英雄《しゅやく》になれぬ筈の槍使いと英雄《しゅやく》に至りし太陽《くろまく》   作:MOGOLOVONIO

15 / 82

 今話の、というより英人の暗躍場面に於いては、『シルヴァリオヴェンデッタ』の「高天原」を推奨BGMとしております。「昔歳より今へ」と異なり、何処か怪しげで癖になりそうな曲ですので、お勧めです。
 


第12話 長夜と宣布

 

  [機械仕掛けの英雄]計画把握の時から数日後、己が前からの()()()()()候補と見繕っていた隊員や職員と情報提供・意思表明、そして同意を得て新町駐屯地内の人脈を拡大・安定させていった。更に同時進行で、政府の計画に携わる部門や人員の動向を、発覚や探知されぬようハッキングした中央のネットワークから監視していた。

 その内面白い機密情報を幾らか入手した。例えばそれは、計画受理を目指す影山と政府間のやり取りや一環として行われた後ろ暗い手段。設立予定の学校の建築住所。己の隔離先となる施設の場所と構造。義理の両親として派遣され影山が望む人格へと矯正する予定の男女の仔細と教育課程。

 特に両親役と内容については何よりの収穫だ。如何に前線基地へと侵食できようと、6年間も拘束され外部との連絡を遮断されてしまえばその成果も大きく削がれてしまう。故に己が為すべき最重要案件とは、義理の両親(監視役)を逆に()()へと取り込んで、外部との連絡や情報収集、そして工作活動の実行を容認或いは協力させることだ。2人の経歴、嗜好や思想信条、家族・友人・職場の関係、不祥事等の弱み。此等を知り尽くした上で、子どもの身故の油断や罪悪感も感知し利用して必ず己の味方に組込む。

 また、情報提供者や協力者に同志とすべきは、軍事や情報や技術開発にCE研究へと携わる政治家・官僚・企業人・学者・現場担当者。学校での生活と暗躍に於いて、建設業者。更に報道への干渉や情報収集の為マスコミ。CE教も興味深い。

 

 最早唯の子どもの時間(モラトリアム)はとうに終わりを告げたのだ。ならばこれより、己は汎ゆる人々、汎ゆる陰謀、汎ゆる悪意、汎ゆる信念を呑み込み凌駕して、大和へより良き勝利を明日を繁栄を齎すべく生きてみせよう!

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「こんにちは!僕が英人君の新しいお父さんになる朝日雄也だよ!この後この駐屯地からもっといいとこに引っ越すんだ。」

 

 元気に満ちた笑顔を向ける美青年、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と、

 

「よろしくね!私はお母さんになる凛華よ!CEに奪われた両親とお姉さんの代りになるかはわからないけど、ゆっくり馴染んでくれたらいいのよ。」

 

 柔和な雰囲気を醸し出す美女、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がこの新町駐屯地へと訪ねてきた。

 

「天道寺英人だ。雄也殿、凜華殿、此方こそ、お世話になる故、よろしくお願い申し上げる。」

 

「えっ、あ、うん。今後は僕達家族になるから、そんなに硬くならなくていいよ。それと英人君、此処のみんなに挨拶もしといたら?」

 

「では、お言葉に甘えさせていただこうか。__さて。」

 

 少々驚きながら丁寧に接し、別れの挨拶を促す○○○。振り返って見れば__

 

 離れ離れになるのを惜しみつつ笑顔で送り届けようとする、裏を知らぬ多くの隊員や職員。後ろめたさを必死で隠そうと俯きや噛み締めが見て取れる、[機械仕掛けの英雄]を知る宮本と色鐘と保科。そして同じく知った上で己の決意に応じてくれた、不安と問掛の混じった 表情を真っ直ぐ向けてくれる同志達。

 

 __そうだな。この駐屯地生活も、彼等ともお別れになるのだ。感慨深いが然し、己はこれより大和を勝利へ導く為の長き戦いに征かんとする。兵も民も須く、皆の奮闘に報いるべく、皆の犠牲を抑えるべく、皆の未来を護り光に満たすべく、己は決して立ち止まってはならぬのだ。

 

「皆___去年から凡そ8ヶ月間も共に過ごし、大変お世話になり、そして先月迄天道寺刹那(あねうえ)の戦いを支えて頂き、誠に感謝し申し上げる。この月日と貴官らとの出逢いや共同生活は、余すことなく己にとっても、恐らく姉上にとっても大変有意義で、充実し、励みになるものであった。その毎日は今日で終わるが__情勢次第では至極困難な頼みがある。」

 

どうかまた逢えるその日迄無事でいてほしい。不条理に奪われた民草、懸命に戦い抜いた英霊、駐屯地と日本に数ヶ月程度でも希望を示してみせた姉上。彼等の犠牲に報いるべく、彼等の意志を受け継ぐべく、己は()()()()()()()()()()()()()()()()()、日本国と国民に貢献してみせる。だからせめて、その日が来るまで生きてくれまいか。どれ程永く昏い夜が訪れようと、日はまた昇るというように。」

 

「__と、以前読んだ本から借りてみたのだが、中々格好良くないか?」

 

 表情を窺ってみれば、涙ぐみながら笑いが吹き出た者、更に罪悪感を深める者、覚悟を見せられ息を呑む者、先程以上の驚きを隠そうとする者と分かれた。

 

「すっかり長引いてしまったが、此れが今生の別れとならぬよう祈ってこう告げさせて頂く。()()()()()()()()()()()!!」

 

 沈黙が少々流れて___

 

「嗚呼、元気なときに訪ねて来てくれ!その時には励ましてくれたお陰で恋人つくれたよって自慢するよ!」

 

「今まで一番楽しかったわ!刹那お姉ちゃんと一緒に作ったお菓子、また今度手伝って皆で食べましょう!」

 

「体も刹那位強く育ったら、野宿とか色々本格的に教えてやるから、しっかり飯食っとけ!」

 

「勉強なら教わることもあったけど、運動はそうはいかないわよ!健康第一に育ってね!」

 

 約束に感謝に応援に注意、様々に言って下さる方々と仕事の都合上この場に顔を出せなかった方々に礼を捧げよう。

 益々居た堪れない思いに苦しむ者等よ、安心してくれ己は貴官らのお陰で漸く()()の役目を果たす機会に恵まれたのだ。

 そして顔を引き締めたか()()達よ。己の指針と覚悟、改めて理解してくれたようだな。暫し離れるが、お互い使命と誓約を全うし、必ずや日本にさらなる勝利を齎そうぞ。

 

「……それじゃあ行きましょ、英人。大丈夫、絶対また逢えるわよ。だって()()()()()()()()()()()()()()が救ってきてくれたんだもの。」

 

「そうそう、世間じゃ評判なんだぞ!()()()()()()()()()()って。だから君もお姉さんの様な英雄として訪ねてこれる日が来るさ!」

 

「__嗚呼、己だって()()()()()()()()()()に成ってみせるとも。」

 

 持たざる者から心一つで国と民を光で照らした最強最高の人類種たる宿敵ヴァルゼライドの様に、或いは同じく持たざる者から愛と絆で我等から日常を護り通せた冥王の様に、平凡な性根ながらも支えられつつ怪物と戦い抜いた刹那の様に。

 

「「それでは、お任せください!!必ず英人を、安全に立派に育て上げます!!」」

 

 

 両親役は、盛大なる別れの挨拶を済ませ、己を“幻想兵器使いに仕立て上げる”加工場(新たなる家族の住まい)へと向かう黒塗りの自動車へと連れて行き、護衛の車を伴って新町駐屯地の門より出発した。

 

 ___さらば、誇り高き護国の将兵・職員方よ。さらば、CEの脅威へと共に立ち向かってきた戦友達よ。さらば、天道寺姉弟にとっての第二の素晴らしき我が家よ。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

  斯くして、車内で予め用意された映画作品を視聴しその合間に会話しながら移動すること数時間。到着し、荷物を持って降りてみればそこは綺麗な2階建ての一軒家であった。塀からは蕾を生やした木々が見え、四方にこれまた綺麗な住宅が並んでいた。

 

 __尤も、事前に調べたところ近所の住民は皆、政府より派遣された監視兼護衛の担当者であるが。

 

「どう?これが僕達3人の新しい家だよ!中々洒落てないかい?」

 

「一先ず長旅で疲れてるでしょ、さ、遠慮なく入りましょ。」

 

 上がってみれば確かに新築同然の洋風建築であり、IHのシステムリビングダイニングキッチン、ウォッシュレット付トイレや2人で入れそうな風呂、2階は父母子3人に別々の個室が与えられ、己の部屋と思わしき室内には勉強机や高級そうなベッドが設置されていた。

 

 __各場所に設置された隠しカメラ、外部に電波の漏れないよう細工された通信回路も確認できた。

 

「さ、ところで英人、お腹空いてない?一緒に暮らす息子の歓迎会、新生活のお祝いに美味しい料理作ったげるわ。」

 

「良かったな英人。取り敢えず、時間が掛かるし風呂一緒に浴びないか?この時間に合わせて仕上がるよう予約掛けてるし。」

 

「そうだな。ではお言葉に甘えさせて頂こうか。」

 

「そんなに固くなんなくていいんだぞ。今日から僕達()()なんだから。」

 

 という流れで入浴し、上がって持参した室内服に着替えて暫し家内を探索していると、声がかかってきた。

 

「どう?腕によりをかけて作ってみたの!実のお母さんや駐屯地の調理師より口に合うかは分からないけど……」

 

 其処に用意されたのは、白米・骨付鶏の照焼き・サラダ・炭酸飲料、そしてショートケーキと豪勢な献立であった。

 

「おっ、よくできてんじゃないか!あと英人、このケーキはお父さんが選んだんだぞ!気に入ってくれるか?」

 

「嗚呼、何とも美味しそうで、御二方、いや父上と母上の歓迎の意思が感じられる実に華やかな食卓だな。丁度腹も空いてきた所だ。家族3人初めての食事を仲良く頂きたい。」

 

 喜ぶ素振りの義理の両親。毎日の美食で懐柔する、という工程に手応えを感じたらしいな。

 

 __今後の食費を中央に知られぬよう削ってもらい、その費用を工作活動の一部に充てる魂胆だとは知らずに。

 

「「「それでは新たな家族生活を祝って、頂きます!!!」」」

 

 贅沢な位に美味い料理をツマミに会話を花開かせ、完食後に眠くなったと告げて上がり自室に。そして布団を被りながら__

 

「高天原より天下りて」

 

「火之迦具土神の星へと集わん」

 

 駐屯地内で用意し発覚されぬよう持ち込んだ小型通信機。この周辺に張られた電波探知に引っ掛からぬよう設定し、外部の同志へと繋いだ。

 

 互いの現状報告、予め造り渡しておいた隠しカメラの傍受プログラムの確認。更に新町駐屯地(向こう側)の様子を聞き、下の2人を迎え入れる策を協議。

 

 ___CEや幻想兵器に影山や中央の調査、[機械仕掛けの英雄]の改造、此等を以て計画の想定を上回る日本の国益追求。我等同志の集いに、秘密組織としての枠組と名称の設定が、別れの前日にて実施した。

 

__その()、[迦具土神機関(カグツチキカン)]__運命の車輪に潜む大和の影。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 ___さて、引越し日以降の経緯をざっと語ろう。

 

 第一段階。数日間、己に対する警戒心を解しつつ僅かながらでも情を抱かせるべく、彼等の望む“姉に憧れ姉の様に成れると無邪気に確信する小学生”として振る舞い、家事手伝いに参加しては可愛げを自分なりに見せる一方で直に仮面の下に潜ませた人物像を観察、その裏で通信機により同志と連絡を取っては相手側の印象報告も盗み取ってもらい把握する。

 そして機が熟した、と判断した日には、2人を隠しカメラの死角に招いて交渉。相手側の本名や家族の事情の暴露と己の目論見の告白、そして感情や打算に愛国心やCEへの怒り等への揺さぶりの末、何とか迦具土神機関の同志へと引き込んだ。そうして2人には、情報収集や工作活動に必須となるPCを、弱みを握って既に協力者へと仕立て上げた近所の監視役複数人に手伝わせて家内に持ち込ませた。

 

 

 第二段階。己はPCを用いて、前々からの貯金や同志から預けられた機関の資金、それと食費を削った分を元手に投資を行い、ある程度の資産を獲得できた。金の多くは、PCの工作活動をより大規模化・複雑化できるような機材の配備に充てられ、一部は資産運用の為の貯蓄に、一部は協力者の勧誘に用いた。

 当初己を裏で操る何者かを探ろうとしていた朝日夫妻が、段々と忠実にして優秀な機関の同志に変容して来た頃には、国家機関中枢への極秘ハッキングも可能な設備、2人から報告を受ける立場の者や地域の警察に運送業者まで含まれる程増大した同志や協力者、そして積み上げた裏金を確保できた。

 

 

 第三段階。CEや幻想兵器に関する情報収集を行い、[機械仕掛けの英雄]の改良方針を定める。

 対象はCE研究に励む機関、幻想兵器製造に携わる企業、報道関連の内それ等に関心を寄せる者、加えてCEの生態把握に適したCE教。そして幻想兵器の発案者たる影山明彦。流石に奴本人への接触は避けるべきだが、脅迫被害者を捕捉し勧誘工作を実施。そのお陰で協力者や捨て駒、中には改心して同志となった嘗ての咎人に色々手伝ってもらった。

 その中での発見の内特に興味深い情報としては、幻想兵器のルーツや幻子の特性、CEの生態や構造、そして最も驚愕し得心したのは、影山の正体が()()()()()であったことだ。元々被害者の一部からC()E()()()()()()()()()()()()筈の事案で脅されていたと聞き、試しに暗殺予定場所を監視カメラから覗いてみれば__車に轢かれても流血が映らず、爆発を受けた後に身体の部位が再生する姿を確認した。ひょっとしたら、それが幻想兵器を発明してのけた理由であり、CE犠牲者以外に知る者のいない物事を把握した手段かもしれぬな。何よりこの発見は、影山への警戒を解いてはならぬとの報せにして、改良案への大きな手掛りであろう。

 尚同時進行で、数年後に“入学”予定となる学校の建築に携わる業者や企業の一部にも接触し、政府や影山に察知されぬよう隠しカメラや盗聴機に機関専用の空間も用意して頂いた。これで、機関結成から1年後の2027年に完成した学校、[対クリスタル・エネミー特殊隊員養成高等学校]に於いても活動が捗るというものだ。

 また、CE教についてだが、時と金を掛けて世界各地の教団を凡そ理解、そして()()してみせた。彼等は資金源としても、CE・ピラーや地域の世情等の情報源としても、治安や政治を操作し又勧誘工作に用いる手駒としても、そしてCEの研究における人柱(モルモット)としても、実に都合の良い存在となった。

 

 

 第四段階、国内外の政・官・財・学界や自衛隊へと機関の手を広げて国政や軍事に外交への影響力確保。そして2028年の、幻想兵器や“英雄・天道寺刹那”公表に併せて実施した全国的な適性検査で[エース隊]*1候補に選出された14・15歳の日本人。彼等の一部にも手を着ける事にした。

 流石に、他の活動と並行して総勢152名ものエース隊予定者全てを機関の協力者や同志に招き入れることはできなかった。何せ幻想兵器使いの条件として()()()()()()()()()()()()()()が必須となるのだ。単に忠実な同志に仕立て上げてはエース隊に成れず、条件の精神性を崩さぬよう勧誘すれば機密・機関命令の死守や戦友に対する欺きが困難となる。故に人選と勧誘方法には細心の注意を払い、何方にも陥らぬ面子を、人間関係も利用しながらある程度同志に引き込んだ。

 政治や軍事への影響力も築けた。清か俗か、人間関係か自己の信条か、向上心か現状維持か、タカ派かハト派か、主流か傍流か___それ等の属性や立場に出自等を把握し適切な手順で以て人脈の規模を拡大し、大臣級の者複数名すら今や迦具土神機関と関係を持っている。

 CE教も役立った。教団から同志の引抜きや情報・資金提供、教徒を利用した勧誘工作、国内外の邪魔な政治勢力に対する攻撃。更に世界中の各教団同士を、ハッキングによる攻撃や資金収奪に悪評流布等により対立させつつ、機関への依存度を高めて、各自が機関と対等になろうと協力せぬよう操作。最早奴等は、無自覚な対CE戦の手先と化している。

それにしても、見知った顔の者が幾らかCE教絡みの活動に関わっていたのは__確率的には十分有り得る話だな。

 

 

 斯くして迦具土神機関は、己を中心とする大規模な秘密結社に成長していった。

 一方で機関外を見ればだ。[機械仕掛けの英雄]決定にありつけた後己の“親衛隊”候補を確保すべくCE被害に遭った孤児を集めて育てていた影山が、2029年春に突如失踪。翌日には長野県松本市内のピラーの根元に、自動車と白衣姿の男性遺体が監視衛星の映像によって確認された。警察や政府は、何方も彼を指し示すと推定して自殺と結論づけた。

 ところが、英国の情報筋より何と影山が出没、それも政府や軍の者と接触したらしい、との情報が齎された。逆に此方の存在を感知されぬよう英国の動向共々慎重に探るべし、と向こうへ指示したが__日本政府の誰も一切を知らぬという事は、影山自身の目論見あっての偽装自殺から連なる独断行動、内容次第では日本国に対する裏切りと呼ぶべき魂胆の可能性が高い。

 

 さて影山が政府の下を離れてから2週間後には、対クリスタル・エネミー特殊隊員養成高等学校、略称[特高]が開校し、152名の少年少女が裏事情を知らぬまま入学した。

 

 寮も建てられた敷地内で寝食勉学鍛錬を共にする集団生活を送りながら、自衛隊と協力してCEと戦い日本と民草の明日を護り抜く若人達。彼等を()()()()()()の引き立て役と見做しつつ秘匿し、教員として指導する自衛官。長き対CE戦に希望と華やかさが訪れたと言わんばかりに宣伝する広報担当と、吉今の暗い数年に長続きする素晴らしきネタが齎されたと喜び同調するマスコミやインターネット、そして事実上の天災により訪れ下り坂しか見えない世界恐慌を打破し得ると湧き上がる経済・産業界の上から下まで。その裏で、南米やアフリカの一部国家を滅ぼし尚止まらぬピラーから人類種自体を救う光明とも、嘗て20世紀前半以来の目覚めと野望と猛威に至らせる脅威とも受け取れる新兵器に関し、無血の暗闘を繰り広げる外交担当と外国。

 そんな環境に於いてエース隊は、生命活動を維持するだけの心無き犠牲者を幾人も幾人も生み出しながら華麗なる奮闘を世間に示した。翌年春には、同じように適性検査で選ばれ志願した若人が特高へと入学し、先輩後輩の関係性が構築された。

 ___特高内部の情報は、エース隊・教員・職員、更に施設に仕込まれた音や映像の収集機器から迦具土神機関に、ひいては外部の者が知らぬこの家に吸い上げられていようとは、誰が想像できるだろうか。

 

 

 やがて、1・2年によるエース隊の輝かしき勝利と、その陰で心も未来も奪われた若き兵士・民草が積み重ねられてやって来た2031年。

 遂に機関の中枢と化したこの家から出る日が、そして己が自らの足で大和の大地を踏み、この旧西暦21世紀の日本に勝利を齎し、今度こそ我が存在意義を本格的に果たす時が訪れた。

 

 __刮目せよ、これより迦具土神機関の大目標、[機械仕掛けの英雄(へロス・エクス・マキナ)]の改造設計図__

 

[瓊瓊杵維新(ニニギノイシン)]の幕開けだ__

 

 

 

 

*1
幻想兵器使いに選ばれ、“学校”を拠点とし座学や鍛錬の日々を送りながら対CE戦の第一線で戦う事になる少年兵部隊の名称。名前や歴史・伝承・神話上の兵器を扱い刹那の如く戦う運用法から如何にもな“英雄”らしさが演出されている。尤も政府の想定する真の役割は、機械仕掛けの英雄(刹那の弟たる己)迄の繋ぎにして目眩ましだが。





 感想、指摘、質問等、遠慮なく投稿して下さい。
 因みに、迦具土神機関(カグツチキカン)瓊瓊杵維新(ニニギノイシン)の名の由来は次話にて説明します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。