転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮) 作:罠ビー
この作品はタイトル9割なんですが某なろうリスペクトのようなタイトルはハーメルンだと全部表示されなくて少しショックでした
1990年10月16日
ヨシダ……昨日私の家を訪ねてきた日本のトレセン学園の職員らしい男はこれから少しアメリカでやることがあるらしくそれまでの間、連れてきたウマ娘の面倒を見て欲しいとの事だった。じゃあなんで連れてきたんだとか思わなくはなかったし、まだジュニア、しかもA*1クラスのウマ娘を初対面のウマ娘に預けるのはどうなんだとか怒鳴ったがヨシダはどこ吹く風といった様子気が向いたら練習でも見てやってくれと言い残すとウマ娘を置くと出ていった。
それでウマ娘、フジキセキと一週間程度暮らす事になったのだがどうやらフジキセキは私のファンらしく私に教えを乞う為にヨシダにムリを言ってついて来たらしい。最近好意を向けられる事が減っていた為に気をよくした私は彼女を追い出す事はなく共同生活を受け入れていた。
1990年10月17日
二段ロケット、幻の三冠ウマ娘。フジキセキはアニメではそのように紹介されていた。寮の寮長をしており悪戯好きだが後輩思いのウマ娘。主人公達のライバルチームであるチームリギルの所属だがレース描写はほとんどない。幻の三冠ウマ娘。なるほど、彼女の才能はそう言われても仕方ないだけのものがある。しかしだとしたらヨシダの意図が読めない。こんな大事な有力ウマ娘を私みたいなウマ娘に預けるだろうか?お世辞にも私の風評は良いとは言えないのだが……少々釈然としないがヨシダのいう通りにしてみよう。……決してフジキセキのコーチをしてくれという圧に折れたわけじゃない事をここに記しておく。
1990年10月18日
練習をしようとしたはいいが学園の施設は監督者のトレーナーが今は居ない為使えない事を失念していた。それにフジキセキは正規の留学生ではない為どうしたものかと思ったので練習場を貸してとイージーゴアに頼む事にした。
二つ返事で了承してくれた好敵手に心の中で感謝をしながらフジキセキとともにイージーゴアのところに行くと最初は歓迎してくれたが拗ねられた。なんで?仕方ないから別の手段を取ろうとしたら何を血迷ったのかフジキセキがイージーゴアに向かって挑発をしたのだった。ジャポネーゼは奥ゆかしいんじゃないのか?というか挑発に私を混ぜるのやめて欲しいし流石にプロのウマ娘相手にジュニアクラスのウマ娘が勝てるはずないでしょ。ほら早く謝ってと思うが二人はおさまらずレースをする事になった。結果は省略する。……久しぶりに走って疲れた。
1990年10月19日
フジキセキの走りはやはり一級品だった。まだジュニアクラスの為荒削りではあるが直線で追ってから再び加速するその足は同じ世代のウマ娘なら子供のようにあしらえるだろう。スピードの持続力もクラスを考えるとかなりいいものを持っている。反面鋭いキレのようなものは無さそうだがそれは追々期待していこう。
1990年10月20日
イージーゴアのせいで私もしぶしぶトレーニングをしているが自分のトレーニングよりこの大器がどうなるのか期待を膨らませている自分がいる。ヨシダの狙いはこれだったのかと頭を抱えるがもう既に遅く私の心は揺れ動いていた。そして謀ったかのように私のもとに手紙が届いた。日本のトレセンからのものだった。
1990年10月22日
フジキセキを見送りに空港に行くと図ったかのようにヨシダが航空券を渡してきた。それを受けとると後ろからドタドタと優雅さの欠片もない足でイージーゴアが追っかけてきた。なんで?というのは冗談だがその顔はひどく憤慨している。大方私が約束を違えたと思っているのだろう。……まあそうだけど。
イージーが何か言ってるが関係ない。私……オレがオレの誇りを取り戻すための戦いの一歩だ。そもそもマイナーでNRLに昇格させてくれと願いながら走る?否だ。絶対に後悔させてやる。
だからごめん、イージー。貴女との決着はまだかかりそう。でも退屈はさせない。ご馳走は最後にとっておくものだぜ、イージー。
◆◆◆◆
イージーゴアにとってサンデーサイレンスは手のかかるライバルであった。しかし今の彼女はトレーナーの薬物違反による資格停止でチーム活動が出来ず、またドーピング疑惑によりNRLへの昇格がなくなった事を皮切りに最近は自暴自棄になっていた。しかしいつかレースの場に戻って来てくれると思い気にかけていたところに彼女から練習場を貸して欲しいと短い連絡があった。
マイナーから復帰に向けて走り出すのなら練習施設やマイナーでの勝負服の事など相談にのってあげましょうと優雅に待っていれば彼女はジュニアの娘を一人連れてきた。どうも彼女の練習を見てあげるつもりらしい。
サンデー、貴女わたくしの事なめてやがりますわね。わたくしとの約束はどうしたんですの。昇格が取り消されたと思ったら別のチームにも所属せずにトレーニングも怠って、あげくにそんな娘を連れてきた。そう掴みかかろうとした時だった。
「先生、誰この弱そうなウマ娘?」
なんですのこのガキ。その早世してサイアーライン断絶したんだろうなみたいな目はやめなさい。張り倒しますわよ。
「やめとけフジキセキ。オレに負けたとはいえNRLプロのウマ娘だ。ジュニアのお前じゃ相手にならねぇ」
ええサンデー。貴女そういうヤツでしたわよね。
手紙をしたためる時だけは冷静だけど口を開く場面では考えなしの脳味噌ピーナッツですものね。
「やってやりますわよコノヤロー」
と言いましても流石に私もわきまえておりますわ。結局ターフコース1400mで1ハロンと4キロのハンデを負う事にしました。彼女、フジキセキさんがいかにジュニアで期待されてようとも流石に負けてしまっては沽券に関わりますからね。もちろん油断する気はありません。
サンデーの号砲で走り出すと距離のハンデは出遅れたと思うとしてフジキセキさんの6バ身後方ぐらいを追走する形をとる。スタートで少々足を使ってしまったがもちろんそれも折り込み済みだ。どんなに足を溜めても直線で届かなければ意味はない。
道中フジキセキさんは特にペースを操るような事はせずに4コーナーを曲がって行く。4コーナー手前から加速し始めるがフジキセキさんは広がることなくカーブする。もちろん加速した以上カーブは少し広がり距離損する形になるが折り込み済み。普段と違う足下で少し伸びづらいがロングスパートで捲る。加速して直線に入ってる以上末脚勝負は流石にこちらに分があるがフジキセキさんも粘る。ラスト1ハロン、明らかにキレ味の上がったフジキセキさんの二の足が私の追撃を振り切ろうとする。それに少々驚くがもう私の方が前にいる。1バ身離して私がゴールする。流石に敗けはしませんが……ギリギリで繰り出した二の足はジュニアクラスのそれではなく確かにサンデーが入れ込むのも頷ける。
「さあサンデー、貴女も走りますわよね」
『日本いくわ』
あまりにも簡素な手紙についに手紙ですら繕うのを忘れたかと思ったがすぐさま付き人に車を出させて空港に向かう。……フジキセキさんを見つめるサンデーの瞳になんとなく兆候がなかったわけじゃないがいささか卑怯な手ではないか?とサンデーではなくこの絵を描いた相手にごちる。
ウマ娘にはある種のシンパシーを感じる事がある。私とアリダーお姉さまのようにサンデーとフジキセキさんはおそらく何か繋がるものがあったのだろう。そのシンパシーとあれほどまでの才能を秘めたウマ娘をみたらその成長を見守りたくなるサンデーを責める事はできない……いややっぱりそんなことないですわ。
空港につくと奴はなんで?みたいな顔をしやがります。貴女のせいですわよ。
「逃げるんですの?サンデー」
「……オレが逃げる?笑わせるなよイージー。お嬢様はジョークの作法も知らねーのか」
「オレは帰ってくる。帰って来てくれと言わせてやる。オレを虚仮にした奴らに、オレを裏切ってヤクなんかやってやがった奴に、オレにNRLへの資格がないなどのたまった奴に」
「だから悪ぃ。」
私が挑発気味に口を開くとサンデーは鼻で笑ったようにそう言うと力強く宣言する。今年サンデーに暗い影を落としていた存在を嘲笑うかのように、そういうと珍しく謝罪の言葉を口にした。ああもう、そのような姿は出ていくアベンジャーに相応しくないですわね。
「いいですわ。貴女の勝手は今に始まった事ではありませんし。……それに、貴女も私を裏切ったのですからせいぜい後悔するといいですわ」
「貴女の存在なんか逆に忘れさせてやるくらいわたくしが活躍して、貴女が帰って来づらくしてさし上げますわ」
「上等。降格なんかしたら許さねーぞ」
「貴女こそ、大言吐いたのですからおめおめと帰ってきたら許しませんわ」
そう言って互いに拳を付き合わせて別々の方に歩いて行く。わたくし達にとってはこれくらいがちょうどいい距離感なのかもしれませんわね。
「って事が昔あったのよ」
「嘘でしょ」
フジキセキさん
サンデーさんの自称一番弟子。これを書く途中で弥生賞見たがえぐい。後の寮長で頼れる先輩にして今は生意気なガキ。しかしその才能は随一でサンデーさんは彼女のせいで日本行きを決める。ちなみに後々苦労人ロードを歩む事になる。ぶっちゃけキャラデザすこすこ。アニメ組ではオペさんに次いですこ。
ヨシダさん
ずるい大人。トレセン学園の職員を名乗っているが結構偉い人。理論や常識より勘に頼る面もあり、そのためフジキセキを連れてきた。日本のトレセンレベル向上の為に色々手を回しているらしい。