転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮)   作:罠ビー

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 お疲れ様です。
 94年も次回と次次回で終わるかもしれません。ちょっと今回は薄味。いつも希釈したスポドリくらいの内容と言われると反論はできかねる。
 ちょっと最近ぐだってるよね反省。
※寝る寸前に更新したため副題の被りに気づかない失態を犯しました。


暴威の三冠ウマ娘

 

 1994年10月5日

 今年もトレーナー陣のために合同見学会を開くことにした。というのもすでに帰国した滝トレーナーや東条トレーナーなどに今年はやらないのかと暗に言われており、フジ達の応援をする傍ら準備を進めることになった。

 日程は10月18日を予定しており、今年も模擬レース等の走る練習は原則行わない。その旨をサイアー室を通じてトレーナー陣に伝えてもらった。

 

 1994年10月18日

 今年もトレーナー向けの見学会を行った。今年は昨年より開催が遅くなり秋のG1シーズン開幕前になってしまったこともあり少し希望者は少ないのではないかと思っていたがフジの期待度と直近の活躍が響いたのか私の想定よりトレーナー陣は参加していた。

 滝トレーナーや東条トレーナーなどの昨年も来てくれていたトレーナーの他に滝トレーナーより若いトレーナーもいた。段々といろんなトレーナーとの伝手も広がっていくのは良い事だろう。そんなトレーナーたちの今年のお目当てはやはり自称四天王の面々だろう。

 ダークは姉を指導する滝トレーナーがその資質を認めておりバブルも評判が高く刑部トレーナーが注目している。下級生ではやはりスズカの注目度が高いが、今年から面倒を見てる留学生のタイキシャトルもまた注目を集めていた。非常に明るくコミュニケーション能力も高く、ダンスの動きを見れば身体能力も折り紙付きであることは察せる。特にやや癖のあるリョテイやスズカとコミュニケーションをとれることはプラスだろう。チームを運営する場合メンバー間の相性も大事になってくる。

 

 1994年10月30日

 秋のG1シーズン開幕戦の天皇賞秋はやはり春の王者で前哨戦オールカマーでウイニングチケットに勝利しているビワハヤヒデが注目の的であった。しかし理論派の彼女にとってしっくり来ていないところがあるのか少し表情は重めだ。

 そんな彼女に一矢報いたいのがダービーウマ娘ウイニングチケットと同世代で今年重賞3勝しており前走毎日王冠でレコードを記録しているネーハイシーザーだ。BNWと言われた彼女達も今はビワハヤヒデが前に一歩進んでいる状況は悔しいだろうし、ずっと三人に話題性を奪われていたネーハイシーザーもここで逆転したいだろう。

 レースはいつも通りの好位追走でビワハヤヒデは展開していくが宝塚記念の時のような強い走りではなく代わりに勝ったのはビワハヤヒデにこれまで3回も負けてきたネーハイシーザーだった。

 まさにビワハヤヒデのレース前からの懸念が当たった形になる。となると気になるのはビワハヤヒデの今後の去就だ。今シーズンを走りきるのかどうか、人々の注目はその点に注がれる事になるだろう。

 

 1994年11月6日

 皇帝以来の三冠ウマ娘の誕生を期待されて迎えた菊花賞。ナリタブライアンは絶大な期待を背負いながらも、敗戦した秋初戦の京都新聞杯があったとしても、本人はそんなことは関係なしと言わんばかりに多くは語らず、超然とした様子だった。東条トレーナーはこの数か月、特に京都新聞杯の敗戦の後は顔色が悪そうな様子ばかりだった。それでも見学会とかフジやヒシアマゾンの指導もこなしており頭が下がる。トップトレーナーの器はあるのだろう。

 その他ラジオ短波賞から二連勝のヤシマソブリン*1、ダークやパートナーの姉でダービー2着、長距離に定評があり一昨年のライスシャワーのような立ち位置のエアダブリン、京都新聞杯でナリタブライアンに勝利したスターマン*2などが対抗として名を挙げられていた。

 先行するウマ娘達の後ろ、おおよそ7番手くらいをややゆったりとした展開の中追走するブライアン。ヤシマソブリンはそれをピッタリとマークする位置につけていた。レースは1,2コーナーを超えて向こう正面につく頃には様相が変わり同じ3枠のスティールキャスト*3がポンと抜け出した形になっていた。

 3コーナー、エアダブリンが段々とポジションを上げていく中スティールキャストとの差はなかなか詰まらずに4コーナーに突入する。4角では有力ウマ娘が続々とスティールキャストを捉えにかかる。それはナリタブライアンも同じだが彼女の選択したルートは外の外。内を通ったヤシマソブリンが直線先頭に立つも、それを異にも介さず外から破壊的な膂力で外を駆け上がってくる。

 7バシン差をつけて姉の記録を塗り替え圧巻のレースレコードを記録した走りにアナウンサーは先のビワハヤヒデの天皇賞の様子と比して「妹は大丈夫だ」と言っていた。しかしその走りはビワハヤヒデとは似ているとはいいがたい。稍重の京都レース場、最終直線の暴力とも感じるような力の奔流はまるでこの前のトウカイテイオーのドリームシリーズデビュー戦、そこでシンザンが見せた走りに近いように感じた。

 東条トレーナーもようやく胃の痛い日々から解放されるだろう。

 

 1994年11月13日

 ティアラ路線最終戦、エリザベス女王杯で注目を集めたのは桜花賞ウマ娘オグリローマンでも、オークスウマ娘チョウカイキャロルでもなく裏街道からトライアルのローズステークスまで重賞級を5連勝しているジュニアチャンピオンのヒシアマゾンだった。

 留学生であるヒシアマゾンはクラシックレースには参加できない。そのため今年のティアラ路線はジュニアチャンピオン不在の中行われていた。オグリローマンやチョウカイキャロルがタイトルを争う裏で連勝するヒシアマゾンに注目が集まる。ヒシアマゾンがいたら春二冠はどうなっていたのか。そのファンの思いは1番人気にヒシアマゾンが支持されたことが物語っていた。

 これに強く敵愾心を持ったのが樫の女王チョウカイキャロルだ。同じBTに学んだナリタブライアンが三冠を達成した一方で樫の栄誉を手に入れた私は留学生より弱いと思われているのかと。その鬱屈した思いが爆発したレースだった。

 チョウカイキャロルは王道の中団に構え、ヒシアマゾンは指定席と言わんばかりに後方に構えて序中盤は流れていった。しかし4コーナーに差し掛かるころにはヒシアマゾンは中団に追いついてまくっていこうとしていた。チョウカイキャロルは内を締めてヒシアマゾンに決して楽をさせないようにしながら直線に向かう。

 最終直線、ヒシアマゾンとチョウカイキャロルは並ぶように抜け出してくる。このティアラ路線で王になるのは私だといわんばかりに、三冠路線を駆け抜けた怪物に並びその喉元を喰い千切るのは自分だといわんばかりに。

 なだれ込んだ二人の決着はハナ差でヒシアマゾンが勝っていた。ターフに寝転がる二人の女傑は勝ったヒシアマゾンが先に立ち上がるとチョウカイキャロルに手を差し伸べた。チョウカイキャロルはその手は立ち上がってから取り握手をするという姿が印象的だった。

 追記:チョウカイキャロルはBTの生徒でトレーナーは黒沼トレーナーだ。並んだところを想像するとなかなかに治安が悪い絵面だ。

 

 1994年11月15日

 香港特別招待競走への招待選手が決定した。一人はシンボリの旧エース、スピードシンボリで決定した。しかしもう一人の派遣選手はサマードリームトロフィーロング2着のシンボリの現エース、シンボリルドルフが辞退をしたため3着のカツラギエースが繰り上がりで出場することになった。

 発表はつつがなく行われたが発表前にカツラギエースとシンボリルドルフの間でひと悶着あったらしい事は風の噂で聞いた。辞退に関してルドルフは「私の比翼の片割れが私のもとに帰って来ていない以上片翼の鳥が飛び立つ事は無い。臆病と罵りたいのであればそうしてくれて構わない」と言っていた。構わない顔や雰囲気ではなかったけど。

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

「随分とやつれているナ」

 

「揶揄わないでくれサンデーサイレンス。ブライアンの三冠、アマゾンのG1⋯⋯ああ、それでも君から預かったフジキセキの事は心配しないでいいわよ」

 

 

 サンデーサイレンスの合同見学会の後、世間話をする。正直ブライアンにアマゾン、そしてルドルフの事で余裕がない。しかしサンデーサイレンスの生徒には気になる子もいるし顔つなぎをしておく必要はある。特にサイレンススズカと留学生のタイキシャトルは非常に才能がある。それにここでトレーナーの私が楽をするわけにはいかない。滝君や沖野、刑部先生とライバルが休んでくれるわけもないし。

 

 

「大変だな売れっ子ハ。それほど忙しくしてもまだ気になる子がいるとは移り気な蝶が過ぎないカ?」

 

「なんとでも言いなさい。トレーナーの性なのよ」

 

「ウマ耳もヒト耳も業突張りばっかダ」

 

 

 そんな事を言いながら缶コーヒーを傾けるサンデーサイレンス。フジキセキをスカウトするために数年前から付き合いがあるけれど読めないわね。これでも生徒達からは愛される先生だし、フジキセキなんかはかなり好意を向けている。

 

 

「まあオレも他人の事は言えねーナ」

 

 

 そんな彼女だから聞いてみたかった。

 

 

「これからトゥインクルシリーズやドリームシリーズはどうなると思う?」

 

「……オレに聞かないとわかんない立場じゃねーダロ。……ッチ、今回の香港にしろ、滝の事にしろ、結局は力の誇示の仕方の多様化ダ」

 

「でもそれだけダ。どうなるか?どうもならねぇヨ。いくら波立ち混沌としようが、オレ達は結局我を押し通す為に、渇望を満たす為に、様々な理由で力を誇示しないと居られない。

 

 それがレース場(ココ)で生きるという事ダゼ、Honor Girl」

 

 

 求めてる答えじゃねーダローが、真面目に答えるとでも思ったカと飲み終わった缶を意外と律儀に捨ててから彼女は去って行った。

 

 

*1
ミルジョージ産駒

*2
マイナーであるリボー系のワイズカウンセラー産駒。神戸及び京都新聞杯勝ち。イメージ的には菊花賞前のフクキタルみたいな成績

*3
ミルリーフ系マグニテュード産駒




BT「fantasticだナリ……spacialだ……」
SS「えっ……キモ。ecstasyしてんのはキモいガ」

【ナリタブライアン三冠について】

シンボリルドルフ(三冠ウマ娘)
 まずはチームメイトとして三冠おめでとうと。血気盛んな挑戦者が出てくるのは素晴らしい事だと思います。トゥインクルシリーズの活性化はもちろんドリームシリーズの我々もうかうかしてられないですね。
 私と彼女のどちらが強いか?それの証明をするのは文章では味気ないと思いませんか?数年後、レース場で見せられたらと思います。

刑部由紀夫(中央所属トレーナー)
 まずは東条におめでとうと言いたい。三冠に挑戦するトレーナーというのは凄まじい重圧の筈だ。この半年間気が気じゃなかったと思う。少し前の沖野……は少し違うか、一昨年はベテランの黒沼トレーナーも非常に神経質になっていた。東条がこの年でその重圧を乗り越えた事を賞賛したい。
 ただこれからは三冠ウマ娘のトレーナーとして周囲から見られる事になる。移籍したシンボリルドルフを見ているという立場とは違う目で見られる事になる。その事と対峙し続けた時、東条はさらに厳しいライバルになると思っている

ミスターシービー(三冠ウマ娘)
取っちゃったんだ。すごいなぁ。やっぱり三冠とるのは難しいよ。それをやってのけたんだから素質もそうだけど運も良かったんだね。
 アタシとレースしたら?やってみないとわからないなぁ。負ける気はないけどその日のノリとかあるからさ

ダンシングブレーヴ(欧州チャンピオンズカップ勝者)
 何故に私まで……。トリプルクラウン達成はとても喜ばしい。英国ではかのニジンスキー以降出てないからね。複数の距離区分で、大レースを3つ勝つ。特別な資質を持った娘じゃないとなし得ない。……ああ、最強と言ったつもりは無いよ。三冠を取るという資質は特別だし強さの証明ではあるけどそれはその資質があったという事にしか過ぎないからね。

シンザン(三冠ウマ娘)
 早く闘いたいねぇ。皇帝の嬢ちゃんとも演出家の嬢ちゃんとも違うタイプだね。己の獣の意思のままアタシの喉元まで牙を突き立てて欲しいね
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