続ける自身がないというかまだ序章やったばっかだから短編として投稿 気が向いたら続きなり色々書く
――――乾いた夜に、上弦の三日月がそっと浮いている。窓から吹く埃っぽい空気を運ぶ風も今はなく、唯々静寂と月光が四畳少しの独房を包んでいた
其処にあるのは何の因果か剛刀・脇差と座位ほどの鏡、そして男一人である
・・・ただ駆け行く先の果てにあるのがこれか 自分にしてはよい死に際である
畳の上で死ぬほど良い生き方は選んでいなかった 選んだのは修羅道 行きつく先は炎の中ただ不動と戦う戦場
其処へ今まさに逝かんとするときに、天はここまで順序だててくれた――― もはや何も思わん
天が、不動明王がここで死ねというのなら 私はここで 砂漠しかないこの国の監獄で本懐を遂げよう――――
業物を手に取り、そして目を閉じる 首筋の数寸先に、死の しかし心地よい冷たさを放つ物を感じる
――――しめしゆき しめしゆきて 首一つ いたりし所 ただツクヨミがみるのみ―――――
首に若干の違和感と鋭痛が走る しかしそれすらもすぐに消え、猛烈な脱力と眠気に襲われる 闇が視界を包もうとしていた
―――心地よい もはや顔もわからぬ母親の身体の中にいたときもこの闇に包まれていたのであろうか?
親友すら思えるその闇に親近感さえ覚えた だがどうやら不動との永遠の戦場にはいけそうにはないように感じる
まぁそれも…人の路だなおい――― 最早命の火尽きんとする鏡の向こうの肉塊に問うと、わずかに差し込んでいた光を放棄せんとする。
――――じらしやがって どうやら閻魔が迎えに来たらしい 鏡の向こうより手を伸ばしに来るとは なんとも乙な事をする
鏡の向こうへと手をやり そして手をつかむ感触を覚えると、果たして闇に身を投げ...
静寂 静寂 静寂 静寂 ―――― 殴打 殴打 振動音
変声期の男子様の声 漸く意識が覚醒する ここはどこだ? 何も見えない
さては不動め 出番までここで缶詰を決めろとでもいうのか? それとも早くも戦が始まっているというのか
何しろ状況が飲み切れない 時間が欲しい 情報が欲しい―――
青白い焔 瞬間目の前が開ける――― そこには 狸とも猫とも犬とも区別つかない小動物が浮いていた
・・・いや浮いてるのは狗もどきだけではない 棺桶もだ それも無数の西欧系の そしてその浮かぶ棺桶という矛盾を平然と抱えるこの部屋はどうやら教会…
ないし大聖堂の大広間である―――にしては妖しい空気をまといすぎている
「―――やいおまえ!聞いてるのか!!!」 狗もどきがいう
「おい、お前は不動明王の使いか?それともただの悪魔か?」
「不動?何言ってるんだお前?俺様の名前はグリムだぞ?お前耳が聞こえないのか」
なるほど どうやらこいつは何でもない鬼のようだ そして危害を加えようとしているのは確か ならば
――――刀はないのは覚醒した時より確認している 例の焔はおそらくあの悪魔より発せられたもの 出口は今いる位置より真後ろ そして狗もどきの位置は真正面―――
――――とる策はひとつ
息を底まで吐き出し転瞬一気に吸い腹に力を入れ臓腑の底から力を引き出す。 そして手腕を大きく対称に広げる
「…お前…なにやってるんだ…?」グリムと名乗る悪魔はこれから起こることをまだ理解していない―――かかった
「發――――――――――!!!!!」堂内に響き渡る轟音 爆音 大音響 そして破裂音
「ナっ―――」グリムは今目の前で突然大爆発が起きたかのような感覚を覚え思わず目を閉じた―――だがそれはある意味では間違いではない
野武士が実際やったのは目の前で突然手のひら同士を思い切り拍手をし音の爆発を食らわせひるませ、そして隙を創る奇襲戦法…いわゆる「猫だまし」である
かかった側はどうしようにもできない ただ破裂によるすくみから治るのを待つのみである
「お前よくも俺様の前でそんな―――」そして気づいたころには
「さらばだ得体も知れない悪魔よ―――縁が合えばまた会おう!」 駆けだし出口より外へ駆け出た野武士の残響が無駄に広い聖堂を満たすのみであった
「アッ お前――まてーーーーー!!!!!!」 追いかけるグリム
そしてその奇怪な聖堂には今しばらくの静寂が訪れた―――
続く保証はない いいね?