毎日毎日同じような仕事。しかしこの毎日の仕事がいつか実を結ぶ。だから今日もせっせと書類を片付ける
「こちら側の書類は提出可能です。こちら側は残り提督のハンコもしくはサインが必要なものです。誤字の方は全て直しましたのでご安心を」
「えぇ助かるわ。ありがとう」
「いえ。そろそろ遠征組が帰還するお出迎えの準備を。確認済みの書類のファイリングはこちらでやりますので」
「いつも思うんだけど、お出迎えはあなたがやった方がいいんじゃない?その方がみんな喜ぶでしょ。特に駆逐艦の娘達は」
「これも提督の仕事ですよ。私は秘書ですので」
「はいはい。じゃあ行ってくるわね。開発してくれてる娘が帰ってきたらお願いね」
「わかりました」
<遠征>とは艦隊を編成し特定の海域に赴きそこで獲れる資材を調達してくることである。鎮守府の運営、艦娘の資材として遠征は基本的なものであり重要なことである
そして<開発>とは装備を獲得するシステムである。これは開発する艦娘の艦種によって開発できるものも変わってくるので注意が必要だ
「秘書さん、ファイルお持ちしました」
「ありがとうございます、親潮さん」
彼女は陽炎型駆逐艦四番艦の<親潮>。真面目で品行方正。真面目さしか取り柄のない自分を必要だと言ってくれた秘書に対して密かに恋心を抱いている秘書LOVE勢の一人だ。最近は秘書に対して仕事意外に何かできることはないか悩んでいる。本日の秘書補佐を務めている
ちなみに秘書補佐は立候補者の中から日替わり交代で務めている
コンコンコン
「どうぞ」
「失礼します。開発終わりました。報告書です」
「わかりました。お預かりして後ほど提督にお渡ししますね」
「親潮姉さん、お疲れ様です」
「浜風さんもお疲れ様」
開発から戻ってきたのは陽炎型駆逐艦十三番艦の<浜風>。生真面目かつ凛々しい性格。駆逐艦であるにも関わらずある部分は戦艦級のものを持っていると嫉妬の目線を空母や軽空母から感じているとのこと。かつては引っ込み思案で姉妹はともかく他の艦娘と上手くコミュニケーションが取れなかった時に手を差し伸べてくれた秘書に彼女もまた密かに恋心を抱いている秘書LOVE勢。最近ちょっとだけエッチな妄想も止まらない
親潮と浜風は同じ陽炎型の姉妹であり同じ人物に恋してしまった同士。何かと話が合う
「ただいまー」
「お帰りなさい」
「邪魔すっぜー」
「秘書さんお邪魔します♪」
「秘書さんやっほー♪」
「お邪魔します」
「なんや親潮だけやのぅて浜風もおったんか」
「皆さん、お疲れ様です」
提督に続いてぞろぞろと遠征組が入ってきた
遠征組の旗艦を務めていた天龍型軽巡洋艦一番艦の<天龍>。そしてその妹で二番艦の<龍田>だ。
天龍は一人称が俺で姐御肌。以前は戦いのことばかり考え出撃させろと訴えがすごかったが提督と秘書、心配する妹の龍田の説得によりなくなり、今では遠征も一つの戦いと考えを改めている。姐御肌といってもヤクザのようなものではなく駆逐艦の娘達の面倒見がいい。わがままな自分を見捨てないでくれた提督のことが気になっている艦娘
龍田は普段からおっとりゆったりとした口調でマイペースな天然お姉さん。しかしいざ戦いの場に立つと途端にドSな本性が現れる。そのため怒らせるとヤバい艦娘の一人である。姉である天龍を大切に思っており、そんな天龍を必死に説得してくれていた秘書に恋した秘書LOVE勢
そして駆逐艦の三人は陽炎型駆逐艦一番艦の<陽炎>、二番艦の<不知火>、三番艦の<黒潮>だ
陽炎は明朗快活ハキハキしている元気いっぱいの娘であり負けず嫌いな艦娘。ネームシップであるにも関わらずスペック、キャラなどのが高い妹達によって目立たないと自分を卑下していたところに優しくしてくれた秘書に恋をした秘書LOVE勢。今ではそんな悩みはそんな妹達がすごいと自慢できるほどになった
不知火は普段は上品な女の子口調にも関わらず、戦闘に出るとドSな発言が増える龍田に似た性格。龍田と違うのは普段から滅多に笑うことはなくクールなところだ。しかし少しドジっ娘なところもあり何かあった時の口癖が「不知火に何か落ち度でも?」である。この言葉が出た時はたいていドジっ娘が発動した時だ
黒潮、彼女を説明するとすれば何より関西弁であろう。そのためノリも良く姉妹の中でもツッコミを担当している。しかし他の姉妹はボケというよりは天然という方が多いことからその能力はあまり発揮できていない
「提督、こちら浜風さんから開発に関する報告書です」
「了解。浜風、ありがとね」
「いえ」
「それにしても陽炎姉さん達はどうしてここに?」
「私達この後もうすることないし。それならここで報告書書いちゃった方が楽かなって。それに秘書さんにも会いたかったしね♪」
バチコーンとウィンクを秘書に飛ばす陽炎
「よろしいですか?秘書さん」
「えぇ。提督のお仕事の邪魔をしなければ構いませんよ」
「やっぱ話のわかる男やね〜あんたは」
「ならお茶淹れますね」
「手伝います、親潮姉さん」
人数が多いためお茶を淹れようとする親潮と一緒に奥に入っていく浜風
「提督はちゃんと仕事してんのか?」
「もう天龍ちゃん。提督にそんなこと言っちゃダメでしょ」
「いいわよ龍田。これはもう天龍からの挨拶みたいなものだしね」
「ほら大丈夫だってよ。龍田は細かいんだよ」
「天龍ちゃんが大雑把すぎるの!」
「まぁまぁ龍田さん。落ち着いてください」
「秘書さんも提督も天龍ちゃんに甘いんだから〜」
「ねぇ秘書さん!秘書さんもこっちのソファで仕事しようよ」
龍田を宥めている秘書はソファに座って手招きしている陽炎に呼ばれる
「いや、私はこちらに」
「それはいい考えね陽炎ちゃん。さっ行きましょう秘書さん」
「ちょちょっ!」
断る暇もなく龍田に腕を引かれソファに座らされる秘書。そしてそのまま両隣は陽炎と龍田に抑えられてしまった。これだけで陽炎と龍田の<キラ付け>は完了である
キラ付けとは戦意高揚状態のことであり戦闘面では命中や回避に有利な補正がかかり、遠征を大成功させる確率がアップする
「お茶お待たせしま...」
「親潮姉さん?っ!」
戻ってきた親潮と浜風は目の前の光景に衝撃を受けて危うくお茶を落としそうになった
「か、陽炎姉さん...」
「あ、お茶ありがとう親潮!」
「龍田さんもど、どうぞ...」
「ありがとう浜風ちゃん♪」
「秘書さんも...」
「えぇ、ありがとうございます。ふぅ、親潮さんのお茶は美味しいですね」
「〜♡」
秘書のその何気ない言葉だけで親潮のキラ付けは完了である
「じゃあ浜風ちゃんは私と交代しましょ」
「えっ!」
交代時に龍田は浜風の耳元で「好きなものは共有しなきゃね♪」と呟き浜風は頬を赤くするも龍田が開けてくれた位置にストンと腰を下ろした。これだけでも浜風のキラ付けは完了である
コンコンコン
「どうぞ〜」
「失礼するぞ提督」
「浜風来とりゃ、来とるの」
「浜風やっと見つけた!」
陽炎型駆逐艦十二番艦の<磯風>。戦闘に関することはストイック、それ以外には無頓着で趣味も特にない艦娘だ。しかし甘いものには目がなく甘味屋の新作は必ず食べるとか。戦闘以外に無頓着なためかつては料理が壊滅的で良くある
陽炎型駆逐艦十一番艦の<浦風>。黒潮が関西弁なら彼女は広島弁を使う。気遣い上手で姉妹の中での姉御肌。それは他の駆逐艦にも浸透しており特に睦月型の世話は焼いている。料理も得意で磯風の料理の腕が変わったのも彼女の功績が大きい。なんとか秘書のお世話をしたいがために目で追ってるうちに好きになってしまった秘書LOVE勢。自分が秘書補佐の日に秘書に髪型を作ってくれることが楽しみで仕方ない
陽炎型駆逐艦十四番艦の<谷風>。小柄ですばしっこく明るく元気な性格。しかし彼女最大の悩みはいつも一緒にいる浦風、磯風、浜風の三人の姉に対してとある部分が圧倒的に劣ってること。着任当初は姉妹なのにどうしてと涙で枕だけでなくシーツまで濡らしたとか
「失礼しまーす」
「しれぇ!ひしょさん!お疲れ様です!」
「ひしょさん!仕事終わった!?遊ぼ!」
「ちょっと時津風!秘書さんに迷惑かけちゃダメよ!」
陽炎型駆逐艦七番艦の<初風>。クールで素っ気ない性格だが提督や秘書に悪態をつくわけではない。しかしほっとけば唐突にかまってちゃんになる接するのが嫌いなわけではない艦娘。なので素っ気ない態度を取っても声をかければかまってくれる提督も秘書も言わないにしても大好きな娘である
陽炎型駆逐艦八番艦の<雪風>。天真爛漫な幸運艦筆頭の艦娘。その幸運度合いは神とも言えるほど。ロシアンルーレットでは一度も負けたことがなくお出かけの際はいつも快晴だった。その幸運の持ち主がゆえ他の鎮守府では開発は雪風にしか頼まないとこであったり、欲に目が眩んだ者が雪風に賭け事をやらせたりなど闇の部分もあるそうな。そんな人間には必ず罰がくだっている
陽炎型駆逐艦十番艦の<時津風>。谷風や雪風のように小柄な外見にそれ相応な元気っぷり。遊ぶことが大好きで暇があれば誰かを引っ張って遊んでいる。しかし元気すぎるのがたまに傷で妹であるのによく浦風に怒られている
陽炎型駆逐艦九番艦の<天津風>。性格は大人っぽくややツンツンしているものの挨拶やお礼はきちんと言える素直な性格。ツンツンとは言ったが例外が一つ、秘書と二人きりの時はデレデレの甘々になる。しかも秘書のことを二人きりの時は<あなた>と呼びアピールが強くなる秘書LOVE勢
天津風には<連装砲くん>という自律行動ができる艤装ユニットが存在する。普段から一緒におり戦闘時は天津風の艤装となり戦いを共にしている相棒である。連装砲くん自身も秘書を気に入ってるのかよく会えば抱っこをせがむ仕草が目に見える
「浜風!終わったなら連絡ちょうだいよ!」
「ご、ごめんなさい」
「まぁまぁ谷風。これは仕方ないだろう」
「そうじゃのう。秘書さんのとこに来とったらウチも連絡忘れとるかもしれんし」
「陽炎姉さん達終わった?」
「もうすぐだけどどうして?」
「今野分達がクッキー作ってくれてて、終わったらみんなでおやつにしよって」
「そらぁええなぁ。ほな早よ終わらせて行こうかー」
陽炎型は駆逐艦一の姉妹の多さで今執務室にいる他にもあと五人姉妹がいる
陽炎型駆逐艦十五番艦の<野分>。真面目で献身的、誰かが風邪とあらば誰よりも早く駆けつけるほど。しかし甘いもの好きというところや姉妹と遊ぶことも好きであり、最近は料理やファッションにも興味を持ち始めたあたり女の子をしている艦娘
陽炎型駆逐艦十六番艦の<嵐>。天龍のようにオレっ娘艦娘。駆逐艦では彼女一人である。勇ましい武闘派だが夜が大の苦手で未だ一人で寝ることができず、大抵は同じく夜が苦手な妹の萩風と一緒に寝ている。しかし萩風がいない時もあるのでその時は他の姉妹か提督のところに行って夜を越す
陽炎型駆逐艦十七番艦の<萩風>。万事において真面目で丁寧。料理も得意だが糖分や油分は控えめ。姉妹のお菓子制限を担ってるのは萩風である。そして甲斐甲斐しく秘書の世話を焼いてくれる幼妻とでもいうべき雰囲気を醸し出している。夜は苦手であるため普段は嵐と一緒に寝ているがこれをいいことに時たま秘書と一緒に寝ている。また健康チェックと言って秘書の体を触る以外とアグレッシブな秘書LOVE勢
陽炎型駆逐艦十八番艦の<舞風>。暗い雰囲気大嫌い。ダンスが大好きな明るく活発な性格。ダンスに限らず体を動かすことが好きなので遊びなどのお誘いには比較的参加する
陽炎型駆逐艦十九番艦の<秋雲>。その名前と制服から夕雲型と間違われやすい。本人は自ギャグのネタとして捉えているらしいが姉妹は意外と気にしてるためもうそのネタが出ることは本人が出さない限り出なくなった。彼女には絵を描くという趣味がありそれは人物画に風景画などなんでもござれ。最近は手の空いてる艦娘を描いてるようだ
「よかったら天龍さん達もどう?」
「いいのか?」
「うん!人数は多い方が楽しいし!」
「ならお言葉に甘えましょうか」
「しれぇとひしょさんはどうですか?」
「ごめんなさい雪風。私達はまだすることがあるの」
「そうですか...」
「また今度ご馳走になるわね」
「すみません雪風さん。親潮さんも休憩してください」
「え、でも...」
「陽炎達がみんなでおやつなのに親潮だけ仲間外れなのはよくないからね」
「わかりました。ありがとうございます司令。それでは15:00から16:00まで休憩をいただきます」
「はい。行ってらっしゃい」
その後陽炎達の報告書作成も終わり内容に問題がなかったため解散となりみんなでおやつを楽しんだようだ