英雄《しゅやく》になれぬ筈の槍使いと英雄《しゅやく》に至りし太陽《くろまく》   作:MOGOLOVONIO

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 長らくお待たせして申し訳ございません。

 ノン(以下略)回、引き続き第6章です。今回は後半にて、前回と異なり再び同窓感想会を記載しました。

 それと、総合評価が500ptに到達致しました!愛読・応援して頂き、誠にありがとうございます。二次創作家として精進してゆきますので、今後とも宜しくお願いします。


【護国の剣神と兵達の英雄譚・第6章 天岩戸を照らせし星々】終盤部分を抜粋

 

「__完成だ。」

 

 鋼とコンクリートに囲まれた空間に、声が響き渡った。

 

「これで、囚われし人々の魂を、元の(身体)に返せるであろう。」

 

 蛍光灯に照らされながら紡がれたのは、日本を、人の世界を大いに揺るがす様な想定であった。

 

「このプログラムを長野ピラー__否、汎ゆるピラーであれ、挿入し塗り変えれば、瞬く間に魂を吐き出させて、永久に眠るままと危惧されていた数多の人々が覚める筈だ。」

 

 即ち、自らの両親も、そして世界中の被害者も救われるのであり。

 

「そして、この改造技術を以てすれば__」

 

 去れど、果てなき進歩を望みし英雄は、現在(いま)の人々の救済()()で満足する様な漢に非ず。

 

「祖国の、民草の、そして人類の未来に、壮大な躍進と安寧を齎してみせよう。」

 

 日本と国民全てを想い敬い奉じることに全霊を尽くす愛国者にして、今日よりも希望に満ちた明日を築き上げる開拓者なのだ。

 

「その暁には、人類を脅かす厄災の象徴たるピラーが、未知も空想も一切合切現実の既知として繁栄の礎へと昇華させる、科学の象徴と認識されるやもしれぬ。」

 

 無人の隠し拠点にてそう預言、もとい予測するが如き独り言を呟いた英人は、情報処理による負荷から休ませていたエクスカリバーを手に取り、室内を見回し決断する。

 

「……よし、では研究結果を送信し次の段階へ移行したならば、いよいよ御代田町へ征くとしよう。」

 

 シェルターに引き篭もり直接的には誰とも顔を合わせず、只管研究に没頭すること1週間。

 英人は知っている。その頃地上で何が起こったか。

 新種の出現、好敵手の活躍、自分が入学してから初めての殉職者、そして次の戦闘にて実施されるであろう作戦までも。

 

「……済まない、草壁洋太。貴官の奮戦と犠牲、決して忘れん。己の不在が招いた戦死、せめて我が罪業として胸に刻み、希望を奪われた責任、しかと背負い突き進もう。償いになるとは口が裂けても言えぬが、何時か必ず、あのピラーに幽閉された貴官の魂を取り戻してみせる。」

 

 目蓋を閉じながら静かに決意を発して、英雄は再びパソコンへと向き合った。

 

 

ーーーー(中略)ーーーー

 

 

 サイレンが地下にも鳴り渡ってから、1時間後。

 

「__では、いざ征かん。」

 

 此処で出来る必要な準備は全て完了した。協力者にも、御代田町で何をすべきかの指示を伝えた。今や、この部屋でしか為せぬ仕事は存在しない。

 

「宗次、そしてエース隊の諸君。信じておるぞ、今度こそ完全なる勝利を果たしてみせると。」

 

 その期待を最後に、英人は鋼の扉を開けて地上に出た。

 

「「「__っ‼︎!⁇?あ、英人(君)(さん)‼︎!」

 

 自身の安否を心配していた同級生達の驚愕と安堵の反応に対し、英人は手を振りながら言葉を返す。

 

「皆、暫し引き籠ってしまい、誠に申し訳ない。多大なる迷惑と心配を掛けさせてしまった旨、謝罪する。」

 

 英人は頭を深く下げ、直後に彼女等へと向き合うと。

 

「武装化ッ!……と、早速で済まないが、己は此れより軽井沢方面に出撃し、現地で迎撃中と思われる戦友達の助太刀に参る。我が誇るべき仲間達、どうかこの特高にて不測の事態に備えて頂きたい。」

 

 握り締められたエクスカリバー、回り始めるタケコプター。そして当人の真剣な表情。

 それを見た時点で、少女達の返答は決まった。

 

「……ご武運を!」

 

「頑張ってきなさい英人!」

 

「無理しないで下さいよ!」

 

 期待と信頼故に、送り出さんと声を掛けられ、英人は不敵に笑って応える。

 

「では頼んだぞ!」

 

「「「はいっ‼︎!」」」

 

 斯くして英雄は8日ぶりに、特高から飛び立った。

 戦場の好敵手達と、特高に残ってくれる同期並びに2年の先輩方の無事を祈って、全速力で蒼天へ昇るのであった。

 

ーーーー(中略)ーーーー

 

「__嗚呼、やってくれたか、やはり実に頼もしいな。」

 

 軽井沢の空を一直線に翔けながら、英人は寿いだ。

 

 数秒前に一瞥した、ゴルフ場跡地に留まっているエース隊。

 見下ろしただけで分かる。CEは欠片1つ見当たらず、捉えられたのは歓喜に沸き立つ戦友達と教師、少々見慣れぬ外観の1台も含めた装甲車のみ。

 作戦の成功を、そして全員の生存を英人は確信し、故に下降も停止もせずに、もう1つの目的地へ向かうべく更に加速して蒼穹を突き進んでゆく。

 

 狙うは御代田町に生えて、あのゴルフ場跡地の方面へと尖兵を放ってきた小型ピラー。

 好敵手や同期に先輩方(エース隊の兵達)が、知恵と勇気と団結でもって役目を完璧に果たしてみせたように、英人も自らの責務を全うし、彼等の活躍に応える為に。

 

 __そして数分後、遂に英人は到着した。

 聳え立つ結晶塔と、囲み守る様に点在するCEを見下ろしながら、英人は秘密の通信回線を繋いだ。

 

「此方天道寺、御代田町ピラーの真上にて滞空中。予定の配置に着いているか?」

 

「嗚呼、全員無事に待機している。英人の合図で直ぐにでも駆けつけられる。頼んだぞ、我等が英雄。」

 

 準備の完了を伝えられた英人は、エクスカリバーの砲口()を地上の結晶塔へ向けて、光を充填させた。

 正確に狙い撃つべく、照準を結晶塔の中枢、最奥に__CEとは異なる色合いのコアに定め、且つ光線の威力を絶妙に調整し、そして。

 

「エクスゥーッカリバァーーッ‼︎」

 

 発射された黄金光がピラーを、周辺のCE数百体毎押し潰し浄滅させた。

 其処迄は初陣に於ける前橋市の街中に出没した小型ピラーへの攻撃と同様だが、違うのは途中から。

 

「……頃合いだな。__❛エクスカリバァーッ、ヴェンデッタァッ❜!そして、❛エクスカリバァーーッ、ピリオドォッ❜‼︎」

 

 叫んだ直後、光の奔流の中芯が、徐々に外部との変化を見せ__

 

「__上手く、いったようであるな。」

 

 光線を止めて、地上の光に染まった地点をじっと見下ろし続ける英人。煌めきも土埃も晴れた、その大地には__

 

 油膜の如き虹色ではなく、透明な黄金色に輝く小さな結晶が、ピラーの根元の中心に立っていた。

 

「幾ら検証を重ねようとも、初使用故少々不安はあったが、杞憂であったな。」

 

 その結晶の内側には、ピラーのコアたる球体が、無傷で微動だにせず封じられていた。

 

 __そう、これが英人の新技、❛エクスカリバー・ヴェンデッタ❜と❛エクスカリバー・ピリオド❜である。

 前者は、光線の源である幻子の性質に干渉し、性質の改変・調整をはたらきかける。

 それを発動した上で使用可能となる後者の技は、幻子による現象である光を、まるで氷結するかの様に結晶化させ、使用者が解除をわ念じない限りその状態を継続させられる。

 

 これによって英人は、ピラーのコアを無事に無傷で回収できるようにしてみせたのだ。

 先ず、通常の光線を放つ際ピラーを浄滅し結晶の鎧を削りつつコアだけが無事に残るよう出力のムラを絶妙につくっておく。そうして結晶の大部分を削ぎ落としコアが剥き出しになったであろうタイミングを狙って、幻子への干渉、凝結でコアを光の塊に閉じ込め、またコアそのものにも幻子を通して、損傷や再生の防止処置を行う。後は、浄滅し損ねたピラーの体がコアと切り離されて自然消滅し、周囲のCEは❛エクスカリバー・ヴェンデッタ❜の発動時点で既に一掃されているので、邪魔の入ることなくピラーのコアを安心して持ち帰れる状態になっているのだ。

 

「では、己は此れより帰投するが、回収宜しく願う。」

 

 そう伝えると、秘密回線を切断し特高へと帰還してゆくのであった。

 

 

 斯くして、人類の勝利の道筋は飛躍的に拓れ照らし出された。

 一方ではエース隊が、新型の脅威と戦友の喪失を乗り越え、成長と絆を得た。

 一方では英雄と日本国が、ピラーに対し、奪われし人の魂と未来を取り戻す目処を確立し前進した。

 

 されど、忘れてはならない。

 人外の脅威に晒され抗う勢力は、日本1国に限らぬことも。同じ人類種であり、共通の敵と生存闘争に取り組んでいるとしても、1国が抜きん出て勝利し前後の主導権まで握らせてしまう事態を、良しとすることができぬ存在も間違いなくいるのだと。

 

 

======================

 

 

「……これ、何処までが本当なんや?」

 

「飛行中に於ける宗次達の勝利への感想、ピラーのコア回収は真よ。地下での研究は__……、月曜時点でプログラムを完成させ、その後は他の準備に取り掛かっておった。」

 

「……たったの3日で、解放する術を構築したの……?」

 

「流石英人だ、あの日の晩からずっと心配してたが、無用だったな。」

 

 当時の裏事情を説明する英人に対して、映助が引きつった笑みを、京子が信じられないと言わんばかりに口を開かせ、宗次が納得と敬服に満ちた微笑を向けている。

 

「何時まで経っても地下に引き籠もって顔も声も出してくれないから、激励なり泣き落としなり、美食や色で誘っても一向に反応さえ返ってこなくてうんざりしてたけど、ホント無駄骨折っただけだったわね。」

 

「いやはや、散々苦労掛けて済まぬな。」

 

「はは……、ところで、月夜ちゃんが宗次君をボクの所へ案内してくれたんだね。お陰で励みになったし作戦考案にも携われたよ、本当にありがとう。」

 

 麗華に頭を下げられた月夜は、首を横に振りながら溜息をつく。

 

「気にしなくていいわ、当時は引き籠もりの構ってちゃん……なんて騙されてたけど、その意趣返しやからかいがてらの気紛れよ。」

 

「それでもボクは救われたんだ。……態々恋敵に塩を送ってもらったしね。」

 

「……ふっ、感謝してるなら、戯言も大概にしなさい?私に救けられた身で。」

 

「まぁまぁ、両者共に落ち着き給え。それと月夜、己からも礼を言おう。其方が()()として()()()()、でなかったな、兎に角宗次に渡してくれたお陰で、此方で案内する手間を省けた。」

 

 火花を散らせていた2人の間に英人が割って入ったことで、麗華も月夜も言い争いに発展せず、不快そうに彼の方を向いた。

 

「……じゃあ何?私が接触しなかったらアンタが屋上へ誘導してたって訳?」

 

「然り。まぁ厳密には己の同志に命じることになったであろうがな。」

 

「……もしかしてやっぱり、星空見上げながら話してたことも聞いてた?」

 

「有無。灰原、牛尾、林田、そして草壁。()()()とはいえ彼らを喪った無念は、己も実に共感したとも。」

 

「「………」」

 

 月夜も麗華も、さらには周囲の者達までもが、苦虫を噛み潰した様に、揃って顔を歪ませる。唯1人、宗次だけはそんな様子なく英人へ尋ねる。

 

「それにしても英人、何時頃、この章に出てくる技を思いついたんだ?」

 

「構想自体は、宗次との2戦目の翌日時点で組み上がっておった。然し実践するにあたって計算上、エクスカリバー・ケラウノス以上の認識力が求められる故、直ぐに為せる技ではなかった。それに、自発的な新技開発に及んだ、と知られるわけにはいかんのでな。」

 

「……嗚呼、成る程。」

 

「それと、正二十面体型を相手取った2度の戦いに於いて編み出した攻略法、何方も大変素晴らしいものであった。戦闘者としてのみならず、戦術家としても指揮官としても卓越した漢だと感心したものだ。」

 

「買い被り過ぎだ。大体凄いのは、俺の話を信じて、危険な役目を負って果たしてくれた皆の方だ。」

 

「その点含めて称賛しておるのだよ。分かるだろう?3期生D組の鈍器使い、それに別動隊を務めた1期生の面々ならば。」

 

「「「__えっ⁇?」」」

 

「……まぁ、せやな。」

 

「否定のしようもねぇぜ、その評価は。」

 

「発言者は兎も角、仰る通りですわ。発言者は兎も角。」

 

 いきなり呼ばれて驚いた1期生8人と、複雑そうな表情で同意した神近や映助達を見回して、英人は話を続ける。

 

「相手は当時に於いて新型、1度目は多数のエース隊にとって予想だにせず、2度目は2期生1人を戦死に追い遣ったのが記憶に新しく、何方も既存の気概、戦法の定石が通じぬ脅威であった。宗次よ、たとえ戦闘経験を自称したところで、それだけで幾ら合理的といえど協力してくれる__況してや正二十面体型への対処という危険を担ってくれる程、人は単純でないのだよ。」

 

 当時の特高教師もエース隊員も、語りを聞く者達は一様に、同意するが如く沈黙した。

 

「即ち宗次、其方には不安と恐怖を抱えていようと何ら強制力も権威もなく従わせられる人望と信頼を備えていた。方針を打ち立てたのが宗次だからこそ、正二十面体型の脅威へと挑む決意を喚起できたのだ。」

 

「……確かに、その通りだな。」

 

「元々1人であの正二十面体型に立ち向かえた宗次君の案ってことで、クラスの鈍器使いも盾隊も勇気振り絞って突撃してもらったからね。」

 

「それに、麗華様に勝利し気に入られる程の猛者だもの。そんな男と麗華様が共に築いた作戦なら負ける筈ないわ。」

 

 元エース隊の1期生4クラスと同級生の賛同を目の当たりにして、照れ臭そうに驚く宗次を見て、英人が騒ぐ彼等に手を指して語り続ける。

 

「__と、斯様な認識を共有しているのが現状だ。この場に於いて、過度な自虐も謙遜も無粋故、自己評価はさておき一先ず素直に肯定するべきではないか?我が好敵手よ。」

 

「……分かった。ならお言葉に甘えさせてもらって、謙遜を控えるようにする。」

 

「それでよい。全く、この点まで奴と共通しているとはな。」

 

 英人に諭され、喜びと恥ずかしさに溢れる微笑を浮かべ頬を掻く宗次であった。

 

「「「……………」」」

 

「う、うわぁ〜」

 

 彼は気づいていない、英人との会話の外から、麗しき美女達から視線と圧力を送りつけられていることを。

 

 

 





 感想や質問に指摘等、何時でもお待ちしております。

○❛エクスカリバー・ヴェンデッタ❜
 幻子の性質を完璧に把握したことでじエクスカリバーを用いた新技の1つ。本来幻想兵器やその特殊能力が、幻子に特定の現象を発生させるところを、幻子そのものに干渉して望む性質へと改変し、また移動されられる。あくまでもエクスカリバー及び発する光とその周囲にしか影響しないものの、CEや幻想兵器使いという幻子との結び付きが強い存在にとっては、剣や光に近付いた時点で何もかも掌握される、という極めて凶悪な効果を有する。但し、使用者(光の奴隷)に対し、最低でも背中を見ながらついて行ける程度に思い込みが強い者なら、干渉・操作を跳ね除けられる。
 元ネタは、本作主人公の前世(迦具土神壱型)の大望も誓約も破綻させた代わりに、結果として3度に渡り祖国の治世を救った、「中途半端なロリババァ」(by cv.佐和)が有する異能。

○❛エクスカリバー・ピリオド❜
 上記技が発動状態にある前提で使用可能となる、新技の1つ。幻子への干渉・改変により、エクスカリバーから発した光をまるで氷の様に結晶化させる。規模は基になる光の範囲次第となるが、本文中の描写の様に、光線の一部のみ固めて他の部分を純粋に光として放射し続けることもできる。基本的に、別に冷たい訳ではないが性質を変化させて氷点下の温度に変えることは可能であり、同様に硬度も調節できる。使用者の幻想兵器が解除されるか本人が念じれば、光となって霧散し、それ以外ではたとえ砕かれようと固体として残り続ける。
 元ネタは、宗次達日本人のご子孫、を偽称した一族の末裔で、原作では何れの√も無事に生き残れない悪役令嬢の有する異能。

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