バカンス取ろうと誘ったからにはハッピーエンドを目指すと(自称)姉は言った 作:haru970
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間桐雁夜 視点
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「で? 説明しろ三月」
「あ、うん。 昨日臓硯に使ったのは最初に重力魔法でアイツをその場に固定して分身体やら予備の本体を呼び寄せてから次に次元魔で壁とか床とか地面とかの障害物を通り抜けてからの二重構造の上に最後はまた重力魔法でひたすら圧縮したって感じ。 “疑似ブラックホール”って所かな?」
「成程、それは凄いな」
「でしょ! エッヘン!」
「無い胸を張っても────ってそれで騙されると思うかぁぁぁぁ! そこに正座ぁぁぁぁぁ!」
「ハヒィィィィィィ?!」
「お前、俺にはこう言ったよな? “英霊召喚には自分とチエがこっそりと付いて来るから間桐臓硯には気取られない様に言われたとおりに儀式を行えと?”」
「はい」
「そして次はこうだったか? “英霊召喚したら直ぐにサーヴァントに動くなと念話を送れ”と?」
「はい」
「そして“その念話の合図で私が間桐臓硯を拘束及び抹殺の準備に入ってチエはサーヴァントを無力化すると”?」
「……………はい」
「だったら何でそのチエさんが俺のサーヴァントになるんだ?! えぇぇ?! 申し開きはあるか?!」
「一応ある────」
「────だったら前もって言えよ! ビックリを通り越して心臓止まるかと思ったぞゴラァ!」
「ぴえん……」
起こっている俺の前に正座し笑いながら畏まる三月。
当たり前だと思う。
考えても見てくれ、
無茶苦茶を通り越して非常識とも思える(今に始まった事ではないが)。 極め付けは────
「マスター、怒りを維持するのはあまり身体に良くないかと」
「チエさん、今まで通りの呼び名で呼んでくれ」
「ですがサーヴァントは主の事を“マスター”、或いは“ご主人様”と呼ぶと三月が────」
「────頼むから前者はまだしも後者は絶対に呼ばない様にしてくれ」
「承知した、間桐雁夜」
────そう、何故か
「でも雁夜、これは必要な第一歩なのだよ」
三月が真剣な声と顔で言葉を続けた(正座は崩さずに)。
「こうしなければ貴方は
今のチエは肉体があるから維持費は実質ゼロ、霊体化は出来ないけれどそれは魔法である程度カバー出来る。
その上サーヴァントだから運営とか他のマスターに一騎消えたと言う事をごまかせるしこれから行う行動には理性のない
どこをどう見てもWin-win-winの状態じゃん?」
「…………」
「どう? 何かある?」
悔しいが三月の言う通りだ。 冷静に考えれば彼女の言う通りだ。
だが────
「────だが仮にもチエさんは俺の師匠だ。 その様な人をいきなり召使のように────」
「────ちなみに聖杯戦争風に言うとチエには通常のサーヴァントクラスのどれにも適正を持っているわ、実質の“エキストラクラス”ってヤツよ」
「だから俺の話を聞け」
「こんな優良物件余程の媒体と召喚者がいなければ探せないわよ? よ!
「………………………ハァァァァァァァァァァ」
「溜息ばかりすると幸せが逃げるよ雁夜」
「誰の所為だと思っている。それに不気味すぎるんだよ。 マスターと言えば自分や他のサーヴァントのステータスや名前が見える筈なのにチエさんの場合それが全部ぼやけていて全く見えない。 それにスキルや宝具が分からなければ作戦も立てられない」
「あ、それは大丈夫だと思うよ? チエに聞けば良いじゃん?」
「それで良いのか? …いや
「オイ、今のは流石にこたえたぞ。 それに態度軽くなっていない?」
「お前たちの様な非常識な奴らに対して細かい事を気にしていたら気が持たない。それだけだ。 チエさんは名前のままで呼んで良いですか?」
「構わぬ。 或いはバーサーカーと呼んでもいい」
「カモフラージュにはなるか……よし、じゃあ聖杯戦争中はそう呼んでおく」
「承知した」
「因みに形式として聞くけど、チエさんは聖杯にかける願いはあるか?」
「
「え? あ、ああ。 そういえば爺さんがいなくなったから聖杯を手に入れる必要はないのか」
フゥ、これで一応安心した。 これで願いがあるとなると考えたくも無い。
まあでも時臣を見返す事位は出来るか。
「よし、じゃあ次は────」
「────あのカリヤン、そろそろ足がヤバイのですが」
「そのまま正座だ」
「そんなぁぁぁぁぁ!!!」
そこから俺はチエさんの能力、スキルや宝具などをある程度説明してもらい、三月から今後の行動方針などを説明させた(説明したら正座を崩せると言ったらすごい乗り気になった)。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
『ん…………アサシンがやられたわ』
英霊召喚から数日後三月が俺に念話でそう伝えてきた。
『もう脱落者が出たのか、ずいぶん早いな』
俺は寝ぼけている頭を覚醒しながら欠伸を殺した。 今の間桐家はチエさんと三月の陣地作成スキル(の様なもの)で新築並みのリフォームと及び(目に見えないが)要塞化したのである程度は安らげる拠点として機能している。
『でも油断しないで。 恐らくだけどこれは芝居よ』
『どういう事だ?』
『アサシンが遠坂家に侵入してからの迎撃タイミングが余りにも早いし、何より派手過ぎた。 さながら見物の様に“これでもかッ!”って位にね』
『でもアサシンはやられたんだろ?』
『……そうね。 確かに
『成程、アサシンは隠密行動に長けているクラス、無い事も────』
「間桐雁夜、客人だ」
俺は三月との念話を切り壁に寄りかかっているチエさんを見ると部屋に寝ぼけ目を擦りながら桜が訪れた。
「おじさん、まだねないの?」
「間桐桜、間桐雁夜はもうすぐ就寝する」
「あれ? チー姉もいる?」
「ああ桜ちゃん。 彼女とは少し話をしていてね、もうすぐ寝るから桜ちゃんもお休み」
そう言って桜の頭を撫でるが────
「おじさんは………しんじゃうの?」
「え?」
「せいはいせんそうってたたかいにおじさんもするんでしょ?」
な?!
馬鹿な、桜には分からせまいと徹底していたのに……
いや、桜はチエさんから魔法を片手間に習っていた、もしかしてその時に────?
「────桜ね、しっているよ? せんそうってたくさんのひとがいっぱいいてたたかってしんじゃうんでしょ? おじさんもたたかうの?」
「間桐雁夜だけでは無い。 私も戦う」
「それはおじさんやチー姉たちがまほうつかいだから?」
「そうだ」
「………………………やだ」
「「桜ちゃん?/間桐桜?」」
「いやだ! いやだよ! しんじゃやだよ! はなればなれになるのやだ!」
気付けば桜の瞳から大粒の涙が零れて床が濡れていた。
「ヒグッ…………まほうつかえなくていい…………桜を………ひとりにしないで…………」
「桜……ちゃん……」
「うぅぅぅ………」
ああ、何て事だ。
桜には心配しないで欲しいと思って何も話さずにいた事が逆に心配に、不安にさせて泣かすなんて。
血が繋がっていないとしても、養育者としては失格だ。
「心配するな、
「……ふぇ?」
壁に寄りかかっていたチエさんは何時の間にか桜の頭を撫でていた。
「
「チエさん……」
「チー姉……」
「だから案ずるな、桜。 それに私とは約束した、
「うん…………」
「安心して、家の留守を頼む。 帰すべき場所が無いと雁夜は困るからな。 無論、家だけでなく家に桜がいる事の前提だ」
「……………………うん」
本当に安心したかどうか分からないが、桜はチエさんに凭れかかる様にまた眠っていた
「ありがとう、チエさん」
「何の事だ?」
「その………色々だ。 桜も、この家も、俺も………本当に色々とだ」
「礼など要らぬ。 事実を告げただけだ」
「それでもだ。 ありがとう」
俺は未だに表情変えないチエさんに対して頭を下げた。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
『どうカリヤン? 歴史に刻まれた英雄の戦い?』
「す、すごいな」
「流石は英霊と言ったところか」
アサシン撃破から数日。 倉庫街ではセイバーとランサーが凄まじい鍔迫り合いを行っていた。
金属同士の打ち合う音に地面のコンクリートが抉れる音、そして空気を切る音が聞こえてくる。
俺とチエさんは倉庫街にあるビルのうち一つの屋根の上から二人の戦いを見下ろし、三月はさらに高度のある
『えー、こちら
『三月か、聞こえる』
『は~い、連絡も良好本日は月が綺麗ですね~』
『三月、本当に漁夫の利を取らないのか?』
『う~ん、セイバーとランサーは騎士道精神の塊みたいなものだからそうすると多分二騎とも即座に斬りかかって来るわよ?』
『そうか、状況は? ここからは見え────』
「────雁夜。 大気にある水分をレンズ代わりに使え」
あ。
「あれ程華麗な一騎打ちに見入るのは分からなくも無いがそれで自身の注意や集中が散漫になり隙に繋がる。」
「……そうだった、すまない」
俺は集中して周りの空気に漂っている水分、温度差でビルや地面に残っている水滴を自分の前に集結させて簡易な望遠鏡を作る。
「その通りだ、かなりの進歩だぞ雁夜」
「ハハ、チエさんや桜には程遠いけどね」
「僅か一年でここまで上達するのは異例だぞ、誇って良い。 特に普通の人間でならば。 雁夜が一億のうち一人の才を持つとしたら桜は十億の一人の才を持つ。 だが才を生かすのも殺すのもその者次第だ」
「そっか、お世辞でもありがたい」
「世辞を言ったつもりは無いが────む?」
俺はセイバーとランサーの方に視界を戻すと二人ともちょうどお互いの腕の健を切った。
『
見上げた夜空から稲妻が迸りセイバーとランサーの間に落ちながら、一台のチャリオットが二人の間に降り立った。
「双方、剣を収めよ!王の前であるぞ!」
ライダーは両手を大きく広げて、盛大に声を出した。
『“我が名は征服王イスカンダル! 此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスを得て現界した!”って…………この人が征服王なの?』
三月の呆れた声に俺とチエさんは心の中で同意し見るからにセイバーとランサー、そしてセイバーのマスターらしき女性も突然の出来事に戸惑っている。
『えーと、ライダーの略をすると“隠れている奴ら出て来い! 出て来ないなら俺はお前らを侮蔑するぞ”。 あ、もう少しでアーチャーが出てくるわ。 そこからはチエ、貴方にかかっているわ。 私は別件で動いているからすぐに反応出来ないかも知れない。ご武運を!』
「承知した。 雁夜、心構えは良いか?」
緊張で喉が渇き、身体の震えが収まらない。
聖杯戦争が始まって数日、下手したらここでゲームオーバーになるかも知れない。
だが────
「俺には…………帰るべき場所と……………帰りを待っている子がいる!」
「………では行くぞ、雁夜! 私に続け!」
「ああ!」
チエさんが屋根伝いでセイバー、ランサー、ライダー、そして今出てきたアーチャーの場所へと走り、俺も後を追う。
屋根から屋根へと飛ぶ間に俺は自身の身を守る魔法を重ねて練っていった。
ビルから飛び降りたり、空中へ回避した後の落下ダメージをゼロにする反重力。
身を物理及び魔から固める殻の様な大気物資を利用した守護。
任意で反応速度とそれに付いて行ける精神強化の第三観客。
そして最後に自動発動式
「ウ、グゥゥ!」
今まで習得した防御魔法を重ねる度に身体の関節が悲鳴を上げ始める。 特に最後の二つは今の俺では使用数と時間、
三月達の補助があってもこれか。とは言え一年で使えると言うのはやはりこの魔法は侮れないし心強い。
チエさんが速度を落とし、俺は一足先に英霊達が集う場所へと降り立ち、チエさんが続いて俺の後ろに降りる。
「初めましてとこんばんは、マスターと英霊の皆様。 俺の名は間桐雁夜。 今後ともよろしく」
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チエ 視点
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間桐雁夜の挨拶にセイバーとランサー達は驚きに目を見開き、あの“うぇいばー”と言う童はさらに顎が外れそうな程口をあんぐりとした表情で間桐雁夜を見る。 ライダーと名乗った巨男は顎鬚を擦りながら感嘆の声を上げ、外灯の上に立つアーチャーは目を細め私と間桐雁夜を互いに見る。
うむ、時々殺気を修業中や日常の中の彼に放った事は功を現している様だ。 最初の頃はその度に河原と自身の部屋へと何故か行っていたが、この頃は身体が咄嗟に反応し殺気が発する方向へと向くようになった。
効果は上々だ。
そこに間桐雁夜と私は頭を垂れて彼は言葉を続ける。
「お初にお目にかかる。騎士王、征服王……………そして王の中の王、英雄王ギルガメッシュよ」
アーチャー以外の者達が驚愕の表情や声を出すのを感じた。
「ほう……我を知っているか、雑種共」
「その面貌に溢れんばかりのオーラ。 例え名が伏せられていようとも拝謁させていただければ直ぐにお分かりになりました」
アーチャーの後ろに展開していた宝具、「
「そこそこ口が達者のようだな。 面白いぞ。 許す。面を上げよ」
「はっ」
「マトウカリヤ、と言ったな。 貴様もだが、随分と面白いモノを連れているな。 そこな雑種共とは比較にならん代物だ」
私の事か。 やはり地球で記録されている原初の英雄、即座に看破するとは………
面白い、契約中でも是非とも戦いたくなる相手だ。
「勿体無きお言葉、感謝します」
「故に光栄に思え、カリヤ。 その者を我に捧げれば貴様を我の臣下となる機会を与えよう」
やはりアーチャーとライダー、同じ絶対の“支配者” としての言葉。 だが重みが違う。
ライダーは断っても良い“提案”が、アーチャーに関しては“命令”。
断る事は即ち死を選ぶと言う事に等しい。
“だが敢えて言おう────
「嬉しい申し出ですが、断らせてもらいます」
────断る!”っと三月が方針の説明中にそう言っていたな。
間桐雁夜はその時震えていたが、あれは武者震いか?
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間桐雁夜 視点
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ハッキリ言おう。
滅茶苦茶怖い!
心臓が飛び出そうだ!
「初めましてとこんばんわ、マスターと英霊の皆様。 俺の名は間桐雁夜。 今後ともよろしく」
俺は先程セイバーとランサーが衝突する前に三月から聞いた方針を思い出しながら言葉を慎重に選び、声に変える。
【まずは雁夜がチエと飛び出て皆の注意を引く。 他のマスターたちの取り寄こした媒体などから呼び出さられる英霊には既に目星が付いているわ。 だけどその中でも特に気を付けないといけないのは英雄王よ。 だから彼だけを真明で呼ぶ】
「お初にお目にかかる。騎士王、征服王……………そして王の中の王、英雄王ギルガメッシュよ」
「ほう……我を知っているか、雑種共」
「その面貌に溢れんばかりのオーラ。 例え名が伏せられていようとも拝謁させていただければ直ぐにお分かりになりました」
あ、何か威圧が非常に、ごく僅かに和らいだ感じがする。
「そこそこ口が達者のようだな。 面白いぞ。 許す。面を上げよ」
「はっ」
ホッ。
【英雄王ギルガメッシュは最大限の敬意を表していればすぐに斬りかかって来ない筈、そして貴方は魔法を使えるから彼は貴方に更に興味を持つ筈。 これが大事よ。 何せ他のマスターやサーヴァントがあの英雄王ギルガメッシュが特別扱いする貴方に注目しない訳が無い】
「マトウカリヤ、と言ったな。 貴様もだが、随分と面白いモノを連れているな。 そこな雑種共とは比較にならん代物だ」
ん? それはチエさんの事か。
若干三月と言っていた事と違うが問題は無い………筈…………
【そして英雄王ギルガメッシュの関心、そして他の運営の注目を逆手に取る。 恐らく貴方を“我の家臣になる名誉を与えよう”とか言って来る筈だからそれを突っぱねなさい】
それを聞いた俺は(かなり)酷く動揺した。
【何ならファ〇クユージェスチャーをしながら断っても良いし、明らかに強い彼の方を睨んで“だが断る!”とかも良いし、狂っているパーフェクトソ〇ジャーモドキみたいに“
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。
無理無理無理無理無理無理無理。
「勿体無きお言葉、感謝します」
ここはルポライター時代の時のように、スムーズに。かつ冷静に────
「故に光栄に思え、カリヤ。 その者を我に捧げれば貴様を我の臣下となる機会を与えよう」
………………………………………何だって?
この金髪野郎は今、何て言った?
チエさんを“捧げろ”と言ったか?
「嬉しい申し出ですが、断らせてもらいます」
三月に感化された訳ではないが。 この間桐雁夜、全力で断固否定しようではないか!
あ、何か威圧が爆発的上昇したような…………
だがもう、後戻りは出来ない。
「ほう? 王たる我の命令に背く事が何を意味するか……解せぬ訳ではあるまい?」
「ああ、理解している上で断る」
【まあとにかく、英雄王ギルガメッシュみたいな慢心の塊を代表するような奴は即座に貴方を切る捨てるでしょうね。 そこで私たちが教えている魔法の出番って訳】
「では死ね」
アーチャーの背後から音速を超えた武具が俺目掛けて放たれ、着弾と同時に爆発する。
各々のマスターは雁夜の死を確固たるものだとした。
何せアーチャーの打つもの一つ一つが並みのサーヴァントならば致命傷を与えかねない武具、ましてや人間が避ける、防御する手立ては無い。
各々のマスターやサーヴァントは彼を愚かだと決めつけていた。
だが…
「………なに?」
爆煙が晴れるとそこにはクレーターがあった。
が、既にサーヴァントの視線はそこに向かれておらずアーチャーの向かい側にある外灯の上に間桐雁夜と彼のサーヴァントと思わしき黒い着物を着て、腰に布を巻いた棒を付けている長い黒髪に赤目の十代後半の女性の二人が立っていた。
その場にいた全員が呆気にとられた。
「あれが、彼と彼のサーヴァントの力?」
「……坊主。 あの女、サーヴァントとしちゃあどれ程の者なんだ?」
「…………分からない」
「何?」
「だからぁ! 分からないんだってば! 情報に全部フィルターが掛かったように見えないんだよぉ!」
最早悲鳴にも近いウェイバーの叫びにセイバーとランサー運営もギョっとした様子でウェイバーの方を見た。
驚きに満ちた表情で見据えられたウェイバーは一瞬睨まれたのだと勘違いして萎縮するも、蚊のような小さな声で呟く。
「スキルやステータスはおろか……クラスさえも見えない……………」
セイバーは歯噛みしながら剣を構え、既に頭の中ではいかに不可解なあれと敵対せず離脱するかのみを考えていた。 全快時ならともかく、今はあれと対峙し他のサーヴァントを退けるのは無理だと直感が告げている。
ランサーは自身に勝ち目が無い事は分かってしまっていた。 彼は見た。 アーチャーの宝具の一発目を
しかも一発目が迫る中、彼のサーヴァントの女性は全く反応出来なかった………
ではなく、あれは圧倒的余裕からの無反応だとランサーは悟って彼はその一瞬の出来事で鍛え上げられた戦経験では埋めようのない圧倒的差に心の奥底で既に敗北を認めつつあった。
対照的にライダーは不敵に笑い、目を光らせていた。強ければ強い程に征服する価値があると。サーヴァントに対しては倒してから誘いをかけた方が面白そうであるとそう思い、先程のように言いかけていた言葉を発さなかった。
そして最後にアーチャー、英雄王ギルガメッシュは────
「痴れ者が……天に仰ぎ見るべきこの俺と同じ場に立つか! その不敬、万死に値する!」
────怒りを露わにしながらブチギレていた。
王自ら同じ目線に立つ。
かの王が同じ場に敢えて立つと言うのであればそれも良かったかも知れない。
だが自らの意思ではなく、ましてや赦しを得た訳でもない者が自らと同じ目線に立つと言う事はアーチャーの逆鱗に触れるに足る十分な理由だった。
そしてアーチャーの背後に現れた大量の宝具。 圧倒的物量に誰もが青ざめ、かの英雄王ギルガメッシュの敵意と殺気の矛先である雁夜とチエはと言うと────
「なあ
「問題無い。 むしろ何故避けて欲しかったのが愚問に近い」
────全く意に介していなかった。 そしてそれがより一層アーチャーの激情という噴火しそうな火山の中に油を注ぐのだが、そこでアーチャーが何もない空間へ向けて吼えた。
「ッ! 貴様ごときの諌言で王たる我に退けと? 大きく出たな、時臣!」
アーチャーは怒りに顔を歪めたまま、展開していた宝具を消す。
「雑種共、次までに有象無象を間引いておけ。俺と相見えるのは真の英雄のみで良い!」
そう言い残すとアーチャーは金色の粒子となりながら、その場から姿を消した。
残されたのはセイバー、ランサー、ライダー、そして間桐雁夜とチエ。
背を見せればその時点で後ろから討たれる。
背後から討たれたともなれば、騎士であるセイバーやランサーにとってはこれ以上ない屈辱。 王であるライダーにとっても背を見せて討たれたともなれば、自らを決して許す事は無いだろう。
故に視線を間桐雁夜とチエの二人組へと向けたまま、誰もが一歩も動けずにいた。
それはこの場を離れた位置から見て、マスターを殺す機会を伺っている衛宮切嗣や隠蔽の魔術で肉眼視出来ないようにしているケイネス・エルメロイ・アーチボルトも同様であった。
緒戦にして、令呪を使用しての逃走は今後の戦闘に支障をきたすと考える衛宮切嗣。
武勲を上げる為、参加した聖杯戦争で真っ先に逃走するなどプライドが許さないケイネス・エルメロイ・アーチボルト。
理由は違えど、両者共に行動に移せずにいた。
そしてそれこそが彼等の運命を狂わせる事となる。
『あーこちら晴天なり、晴天なり。 こちら
「了解、チエさん。 それっぽい動作頼みます」
「承知」
チエは片手を上げ、人差し指を空へと差すとサーヴァント全員が身構える。
「『天蠍一射《
何も起こらない事に訝しんだ皆だがその瞬間、空から飛来物がコンテナや倉庫へ向けて降り注いだ。
「こりゃ不味い!」
「バカ! 言ってないで逃げるぞライダー!」
「今回ばかりはそれが良さそうだわい、はぁ!」
ライダーは戦車を走らせ倉庫街から離脱し────
「主よ!」
ランサーは我が身を省みずにケイネスのいる場へと一目散に向かうがその場にはすでに幾つもの飛来物が降り注いでおり、生存は絶望的に近いと見えた────
「アイリスフィール! キリツグは────!」
「────分からない! けれど貴方がここにいると言う事は自分で何とか出来ると判断したからの筈よ!」
「では捕まって下さい、離脱します!」
セイバーは左腕でアイリスフィールを抱え、
作者:う~ん、久しぶりにFate/Zeroアニメ見ると迫力あるな~
アーチャー:おい貴様、何だこのふざけた真似は?
作者:ギ、ギルガメッシュ王?!
アーチャー:様を付けぬか戯け! 何だこの如何にも“我、空振りしてます”表現は?!
作者:ひぃぃぃぃぃ! お許しを~~~!
アーチャー:大体なんだこの最後の空からの攻撃は?! 我とキャラ被りしているではないか!
作者:…………………え、そっち?
アーチャー:当たり前だ! 我よりカッコ付けようなどと万死に値する!
作者:………(コソコソ
アーチャー:おい貴様、今何を隠した?
作者: ギクッ。 いや、ナニモアリマセンヨ?
アーチャー:見せろ。
作者:あー、駄目です王よ! それは特殊なギアススクロールです! 見た者を瞬く間にギアスを掛ける代物です!
アーチャー:我にそんな物が通用すると思うか? 戯け。 どれどれ…
作者:(脱兎の様に場から逃げていく)
アーチャー:“これからのぷろっとまとめ”? 何だこれは……………………………………………………………………雑種ぅぅぅぅぅぅぅ!!!!(ヴィマーナに乗り作者の後を追いかける)