転生したら米国二冠ウマ娘だったけどコーチの依頼が無くて極東に行ったら名コーチになって教え子に囲まれてます(仮)   作:罠ビー

9 / 47
遅くなりました。
日間乗ったらしくえぐい延びててびっくりしました。たくさんの閲覧ありがとうございます。

いつのまにかチャンピオンズカップ終わってました。クリソベリル君本命でした。


栄光の二冠ウマ娘と悩めるトレーナー

 

 1991年4月9日

 昨日はダンスインザダークの衝撃で忘れていたが今年入学した生徒でも私の受け持ちになりそうなのは40人くらいでまあ昨年通りといったところ……あれ、これフジ達が出るまでに単純計算で160人。

 さてこの担当生徒だが生徒の希望にて決まっている。サイアー担当の写真を見せて気になるサイアーを見学。これでシンパシーによりまず決まるなんともオカルト仕様だ。

 

 1991年4月14日

 今年の皐月賞はトウカイテイオーが前評判通り勝利した。まさに横綱相撲といった感じでシンボリルドルフを彷彿とさせる先攻抜け出しの強いレースだった。シンボリルドルフも満更ではないという感じに満足そうにしていた。……でもあの指たてはやり過ぎじゃないか?でも私もやるかあの立場なら。

 

 1991年4月20日

 日刊ウマ娘にPTGことペーパートレーナーゲームについて載っていた。どうやら自分をトレーナーに見立てて所属するウマ娘を決めてそのウマ娘の成績で競うゲームらしい。トレーナーの免許はけっこう難関らしいのでこれは手軽にトレーナー気分を味わえるいいゲームだと思いながらせっかくなのでカタログを捲ってみることにした。どうやらA-1組の娘達を選んで来年一年の成績を競うらしい。しかし少々これは健全じゃない方面でも人気が有りそうなのは突っ込んではいけないのだろう。

 学園内レースの成績とどのサイアーが面倒を見てたか、チームが既に決まっていればどのチームに所属しているかが記述されていてそれらのデータで決めるらしい。せっかくなので私もやってみた。でも今年だけの娯楽になるだろう。しばらくしたら指名なんて自分の生徒だけで埋まってしまう。

 

 

 1991年4月24日

 まあまあ経ったので今年の生徒達で有力そうなのを挙げてみる。

 まずは最近ようやく言ってる意味を多少理解し始めたダンスインザダーク。鹿毛のツインテールで眼帯をつけて左腕に包帯を巻いている属性渋滞娘だけれどその才能は非常に高いものを持っていてキレそうな脚をしている。

 次にバブルガムフェロー。こちらは鹿毛の小柄な身体でやや癖毛のふわふわした髪をしている。最初は少し緊張してたがダンスインザダークをみてからは普通にみんなに打ち解け出している。一人称が僕なのをからかわれるのが怖かったらしいがもっと個性的なのがいて落ち着いたらしい。才能はダンスインザダークに勝るとも劣らない。

 次にイシノサンデー。栗毛の三つ編みでメガネをしてるまるで委員長みたいなタイプである。……頑張って馴染んでくれと思ってたがバブルガムフェローともダンスインザダークとも上手くやってる。ジェニュイン同様以外にノリがいいのだろうか?

 追記:おいそのサンデー四天王って名乗りはなんだ。巻き込まれて顔を赤くしてるロイヤルタッチのことも考えてやれ。

 

 1991年4月28日

 春の天皇賞はメジロマックイーンが勝った。メジロのお嬢様はアニメにも出てたけどこんな年上だったのかと驚いた。前世の私はこの年にはまだ産まれてなかったのだから驚いた。

 そしてお嬢様なメジロマックイーンを見ていると別のお嬢様の事を思い出したので久しぶりに電話をかけた。なんでもっとはやく連絡を寄越さなかったんだとキレられたので話題を反らす為にスーパーレース*1出場おめでとうと残念だったねと言っておいた。しばしの沈黙のあと見てらしたの?と言われたのでモチロンと返した。……イージーが出てなきゃ絶対見なかったがイージーは私のライバルなのだ。ライバルの姿くらいみるさと言うと電話は切られた。

 

 1991年5月10日

 一年生組と二年生組だが特に問題は起きてなくて安心した。時々私への執着が高すぎて怖い気がする時もある為、生徒が増えると私との時間が減ると言って下級生と溝が出来ないか不安に感じていたが杞憂らしくてすごく安心した。二年生の娘達は一年生の娘達の先輩をちゃんとしていてくれて嬉しい。このまま仲良くして欲しい。だから四天王に競ってなんか作ろうとしないでいいから。えもしれない羨望の眼差しに困惑してるだろロイヤルタッチが。

 

 1991年5月26日

 ダービーはトウカイテイオーが予定通り二冠を手にした。少々荒れたコース状態だったのに非常に早いタイムと王道を行く先行抜け出しと圧倒的な内容だった。それは二着だったレオダーバンの『トウカイテイオー半端ないって。あいつ先行6番手からあんな脚繰り出すんだもん』と言っていた通りだった。シンボリルドルフもこれには喜びより顔に驚きを浮かべたあとに『今日のレースは私より上手いものだった』と語った。その言葉より後に見せたご馳走を前にした猛獣みたいな顔の方が印象に残った。怖いって。

 しかしテイオー半端ないっての代償はあったようでウイニングライブは皐月賞の様子とは全く違いスタンドで歌うだけだった。激しい動きを好みそうな皐月の様子と比べると明らかに異様な姿であった。そして数日後にトウカイテイオーの骨折が発表された。なんとか菊花賞までに回復して欲しいが……そればかりは神様次第といったところだろう。

 

 1991年6月9日

 宝塚記念の一番人気は春の天皇賞勝ちのメジロマックイーンだった。宝塚記念は上半期のグランプリということで参加ウマ娘は人気投票によって決まるらしい。今回はメジロマックイーンが一位を獲得したらしい。メジロライアンというのも出てるからメジロはそういうグループか何かなのだろう。そういえばメジロマックイーンとトウカイテイオーは同じトレーナーが見ているみたいでけっこう洒落た若手のトレーナーだった。

 

 1991年6月13日

 学園内を散歩していると脚を撫でられたので蹴り飛ばした。よくよく見るとメジロマックイーンとトウカイテイオーのトレーナーらしくてさらによくよく見るとアニメに出ていたトレーナーを少し若くした感じだ。オキノという名前らしい。今をときめくトゥインクルの二大スターのトレーナーがそれでいいのかと軽く小言を言っておいた。いずれ彼のチームはあのメンバーが揃うんだろう。……というとフジの事を見に来たあの東条トレーナーはまさか

 追記:やっぱりおハナさんだった。でもマルゼンスキーの年齢……うわ、マルゼンスキーがこっち見た。やめとこ

 

 

◆◆◆◆

 

 

「ファック。流石ニ大罪ダ。タヅナニチクッテモイインダゼ」

「悪かった。それだけはやめてくれ」

「アア。今日ハソノ一発デ勘弁シテヤル」

 

「……デ、油売ッテテイイノカ。スタートレーナー」

 

 俺の言葉にいい蹴りを放ったウマ娘はそう言う。やっぱり知っていたか。そう思いながらも彼女の横に座る。米国二冠ウマ娘、サンデーサイレンスの横に。

 

「トウカイテイオーダナ」

「ああ」

 

 さも当然のように相手が切り出した話題に同意する。テイオーの怪我が判明してから自分はどうするべきなのか悩んでいた。テイオーの脚はまず直るがあれは走り方に依るところが大きい。あの天性の走りを矯正して怪我をしづらくするべきなのか、あのまま怪我と隣り合わせの走りを続けさせていいのか。

 

「アー、オ前ソンナニ偉イ奴カ?」

 

 そう言うと棒キャンディを舐めながらそんな事を言われた。少々ポカンとしているとサンデーは続ける。好きにすればいいと。どうせウマ娘も好きにすると。

 

「ドーセ俺達ハオ前ラニトッテ道具ナンダロ。ナラ好キニ使ウトイイ。上手イ使イ手ノ下ニ、上手ク使ッテクレル奴ノ所ニ集マルカラ」

「違う、俺達はウマ娘の事を思って。テイオーやマックイーンの事を思って」

「アー。カモ知レネー。デモ互イニ利用シアウ。深クナリスギルト後悔スル。ビジネスライクデイインダヨ」

 

 ガリガリとアメを噛む音が聞こえる。売り言葉に買い言葉で反論してしまった為かギロリと睨まれるが直ぐにその視線を反らすとやや哀愁の混じった声でそう言われた。

 

「入レ込ミ過ギルト碌ナ事ネー」

「……だけど俺はアイツらとドリームトロフィーを」

「ソレハオ前ノ夢ダロ、ダカラオ前ノ夢ヲ実現スルタメニ最良ノ手ヲトレヨ」

 

 

 

 そう言い残して彼女は去って行った。俺の夢を叶える為……俺はテイオーにしてやれる事は。そう考えながら病室に脚を運ぶ。

 俺はあの時から夢を追って良いのかとずっと考えていた。チームのメンバーがレース中に心臓発作を起こした時から。マックイーンとテイオーがうちに来て、彼女達に任せていたら彼女達は自身の才能をメキメキと伸ばして頭角を現してきた。だけど今回テイオーに怪我が見つかってどう接するべきなのかわからなくなっていた。

 だからこれはエゴで、この選択をする事を恨んでくれたってかまわない。俺はドリームトロフィーを取るお前の姿が見たいから

 

「あっトレーナー、僕の怪我なんだけど菊花賞までに」

 

「テイオー、菊花賞は諦めてくれ」

 

 この選択は俺の責任だ。

*1
米国版WDT。スーパーボウルから拝借




サンデー「ウマ娘は勝手にやるしトレーナーも勝手にすればいい」
???「これからご指導ご鞭撻よろしくお願いします、マスター」
???「ああ。宜しく頼む。厳しくいくが覚悟してくれ」

沖野トレーナー
アニメのスピカのトレーナーさん。声優さんから名前取ってます。取った結果思いつきで要素が追加されてます。スピカのメンバーが一人増えてるかも。今作では有力若手トレーナーの一人。じゃないとテイオーとマックの担当になれないでしょ。白いアイツはまだいません。現実準拠の出番となります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。