転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮)   作:罠ビー

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 お疲れ様です。ご無沙汰してます。94年、新章開幕です。左のShadow Roleは史実の誰の時代か判りやすいように。右の奇跡と幻は今昨での章タイトルです。
 頑張って書き貯めしようと思ったけど次の話までしか(我慢が)出来なかった。明日にはもう一話いきます。


Shadow Role/奇跡と幻
選ぶ者と選ばれる者


 1994年1月1日

 年が明けたという事はドリームトロフィーである。雰囲気的には前世で言うと駅伝みたいなノリのような気がする。駅伝より国民的行事となっている気もするが⋯⋯その実レース体系が整備されてからはまだ日が浅かったりする。まだウマ娘学生競争時代の選手も多いし。日本でここまでトゥインクルシリーズ体系が早く根付いたのは大スター、ハイセイコーの功績が大きいらしい。余談だが人が箱根の山を走る駅伝はこの世界でも2日と3日で行われている。

 ドリームトロフィーは皇帝に演出家、スーパーカーに天帝、流星の貴公子、マイルの皇帝と今回も常連のウマ娘、平成三強や白い稲妻といった平成の新興勢力といった面々もいる中今年のMVP最有力候補は昭和の最強の戦士、シンザンだった。昨年のサマードリームトロフィーで圧倒的な走りを見せたがコンディション調整の難化を理由にサマードリームトロフィーの参加を最後にする旨を発表していた。実質今回が最後のシリーズMVPのチャンスである。そんな昭和の戦士は夏と同じロングディスタンスを選択し、そのMVPに待ったをかけようとトップランナーがこぞってロングに登録をした。さながら昭和最強ウマ娘決定戦の様相であった。

 大注目のレースは普段とは違う階級のレースにエントリーしたマルゼンスキーとカブラヤオーが超高速で逃げる中山の2500m。逃げる二人はなれない距離を、それでも凡そ非凡な逃げを撃つ。それに追走する後方集団は皇帝の計算されたレースコントロールの網をかいくぐり、老獪かつ豪快な老兵との駆け引きを余儀なくされる体力と頭脳の消耗戦の様相を呈していた。前二人が失速する中その後方で馬郡の目標になりながらも空白地帯である逃げのポジションで絶妙なラップ計算をして逃げていた元祖曲者、エリモジョージがぎりぎりで後続の追撃をしのぎ優勝した。福良与一*1トレーナーの引退後は少し低迷期にあったが久々の大舞台での戴冠であった。

 

 1994年1月10日

 昨年のURA賞の発表があった。昨年はG1を2勝以上したウマ娘がベガしかいない混戦模様の年だった。注目のトゥインクルシリーズ代表ウマ娘は菊花賞を勝ち皐月賞、ダービーともに2着で惜しい戦いを見せ、有馬記念もトウカイテイオーに敗れるものの今年の飛躍を期待させるビワハヤヒデが受賞した。ただ受け取ったビワハヤヒデの表情は若干固かった。

 もう一つトゥインクルシリーズ関連で触れたいのが最優秀サイアーである。82年以降およそ10年もの間ノーザンテーストがとり続けていた*2賞だがこの年ついにその牙城が崩された。受賞したのはなんとリアルシャダイだ。受賞スピーチは泣きじゃくっていてほとんど何を言っているかわからない有様であったがその顔は幸せそうだった。

 ドリームシリーズは夏の復活勝利と冬も優勝こそ譲ったものの追い込んで3着とシーズンを素晴らしいパフォーマンスでまとめたシンザンがMVPを受賞した。まだまだ若い者には譲らないとでも言いたいようだった。新人王はマイル戦を中心に活躍しドリームトロフィー出場も掴んだバンブーメモリーが選ばれた。88年クラシック級からは三人目の新人王である。いかに層が厚かったのかが感じられる。

 

 1994年1月20日

 香港レーシングクラブの発表で今年から12月の中ごろに行っていた2競走*3の国際格付けの変更に合わせてさらに1競走を追加し香港国際競争の枠組みで行われることが発表された。時期的にはジャパンカップと有馬記念の間だ。まだ海外遠征は盛んには行われてはいないが今後国際交流が活発化していくとすると比較的距離的条件の近い香港で活躍する日本のウマ娘も出てくるかもしれない。

 それと同時に香港特別招待競走という構想も発表された。こちらはドリームシリーズ級のレースらしい。欧州はドリームシリーズに当たるチャンピオンズリーグ自体が国の枠を超えた競争ではあるがドリームシリーズ級で地域をまたぐレースは試みこそはあれど行われていない。時期が各地域の冬のドリームトロフィーと被ることが難点でありこの試みが上手くいくかは難航しそうである。

 

 1994年2月5日

 学年末レースも迫ってきた直前。トレーニングを見に来るトレーナーも増えた気がする。生徒達もチームの練習に仮参加したりする子も出てきている。チームトレーニングに個別で誘われていたり、チームの見学会があったりなどだ。一方で私に付きっきりになって学年末レースに向けて指導を仰いでくる子もいたりする。

 前者の例はフジキセキ。今年のデビューウマ娘では非常に注目度の高い彼女は東条トレーナーのスカウトに応じて幾度かすでにリギルのトレーニングに招待されている。後者で顕著なのはプライムステージやマーベラスだ。注目がないわけではないが彼女達はほかの子がチーム見学などで抜ける中貪欲に私に指導を求めてきた。

 

 1994年2月14日

 今年もバレンタインがやってきた。去年は謹慎中であったが一部のファンは贈ってきやがったな。扱いに困ったが用務員寮の仲間と消費した。今年はお礼もかねて用務員連中に差し入れをした。年賀状の代わりみたいなものとして。

 さて逃避は少しやめるか。スカウトとかで忙しいはずなのに一部の上級生(主にフジ)は凝ったもの渡してきやがって⋯⋯あいつ結構私に重くねえか?

 

 1994年2月21日

 刑部トレーナーがうちの練習を見学しに来た。刑部トレーナーはチームを東条トレーナーに継がせた後に一からチームを作り上げたURAを代表するトレーナーで、今やリギルの後に立ち上げたチームもレオダーバンやシンコウラブリイ、そしてビワハヤヒデなどが所属しているG1をとれる名門チームにまで成長させている。

 そんな名トレーナーのお目当てはプライムステージだった。以前からフジやジェニュインを評価していたことは聞いていたが彼女の名前が出るのは初めてであった。訳を聞くと刑部トレーナーのチームにたびたび参加しているジェニュインからプライムステージの話を聞いてきたらしい。彼女がチーム練習参加にいかない理由である学年末レースに向けて追い込みをかけている事を話すと殊更に興味深そうにしていた。

 目をかけられていることはプライムステージには内緒にしてくれと言われたので黙っておくことにする。

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 年が明けてから、今まで先生のもとで一緒に学んでいた同期達も声をかけられたチームの練習に参加したり、逆に練習公開をしているチームの練習に参加したりと今後を見据えて動き始めていた。フジはリギルの東条トレーナーから声をかけられていて、ツヨシは逆にスパルタと名高い黒沼トレーナーの練習に参加しているらしい。かくいう私も刑部トレーナーから声をかけてもらっている身であるが。

 ⋯⋯段々と先生のもとでみんなに会う機会が減っていく。寂しく感じることもあるけどそういう時期なんだなって思う。そんな中でプライムやマーベラスは私達と違う手法をとっていた。マーベラス⋯⋯は置いといてプライムにはどうしてなのか聞いてみた。

 

 

「私はこれが近道だと思ったからですわ。フジや貴女を含めて皆がそろう事は減りましたわ。つまり先生に指導していただける時間は増えますわ。それに私、学年末を勝ちたいんですの。この直前で別の教えを受けるのがナンセンスに感じたんですの。皆がチーム選びにうつつを抜かしているうちに学年末レースで私が勝ち名乗りを上げる。これが私の必勝法ですわ」

 

 

 「他にジェニュインの気になるクラスメイトはいないのかい」との刑部トレーナーに聞かれたときにとっさにプライムの事が思い浮かんだ。一切チームの公開練習に参加したりはせず先生に指導を仰ぎ学年末レースで挽回を狙っている同級生がいると刑部トレーナーに教えた。

 

 

「面白い嬢ちゃんじゃねえか。選ばれる側から選ぶ側に回ろうとするなんてな。はねっ返りのあるやつは嫌いじゃない。⋯⋯お前さんみたいな真面目なタイプも嫌いじゃないが。なんてったってうちはリギルを打倒しようってんだから」

 

 

 はっはと豪快に笑う刑部トレーナーは私の肩をポンポンと叩いた後に期待してるぜと私に言った。私もフジの下という評価に甘んじる気はない。打倒フジキセキ。直近の学年末レースはそれを目標に掲げていきたい。

 

 

 

*1
フクラヨイチ。刑部や井端らの同期の天才トレーナー。

*2
中央リーディングで換算。89年ミルジョージはローカル込みであるためURA賞として扱うには違うだろうという判断

*3
香港国際カップと香港国際ボウル




 香港国際競走
 この年から開催。日本のレースに身近な国際交流の舞台が整う。ドリームの海外競争が無いのは不自然だけどドリームトロフィーがあるからどうなるだろうか。実際WBCにメジャーリーグが本気になるまでかなりかかったし。そこら辺にもこの章では踏み込みたい。

 プライムステージ
 この章では出番があると思うので追加。史実でG1勝ちは無いが重賞勝利馬で3歳時点ではかなりの有力馬。母はダイナアクトレス(ダイナムヒロイン)で牝系からはスクリーンヒーローが出る名牝系なのでお嬢様っぽい感じ。そういう所もダンスパートナーと被る気がする
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