転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮)   作:罠ビー

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 更新遅くなると書きましたが原因が某ウイルスによりどっかにいったので更新。

 ウマ娘2期2話。正直良すぎて数話前に書いたテイオーとトレーナーの話が恥ずかしくてしかたないけどこの作品はこの作品ですと強い気持ちで突っ走る気です。菊花賞のシーン凄かったよ。モブなぞいないし例えどの馬が立ち止まろうとそれでも競馬は続いていく。


トレーナーとサイアーのストーブリーグ

 1992年1月1日

 今年の年明けもWDTの観戦から始まった。今年は去年のメンバーとダンシングブレーヴの4人になった。今年はオグリキャップも参加しているしサイアーの仕事仲間として世話になっているウマ娘もけっこういる。

 今年の一番の注目はドリームシリーズ所属半年でドリームトロフィー出場を掴んだオグリキャップだ。ドリームトロフィーの出場は基本的に半期での出場は難しい。それはドリームシリーズのポイントシステムの問題があって昇格したばかりだとドリームトロフィー出場権の順位まで上がりづらいというのがある。

 ここら辺の話は書くと非常に長くなるが簡単に書くと勝つ事、それもポイントが自分より高い相手にできるだけ多く、そして人気が高い事である。オグリキャップはこの秋にややタイトだが三連勝を決めてドリームトロフィー出場に足るだけのポイントを荒稼ぎした。特に一回ダートを選択してポイントを貯めてるダートウマ娘から奪ってきたのが大きい。……オグリキャップがそこまで頭が回るとは思えないからやり手のトレーナーでもついているのだろう。そういうわけでギリギリドリームトロフィー出場を掴んだのだった。

 さて今年も開催された予想大会だったが結果としては誰も当たらなかった。正直ドリームトロフィーに出るようなウマ娘は基本には皆強いのである。競馬場や枠の有利不利こそあれど皆一着をとれるポテンシャルの持ち主ばかりなのである。断じて私の予想がへたくそではないことを記述しておく。

 

 1992年1月7日

 URA賞の発表があった。トゥインクルシリーズ代表ウマ娘は二冠を取ったトウカイテイオーが大方の予想に違わず受賞した。その勲章をしっかりと笑顔で受け取った姿が印象的だった。下半期は不本意だったかもしれないが上半期の走りは受勲に違わない素晴らしいものだった。最優秀トレーナー賞は取れなかったが沖野トレーナーも優秀トレーナー賞を受賞していた。受賞は初なのか緊張していたのでテレビの前で盛大に笑わせてもらった。

 ドリームシリーズ表彰は新人賞はまさかのオグリキャップだった。所属期間的には来年まで新人賞の資格があるのだがオグリキャップが半期で見せたパフォーマンスは新人賞に相応しいものだっただろう。これで来年の新人賞争いはオグリキャップ優勢状況から一気に混迷を迎えた。MVP投票はドリームトロフィー2勝ウマ娘がいなかった為混迷を極めたがWDTインターミドルでマルゼンスキーを捉えて勝利したミスターシービーが際どい差で受賞した。トウカイテイオーとのW受賞のチャンスを逃したシンボリルドルフの顔は授賞式だからこそ取り繕ってはいたが悔しいのだろう事は見てとれた。

 

 1992年1月9日

 年が明けて今年もだんだんと学園も冬休みモードが明け始める頃。サイアー室に顔を出したところテスコボーイのもとに来客が来ていた。栗毛のロングヘアーのウマ娘だった。テスコボーイは人気サイアーの一人で教え子も非常に多い。天帝トウショウボーイの先生と言えば凄さは伝わるだろう。

 少し話は変わるがドリームシリーズは1月末までは休止期間でこの間に降級制度が適応される。降級制度とはポイントが半分になる措置でこの結果ドリームシリーズ所属基準を満たせない場合今年度はドリームシリーズで戦えなくなる。そうするとマイナーシリーズを今年度は走り再びドリームシリーズ所属基準ポイントまでポイントを稼ぐか靴を脱ぐかの選択を迫られるのである。

 ドリームシリーズ所属とマイナーシリーズ所属だと様々な面で差が生じるのでなかなかマイナーで走り続けるのは厳しいのである。簡単に言葉にするとドリームシリーズ所属はプロの証しでありとてもステータスなのである。

 この時期になるとマイナーシリーズランナーやドリームシリーズ落ち組の暗い顔が目につく。……つまりは今日のテスコボーイへの来客はそういう事だろう。この時期は昔の教え子のその手の相談に乗るのもサイアーの仕事のひとつだ。そういうウマ娘にとってはサイアー助手をはじめトゥインクルシリーズ職員、トレーニングランナー、リハビリトレーナー等学園内でもけっこう色んな再雇用の道がある。ウマ娘界も輝かしいだけではないのである。……まあしっかりとしとかないと反社会的な活動をするウマ娘を産んでしまっては問題だからな。こういう話は夢見てるジュニア組にはなかなかにしづらい。

 いずれ私も生徒達の進退に関わらないといけない時が来るだろう。楽しい事も勿論あるがそれだけではないことを思い知らされる出来事だった。

 

 1992年1月22日

 この時期になると生徒達は学年末レースに関心が移っていく。普段教室で膝を付き合わせているクラスメートとのレースは否応なしに意識するものなのだろう。去年走っているフジ達も今年が初めてのダーク達も心なしかソワソワしている。

 そしてそれは生徒達だけではなく大人達もである。トレーナー陣は自分のチームで新たに活躍してくれる有望ウマ娘を探しに来る。ちょうど大きなレースもこの時期はない事もあってさながらストーブリーグの様相だ。

 というわけで知人の二人のトレーナーと話をしてみると沖野トレーナーは今はトゥインクルシリーズを走っている二人に集中したいとの事で積極的に動く気はないようだった。東条トレーナーは既にある程度目処はつけているらしく既に数人のサイアーのところに行っているとの事だった。それは間違いなくうちも含まれているだろう。今年もフジの様子を見に来ていたしご執心な様子が伺える。……なんとなくアニメより余裕がなく感じるが、そんな事を聞く間柄ではないだろう。

 一方でサイアー陣。サイアー室では教え子の話が多くなる。親バカならぬサイアーバカがすごく出ている事が多い。やっぱり教え子自慢をしたいのである。そしてそれはモチロン私も例外ではない。みっともない喧嘩はしないが心のうちでは自分の生徒が一番だと思っているのである。ちなみにサイアーバカはブライアンズタイムとトニービンが一番うるさいと思う。

 

 1992年2月14日

 今年もバレンタインは生徒達からと知らないウマ娘からチョコをいただいた。生徒達にはまたホワイトデーに皆でお菓子でも作るとして他はどうしようかと思ったので私と同じく貰ってそうなトニービンに話を持っていった。するとトニービンはとりあえず学園広報になんかお願いしようかと行っていたので任せることにした。ホワイトデーはまたダンシングキイにお願いしようかと思う。私のおやつ作りはフジ達には信頼されていない。

 

 1992年2月18日

 やられた。トニービンに任せていたらホワイトデーに学園内ライブが組まれていた。告知されているし今回は私から言い出した事だから文句は言いづらい。しかも生徒達にも根回しをしていたのか楽しみにしてると言われてしまった。仕方ない。やってやろうじゃないか。

 

◆◆◆◆

 

「congratulation、エクセレントトレーナー」

「ありがとう、とでも言えばいいか?サンデーサイレンス」

 

 授賞式の翌日。当日から今日にかけて様々な関係者からお祝いの言葉をかけて貰ったが今年の受賞は俺の力によるところではない。そういう気持ちで悶々としていると夜に自宅の固定電話に電話がかかってきた。相手はサンデーサイレンス。テイオーの件で少し世話になったウマ娘だ。

 

「祝ってんダカラそれでイイんだよ。デモ何か不服って感じダナ」

「……お前ならわかるだろう。今年のスピカの活躍はあいつらの活躍だ」

 

「当たり前ダロ。走ってンノはテイオーとマックイーンだぞ。そう思うンナラ横に立って胸をハレルようニなるシカないダロ」

 

 サンデーサイレンスは俺の声の機微を耳聡く察知すればそう聞いて来る。その様子になかなか言いづらかった胸のうちを吐露してしまう。すると返されたのは何を当たり前なといった感じのサンデーサイレンスの回答だった。

 

「去年ノ朝日杯見たカ?私はウマ娘とトレーナーはビジネス関係だと思ってタンダ。私はトレーナーにイイ思い出がネーカラナ。ダケドよ、ミホノブルボンだっけカ?チョッとビックリしちまっタ」

 

 ミホノブルボン。ベテラントレーナーの黒沼トレーナーが鍛え上げた今年の朝日杯ウマ娘だ。黒沼トレーナーは指導が厳しいと度々問題になるがタニノハローモア等のドリームシリーズウマ娘も育てあげた名トレーナーだ。そして自分も件のミホノブルボンの姿を見たことがある。今年のクラシック一番手と思える程の力を持っている今注目のウマ娘だ。しかしサンデーサイレンスがこんな事を言うのは珍しい。

 

「トレーナーがウマ娘の力にナレルんダナって関心シタ。何か学ぶ事ガあるカモナ」

 

 なんとも不器用な事だが俺を元気つけようとしているのだろうか?いや、どちらかというと自分の価値観に生じたヒビという違和感を吐露したかっただけだろうか?どっちにしろヒントになりえる言葉をくれた彼女に礼でもした方が良いだろうか?

 

「ところでオフシーズン、お前はジュニア組ヲ見に来ないノカ?」

「……今はあの二人に集中するよ。リリーのドリームシリーズもあるし」

 

 彼女の問いかけにそう答える。今年、二人としっかり向き合ったら来年はサンデーサイレンスのところを見に行って見ようか。気になるウマ娘が見つかるかもしれない。

 




サイアー室、バレンタインに貰ったチョコの個数(担当生徒除く)
1位、オグリキャップ
2位、シンボリルドルフ
3位、トニービン

6位、サンデーサイレンス

黒沼トレーナー
ミホノブルボンのトレーナー。モデルが騎手ではなく調教師なんだけどブルボンに関しては騎手より調教師の方が濃いのでこちらをモデルに。けっして才能豊かとサンデーさんは思わなかったミホノブルボンをクラシックトップクラスに持ってきた事はトレーナー不信気味のサンデーさんの価値観にしかと刻まれた模様。アニメ準拠の容姿に変更(9/29)


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