転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮)   作:罠ビー

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 サブタイトルに深い意味はないです。
 今回はわりと説明回。あくまで罠ビーが設定としてサイアーを落とし込んだだけなので皆さんは自分の中のウマ娘世界をお守りください。


「サイアーって?」

 

 

 1990年10月24日

 この世界に来て初めて日本に降り立った。私的には数年間離れていただけなのだがすごく新鮮に思えた。それはそうか。1990年は前の自分は産まれていなかったのだから。ヨシダに案内されてトレセン学園に向かうと理事長室に案内された。

 理事長に提示された仕事内容はジュニアクラスのコーチの仕事だった。まああらかじめ知らされていた仕事内容と相違ない。悪質な契約の類いではなくて安心した。

 ジュニアクラスのウマ娘はチームに所属するまでにウマ娘によりウマ娘としての身体の使い方、トゥインクルシリーズについて学ぶ。アメリカではこの期間をAクラスおよびAAクラスと呼んでいた。そしてAAからAAAに上がる頃に担当のチームを決めるというシステムだった。日本ではどうやらジュニアC組およびジュニアB組というらしい。

 この時の指導ウマ娘……便宜的にサイアーと呼ぶらしい。サイアーには私みたいな専属のサイアーとドリームシリーズまたはマイナーシリーズを走りながら行うサイアーがいる。サイアーには免許が必要らしくこれからサイアー試験に向けた講義を行っていくらしい。

 

 1990年10月26日

 日本のトレセン学園を駿川たづなという人に案内された。この人もそういえばアニメに出てたような気がする。やはりアメリカのに比べると少し規模が小さい気がするがそれはまだジャパンのトゥインクルシリーズが発展途上だからだろう。勝負服の技術なども欧米に比べると劣る事があるかもしれない。しかし学園内は活気に溢れており少し懐かしい気持ちになった。これから私はサイアー免許取得までサイアー助手として先輩サイアーの補助をするらしい。

 

 1990年10月28日

 トゥインクルシリーズ開催日らしいので観戦に行った。東京レース場で行われるらしく幸いトレセン学園からそんなにかからなかった。今日は天皇賞(秋)が行われるらしい。一番人気はオグリキャップという芦毛のウマ娘だった。……オグリキャップ。彼女が今のトゥインクルシリーズのスター選手であり歴代でも非常に人気のあるウマ娘らしい。走るシーンはなく見切れで何か食べているシーンばかりだったけどアニメにも出ていたし彼女が主人公の漫画もはじまったらしく、その人気の程は頷ける。しかしいざレース場に行くとその人気に圧倒された。私とイージーの三冠レースもかなりの人気だったがその熱量は負けずとも劣らないものだろうと思う。残念ながらオグリキャップは負けてしまった。

 

 1990年11月1日

 サイアー免許取得に向けた講義がはじまった。講義を受講しに来ているのは私のような海外から招待されたウマ娘やドリームシリーズに昇格が内定しているウマ娘、まれにマイナーシリーズを走っているウマ娘である。さて私の同僚になるウマ娘はどんな面子だろうと教室を見渡すと先日レース場で見た芦毛のウマ娘の姿があった。目があってしまいガンをつけたと思われたのかそのあとで鹿毛の小さなウマ娘に絡まれたりオグリキャップとそいつと鹿毛の大きいウマ娘と食事をご一緒する事になった。……どうしたらあんな量の食事が腹に入るのかいささか疑問だ。

 

 1990年11月5日

 サイアー助手としてリアルシャダイのもとで指導につく事になった。こうもっと研修生みたいな感じで厳しいのかなって思っていたが意外とそんな感じはなく穏やかな様子だった。ジュニアの生徒達にはけっこう怯えられてしまった。……前途が不安だ。

 そういえばリアルシャダイは幼い頃の私を知っていたらしく私に物怖じせずに接してくれた。私が普段無口な理由も察してくれているらしく穏やかに接してくれた。……ホワイト上司助かる。

 

 1990年11月12日

 リアルシャダイのもとで助手をはじめて一週間たった。助手なんて何をするのかと思ったがリアルシャダイのサイアー担当は300人ぐらいいるらしい。そりゃ助手が必要だ。

 話は若干変わるが多くのウマ娘にはシンパシーなるものが発生してそれがサイアー指導に活かされるらしい。のだがリアルシャダイのところにはリアルシャダイに強いシンパシーのないウマ娘もいるらしい。リアルシャダイいわく最もシンパシーを感じるのが家族くらいだとすると遠い親戚くらいらしい。具体的にいうと父親の兄弟の孫くらいらしい。ちなみに私は従兄弟くらいらしい。

 さてそういう目線で見ると4,50人くらいシンパシーを感じる。そうリアルシャダイに言えばそれが来年の私の担当になるらしい。正気か?さらに来年度入学する分もあるらしい。正気か?そう思うがリアルシャダイの惨状を見ると何も言えなかった。

 

 1990年11月18日

 サイアーの真実にげっそりしたがリアルシャダイの様子をみるに私以外にも何人も助手がいた。どうやらサイアー助手はれっきとしたウマ娘の再就職先のようだ。特にマイナーシリーズを走るウマ娘にとってはいい資金稼ぎなのかもしれない。

 そういえばフジキセキも暫定的にリアルシャダイが面倒をみていたようで私が合流してから私について回っている。既に来年私が受け持つだろう4,50人は私のもとに来ることが多くあった。フジキセキはもちろんのことそれに劣らない才能も何人かいる。

 

 悪戯好きな面もあるが真面目で既にジュニアCでも最注目選手のフジキセキ。

 やや短めの距離が向いてそうで青鹿毛の真面目なクールビューティーのジェニュイン

 黒鹿毛でやや大人びた、落ち着いた印象のある黒鹿毛のタヤスツヨシ

 来年妹も入学するんだとフィリークラスの少々お転婆な鹿毛の令嬢のダンスパートナー

 とにかくやかまし……元気がありムードメーカーのマーベラス娘、マーベラスサンデー

 

 成長が楽しみな選手が多くてとても楽しみだ。おそらく日本のトゥインクルシリーズを賑わせてくれるだろう。そうにやついていると通りがかったサイアーの先輩にイタリアなまりのある英語でそんな顔もするんだねーと言われた。少々恥ずかしかった。

 

 1990年11月22日

 ふと改めて考えると無口で無愛想な私がこんなにウマ娘に囲まれているのは初めてではないだろうか?なんで?と思ったがこの件は私の傷を抉りそうな為に深く考えない事とする。

 

 

◆◆◆◆

 

「さっきはなにガンたれてくれてるんでぃ」と元気な声が私の耳に聞こえてきた。栗毛のウマ娘がそれを宥めて

青鹿毛のウマ娘は何処吹く風とステーキを頬張っていた。そのとなりでもくもくと食事を続けるのは今をときめく名ウマ娘、オグリキャップ。

 食堂で昼食を取りながら揉めている一団を見て私は満足そうにしながら自身の昼食に手をつける。彼女達はこれからの日本のウマ娘界において中心を担っていくウマ娘達だ。

 オグリキャップを中心とした平成三強はこれからドリームシリーズに戦いの場を移して日本におけるトゥインクルシリーズの人気の向上に繋がる。

 一方の青鹿毛のウマ娘……業界通の方はご存知だろうが今年日本でサイアーになるために来日したアメリカの二冠ウマ娘、サンデーサイレンスは世界トップクラスのウマ娘として日本でサイアーとなり技術的、精神的に欧米に遅れたこれからの日本ウマ娘界を引き上げる存在になる。

 国際化に向けて始められたジャパンカップの結果は記憶に新しい。カツラギエースにシンボリルドルフ。2人のウマ娘は欧米のウマ娘に対し勝利を勝ち取ったが未だに日本のウマ娘は欧米のウマ娘に比べて弱いと言わざるをえない。オグリキャップも昨年は惜しい戦いをしたが一着は豪州のウマ娘、ホーリックスに譲った。

 その現状にトレセン学園も手をこまねいているわけではない。サンデーサイレンス以外にもサイアーの強化はここ数年行われており凱旋門賞の勝ちウマ娘、トニービン。サンデーと同じアメリカで活躍したブライアンズタイム。彼女らを中心にシンボリルドルフ、オグリキャップといった優れたウマ娘が日本のウマ娘の平均レベルを大きく向上させる事になるだろう。

 さて今週のジャパンカップ、日本のウマ娘の健闘を期待したい。

 

『11月24日、日刊ウマ娘コラム、トレセン学園見聞録より』

 

 




「なにガンたれてくれてるんでぃ」
「い、イナリちゃん、ダメよ迷惑かけちゃ。」
「モグモグ、食わないのか?」
「ユー アー グラトニー」


オグリキャップさん
90年の話書いてて触れないわけにはいかなかった日本を代表するスーパーアイドルウマ娘。サンデーさんの一つ年上で実はスタッドインは同時。なのでサイアー講習を一緒に受けている。でもサイアーとしては史実通りの模様。サンデーさんが血統面の特異点ならオグリさんは文化面の特異点。シンデレラグレイ好評連載中。

リアルシャダイさん
サンデーさんのサイアーの先輩。ノーザンテーストよりはヘイルトゥリーズンを通っているので運命は彼女をサンデーさんの指導者に選んだ。なんと調教師がサンデーさんと同じだったので面識がある設定にしました(サンデーさんは覚えてないけど)。日本におけるロベルト系のはしり。彼のあとをたくさんのロベルト系の名馬が爪痕を残していきその一員が2020年にある偉業を成し遂げた。

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