前回は復学手続きのために学校に来ていましたが、ここからは京楽さんの高校生活が始まります。死神図鑑とか見てると、真面目に学校生活送っていたのか怪しい京楽さんなんですけど、この京楽さんはちょっと真面目に授業受けてもらおうと思っています。
ヤる時はヤる京楽さんを出したいのでキャラブレが起きるかもしれんませんが、よろしくお願いします。
その日、雄英高校の校門前に一台のリムジンが止まったかと思うと二人の男女が後部座席より降りてきた。八百万兄妹である。
「これから、ここでの学生生活が始まるのですね。」
「そこまで緊張することは無いと思うんだけどねぇ。」
百は新入生らしい緊張感を持ちながら、春水は余裕を醸し出しながら校舎に向かっていった。掲示板に載っているクラスを確認すると二人とも同じクラスだったため共に向かい始めた。
「お兄様は、記憶を無くしてからも何回か来られているからですわ。私はこれが初めてなのですから。」
「はいはい、そういうことにしておこうかな。」
話しながら教室に入ると、扉の音に反応して何人かがこちらを見てきた。皆同じクラスに誰がなるのか気になるのだろう。視線を感じながらも二人は席を確認しに前に貼られた席表を確認しに行く。
「少し、お兄様と離れてしまいましたわね。」
「こればっかりは仕方ないんじゃないの。何?一緒の席が良かった?」
「そ、そういうわけではありません!」
百の席は教室の前から見て一番左奥。春水の席は一番前の右端であった。揶揄われた百は顔を赤らめながら春水を置いて席に向かった。その様子を笑いながら春水も自分の席に向かい後ろと横の席の生徒に挨拶をした。ピンク色の肌に角の生えた女の子が芦戸三奈、尻尾の生えた男の子が尾白猿夫と言うらしい。特に芦戸は色恋沙汰が好きなのか百とのやり取りについて聞いてきた。
「ねぇねぇ、さっきの女の子とどういう関係なの?」
「さぁねぇ、何だと思う?」
「彼女でしょ!入学初日に一緒にクラスに入ってくるなんてそれぐらいしか思いつかいよ!」
「確かに百ちゃんは可愛いからねぇ。でも残念、彼女にしたいくらい可愛い可愛い妹だよ。」
「なんだ~。でも双子にしては全然違くない?」
「まぁ色々あるんだよ、色々。」
「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け。」
後ろのドアから寝袋が、否、相澤先生が話しかけてきた。
「はい、静かになるまで8秒掛かりました。君たちは合理性に欠けるね。」
寝袋を脱ぎながら相澤はヌボォ~っと出てくるが無精ひげにボサボサの頭という教師としてあまり見ない出で立ちにいつの間にか全員揃っていた生徒たちは黙りこくる。
「君たちの担任の相澤消太だ、よろしくね。ほんでもって
相澤は静かなのを良いことに説明を進めるとすぐに教室から出ていった。出て行ってすぐに生徒たちは何事かの騒ぎ始めた。そんな中、春水はすぐに体操服を持ちながらつぶやく。
「いやいや、説明が少なすぎるでしょ、相澤ちゃん。」
「八百万君何か知ってるの?」
「春水でいいよ、名前被っちゃうし。きっと身体測定みたいなのするんだと思うよ。相澤ちゃん、無駄なこと嫌いだし。」
「それじゃぁ、私のこと三奈って呼んでいいからね!入学式は!?」
「時間の無駄とか言って欠席扱いだろうね。」
「・・・いいの?それ?」
「責任は相澤ちゃんだしいいんじゃない?」
その言葉を最後に体操服を持ち、更衣室に向かう春水。それぞれ話していた生徒たちも春水の後に続き更衣室に行くのであった。
――――――――――
「「「個性把握テスト~!?」」」
「そ、まずは己の限界を知る。中学の時にやった個性禁止の体力テスト。あれを個性ありでやってもらう。」
グラウンドに到着した生徒たちは相澤の説明により進行されていく。途中、入学式は?ガイダンスは?と芦戸と同じことを聞く茶髪のボブカットの女生徒もいたが、相澤は無駄だと一刀両断した。
「爆豪、これ投げてみろ。個性使っていいから、はよ。八百万っと、二人いるんだったな。春水、お前はこっちで計測係だ。」
「僕はやらなくていいのかい?」
「お前はもう3月の時に取ってるからやるだけ無駄だ。」
「やらなくていいのはありがたいねぇ。」
皆から不審な目で見られるも相澤先生の無言の圧に皆押し黙る。その後、爆豪のボール投げを見た生徒たちが面白そうという発言をしたことで最下位の者は除籍を掛けた体力テストになることや、緑髪の少年「緑谷」くんが指を骨折することはあったが、体力テストはすべて終了した。
「そんじゃ結果発表な。」
相澤は手に持ったタブレットをいじると空中に映像が現れて体力テストの順位が発表されていく。そして最下位の19位には緑谷出久の名前が載っており、緑谷は震えだす。
「ちなみに除籍は嘘ね。」
「「「ハァァァ!?」」」
「少し考えれば、分かりますわそんなこと。」
相澤の言葉に驚きの声があがる。百だけは冷静に返答している。緑谷に至っては安心したのか腰砕けになりその場にしゃがみ込んでいる。
「そんじゃ、これにて終わりだ。春水もありがとな。カリキュラムなどの書類は教室の机の上にあるから、各自持ち帰るように。」
そう言い残して相澤はグラウンドから去って行った。
「いやいやこれで終わりかよ!?コイツの説明とかねぇのかよ。」
そう言いながら赤髪の少年「切島鋭児郎」は、春水のことを気にした。
「僕かい?僕は八百万春水。そこにいる体力テストで1位を取った百ちゃんのお兄さんだよ。」
「いや、それは分かっ、ってお兄さん!?待て待て待て、お兄さんいくつですか?」
「今は16歳さ。今年で17になるね。」
「年上じゃねぇか!?学年間違えてませんか?」
「いやぁ合ってるんだよねぇ、これが。」
切島の質問に答えれば答えるほど周りの生徒たちもざわざわし始める。中には百の方にも話を聞こうとする女子も現れ始める。百から春水に話しても良いのか視線が飛んできたので、うなずきで返す。
「お兄様は、雄英に入学1月後に個性事故で半年以上意識を失われていましたの。目覚められたのはこの1月で出席日数が足らずに留年いたしましたわ。」
留年生。その言葉に生徒たちは納得と同時にどんな個性事故だとも思った。皆それぞれ小さいときに初めて個性が出現したときに何かしらアクシデントは起こっているが、高校1年生にもなって、さらにヒーロー科での個性事故となると自分の個性の操作ミスはなかなか起きない。皆からの一体どんな個性なのかという視線に対して春水はというと、
「まぁ皆のだけ見るのも悪いしね。百、何か適当なもの出してくれる?できれば2つ。」
「それではこれを。」
百は創造したマトリョーシカを春水に渡すと個性を使うように手に意識を割く。すると、マトリョーシカが掌から掃除機のように吸い消えた、かと思うと手から光が出てきて二振りの刀が現れた。
「これが僕の個性『吸収と放出』。掌から吸ったものを自分の中で別の物に置き換える能力だよ。」
一連の流れに周りからはオォ~という声が出てくる。
「今でこそ2つ同時にしてるけど、事故の前は片手からしかできなかったらしいよ。」
「らしいって、自分の個性だろ?」
肘が特徴的な少年「瀬呂範太」が春水の言葉尻に質問する。
「お兄様は事故の影響で個性に関する記憶が消失してしまっているのです。幸い、私たち家族のことは覚えてくれていたので何も問題ありませんでしたが、もしかしたら無個性に変わっていたかもしれなかったのです。」
百の説明に皆が息をのむ。当然だ。自身の個性によって無個性になるかもしれなかった。それは、今のヒーローを目指す少年少女からしたら未来が一つ閉ざされたに等しいのだから。
「だからかぁ。」
そんな中、芦戸が納得の声を上げて皆の注目を集めた。
「何がだい?」
「春水君、相澤先生のことを『相澤ちゃん』って呼んでたんだよ。入学初日にそんなこと言えるなんて知り合いか何かじゃないと言えないじゃん?ずっと気になってたんだぁ。」
「意識が回復してからリハビリは雄英高校で相澤ちゃんとよくやってたからそれもあるかな。」
そこからは、教室に戻りながらプロヒーローにリハビリを手伝ってもらったことを羨ましがられたり、どんな内容だったのかの質問がされていった。
――――――――――――
教室に戻ると、各机に書類の入った紙袋が置かれており、前のボードには明日の予定と本日は終了の文字が書かれており、各自帰ることになった。春水と百もクラスメイトと一緒に帰ることにした。迎えの車は、自宅の最寄り駅までにしてほしいとお願いし、皆で電車に乗るつもりのようだ。
「じゃぁさぁ、春水君は個性使い始めてまだ4か月になるの?」
一緒に歩いていた芦戸は聞いてくる。
「個性に関する記憶が全くないからねぇ。そういう意味では個性が出現した頃の子供と一緒さ。」
「個性が子供の頃って言やぁよ緑谷の個性もそんな感じだったよな。個性使うたびに怪我するとかさ。俺も瞼自分で切ったことあるし。っと俺の駅ここだ。それじゃぁ、また明日な!」
一緒に帰っていた切島が電車から降り、残るは芦戸と八百万兄妹となった。
「でもそうすると、春水君って個性の使い方がうまいんだね。何か反動とかないの?私だったら強すぎる酸出すと服が溶けちゃうとかもあるんだけど・・・。」
「う~ん、あまり感じたことはないね。ただ、以前の個性の話を聞いているとどこかに容量限界があるんじゃないかなとは、思うんだけどね。」
「その容量限界を超えたら?」
「また意識失うんじゃないかな?」
「お兄様!」
「ごめんごめん、百ちゃん。別に意図して意識を失うようなことはしないよ。ただ、そうなる可能性は高いよねって話。」
「もう、あのようなことは二度もならないでください!」
「りょーかい」
そんなやり取りをしながら横から芦戸が時々二人の掛け合いに笑いながら、気づけば春水達の駅に着いていた。
「それじゃぁ、また明日ね。三奈ちゃん。」
「さようなら、芦戸さん」
「そんじゃね~ヤオモモ、春水君。」
2人は電車に残った芦戸を見送ると、迎えが来ているであろう駅のホームに歩き始める。
「そういえばお兄様。」
「なんだい?」
「お兄様は、今日の体力テストを以前受けたと相澤先生が仰っていましたが結果はいかがだったのですか?」
百からの質問に、一瞬顔が呆ける春水。
「お兄様?」
「・・・いやぁ、百ちゃんから今そんな質問が飛んでくるなんて思ってなかったもんだから。う~ん、言わなきゃダメかい?」
「可能でしたら。」
「じゃぁやめとこうかな。」
「え!?」
「嘘だよ。まぁ、真ん中あたりかな。あんまり個性使える種目なかったし。」
「真ん中ですか?てっきり1番かと。」
「それは買い被りすぎだよ。僕だってできることと、できないことくらいあるさ。それを言うなら、百ちゃんは堂々の1位なんだから、よかったじゃない。」
「ありがとうございますお兄様。」
「さ、明日から普通の授業が始まるんだし、今日はぐっすりと寝ようかな。」
「お兄様は、懇親会当日にもぐっすり眠られて欠席するぐらいなのですからいつもと変わりないじゃないですあか。」
「ンフフー、そうだったかい?」
八百万兄妹はその後も車に乗った後も家に着くまで延々と話し続けたのであった。
――――――――――――
場所は変わって職員室。相澤は今回の体力テストの結果をまとめていた。すると、そこに教員仲間のミッドナイトが近づいてきた。
「相澤先生、・・・それは今日の体力テストの結果ですか?」
「ミッドナイト先生。えぇ、今日取れた新入生の分と3月に取った八百万兄の結果をまとめているところです。」
「聞いたわよ、今年は除籍にしなかったみたいじゃない。何?結構有望なの?」
「そういう訳ではありませんが・・・っふう。」
相澤は作業が一区切りついたのか、マグに注がれたコーヒーを飲み、背筋を伸ばす。
「どれどれぇ。」
ミッドナイトは画面に映る結果を覗こうとして前かがみなった。
「1位はっと、って八百万兄妹の1、2フィニッシュじゃない。1位は春水・・・お兄さんの方ね。柔軟がクラスの平均だけどそれ以外は満点とかすごいわね。妹の百さんも負けず劣らずね。」
「点数だけ見たらですけどね。」
「どういうこと?」
「ご存じとは思いますが、体力テストの採点は一定のラインを超えるとその点数が与えられます。例えば、50M走を5秒で走ろうが7秒で走ろうが10点のラインを超えていたらもう何秒だろうと10点になります。」
「・・・その話をするってことは」
「はい、これを見てください。」
相澤は画面をフルスクリーンにして、各種目の結果も見えるように画面を動かした。
「・・・圧倒的ね。」
「はい。他の生徒には絶望しか与えない考えて測定中は記録係に回しました。」
「賢明な判断ね。圧倒的な力の前に立つ経験がまだない子たちには早すぎる。以前は?」
「よくて真ん中あたりですかね。吸収だと体力テストでの使い道なんて限られているので。放出一つでここまで化けるとは、いやこの場合個性の使い方の方が正しいのか。」
そういう二人の前の画面には八百万春水の記録が書かれていた。
『
氏名:八百万春水
50M走 0.02秒 10点
立ち幅跳び ∞ 10点
反復横跳び 548 10点
長座体前屈 70㎝ 10点
ボール投げ 35km 10点
上体起こし 795回 10点
握力 ∞ 10点
持久走 0.05秒 10点
』
相澤はリハビリの時のことを思い出しながら、今後の教育方針について考え直し始めるのであった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
入学式初日はこれで終わりですね。次回から本格的に戦闘が始まるぅ。うぅ、しっかり書けるよう頑張ってみます。