの記憶④

 テクテクと歩いて目の前の男2人について行く、外で話すような内容では無いのでトリオンに関する話は一切しないが、世間話などをずっと話続けている。

 

 有吾と呼ばれた男はまず自分に着いて話してからこちらの事を訊ねてきているので一応会話という形が成り立っているが、さりげない尋問の様にも感じられる。別に知られて困るような内容も無いので答える事にした。

 

「俺は空閑(くが)有吾(ゆうご)だ。嬢ちゃんは何て言うんだ」

 

 よくよく考えなくても()()()から名前を呼ばれた記憶は無く、私自身も人と関わらないで来たので区別するための記号は必要なかったので用意していない。

 

「名前は無い」

 

 そう答えると、冗談や嘘、誤魔化しの類だと思われると考えていたのだが、有吾と言う男は私の言葉を聞いた瞬間に身体を強張らせて、そうなのかと呟いた。

 

「何処に住んでんの?」

「決まった家は無い」

 

 どうせこの後向かった先で話をするうちに色々聞かれるだろう。先に答えようと、後で答えようと変わる事は無い。偽る必要性も感じられないので同じように応えると今度は有吾の表情も固まった。同行している正宗と呼ばれた男も足が完全に止まっていた。

 

 その後、私との会話は取りやめて向こうの話を一方的に話すだけになった。最初から分かっていた事だろうが、想定より訳アリだと判断したのか、外で話す内容では無いと考えたのだろう。相槌を打つことなく、ただ着いて行く事だけに私は徹した。

 

 その後も特に変わったことは無く、目的地を目指していった。歩いて行くうちにどうも見慣れた風景が多く、もうすぐ着くぞと声を掛けられた時には1つの予想が浮かんでいたのだが、その予想は見事に当たった。

 

「ここだ。ここ、元々川を調査する施設だったのを買い取ったんだ」

「…………」

 

 とりあえず自分の拠点の一つが使えなくなることが確定した。手続きや片づけを進めていると聞いたので私がため込んだ物も一部回収されているかもしれない。だが、元々不法侵入して勝手に使用していたのだから文句が言えるわけもないので黙っておくことにした。

 

「空閑さん、お早いお着きで、最上さんは荷物を取ってくると車で出ちゃいましたよ。頼まれた物はほらっ、忍田が」

「このビニールに入ってます。言われた通りに飲み物と菓子類は用意しましたが、順序だてて説明していただけるとありがたいのですが、それとそちらの子は?」

「それも含めて話すから言ったん中に入るぞ」

 

 有吾の言葉に一応頷いて、その場にいた面々は建物の中に入って行き、私もその後に続いた。勝手知ったると言っていいぐらいに入り浸っている場所なのだが、好き勝手に動くようなことはしないで置く。たどり着いた部屋には椅子や机が置かれた部屋があり、殺風景だが話し合いには十分な場所だ。

 

「それでは報告を始めましょう」

「そうだな、あっそうだ嬢ちゃんこれ好きに飲んで食っててくれ」

 

 そう言ってジュースとお菓子が私の座っている堰の目の前に置かれた。基本的には食事はせず、食べても草木や虫、比較的衛生的な残飯などだったのでまともな食料を口にするのはいつぶりだろうか。珍しい機会なので少し集中して味わう事にした。

 

 私がお菓子に夢中になっている間も向こう報告は進んでおり、この建物についてや運び込んだ物について、周辺の調査の結果に加えて先ほどの騒動と私に着いての報告も行われていた。一部専門用語と思われる物もあったが、話の流れは理解できた。

 

 向こうの大人組の情報交換が済んだらしく、議題が私へと移り、道中の会話と同じような雰囲気で色々と質問していきたいらしい。情報を整理するためにもう一度最初から質問していくので答えられる物には答えてくれとのことだ。

 

「名前は?」

「無い」

「家は?」

「無い」

 

 同じように答えると、こちらで会った二人は分かりやすく顔を顰めた。すぐに顔を戻したが態度が年上組と比べて隠せていない。

 

 

「道中でしっかりと訊いたのは今の2つだけだな」

「……」

 

 何も言わずに頷くだけで応える事にしたのだが特に不興を買う事は無いようでそのまま質問を続けていく様だ。何を聞かれるのか気にはなるが心配な事は無いので、心中は意外と気楽である。

 

「何処か住んでる場所はないのか?」

「使われてない建物に忍び込んでる。ここもその一つ」

「それは、まあ。なんとも言えない偶然だなぁ、おい」

 

 私の答えに有吾と呼ばれた音は何とも言えない顔で驚きを表した。比較的若い2人組の方は思い当たる事があるのか口を挟んで来た。

 

「中に置かれていた古い家具や道具はもしや君のかい?」

「家具はそのままだが、道具は捨ててないが纏めちまったな」

「別に良い」

 

 地道に集めて行ったとは言えそこまで大切なものではない。他の場所にも道具や家具はあるので最悪処分されていてもどうにかなっただろう。

 

「気を取り直して、何であの場にいたんだ?」

「途中からずっと着けてた」

 

 そう答えると全員が警戒と言う訳では無いが、私の行動の意味を測るために注目したようだ。興味本位で首を突っ込んだだけなので、警戒されてもしょうがないのだがそれをすんなりと伝えるだけの技量は私には無い。

 

「それはどうしてだ?」

「私が感知してるエネルギー、そっちがトリオンって呼んでるのが多かったから興味を持った」

 

「トリオンを感知ねぇ。サイドエフェクトか?」

「おそらくそうだろうな」

 

 サイドエフェクトと言う単語を始めて聞いたが、たぶん英語だろう。サイドは隣や副などエフェクトは効果だったか?文脈的に考えて副次的な効果と言う意味だろう。副次的という事はその原因となりえるのはトリオンだろう。

 

「感知ねぇ。出来るのはそれだけか?」

「トリオンを見れる、触れる、好きに動かせる、見たり聞いたりとか感覚を強化したり、自分のトリオンを隠したりもできる、後は見ればわかる」

 

 私はその場でまともな古着から見繕って着ていた服を脱ぎ捨てた。子供とは言え女がいきなり躊躇いもなく脱いだことに驚きはしたがそれ以上に私の身体の異常性を目の当たりにして全員が固まった。

 

「その身体は……一体?」

「多すぎるトリオンに浸食されてると考えてる。それが本当かは私も知らない。髪も皮膚も内臓も、段々と白くなっていってる。もう殆ど私の身体はトリオンで出来てると考えてもらっていい」

 

 恐る恐ると言った様子で全員から順々に質問が投げられた。浸食の際には痛みが走ること、食事や睡眠が殆ど必要ないこと、感覚の強化の度合いやトリオンを探知できる範囲、操作はどんなことが出来るのか、生まれてから少しずつ進行していること、分かる事と分からない事と出来る限り答えるようにした。

 

「……そうか。矢継ぎ早に聞いて悪かったな」

「別に」

 

 既に部屋の中の雰囲気はかなり悪くなっている。私が悪い訳では無いが原因は私だろう。ああいった彼らの表情や感情を言い表すならやるせないというのがしっくりきそうだ。一呼吸おいてからようやく別の質問に進むそうだ。

 

「答えたくなけりゃ答えなくて良いんだが、親はどうした?」

 

 改めて断わりを入れてから訊いてくるほどの事だと私は思わないが向こうからしたらかなり気を使う内容なのかもしれない。そう言った感情や感覚はまだあまり知ってても理解できない。

 

「私の人より多いトリオン?とやらに惹かれたのか分からないけど、やってきた先ほどの化け物みたいなやつに連れ去られていったよ」

「悪い事を訊いたな。すまない」

 

 悪い事か、私は一切そのようには思わない。あれらは私にとって百害あって一利なしな存在であった。その最後に喜びはすれど悲しむことは無かったのだから、きちんと私は訂正して置く。

 

「別にどうでも良い。むしろ自由に成れたから逆に嬉しかった」

「……そうか、そうなのか」

 

 何かを悲しむ様な雰囲気が感じられる。何を悲しんでいるのだろうか、私の境遇か、喰われたあいつらか、それとも私の答えに対してか、それは分からないし、どうでも良い。その後も色々と訊かれ、()()()()()()に対しては答えた。

 

「よし、お前ウチに来い。そして俺の養子に成れ」

「……?」

 

 どういうことなのか意味が理解できずに困惑することしか出来なかった。普通の子が通っているとみられる学習施設には行っていないが、それなりに理解力のある方だと自分を評価していたのだが、間違いだったかと思い悩むほどだった。

 

「有吾、お前は何をどう考えてそう言う結論に至った?」

「それで理解は流石に難しいかと」

「はは、何の脈略も無いですねぇ」

 

 良かった。どうやらお仲間の方も理解に及んでいないようなので私が悪いという訳ではなさそうだ。しかし、言葉の意味は知っているが、なぜそのような結論になったのだろう。

 

「俺らは()()()()()()()()()()()()()()()()を作ろうとしてるんだが、お前さんはこっちの事情に無関係じゃない。そしてお前の話を聞いて個人的にも放っておきたくない。それとぶっちゃけるとお前の力は有用だ。後一番はお前を気に入ったからだな」

 

 何から何まで理由をただ並べただけで、半分は理由、打算もあるようだが、もう半分はこの人物の感情が理由である。それに打算を叶えるためには養子ではなく、その組織に誘うべきだろう。本当に何を考えての提案なのかが分からず、不思議な人物と言うのがその時に感想だった。

 

 その後、組織についてや向こうについて、トリオンやトリガーと言った様々な情報を伝えられた上で考える時間を与えられた。私は後をつける事を選んだこと、助ける選択をしたこと、色々と理由を並べてみて、有吾と言う人物を前にして、提案に頷いた。

 

「それなら、色々と手続きしないとな。それと苗字は俺と同じで良いが名前が無いと駄目だな。つい最近子供が生まれたばかりだからな。どうしても似たような響きが思い浮かぶな」

 

 

「よし、お前の名前は空閑(くが)悠菜(ゆうな)だ」

 




ちょっと展開無理やりだったかな。

設立時のメンバーの様子って分からないからどう書けば良いのか分からないのと、やり取りを書こうと思うと設定をつらつら書かないといけなくなって、『無駄に』長くなりそうなのが嫌だったので少し無理やり纏めました。

有吾がかなり行動力のある変人と言った印象になってしまった。まあ、遊真が変な人だったって言ってたしとりあえずこんな感じで良いや。もうちょい、賢い、ミステリアスな感じにする予定だったんだけどな。私の表現力の問題ですね。

これで、最低限の過去話はおしまい。
後は前にも言ったように今後は回想の際に入れます。

次からようやく原作に混ざって行きます。
主に4巻のA級部隊との戦闘に介入します。

ではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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