バカンス取ろうと誘ったからにはハッピーエンドを目指すと(自称)姉は言った   作:haru970

5 / 27
バーサーカーじゃないバーサーカーがバーサーカーやってバーサークします。


第5話 激おこぷんぷんドリーム、歯ぁ食いしばれぇ!

 ___________

 

 三月 視点

 ___________

 

「フンフフンフフ~ン♪」

 

 私は()()()を終えて倉庫街に()()()()()()()戻るとちょうどセイバー、ランサー、ライダーと雁夜達が睨み合っていた状態だった。

 

「お、ちょうど良いタイミングに戻ってこられた。 さてさて“武力加入~”と行きますか────!」

 

『────あーこちら晴天なり、晴天なり。 こちらAWACS(早期警戒管制機)及び“空飛ぶトーチカ”。 Curly1(カーリーワン)とCurly2(カーリーツー)の報告! お待たせ二人とも! 今から援(・)護(・)射(・)撃(・)を開始する! 再度通告、今から援(・)護(・)射(・)撃(・)を開始する!』

 

 三月は一旦空の中を止まり星空が輝く空を見る。

 

「おー、ちょうど良い具合にデブリがうようよしてる~。 じゃあ君達と君、あと変な球にトゲトゲの君に決めた!」

 

『三月、こちらはそれっぽい動作をしたぞ』

 

「チーちゃんはや?! なんちゃって『王の財宝(ゲートオブバビロン)』!」

 

 三月は空へと上げた両手を下へと振りかざすと様々な飛来物が倉庫街を目掛けて落ちて行った。

 

「うんうん、これで他の運営も監視者も否が応でも警戒するでしょ………()()()()は…………うん、大丈夫ね。 帰ってお風呂入って桜ちゃんとゴロゴロし~よっと!!」

 

 ___________

 

 時臣運営 視点

 ___________

 

 アーチャーギルガメッシュ王のマスター、遠坂時臣は先日の倉庫街の事を考える。

 セイバーとランサーに釣られたライダーの挑発に応じた自らのサーヴァントアーチャー。 英雄王ギルガメッシュの行動は頂点に立つ王としてのプライドからああいったことになるのは理解出来た。

 ただ同じ目線に立つと言うだけで我を忘れる程激怒するまでは想定外だった。

 だが時臣はそれしきの事で頭を悩めている訳では無い、ましてこちらの手の内を晒す事は避けたかったが。

 

 けれどそれ以上に問題と見ているのは間桐雁夜の言動とそのサーヴァント、()()()()()()であった。

 

 まさか自分のサーヴァントの真明を他の運営が集まっている中で口にするとは……………それに雁夜自身が()()()()()()と呼んだ女性のサーヴァント。 

 

 本来狂戦士(バーサーカー)は基礎能力等を大幅に強化する代わりに様々な欠陥を伴うクラスだった筈。 だがあの落ち着き様と行動は何だ? 

 

 初めはマスター自身が姿を晒すなど愚行を犯した雁夜に対して侮蔑と嘲笑を隠し得なかった時臣だが、そこでアーチャーの真名をあっさりとバラしてしまった事に度肝を抜かれていた。

 

 何故ならバレる要素など皆無に等しい。 矛を交えていれば看破される可能性はある、だがほぼ初見から見抜かれ他のマスター達がいる中告げられ、ギルガメッシュ本人がそれを肯定した。

 マスターである時臣にとっては最悪の事態である。

 

 しかも信じがたい事にギルガメッシュの攻撃を雁夜は逸らし、人間には到底無理な速度で次の攻撃をサーヴァントと共に避けていた。

 その上雁夜のサーヴァントは自身のマスターが攻撃されているにも微動だにせず、まるで何もない関心を持っていない態度。 まるで“これがどうした”という圧倒的強者の余裕。

 

 間違いなく自分は最強のサーヴァントを呼び寄せたと確信していたに関わらず、その場にいたアサシンとの視覚、聴覚を共有していた綺礼からの報告時の時臣は優雅の欠片も無い驚きの声を上げ、報告していた綺礼も明らかに動揺が声に感じ取れていた。

 この連続の出来事を無策にもゴリ押しで闘うギルガメッシュに令呪を使用し撤退させた。 無論、令呪に強制的に撤退させられたギルガメッシュ本人は当時かなり頭に来ていて数日後の今になってようやく怒りを鎮め、ソファーの上でワインを飲みながら寛いでいた。

 

 時臣は自分の手の甲に残っている二画を見てこれを使えばあるいはあの場で雁夜と彼のサーヴァント共々倒す事は可能かも知れないと思ったが、そこまですれば確実に英雄王ギルガメッシュとの関係は維持出来なくなる。

 

 そして雁夜のサーヴァント。 緒戦だと言うのにまさしく流星群を降らせると言う並みの宝具を超える神秘を見せた女性はあの時確かに『天蠍一射(アンタレス・スナイプ)』と宝具の真明を言っていた事に書類や情報をかき集めてサーヴァントの正体を急遽突き止めようとした。

 『Antares』とは蠍座の事を意味し、『Snipe』は狙撃または弓矢での遠距離狩。

 

 ここまでくれば自ずとも射手座に由来するサーヴァントになる、そしてそれはギリシャ由来の英雄の可能性が高くなるが女性で狩り人と名高き有名なのはアトランテがすぐに出るがそれも違うような気が……………

 

 と思いアーチャーのクラスは自分が既に召喚していた。 バーサーカーなのにあの威力と落ち着いた行動。 頭を更に悩ませた時臣はハッと何かに気付いたかのように未だに寛いでいるギルガメッシュに目が行く。

 

「英雄王、一つお尋ねしたい事があります」

「くだらぬ問いを投げかけると言うのであれば即刻首を刎ねる」

 

 何の事でもない様に声を返すギルガメッシュだがそれ嘘偽りのない言葉、何せ彼の現界した理由は自らの財であろう聖杯を他の者に盗まれるのを阻止する異例の理由でありマスターに依存してまで現界を維持するなど考えてもいない。

 

「間桐雁夜と彼のサーヴァントの事です。 王はあの二人を見て、“面白い”とそう仰られました。それはどういった意味合いなのですか?」

 

 時臣が気になるのも仕方がない、何せ間桐家は雁夜を急造のマスターとして仕立て上げられた筈。 いかに優れた英雄の媒体を使ったとしてサーヴァントに興味を持つのはあるとしても、間桐雁夜のような存在は英雄王などからしてみれば醜悪だとして嫌悪を示される方が正しいとさえ思っていたからだ。

 

 その問いにギルガメッシュはグラスに入ったワインを眺めながら言葉を紡いだ。

 

「あの二人は“異常”、いや“異端”だ。 貴様ら()()()()()では到達する事の無い極地にいる」

 

「と言われますと?」

 

「天上天下において真の王は我のみであるように、カリヤが連れていた者のような存在は奴以外にあり得ない。

 そしてカリヤは影響を受けているのか人の身でありながら、奴は人の身では到達する事のできない境地にいる。矛盾しているが、それ故に“異端”なのだ」

 

 ワインを飲みながら愉快そうに嗤うギルガメッシュだが、時臣は心中穏やかではない。

 今の発言が正しければ間桐雁夜は急造の魔術師では無く、それ以上の存在と言う事になる。

 

 こと聖杯戦争においてサーヴァントが強力であればサーヴァントの魔力を補給し、サーヴァントの生命線とも言えるマスターを始末すれば良いが間桐雁夜にこの手は通用しないかも知れない。

 

 何れにせよ、遅かれ早かれ聖杯を求める者同士であれば間桐雁夜とは相見える事になりその時に正体が分かる筈。 と時臣は考えた。

 

 あのカリヤという奴のサーヴァント………久しく感じなかった神代を思い出す…………となれば神霊の類か。 中々どうして面白い。 あの者たちは我自ら裁きを下すとしようとその時ギルガメッシュは考えていた。

 

 この時思惑は違うと言えど、アーチャー運営の目的は一致していた。

 

 ___________

 

 三月 視点

 ___________

 

 倉庫街での戦闘から数日経った日三月はとある森の中の城の上空へと来ていた。

 

「う~ん、何時見ても立派ね~」

 

 そう独り言を言い彼女は探している人影を城の外にいるのを見つけ、高度を下げ音も無く降り立った。

 彼女の前には黒髪黒目に黒のロングコートの男、魔術師殺しの衛宮切嗣が立っていた。

 

「……………」

 

 そこに新たに表れたのは銀髪で赤眼の美人、衛宮切嗣の妻アイリスフィール・フォン・アインツベルン。

 衛宮切嗣はアイリスフィールが来たタイミングからか、彼女に問いをかけ二人は三月が()()()()()()()()()()かの様に振舞っていた。

 

「もし…もし僕が……僕が今ここで何もかも投げ出して逃げ出すと決めたらアイリ、 君は一緒に来てくれるか?」

 

「イリヤは城にいる、あの子はどうするの?」

 

「戻って連れ出す。邪魔する奴は殺す!………それから先は、僕は僕の全てを君とイリヤのためだけに費やす」

 

「逃げられるの……私達?」

 

「逃げられる! 今ならば……まだ────!」

 

「────嘘」

 

「?!」

 

「それは嘘よ。あなたは決して逃げられない。聖杯を捨てた自分を……世界を救えなかった自分をあなたは決して赦せない。きっとあなた自身が最初で最後の断罪者として衛宮切嗣を殺してしまう」

 

 三月は切嗣とアイリスフィールのやり取りを見て、どこか懐かしい様な、そして悲しげな表情で見ていた。

 

「(ああ、やっぱり。 ()()()()はアイリスフィールとイリヤの事を────)」

 

「────切嗣」

 

「敵襲か。舞弥が発つ前で幸いだった。今なら総出で迎撃できる。アイリ、遠見の水晶球を用意してくれ」

 

『三月』

『チエ?』

『まだか?! まだなのか?!』

『ちょ、チエ落ち着いて────』

『貴様、この外道がいる事を知っておきながら────!』

『この作戦はタイミングが全てモノを言う。 外せばカリヤンと貴方だけではなく私も命が危ないわ』

『くッ…………分かった』

『ありがとう、チエ』

 

 ___________

 

 セイバー運営 視点

 ___________

 

 アインツベルン城には十数人の子を引き連れたキャスターの姿があった。

 魚のように飛び出た不気味な目をギョロつかせ、子供達を見渡す。

 

 子供達は暗示をかけられているのか、虚ろな表情と終点の合っていない目をしていたが、キャスターが指を鳴らすと同時に正気を取り戻したかのように辺りを見渡す。

 

『さぁさぁ、坊や達。鬼ごっこを始めますよ。ルールは簡単です。この私から逃げ切れば良いのです。さもなくば────』

 

 キャスターの手が一番近くにいた少年の頭に乗せられる。

 魔術師のクラスのキャスターで現界しているとはいえ、サーヴァントの身であるジル・ド・レェの腕は筋肉質で子どもの頭程度であれば容易に握り潰す事が容易である事が見て取れた。

 

 その瞬間、セイバーの未来予知にも等しい直感スキルが最悪の未来を想像させる。

 

 脳漿をぶち撒け、血飛沫を辺りに飛び散らせるその光景を。

 

 セイバーはマスターである切嗣の判断やアイリスフィールの言葉を待たずして、キャスターの元へと向かおうとしていた。

 

 “今からでも一人くらいは助けられるはずだ”と希望を持ちながら。

 

 キャスターに対する激情に心を燃やしながらも、聖杯戦争とは無縁の子供達に自身が到着するまで逃げ延びてくれと祈りながら。

 

 悠長にしている暇はないと扉に手をかけた時だった。水晶玉の向こうで咲く鮮血。それは哀れな少年の頭蓋骨…………ではなく────

 

『────グアァァァァァァァ?!』

 

 キャスターの腕だった。

 

『口を閉ざせ、外道』

 

『ぶべらっ?!』

 

 キャスターの腕を切り、そのままの勢いでキャスターの顔面に蹴りを入れ彼を木々へと吹き飛ばしたのは間桐雁夜のサーヴァントの()()()()()()であった。

 

『大丈夫か?』

 

『………』

 

『どこか傷んでいないか?』

 

『……う、うん』

 

『そうか』

 

 その光景に遠見の水晶越しで見ていた誰もが呆気に取られた。

 セイバーやアイリスフィールはそうだが、表情の変化の乏しい舞弥でさえ驚愕に染まっており、切嗣に至っては手に握っていたキャリコを危うく落としかけた。

 

「キリツグ。これは────?」

 

「────分からない。ただ一つ言えるのは、恐らくこの場にはマスターである間桐雁夜が来ている可能性が高い。と言う事だ」

 

 倉庫街での出来事を皆思い出す。

 

 途中で乱入してきて、あの場を強制的に終了させた()()()()()()のサーヴァントとそのマスター。

 

 あの場にいた全マスター、全サーヴァントが()()()()()()()()()に対して、逃げの一手を選んだ。

 

 見せつけるかの様に降らせた流星群による絨毯爆撃にも近い行いに切嗣は久しく忘れていた確固たる命の危機を感じながら、自身の体内時間を加減速する魔術、固有時制御を駆使し、文字通り、舞弥と共に命からがら切り抜けた。

 

 流星群を降らせる英霊なんて聞いた事も無い………が、どれだけサーヴァントが強くともマスターさえ倒してしまえば勝機はあると言うセオリーに切嗣は動くとしていた。

 

 ましてや、サーヴァントの能力が高いのなら魔力消費も尋常じゃないはず。マトモに闘える魔力すら残っているか怪しい所だ。何故なら雁夜は急造の魔術師であるとの情報だった。

 

 ケイネスや時臣の様な優れた魔術師であるならば、サーヴァント共々闘う事の出来る余力がある可能性もあったが、サーヴァントを闘わせるのがやっとで抵抗に費やせる魔力も体力も残っていない筈だ。

 

 それにサーヴァントの能力が高いのならば雁夜がアーチャーの攻撃に対して生き残れたのも恐らくはそのサーヴァントの何らかの恩恵を与えられていたに過ぎない。

 しかもそれは自動発動ではなく任意発動の類。でなければ雁夜の魔力が持たない筈。

 

 切嗣はその前提で考え、次の行動へと移った。

 

「セイバー。キャスターをあのサーヴァントと共に打倒した後、その場で足止めをしてくれ。その間に僕が奴のマスターを叩く」

 

「! わかりました、キリツグ。くれぐれもお気を付けて」

 

「ああ」

 

 セイバーはスーツ姿から鎧姿へと刹那のうちに服装を変化させるとすぐさまキャスターとサーヴァントのいる戦場へと向かい、その最中でふとある事に気付いた。

 

 “そう言えばキリツグは私と普通に話していましたね?”、と。

 

 それに気付いたセイバーは悟った。 

 切嗣は見た目こそ平静さを取り繕っていても、混乱を極める戦場にいてサーヴァントを無視するという行為を素で忘れてしまう程にテンパっていたという事に。

 

 ___________

 

 チエ 視点

 ___________

 

 チエは怯えて寄って来る子供達に囲まれながら静かにキャスターが蹴り飛ばされた方向へと眺めていた。

 未だにキャスターに起き上がる気配は無かったが逃げた訳でも死んだ訳でも無く、辺りに漂う狂気がそれを物語っている。

 

 静かにしているチエだが、内心は荒れ狂う負の感情の怒りに満ちていた。

 “この腐れ外道をやっと滅する事が出来る”、と。

 

 時は少し前、今数時間ほど遡る。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「チー姉、桜といっしょにねてくれる?」

 

「激突だな桜、人肌が恋しくなったか?」

 

「?????」

 

「いや、何かあったのか桜?」

 

「うん。 さいきんね、テレビでわたしぐらいのこがいなくなるの」

 

 ……どういう事だ? 

 

「分かった、良いだろう」

 

「ありがとうチー姉! えへへへ」

 

 そこから一緒に桜の寝室へと向かい、チエの隣で横になっていた桜が寝息をするとチエは三月へと念話を飛ばした。

 

『三月、先程桜から聞いたのだが近頃子供が家からいなくなっていると。この事をお前は存じていたか?』

『あー、それね。恐らくだけどキャスターの仕業ね』

『何だと?』

『奴の所に向かう、今来られるチエ?』

『5秒待て』

 

 チエは素早く枕に自分の羽織っていた上着を乗せて桜の隣に置き三月と雁夜がいる居間へと移動した。

 

「あ、チエ。 早かっ────ブッ?!」

 

「チエさん?!」

 

 チエは三月の傍に来るなり三月の顔面をグーで殴り、三月はその勢いからソファーから吹き飛ばされその間にチエは簡易の防音結界を張り────

 

「────貴様! これはどう言う了見だ?!」

 

 普段表情や声のトーンを変えないチエが起こって床で転がりながら顔を隠した三月に怒鳴っていた。

 

「アグァァッ────」

 

「────え? え? え?────」

 

「────貴様、この事を知っていて尚私に隠していたな?! 雁夜! 貴様も共犯か?!」

 

「えええええ?! な、何の事だチエさん?!」

 

「ウッ…………それは………わらしがぜつめいする」

 

 三月は鼻を抑えながら体を起こし、説明をし始めた。

 

 曰くキャスター運営は聖杯戦争に()()()()()

 だが今まで尻尾を捕まえなかったのは彼らが慎重に慎重を重ねて痕跡の隠滅を徹底し鬼で出身であったからと。

 そしてマスター共々()()()()()()()()()()()()()()だと。

 

「何故私から隠していた? 申せ」

 

「…………私が伝えてなかったのは、そうすると貴方は感情に任せて怪しい場所を片っ端から()()から」

 

「当たり前だ! 貴様と言う者がこの事を知っていてッ! 何故隠した?!」

 

「……………ごめんなさい」

 

「申せ! 貴様などにかかればこの外道達の住処や行動を把握するのは容易い事だ!」

 

 怒りが未だに抑えられずにいたチエに三月頭を床に擦るように土下座をし、震えながらひたすら“ごめんなさい”と謝るだけだった。

 蚊帳の外になっていた雁夜は驚いていた。 初めてこれだけ感情を露わにしたチエに対しても、何時もお調子者の三月が苦しい声を出しながら土下座をし謝っていた事にも。

 

「…………さっき貴様は奴のいる場所に向かうと言っていたな、三月?」

 

「………ええ」

 

「ならば案内しろ」

 

「ええ、元からそのつもりよ。 移動がてら、作戦を説明するわ。 しくじったら、更に子供が死ぬ事になる」

 

「時間が無いな、行くぞ!」

 

 雁夜は何時になく怒りと闘志を出しているチエにビックリしながらも、チエと三月の後を追った。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「ヲヲヲヲノレェェェェェ!!! 神聖な儀式を邪魔しおってェェェ!!! 異界の化け物達に全身を引き裂かれて狂い悶え死ぬが────!」

 

「────黙れ」

 

 チエは冷たい声を出し、キャスターのもう一つの腕が宙を舞う。 彼の傍には何時の間にか腰から抜刀し、刀を持っていたチエがいた。

 

「アアアアアアアァァァァァァァ! ワタ、ワタシのウデェェェェ?!」

 

「口を塞げ外道。 貴様は息をするに値しない」

 

 両腕を切り落とされたキャスターは何とかこの場から逃げようとするがチエが次々の部位を切り落としていく。

 

「カヒュ、ヒュー、ヒュー……オ…マエ………ハ」

 

 息が絶え絶えになっているキャスターをチエは汚物を見るような目で見降ろしていた。

 逆に見上げているキャスター、ジル・ド・レェーは自分の目を疑うような物が映っていた。

 

 目の前に立っている女性は恐ろしい。 髪の毛がザワ付いているかのように風も無いのに揺らんで、彼女の周りには人魂のような浮遊物が無数に彼女の周りを漂い彼女の頭には何かの獣の耳のような錯覚と彼女の腰の後ろ辺りからは幻覚の様に()()()()()()()()()()()()()()()があるように見えた。

 

 そして彼女の目は赤眼のままだが瞳孔の形が()()()()()()()()へ変わっていた。

 

「ケ…モノ………ノ……ブンザ…イ………デ────」

 

「────死ね」

 

 チエの言葉の最後にキャスター、ジル・ド・レェーの首が胴体から離れ、身体が金色の分子へと変わり消えた。

 

「…………フゥー」

 

 チエは息を吐きだし、子供達のいる場所へ戻った時には既に姿も表情も何時ものチエへと戻っていた。

 

「先日ぶりだな。 ()()()()()()のサーヴァントよ」

 

「………ランサーか」

 

 何故そこにランサーがいるかと言うとケイネスが手負いのセイバーを討ち取り、そしてそのマスターを打倒するためにこの場に訪れようとしたのが、原因だった。

 偶々、同じタイミングでアインツベルン城を襲撃してきたキャスターを屠り、セイバーとの決着を果たそうとしていたのだがそこへ乱入してきたのは先日のおおよそバーサーカーの枠組みから外れ切ったサーヴァント。

 

 マスターのケイネスと共にこの場に訪れた瞬間をこれまた偶々見かけたランサーはそれをケイネスに報告すると、ケイネスはランサーにセイバーと共闘してでも()()()()()()の足止めをし、()()()()()()のマスターを討ち取るまで持ち堪えろとそう命令した。

 

「……もう一騎も来たか」

 

 チエが別方向を向くと風と共に金髪の甲冑を纏った騎士王セイバーが駆けてきた。

 

「ランサー?」

 

「久しぶりだな、騎士王よ」

 

 セイバーはランサーの方を一瞬見て、ランサー同様、セイバーの視線は未だに抜き身になっているチエの刀とそれを握っている手を見た。

 

「「?!」」

 

 チエの武器が動きセイバーとランサーは身構える。




作者:…
チエ:…
作者:……
チエ:……
作者:………
チエ:………
作者:…………
チエ:…………
作者:……………
チエ:……………
作者:………………
チエ:………………
作者:(き、気まずい)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。