転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮)   作:罠ビー

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 お疲れ様です。大変遅くなりました。
 新時代の扉見てきました。フジパイセンすこなんだ。そしてカフェもすこなんだ。ナベさん好きだけどウチのフジはおハナさんの所に行っちまったから。
 ダービーは面白いもん見せられました。


共感性―シンパシー―

 

『あまり真面目に受けないのは感心しないよ』

 

『仕方ないだろう。そもそも本国では免許は持ってる。わざわざ私が今更聞く講義ではないよ』

 

 

 彼女、デインヒルと私の出会いはあまりいいものでは無かった。彼女は私の片言な英語での問いかけに流暢な英語で答えた。姉さんの英語とはちょっと違うから別の国だろう。

 そんな彼女はアメリカ生まれでアイルランドでサイアーをしており、オーストラリアやニュージーランドの南半球でも仕事をしているらしい。理由を聞くと不思議に思わない?と言われた。

 

 

『君もウマ娘ならシンパシーを感じる事はあるだろ?感じたから先生に教えを受けた。でもさ、どうして私と関わりの無い土地のウマ娘にも感じるのだろうか?』

 

『私はアメリカ産まれで主にヨーロッパを走った。南半球には縁も無いはずだ。だからオーストラリアに初めて行った時驚いたよ。なんで私なんかとこんなにシンパシーを感じる子が多いのかって』

 

『だから日本に来たのも1つの実験。私の知らない地で私がシンパシーを感じる娘がいるのかどうか』

 

 

 そう言ったデインヒルに姉さんの面影を感じた。姉さんも今のデインヒルみたいな哲学的な事をよく言っていた気がする。アプローチは違えどウマ娘に対して懐疑的な、その在り方について考えてる事は知っていた。

 確かに何故私は、私達は揃って姉さんの指導を受けたいと思ったのだろう。姉さんが日本に来ない未来も、冷静に考えればありえたのだ。

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 1995年11月5日

 クラシック三冠路線、菊花賞の衆目の関心はダービーウマ娘のツヨシではなく掟破りのティアラ路線からの挑戦者ダンスパートナーだった。そして対抗は京都新聞杯勝ちのナリタキングオー、京都新聞杯と神戸新聞杯を2着と高いパフォーマンスで纏めている天才少女マヤノトップガンが続く形だった。

 ダービーウマ娘のツヨシは神戸新聞杯も京都新聞杯もあまり振るわなかった事から評価を落としていた。ダービーもパートナーのオークスよりパフォーマンスが劣るという意見も散見された。

 レースでハナを切ったのは7番に入った私の生徒のウェル*1だ。トレーナーと上手く行っておりここまでの大舞台に参戦するチャンスを掴んだと思うと感慨深い。少しばらけて数バ身後ろ、4番手あたりをナリタキングオーやマヤノトップガンが追走する。集団の中頃にパートナーは構えており、ツヨシはいつも通りの最後方といった様子でホームストレッチを抜けていく。

 淀の坂の上りあたりでウェルを捉えたマヤノトップガンとナリタキングオーが横並びになる。パートナーも最終コーナーを外からあがってくるが、直線を向き先頭にいたのはマヤノトップガンだった。直線でパートナーはティアラウマ娘にとってはほぼ走ることのない距離、2800程を走っているにもかかわらず先頭のマヤノトップガンに追いすがろうと差を詰めてくる。しかし直線中ほどから切れが落ちる。マヤノトップガンとの差は開かないが縮まらず、さらに内を付いてくる何人かのウマ娘に抜かれる。結局菊の王冠を手にしたのはダービーウマ娘でもなくティアラからの挑戦者でもなく、遅れてきた天才少女だった。

 パートナーは5着でツヨシは6着。二人とも適正の合わない中良く頑張ったと思う。来週のエリザベス女王杯で私の生徒がはじめて参加した今年のクラシック路線が終わる。まだ一年だが様々な事があった。なかなかに心の動きが大きくて疲れたというのが本音の所だ。

 

 1995年11月9日

 今年の香港特別招待競争も2400mで行われる。まあ12ハロンが欧州では最もメジャーな距離だ。ステイツこそもう少し短くインターミドルよりではあるが、そもそもステイツのメジャーはダートだ。

 今年の日本を代表するのは夏のドリームトロフィーロングを制し念願の出場権を手にしたミスオールラウンドタケシバオーとシリウスシンボリという世界に手を伸ばしたウマ娘達が再び海外挑戦の権利を勝ち取った。

 昨年のリベンジ達成なるか、再び世界の壁に打ちひしがれるのか。日本のレースの関係者として期待したい。

 

 1995年11月12日

 エリザベス女王杯で一番人気に押されたのはプライムだった。しかしローズSを勝ったハピネスとサファイアS2着のフェアダンス*2と差のない人気。桜花賞ウマ娘のワンダーパヒュームは大外8枠とやはり距離不安から、地方のヒロインライデンリーダーは中央G1では少し厳しいのかといった様子で本命不在。まさに押し出された1番人気であった。

 レースはプライムやライデンリーダーなどが前目のポジションを取りたいが先頭を取りたくはないといったような様子の集団形成から第1コーナーを曲がるころにはオークス2着のユウキビバーチェが先頭に立っていた。

 明らかに緩い展開で逃げ粘るウマ娘を好位追走で追い抜いたサクラキャンドルと中団からまくるように上がってきたブライト*3が直線で競り合いを演じ、サクラキャンドル*4がブライトを1バシン足らないくらい突き放して勝利した。

 番狂わせを演じたサクラキャンドルは終始喜びを爆発させており、2着のブライトも満更ではない様子だ。今年は桜花賞といいティアラ路線は番狂わせが多かった印象だ。それ程今年のティアラ路線の面々の実力は伯仲しているのだろう。互いに高め合い、意識しながら次のステージを目指して貰いたい。

 

 1995年11月19日

 秋のマイルの大一番、マイルCSが行われた。今年の短距離マイル路線は昨年を沸かせたサクラバクシンオーとノースフライトがドリームシリーズに進み、安田記念は海外ウマ娘が勝利し好成績を収めたサクラチトセオーやタイキブリザードはこの秋中距離路線に舵を切っていた。

 その為か1番人気はやや押し出される形で昨年の短距離戦線で好走したビコーペガサス、秋に京王杯AHを好走し前哨戦のスワンSを勝利した留学生ヒシアケボノが続く2番人気となっていた。

 レースは注目のヒシアケボノが先団に構え、ビコーペガサスとローカルから中央に移籍してきたトロットサンダーが後方に構える展開になった。

 マイル戦故に道中大きな動きは無く直線を向いた頃には好位を追走していたヒシアケボノが先頭のエイシンワシントンを捉えて先頭に立ち、そのまま押し切るだろうと思われた。しかしコースの真ん中処を突っ込んできた。並んで上がってきた8枠のウマ娘*5とトロットサンダー、ヒシアケボノが並んで最後の10mほど、前に出たのはトロットサンダーだった。

 トロットサンダーはローカルの浦和出身だが去年から中央に移籍し、今年から重賞に出てきたウマ娘だ。世代はミホノブルボン達の世代でもう同世代のほとんどの選手はドリームシリーズやマイナーシリーズに進んでいる。その中で、挑戦してきて掴んだ勝利だ。

 ローカルから中央に、日本から世界へ、王者として君臨している舞台から新たな舞台へ。挑戦し続ける事が重要だと思わされる。闘い続ける事がやはり私達には必要なのだろう。

 

 1995年11月22日

 来年からG1レースの増設が発表された。結果的には短距離路線とティアラ路線の拡充になる。

 一つはティアラ路線。エリザベス女王杯がシニア級にも開放される事になりシニア級でもフィリーのウマ娘限定のレースが増える事になる。従来のティアラ路線3戦目として秋華賞が開設される事になる。

 もう一つは夏の中京レース場での中距離重賞だった高松宮杯の条件を同じく中京の1200mの短距離レースとしてG1に昇格させるとの事だった。特に短距離はサクラバクシンオーやダイイチルビーと新たなスターが次々と出てきた結果だろう。

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 菊花賞が終わった。生憎今回はBTの所のマヤノトップガンに負けてしまったがそういう事もある。あとは頑張った生徒達の勇姿をライブで焼き付けようと、外れた席券を払い戻して新しい券を買いに行く。

 立ち上がった瞬間急に喧騒が取り残されるように遠のいていく。いつの間にか静寂が包むスタンドにはダービーの時に遭った私に似た幼いウマ娘と、私の中の何かと非常に近しい影の存在。

 

 

 ……また、逢えましたね

 

 随分と早い再開だナ。逢えるのは来年かと思ってたゼ。

 

 

 影の方は相変わらず私を威嚇するように彼女の前に立つ。おそらくは超常の存在で、欠片も霊感の類の無い私がこの影を認識出来るのはこの影と私に切れない縁があるからだろう。

 

 

「んで、何の用件だGirl?それとも用があるのはそっちのPhantomか?オレまでジャンキーになったなんてのは笑えないからよしてくれよ」

 

「……おそらくは私なんだと思います。貴女からはオトモダチと同じような感覚がして、今回も貴女を見かけたので声をかけたくなってしまい」

 

 

 ふむ。悪意は無いようだ。しかし今私は何かに取り込まれていると推察できる。会う度にこんな事になっては面倒である。私にはこの絡繰がてんで理解できない。

 

 

「オレはHorrorに造詣は無いがお前との縁は感じるよ。そこのPhantomとも何か縁はあるのだろうけど、Sorry、生憎見当がつかない」

 

「お前がタイムマシーンでここに来た過去のオレってんならイカした車が見当たんねーな。そろそろ名前を教えてくれてもいいんじゃねーか?」

 

「……マンハッタンカフェです」

 

「いい名前だ。オレはサンデーサイレンスだ」

 

 

 マンハッタンカフェと名乗った彼女を改めて見ると私と似ている。というかこの娘の姿に既視感がある。いや自分に似てるんだからとかではなく。それとオレが名乗るとPhantomは明らかに機嫌を悪くしたように感じた。

 

 Phantomはきっと私の何かに関係が在るんだろう。私と、私の中の【オレ】に。もしかしたら私がここに在る事は何か罪をおこしてるのかもしれない。

 

 Three goddess only knows てところか

 

 

*1
サンデーウェル。2章5話メイクデビューにて名前だけ登場

*2
リボー系フェアジャッジメント産駒。重賞戦線で好走歴多数

*3
ブライトサンディー。この時点でサファイアS勝ち。

*4
サクラユタカオー産駒でサクラチトセオーの妹

*5
メイショウテゾロ




 オトモダチ(Phantom)
 もちろん先生と大いに関係がある。先生を威嚇してるのか一部折り合いが合わない。

 マンハッタンカフェ
 来年入学予定。新時代の扉もタイミングいいなあ(ガバガバ当たり判定)

 トロットサンダー
 トレーナーは2024のダービートレーナーになってそう。フーちゃん、トロットサンダー、タイキシャトルと90年度のマイル界も結構ヤバい。
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