「新たなる適合者…」
「だが、一体どうして…」
特異災害対策機動部二課にて了子と源十郎が困惑するなか、翼はモニターに写し出された響を─正確には、響が纏っていたシンフォギアを食い入るように見つめる。
(そんな…だってそれは、奏の…!)
「え?えええ!?なんで!?私、どうなっちゃってるの!?」
ノイズに囲まれている中、シンフォギアを纏った響は、自分の姿を見て困惑を露にしていた。そんな中、響と一緒にいた少女は─
「お姉ちゃん格好いい!」
響のことを、ヒーローでも見ているようにキラキラした目で見ていた。
響はそんな少女の顔を見ると、すぐに気を引きしめ、歌い始めた。
「絶対に…離さない この繋いだ手は」
響が少女に手を差しのべ、少女はその手を掴んむ。
「こんなにほら 暖かいんだ ヒトの作る温もりは」
そして少女を抱き締めながらも、響は歌い続ける。
(そうだ…なんだかよく分からないけど、確かなのは…私が、この子を助けなきゃいけないってことだよね!)
「共鳴するBrave mind!」
そう思いながら、響は少女を抱えてノイズとは反対の方向に飛んだ。だが、
「うわわわ!?なに!?」
思ったより高く飛んでしまい、空中でバランスを崩し、そのまま落下していく。だがすぐに体制を整え、両足で着地する。
「紡ぎ合いたい魂」
着地した響は上を見上げると…
「100万の気持ち…さぁ ぶっ飛べこのエナジーよ」
大量のノイズが落ちてきていた。それを見た響は足に力をこめ
「解放全開! イっちゃえHeartのゼンブで」
横に飛ぶ。転がって少女への衝撃を軽減しつつ、ノイズを回避することが出来たが、目の前には大量のノイズがいた。それを見て響は立ち上がる。
「進むこと以外」
形を変えて突撃してきたノイズをジャンプで避けるが、飛びすぎてしまい工場の建物の壁にぶつかってしまう。
「見つけたんだよ 心の帰る場所」
そのまま地面に落ちそうになるが、配管を掴みなんとか停止する。だが建物の影から大型ノイズが現れ、響達を叩き潰そうとして来る。
「Yes届け! 全身全霊この想いよ」
響は攻撃を回避し地面に降り立つ。だが、後ろには大量のノイズが。
「響け!胸の鼓動!」
ノイズの一体が響達に飛びかかってくる。それを見た響は拳を握りしめ、
「未来の先へ…」
ノイズを殴った。すると、殴ったノイズは炭になって崩壊していく。
(…私が、やっつけたの…?)
響がその光景に驚いていると、ノイズ達の後方からバイク音が聞こえ、ノイズを吹き飛ばしながら向かってくる。そしてバイクに乗っている女性が、風鳴翼であることに気づく。
翼は響の横を通りすぎ、大型ノイズに向かっていく。そしてバイクを足場にして空高く飛んだ。バイクはそのままノイズにぶつかり爆発する。
《Imyuteus amenohabakiri tron…》
翼は聖詠を歌いながら降下していき、響達の前に着地する。
「呆けない、死ぬわよ!」
翼は響にそう注意した。
「あなたはここでその子を守ってなさい!」
先ほどの言葉に怯む響にそう言って、翼はノイズ達に向かっていく。
「翼さん…?」
翼の体を光が包み、シンフォギアを換装する。そして走りながらアームドギアを取り出す。
「去りなさい!夢想に猛る炎 神楽の風に滅し散華せよ」
『蒼ノ一閃』
翼は攻撃の手を緩めない。
「嗚呼 絆にすべてを賭した 閃光の剣よ」
『千ノ落涙』
二つの技であらかたのノイズを殲滅し、残りのノイズ達に突っ込む翼。
「すごい…やっぱ翼さんは…「あ!」!?」
その光景に響が見惚れていると、少女が声を上げ、後ろを振り向く。すると、大型ノイズが響達に迫ってきていた。
翼はその大型ノイズを倒すための大技を使うため、空高く飛んだ。すると─
彼女の横をすごい速さで何かが通りすぎていった
「ナッツ!!
響は、大型ノイズの後方から、聞き覚えのある声を聞き、ノイズを見上げると─
「バーニングアクセル!!!」
爆発音と共に、大型ノイズの腹部が消し飛んだ。そしてノイズが崩壊していき、響がノイズを倒した人物を確認すると…
「大丈夫か、響」
「ツナ…なの…?」
自分の親友である沢田綱吉が、いつものツナとは全く違うオーラを纏い、額に炎を灯し、空中を飛んでいた。
そして翼も、彼を離れた場所から見ていた。
(身長や服装、髪の色、手につけている武器も違うが、顔や額に灯っている炎の色は、あの時奏を救った男と同じ…彼は一体…)
翼は、ツナが何者なのかを考えていた─
その後、一度自分の鞄を取りに戻り、現場に戻り「超死ぬ気モード」を解除したツナが響に問い詰められていると、特異災害起動部と名乗るもの達が現場に現れ、響達がいた場所にはすぐに厳重警戒網がしかれ、炭の撤去や怪我人の手当てが行われていた。響が助けた少女は、その時に来た人に保護され、暖かい飲みものを渡されていた。その少女を響とツナが見ていると
「あの、暖かいもの、どうぞ」
「あ、暖かいもの、「どうも…」」
二人は女性ーー友里あおいから、暖かい飲み物を渡される。
二人はそれをのみ、響の緊張が解けると、彼女が纏っていたシンフォギアが突如解除され、バランスを崩す。
「響!?」
ツナは響に手を伸ばそうとするが、それよりも速く翼が響を後ろから支える。
「ありがとうございます…あ、ありがとうございます!」
響は一度お礼をいったあと、翼の顔を見て再び頭を下げる。そんな響を見てツナは苦笑いする。
「実は、翼さんに助けられたのは…実は二回目なんです!」
「二回目…?」
その場を離れようとした翼は、響の言葉を聞いて振りかえる。そんな彼女に響は笑顔を見せていると
「ママ!」
声がした方を向くと、少女が母親と思われる女性に抱きついていた。
「…あの子のお母さん、見つかってよかったな…」
「うん…」
二人が親子を眺めていると、女性が親子に同意書を差し出し、書類の説明を始めた。機械のような説明を続ける女性に親子は呆けた顔をし、ツナと響は苦い笑みをうかべる。
「えっと…」
「じゃあ、私たちもそろそろ…」
そう言ってその場から立ち去ろうとすると─
翼を中心に、黒服に黒のサングラスを着けた男達が立ちふさがっていた。
「あなた達をこのまま帰すわけにはいきません」
翼がそう話す。
「「えぇ!?なんで!?」ですか!?」
「特異災害起動部二課まで、同行していただきます」
ツナ達の訴えを無視しそう説明する翼。その直後、気づけばツナと響の手に手錠がはめられていた。
「え?」
(この人、速い!超直感は反応したけど、体が反応出来なかった!)
「すみませんね、あなた達の身柄を、拘束させていただきます」
それぞれの反応をする二人に、手錠をはめた張本人ーー緒川慎次はそう伝え、二人を車に案内する。
「なーんでー!?」
響は現状を理解できず、そう叫ぶしかなかった…
「なんで、学院に?」
廊下を歩きながら響が質問するが、緒川はなにも答えず、歩き続ける。
手錠をかけられたツナ達が緒川達に連れられて来た場所は、響と未来、そして翼が通っている私立リディアン音楽院だった。
響が緒川に話しかけている間、ツナは暗くて見えづらくはあるが、初めて女子校に入ったことに緊張して学院内を見回していた。
「あの…ここ、先生達がいる中央棟、ですよね?」
響は再び質問するが答えは返ってこない。そしてそのまま通路を歩き、突き当たりにあるエレベーターに乗り、緒川が端末をスキャンさせる。するとエレベーター内が変形し、それに驚くツナと響。そんな二人を無視して翼は近くに現れた取っ手をつかむ。
「あの…これは…」
「さ、危ないから掴まってください」
響が代表して質問をすると、緒川からなにかに掴まるよう指示される。
「えっと…」
「危ないって…」
ツナと響がそう呟いた直後─
「きゃーーー!?」「んなーーー!?」
エレベーターが急降下を初めたため、二人揃って叫んだ。
ジェットコースターの急降下のような動きが収まり、ある程度落ち着きを取り戻した響が笑みをうかべる。
「愛想は不要よ」
そんな彼女に翼がそう忠告する。その直後、視界が開け、いろんな模様が入った壁が露になる。それをみた響は驚きつつもどこか楽しそうな声を出していたが、ツナは模様をみた瞬間、違和感を覚えた。
(なんだろう…この壁を見ていると、なんだか嫌な予感がする…)
「これから向かうところに、微笑みなど必要ないから」
ツナが考えていると、翼がツナ達にそう伝える。それを聞いた二人は、どのような場所なのか息を飲んだ─のだが。
「ようこそ!人類最後の砦、特異災害対策起動部二課へ!」
エレベーターの扉が開くと、大歓迎ムード全開で出迎えてくれた。
(翼さんが言ってた雰囲気と全く違うじゃん!?)
奥には『ようこそ2課へ』とかかれたプレートが取り付けられていた。響はその光景を見て固まり、ツナは翼から聞いていた印象とは全く違うことに内心ツッコんでいた。その状況をみた翼は指を頭に添え、緒川は苦笑いしていた。
「さぁさぁ笑って笑って!お近づきの印にスリーショット写真…」
固まっていた響と内心ツッコんでいたツナに了子が近より、スリーショットをとろうとしてくる。そこで響が立ち直り、了子から離れる。
「い、嫌ですよ!手錠をしたままの写真だなんて、きっと悲しい思い出として残っちゃいます!」
「イヤ響、ツッコむところそこじゃないだろ!?」
響の言葉を聞いたツナは、ついに口でツッコミを入れる。
「それに、どうして初めて会う皆さんが、わたし達の名前を知っているんですか!?」
そう言って、天井から吊るされている『熱烈歓迎!立花響さま・沢田綱吉さま』とかかれたプレートをみる。
「我々二課の前設は、大戦時に設立された特務機関なのでね。調査などお手のものなのさ!」
弦十郎がそう言うと、横から了子が鞄と学生証を持って現れる。
「「ああー!」」「私の鞄!」「俺の学生証!どこで落としたんだ!?」
それが自分のものであると気付き叫ぶ二人。ツナに関しては、どこで落としたのか全く分からず頭を抱えていた。
「なーにが『調査はお手のもの』ですか!鞄の中身、勝手に調べたりして!」
「えっと、勝手に人のものをみるのはいけないと思いますが、学生証を回収してくれたことは、ありがとうございます」
弦十郎に問い詰める響に対し、ツナは、自分の情報を勝手に見たことは許せることではないが、回収してくれていたことには感謝していることを伝えた。
その後、緒川が二人の手錠を外し、解放される。
「あぁ、ありがとうございます」
響は緒川に感謝をのべる。
「いえ、こちらこそ失礼しました。そういえば、沢田さんは連行中、やけに静かでしたね。普通の人なら、立花さんのような反応をするだろうに…」
「いやぁ、なんと言うか…こういうハプニングは何度も体験したことがありますし、手錠をはめられたの二回目なんで、初めてのときと比べたら少しなれたのかなって…」
「以前にも手錠をはめられたことがあるなんて…なにか悪いことでもしたんですか?」
少し気が緩んでいたのか、緒川の質問にうっかり口を滑らせてしまう。ツナの言葉を聞いて緒川がさらに質問してくる。それをどうはぐらかそうか考えていると、弦十郎が近づいてくる。
「では、改めて自己紹介といこう。俺は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている!」
「そして私は、出来る女と評判の櫻井了子!よろしくね」
弦十郎と了子が自己紹介をしてくる。
「「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」」
そんな二人にツナと響も頭を下げるが、ツナは了子からただならぬ気配を感じていた。
(なんだろう、この人…優しそうな雰囲気だけど、完全に信用しちゃいけない気がする…)
ツナが了子を少し警戒していると、弦十郎が話を続ける。
「君たちをここに読んだのは他でもない、協力を要請したいことがあるのだ」
「「協力?」」
それを聞いて、響は先ほどの現象を思い出す。
「教えてください!あれは一体、なんなんですか?」
弦十郎達にそう質問する響。すると了子が響に近寄ってくる。
「あなたの質問に答えるためにも、二つばかりお願いがあるの。最初の一つは、今日のことは誰にもナイショ。そしてもう一つはーーとりあえず脱いでもらいましょっか?」
「え?」
「んなー!いきなりなにいってるのこの人!?」
了子の発言を聞いて慌てるツナ。
「検査のためで脱いでもらうだけだから大丈夫だ。安心したまえ。…さて、響くんのことはこれでよしとして、一番の問題はーー君だ、綱吉くん」
「え?」
検査のためだと知りひと安心するも、すぐに自分の話になり、戸惑うツナ。
「あの時、君の額に灯されていたり、ノイズを倒すときに使っていたあの橙色の炎はなんなのだ?」
「えっと…それは…」
ツナは弦十郎に詰め寄られ、話すか話さないか迷っていた。その時─
『なに戸惑ってやがるツナ。そんなんだからダメツナって呼ばれんだぞ』
大人だらけの空間に似つかわしくない、だがツナにとってはこの世界に翔ばされてから今まで、一番聞きたかった子供の声が響いた。
「な!?どこからだ!?」
周りの人達が音源を探すなか、ツナはすぐに音源がなんなのか気付き、今まで身に付けていたヘッドフォンを目の前のテーブルに置く。するとヘッドフォンの横から映像が投影され、黒スーツを着てボルサリーノをかぶりおしゃぶりをつけた、周りから見れば異様に見えるが、ツナにとってはとても見覚えのある子供が写し出された。
『チャオっす』
「「「「「子供?」」」」」
「リボーン!」
ツナは自分の家庭教師の姿を見て泣き出しそうになる。
『よぉダメツナ、
「っ!うるっさいなぁー…」
リボーンの言葉を聞いたツナはすぐに涙を引っ込めるが、それと同時にあることに気づく。
「おいリボーン!お前今
『おう、そうだ。お前がそっちに翔ばされたあと、こっちの世界では一日しかたってねーぞ』
「嘘だろ!?俺はこっちの世界に来てもう二年近くたつんだぞ!?」
「すまない、話の腰を折るようで申し訳ないのだが、君たちは一体何の話しをしているのだ?」
ツナは自分がいる世界と元の世界との時間の違いを訴えていると、ツナとリボーンの会話を聞いていた弦十郎が話しかけてくる。
「あ、いや!これは、その…」
『それにしても…』
弦十郎の問いかけに戸惑うツナを無視して、リボーンは響と翼を見てーー
『ダメツナの癖に、別の世界で二人も愛人を作るなんてやるじゃねえか』
「「え?」」
「んなー!何言ってんだお前!?二人はそういうのじゃないから!それに俺は今も京子ちゃん一筋─ヒッ!?」
とんでもないことを言い出すリボーンにツナがつっこみ、自分がまだ京子ちゃん一筋であることを言おうとした直後、先ほどのリボーンの言葉で困惑していた響がものすごいオーラを発し始める。そのオーラに翼だけでなく弦十郎でさえ怯んでしまう。
「ねぇ、ツナ?『京子ちゃん』って誰?」
「えっと、そのー…(なんで響が京子ちゃんの名前を聞いて怒ってんのー!?)」
響がツナに詰め寄り、ツナはなぜ響が怒っているのか理解できず、気迫に気圧されている。その光景をみたリボーンは
『なに女に睨まれたくらいで怯んでんだ。そんなんじゃ立派なボスにはなれねーぞ』
という。それを聞いたツナは
「うるっさいな!ていうかそもそも、俺はマフィアのボスには絶対にならないって─あ」
リボーンに反論するが、つい自分が一番教えたくないことを自分の口で話してしまう。すぐに気づいたが時既に遅く─
「「「「「マフィアのボス!?」」」」だとぉ!?」
その場の全員に自分の正体がばれてしまった─
ついにバレました。次は説明多めです。