何故、ふらいんぐうぃっちの二次小説がほとんどないんだ。

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このままでは飢えて死んでしまうので書きました。
これで完結予定。
なんか思い浮かんだら続きを書くかもしれないです。


山吹の魔女と濡羽の魔法使い

まだ春が過ぎ去ったばかりの5月末。

 

時節柄梅雨入(つゆい)り間近といったところだが、昨今の温暖化のせいか、はたまた夏の運び屋さんが頑張りすぎたのかまだ暦上は春だと言うのに真夏ばりの猛暑となっていた。

 

ーー梅雨はどこに行ったのだ梅雨は。

 

青森の実家は北国なのだからここよりは涼しいだろうと思う人もいるかもしれないが、しかし残念ながらそう都合よく世界は出来ていない。

冬は大雪で、夏は猛暑だ。まるで人間が住むのに適した地だとは言えない。

私は母を恨んだ。

 

空から燦々と降り注ぐ日差しは目に眩しく、世間一般では良い天気と言えるのかもしれない。

しかし学校帰りの女子校生にはまさしく天敵。紫外線という名の女の敵だ。

 

それでもこれから会う人を思えばなんのそので、この暑さも話題に出してやろうと思って少し体が軽くなる。

その姿はまるで恋する乙女のようだ。

 

ーーいやこれは決して恋とかじゃないんだけど。

 

思わず道中で一人ツッコミを入れる元気くらいはまだあったようで、道端で一人ノリツッコミをするという不審な行為をしてしまう。

ふと我に帰って縮こまる。

 

幸い道端でちょっと挙動不審気味な女子中学生がいた、と言う程度では横浜という都会な街の人間は気にすることもないらしく、一瞥もせずに通り過ぎていく。

 

どうやら暑さで脳の回転までやられてしまったようだ。

さっさと空調の効いた店内に入るために道を急いでしまおう。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

ようやくついた馴染みの喫茶店は、空調が効き、清涼な風が出迎えてくれる。

 

うだるような暑さと湿気が状態異常デバフのように体にまとわりつき、息を吸うのすら不快だった外から入って来た自分を、その清涼な空気で浄化してくれる。

この清涼なる風による冷却はもはや浄化と称して差し支えないだろう。

自然、クーラーに向けて手と手を合わせた。

 

ーーいつかクーラーの魔術を会得するんだ。

私は今後の魔女修行の最優先課題の一つとして心にメモした。

 

自然と共に過ごす魔女としては地球温暖化の化身とも言える冷房には反対であるべきらしいのだが、一度経験してしまえばその口をつぐむという物。

 

実際魔法使いや魔女でクーラーに反対してるのは周囲の気温変化の魔術を使いこなすことが出来る一部の魔法使い・魔女ばかりで、要はそういうことだった。

 

そんな益体もつかない考えを巡らせながら、流れるように今日の魔法界の新聞をマスターからもらう。

マスターへの挨拶もそこそこに窓際の一席へ。

 

既にそこには目的の人物がおり、こっちに気付く様子もなく読書に没頭していた。

可愛い後輩が学校からこの炎天下の中、頑張って歩いて来たというのに全くこちらに気づかないというのはどうなのだろうか。

 

ーーまぁこういう人だから仕方ないか。

肩を竦めて、思考を切り替えて声をかけようとして。

 

席に座る主と視線がぶつかる。

 

「こんにちは。椎名さん」

 

たった一言の挨拶。

それだけでなんだかどうでもよくなった。

我ながら簡単な精神構造をしていると思うが仕方がない。

 

彼の濡羽色の瞳を見つめ返事をする。

 

「はい、こんにちは。先輩。」

 


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