バカンス取ろうと誘ったからにはハッピーエンドを目指すと(自称)姉は言った   作:haru970

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今回のイメージソングははFate UBWのOcean of Memoriesでした。

アンケートにご協力お願いします!


第23話 常軌を逸し、時は流れる

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 三月 視点

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 三月は大聖杯の中へ潜り込むとすぐさま魔力の海の中にいる感じに包まれた。

 

「うわ、何か甘~い蜂蜜を足した水の中にいるみたい」

 

 そう呟きながら三月は大聖杯の中を進んでいく。 常人なら意思を保つどころか、発狂するような場所。 強固な精神を持ったとしても快楽に溺れるようなところを彼女は()()進んでいた。

 

 そして、三月は()()()()()()()()()()()()()へと出た。

 

「…………」

 

 その中で一人立っていたものがいた。

 

 白いドレスを纏ったアイリスフィール・フォン・アインツベルン……………

 

 

 

 ではなく、アイリスフィールが()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 冬の聖女。 またの名を────

 

 

 

 

 

 

「────おはよう、こんにちは、こんばんは、初めまして……そして久しぶり……()()()()()

 

 ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン。 およそ2()0()0()()()、遠坂とマキリ(後に『間桐』と改名する一家)と協力して『第三魔法』の成就を達成させようと聖杯降霊を行ったアインツベルンの当主だった者。

 

『第三魔法』、それは『魂』を別人の肉体に定着させたり、永久機関とすることで魂のエネルギーを魔力として無尽蔵に汲み出す事が出来るようになる。

 そして遠坂、間桐家、アインツベルン家がかつて目指していた目的。

 

 そのためだけにユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンは自らを柳洞寺地下に置かれる大聖杯の魔術式を構成する魔術回路に成り、大聖杯と同期した。

 

 200年。

 

 文字にすれば短く、実際の体現とすれば人生を少なくとも二回は経験するような時間をユスティーツァは『一人』でただただ『他者』の『願い』を『叶える器』として『機能』していた。

 

 もはや『生きて』はいなかった。

 

 元あった人格はとうの前に壊れ、ただ機械化していた。

 

 そのような者に三月は微笑みながら親しみを込めて挨拶をする。

 

 当然だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 今のユスティーツァは()()()()()()()()()なのだから。

 

「…………」

 

「うん、わかるわかる! すっごい退屈だよね!」

 

「…………」

 

「あー、うん。 食べ物って皆あんまり考えないけど『やる気』とか『士気』とかに直結するよね! うんうん! やっぱり食欲は大事ね!」

 

「…………」

 

 無言で無表情のままただ三月を見ているのか見ていないか良く分からないユスティーツァに対して三月は延々と一方的に回答(?)して行く。

 

「うん、あと一人だと寂しいよね。 ごめんね? もっと早く来れなくて? でも大丈夫────」

 

 トサッ。

 

 三月がユスティーツァを抱きしめて、顔を沈める。 これをユスティーツァは静かに、感情の無い顔をただ三月に向ける。

 

 

 

 

 

「────私が、()()()()あげるから。 だからもう、無理しなくていいよ?」

 

「…………」

 

 三月はただ静かに抱き待つと、ユスティーツァの『存在』が薄くなっていくのを感じる。

 

 

 

 

 

 そして不意に頭を撫でられ、上を見ると────

 

「────ッ」

 

 うっすらと自分に優しく笑い、消えて行くユスティーツァの顔に息を呑む。

 

「………うん、良かった。貴方は最後に()()()()()んだよね?」

 

 

 

 

 気付けば三月は泣いていた。 

 袖で涙を拭い、決心を改める。

 

『アラヤ』を…………『世界の存続を願う願望(必要悪)』の源を『掌握』するのだと。

 

 

 

 

 

 そこからはブーストのかかった『大聖杯の三月』と『アラヤ』の見えない、普通の人類の体現時間にしては一瞬の『戦争』が繰り広げられ、三月は新たな『アラヤ』と成った。

 

『人類の無意識下の集合体、かつ人間としての感情があるアラヤ』に。

 

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 時は『アラヤ』の掌握から二週間ほど経った後に戻り、三月(本体)はベッドの上で目を覚ます。

 

「……………ハァ~」

 

 少し憂鬱になりながらも起きて扉を開けると────

 

「────ヒィ?!」

 

 三月を見て腰を抜かせながら尻餅をつく『間桐信二』とばったり出会った。

 

「…………………………………………………ハァ~」

 

 更に憂鬱な気分になり、先程より長い溜息を出すと信二はイラっとしたのかムッとした顔を向ける。

 

「な、何だよお前?! 溜息ばかりして!」

 

「……………」

 

 三月(本体)は無言でただ信二を見る。 これを不愉快か不気味に思ったのか、更に叫ぶ。

 

「な、何だよ?! 何とか言ったらどうなんだよ?! ヒッ」

 

 何も言わず手を出す三月(本体)に信二は小さな悲鳴を上げて目を瞑る、『爺さんみたいに何かをされる!』と思いながら。

 

 

 だがやって来たのは痛みなどでは無く、優しく頭を撫でる感触だった。

 

「え────?」

 

 信二は呆気に取られ目を開けるとやはり三月(本体)が自分の頭を撫でていた。

 

「う~ん、見た目だけじゃなくて触り心地もワカメね~。 お風呂ちゃんと入っている? 桜と一緒に後で入ろうか?」

 

「なッ?!」

 

 これに信二は顔を赤くする。 恥ずかしいのか、その他の感情があるのかは不明だが。

 

「ば、馬鹿にするな! お風呂位一人で入れるさ! それに桜は関係ないだろ?!」

 

「あー、可愛いなー(『コレ』が『アレ』に成るのってやっぱりクソ爺(臓硯)の所為なのかなー?)」

 

 そのまま撫で続ける三月(本体)に満更でもないのか信二は顔を赤くしながらも撫でられれ続ける、が────

 

「────なあ、お前………()()()()()()()()()()?」

 

 信二は子供とは思えないような質問をしながら、まっすぐな眼差しで三月(本体)の目を見る。

 

 子供とは言え馬鹿では無く、自分の家系が歪だったのは多少なりとも周りの子供達を見れば明らかだった。

 

 そしてそれは全て間桐臓硯を見なくなった日からガラリと変わり、雁夜達が何かしたのは明白だった。

 

「(流石天才ワカメ、小さくてもズバッと本質を見抜くとは。)………別に? 私の『我儘』よ。 後は………『借り』を『返した』だけ、かな?」

 

「………ハァ?」

 

『何だそれ、訳わかんねえよ』とでも言いたいような顔を信二は作る。

 

 だが三月(本体)はそれ以上答える気が無いからか通路を歩き、朝の支度を済ませる。

 

 そして────

 

「────何これどういう事?」

 

 三月(本体)は様々な人達の溜まり場と化していた間桐家の居間を見ながらそう呟いた。

 

「ロード、そのようなアプローチでは────」

 

「────いやいや遠坂君、それこそが────」

 

「────あ、でも先生。それはそれで────」

 

「────ウェイバー君、ここは先生達の案を聞いて一段落するまで待った方が────」

 

「────おい坊主ちょっとこっちに来て次の手を────」

 

「────征服王、『待ったは無し』の筈だが────」

 

「────うわー! キンキンだー!────」

 

「────ん? 『キンキン』とは何だ? 綺礼、答えろ────」

 

「────ハ。恐らくは『黄金』の名称を子供なりにアレンジしたものかと────」

 

「────マダム、やはり包丁での作業では無く、他の担当に回って────」

 

「────あら舞弥、いくら私でも『味見担当』とかは無いと思うわ────」

 

「────アイリスフィール、ジャガイモの皮むきはいかように────?」

 

「────騎士王よ、この『ぴーらー』なるものが適切かと。以前ウェイバー殿がソラウ様にご教授────」

 

「────うきゃあああああ! ケイネスの前で言わないでランサー────!!!」

 

「────む、呼んだかねソラウ────?」

 

「────きゃああああ────?!?!?!」

 

「────ランサー、前にも言ったが私の事は『アーサー』と────」

 

「────そ、そうか。 いや、そうだったな────」

 

「────ヒィ~ン! 本体ぃぃぃ────!!!!!!!!」

 

 三月(本体)が呆然と見ている中、三月(分体)が涙目になりながらタックルをかます勢いで抱き着いてきた。

 

「────だじげで~~~~~!!! 『一人』じゃ無理~~~~!!!」

 

「…………………………………………………ハァァァァァァ~~~~~~~~」

 

 三月(本体)は長い、なが~~い溜息を出しながら────

 

 

 

 

 

 ────幸せそうに笑いながら、泣いていた。

 

 

 

 小聖杯と大聖杯。

 二つともに正常になり、結局残ったサーヴァント達は全員受肉を希望した。

 

 セイバーは『第二の生』を。

 ランサーは今度こそ自らが主と決めた者達に『忠義』を示し通す為に。

 アーチャーは新たなる『娯楽』を経験する為に。

 ライダーは『この新しい世界を再び征服する!』と息巻いていたが何故か『チエに一局勝つまでは動けん!』と目的が変わっていた(そして陰で密かにチエに感謝しているライダーのマスター)。

 

 第四次聖杯戦争は有耶無耶になってしまったが大体のマスター達はサーヴァント同様、それほど気にしていなかった。

 

 何せ聖杯抜きでそれぞれの願い事は何らかの形で叶っているのだから。

 

 少し『今』とこれから起こる『未来』を掻い摘んで話すと────

 

 

 アイリスフィールは『ホムンクルス』としてではなく、『人間』としての『幸せ』をちゃんと経験する為に今から花嫁修業を。

 

 舞弥はアイリスフィールと切嗣のサポートをこれからも担うつもりで、子守りの手伝いとアイリスフィールに一通りの家事を教える。

 

 ケイネスは聖杯戦争に勝ちこそしなかったものの、『聖杯の解析データ』の一部を時計塔で(全く隠す気もない、凄いドヤ顔で)公表し更に地位が上昇する。 そして正式に『ロード・エルメロイ二世』に後を頼んだとか。

 断じてケイネスが自業自得で忙しくなりすぎて、必死になったソラウが夜な夜な夜這いをかけようとしたり、ソラウが『何時私だけを見てくれるの?』と上目遣いで駄々をこねたり、『主殿、流石に全てを一人で担うのは如何なものかと』と自分の家臣に心配されたり、などなどと。

 決して、決して最後の引き金が『同期達や後輩達と意気投合と面白そうに笑い合うウェイバー・ベルベットを見て嫉妬した自分のお気に入りだった紅茶のコップを握り壊してしまった』などと低浴な理由からの『虐め心』でやった事ではない。

『正式に(ウェイバー)を『ロード・エルメロイ二世』に任命したのには訳がある! 聖杯関連だ! 部外者には口出し無用! 以上だ!』の啖呵を最後にケイネス夫婦とランサー達は『研究』と言う名目上の『保養』で冬木市の別荘で住んだとか。

 これにより生徒達や職員達からランサー宛のラブレターや贈り物(普通+魔術的な物)などが時計塔から殺到してほぼ毎週送られるのに冬木市の郵便局は頭を悩ませたとか。何せランサーが毎回丁重に返しの手紙を送り為に来るのだから。

 ちなみにソラウが妊娠したと発覚した暁には、最初は二児の父親である時臣を頼ったがあまりにも参考にはならず、雁夜を次に頼ったが彼に勧めれて物凄~~~~~~~~~~~~~~く渋々と衛宮切嗣を頼り、意外な程しっかりとした教えが返って来て彼の切嗣に対する偏見が変わったとか、最初の子供の名付け親は切嗣にしたかったが舞弥と三月(分体)に止められたとか。

 

 ソラウは実はそんなドヤ顔やケイネスの言動は全て自分に良い所を見せたい『子供っぽい仕草』に更に惹かれ、彼をもっと『伴侶』として意識し、冬木市滞在中にランサーと舞弥の下でアイリスフィールと共に花嫁修業をしていた。

 ちなみに未だに『妻』と言うのは躊躇がある模様。『あの夜』からのイチャイチャぶりを文字通り直に目にしている上、『分体』が『体験』してしまったので三月からすれば胸焼けどころか心臓から中心に体が溶ける勢いで二人とも『大人』なのに変なところで初々しいなと思っていた。

 え? 何を三月の『分体』が『体験』したかって? 

 だからケイネスとソラウは『あの夜』からイチャイチャしていた。

 ……………………ナニだよ、察しろ。 

 え? もっと詳しく? 

 そんなことしたらR-18指定になっちゃうでしょうが!

 書かないからな! ←絶対とは言っていない ←フラグ立たせるな! ←ハズイから…

 後にケイネスと初の子供ができ、『名付け親は衛宮切嗣にしたいのだが!』と言うケイネスをひっ叩いて三月にしたとか(実はその三月が『衛宮切嗣のネーミングセンスは安直すぎる』とソラウは言われたからどうとか)。

 無事に子供の名前は『ソフィア』と命名され、後にその子が時計塔で『神童の再来』と呼ばれ、『ロード・エルメロイ二世』の胃を更に痛める新たな理由の一つになったとか何とか。

 

 ウェイバー・ベルベットはと言うと、ケイネスとの対聖杯魔術礼装の共同協力から始まった師弟関係は更に強固になり(主にケイネスに振り回され)、ケイネスが『聖杯の解析データ』の一部の公表にも一枚噛んでいた。

 と言うのもちょっとした『出来心』でケイネスがウェイバーにも注目が行くように、『ウェイバー君は良い助手だったよ』と仕向けたのだが、ケイネスと言うある意味捻くれた人物を隣でよく観察していたウェイバーはこのハプニングを逆手に取り、その手腕で時計塔では『凡人の神童』とまで呼ばれ始めていた。

『凡人の神童』は『凡人にしては“神童っぽい”半端さがあるな』と言う意味合いがあった二つ名なのだが、ケイネスは自分と同じ『神童』の文字が入っていたのが気に入らなかったのか、正式にウェイバーを『エルメロイ家』の養子にしたいと発表。

 結果は……………まあ、あと十年もしたら当時の『凡人の神童』がまさか正式に『ロード・エルメロイ二世』となるのは一部の人間達(?)を除けば知る由もない。

 現在では立派に(他者達に無理矢理)引っ張りまわされ、ぐんぐんと『人間』としても『魔術師』としても成長している。

 余談かもしれないが、以前から『もやし』と呼ばれていた彼が何故か八極拳を会得していて、彼や他の生徒を虐めていた者達を説得して(物理的にしばき)、『変に正義感が増したな?』と聞かれると『ある人達の強さと力に憧れた、そしてある人達に自分の正義を持つのは大切な事だと学んだ』と言い、言峰綺礼と言峰套路の下に短期で時計塔からはるばる弟子入りする者達が増えたとか。

 そして後にウェイバーは髪を伸ばすのは冬木の聖杯戦争で出会った『ある人』の影響もあるのだとか(『彼女』と違いただの長髪にしているだけだが)。

 

 遠坂時臣はと言うと勿論、今回の聖杯戦争の結末に納得などしておらず、令呪でアーチャーを使おうとする直前に他の運営全員が必死に止めに入った。 最後に折れた理由は不思議とセイバー運営、ランサー運営、ライダー運営、間桐雁夜やアーチャー達の警告と脅しでもなかった。

 折れた理由はその場に駆けつけて自分の父を守ろうとする遠坂凛がチエを見るなりに「あ! あの時のお姉さんだよ、お父様!」と言ったからである。

 そこからの時臣の態度の豹変ぶりはあの間桐雁夜でさえ全員が不気味がっていた。 

 何しろプライドの塊と『如何なる時も優雅たれ』が口癖の時臣が大勢の前で突然チエに向かって涙を流しながら感謝の言葉をただ繰り返していたのだから。

 正に『鬼の目にも涙』のような場だった。

 今では三月(分体)が『大聖杯』に成り代わったのを知って、間桐家に居座っている彼女との関わり合いを深めようとしている。 遠坂葵と凛は桜に関して最初は複雑な思いばかりだったが、間桐家で心から笑っている桜を見る内に『従妹同士』のような感覚で付き合っていて関係は概ね良好である(現在は『親戚』として今夜の夕食の食材の買い出しをしていた)。

 もし時臣が実は三月(分体)が『大聖杯』どころか『世界の抑止力』に成り代わったのを知るとどうなるか……………

 冬木市どころか、日本が戦地と成り果てるかも知れない。

 もしくは日本を中心に第三次世界(聖杯)大戦か。

 後は時計塔で地位と権力を上げるケイネスとの『良き友人』か『良き知人』の座をアピールしているとかどうとか。 

 そして『凡人の神童』のウェイバーと自分の娘の凛をくっつけようと縁談など進めたが………あとにウェイバーが正式に『ロード・エルメロイ二世』となるのを知っていれば察せるだろう。

 何処かの赤い悪魔が『三月に言いつけるわよ、お父様! 彼女は怒ったらすっっっっっっっっごく怖いんだから!』と言い、一か月もの間時臣と口を聞かず、間桐家に居座ったのは関係が無い…………………………………………………筈。

 

 セイバー運営の更なる詳細はまた後で追記する予定だが……………

 

 最後に、衛宮切嗣は────




三月:えー、只今作者が自分の書いた文章に泣きながら続きを書いているのでコントは無く、かなり短くなります。 ここから少し駄文など含まれていますが読んでくれてありがとうございます。 アンケートのご協力もありがとうございます。 アンケートの期限は最終話まで続きます。 では、よい年越しを! これからもよろしくお願いします! 

次の世界でどんな展開を三月達にさせたいですか?

  • 原作沿い
  • 原作改変
  • 作者に任せる
  • 三月とFATEの関係が気になる、説明求む
  • 本編早よ!
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