英雄《しゅやく》になれぬ筈の槍使いと英雄《しゅやく》に至りし太陽《くろまく》 作:MOGOLOVONIO
敢えて推奨BGMを示すとすれば、『シルヴァリオヴェンデッタ』の曲の1つ、「昔歳より今へ」です。静かで良い曲なので、是非聴いてみながらお読みください。
なお、これまでより長い文になるのですが、ご了承下さい。
____私に、天道寺刹那にとって、英人はムッとする所があるけどとても頼もしくて誇らしい弟だ。
「あーもうムズすぎ!分かんないよなになにの戦いとか誰がどんなものつくったかなんてさー!」
「どうした姉上、こんな休日に喧しく情けない声出してるが__成程受験勉強の行き詰まりか。」
「うー英人ォー、どうせ小学生にはまだ分かんないよこの苦しみはさー。」
「全く、当分遊びに行っちゃ駄目よ刹那。英人も邪魔しないであげてね。」
「了解した母上。然し姉上は今何処に躓いているのだ?指導はせぬが相談なら聞くが。」
「あー、歴史だよ歴史。社会科の中で学ぶ奴。昔の出来事とか、それも争いなんて血なまぐさいなんて覚えなくてもいいじゃん。」
「戦争は__然し姉上。戦史を含め、歴史も重要だぞ。例えば過去に我が国と他国の戦争が生じたとする。その禍根が今も響いて国や民の経済や交流関係に支障を来し、また賠償云々で我々国民の税金やものが関わってくる。世界のどこでも有り触れ、江戸時代以前の問題や国内地域間でも存在する。今後知り合った人間からそう詰め寄られる可能性は無きにしも非ずだぞ。」
「それに、歴史の事象は、地域振興において格好の材料となり得る。昔の話を知っていれば地元の理解や街興しに役立てる。また他所の地域に行く際に楽しむ要因にもなるかもな。姉上はこのまちが大好きだろう?他県への旅行も嫌いではないだろう?」
「……うん。このまちも、出掛けるのも大好き。もっと知って、もっと楽しんで、もっと世の中に役立てるってことかな?」
「その一面も歴史は有するということだ。学びというものはな、国語も数学も、理科も社会も、外国語も家庭科も美術も音楽も技術だって、人生をより面白くより深くより広くより安全に、そしてより社会に貢献できるように」
「残ってた仕事終えて降りたら、随分深いこと言うじゃないか。俺ももっと学んでおけば良かったなー。」
「あ、お父さん。……そっか、なら何とかやる気振り絞ってみるよ。」
「刹那ったら。それじゃ今夜は気合い入れてハンバーグね!」
「やったーハンバーグだー!だったら腹空かすためにもまちを知るためにもお散歩に」
「机の上に宿題が山積みではないか。先ずは此方を片付けるべきだぞ。」
「え、えぇ~〜!いやこれはさー」
「おいおい刹那、お腹空かしとくなら頭と手を使っておきなよー。」
みんなから笑われて、ガッカリしたけど励まされたな。
――――――――――――――――――
英人は、両親も家も奪われて寂しかった自分だけじゃなく、避難所のみんなを懸命に支えてくれた、立派な唯一の家族だ。
「お父さん…お母さん…待って…置いてかないで…」
「__大丈夫か姉上、泣きながら魘されて悪夢に囚われてないか?」
「……あ、英人、な、どうしたの?」
「寝床に来てみれば、寝付きが悪く苦しそうであったからな。独りで眠れそうか?」
「え、あ……それより英人は?こんな夜中に起きてさ。」
「己は見廻りだ。同級生を含め子ども達が、この経緯や環境に置かれて心配でな。泣いて眠れぬ者を慰め、1人で用を足せぬ者に付き添い、寂しさを紛らわそうと我儘言う者の話し合って、何か失くしたと困る者の探し物を探り、やっと此処に着いた所だ。」
「………偉いね、凄いよ。お父さんを目の前で、なのにこんな深夜まで他人のこと気遣えて。私は…」
「気にせずとも良い。突然の喪失を経験して心身の維持を為せる人などそうそういない。姉上が弱い訳でなく、最低限度を越える程に他者へ配慮する責任もないのだ。」
「…それじゃ英人はどうして、そんなに頑張ろうとして、誰かを救けてるの?」
「自惚れかもしれぬが。己が普通の人よりも強くて、夢理想が確固としてあり、誰かの為にと尽くす余裕と、現実に抗わねばと滾る衝動を兼ね備えているからだろうな。別に姉上は、無理して意地を張る必要もないし、それで体調を崩されては己も避難所全体としても困る。」
「……分かった。励ましてくれたんだね。でも情けないし、手伝えるようになる。それと英人も、まだ子どもなんだから一緒に寝よう。」
「そうだな。正直もう眠いのもあるし、共に寝ようか。」
――――――――――――――――――
英人は、新町駐屯地へ同行してくれて、そこでも私を支えてくれて応援してくれて綾子ちゃんや京子ちゃんと同じ位ありがたくて、駐屯地でも馴染んで仲良くなってる自慢の___
「うーん、う〜〜ん、……どう?」
「そうね。…………ここやこれ、間違ってるわよ。」
「そんな〜〜〜!頑張ったのになぁ。」
「はぁ、さっき解き方教えたばかりなのに。いい?因数分解は式をちゃんと整理しないと駄目だから、例えばこの問題ならyを」
「今度はマカロンを作ろうと思うんだけど、京子ちゃんは何味が好き?」
「やっぱり基本のショコラね……ってじゃなく、ちゃんと勉強しなさいっ!」
「いたっ、てかだって数学つまんないし…」
「数学はね、帳簿計算とかプログラミングとかで使うわよ。たとえ因数分解その物は使わなくても、それを解ける計算能力は役立つの。」
「うっ……いいもん、私は大学に進学しないで素敵な旦那様に養って貰うから。」
「そういう戯言は恋人の一人も作ってから言いなさい」
「ぐっ……、そんな事を言って、京子ちゃんだって彼氏いないくせにっ!」
「わ、私の事は関係ないでしょっ!」
「京子ちゃん、オッパイ大きいし美人なのに、料理も掃除も下手だしねー。男より仕事を取って絶対に婚期を逃すタイプなのは間違いないよ」
「ちょっと嫌な予言はやめなさい刹那。」
「おい刹那、そろそろランニングをするぞ。」
「分かった!あ、ところで綾子ちゃんは恋人とかいるの?」
「ちょ、馬鹿っ!」
「やれやれ、残念ながら恋人は居ないが、好意を抱いている者ならいるぞ。」
「えっ、どんな人?」
「最近売り出し中の子役でな、清野翔太君・十歳で」
「変態だぁぁぁーーーっ!」
「もうっ、だから止めたのに……」
「失礼な奴らだな、私は純粋に翔太君を応援しているだけだ、下世話な気持ちなどない。」
「そ、そうだよね、綾子ちゃんに限って犯罪なんて」
「
とよく言うだろう?」
「やっぱり犯罪者だぁぁぁーーーっ!」
「あ、綾子ちゃん、まさか私の弟に…」
「悪くないが背が高すぎるし、2年もすれば私の好みから外れそうだから興味は無いな。」
「むっ、それはそれで腹が立つような…」
「どうしろと言うのだ。」
「何やってんだか2人とも…」
「まぁそれに、言動も態度も性格も、余りに大人びてしっかり者だから、
「あぁそれなら納得。」
「確かに英人君、刹那を連れに来た時からそんな感じね。口調もそうだけど、姉が心配だから一緒に行きたいと言ってたの最初は離れ離れになる寂しさを強がってたと思ってたのに、過ごしてみれば本当に刹那より礼儀も姿勢も立派だし。」
「最後のは余計だよ!…でもそうだね。実は京子ちゃんから数学の必要性言われたけど、受験で大変だった時に英人から、全教科での楽しみや大切さ説かれたよ。小学生から。」
「何か情けないわね…。でも道理で、初めだけでも苦手なりに向き合ってくれたわけね。」
「これは冗談なんだが……もしかしてアイツ、年齢誤魔化してんじゃないか?言葉遣いが妙に堅苦しいし。」
「まっさかー、それはないよ産まれてきた際にも私、お父さんと立ち会ったし。ほら小さい頃の写真だって。」
「これは……うん可愛らしいな。随分元気そうだしもしこの頃なら多分」
「先輩、ランニングの予定じゃなかったんですか?二人とも早く走ってきたらどうですか?」
「嗚呼そうだった、すまんな京子。では後で見せてもらうとして行くぞ刹那。」
「うん分かった、でもその前にちょっといい?」
………あの後、思い付いた必殺技をやってみて、東京から戻ってきた影山先生が
「よし、じゃあもう一回車を殴るからこれで撮って!」
「そんな蛮族みたいな姿を見たら、弟が呆れるわよ。」
「むぅ……じゃあいっそ、私達三人でバンドデビューしようっ!」
「目的が変わってない!?」
「ボーカルなら任せろ刹那に京子。」
「先輩も何やる気になってるんですかっ!」
そう騒ぎながら3人で集合した写真をスマホで撮って、影山先生も微笑みながら眺めてたな。
――――――――――――――――――
「あ、雪だ!もうそんな季節かー。」
「この辺は積もるからな。悪いが雪掻きには、刹那も京子にも手伝ってもらうぞ。」
「他人事だけど、ここに住む人って大変ね〜。何かしんどそう。」
「慣れればキツい掃除みたいなもんだよー。そうだ英人は…」
「おお姉上。今年は流石にかまくら作りや雪合戦はできなさそうか?」
「いや、折角だ。CE戦で疲れた皆の息抜きの為にも、この宮田司令の権限でもって、レクリエーション開くぞ!」
「やった!!」
――――――――――――――――――
「刹那!英人!大丈夫なの!?」
「こちらは問題ない、とにかく逃げるぞッ!」
お母さんと合流できて良かった、まだCEは遠くだし私が荷物持って早く避難所に連れて行こ……
ギュイーン!!!
……え?」
お母さん?何で背中を押して……
「逃……げて…でも……行…」
た、倒れた……光に貫かれたけどまだ大丈夫だよね荷物なんて軽いから背負って
「避難所に行くぞっ、また撃たれるか本体が来る前にッ!」
「でもお母」
「捨て置けっ母の様に骸と化してはそれこそ母の想いを無駄にするぞ!」
「…っ!」
何でどうして早いよお母さん見捨てるの想いを無駄にってお母さんも私も一緒にいたいのに逃げる為でも悲しまないの泣かないの私達の家族なのにおかしいよそんなのまちが……
「……っは!?……」
……夢か、昔の……英人は?
「グゥ~……まだだ負けんぞ宿敵よ〜〜勝つのは〜〜」
……そういや魘される所、一度も見たことないね。
「……間違ってなんかいない、だってあの時は
悪夢に魘されてなんかいられない、だって私は
――――――――――――――――――
「……幻想兵器が強くなった理由、誰にも言わないって約束します。なので教えて下さい影山先生。」
「分かった。絶対に、たとえ弟にも誰一人として口外してはならないよ。……幻想兵器の強さはね、2つの要因で決まるんだよ。」
「1つは精神の強さ。と言ってもその意味は感情の、もっと言えば
「感情や思い込み……そういえば、最初の戦いは、ホントは恐かったけど、戦って勝ってく中で慣れたし自信がついてきたよ。それがクラウ・ソラスも強くしてくれてるの?」
「ああ。でもそれには、使い手本人の思いだけでは限界がある。そこで2つ目さ。」
「それは
「他人の……ってことは、私が人気になって応援してくれる人や認めてくれる人が多くなれば」
「そう。君とクラウ・ソラスは強くなって前以上の活躍を見せ、それを見た人達が活躍を認め、望み、こうして更に君と剣が強くなって活躍できるようになり、の循環さ。」
「刹那君が此処に来てCEをクラウ・ソラスで退治してくれたから、新町駐屯地の隊員達に実力や活躍を理解してくれる人が増えて評価が高まってきた。ある程度成長してきた所で戦闘する姿を撮影して流したのも、君の戦いを世の人々に知らしめてさらなる強化を促す為さ。今の常勝無敗な調子だったら、何れはあの松本ピラーを、
「そ、そうだったんですね。私に適性があった、てのは…」
「運もあったけどね。刹那君は感情豊かで、
「あ、ありがとうございます…!……ところで先生。気になるんですけど、強くなるのにデメリットとかってありますか?」
「短所なら、かえって弱体化しかねない場合があることかな。感情を抑制できる人には、武器がその分弱まってしまい、大人、況してや自分を厳しく律することを仕込まれ理想とする自衛官には発動できない。幻想兵器使いの活躍を知る者が減ったり評価が低下すればまた弱まってしまう。だから君が敗けてる姿をこれまでの視聴者が見てしまえば、天道寺刹那やクラウ・ソラスは無敵じゃない、CEの方が優る時もある、と感じてしまう人が生じて武器にも悪影響を及ぼしてしまう。」
「そ、それってつまり…」
「刹那君。君は
「っッ!?………………」
「まぁそこまで心配しなくてもいいよ。君は事実、連戦連勝だしピンチの兆しはちゃんと予防できてる。毎回部隊を支援や護衛として付随させているから、万一の危機にも無事に排除できる。その上で敗北したとしても、生還さえしてくれたら動画の編集でマイナスイメージを与えるような配信にはしない。だから今後も、自信を持って、自衛隊の戦友を信頼して、無理のないようにCEを倒してゆくだけで構わないんだよ。」
「……………わかり、ました。それを聞いて安心しました。勝って兜の緒を締めよ、って気持ちで挑み続けてみせます。」
「そうしてほしい。……嗚呼それと、抹茶カステラ御馳走様。美味しかったよ。」
「よかったです。それじゃ、今日はありがとうございました!………それと最後に。英人は、その、幻想兵器使いとしてどうなんでしょうか?」
「英人?………嗚呼、弟君のことか。此処に来た際検査を受けてもらったけど、適性ありだね。でも刹那君と違って、感情の激しさは余り期待できないからあれ程の力を発揮するのは難しいと思うよ。それに君が頑張れば、彼は戦わずに済むよ。」
「……そう、ですか。わかりました。」
……影山先生、英人に全く興味ないんだね。
だって、
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「みんなー!メリークリスマス!!」
「メリークリスマス!刹那ちゃん、綾子先輩、みんな、ここに来て色々あったけど楽しく過ごせました!」
「そうだな、4人がこの新町駐屯地に来て、馴染んでくれたし色々助けになったこともあったし、こうしてクリスマスも、きっと年越しも無事で迎えられるんだと思えば本当に嬉しいよ。」
「そうそう、保科さんに刹那ちゃんと美女美少女と一緒に暮らせるなんてさー」
「何失礼なこと仰っているんですか。ところで英人君は?カッコよくて親切で手伝いもしてくれた彼がいないんですけど。」
「英人にはね、宮田さんや影山先生とか、忙しくてこの食堂でのパーティに来れない人の所に訪ねては挨拶や贈り物してくれてるんだ!…もしかして、弟のこと」
「い、いえ違います刹那さん!私は色鐘三尉と違ってショタコンじゃないですし!」
「おい何だその台詞は、美少年を合法的に愛でる私の何が悪い?というか、贈り物ってどんなものだ?」
「それはな、刹那ちゃんと英人君と私達給養員が一緒に作った袋詰めクッキーさ。これなら手軽に食べれて保存も効くから、忙しい相手に渡すにも丁度いいだろうってな。」
「でもってこのパーティ限定には、クリスマスケーキを参加者皆が頂けるよう作ってあるのよ。美味しく楽しく食べてってね。」
「「「はい!!!」」」
「沢山の人に味わってくれるなんて光栄じゃない刹那。食堂に来れない人達も喜んでるわよ。」
「ホントに嬉しいなぁ。あ、それとクッキーを届けに行くってのは英人の案なの。」
「確か、自分の手と口で今までの礼と今後の暮らしのお願いをすると言ってたな。礼儀正しくて、実家に預けたやんちゃ息子にも見習ってほしい位さ。」
「へぇ、なるほどな。さぁて、そろそろお腹が空いてきたな。」
「それじゃみんなに配るよ!これからもよろしくね!」
「「「はい!!!では、頂きます!!!」」」
………みんなには言ってない気持ちだけど、英人は、それだけじゃない内緒の目的で向かったんだと思う。
だってその時の英人、部屋から何か持ち出してたようだし、何処か打算、を考えてそうな表情に見えたもん。
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「「明けましておめでとうございます!!今年もよろしくお願いします!!」」
「此方こそ、よろしくお願いしたい位さ。2人がこの新町駐屯地に来て、笑顔で無事に2026年を迎えられたことは、司令としても、個人的にも本当に喜ばしいんだ。」
「そうね。私は影山先生に振り回されて付いてくようにこの群馬県へ居着いたけど、綾子先輩達駐屯地の皆も、刹那とも仲良くやっていけて、本当に素敵なとこだったわ。」
「僕も、この地に滞在した時間は他の皆より短いけど、過ごしやすい所だったね。」
「そう言ってくれたのは嬉しいことだ。私達は前々から赴任し住んでいるが、こんなに賑やかで、死傷者も退職志望者もいなくなったのは8月のあの日からだ。」
「そうそう。去年3月頃からこの新町駐屯地は、長野ピラーとCEの被害がこれ以上拡がらないようにする前線基地になったからな。人も物も注目も、急激に集まってきたのさ。」
「私も5月に派遣されてきたけど、歓迎する雰囲気も余裕もなければ、その時の皆は見たことない位厳しさや疲れがあったし、私も同じ面構ええになりかけてたとこだもの。」
「全くですね。共に配属された同期、駐屯地を案内してくれた上官、夏に入って教え守る相手となった新米。どれだけが植物状態と化したり遺体さえ回収できなかったり、或いは終わりの見えない過酷な戦いに折れて辞めたことか。」
「天道寺姉弟が訪ねてきた頃の駐屯地はな。運が長続きして、戦友や民間人に地域を救けられなかった経験があって、その上で無念や犠牲から逃げられないように留まり続けた者ばかりだった。」
「__状況は元々想定できていた。だが此処での共同生活を送る中で、過酷で絶望と意志の板挟みに置かれた自衛官や支える職員の凄まじい境遇と心情に触れてきて実感した。無礼であらば謝罪するが、誰もが皆、殉職した者奪われた者を背負い、恐怖に耐え抜き終わりの見えぬ戦争に挑んで、我等民草と祖国を死守し続けてきた精兵であると感じられた。改めて、誠に感謝し申し上げる。きっと、先立たれた方々にも報いている筈だ。」
「……私からも、これまで一生懸命守ってきてくれてありがとう。何としてでも、みんなと、クラウ・ソラスと共に英雄として倒すよ!」
「そう言ってくれるのは、個人としても自衛隊員としても本当に救われる。でも、我々自衛隊は民衆の生命と安全を、大人は子どもの夢と未来を護る存在だ。だから、光剣使いの英雄とその弟に救けられている立場だけど、もし不安や恐怖や危険に苛まれたら、何時でも遠慮なく伝えてほしい。必ず応じてみせるから。」
「…おんなじ気持ちだが、厳粛な雰囲気になってしまったな。宮田司令、取り敢えず今は、楽しくお祝いするべきではないでしょうか。」
「あ、そうだった。それでは改めて、」
「「「明けましておめでとうございます!!!」」」
―――――――――――――――――――――
「砲撃音が収まった。いよいよかな。」
「そうね。今回も弾薬節約のために、自走砲での間接射撃は少な目になってるそうよ。それだけ増えた役割を刹那は期待されてるってわけ。」
「敵は凡そ50体以上、との報告だ。まぁいつもの刹那の調子なら大丈夫だろうが、心してかかれよ。」
「うん、ありがとう。気をつけて戦ってくるよ。」
今日の軽井沢は、青空と雪と緑が綺麗だ。英人にも見せたい…いや、花よりお国と人助けと努力ってタイプだし気にしないか。それじゃあ頑張ろうねクラウ・ソラス。
「貫け、フラガラッハ*1!」
まず離れた所から剣を投げ放った。クラウ・ソラスは自在に宙を飛び回ってCEを六体を倒して帰ってきた。
影山先生の話を元に考えるなら、私を知って応援する人が増えたお陰で、前よりもっと強くなったみたい。
こうして投げ放つことを5回やって、もう半分切った位の数に減ってくれてから、私は戻った剣を手に駆け抜けた。
敵を幾つか切り倒して、残りも全部今までのようにやっつけようとして___
「……え?」
髪が黒くなくて透明な空色だし、目が黒くなくて家に飾ってた宝石みたく赤いし、手足を結晶体が包んでるけど、それは、その
「お、お父さん?お母、さん…??」
私が撃たれたって感じた後、去年の曇ってた生まれ故郷で聞いた音が耳に入ってから、今更ながら自分が頭も体も幻子装甲も止めてしまってたことに気がついた。
「ア、アヤ、トならきっと…」
………?何でこんな言葉が?って思った時には口が開かなくなった。
……もしかして、「英人ならきっと、
だって英人は、お母さんが撃たれた時も、多分お父さんが撃たれた時も、
思い起こせば英人、まるで家族の外から来たみたいだった。お母さんのお腹から産まれてきて、お姉さんとして一緒にいた頃には、もう自分の芯や夢理想が備わってたようで、あの喋り方も知識も“滅私奉公”も変わらなかった。
昨夜の「評価」、先入観や情のないまるで機械だったなぁ。もしかしたら……なんてね。
最期になって本心に気付いて、最期まで本音を言えなくって、伝えた所でちゃんと理解して相応しい態度に変えるだけだと思う話けれども………
私……私、アヤトの……こと、情けないけど本当は、
………あそうだ、綾子ちゃんにも、京子ちゃんにも、影山先生にも、駐屯地のみんなにも避難所の友達にも、コンニャク団子と感謝を伝え、なきゃ。それがきっと、正しいこと……
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8ヶ月に渡り、水面下で日本中に希望と憧憬を魅せる英雄で在り続けた
止まって歪んだ運命の歯車が再起動するには、暫しの年月を待たねばならない。
尤も、その間も現実は進み、人は抗うものであり、またその歯車に何事も生じない保証は存在しないのであるが。
原作でも英人視点の話でも描かれなかった、新町駐屯地の日常の極一部を私なりに想像してみました。
因みに、作中の某CEは作者のオリジナルです。
感想や指摘に質問、両方の原作に関するコメントなど、遠慮なく投稿してください!