転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮) 作:罠ビー
オープンリーグがA+にかわりましたがとりあえずそれなりのモノは用意できました。相変わらず展開遅いですがよろしくお願いします。
1993年9月14日
見学会……視察会の初回まで一週間前となった。最上級生はやっぱりピリピリとした空気感が漂っている。フジ達は平常なのだがやはりクラスの中で自信の持てていない子達は緊張しており、それは下級生にも伝わっている。……よくない空気感だ。
別にここが全てというわけでもないし、今の時点での競争能力が評価に直結するわけでもないのだが……勤勉性や性格、努力の態度や方向性、協調性、素直さ、学業成績、体調管理能力。ざっとだがその娘を評価する尺度は様々ある。とはいうもののどう伝えるべきだろうか。リラックスしろーって言ってリラックスできるなら緊張はしないのだ。
1993年9月15日
見学会の日に走る練習はしない事を告げた。一部の生徒は不満そうな様子だが走りを見せる機会はいくらでもあるんだからと言っておいた。それにこんな唐突に決めた見学会で焦って準備していい結果もないだろう。
というわけで見学会の第一回目はダンス練習をすることにする。ダンスはウマ娘に必要な要素だし明確に上下が決まるものでもない。それにボディイメージやボディバランス、俊敏性等と行った単純な速さ以外の部分を見ることも出来るだろう。
1993年9月21日
見学会は注目されていたのか15人程度のトレーナーが来ていた。中には沖野トレーナーや東条トレーナーといった知った顔や、ベテラントレーナーといった風貌の人、若手トレーナー等様々な様子だった。
内容への反応は賛否両論という反応だった。走る所を見せて欲しいとあるトレーナーに言われたがそれは模擬レースで見れるから別の所を見て欲しいし見たいだろ……と言うつもりが中々攻撃的な物言いになってしまった。それで何人かのトレーナーが帰ってしまい、来ていた沖野トレーナーも彼らを追いかけて言ってしまった。
残ってくれたトレーナーには概ね好評だったが……変にトラブルになってしまったのは良くない。私の態度が生徒の選抜の足枷になってはいけない。その程度のトレーナー……と思う気持ちも無いわけではないが自分の失態を反省しない事とは違う。言葉が過ぎた点は謝罪する方が良いだろう。
1993年9月22日
東条トレーナーが沖野トレーナーを連れ立ってきた。昨日の途中退室について謝りに来た。私は別に怒ってないけれど……まあけじめっていうのは必要なのだろう。別に私が接触禁止とか狭量な真似をする気はないし、沖野トレーナーの真摯な所は知っている。ただ昨日のようなトラブルはごめんなので走行訓練は行わない事はこちらから要求しておこう。
1993年9月28日
先週よりは参加者は少なくなった。やはりトレーナーは走っている姿が見たいのだろうか。若干の失敗感を感じているがなんと2回続けて来てくれたトレーナーもいた。
滝 登トレーナー。名前には聞き覚えがある。主な指導したウマ娘はスーパークリークで今年はナリタタイシンとベガでクラシックレースを3勝している若手トレーナーのホープと話題の人物だ。
彼と少し話をしてみると彼は今回の私のやり方には肯定的に捉えてくれているようだった。興味のある生徒としてダンスパートナーとダンスインザダークあたりの名前を挙げていた。
1993年10月10日
メジロマックイーンが秋の天皇賞の前哨戦、京都大賞典をレコードタイムで圧勝してみせた。もうとっくにトゥインクルシリーズ規格の勝負服では走りづらいと思うのだがそれをものともしない圧巻の走りだった。インタビューではなんとしても秋の盾を取るという意識が感じられた。おそらく彼女がここまでトゥインクルシリーズにこだわったのは天皇賞を取るためなのだろう。
春秋制覇は今のところスーパークリークとタマモクロスの2人だけだ。どちらもドリームトロフィーに出場する程の名選手である。
1993年10月27日
沖野トレーナーがメジロマックイーンの天皇賞の回避及びにトゥインクルシリーズの引退を発表した。発表がここまで遅れたのはマックイーンの説得に時間がかかったからなのだろうか。
繋靭帯炎が発症したこと、繋靭帯の特殊サポーターがトゥインクルシリーズ規格では勝負服に設定出来ないこと等を淡々と沖野トレーナーが語る横でマックイーンは意気消沈といった面持ちだった。
一方でトウカイテイオーの復帰が発表された。といっても有馬記念1レースのみの予定らしい。いわく直接対決は叶わなかったけどボクは負けたままじゃ嫌なんだとのこと。2年前の夏にマーベラスが連れてきた時とは違う、強い眼差しをしていた。
◆◆◆◆◆
『今日はLessonの見学会に参加、アリガトウゴザイマス。今日のLessonはDance Lessonを予定していマス』
サンデーサイレンスが練習見学会を開くという通達がトレーナー室にひっそりと張り出されてから即座に申し込んだのだが注目のニューサイアーの割にはこの見学会の応募は少なかった。……ノーザンテーストと同日開催なんて豪気な事するわよね。それだけ自信があるって事かしら?彼女らしいとは思うけれど自信が強すぎないかしら?
当の自信家な彼女はカタコトでいかにも慣れていない敬語で棒読みかつぶっきらぼうに挨拶をしていた。回りを見渡せば少ないながらも優秀なトレーナーが多く来ていた。若手のホープの滝、優男風ながら中々やり手で食えない南坂。刑部先生に黒沼トレーナーといったベテラン、なんだかんだ抜け目のない沖野。出し抜いた……とは思ってないけれど流石ね。それにしてもダンスを見せるとは考えたわね。走りは模擬レースとかでも見れるだろうという彼女なりの考えなのだろうか。
彼女の生徒たちに目を向ける。フジキセキに惚れ込んで何度か彼女のもとを訪れているから何度か見たことがある。フジキセキの世代は粒ぞろいでジェニュインやダンスパートナーはクラシック級で活躍できるだろう。マーベラスサンデーも大成するのは少しかかりそうだけれど才能は高いだろう⋯⋯ただうちのチームでは相性が悪そうね。それに来年はフジキセキが来てくれればフジキセキに集中していきましょう。次の世代もダンスインザダーク、バブルガムフェローは注目株ね。
去年の世代はサンデーサイレンスが謹慎になってたから確認できなかったけど⋯⋯あのトレーナー見学日なのにふざけた様子で友人にちょっかいをかけている黒鹿毛の子は図太いけれど私の手には負えないわね。全く合わないと思うわ。そして栗毛の子は⋯⋯なんだか少しそわそわしているけど大丈夫かしら。
そんな栗毛の娘。確かサイレンススズカだったかしら。その娘に少し目を向けていると見学に来ていたトレーナーの一人がサンデーサイレンスに対して意見を述べた。私や滝君、沖野とかと同じ若手のトレーナーの一人ね。彼に同調するトレーナーも2,3人程居る。
「なぜ走るところを見せていただけないのでしょうか。我々も暇じゃないんです。新しく担当する予定の子の走りが見たくてここにいます」
……あからさまに機嫌が悪くなったわね。生徒がいるからある程度堪えているというところかしら。それにしてもこの会の趣旨を理解していないのかしら。走りなら模擬レースなり、選抜レースなりで確認できる。おそらくこの会をライバルを出し抜くためにツバをつけておきたい、青田買いの目的でしか見ていないのね。丁度ノーザンテーストの裏で注目度も少し低い。
「生徒の走りを見るChanceはそれなりにあると思いマス。それよりも生徒のPersonalityを見て欲しい。それにPhysical面も見れると思う」
「もうそれは充分見たので走りを」
「充分見た?この短時間で?」
サンデーサイレンスの眉がピクピクと動いている。耳も絞られており明らかに機嫌が悪い。それでもなお食い下がろうとするトレーナーに
「Get lost now!!」
サンデーサイレンスは大きな声で退室をサンデーサイレンスは促す。語気も強く完全に怒っている。確かに個人の特性を、しかもこれだけいる生徒のを短時間でもう十分だと言っては怒られても仕方ないわよね。
「おハナさん、ごめん。チラシ置いといてくれたのおハナさんだろ、ありがとう。俺ちょっとアイツら追いかけてくる」
「は!?ちょっと」
ハア、仕方ないわね。あとでサンデーサイレンスには一言言っておくわ。ほっとけばいいのに変に優しいんだから。刑部師匠はピリピリしてるし。気を取り直して見学を継続しましょう。フジキセキは見てる限りではクラスのまとめ役といったところかしら。リーダーシップも期待できるわね。それと……サイレンススズカね。何とも不思議な魅力があるわ。隣で見ていた滝君も注目していたものね。
東条メモ
◎フジキセキ
今年チームに合流したブライアンやアマゾンに劣らない逸材。リーダーシップもあり向上心も高い。ウチの環境で成長できるだろう。
○ジェニュイン
フジキセキがいなければスカウトを考えた。素直な気質に見えるが自主性という面ではフジキセキに一歩劣るかもしれない。若干筋肉が固い印象もあるが許容範囲内
△ダンスパートナー
少し精神的に未成熟な印象を受ける。持っている才能は間違いなく、爆発力もあると思うがあまりリギルでは合いそう無い
☆マーベラスサンデー
独創性が高く面白い子だとは思う。一方で間違いなくリギルは合わないとも思う。今後ライバルになる事を前提に情報収集をしていく。