転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮) 作:罠ビー
ウマ娘楽しいですね。ゲームをしたりある掲示板に入り浸ってSS書いたり。ゲームの方は先日ヴァルゴ杯がありました。オープン参加です。
相変わらずお話のプリティ要素は若干行方不明です。
※スピカのトレーナー及びブルボンのトレーナーの名前を変更しました。過去話修正済みです(9/29)。
ブルボンのトレーナー
都浜トレーナー → 黒沼トレーナー
スピカのトレーナー
沖トレーナー → 沖野トレーナー
1992年12月20日
まだ2年しか日本にいないがドリームシリーズのスプリントはニホンピロウイナーの独壇場と言っていい感じだった。たまにマイルに出てはマルゼンスキーと鎬を削っているがスプリントになるとやはりレベルの違いを感じる走りを見せる。一部の有力ウマが追いすがろうとはしているが中々に難しい。マイルもテスコガビーとカブラヤオー、あとはオグリキャップぐらいだろう。長い距離に比べるとどうしてもスターが少ない。(短い距離のビックタイトルがないのも原因だと思うが)
しかも今年のWDTはマルゼンスキーが出走停止で出走出来ず若干役者が欠けている。そんなドリームシリーズの短距離戦線に待ったをかけうるウマ娘が今の短距離界には多いかもしれない。名門出身のダイイチルビー、ちょっと独特なキャラながらマイルCSを連覇した実力者ダイタクヘリオス、そしてニホンピロウイナーの一番弟子で今年の安田記念の勝者ヤマニンゼファー。
才能豊かなスプリンターたちがそろったスプリンターズステークス。ヤマニンゼファー、ダイタクヘリオス、そして前年2着のナルシスノワール*1を大外から追い込んだのは新鋭、桜花賞ウマ娘ニシノフラワーだった。先頭を走るサクラバクシンオー、好位を追走していたダイタクヘリオスらをまとめて撫できった末脚は目を見張るものだった。新たな短距離女王としてその名を大きく上げた。ついでだがサクラバクシンオーの負けたのにすごい気持ちのいいインタビューが印象的だった。
1992年12月23日
さて明日はクリスマス。生徒達とクリスマスパーティーの準備を……今年はできないのでせめてメッセージカードでも送ろうという事になった。約120人。もちろんけっこう暇な時間もあったので既に書き終えてダンシングブレーヴに持たせた。……というか私忘れられてたり嫌われたりしてないよね?実質仕事放棄だよ。なんとなくそんな不安を溢せばダンシングブレーヴの奴はハハと笑うと行ってしまった。慰めろとは言わないがなんかあるだろこうなんか。
1992年12月24日
という訳で今年のクリスマスはボッチ……となることはなく互いに制限されているマルゼンスキーとなぜか理事長秘書をしているハヤカワと過ごす事になった。もちろん場所は敷地内。ハヤカワが言うに菊花賞の件は無事片付いたらしい。騒ぎも多少は落ち着いて来たとのこと。迷惑をかけたようなので頭を下げることで謝罪の意思をあらわすとハヤカワは上品に笑って大したことじゃないですよと言っていた。
女三人でよれば姦しいというところだがこの三人では話題はなんとアメリカのレースについてだった。というのもマルゼンはもともと向こうのスーパーサイアーの一人、ニジンスキーのもとで基礎を教わったらしい。ハヤカワも海外のレース事情に興味があるらしい。やはりURA職員として海外のウマ娘事情を参考にしたいのだろう。興が乗ったためイージーの事について話してしまった。だんだん二人の眼が優しくなっていくことに少し腹が立ちながらもついつい長く話し込んでしまった。
追記:マルゼンのアメリカ時代はあのシアトルスルーと知り合いらしい、え、マジで?ニジンスキーといいアメリカウマ娘界のビックネームをよく聞く日だった。
1992年12月27日
トゥインクルシリーズの総決算、有馬記念の日になる。もちろん現地にはいけないので私は用務員寮でのテレビ観戦だ。一番人気はトウカイテイオーだ。続くのは菊花賞で三冠制覇目前のミホノブルボンを破って菊花賞ウマ娘になったライスシャワーと実績どうりの人気。ただこのレースは大方の予想とは違う結末を迎えることとなった。その原因の一つは春のグランプリ宝塚記念の覇者、メジロパーマーとまさかのスプリンターズステークスからの連闘をしてきたダイタクヘリオスだ。⋯⋯どういう距離適性をしてるんだと突っ込みたい。そしてもう一つは札幌記念覇者、サンエイサンキューだった。
スタート直後ポンと飛び出したのはメジロパーマーだった。宝塚記念のように気持ちのいい大逃げを見せていた。スズカが気に入っていたなあと思っていると今回はそのメジロパーマーについていくウマ娘が一人。それは瞬発力に秀でる短距離型のダイタクヘリオスだった。その二人がレースを引っ張りハイペースの間延びした展開になっていた。⋯⋯まるで天皇賞と同じ展開だ。後方は共倒れを警戒して前にせりかけず前のパーマーは気持ちよく逃げた。流石にダイタクヘリオスはスタミナが持たなかったがレースはパーマーが逃げ切りグランプリ二冠の称号を得た。
さてここまでならこのレースはお笑いレースで済んだだろう。最終直線、サンエイサンキューが右足の骨折から転倒した。転倒後意識は無く病院に搬送された。かなり厳しいローテーションで走っていたのは新聞で確認できる。走りたい気持ちや勝ちたい気持ちが強かったのだろう。充分活躍はしてるがドリームシリーズ進出を確定できるかは私の判断だが微妙なラインだ。
……私はトレーナーなんていなくてもいいと思っているがウマ娘の逸る気持ちを抑えるのもトレーナーの役割なのだろう。常に冷静な判断を出来ないということは痛感させられている。
追記:該当トレーナーの免許停止と再研修の通達が出ていた。サンエイサンキューは年明けごろに意識を取り戻した。
1993年1月1日
WDTの観戦も今年は用務員寮だ。用務員仲間のウマ娘やマルゼンスキーとともにTVに張り付く。話を聞いているとこの子と同期だったんだとかこの子と一緒に走ったんだとかの内容がほとんどだ。改めてここにいるのがみな競技を志したものであり、そしてそれらを思い出にしていることから夢破れたものだと思い知らされた。
今年は去年のオグリキャップのように夏のドリームシリーズ参戦から半期でドリームトロフィー出場まで上り詰めた選手はいない。SDTでは今一歩及ばなかった平成三強が巻き返すか果たして。そしていま私の隣に座っているMVP最有力候補の代わりにMVPをとるのは誰だろうかといったところが注目される。今年はMVP奪還に燃えるシンボリルドルフ、2年連続MVP受賞といきたいミスターシービー。若者に負けてられるかというTTGやカブラヤオーといった70年代のトゥインクルシリーズのスターがぶつかり合う様相だった。(ちなみにトゥインクルシリーズという呼び名になったのは80年代*2かららしい。マルゼンが言っていた)。
特に今年はインターミドルでルドルフをうまく抑えて先行抜け出しをはかった元祖スーパーアイドルウマ娘ハイセイコーとそれを差し切らんとする平成のスーパーアイドルウマ娘オグリキャップの一進一退の攻防は名場面だった。
1993年1月11日
SDTではマイルでマルゼンスキーと僅差の二着に入りWDTではインターミドルにて皇帝を退けアイドルウマ娘対決でWDTを大いに沸かせたオグリキャップがドリームシリーズ昇格一年半でドリームシリーズMVPを受賞する快挙を成し遂げた。新人王はエクステンドでWDT連対をして、シーズン中も長距離を中心に好成績を残したスーパークリークが受賞した。平成三強ではトゥインクルシリーズ時代からURA賞に縁のなかったスーパークリークだったからこれは嬉しいだろう。一昨年は少し世話になったしな。
一方でトゥインクルシリーズの年度代表ウマ娘はミホノブルボンだった。ジャパンカップ前の怪我が深刻らしくトゥインクルシリーズ規格の勝負服ではレースで走るのは厳しいということから今年からドリームシリーズへの挑戦となると噂されている。二冠の実績があれば昇格は問題ないだろう⋯⋯例外の自分が言うのも難ではあるが。最優秀シニア級ウマ娘はグランプリ2連覇のメジロパーマーが手にした。
追記:トウカイテイオーはジャパンカップを勝ったが復調とは言い難い。無理がたたり負傷をしたサンエイサンキュー、WDTで競技者ではなく観客として見ていた用務員ウマ娘たちの姿、対比するように一人テレビの前で悔しそうに歯を食いしばりこぶしを握っていたマルゼンスキーの姿。マルゼンスキーに対しては原因が私なので頭が上がらない限りだが⋯⋯今私はどちら側にいるのだろうか、少し考えさせられた。
◇◇◇◇
ジャパンカップは日本のウマ娘が弱くみられるのが、本当は強いマックイーンが弱いとみられるのが辛抱ならなくて無我夢中で走った。でも今日はボクは何のために走ってたんだろうか。そして最終コーナーで倒れた彼女は、先頭を走っていたパーマーは何を思って走っていたのだろうか。⋯⋯それはボクにはわからない。
「テイオー、ちょっといいかな」
「どうしたの、パーマー?」
珍しくボクに話しかけてきたのはパーマーだ。表情はボクを心配するような感じだ。
「サンキューのことでね。かなり近くを走っていたでしょ。その、少し心配でね」
「大丈夫、大丈夫だよ。パーマーこそ大変だよね、これからライブでしょ」
パーマーの心配にボクはから笑いで返す。全然大丈夫じゃない。あんな思いをするならとさえ思えてしまっている。
「んーまあそうだね。だけど落ち込んでばかりじゃいられないしさ。サンキューのためにも下手なライブになんかできないしね。レースに出れなかった子たちのため、搬送されちゃったサンキューのため、ライブに立てなかった子たちのため、来てくれたお客さんに悲しい思いのままでいさせないため、そして何より勝った私自身のために⋯⋯私は最高のライブにしなきゃいけないんだ」
パーマーはそう言うとまるで自身を奮い立たせるように笑顔を作っていた。
「強いなあ、パーマーは」
「強くなんかないよ。今にも逃げ出したいくらい緊張してる。だけどヘリオスにかっこ悪いところは見せたくないし、マックイーンならそう振舞うかなって」
ボクの漏れ出た声にパーマーはそう答える。マックイーン。その名前を聞いた時パーマーの姿とマックイーンの姿がダブって見えた。
⋯⋯かっこいいな、そして悔しいな。パーマーの気丈とした姿に、きっとそうするだろうマックイーンに、そんなことを言われて気づかされる自分に
「テイオー!!」
「トレーナー、ごめんね。ボク、負けちゃった。だけど次は勝つよ。みんなにいい恰好ばっかりさせてたまるもんか」
用務員ウマ娘
学園の用務員として働くウマ娘。力仕事から機械系の仕事までこなす学園の雑用係。ウマ娘だから体力はある。またレースから退いたり、マイナーシリーズを走るウマ娘の職業選択のひとつとなっている。学園もレース外ウマ娘の雇用を創出できている。
もともとはトゥインクルシリーズランナーであることがほとんどの為以外なウマ娘と知り合いであるウマ娘もいる。