バカンス取ろうと誘ったからにはハッピーエンドを目指すと(自称)姉は言った   作:haru970

14 / 27
作者:もし楽しんでいただけたら評価、感想をお願い致しますっっっっ!

マイケル:第一の声がソレか

チエ:彼の“もちべーしょん”に関わるからだろう


第14話 『僕、悪い魔法使いじゃないよ!』

 ___________

 

 間桐雁夜、衛宮切嗣 視点

 ___________

 

 場所は部屋の中へと移り、雁夜と切嗣がテーブルを挟んで座っていた。

 

「久しぶり……と言える程は経ってないか、衛宮切嗣」

 

「…………何をしに来た、間桐雁夜」

 

「単刀直入に言おう。 調査の結果、今の()()()()()()()()()使()()()()()()()()()

 

 「(って確か三月は言っていたなー)」、と雁夜は思いながら彼女の方針説明の時の言葉などを思い出しながら話を進めた。

 

 ガタッ。

 

 切嗣が席を立ち、トンプソン コンテンダーを雁夜に向ける。

 

「(あ、やっぱり)」

 

「……最後に言い残す事はそれだけか?」

 

【恐らくだけど切嗣は怒り狂うでしょうね。 多分だけど貴方に威嚇で一発撃ってもおかしくないわ。 でも決して恐れた態度を出さず、冷静に説明を続けて】

 

「銃はそのまま向けて結構。 かいつまんで話そう。 (やっぱり怖いよ~! 三月、恨むぞ~!)」

 

 咳をして、雁夜はゆっくりとテーブルに両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持ってきて切嗣を見る。

 

「前回の第三次聖杯戦争にアインツベルンは禁句を犯し、聖杯は汚染された。 『この世に死と破滅を』という願いを、な。 だから今の聖杯に願いは全てその方向で願いを叶える様になっている」

 

「アインツベルン、だと?」

 

「ああ、アインツベルンがルール破って召喚したサーヴァントがいたんだ。そいつの名前は確か『この世全ての悪(アンリ・マユ)』」

 

「ゾロアストラ教の?! 馬鹿な! そんなもの、神霊レベルじゃないか!」

 

「そう、だが呼ばれたのは最弱のサーヴァントで、すぐに倒され、無色透明だった聖杯の中身を黒く染めた。 どんな願いであれ、どんな望みであれ、今の聖杯は破滅しかもたらさなくなった」 

 

 僅かにだが金属音がした。 そしてその音の出本は切嗣の持っているトンプソン コンテンダーが震えているからだ。

 

「………では何故未だに聖杯戦争が行われている?」

 

「こればかりは『この世全ての悪』を召喚したアインツベルンの方も想定外だったから。 ぶっちゃけた話、他の魔術師もそうだけど、御三家は寝耳に水も良いところだ。 出来レースも甚だしい。 御三家以外、誰が勝っても特はしない。

 何故なら御三家は根源の到達、または不死への足利り、または魔法へという旅路のゴールへ到着する為の『道具』でしかないのだから」

 

「……………では今のままでは聖杯は悪意を持ってしか叶えられないのか?」

 

「そういう事だ」

 

 雁夜が断言すると切嗣は後ろへと後ずさり、壁に背中を預ける。 月明かりが照らす室内で、影に同化するようにして立っていた。

 くたびれたコートと死んだ目はまるで亡霊のような容貌を連想させるが、それが今はなお一層拍車がかかり、本格的に切嗣の姿は亡霊に見えるだろう。

 

「聖杯が汚染されているって事にかなりこたえているな」

 

「求めるものが、この世の悪そのものであるなら、誰だって失望も、絶望もするさ………何の願いもないキミには関係のない話だろうね」

 

「関係なくは無い……かな。 俺は確かに聖杯はいらない。 だがその聖杯に俺の願いをぶち壊される訳にはいかない。 だからこうして来た」

 

「………聖杯を」

 

「ん?」

 

「聖杯を無色透明な状態に………戻す事は可能か?」

 

「………今それを調べている途中だ(ってこれも三月が言っていたな)」

 

「なら……聖杯がいらないのなら、僕に────」

 

「────ちなみに衛宮切嗣の願いは何だ?」

 

「何?」

 

「別に聖杯は俺はいらない。 だがお前の願いが俺の願いに反していないかの確認だ」

 

「…………………………………………………………」

 

「まあ、言いたくないのは分かる」

 

「……………ふざけるな、貴様に僕の何がわかる。 何が『魔導から逃げ出した落伍者』だ? あれだけの事をしておいて“人間”と称するお前に」

 

「あ、あははは………あれは………まあその………『魔術』とは違うんだ」

 

 歯切れ悪くそう告げながら頬をかく雁夜に切嗣は疑問を抱き、苛ついた心を落ち着かせる為に煙草を取り出した。

 

「魔術でないなら、何だと言うんだ? まさか、『魔法だ』、なんて虚言を吐くつもりかい?」

 

「あー、やっぱりわかっちゃうかー。 まあ、あれだけすれば流石に誰でも気付くわな」

 

「ウ゛ッ?! ごほっ! ごほっごほっげほっ?!」

 

【ちなみに切嗣の事だから魔法の事聞かれると思うけど……う~~~ん…………まあ、ぶっちゃげて良いんじゃない………かな? この段階だし。 え? 何の事かって? あー、こっちの話】

 

 煙草に火をつけ、冗談と嫌味交じりにそう呟いた切嗣は煙を肺に入れた瞬間に返ってきた言葉に噎せかえった。

 

「お、おい大丈夫か? 水とコップ、出そうか?」

 

「ごほっ!……も、問題ない。 それよりも、だ。 お前は『魔法』を使っている……というのか?」

 

「まあ、な。 信じられないかも知れないし、話すつもりも無かったが………これからは一時的にでも同盟を結ぼうとしているからな。 そういう相手に隠し事はなしにしたい」

 

 しかし、それを「はいそうですか」と信じられるほど、()()()()において、『魔法』という存在は軽いものではない。

 

 魔術師の誰もが文字通り喉から手が出るほどに欲している目的の一つであり、例え御三家であったとしても、手に入れるにはそれこそ聖杯を利用しなければ不可能であり、単体で魔法の領域に至るには、間桐雁夜という凡俗では不可能だった。

 

 例え、マトモに魔導の鍛錬を行っていたとしても。

 

 ただ、「そんな馬鹿な」と吐き捨てられるほど、切嗣は無知でもなかった。

 例として以前の綺礼との共闘時、雁夜を追い詰めた際に起きた不可解な現象。

 追い詰めたはずの対象に、振り出しに戻っていたというありえない状態。

 

 次に何の魔術礼装も無しに、()()()強化のみで現代兵器を平然と受け止める尋常ならざる防御力。

 その他もあげればキリがないのだが、ともかく切嗣は否定しようとして、言葉を飲み込んだ。

 

「仮にだ………仮に『魔法』を使えるとして、何故お前は聖杯戦争を終わらせていない?」

 

 代わりに放たれた言葉は素朴な疑問だった。

 

 間桐雁夜が、真に『魔法使い』であるというのなら、何故今も聖杯戦争は続いているのか?

 

 聖杯が欲しかったわけではない。 元に戻す為の方法を模索していたから、敢えて聖杯を降臨させないために、終わらせていないというのであればわかる。

 

 だが、そうだとしてもあの日、倉庫街でサーヴァントとマスター全員を皆殺しにしてしまえばよかった。 そうすれば自分の敵対者は大幅に減り、ゆっくりと時間をかけて、邪魔者無しで穢れた聖杯を解析出来る。

 

「『何故』……か」

 

 あ、やっぱりこれも来たかー、と思う雁夜。

 

 実は雁夜自身これを疑問に思っていた。

 チエだけならともかく、三月は自分から見てもかなりの悪戯っ子、もとい戦略家。 

 

『間桐雁夜』という駒がなくても簡単にチエを使い、聖杯戦争を終わらせ、聖杯を手に入れたりするのも簡単にイメージ出来た(本人にはぜっっっっっっったい言わないと誓っているが。)

 

 なのに何故か三月は雁夜から見てもかなりのアバウトな方法で物事を進めている。

 何故だ? 

 ……………………………………………………

 

「……………俺の()()に聞いてくれ」

 

「『師匠』? まさかとは思うが、バーサーカーか? (成程、これで辻褄は合う。 あんな規格外なサーヴァントを師に持つならありえなくは無い)」

 

 そう思い、切嗣は煙草を吸う。

 

【あ! 切嗣には(三月)の事を言わないように! いいね、雁夜?!】

 

「そんな所だ。 (『三月』と名前では言っていないぞ俺は。 だからこれはギリギリセーフの筈だ)」

 

 やはりか、と腑に落ちた切嗣の顔。 だがそうだとしたら────

 

「────そうだとしたらヤツが本当に『バーサーカー』なのかと疑うが?」

 

「……この際だから言うが、クラス的に彼女は『バーサーカー』に類されているらしいが、普通のクラスに当てはまらないエキストラクラスに属していると聞いているし真名は俺も知らない」

 

「………………………」

 

 思わずズッコケかけた切嗣は割と普通の反応だった。

 

 雁夜は魔術師とはあまりにもかけ離れた言動、明け透けに質問に答える。

 

 どこまでも一般人に近く、あまりにも『一般人』だった。

 

「強いて言えば、『大の為に小を切り捨てるのは悲しすぎる。 そういう事していたら、何れ助けた数よりも殺した数の方が上回る』って師匠(三月)は言っていた。 それに俺自身の推測だが…………もしかして師匠(三月)は『誰も死なせたくない』んじゃないか?」

 

「ッ?!」

 

 その前の言葉の全てが切嗣の胸に刺さっていた。

 

『誰も死なせたくない』。

 

 その言葉がかつての衛宮切嗣の掲げていた理想を僅かに思い出させた。

 

 世界の闇を知らない子供の純粋な願い。 真実を知るにつれて、歪んでいった望み。

 

『正義の味方になる』。

 

 それこそが、衛宮切嗣を衛宮切嗣たらしめ、そして苦しめる呪いでもあった。

 

 誰も苦しまない世界があれば、誰もが幸福である世界があればと、その為に衛宮切嗣は引き金を引き、大を救うために小を切り捨てた。そしてその度に精神は磨り減らし、その度に知った。

 

『ヒト』の身では叶えられない望みであると。

 

 故に、衛宮切嗣はアインツベルンの依頼を受け、聖杯戦争に参加した。

 

 悲しみの原因とも言える、世界からの争いを根絶し、恒久平和を実現するために。

 

「これは俺もギブアンドテイクで始まったんだが、平和は誰でも望む事だから俺も協力している」

 

「……お前も、『平和』を望んでいるのか?」

 

「うん? ……そりゃあな。 元はと言えば、聖杯戦争に参加しているのは、『この世全ての悪(アンリ・マユ)』が全部駄目にしないようにする為だし。(そんな事になったら桜ちゃんの未来の幸せが危ない)」

 

 雁夜の言葉を聞いて、一瞬切嗣は迷った。

 

 彼らの目指すところは同じだ(と思っている)。 けれど、その言葉を信頼してすぐに手を結ぼうと考えられるほどに信頼関係は構築できていない。

 寧ろ、一度は敵対した挙句、今こうして話し合いが成立していること事態、切嗣自身には考えられない事態だ。

 

 だが、雁夜の話した事全てが真実なら、相手側は絶対に秘匿すべきである『魔法』について話した。

 

 それならば、自身の聖杯にかける願いを言う程度の事は良いだろう。

 

「いいだろう、僕の願いは────」




作者:ちなみにアンケートを取りたいと思っていますのでご協力お願いします!

三月:え、ちょ、何これ?

マリケル:マジか

ケイコ:うー? あー?

ラケール:こ、これは

チエ: 解せぬ

投稿の頻度はどの位が好ましいですか?

  • 短くても毎日 (4000文字以下)
  • 一種間に一回が長い (8000+文字)
  • 二、三日おきに7~8000文字ほど
  • 作者が死なない/エタらない程度
  • 次の作品あったらそっちも読んでみたい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。