バカンス取ろうと誘ったからにはハッピーエンドを目指すと(自称)姉は言った 作:haru970
キャラの口調とか型月の設定とか違っていたらすみませんッッ!!!
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間桐雁夜 視点
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俺が三月と言う少女と出会って間桐家に帰って来てから数か月、俺は来る聖杯戦争に向けて魔導の知識などを蓄えていた。
三月のおかげで“魔法”に似たものは使える様になったがその日まではほとんど一般人。 知識はあって損はしない。
筈。
最初三月達と会った時は最悪だったが今思えば普通に出会って会話などするよりあの会い方の方が良かった。
と思う。
その上魔術の世界ではもう人の身では行使出来ない“魔法”の行使も教わってもらっている。
一応。
「イメージは固まったか?」
「ハイ、チエさん」
「ではもう一度“内なる理”に潜れ」
この子はチエ。 三月の連れで妹…らしい(容姿は全然似ていないしその上この子の方が年上っぽい)。
そして俺の“魔法”の先生となる(本人は先生や師匠と呼ばられるのを嫌っているので“チエさん”と呼んでいる。)
俺は瞑想に戻り自分の中にある“魔法”の元となる“内なる理”に集中する。 真っ暗な視界のままだが
「何が見える?」
「まだ暗闇です」
「そうか」
「ですが何かを感じます」
「そうか。触ってみろ」
言われた通りに触るイメージをするが中々掴めない。 瞑想の中の俺の腕は鉛みたいに重く、思い通りに動いてくれない。 汗が頬を流れるの感じ、体が熱くなるのを感じる。
「グッ」
「まだ触れないか?」
「………ま……だ」
「そうか、補助無しではまだか」
「グハァ! ハァ、ハァ、ハァ」
俺は瞑想をやめ、前のめりに倒れそうな体を手で支える。
「クソ!」
このままでは駄目だ! 焦る気持ちが余計に苛立ちをくすぐる。
「焦るな、心を乱さればそれだけで魔法の行使に響く。 それにこれは元々
チエさんの言う“補助無し”とは“魔法”の行使の際自分のみで魔法を使う事だ。 俺が教わっている魔法は本来一人ではなく他の魔法使いとタンデムで行うものらしい。
俺の場合一人が行使する魔法のイメージを練り上げ、もう一人が“内なる理”と言う動力源を提供する。 前回の場合は俺がイメージをしてチエさんが動力源だった。
距離が離れていても三月と言う“通過点”がいればある程度カバーできるらしい。
ちなみにこれの応用で“念話”をしているとか。
“魔法”、それは遥か過去の神秘で魔術師達が目指す最終到達地点である「根源の渦」から引き出された力の発現。現代において魔術協会が魔法と認定している大儀礼は5つで使い手は僅かに少数と噂されている。
だが俺は今
詳しい内容を省いて一般人の俺にも分かりやすいように三月の説明曰く“
これはかなりの負担をかけ現代の人間が同じようなことを自分一人でしようとすると良くて空気を入れすぎた風船のように爆散。
最悪の状態で余波が起き、周りを巻き込むとも。
「休憩にするか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか」
最初にチエさんと三月にこの話を持ち掛けられた時は不安だったがこの魔法を見せられ俺が使えると聞いた時は恥ずかしながらも少年時代に戻ったかのように心が動いた。
コンコンと誰かが扉をノックする。
この家で部屋に入る前にノックするのは俺、チエさんの他にもう一人しかいない。
「どうぞ」
俺が返事をすると扉がゆっくりと開かれひょっこりと二つの顔を出した。
一人は金髪の三月。 そしてもう一人は幼い黒髪の女の子。
「カリヤ~ン、お腹減っていな~い?」
「まあまあだな」
「雁夜おじさん」
「何かな、桜ちゃん?」
黒髪の女の子が部屋に入り俺のいるところまでトテトテと近づきお腹に手を当てて元気よく言った。
「お腹空いた!」
「そうか。 じゃあ今日はお外でご飯食べに行こうか?」
「うん!」
ヒマワリの様な笑顔を浮かべる桜は普通の年相応の女の子だ、これだけで俺の苦労と努力と体の軋む痛みが報われる。
「何この扱いの差は?」
「日頃の行いと態度」
「カーリーちゃ~ん? 今のはどう言う意味なの?」
「先程雁夜は答えたと思ったが?」
「チエは一言多い」
「そうか?」
チエさんは三月の言っている意味が分からないようで頭を傾げている。
最初会った頃チエさんは無表情尚且つ無口と思ったがそうでもない。
現に俺の修行などに付き合ってくれて助言などをしてくれている。 言葉は少ないが。
あと桜ちゃんの遊び相手にもなってくれている。 三月とはすぐに打ち解けてそのあった初日に一日中話し込んでいた。 素直にコミュ力凄いと思ったのは口が裂けても本人には言えない。
チエさんは必要最低限(もしくはそれ以下)しか喋らないから最初は怖がっていたな。
ただチエさんは口数が少なく、表情をしないって言うだけでそれさえ分かれば桜ちゃんの方から接している。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
そして何で此処にこいつがいるんだよ?!
桜、チエさん、俺(ついでに三月)がまだ行った事もないレストランに入りテーブルに座ると寄りにもよって一番合いたくない人達がそこにいた。
遠坂一家だ。
葵さんと凛ちゃんだけならまだ良い。
だが時臣! 貴様だけは────!
『────落ち着きなさい』
俺の中で怒りが沸々とマグマの様に上がるのを三月の言葉で怒りが
『これが落ち着いていられるか三月! こいつの所為で桜は────!』
『────桜の面倒を見ているでしょ? ここで貴方が殴るなど暴力を振るってみなさい? 彼女は悲しがるわ』
『グゥゥ………だが! こいつは────!』
「間桐雁夜、話がある。付いてきたまえ」
俺にそういう否や時臣は席を立ち店の外に出た。
そして三月も席を立った。
「ほら、行きましょう雁夜
三月が何故か様付け────ああ、成程。 葵さん達の前だからか。
だが桜はどうする? チエさんと一緒にいるとは言え………いや、だからこそか。 気まずいレベルなんかじゃない。 桜にとっては数か月前まで親子、姉妹の関係の人間がすぐ傍にいる。
本当ならすぐ帰りたいだろうに………年の割に聡明で落ち着いているのが裏目に出たか。
「桜ちゃん、デザート何でも頼んでいいからいい子で待っていてくれる? おじさん達は話があるから」
「本当?! 何でも良いの?!」
切り替え早?! じゃなくて以外………かな? この子の年頃なら甘いもの食べまくりたいだろうと思っていったが…………
「ジィー」
そして何故そこで桜を見るチエさん?
「? どうしたのチー姉?」
「いや、その“でざーと”とは美味のかと思っていただけだ」
「えええ?! 美味しいよ! 食べた事ないの?」
「無い」
そう言えばチエさんが食べているところ見た事ないな。 いつもは“もう食べた”とか“お腹が空いていない”または“用事がある”と言って出かけるしこうやってみんなと一緒に食べるのは初めてかも知れない(ちなみに三月は普通に食べる)。
小さい子に(恐らく)小食、(財布的)に大丈夫だろ………………いざとなれば三月に払ってもらおう。
「うん、何でも良いよ。でも食べられる範囲内でね? 残したらデザートが可哀そうだから」
「うん! じゃあ桜が頼むから一緒に食べようチー姉!」
「承知」
そう言うと桜ちゃんはさっそくメニュー表に目を通しチエさんに一つ一つのデザートを話し始めた。
俺と三月が店を出ると時臣は少し離れたベンチに腰かけていた。
「ご機嫌よう遠坂時臣様、お初にお目にかかります。 私は三月・プレラーリと言います。 かの遠坂家の当主とお会い出来るとは光栄です」
「これはご丁寧に────」
「────で、話って何だ時臣?」
俺は爆発しそうな怒りを止められている内に話を進める。
「フム…では言うがよくもおめおめと帰ってこられたものだな、雁夜。 優れた家系に生まれながら自らを凡俗に落とした君が何故聖杯を求める? そちらのマダムも無関係ではあるまい?」
「俺は………俺は聖杯自体に興味はない。 俺は桜を真っ当な…“人の子”として人生を歩ませたい。 その為に結果として聖杯を手に入れる」
「つまりは君が勝ち残った結果が欲しい、という事か?」
「……今回の聖杯戦争に参加したのはあの爺さんとの取引だからだ」
「間桐の翁か。落伍者を急造で仕立て上げ、参加させる程とは思わなかったが……だがいくら間桐の翁が関与していようとも急造の魔術師に遅れを取るほど聖杯戦争は甘くは無い。 此度こそ遠坂の悲願を成就させるために最強のサーヴァントを呼び寄せる手立ても付いている、故に勝利は決定したも同然だ」
相も変わらず時臣は逆鱗を……他人を見下すのが上手いな。
『手を出しちゃ駄目よ雁夜』
分かっている! 頭では分かっているが────!
「────本来なら一度は魔導の血筋から逃げた軟弱さ、そしてその事に何の負い目も感じない事に対して誅を下すが………仮にも聖杯戦争の参加者だ」
「遠坂時臣様のご配慮と器に感謝します」
「……君が彼を魔導の道に戻した理由は何だ? 先ほども言ったように彼は軟弱者だ。 プレラーリ家は失礼ながら聞いた事もないがメリットが余りにもデメリットに対して少なく思える。 メリットがあれば、との話だがね」
「ご忠告感謝いたします遠坂時臣様。 こちらからの発言の許可を貰えますでしょうか?」
「良いだろう」
「雁夜様は確かに一度魔導の道を外れました。 ですが彼はその後ご自身で世界を渡り、視野を広げました。 故に雁夜様は聖杯戦争に参加したかと」
「今死ぬか、それとも聖杯戦争にて打たれるか。ただそれだけの差でしかないのにか?」
「…………」
流石の三月にもこれは返す言葉がないってか。
「そうだろうな時臣。 俺は一度は魔導から背いた落伍者、到底正視の魔術師には敵わない。 それでも一つ聞きたい。 お前は間桐の魔術の全容を……臓硯の思惑を知った上で桜を間桐家の養子に出したのか?」
「是非も無し、間桐の申し出は天啓と言っても過言ではない。 聖杯を知る一族ならそれだけ根源に至る可能性も高くなる」
「姉妹が…………姉と妹が争う事になるんだぞ? それは、悲劇以外何でも無い」
「仮にそう至るとしたならば我が末裔達は幸せだ。栄光は勝てばその手に。負けても先祖の家名に齎される。 これ程憂なき対決はあるまい」
「!!!」
時臣の言葉で一気に辺りが怒りで赤くなったような感じがした。 時臣の顔面にキツイ一発をお見舞いしようと思ったら三月の手が俺の肩に置かれ────体が石像のように動かないように気が付いた。
狂っている。 そう叫びたい。
間違っている。 そう言い聞かせたい。
姉妹が命を懸けて争う事を肯定する親など親ではないと言いたい。
「一つ聞きたい。 何故間桐の翁は桜を君に預けている? 最後に聞いた話ではすぐにでも魔導の鍛錬を始めると聞いていたが見たところその様子も見られていない。 これはどういう事かね?」
「遠坂時臣様、これは雁夜様と桜様二人の…俗に言う“気分転換”と言うものです。 双方時間の管理などもございますので私達はこれで失礼いたします」
三月が俺の肩から手を放し一例をして店の方へと戻っていく、そして体が動くようになり俺も後を追いお店に戻ると立ち往生している三月にぶつかる。
「どうしたんだ三……月…………」
「おはへりなひゃい────」
「────まふのみほめ、はふら」
「んぐっ。 おかえりなさい!」
「貴方達………相当食べたわね。チエ、桜」
「えへへへ」
「………………」
そこはテーブルいっぱいにかつてデザートが乗っていたであろう空になった皿が多量に置いてあった。
勿論、十や二十位の皿があっても不思議じゃないと思った。
でもこれは明らかにその何十倍もある。っと、いう事は────
「────チエさん、かなり食べられるのですね」
「チー姉とは仲良くはんぶんこだよ!」
「注文したのは桜だ」
「ファ?!」
「どうした三月?」
「う、ううん…何でもない…です」
三月も真っ青になっている。
「じゃ、じゃあそろそろ帰────」
「「ジィー」」
帰ろうかと言いかけて止めた。 別に他の客の目を気にしているとかじゃない。 ましてやこの惨状に少し引いている葵さんや凛でもない。
「「ジィーー」」
桜は瞳を潤ませながら俺を見ていた(ちなみにチエさんも真似をしているのか何時もと変わらない顔で俺を見ていた)。
『ねえカーリーちゃん』
『何だ?』
『財布の貯蔵は十分かしら?』
『…………………ここってカード支払いできたっけ?』
『…………………………………覚えていない』
『『……………………………………………………………………………………………』』
『私ちょっとATM寄ってくるわ』
『三月様恩に着る! 感謝!』
『ウザッ?! 背中かゆ?! キモッ?!』
「…………じゃあもう少し食べよっか桜ちゃん」
「やったー!」
「…たー」
俺はどんよりとした雰囲気を出す三月を無視して幸せそうな桜ちゃんとチエさん(?)が食べ終わるまでその姿を楽しんだ。
結局それから一時間程居続けることになって想定していた金額は俺の財布を大きく上まっていたので負担はほぼ三月側に行った。
女性に金を出させるのも何かと思ったがいつも俺を弄っている三月の事を考えれば………と思ったのだが泣きそうな三月の顔を見た時には流石に同情して謝った。
三月のあの顔は新鮮だったのは言うまい。
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チエ 視点
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『三月、どういう事だ?』
『ん~? 何が?』
三月が欠伸をしながらこっちを見る。 何故念話で話しているかは今の場所は音が響くからだ。
「あ、桜。 銭湯内じゃ走っちゃ駄目だよ~」
「は~い、桜子供じゃないも~ん」
三月が間桐桜に声を掛けるので見るが時々湯気などで視界が遮られる。
最もそれでも気配を捕らえるのは容易だが。
『どう? 体と服を浄化するのも良いけどやっぱりお風呂に浸かるのは違うでしょ?』
『別に? こんな場所で狙われたら────』
『────あーもう! そういうのから頭を外しなさい!』
『『…………………………………』』
私は言われた通りに────
『その前に質問に答えろ』
『あ、ばれてーら』
『これはどういう事だ? これが“ばかんす”なのか?』
『これもバカンスの一環よ』
『ならばわざわざ聖杯戦争などに関わる事に意味は無い。 何の理由がある?』
『……………ごめんねチエ、今は言えないわ。 強いて言うなら私の我儘』
『そうか』
「ごめん」
「謝る必要などない」
「言いたかっただけ」
「そうか」
……………分からぬ、三月の行動に何の意味がある?
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三月 視点
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「フニ~」
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、湯が気持ちよかった~。
前に桜に肩車しているチエを見ながら少し考え込む。
先程のチエの“どうして”について。
“我儘”。 案外そのまんま何だけどな~。
「三月」
おっと噂をすれば何とやら。
「何カリカリ君?」
「だから……いや。 ありがとう」
「ふぇ? 何のこと?」
「感謝しているよ。 でももう一度聞いて良いかい? どうして君達はここまでしてくれている? 何が目的だ?」
雁夜は桜とチエが私たち二人から離れて真剣な顔でそう問いかける。
「あの日君は俺にこう言ったね? “魔法を教えるから冬木市に戻る気はない?”そして“それなら取引しましょう”と」
「あー、うん。そう言ったね」
「君達からは桜に笑顔を、そして俺には魔術師どもを見返す機会を。 それを考えれば見返りが未だに追及してこないのが腑に落ちない」
「…ただの“我儘”よ」
「“言う気は無い”という事か。 まあいい。」
「そうそう、気にしたら負けよ? 聖杯戦争は全力でバックアップするから安心して!」
雁夜は何も返事をせず桜とチエの方を歩き、私は歩みを止めた。
………うん、これは私の“我儘”。
だからごめんね雁夜? ちょっと貴方の体を弄ったけどこれは必要な事なの。
傲慢なのは知っている。
でも私は
「………それにチエにお姉ちゃんっぽいところも見せたいしね!」
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