大学生になった瞬間、平穏は崩れ去りました   作:99.9%果汁

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めちゃくちゃお久しぶりです。果汁です。
ちょくちょく書いてはいたんですけど、久しぶりに書いた気がします。


仏の顔も三度までとは言うが度を超えればアウト

「えっと…あとはあそこだけか」

 

「んぎぎ…っ」

 

「あ、でもあっちにも行かないとないかなぁ」

 

「ンフーっ!ンフーっ!」

 

「いや、でもなぁ…これ以上は流石に厳しいかなぁ」

 

「くぁ……っ!」

 

「ねぇ…、どう思う結羽兄。流石にあと3件は金銭的に厳しいかな」

 

「そんな事どうでもいいから少し持てやっ!」

 

 

 

 どうも、皆さん多分お久しぶりだと思うのですが、そうでもないと思います。桜岡結羽です。

 さて、突然のことで皆さん何が起きてるか分からないと思いますが、説明は後にさせて頂きたい。正直、今の僕にはゆっくりと説明しているほどの余裕はないんだ。てか、なんなら少しでいいから誰か手を貸してください。

 腕が捥げる。

 

 

 

「どうしたの?顔真っ赤にして。腕も凄いプルプルしてるじゃん」

 

「誰の…せいだと、思ってやがるっ!」

 

「んー……車出すって言ったくせに二時間以上遅れた結羽兄のせいじゃない?」

 

「本当にごめんなさい。次からはしっかりと時間管理するので、この愚かな僕の腕のためにも少しばかり荷物を持っては頂けないでしょうか美咲様」

 

 

 

 誰もが目を見張る流れるような土下座。日本人なら音も立てずに出来なきゃだよね。これなら美咲も少しは許して持ってくれるだろう。

 え?ちなみに荷物はどうしたって?両手で持ってますが?積み木のように少しばかりグラついてはいますが、なんとかバランス取れてますが何か?

 床に置いたらそれこそ美咲に何を言われるか。

 あと、なんか周りからパシャパシャだったりピロリンって音だったりなんか聞こえてる気がするけど多分気のせいだよね。誰も写真とか動画とかとってないよね。

 てか、そろそろ美咲さん?返事をください。『いいよ』とか『はい』とか何でもいいんで返事をください。僕の腕は限界よ。

 

 

 

「うん、嫌」

 

「んがっ!?」

 

 

 

 僕の中に築かれていた期待というなの何かが両手にギリギリの度合いでバランスをとっていた荷物と一緒に崩れる音がした。え?なんで?荷物は床に置かないでしっかりと土下座したよ?え?なんで?

 

 

 

「流石にあたしの筋力じゃキャベツ一玉も持てないから無理かなぁ」

 

「いや、この前飛びついてきた弦巻さんを普通に受け止めてたじゃん」

 

「…………じゃあ、次行こうか」

 

 

 

 そう言うと美咲はスタスタと次の店へと歩いて行った。

 てか、弦巻さんを受け止めてたのは否定しないんだな。あれ、地味にすげぇぞ。

 

 

 

 

 

 

「あれー?美咲じゃん!」

 

「どうも、こんにちはリサさん」

 

「と、後ろにいるのは結羽君かな?やっほー」

 

「…やっほーの前にこの状況に驚かないのもどうかと思いますが、どうもリサさん」

 

「いやー、何というか見慣れちゃったというかなんというかねー」

 

「見慣れなくていいんで助けてくれません?」

 

「あははー、今回は流石に無理かなー」

 

「そんな…じゃあ僕は誰を頼れば…」

 

「前提として女子に頼るのが間違ってる」

 

 

 

 そう言い放つ美咲にリサさんは苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

「あ、そうだ結羽君。この間はありがとうね!アタシだけじゃなくRoseliaの皆にとってもすっごい良い刺激になったよ!」

 

「そ、そうですか…っ。そ、それは…良かったですっ……」

 

「それでね、あの後皆で話したんだけどね。やっぱりまた結羽君に見て貰いたいねって話になったんだ」

 

「そ、そうなんですね……」

 

「で、どうかな?近々空いてる日とかある?」

 

「あのリサさん?この状況でよく話し進められますよね?」

 

「あ、ゴメンゴメン☆」

 

「あと、美咲さん?そろそろ一度荷物を車に置きに行かせてくれません?」

 

「そんな事言いながら買い物から逃げようとしてない?」

 

「シテナイシテナイ。ボク、ウソツカナイ」

 

「なんで片言?」

 

「まぁ、いいか。持ちすぎてお店でばらまかれても困るし…」

 

「あ、あざーs」

 

「じゃあ、今から3分以内に帰ってきてね。ちなみに1秒でも超えたらお昼結羽兄持ちだから」

 

「」

 

 

 

 あの、美咲さん?ここ1階ですよ?しかも、駐車場は5階よ?しかも、今日は休日。ファミリー層が多くいる日ですよ?片道だけでも5分は掛かるってもんよ?

 それを3分以内?そんなのどこ○もドアでも無い限り不可能よ?

 

 

 

「ちなみにしっかり時間も計るから遅れた分だけ罰は重くなるから」

 

「」

 

 

 

 美咲派そう言いながらいつの間にかスマホを取り出してストップウォッチの準備をする。タイマーじゃなくてストップウォッチってところがさらに怖いよね。

 

 

 

「ほら、もうこっちの準備は出来てるんだから後は結羽兄だけだよ」

 

「あ、あの美咲さん。少しくらい制限時間を伸ばすって言うのは……」

 

「じゃあ、行くよー。よーい、ドン」

 

「ち、ちくしょーっ!!」

 

「あ、あははー…ゆ、結羽君頑張れー」

 

 

 

 僕が言い切る前に美咲はかけ声とともにストップウォッチのスタートを切る。美咲の指がスマホから離れた瞬間、数字が1秒、また1秒大きくなっていくの見て、僕は走り出した。もちろん、荷物は落とさないように、人にぶつからないように細心の注意は払ってますけどね。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 

「…8分25秒。まぁ、結羽兄にしては頑張ったのかな。でも、5分と25秒の遅刻なんでお昼とデザートは結羽兄持ちね」

 

「いつの間にか…で、デザート…増えて、やがる……」

 

「じゃあ、とりあえず行こうか結羽兄」

 

「ちょっ、少しくらい休憩させて……」

 

「結羽君、大丈夫?」

 

「さ、桜岡さん大丈夫ですか?あと、これ良かったら…」

 

「だ、大丈夫ではないですけど、なんとか少し落ち着きました。あと、松原さんありがとうございます。……んぐっ、はぁ…とりあえず行きましょうか」

 

 

 

 心配そうにこちらの様子を窺うリサさんと松原さんにそう答え、松原さんから受け取った水を口に1口、2口と運ぶ。お水って美味しいね。

 

 

 

 ……ん?あれ?今、僕誰からこの水受け取った?

 ゆっくりと手に持つ水から視線を上げると、そこにはリサさんと一緒に心配そうにこちらを見てくる松原さんの姿が…。

 あれ松原さんって最初からいたっけ?

 

 

「花音なら結羽君が荷物置きに行ってるときに迷子になってたから救ってきたよ☆」

 

 

 

 ウインクしながらそう言い放つリサさん。

 てか、救ってきたって。貴方、中身イケメン過ぎません?

 

 

 

「えーと、救われてきました…なのかな?」

 

 

 

 困ったようにそう言う松原さん。松原さんも可愛いかよ。

 てか、救われてきたってその自覚は合ったんですね松原さん。

 

 

 

 

 

 

「ん~!!おいしっ!」

 

「美咲ちゃん…お、美味しいね」

 

「……そうですね花音さん。あと、3個は行けそうですね」

 

「あはは、美咲そんなに食べたらお腹壊しちゃうよ?」

 

「冗談ですよリサさん」

 

「お前の冗談は冗談に聞こえんのよ」

 

「……何か言った結羽兄?」

 

「何も言ってません。いっぱいお食べください美咲様」

 

「あはは……」

 

 

 

 松原さん。今はその乾いた笑いがつらいです。

 てか、3人ともお昼ご飯の後によくそんなに食べれるね。僕もうお腹いっぱいなんだけど。

 

 

 

「結羽兄知らないの?女の子には別腹って言葉があるんだよ」

 

「確かにデザートは別腹だよね☆」

 

「別腹ねぇ…」

 

「そういえば美咲ちゃん達は何を買ってたの?」

 

「元々は、前からちょっと気になってた本が今日出るってことで買いに行くついでで羊毛フェルトとか服とかちょっと見たいなぁって感じですね」

 

「じゃあ結羽君は荷物持ちで呼ばれたって訳か☆」

 

「リサさん。たまに辛辣な言葉入れてくるの何ですか?あと、荷物持ちで来たわけじゃないですからね?」

 

「結羽兄は結羽兄でなんか買う物のがあったらしく珍しく車出すよって言ってくれたんですよ。あの結羽兄がですよ。珍しく無いですか?」

 

「まぁ、確かに結羽君から何かやるって言うのは珍しいね」

 

「ほんとですよ。あたしなんかそれ聞いたとき絶対流星群か隕石降ってくるんじゃないかって思いましたからね」

 

「それは言い過ぎだから。あと、結局降ってくる物同じかよ」

 

「ただまぁ、お約束のように…」

 

「何かあったの?」

 

「まぁ、あったと言えばありましたね」

 

「何々?また何かに巻き込まれてたとか?」

 

「それだったらまぁ、なんとなく察しはつくんで、あたし的には「まぁ、いっか結羽兄だし」ってなるだけなんですよ」

 

「それ僕的には全く良くないから」

 

「じゃあ何が…」

 

「この人信じられないことに2時間以上遅れてきた上に遅れてきた理由が『寝てた』ですよ?信じられます?自分から約束しといて破るって」

 

 

 

 美咲の問いかけのような言葉にリサさんと松原さんの哀れみの視線が痛いです。はい。

 でも、しょうが無いじゃん。起きたら2時間以上過ぎてたんだもん。

 もちろんアラームの設定はしましたよ。しかも5個も。10分おきにね。

 だけど何でかアラームの音も聞こえなかったんだよね。最初はそれほどまでに睡眠が深かったのかなって思ったりもしたんですけど、よくよくスマホのアラーム画面見たら時間の設定だけをして全部オフになってたよね。

 まぁ、よくあるよね。時間だけ設定してオンにしてないってやつ。

 え?無い?そんな馬鹿な。

 

 

 

「まぁ、そんな事がありまして今日一日あたしの荷物持ちをやらせてます」

 

「なるほど、それは結羽君が悪いねー」

 

「うん、そうだね」

 

「面目ない」

 

 

 

 リサさんと松原さんの言葉が痛いものです。

 でも、これで買い物も終わりのはずだし。ここでの支払いだけ耐えれば今日は帰れる!僕の腕よく頑張って耐えてくれた。!あとで、ゆっくりやすませてやるからな!

 

 

 

「そういえば花音さんとリサさんはこの後何か予定あるんですか?」

 

「私も雑貨屋さんとか見たいなぁって思ってたんだけど中々辿り着けなくて…」

 

「んーアタシはこの後服とか見ようかなって思ってるけど、なんかあった?」

 

「いえ、もし荷物とか多くなりそうなら荷物持ち(結羽兄)貸しますよって思っただけです」

 

「あっはっは美咲よ。その荷物持ちって僕のことかい?」

 

「他に誰がいると?」

 

「これは面白いジョークだ。山○君座布団一枚」

 

「座布団は無いけど、これでいいかな?」

 

 

 

 冗談で斜め前に座るリサさんにそう言うと、一枚の紙を渡された。

 ……あの、リサさん?これここの伝票ですよね?僕、今初めて金額見たけどかなりいってますよ?

 いや、なんかもう分かってはいたけどさ。リサさんってたまに悪ノリするよね。

 

 このあとしっかり支払った後に荷物持ちさせられ、さらには各々の家まで車で送ることになりましたとさ。めでたしめでたし。

 なんもめでたくないけど。

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