アンデルセンは笑っている   作:小千小掘

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自分もしかしたら、キャラの欠点描くの苦手かもしれない。


スナップショット~トップ4~

「それじゃあお二人さん。準備はいいか?」

「ああ、勿論だ」

「おう、いいぜ!」

 

 僕の問いかけに根気強く応える二人。僕は彼らの勇姿を見届けるべく、片手を前に掲げる。

 

「どっちが勝つのかな?」

「さあ。でも、ちょっと楽しみだなあ」

「そうだね」

 

 傍らに立つ少年も、これから始まる一戦に興味深々なようだ。

 

「よっしゃあ行くぞー。位置について……」

 

 号令に従って、二人は目付きを鋭くさせ、姿勢を低くして構えた。二人の醸し出す気配に釣られ、こちらも視界の縁が朧気になって行く。

 

「よーい――ドンッ!」

 

 僕が掲げていた手を勢いよく天へ振り上げるのと同時に、走者たち――清隆と健は、矢の如く軽快に走り出した。

 

「がんばれー!」

 

 隣から黄色い声援が上がる。尤も、その主は女子でも児童でもない。可憐な外見を具える少年――沖谷は、近所迷惑にならない程度の声量で二人を応援する。

 

「……いんやあ、青春だねえ」

 

 遠ざかっていく二人を眺めながら呟き、僕は事の経緯を回想する。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「へー。すると君は、将来はプロのバスケットボール選手になるわけかい?」

「そうだな。この前の部活でも、先輩たちが俺のプレーを褒めてくれたし絶好調だ」

「崇高な夢だなあ。尊敬するよ」

 

 健と沖谷と連絡先交換を済ませ、僕ら四人は暫し雑談に興じていた。

 僕と沖谷の中性的な見た目に反して、随分とガタイがよろしい健に話が回り始まったのが、現在のバスケ談義である。

 

「見上げた向上心だな。オレはそんな風に目指しているものがないから羨ましいぞ」

「僕も運動はあまり得意じゃないから、力持ちな須藤君が羨ましいな」

「へへっ、そうか?」

 

 僕らからの尊敬の眼差しに、健は満更でもなさそうな顔をする。どうやら彼、バスケのことに関しては偉く素直になるようだ。とても自己紹介で声を荒げていた少年には思えない。

 

「でも、あれだなあ。見たところ体つきもしっかりしているから、他のスポーツも熟せそうだなあ」

「運動全般、得意だし好きだぜ。今日の水泳も一番速く泳げる自信があるからよ、見ててくれよな」

 

 「そいつは楽しみだあ」と返したものの、仮にレースが行われたとして、彼が一位を取ることはまず無理だろうと考えていた。

 最有力候補は勿論六助だ。あの純と肩を並べられる運動神経を誇る彼に、そう易々と対抗できるとは思えない。

 そして恐らく、清隆も頑張れば健に負けず劣らずな能力を発揮できるはずだ。見た目だけで他人の能力を分析するだなんて超人的なマネができるわけでもない上、正直盟友補正が掛かっているかもしれないが、少なくとも平均よりは上だろう。

 

「そういえばお前ら、いつも何時ごろに登校してんだ?」

 

 すると突然、話の矛先が僕と清隆へと向けられた。どうしてそんなことを聞くんだ?

 

「大体七時くらいだな。それがどうかしたのか?」

 

 僕の疑問を清隆が回答を添えて代わりに投げかけると、沖谷は目を見開き、健は納得のいった表情をした。

 

「じゃあやっぱ、あの時見えたのはお前らだったのか。どうりで見覚えのある顔に感じたわけだ」

「え、君、あの時間に起きてたことがあったのかい?」

「そりゃ当たり前だろ。あの時はちょうどランニングしてる途中だったんだ。たまに朝練で早めに出る時もあるぜ。何もしねえ日はギリギリまで寝てるけどよ」

 

 なるほど、合点いった。確かにコイツ、寝ぼけ眼を擦りながら入室する時とキリッとした目付きで入室する時が交互にあった気がする。毎度毎度遅刻寸前まで惰眠を貪っていたわけではなかったのか。

 

「お前らの方こそ、一体何のために早起きしてんだよ?」

「いや、別に何かあるってわけでも……なあ清隆?」

「そうだな。初めは恭介から『教室に一番乗りしてみないか』って聞かれて、数回繰り返す内にいつの間にか染み付いていった感じだ」

「マジかよ……。俺はちょっと朝が苦手だから早く起きんのも苦労するんだけど、目的も無しにそんなこと続けられるんだな」

 

 今度は健が僕らを称賛する。なんだなんだ、褒め合い合戦でもおっぱじめようってか?

 

「もしよかったら、偶には起こしにでも行ってあげようか? その、誰かと一緒だと、少しは目覚めも良くなるかもしれない」

 

 清隆がチラッとこちらを一瞥し、健にそんな提案をする。恐らく問題ないかの確認だったのだろうが、拒否する理由もない。寧ろ仲を深める良い機会になるし、喜んで乗らせてもらおう。

 にしても、まさか彼が積極的に他人と関わるアクションを起こすとは。四月も半ばとなったが、まだまだ友達づくりに貪欲なようだ。よしよし、お互いめげずに励んでいこうな、盟友よ。

 健は清隆の提案に迷う素振りもなく目を輝かせて承諾した。

 

「本当か!? マジで助かる。これで朝のトレーニングも一層精を出せそうだ!」

 

 彼の嬉しそうな表情からは、年相応な純粋さが見て取れた。殊、運動に関しては驚くほどに真っ直ぐだな。ある意味一番『青春』というものを謳歌しているのは彼なのかもしれない。無論、恋愛ではなく友情・努力・勝利の方向ではあるが。

 そんな健にうんうんと感心していると、クイクイと袖を引っ張られる感覚がした。

 

「ん、どうした、沖谷?」

「えっと……それ、僕もお願いしていいかな?」

 

 ……だから君、無意識な上目遣いはやめてくれよ。普通に頼んでくれれば快諾するんだからさ。別に強面ではないだろう? さっきも清隆に中性的な顔だって言われてしまったし。

 

「オフコース。そんじゃあ四人で仲良く学校へ一番乗りと行こうかあ。うーんと、名付けて、『トップ4』なんてなあ」

「ハハッ、何だよそれ! でも、やっぱトップってのは響きがいいな。スポーツマンの血が騒ぐぜ」

 

 早くに登校する意味と何となく強い感じの意味を掛けて付けた単語だったが、如何せん健には好感触だったようだ。

 

「『四天王』という表現の方がカッコイイかとも思ったんだが、変に堅苦しいのよりもそっちの方がいいかもな」

 

 い、いや清隆。『四天王』なんて名乗れる程大層なものでもないし、何よりちょっと痛々しさが過ぎるだけな気もするんだが……まあ気に入ってくれたならいいか。

 

「他の人がいる前で言うのは、ちょっと恥ずかしいかもしれないけど……」

 

 安心なさい沖谷君。この四人の関係を態々他人に自慢気に語る機会なんてそうないから。小恥ずかしかろうと、内輪ネタとして僕らだけで楽しんでいればいいのさ。……健が池と春樹辺りに言わないように釘は刺しておこうか。

 しかし、何だかいい雰囲気になってきたじゃないか。バスケもそうだが、趣味や好きな事から話を広げていくのは、定石なだけあって上手くいくものだ。僕のオリジナリティ溢れるネーミングセンスを笑いもとい嗤い飛ばせる程度には、この短時間で肩の力を抜けたらしい。

 

「ね、ねえ! ちょっと提案したいことがあるんだけど……いいかな?」

 

 早速四人の合同イベントが出来上がったことに喜んでいると、沖谷もおそるおそる手を挙げる。あまり堂々と発言するのが得意ではないのだろう。このグループではぜひともバンバン発言してくれたまえ。

 

「折角だから、須藤君のトレーニング、迷惑じゃなかったら僕も一緒にやってみたいな」

「おお、確かにそれもいいかもなあ。僕も最近体の訛りが甚だしくて、運動不足を実感していたんだよ。大丈夫か? 健」

「俺は構わねえぜ。ただ、あまりペースは合わせてやれないかもしれねえぞ? それでもいいなら大歓迎だ」

 

 元々彼がバスケ目的で励んでいるものなのだ。後から続こうとする僕らに態々構ってもらうわけにもいかないのは承知の上。こういうのは『一緒』であることに意味がある。

 

「よーし、ほんじゃあ早速、明日から実践していこうかあ」

「よろしく頼むぜ、浅川。綾小路もな」

「任せてくれ。トレーニング、楽しみにしている」

 

 その後一限目の開始が近いことに気付いた僕と清隆は、世間話はまた明日ということで、ひとまず席に戻ることにした。

 

「意外な一面を知ったな」

「確かになあ」

 

 健は第一印象に反して人情味があり、溢れんばかりの情熱を好きなことに注ぐ真っ直ぐさを持っていた。はじめは反抗期の延長線を歩んでいるのかと思っていたが、我の強さが如何せんあの集団意識と噛み合わなかったのだろう。

 沖谷にしてもそうだ。単に表情を曇らせがちなか弱い少年――こう見ると健と正反対なのかもしれない――というわけではなかった。自分の苦手なことに挑戦したり、ちょっとした憧れに対して前向きになれる明るさを持っていた。

 やはり、他人のことを知ることには大きな価値がある。もし知らなかったらと思うと戦慄することもあるが、距離を縮める上で欠かせないものだ。

 初めは自分たちの体裁を守るという陳腐な動機だったが、今はこの喜びを素直に受け止めるとしよう。

 

「明日が楽しみだなあ」

 

 Dクラスの南東トリオはきっかけが席が近いというものだったため、こういう形で小グループなるものが形成されたのは初めての経験だ。一種の親睦会とも言えよう明日への胸の高鳴りは決して小さなものではなかった。

 そしてそれは、清隆も同じようだ。

 

「そうだな」

 

 最小限の言葉で肯定した彼の表情は、ほんの少し穏やかに見えた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ゴルゴルゴルゴルゴール」

 

 事前に付けておいた目印の直線が踏まれたのをこの目で確認し、僕は抑揚の少ない声で宣言した。

 

「よっしゃあああっ!」

 

 勝利を掴み取り、力強いガッツポーズと共に控えめな雄叫びをあげたのは――健だった。

 寸分の差で遅れて線を踏んだ清隆の方はと言うと、全力で走っていたかは怪しい息遣いだった。咎めたところで折角の雰囲気を台無しにしてしまうだろうし、清隆自身も不満があってそうしているわけではないので黙っておこう。

 今やっていたのは1on1の徒競走だ。予め決めておいたルートを辿る何の変哲もないものだが、高校生になってもこういう対戦要素があるだけで案外やる気はみなぎってくるものだ。これより前には四十分程のランニングを終え、僕と健、清隆と沖谷、僕と沖谷、という組み合わせの順で徒競走を済ませていた。

 

「やはり速いな、須藤は。オレなりに頑張ってみたが、とても敵わない」

「さすがに帰宅部に負けちゃ話にならねえからな。でも綾小路だって凄いじゃねえか。走り出した時は思ってたよりずっと速くてびっくりしたぜ。フォームもしっかりしてたし、何か習ってたのか?」

 

 健の問いかけに少し動揺してから、清隆はボソッと答えた。

 

「……ピアノと茶道くらいしかやってなかったな」

「あれ? 君、前は茶道じゃなくて書道って……」

「……どっちもやってたんだよ」

「へー、そういうもんかあ」

 

 これまた意外、清隆はいわゆる文化系種目に興味が強いようだ。そんなに好きなら部活の一つくらいやってみればよかったのに。確か椎名は茶道部だったから、そこでコミュニティを繋げるのもアリだったし。

 

「何にせよ、楽しかったぜ。闘争心が出てやりがいもあったし、何でもやってみるもんだな」

 

 そう言って健は汗で煌めく頬を拭い、スポーツドリンクの蓋を開けた。

 

「学校でもそれを飲むのかい?」

「あー、残しちゃもったいねえから、そうすることもあるな」

「糖分と塩分の過剰摂取になると危ないぞ?」

 

 僕の懸念を、清隆が代わりに訴えた。傍にいた沖谷が首を傾げる。

 

「そんなに危ないの?」

「ペットボトル症候群ってのがあってなあ。代謝が追い付かなくて、体がダル重くなったり、喉が渇いたり、最悪、嘔吐や腹痛から死に至ることもあるんだ」

「そうなんだ、怖いね。――でも、喉が渇く?」

「ああ、その症状を給水不足だと勘違いして再び摂取して、更に喉が渇いてまた飲んでしまうという悪循環が発生するわけだ」

 

 良く知っているな……。僕は純や『先生』との会話で覚える機会があったが、清隆はどこでそんな知識を身に付けているのかやら。

 僕らの解説に沖谷は感心し、健は頷きながら質問を重ねる。

 

「じゃあ何で水分補給すりゃいいんだ?」

「トレーニング中なんかはスポドリがいいんだけど、その後は普通に水を飲んだ方がいいなあ。因みに、お茶なんかはあくまで嗜好品で、飲み過ぎると睡眠の質が落ちたり、貧血の原因になったりするから気をつけなあ」

「もしかして、カフェインのせい? 脱水症状が出るとかって聞いたことあるけど」

「いや、確かにカフェインが原因の一つだが、シュウ酸やタンニンも体に悪影響を及ぼすんだ。それに、最近じゃカフェインが脱水症状を引き起こしているのかどうかは疑われつつあるから、それだけが全てというわけでは決してないぞ」

 

 一通り質疑応答を終えると、二人はどこか引き攣らせたような顔になった。

 

「お前ら、何でそこまで知ってんだよ……」

「シュウサンとかタンニンとか、僕たちまだ習ってないよね……?」

「まあその手のことについて博識な大人から教えてもらってなあ。特に健なんかは、今後バスケで躍進する上では多少こだわりを持ってみるのもいいんじゃないか?」

 

 体調管理や栄養管理に気を遣っているプロの選手は多い。専属の栄養管理士をつけることだって珍しくはないが、本人もある程度基礎知識を身に付けておいて損はないだろう。

 それに直近的な意味で言えば、健の浪費防止にも繋がる。糖分、塩分、脂分、要らないものに限って高くつくのだ。話を広げれば娯楽関連もそう。食生活を健康的な範囲に留めたり、毎日の飲料物をミネラルウォーターに変えるだけでも、大きく消費を節約できるだろう。

 

「そうだな。体調崩してパフォーマンスが落ちるだなんてダセぇ目には遭いたかねえし、偶には気を付けてみるわ」

「早寝早起き、そんでもって生活習慣丸ごともなあ」

「オカンか何かかよ、お前は……」

 

 僕の過保護な態度にげんなりとする健だが、彼相手ならこれくらい献身的にでもならなければ直せるものも直らない気がする。その内やるか? 『須藤健生活習慣改造計画』とか銘打って。

 

「でも、これから朝はお前らが起こしてくれんだろ? あんま規則正しい生活ってのは自信ねえけど、だったら心配要らねえと思うけどな」

「頼ってくれるのは嬉しいが、最後は自分でできるようにならなきゃだめだろう」

「一緒に頑張ろうよ、須藤君」

 

 清隆の尤もな意見と沖谷の切磋琢磨な激励に、健は困ったように頭を掻き、やがて小さく頷いた。

 

「そう、だよな。こういうのはやっぱ自分でやれるようにならないといけねぇよな。悪い、こんなことで弱音吐いちまって。――沖谷、頑張ろうぜ!」

 

 「うん!」と朗らかに笑う沖谷と、それに対して元気そうな笑顔を浮かべる健。彼のスポーツマンとしての向上心が、正の方向に働いてくれたみたいだな。

 それにしても、共通点から生まれる友情、シンパシーか。何だか、僕と清隆の初対面と似たものを感じる。傍から見れば接点の持ちにくそうな二人だが、思わぬところから絆は芽生えてくるものだ。

 

「よっし。じゃあ今度は俺と沖谷、浅川と綾小路だな。どっちからやる?」

 

 感慨に耽っていると、健が次の組み合わせに進むよう催促する。確かに、これ以上は少々休憩が過ぎるかもしれない。

 

「おー、じゃあ僕らからやろうか。行けるよなあ清隆?」

 

 出来心の湧いた僕は、少し揶揄うような眼差しを清隆に向ける。彼は(ギョ)ッとした表情で僕を見返した。

 

「お前……オレは見ての通り、古新聞みたいにくたくたなんだぞ」

「あっはは、ちょいと強めな負担を掛けた方が鍛錬になるってね」

 

 僕は清隆の背中を押してスタートラインへと向かう。沖谷だって連続で走ったのだから、これくらい張り切ってやって欲しいものだ。それに――。

 健と沖谷に声が届かない距離になったところで、清隆に小声で話す。

 

「いっちょ全力疾走してみようかあ。蝶と遊んだ時は加減してたろう?」

「……! い、いや、オレは目立ちたくは――」

「この場にいるのはあの二人だけだぜ? 二人で何とか誤魔化せるって。きっと風が気持ちいいと思うからさ、やってみやってみ」

 

 ポンッと優しく彼の背中を叩き、健に「準備オーケーだあ」と知らせる。

 僕としても、少し不思議な気分だった。まだ底が深いかもしれない清隆の全力を一度見てみたいという好奇心とか、それこそ彼をちょっと困らせてやりたいという悪戯心とか、色々あるけれど……何より、ただ単純に、この盟友と一緒に走りたかったという願いが一番な気がする。言い様の無い合理性皆無な欲が珍しい僕にとっては、驚くべきことだった。

 清隆は未だ逡巡する仕草を見せ、辺りをキョロキョロと見回していたが、やがてフッと息を漏らし、前を見据える。

 

「少しあつくなってきたなと思っていたんだ」

「それは暑いのか? 熱いのか?」

「どうだろうな。どっちもなのかもしれない」

「はっきりしないなあ」

「お前に似てきたのかもな」

 

 そう、なのか? 適当だったりはぐらかしたりすることは確かに多いのかもしれない。こんなところばかりうつっても仕方がないと思うのだが――存外悪くないと思っていそうな彼の顔を横目で確認し、そんな考えは早々に引っ込んだ。

 

「なら、どうする?」

「少し風で涼むのも、いいかもしれないな」

「オーライッ! 楽しんでこうかあ」

 

 僕らのやり取りが終わったタイミングで健の掛け声が耳に届く。彼の隣には、先程と同じように健気な応援の眼差しをこちらへ向ける沖谷の姿があった。

 スポーツマン、可憐な少年、無機質男、そしてマイペースな僕。こう見ると、何ともバラバラな四人組だ。なのにこうも自然な心地良さを感じるのは何故だろうか。

 

 ――青春だなあ。もしかしたら、あの頃よりもずっと真っ直ぐな。

 

 それを隣で構えるこの奇天烈な盟友と最も近くで送っているのだから、性格とか柄とかは案外関係ないのかもなんて、思ったりもする。

 スタートの合図とともに、僕らは寸分の誤差もなく同時に一歩目を踏み出した。

 心の底からとか、屈託のないとか、そういう感情的なものともまた違う、無意味で自然な微笑みを、僕は浮かべていた。

 川のキラキラとした反射光が、視界の隅で風に揺られ、いつもよりやけに眩しかった。

 




須藤をここまで良いやつ感出させるつもりはなかったんや。

オリ主の過去話について(どれになっても他の小話もやるよ)

  • 止まるんじゃねぞ(予定通り,10話超)
  • ちょっと立ち止まって(せめて10話以内)
  • 止まれ止まれ止まれ…!(オリだけ約5話)
  • ちょ待てよ(オリキャラだけ,3話)
  • ムーリー(前後編以内でまとめて)
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