大学生になった瞬間、平穏は崩れ去りました   作:99.9%果汁

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珍しく前回の投稿から早めの投稿。お久しぶりではございませんね。果汁です。
絶賛夏バテ中です。今回の話は久しぶりに大学生らしいことを、と思って書いてみました。

まぁ、現実でやるとアウトなんでせめて創作上ではこんなのもやってみたかったなぁとか思って見たり見なかったりって感じです。


冬という名のリア充増産期
デビューするときの緊張感はプロポーズに匹敵するとかしないとか


「じゃあいくよ」

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

「なに?」

 

「いや、それ本当に…やるの?」

 

「やるもなにも自分がやってみたいって言ったんじゃん。ほらほらリラックスリラックス~」

 

「そんな悪い表情で言われてもリラックス出来んわ!!」

 

「てか、何度も言うけどやるのはこちらにいるそれなりにプロの方だよ?」

 

「いや、プロではないよ?」

 

「相手がプロだろうが何だろうが怖い物は怖い」

 

「もう文句が多いなぁ…。仕方ない、じゃあ先にもう1個の方進めようか。将斗、準備準備~」

 

「こっちはいつでも大丈夫だぞ」

 

 

 

 ため息を吐きながら伊澄君は少し離れたところで何か作業をしている柊木君に何かの準備を促す。しかし、柊木君も準備は出来ているようで伊澄君に親指を立てながら言葉を返した。

 

 

 

「てかさ、なんでこんな所でやるの?めちゃくちゃ注目されてるんだけど」

 

「注目の原因の大半は結羽だけどね~」

 

「いや、それでもこの状況はおかしいでしょ!なんで大学の食堂で髪染める準備してるんだよ!注目の大半の原因明らかにそっちだろ!」

 

「だって、結羽が染めてみたいって言ったから…」

 

「言ったとしてもじゃない?せめて髪染めは美容院とかじゃないの!?」

 

「その美容院に行くコミュ力が無いって従妹に嘆いていたのはどこの誰だっけ?」

 

「それは…僕だけどさ。……って、え?なんでそれを知ってる!?」

 

「そりゃあどこかの誰かと違ってコミュ力はありますから」

 

 

 

 鼻で笑うようにそう言い放つ伊澄君に多少の苛立ちが湧くものの確かに自分よりはコミュ力が高いことは知っているので言い返そうにも言い返せない。

 ちくしょう…これが陽キャってやつか…。

 

 あ、どうも皆さんこんにちは。冒頭から何をしているか分からないだろうと思いますが、僕も多少混乱しています。桜岡結羽です。

 

 

 

「てかさ、確かに髪染めてみようかなとは言ったけどさ。なんでピアスも開ける流れになってるの?」

 

「5」

 

「そりゃ大学生が髪染めるって言ったらピアス開けるのもセットになるじゃん?」

 

「4」

 

「まぁ、なるじゃん?」

 

「3」

 

「いや、『なるじゃん?』って言われても知らないからね!?」

 

「2」

 

「あと、宮野君?ちゃっかりカウントダウンするのやめて?」

 

「いt…ってあれ?バレてた?」

 

 

 

 カウントダウンを口にしていることがバレていたことに驚きをしつつも絶対に僕の耳を離さない宮野君。そして、僕の頭を押さえつける瀬戸君。

 なんだこの地獄絵図。客観的に見たら陰キャが厳つい二人に拷問されてる絵図にしか絶対見えないと思う。

 

 

 

「そりゃあバッチリと。なんなら真横から聞こえてましたとも」

 

「あはは、でもまぁ…リラックスも出来たようだし良かったんじゃない?」

 

「いや、別にリラックスはしてないよ?」

 

「じゃあ行きまーす」

 

「だから、待って!?いやぁあああ!!!」

 

 

 

 悲鳴を上げる中、耳たぶに針の様な鋭利な物が当たる感覚だけが鮮明に残って……。

 

 

 

「はい、終わったよー」

 

「あああ!!……え?終わった?」

 

「終わった終わったー。貫通させるのはねー。ほら」

 

 

 

 宮野君から折りたたみ式の手持ち鏡を受け取り、先ほどまで押さえられていた耳を確認する。

 …うん、なんか銀色の棒が刺さってるね。あれ?てかこれ、ピアスじゃ…。

 

 

 

「あ、まだ触らないでねー。それ刺さるから」

 

「刺さるの!?」

 

「そりゃあ触れば刺さるよ。だって、それニードルだもん」

 

「に、ニードル?」

 

「分かりやすく言えば注射針の針の部分を大きくしたみたいな物?てか、さっき見せたじゃん」

 

「あの、よく見る音の鳴る奴は?」

 

「もしかしてピアッサーのこと?あれも別に悪くは無いけどアレは音で怖がる人多いからビビりの結羽君にはこっちの方がいいと思ったからこっちにしたよ。それともピアッサーの方が良かった?」

 

 

 

 あっけらかんと笑う宮野君。いや、こちとら緊張と恐怖と不安がミックスされてるせいで記憶が曖昧なのよ。

 

 ちなみにピアッサーとニードルの違いを教えてくれたんだけど、結局は穴を開けるときの違いやピアスホールが安定するまでの早さが違うんだとか。

 ピアッサーは肉を押し潰して開けて、ニードルは肉を裂いて開けるって教えられたんだけど聞いててとにかく生々しかったんで聞くのやめました。

 

 まぁ、要するに宮野君的にはニードルの方が治りも痛みも開けやすさ的にも良いとの事らしい。

 

 

 

「じゃあ、接続しちゃうから動かないでねー」

 

 

 

 そう言うなり、宮野君は僕の耳たぶに刺さるニードルに左手で触れると、これから着けるであろう右手に持ったピアスを僕の耳たぶの近くに持って来る。

 そのまま、ニードルとやらを引っこ抜くように後ろまで動かされる感覚を感じていると、今度はカチカチという金属音が聞こえてくる。

 

 

 

「はい、接続完了。お疲れ様」

 

「お、おぉ…」

 

 

 

 改めて鏡で自分の耳たぶを見ると銀色の小さい玉が光に反射して少しだけ光っていた。ちなみに痛みは全く無い。

 

 

 

「どう?きつかったりしない?痛かったら後ろのキャッチで調節出来るから自分でやってみてね」

 

「キャッチ?」

 

 

 宮野君に言われるがままに耳たぶの後ろを触れると何やら変な形の物がピアスにくっついていた。

 

 

 

「それはピアスホールが安定するまで取らないでねー。あと、こっちはもしキャッチが無くなったとき用の予備として持っておいてね」

 

「あい」

 

「おーこれで結羽もピアスデビューかー」

 

「ピアスデビューって…」

 

「じゃあピアスは開け終わったことだし、お次はこっちだねー」

 

「え?」

 

「ほらほら座った座ったー」

 

「え、ちょっ…まっ」

 

 

 

 伊澄君に引っ張られ、柊木君が待ち構える椅子に座らせられると、目にも止まらぬ早さで刈布を着けられる。本当にどんな手際してやがる。

 

 

 

「んじゃ、染めてくけどどんな色にするんだ?」

 

 

 

 いきなりそんな事言われても今日髪染めるって事すらいきなり言われたことだし、決めてすらいなかった。なんなら、ピアスも今日いきなり開けることを知ってそれどころじゃなかった。

 でも、何色がいいんだろう。個人的に憧れてる色って言うかやってみたいなぁって思った色は色々あるけど、やっぱりここは大人しく茶色とかが無難で落ち着いてるのかな?

 

 

 

「えっと、じゃあ無難にt……」

 

「じゃあピンクで」

 

「なんで伊澄君がきめてるんだよぉおおお!!!」

 

「えー、だって結羽は絶対に茶色とかつまんない色選ぼうとするでしょ」

 

「なに?なんなの?なんで僕の心読めるの?てか、なんでよりにもよってチョイスがピンクなの!?」

 

「ピンクにした理由は結羽の名字に桜が入ってるからピンクかなぁって」

 

「なにその名前に色が入ってるからって理由で髪色が決まるキャラクターみたいな理由!」

 

「んじゃ、ピンクに決定でいいんだな?じゃあブリーチしていくぞ」

 

「なんで、柊木君も普通に了承してんの!?」

 

「はいはい、動かない動かない。動くと皮膚に付くぞ」

 

 

 

 柊木君にそう言われ、大人しく大学の食堂で髪を染められるという僕が出来上がりましたとさ。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 髪を染められ始め、約二時間。僕は沢山の学生に写真や動画を撮られました。そして、しっかり学生課の事務員や教授達にお叱りを受けました。しかも、僕だけがね。

 髪染めてるから動けないし、皆は逃げるしで僕だけがお受けいたしましたよ。

 先生側からしてもカオスだとは思うよ。だって、怒られる本人髪染めてる状態のテルテル坊主よ。しっかりカオスでしょ。

 でも、先生方僕からも言わせてください。数の力には勝てませんでした。というか気づけばこの状態です。

 こう言っちゃなんだけど、この状況下での被害者サイドに僕もギリ入れると思います。

 

 何度も言うけど、髪染めるって知ったのもピアス開けるって言われたのも今日食堂来てからだからね?一応、この後の授業は無いからまだいいものの、授業があったらどうする気だったんだ。って思うよね。

 まぁ、最近は伊澄君に僕の予定やら何やら色々と掴まれてる気がしなくもないんですけどね。

 

 

 

「はいよ、完成だ」

 

「おぉ、しっかりピンクに仕上がっt……ってこれ所々違う色入ってるけど…」

 

 

 

 渡された鏡で髪色を確認する。

 うん、しっかりピンク色。ただ一つだけ謎な事がある。それはピンク以外にも色が存在しているのだ。

 前から見て左右に一部分だけ水色と銀色を、後ろの左右の一部分を黄色と緑色に染められていて、簡単に言うと美竹さんの赤メッシュが4カ所にある感じになってます。どこのファンキーボーイかな?どこのラノベ作家かな?

 あの人ピンク一色だけだったはずだけど。あの人の作品好きだからアニメの方も二期制作してくれないかな。

 

 て、そうじゃなくてしっかり目立つ色になったんだけど。

 

 

 

「一応ピンクだけだと心細いかと思って遊びで入れてみた」

 

 

 

 そう言いながら柊木君は片付けを淡々と終わらせていく。

 てか、遊びでピンク以外に4色入れるってどうなの?遊びを入れるって言うより僕で遊んでるよね?

 

 

 

「まぁ、とりあえず結羽の髪染め&ピアスデビューも無事終わったことだし今日の配信は終了だね」

 

「は?配信?」

 

「うん、配信」

 

「僕そんな話一切聞いてないんだけど…」

 

「言ってないもん」

 

「ちなみにいつから?」

 

「最初から」

 

「」

 

「ちなみに今500人弱が見てるよ!」

 

「」

 

 

 

 瀬戸君がさっきまで弄ってたパソコンの画面を見せて貰うと確かにファンシーな髪色をした僕と片付けを続ける柊木君の姿が映っていた。

 そして、コメントもしっかりと流れてる。まぁ大体のコメントが僕の髪色やらなんだけどね。あとはまぁ、学校でやるとかやばいだのまぁ、しっかりとド正論言ってる方が多かったかな?

 

 

 

「あ、ちなみにこれサウブロのチャンネルでやってるから安心してね」

 

「いや、安心も何も全然安心できない状況だからね!全国ネットどころか全世界で配信されてるんだからね!?」

 

 

 

 後日、いつもの様にSound Blossomsのチャンネルの管理も押しつけられた僕ですが、一応メンバー全員でアカウント共有もしてるわけで極稀に伊澄君が僕の日常を載せたり、瀬戸君がバンド練習の風景を撮影してその動画を投稿したりと、好き勝手やってます。

 ちなみに登録者数は僕が押しつけられ時点で1000人は超えてました。ちなみに、コメント欄には全く関係ないんだけど、テレビでパスパレと共演してた人だとバレていた様で少しだけ(僕だけ)炎上してました。

 あと、何故か海外の方々からの好評があって文化の違いを思い知ったよね。

 

 まぁ、何が言いたいかと言うと何にせよやることなすこと頭おかしい。




個人的に女性の髪色髪型で好きなのは銀色ショートです。(どうでもいい)

ピアスは僕が好きっていうのもあって書いてみたって言っても過言では無いです。

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