転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮) 作:罠ビー
お気づきだと思いますが人物紹介を設置しました。93年時点での登場人物になります。逐次更新しますが深くは書いて無いです。馴染みない未実装ウマ娘とかサイアーの名前の確認にお使い下さい。
1993年4月11日
今年もクラシックレースが幕を開けた。桜花賞はトニービンの教え子のベガが追い込んできたユキノビジンをしのぎ切り勝利した。ちなみにトニービンいわくベガは私のファンらしい。まあそれは置いといてトニービンの奴は教え子の初G1勝利に盛り上がっていた。サイアーバカを爆発させて「ボクの娘が勝ったよー」と騒いでいた。普通にうっとおしかったので適当にあしらっていたらキレられた。めんどくせえ。
1993年4月15日
サイアー室で悩んでいる様子だったリアルシャダイに声をかけるとどうやら菊花賞を勝利したライスシャワーが天皇賞に出たくないと訴えているようだった。どうも菊花賞のブーイングで気持ちが途切れてしまっているらしい。サンデーちゃんならどうする?って聞かれたけど⋯⋯無理に走らなくてもいいんじゃないだろうか?少なくともそのメンタリティのままだったらどっちにしてもいい結果は出ないだろう。
1993年4月18日
三冠路線の第一戦、皐月賞はトニービンの教え子で弥生賞の勝者ウイニングチケットが一番人気、朝日杯2着のビワハヤヒデが二番人気、そして3番人気が年を明けて重賞二着2回のナリタタイシンで3人合わせてBNWと呼ばれていた。レースは先行抜け出しを図ったビワハヤヒデを4コーナーで12番手だったナリタタイシンが中山の短い直線を差し切った。決して身体的に恵まれていないナリタタイシンがすばらしい差し脚を発揮した。滝トレーナーは桜花賞と皐月賞の春二冠を制したことになる。ドリームシリーズでも多くのウマ娘を指導してるし沖野トレーナーと並んで若手の注目トレーナーだろう。ついでだがウイニングチケットが負けたことにトニービンにだるく絡まれた。あの娘はやれるんだよー。うん知ってる。
1993年4月22日
今年度に入ってしばらくたったので新しい私の担当の子たちの話をしよう。うん、いい子ばっかりなんだけどね。2週間ほど経ったが色が少し見えてこない。たぶんジョービッグバン*1やメイショウオオドウ*2あたりが今年の生徒だと中心になるのだろうか?うーん、あくの強い先輩たちと仲良くやっていってほしい。⋯⋯なんか物足りない気がする。変な意味じゃなくてパズルのピースが足りないみたいな違和感がある。
1993年4月25日
春の天皇賞。注目はメジロマックイーンが天皇賞3連覇に手が届くかどうかという点だった。他の出場ウマ娘は菊花賞を勝ったライスシャワー。あとはグランプリ連覇を達成したメジロパーマーが有力といったところだろうか。ライスシャワーだがどうやら出走を決意したようだった。⋯⋯もし謹慎の事を知ってて心配をかけたのなら少し声をかけた方がいいだろうか?でも少し怖がられてんだよなー。
そして出走前にパドックの映像を確認して察した。⋯⋯これがあのライスシャワーなのか?そう思わずにはいられなかった。それくらいサイアー研修の時に見ていたライスシャワーとも菊花賞のライスシャワーとも合致しなかった。それはもう一つ別の次元に昇華しているかのようにすら捉えられた。ただそれはあまりにも鋭利な日本刀のような、切れ味と脆さを兼ねそろえているかのようにも見えた。
結果は1か0だろう。そう思いながらどんな走りが見れるのか、走りきれるのかとハラハラとドキドキを抱えて観たレースだった。結果はライスシャワーの勝利だった。
騒然とするレース場の様子にむかっ腹が悪くなりクッション君が一つ破れたが3連覇を阻まれたマックイーンが拍手を送っている姿がカメラの端に映っていた。
Good Loser
BCでのアイツの様子が頭によぎった。
1993年4月26日
月曜日に昨日のレースの話になるのは恒例なのだが今日盛り上がっていたのはダークだった。あーあのライスシャワーの仕上がりが刺さっちゃったか―。いわく漆黒の花嫁の鬼神のごとき走り。感銘した。とのことだった。まあ実際すごかった。ダークはスタミナがありそうだし憧れができるのはいいことだ。⋯⋯だけどその青バラは流石に影響されすぎだぞ。
1993年4月29日
⋯⋯私一人でライスシャワーに会いに行くと萎縮させてしまう。⋯⋯そういうことでダークを連れていくことにした。ずるい大人である。ちなみにライスは私から逃げようとしたのだがダークのおかげで止まってくれた。作戦は成功しているが心がいたい。相変わらずダークは独特な喋りをするため私が通訳して伝えるとライスシャワーは自分が応援されると思ってなかったようで面くらった顔をしていた。
私も何か言おうかと思ったがダーク以上の言葉は出てこないし、いい走りだったぜとだけ言っておいた。
1993年5月16日
春のマイル王決定戦は二番人気だったニホンピロウイナーの一番弟子、ヤマニンゼファーがカノープスのイクノディクタスの猛追を抑えきり二連覇を達成した。いやイクノディクタスは天皇賞に出ていたはずだよな、私の記憶違いでなければ。ちゃんと休んでいるのか不安になる。三番手は刑部トレーナーの指導するシンコウラブリイだった。一番人気のニシノフラワーは何かかみ合わなかったのか掲示板には乗れなかった。
皇帝と呼ばれたシンボリルドルフの一番弟子トウカイテイオーとマイルの皇帝と呼ばれたニホンピロウイナーの一番弟子のヤマニンゼファーの活躍。まるで映画の設定でもみせられているようにすら思える。
◇◇◇◇
『それが正しいとは思うんだけどね。走ってほしい⋯⋯もあるけれどこのまま走るのをやめちゃったらもう走りだせないんじゃないかって、走らなくなってからライスちゃんに後悔させたくないなってね。でも私はどんな決断をしてもライスちゃんを受け入れてあげなきゃいけないから⋯⋯私が言ったら重荷になっちゃうかな』
『まあ周りからの期待もあるからナ。期待されてなきゃ有馬は出れネーし。応援してるくらいは言ってもいいんじゃねーの?そこら辺の経験はオレよりあるだろ。なんにせよ言葉はかけてやるべきじゃネーカ』
朝にサンデーちゃんとした会話を思い出す。⋯⋯謹慎の件はライスちゃんの事を思ってくれての事件だったし感謝してる。サンデーちゃんも大人になってきたなー。まだ少しやんちゃなところがあるけれど生徒の事をよく見てるし。
「来たよ、シャダイ先生。先生もライスに天皇賞に出ろっていうの?」
「わざわざごめんねライスちゃん。鳥羽さんはなんて?」
「お兄様は一応は登録しておくけどライスが選んでいいよって。それまで取材はオレがノーコメントで通しとくからって。でもライスは」
どうやら鳥羽さんはライスちゃんを強行出走させる気はないようだ。そして取材攻勢からも矢面に立ってくれているみたい。教え子を預けたトレーナーさんと関係がうまくいっているのかはサイアーとして気になるところだ。
「まず私はライスちゃんがどういう決断をしようと応援するよ。先生として、親代わりとして。でもそれと同じようにライスちゃんに後悔してほしくないと思っているよ」
「何かを選ぶのは怖いことだね。たぶん出走してもしなくても言われることはあると思うし勝っても負けても言われることはあると思うの。みんなを幸せにしたいライスちゃんに言うのは少し酷だけど100人いたら100人を幸せにするのはすごく難しいの」
「だからライスちゃんが幸せにしたい人を幸せにできる選択をして欲しいかな。大丈夫、失敗しちゃったら先生や鳥羽さんが何とかするから。ライスちゃんは先生の大事な教え子だからね」
できれば出て欲しいかな。という言葉は飲み込む。それを私の口から言ってしまうとライスちゃんが追い込まれたときに私ができることがなくなってしまうから。それにライスちゃんのためにもならないだろうし。私の仕事はセーフティネットになることでしょうから。
◆◆◆◆
天皇賞の2日後。天皇賞でお客さんにはがっかりさせちゃったかもしれないけどお兄様やブルボンさんは喜んでくれたしね。シャダイ先生の言ったようにみんなを幸せにするのはやっぱり難しいのかな。でもこれでよかったんだよね。
「hey ライスシャワー」
声をかけられる。少し低い感じの⋯⋯そして振り返ると、サンデー先生だーー!!
サンデー先生、ライスがシャダイ先生に教えてもらっているときに実習で来ていた先生。確かフジキセキさんとかの面倒を見ていてあんまり接点はないんだけど⋯⋯ちょっと怖いんだよね。ご、ごめんなさいー。
「待ってくれ、漆黒の花嫁」
私が走り去ろうとすると声をかけられる。サンデー先生のじゃない、ちょっと幼い声。振り返るとフリルのついたヘッドドレスに青いバラを付けた幼いウマ娘だった。
「そ、それってライスのこと?」
私が聞くとその子は首をぶんぶんと振って答えた。
「此度の漆黒の花嫁の白き名優を打ち倒した走り、華麗でその輝きに目が焼かれた」
「あーんと、マックイーンを倒した走りかっこよかったってヨ。ちょっと癖があるけどコイツお前のファンになっちまったンダ。あと一応オレからも、いい走りだったゼ」
私がその言葉を聞いて呆然としているとサンデー先生が解説してくれた。ちょっとライスには難しかったけどニュアンスは伝わったよ。
「お名前はなんて言うのかな?」
「我こそは昏き闇にて
「それじゃ覚えてもらえネーぞ」
ダンスインザダーク、です」
複雑な名乗りをしようとしたところでサンデー先生に止められていた。面白い子だなあ。
「ふふ、ダンスインザダークちゃんだね。えっと、ライスこれからも頑張るよ。その、応援してくれたらうれしいな」
ライスはブルボンさん以外のヒーローにもなれるんだね。
ダーク「漆黒の花嫁、神々しかった」
スズカ「ダーク先輩ズルいです。先生、パーマー先輩のところにつれてって下さい」
サンデー「(知り合いじゃないから)また今度な」
ライスシャワーちゃん
アニメのライス回素晴らしかった。アニメと同じく菊花賞、天皇賞(春)ともにブーイングをされてる。天皇賞(春)は出ないつもりだったけどブルボンさんやトレーナー、リアルシャダイさんの話を聞いて出走を決意。サンデーさんの謹慎は知らないしサンデーさんも言う気はない模様。
鳥羽トレーナー
お兄様。たぶん他にはドクタースパートとか担当している。中堅トレーナーでライスシャワーちゃんの出走登録だけはしといて選択はライスちゃんに任せてた。もしドタキャンになっても自分が泥を被れるように取材などは全部自分で引き受けていた。