転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮) 作:罠ビー
中々間が空いてしまい申し訳ないです。チャンミの準備とウイポのせいもありますが三人の話の着地点を求めてちょっと悩んだのもあります。
ラインクラフトとか実装されましたね。アドマイヤムーン君もこいこい。
1995年5月22日
昨日はフィリークラスのダービーであるオークスだった。パートナーにプライムの他イノリ*1やキタ*2といった面々も出走にこぎつけ私の生徒は4人も出走するレースだった。当然みんなの応援のつもりだが現実的な所ではプライムとパートナーの方が抜けているだろう。人気的にもパートナーは3番人気、プライムは桜花賞より少し人気を落として4番人気。
1番人気は地方からの挑戦者、桜花賞4着のライデンリーダー。2番人気がフラワーC、スイートピーSを連勝しているイブキニュースター*3。桜花賞ウマ娘のワンダーパヒュームは桜花賞がまぐれだったという見方とこの距離は長いのではないかという評価で7番人気と明らかに舐められていた。
東京レース場2400m。フィリークラスのウマ娘ではこれまで走ってこなかったであろう距離に立ち上がり慎重になるだろうと思われたレースは、始まると真っ先にいつもと違う展開が現れた。
2枠3番*4のウマ娘がポンと飛び出すとまるでスパートのように飛び出して行く。一方で最後方を走っていると思われていたパートナーは後方ではあるが中団に取りつく程度の位置でレースを展開させていた。3番が大逃げを撃つ中で隊列を先頭でひっぱたのは1番人気のライデンリーダーだった。イブキニュースターやプライムはライデンリーダーを見る形で先団に位置どって展開していた。
1000mは59秒と飛び出た先頭との差の割にはペースが上がってはいなかった。ライデンリーダーは距離を考えてか抑えたペースだがむしろ他のウマに先に行ってほしい、押し出された位置取りだったのだろうか。第3コーナーで先頭を捕まえた時はペースを上げたというより先頭が落ちてきたような形だった。
大欅を超えたあたりでプライムやライデンリーダー、イブキニュースターが先頭に立ちながら横に広がっていくと直線を向く頃には各ウマ娘横一線に並んでいた。直線で真ん中あたりのババのいい所を距離ロス覚悟で後方に控えていたパートナーとユウキビバーチェ*5が連れ添って上がってくる。
実質スローペースの展開でさらに後方で貯めた足で35秒前半の上がりを使い、内で粘るワンダーパヒュームと連れ添ってきたユウキビバーチェを突き放し1バシン半以上つけて完勝して見せた。
昨日賞賛の言葉は尽くしたが改めて樫の王冠を手にしたパートナーを祝福したい。プライムも掲示板で二人とも素晴らしいレースだった。プライムは目の前でライバルに先を行かれたことから眼を潤ませながらもパートナーを称えていた。強い子だ。
1995年5月28日
ダービー。一生に一度のレースでありレースを志すものなら必ず一度は目標にするだろうレースだ。私はケンタッキーとサンタアニタのを勝っているが、例えば超一流のプレーヤーであるダンシングブレーヴでもTHEダービーは勝っていなかったりする。
『ダービーウマ娘は一国の宰相になるより難しい』と言われるくらいなのも頷ける。そんなダービーに生徒達が挑戦するのだ。しかも主役として。
一部では主役不在との声もあるが走る子たちにとっては関係ない。栄光のダービーウマ娘に誰がなるのか。ジェニュとツヨシには悔いのない走りをしてほしい。
夜は日記をかける精神状態ではないだろうから先に書いておく。
1995年5月29日
見事にダービーウマ娘の栄冠を手にしたのは一番人気に支持されたツヨシだった。私の生徒がダービーウマ娘になった。その事実に言いようもない幸福感が胸の内に上ってくる。トニーやBTの奴もこんな気持ちだったのか。
自分の中の何かが自分の制御を超えて歓喜の声を上げているようで少々不安感を感じそうになる。レース後のそんな姿を自分の生き写しのようにすら見えた幼ウマ娘に見られたのは少々の失態だが。⋯⋯というかその子はシンパシーを感じたから生徒なのだろうが⋯⋯なんだろうか、その背後に感じたものは何だったんだろうか。ソレに見られてから更に自分の中の何かがざわついているように感じる。
話を戻そう。1番人気は皐月賞でクビ差まで追いすがったツヨシ、2番人気は皐月賞ウマ娘のジェニュとウチの生徒2人が本命筋に支持されていた。復調したナリタキングオー、ホッカイルソー等が続くが2人の支持が並んでいるような状態だった。
レースは外枠のマイティーフォース*6が逃げを打ち、ジェニュやナリタキングオーは好位をキープし、ホッカイルソーは中団。そしてその外目、ホッカイルソーよりも前にツヨシが位置取った。
1000m62秒8とスローで流れたのは、ハナを主張したマイティーフォースに対して強いプレッシャーをかける子が居なかったからだろう。先団に位置取る人気ウマ娘は皐月賞を棄権した体調面でまだ不安の残るナリタキングオーと皐月賞がいっぱいで距離に不安を抱えていると思ってるだろうジェニュでは積極的に競り合う事はしなかったからだ。
緩いペースのままレースは進行し直線、横一線に広がったバ群を率いるのはマイティ―フォースをかわしたジェニュインだ。しかし残り250m程でコースの真ん中所、バ群の外からひと際違う足色で突っ込んで来たのがツヨシだ。
足色の違いで内を走るジェニュを置き去りにすると残り100m、ツヨシは1バシン半差をつけて優勝。ジェニュがホッカイルソーらを接戦で競り落とし2着と皐月賞ウマ娘の意地を見せた。
結果的に自分の生徒のワンツーという最高の結果だろう。当然嬉しいがもう一人の「主役」だった生徒、一度舞台を降りた愛しい生徒の事を思う。今春脚光を浴びる二人とは違う道を選んだ彼女はこのレースをどういう気持ちで見ていたのか。落ち着いてくると私の心の一部がそんなことを感じ始める。
◆◆◆◆◆◆
「……今日くらいは素直に喜んでも良いんじゃない?姉さん。私の事なんて忘れて」
ツカツカと靴音をたてて姉さんはすでに誰も居なくなったスタンドに座る私のもとまでやって来る。ウイニングライブも終わりライブ会場の喧騒も収まっていく中でわざわざこっちまで来るなんて相変わらずもの好きな人だ。
「それはライブの最前列で堪能してきたゼ。でもお前が居なかったからな。持ってんだロ、最前列」
「……まあね」
やや棘を含んだ物言いは相手にされずにただ確信を持って告げられる。手の中で握りしめたのは応援チケット。当然最前列をかち取ったものだ。
「眩しすぎたカ?」
「……そうだね。今の私にはは眩しすぎた。最前列なんて行ったら、目が焼けちゃうよ」
「……そうカ。でもアイツ等はそうは思ってないみたいだゼ」
姉さんの言葉に視線を下ろせば勝負服のジェニュインとタヤスツヨシが私を見上げていた。スポットライトから降りてはいるが未だに舞台衣装を纏う彼女達と、制服姿の私。咄嗟に目を反らしてしまうがそれが良くなかった。
「フジ!!」
彼女にしては珍しく声を強くして私を見上げてくる。彼女が私を強く意識していた事は知っていたが、ここまでそれを強く向けられると戸惑う。
「貴女はいつもそうだ。私達の前を走っていて、私達の見る景色の数手先を見ている。今回だって、勝手に私達が追いつく前に先に行ってしまう」
「オレ達がやっと対等に勝負できると思ったらお前は見切りをつけて俺たちの手の届かないところに行っちまう。オレ達なんか眼中にないってか」
二人は若干厳しい目を向けてくる。違う、もう今の私は君たちのトップスタア足りえないんだ。そんな姿を君たちに晒すのは私のプライドが許さない。⋯⋯君たちは軽んじられていると憤慨するだろう。だけれど私の在り方がライバルたる君たちに不甲斐ない姿を見せることを良しとしない。
「⋯⋯ハア。お前ラは優等生な面して大概意地を張るよな。」
隣で静観していた姉さんがため息交じりでそう口を開く。明らかに呆れたというような雰囲気に抗議の声を上げたくなる。意地っ張りは姉さんでしょ
「コイツはただカッコ付けなだけだ。その事はお前らも良く知っているだロ。カッコつけたいんだよ、他ならぬお前らに。それが気に食わないならお前らは道の交わる先でぶん殴ってやればいい」
姉さんは私の頭をワシワシしながらそう口にする。不満げな顔を向けると姉さんの目は何処か遠くを見つめてるような気がした。
おら帰るゾ。といった感じに姉さんは私の腰を押すと下にいる二人にもそう促す。初夏の夜風は意外と暖かい。まるで直前までライトが当たっていた舞台のような鈍い熱気が燻っていた。
『オマエハ、俺ノハズダガオレデハナイ。』
「そうかもな。ただオレはこの私を便利だと思ってるゼ。use what you canダ。選り好みできる立場に慣れすぎたんじゃないか、俺」
◆◆◆◆◆
最大のライバルに無様を見せたくないフジVS勝手に先に行くライバルが腹立たしいクラシック組VSマーベライ。なお菊花賞
タヤスツヨシ
ジェニュインの方にライトを当てすぎてしまった感があって申し訳ない。ここまでの成績だとツヨシの方が格上なんだし、初ダービーウマ娘としてもっと上手く扱ってあげたかった。申し訳ない。
ダンスパートナー
名家の意地。マジでダンス3姉妹+エアダブリンお待ちしてます。こっからは白井ローテなのでこの夏から秋を賑わしてくれるでしょう。
heroineは誰か。
hero in は何か。