転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮) 作:罠ビー
今回いつもより文字数多めです。それとJCと香港があるせいで注釈が多いです。ほーんくらいで読んどいてください。
トリプティクのローテおかしいって
1994年11月20日
秋のマイル戦、マイルCSは世界を打倒したマイル女王ノースフライトとスプリントの驀進王サクラバクシンオーが人気を二分していた。マイルとスプリントに主戦場が分かれている二人だが、前哨戦の1400mのスワンステークスではサクラバクシン―がノースフライトを1バシン離して勝利していた。
本領のマイル戦でノースフライトが巻き返すかサクラバクシンオーが勢いのまま勝利するのかと思われたレースは互いに先団に構え、互いが互いをマークしながら展開され、一時はサクラバクシンオーが先頭に立つ場面もあったが直線半ばでノースフライトがこれを捉えて前哨戦のお返しとばかりに1バシン半つけて勝利した。
これでノースフライトは安田記念とマイルCSの春秋マイル連覇となった。これはドリームシリーズでマイル短距離での皇帝と化しているニホンピロウイナーがマイルCS設立初年度に達成した以来の快挙であり、ドリームシリーズにいるマイルの皇帝に対してこれ以上ない挑戦状になるだろう。
1994年11月24日
トレーナー視察会の後、私のもとに熱心に通っている若手トレーナーがいる。名前は志比というらしく週に2回くらいは練習を見に来る。あまりにも来るので気になって調べると今は3年目で今年重賞を初制覇したらしい。そんな若手トレーナーのお目当てはイシノのようである。いわく「きれいな子ですね」とのこと。惹かれたのはそこかよと突っ込んだがただの色ボケではないらしく「器用そうでパワーも感じる、案外ダートなんかも走れそうですね」なんて言ってのけやがった。面白い奴だ。
1994年11月27日
今年のJCは14人の参戦の内10人が海外のウマ娘という珍しい状況だった。上位人気も5番人気まで海外のウマ娘が占めていた。というのも上半期を賑わせたビワハヤヒデ、クラシックを沸かせたナリタブライアン、裏街道をひた走っていたヒシアマゾン、彼女たちに一矢報いた、追いすがった面々は参戦していない。国内勢一番手はカノープスのマチカネタンホイザが回避したことも影響してかマーベラスクラウンが担うことになった。
対する海外勢は南米ブラジルからの刺客でサンタアニタでも結果を残したサンドピット*1、米国芝レースを今年はG1三勝を含む10戦8勝と絶好調のパラダイスクリーク*2、欧州からは凱旋門3着のアップルツリー*3などが参戦していた。
日本勢が2連勝しているが今年は総大将と呼べるウマ娘はいないという様子の中、世界に覇を唱えたのは日本のマーベラスクラウンだった。好位につけたまま抜け出しパラダイスクリークとの競り合いを制した形だ。
これでJCは日本勢が3連勝。レーシングでは後進国だった日本の立ち位置は変わり始めたのかもしれない。そうなると国内以外だとどうなのか、より来月の香港が楽しみになってきた。
1994年12月3日
ついにあのゲーム機が発売された。その名もウマステ。私が知っているものと少し名前が違うがその姿はまごうことはない。そしてこれまた気になっていた実況!!プリティレーシング*4も購入した。ドリームシリーズのウマ娘が収録されており、使用するウマ娘を選んでレースをするゲームだ。まだオリジナルウマ娘を作れたりするモードはなかったがそこは今後に期待だ。
プレイした感想としては大味で特に距離適性に関しては文句がある。1600でニホンピロウイナーに皇帝を使って楽勝できてしまうのは違う。
追記:翌日にはトニーやBT、マックイーンなどにバレて大会になった。翌々日には生徒達にもバレた。入り浸ろうとしてくるので休日以外禁止令を出した。
1994年12月4日
阪神ジュニアステークスは前評判の通り留学生のヤマニンパラダイスが勝利した。G1にしては10人という少人数で実施されたレースだった。中団に構えた1番人気ヤマニンパラダイス*5がそのまま力で押し切り約1バシンつけての勝利だった。
彼女は留学生のためパートナーやプライムが挑むクラシックには出場できない。昨年の覇者のヒシアマゾンと言い留学生がジュニアチャンプになっても彼女たちがクラシックの主役になることはない。マルゼンスキーにオグリキャップ。主役級のウマ娘が世代最強を決める戦いに参加できないというのは観客目線で何とももどかしい。
1994年12月10日
明日は楽しみにしていた香港国際競争があるが、それ以上にフジがG1の朝日杯ジュニアステークスに挑戦することが楽しみだ。昼は朝日杯を見てライブも見るから香港は録画で見る事になるだろうか。
1994年12月11日
フジ!!!!やっぱりお前は素晴らしいよ。ジュニア王者おめでとう。まるで自分の事のように嬉しい。アメリカでお前を初めて見た時から素晴らしい素質を持った奴だと思っていた。トリプルクラウンも狙えるんじゃないか。
1994年12月12日
⋯⋯少し落ち着いた。やはり生徒の活躍に異常に心が揺れ動かされる気がする。私個人の問題なのかというと他のサイアーの入れ込み具合を考えると種族的な問題な気がしないでもない。
そのことは少し置いておいて昨日の話を続けようと思う。香港は恥ずかしながらまだ確認していないため朝日杯の話だ。フジは圧倒的な1番人気で2番人気がスキーパラダイスの妹で留学生のスキーキャプテン*6。注目はその二人だった。
レースではフジは少し掛かっているような様子を見せながらも王道の先行の位置を取り、期待されるスキーキャプテンは後方の9番手に位置をとっていた。直線で内ラチ沿いから先頭に立つと大外からスキーキャプテンが強襲してくるのを僅差でしのぎ切り栄光のG1ウマ娘に戴冠した。
当然現地で観戦していたのでライブまで現地で観戦し、フジ本人にもおめでとうと言ってきた。フジも私の言葉に照れ臭そうにしていた。本当にかわいい奴だ。思い出して話を書いていると幸福感が湧いてくる。
1994年12月14日
ついに録画していた香港国際競争の映像を確認した。ドリーム級である香港特別招待を最終レースにトゥインクル級のヴァーズ、カップ、ボウルの3競走を同日に行うという催しである。特別招待以外のレースにも日本のウマ娘は参加しておりエイシンテネシー*7、ゴールドマウンテン、*8フジヤマケンザン*9が参戦していた。
エイシンテネシーとフジヤマケンザンは掲示板にも入る活躍を見せており今後の飛躍を感じさせたが彼らは今のレースシーンにおいて先頭集団ではあるが先頭に立っているウマ娘ではないことが、日本の関係者にとって海外はまだ選択肢としての地位が低いことが感じられた。
それは海外ウマ娘にとっての香港も同じようで、香港特別招待競走は初年度からネームバリューの高いウマ娘がそろったとは言い難かった。
南半球からはガーナーズレーン*10やキングストンタウン*11といった当地を代表するビッグネームが参戦していたが他の地域からは英国のベテラン、サーアイヴァ―*12や旅行好きのトリプティク*13が目立つ程度で、米国で言ったらセクレタリアトやシアトルスルー、イージーゴアといったスーパースターは来ていない。オールスターやプレミアリーグの方が関係者にとっても価値が高いのだろう。日本もルドルフ行ってないしな。
これに憤ったのは南半球の選手たちだろう。サーアイヴァーも生徒の生徒たちが南半球で活躍しているからというのも参戦背景だろうし、嘗められているというか軽んじられている、自分たちとの温度差は感じただろう。
レースはそんな空気の中日本のカツラギエースが逃げて南半球の注目ウマ娘達は中団後方に控える形、その少し前をトリプティクが、そしてその前にスピードシンボリとサーアイヴァーが並走するような隊列で展開していた。
カツラギエースが強気で飛ばす中、後方勢もスタミナ自慢が多い為カツラギエースに独走はさせまいとついていく。ややインターミドルに得意距離がよっているキングストンタウンは無理はせず後方でペースを保つ形をとっていた。
カツラギエースのレースメイクは直線まで続いた。先行集団はカツラギエースのペースで足が上がっており4コーナーでポジションを押し上げたトリプティクは距離の不利を被ることになるがそれをおして2番手まで上がってきた。
前をトリプティクに譲った代わりに内を取ったサーアイヴァ―とスピードシンボリが直線手前から内に寄らせないように立ち回る。カツラギエースは直線半ばで力尽き、外を回ったトリプティクをはそれでも二人に追いすがり、サーアイヴァ―とスピードシンボリが、わずかに内をついたスピードシンボリが優位だった。が後方からキングストンタウンとガーナーズレーンが突っ込んでくる。
一番入選をしたのは直線一気で差し切ったキングストンタウン、2着に日本のスピードシンボリ。3着はサーアイヴァ―を差し返したトリプティクだった。
残念ながら日本勢が勝てなかったが豪州勢と日本勢の1-2は欧米列強に対してのメッセージになったのではないだろうか。今後の香港国際競争が上手くいくことを願っている。
◆◆◆◆◆◆
ミルリーフやニジンスキー、セクレタリアトクラスが来るなんてさすがに思ってないけどよ、よりにもよってこの女か
『不満そうだねサムライガール』
『そうでもないさアイヴァ―卿。あくる日の、まだガールが似合った時代のリベンジには丁度いい』
それにしてもアイヴァ―卿以外は鉄の旅女優が超一流だけどそれ以外の列強の面々はしけてやがる。オセアニアの奴らはいかにもな本気メンバーで⋯⋯空気が寒いな。アタシにしろアイヴァ―卿にしろまあロートル側だし、軽んじられていると感じたのだろう。
『舐められている?はっアタシは権利を勝ち取ってここにいるんだ。そっちこそ侮っているんじゃないのか』
『ジャパニーズか。これはアタシらと列強との問題だ。口をはさむな』
へえ、眼中にないまで言うのか。それは少し⋯⋯癪に触るな。アイヴァ―卿と戦ったワシントンを思い出す。そんな私にバックパックを背負った女が話しかけてくる。年齢はエースより若いか。それでも物怖しない。まるでこの寒い空気などものともせずに。
『バチバチしてていいね。これが国際戦の楽しみだよ。君はジャパンのスピードシンボリだね。凛々しくてカッコいい。君はオーストラリアのキングストンタウン。コックスプレート3連覇、素晴らしいね』
『⋯⋯ああ、私だけしゃべってごめんね。私の名前はトリプティク。旅が趣味のレーサーだよ』
「確かに楽しまねえともったいねえな。スピード先輩にバックパックのあんた、オーストラリアのあんたらもそこの貴族っぽいあんたも皆すげー強いだろ。こんなメンバーでやれるレース楽しまねえともったいねえよな」
トリプティクの言葉に発破をかけられたのか少し怖じ気づく……というのは違うか、浮き足立っていたエースがパァンと自分の頬を叩き言う。馬鹿な妹分とは違ってたくましい。
アイヴァー卿とトリプティク。二人には悪いけど私達も勝たなければならない。アジアの意地を、日本の意地を世界に刻む為に
パタリと日記を閉じる
この頃はまだフジのクラシックでの活躍を信じて疑わなかった。
志比トレーナー
この頃は若手。後にフジの弟子になる謎の豪州ウマ娘やアグネスのヤベー奴、タキオンの弟子の挟まれる方なんかを担当するかもしれない人。