いつものノリと懐かしさでついリボーンと口喧嘩してしまった結果、自分がマフィアの跡継ぎであるをしゃべってしまったツナはその後、響と特異災害対策起動部二課─通称『特機部二』の人達に、自分がこの世界の住人ではないこと、自分がこの世界に来たのは二年前のツヴァイウィングのライブが行われていた日であること、そして─自分が、元の世界では伝統・格式・規模・勢力すべてにおいて別格といわれるイタリアの最大手マフィアグループ『ボンゴレファミリー』の十代目次期ボス─もとい、『ネオボンゴレファミリー』の初代ボス候補であることを伝えた。
『まあ、こいつは俺が
「そりゃそうだろ!誰が好き好んでマフィアのボスなんか…『口答えしてんじゃねぇぞダメツナ』ヒィ!?」
映像越しで拳銃を突きつけられ怯えるツナ。そんな光景に周囲の人々は困惑していたが、誰よりも速く立ち直った弦十郎が代表として質問を始める。
「話しているところすまないが、君は一体…?」
『そういや自己紹介をしてなかったな。チャオっす!俺の名はリボーン。そこのダメツナの家庭教師で、最強の殺し屋だぞ』
リボーンが自己紹介をするが、それを聞いた特機部二のメンバー達はさらに困惑し始める。
「子供なのに、家庭教師でヒットマンだと…?」
『そのことについて話すと時間がかかるから、他のことも平行させながら話を続けるぞ』
そう言ってちゃっかり話の主導権を握ったリボーンは、まず最初にツナから話を聞く。
『まずはツナ、お前がこの世界に来たのは二年前の8月だったんだな』
「う、うん…そうだけど…って言うか、どうやってそっちの世界からこのヘッドフォンに繋いでるんだ?そもそもいつから繋いでたんだ!?」
ツナはリボーンの質問に答えたあと、リボーンにどうやって接続しているのか等を聞く。
『ダメツナの癖に俺の話を邪魔するとは、いい身分になったもんだな「ヒッ!」一つ目の質問の答えは、お前の死ぬ気の炎が確認されたからだ。それによって別の世界にいるお前のヘッドフォンの周波数と会わせることが出来たんだぞ。そして二つ目の質問の答えは、お前が緒川に連行されるところからだぞ』
「ってことは、ここでの会話は全部聞いてたのかよ!っていうかちょっとまて、死ぬ気の炎を確認できたから繋ぐことが出来たって言ったよな?」
『そうだぞ、何度も説明させるな』
「でも俺、この世界に翔ばされた日にハイパーモードになったんだよ!それにそれ以降も特訓のために何度もハイパーモードになってたし!」
それを聞いたリボーンは考え込み、数秒後、顔をあげる。
『…そういえば、お前のいる世界がどんな世界か話してなかったな』
そう言ってリボーンは話を続ける。
『元の十年バズーカの弾の効果が、現在と未来の被弾者を入れ換える縦向き力だとすると、お前がくらったジャンニーニが改造した十年バズーカの弾は、その力の向きを縦から横に─つまり、平行世界の被弾者を入れ換えるシステムだったんだ。だから本来であれば平行世界のお前がいたはずなんだが、そこには誰もいなかった…その後、すぐに白蘭に連絡を取って他の平行世界のどこかにいないか探してもらったんだが、見つからなくてな…そのあと、守護者達やネオボンゴレファミリーの同盟ファミリーであるシモンファミリー、キャバッローネファミリー、ミルフィオーレファミリーに加えて、ヴァリアーの連中や他のアルコバレーノ達にも頼んで必死になってお前を探してたぞ』
「アルコバレーノ達も!?─そっか…俺、多くの人に迷惑かけちゃったな…って言うかおい、リボーン。『ネオボンゴレファミリーの同盟ファミリー』てなんだよ!?」
『その言葉通り、俺が勝手に同盟の傘下にした奴らのことだぞ』
「お前、なに勝手にそんなもん作ってんだよ!?」
リボーンの自分勝手っぷりに怒鳴るツナ。リボーンはツナの訴えを無視して話を続ける。
『さて、話を戻すぞ。白蘭から他の平行世界にお前がいないことを聞いたあと、ジャンニーニが作った設計図を確認したら、一部設定を間違えていてな。それが原因でお前が平行世界ではなくマルチバース─多次元宇宙に翔ばされたんじゃないかって話しになったんだ』
「マルチバース?」
聞きなれない言葉にツナが首をかしげる。
『マルチバースってのは、複数の宇宙の存在を仮定した理論物理学による論説─まぁ、お前みたいなダメダメなやつでも分かりやすく簡単に説明するなら、俺たちがいる宇宙世界の地球が
その説明を聞いて、ツナは何となく理解することが出来た。それと同時に、弦十郎は説明中に出たある単語に疑問を抱く。
「リボーン君、7^3とは一体なんなんだ?話を聞く限りでは、それの元になったものは君たちの世界にとって、とても重要な存在らしいが…」
『7^3というのは、「ボンゴレリング」・「マーレリング」・「
そうしてリボーンは、死ぬ気の炎のこと、大空の七属性のこと、
「ってことは、本来のリボーン君は元々は大人だったってこと?」
『そうだ。呪われるまえの俺はとてもかっこよくて女にモテモテだったんだぞ?』
途中までほとんど理解できていなかった響が、リボーンにアルコバレーノの呪いのことについて質問すると、リボーンは自慢げにいう。
「別世界に、死ぬ気の炎と呼ばれる超圧縮された生命エネルギー、そして世界を作る基盤となった石を使って作られた存在、か…なんとも信じがたい話だが、もしその話が本当なら、その7^3と呼ばれるものは、こちらの世界の『完全聖遺物』と呼ばれるものと同じ存在になるぞ…」
『その完全聖遺物っていうのはよくわかんねえが、ツナが二年前に戻って体も若返ったのは、恐らくボンゴレの縦の時空軸が干渉したからで、本来の俺たちの世界の時間軸とそっちの世界の時間軸は同じだと思われるな。だからお前がこれまで死ぬ気の炎を発生させても連絡が取れなかったんだと思うぞ』
そう言うとリボーンはツナの方を向き再び質問を始める。
『そういえばツナ、二年前の8月1日というと、まだお前は骸と戦ってない頃─つまりハイパーモードとXグローブを使ってなかった頃じゃねえか。そんなんでよくハイパーモードになれたな?』
「それは、ジョットさんが力を貸してくれたから…」
『
ツナが出した名前に不思議そうに返すリボーン。
「すまないが…その、ジョットとは誰なのだ?」
『それはな…「大丈夫ですか十代目!?」』
ジョットについて質問してきた弦十郎にリボーンが答えようとした瞬間、映像に誰かがわってはいる。
「獄寺くん!?」
その正体は、ツナの嵐の守護者であり親友でもある、自称:ツナの右腕の『
『ご無事で何よりです、十代目!』
獄寺がツナの無事を安心していると、さらに映像にツナの知り合いが写ってくる。
『無事かツナ!?』
ツナの雨の守護者であり親友の一人でもある『
『ボス、大丈夫?』
ツナの霧の守護者の片割れである眼帯をつけた少女、『クローム
『極限に無事か沢田ー!「うっせぇ!耳元で叫ぶんじゃねぇ芝生頭!」なんだとタコヘッド!』
ツナの晴の守護者でありツナが思いを寄せている女性『
「山本、クローム、お兄さん!皆元気だった!?」
『「うん、元気」「本来心配される側のツナが心配している俺たちを心配するなんて、おかしな話だわな」「だが、それが極限に沢田らしいぞ!」』
ツナの質問に、三者三様の反応を見せる。
「アハハ、そうだったね。俺が心配される側だったよ…皆、心配かけてごめん!」
『「いえ、十代目が謝らなくても!?」「そうだぜ、俺たちは親友なんだから気にするな!」「うん…」「俺は極限に心配したぞー!」』
ツナの謝罪に、これまたそれぞれの反応を見せる四人。すると…
『おい、お前ら』
四人の後ろからリボーンの声が聞こえる。その声を聞いた四人は振り返る。
『俺の話を遮るとはいい度胸じゃねぇか…獄寺・山本・了平、お前らは今からネッチョリコースだ。クロームは今後、気を付けるんだぞ』
「「うげっ!」」「ぬお!?」
「は、はい」
そう言ってリボーンは男三人の意識を奪い、器用に三人同時に引き吊り始める。するとその時
『ハァ、ハァ…えっと、どういう状況?』
新しい人物の声が聞こえた。その声の主は、ツナの大親友─
「炎真!?炎真なのか!?」
『ツナ君!無事かい!?』
シモンファミリーの十代目ボス『
「炎真、その傷どうしたの!?」
『あ、これ?実はツナ君を探してたら、偶然放し飼いされてる犬の尻尾を踏んじゃってね…』
「んなー!?俺やっぱり迷惑かけちゃってるー!?」
炎真の怪我の理由を聞いてそう叫ぶツナ。
『大丈夫だよ、犬に追いかけられるのはなれてるから』
「でも…」
『ホント、お前らダメダメコンビが揃うとろくな話しにならねぇな』
「うるさいな!」『アハハ…』
『ジョットのことやまだ伝えてないことはまた明日にでも話すぞ』
『「じゃあ通信切るからな」「ちょ、私からもお話をーー」プツン』
リボーンがそう言い、引きづられている三人が映像の端に消えると、映像が切れた。切れる直前にジャンニーニの声が聞こえたことから、今まで喋っていなかったが、どうやら通信が繋がったときからリボーンと一緒にいたらしい。
リボーン達と、映像越しとはいえ久しぶりに会えたことに喜んでいたツナだが、すぐに周りの空気に気づく。
「なんというか…すみません…」
「…まあ、綱吉くんのことは今日はここまでにして…響くんは検査を行ってもらおうか!」
弦十郎はその場の空気を変えるようにそう言って、まだ情報が処理しきれていない響を検査室につれていった─
「ただいまー…」
「お帰りなさいツナさん。こんな時間まで何処に行ってたんですか?」
響が検査室につれていかれた後、特機部二の人達から解放されたツナが家に帰ると、同居人である沢田セレナ─セレナ・カデンツァヴナ・イブが心配そうに話しかけてくる。
「実は今さっきまで特機部二の人達に連行されてて…」
「特機部二─特異災害対策起動部二課にですか?どうしてそんなところに…」
ツナが出した名前に不思議そうにするセレナ
「…響が、シンフォギアを起動させた」
「!?」
「多分、ライブの事件の際に響の体に残った、奏さんのシンフォギアの破片が起動したんだと思う…」
「そうですか…」
そしてツナは帰り道に起こったこと、特機部二での話を話す。ツナから二年前のライブ会場での出来事を聞いていたセレナは、響がシンフォギアを起動させたことに複雑そうな顔をした。
「…ツナさんは」
「え?」
「ツナさんは、どうしたいんですか?」
暗に「協力するのかしないのか」と聞いてくるセレナ。ツナは少し考え込み
「…響は多分、協力を求められたらすぐに受けると思う。あいつの
そう話すツナ。それを聞いたセレナは微笑む。
「…それでこそ、ツナさんですね」
『お前らしい覚悟だな、ツナ』
急に自分の家庭教師の声が聞こえ、すぐに鞄からヘッドフォンを取り出す。するとヘッドフォンから再び映像が投影され、リボーンが映る。
「んな!?お前いつから!?」
『お前が「響がシンフォギアを起動させた」って言ってたところからだぞ』
「また最初から聞いてたのかよ!?」
映像が投影された直後は驚いていたが、ツナの反応を見たセレナはすぐに写し出された人物が誰なのかに気づく。
「あなたが、ツナさんの家庭教師のリボーンさんですか?」
『ああ、そうだぞ。ところでお前は…』
「はじめまして、セレナ・カデンツァヴナ・イブといいます。今は『沢田セレナ』という偽名を使って、ツナさんの家に居候させていただいてます。あなたの話はよくツナさんから聞いてますよ」
「ちょ、セレナ!」
自己紹介をして、よくツナからリボーンの話を聞いていることを話すセレナ。
『よろしくなセレナ。それで、ツナは俺のことなんて言ってた?』
「ツナさんからは、いつも厳しくて容赦ない鬼のような家庭教師だけど─いざというときは一番頼りになる─一番信頼している方と聞いています」
「ちょ!その話は恥ずかしいから話さないでって…!」
セレナの話を聞いたリボーンは『ニヤッ』とする。
『ダメツナにしては嬉しいこと言ってくれるじゃねえか。それに免じて最初の説明に関しては見逃してやる』
そう言ってリボーンは話題を変える。
『そういえばツナ─セレナは何者だ?』
「え!?な、なんでそんなこと…」
『お前の家に居候してるヤツはだいたいが訳ありだからな。セレナも訳ありなんじゃねえかってな』
「それ自分のことも入ってるって分かってるのか!?」
リボーンの言葉につっこむツナ。
『それに、偽名を使ってる時点で訳あり確定だろ。どうなんだ?』
「えと、そのー…」
話すか話すまいか悩んでいると
「私が自分で話しますよ」
「セレナ…」
セレナが自ら説明を申し出る。そしてセレナは、自分が六年前─ツナから見たら二年前に助けられたこと、シンフォギアのこと、ノイズのこと、ネフィリムのことについて話した。
『なるほどな…確かに、それが事実なら7^3は、さっき弦十郎が言っていた完全聖遺物の枠に入らなくはないな…それにしても、シンフォギアやら聖遺物やら、そっちの世界は獄寺が聞いたら喜びそうな世界だな』
「あー…確かに。獄寺くん、そういう話大好きだからなぁ…」
リボーンの言葉に同感するツナ。すると突然リボーンが
『そういやセレナ。お前ボンゴレ入らないか?』
「え?」
セレナをボンゴレに勧誘し始めた。
「んな!?お前、この世界の人にもマフィアの勧誘するなよ!」
「マフィア?」
「─あ」
─ツナ自身のドジによって本日二回目となる正体バレが起こった─
次の日の夕方、ツナは緒川につれられ再び特機部二本部に向かっていた。
あのあとセレナに、今まで隠してきた秘密─自分がマフィアのボス候補であることを伝えたが、セレナは少し驚きつつもどこか清々しい顔をしてくれた。どうやらセレナは、ツナがまだなにか隠していることに気づいていたらしく、それを教えてもらってスッキリしたらしい。それを聞いたツナは隠していたことがバレていたことにショックを受けていた。
ツナがそのことを思い出していると、特機部二本部につく。そこには響が─昨日と同じ手錠をつけられて、既についていた。
「なんで響はまた手錠かけられてるの!?」
「それはこっちが聞きたいよ~!」
そんな話をしていると
「それでは~!前日のメディカルチェックの結果発ぴょ『その前に昨日話損ねた分について話すぞ』ちょっとー!」
響の検査結果を伝えようとした了子の話をリボーンが遮る。話を遮られ不満そうにする了子。それを見ているリボーンは、周りから見たらいつもと変わらない顔だが、ツナはリボーンが了子を警戒していることに気づいた。
それは昨日の夜、セレナにマフィアのことを話した後のことである─
『そういえばツナ、お前、櫻井とかいうヤツに少し警戒していたな?どうしてだ?』
リボーンが特機部二でのツナの違和感について聞いてくる。伊達に二年近くツナの家庭教師をしているわけではないのだ。
「俺もなんでか分からないんだけど…直感が、『あの人のことを信用しきってはダメだ』って言ってる気がするんだ…」
ツナはリボーンにそう伝えた。
『…お前の
リボーンはツナの直感─『
そして現在─
そのことで、リボーンは了子を警戒しながらも話を続ける。
『まずは昨日言っていたジョットに関してだな』
そう言ってリボーンはツナの方を向く。
『ジョットは、ボンゴレファミリーを作った創始者─ボンゴレ
響と特機部二の主要人にそう伝えるリボーン。
『ボンゴレファミリーの前身は自警団でな。その自警団を作ったのがジョットだったんだ。ジョットは気に入った人物は誰であろうと受け入れる人物で、初代ファミリーのメンバーは国王・ライバルマフィア・宗教家などなんでもありだったとされていて、実際に初代守護者メンバーには、幼馴染や御曹司、異国人、貴族、さらには秘密諜報部のトップなど、いろんな分野の人物が選ばれていたぞ』
そこで一度話を区切り、再びツナの方を向く。
『そしてジョットの容姿だが、残念なことにそこにいるツナと瓜二つだったらしいぞ』
「一言余計だ!」
『実はツナだけじゃなく、ツナの守護者達もジョットの守護者達と瓜二つでな。マフィア界では「初代ファミリーの再誕」と言われるくらいだぞ』
そこで翼と弦十郎があることに気付く。
「すまないリボーン君!ジョットの容姿について詳しく教えてくれないか!?」
『ああいいぞ。話によれば、顔はそこのダメツナと瓜二つで、髪は金髪、戦闘時はスーツの上に特殊なマントを羽織り、手甲に『Ⅰ』が刻まれたグローブをはめて戦っていたらしいぞ』
ジョットの容姿を聞いた弦十郎は、足りなかったピースがようやく見つかったような感覚になった。そしてツナの方を向く。
「綱吉くん…君は昨日、二年前のライブ会場でジョットに力を貸してもらったと言っていたな」
「は、はい…」
弦十郎の気迫に気圧され、素直に答えるツナ。ツナの返事を聞いた弦十郎は確信をつく。
「ということは、あの時ノイズを倒して、奏くんを助けてくれた青年は─綱吉くん、君だな?」
そう言う弦十郎。彼の目を見たツナはもう言い逃れ出来ないと理解し、真実を話す。
「…はい、そうです。あの時奏さんを助けたのは、ボンゴレの縦の時空軸の奇跡でジョットさんの体を貸してもらった俺です」
それを聞いた翼と弦十郎は安心したような、どこか悲しそうな顔をする。二人の顔を見たツナは、気になってはいたが今まで聞かなかったことを質問する。
「そういえば…奏さんは今、何処にいるんですか?」
その質問を聞いた翼は、歯を噛み締める。それを見たツナが嫌な予感を感じた直後、弦十郎が口を開く。
「…奏くんはあのあと、病院に送られたが…体の負担が大きく、今もまだ昏睡状態で病院に入院している」
それを聞いたツナは、あの時すぐにハイパーモードになれなかった自分の不甲斐なさを悔やむ。だが、次の言葉を聞いてその気持ちは吹き飛ぶこととなる。
「俺は君に感謝している。彼女はまだ昏睡状態だが、もしあの時君が彼女を助けていなかったら彼女は死んでいたかもしれない。それに、君が彼女を助けたときに着せたマントによって、彼女の体を蝕んでいた『LiNKER』と呼ばれるシンフォギアの制御薬が調和されて体の負担がだいぶ軽減された。お陰で手術も可能になったのだ─本当に、ありがとう!」
弦十郎はツナに感謝を伝え、頭を下げる。それを見たツナはまさか感謝されるとは思っておらず、固まってしまう。
その場が静まり返った。
数秒間沈黙が続き、了子が暗い雰囲気を打ち消すように声を上げる。
「さ、さぁ!暗い空気はここまでにして!響ちゃんのメディカルチェックの結果発表をしましょう!」
了子がそう言うと、スクリーンに画像が浮かび上がる。
「初体験の負荷は若干残ってるものの、体に異常はほぼ見られませんでした~!」
「ほぼ、ですか…」
「そうね、
そうして弦十郎達は聖遺物のこと、シンフォギアのことを説明する。
『なるほどな…昨日弦十郎が言ってた完全聖遺物ってのはつまるところ、言葉通り完全な状態の聖遺物ってことか。確かに説明どおりだと、7^3は聖遺物として扱われなくはないな』
リボーンは知らなかったふりをしてそう答える。
「─だからとて、どんな歌、誰の歌にも、聖遺物を起動させる力が備わっているわけではない!」
「翼さん…」
了子がシンフォギアのことを話した直後、今まで黙っていた翼が口を開く。静まり返るなか、ツナが翼の名前を呟く。すると弦十郎が立ち上がり響達に近づく。
「聖遺物を起動させ、シンフォギアを纏う歌を歌える僅かな人間を、我々は適合者と呼んでいる!それが、翼であり、君であるのだ!」
そう説明する弦十郎。その後、了子が質問はないか聞いてきて、響は全く理解できてないとこたえ、それに同感する特機部二の隊員。
その後了子が、自分が聖遺物からシンフォギアを作り出す技術である『櫻井理論』の提唱者であることだけでも覚えておくよう伝えたあと、響がなぜシンフォギアを使えたのかと質問すると、響の心臓付近に食い込んでいる破片が、奏の纏っていたシンフォギア『ガングニール』の破片であり、それがシンフォギアを起動させる鍵となったのではないかと言う。
(やっぱり、あの時の破片が…)
ツナは予想が当たり渋い顔をする。そんな時、了子の話を聞いた翼が、倒れそうになりながら部屋を出ていく。
「翼さん!」
ツナは翼のことが心配になり、あとを追った。
ツナが翼を追い部屋を出ると、彼女はすぐ近くの自販機の前でうなだれていた。
「翼さん…」
ツナが翼に話しかける。
「君は…「沢田綱吉です」そうか、沢田か…」
「あの…「君には感謝している…」え?」
「もし君があの時、奏を助けてくれていなかったら、奏は本当に死んでいたかもしれない…本当に感謝している…しているのだが…」
翼の言葉を聞いてなんとなく察するツナ。
「…もし、俺があの時、すぐにでも戦える状態だったら、奏さんは…!」
「…気に悔やむ必要はない。無理だったことはしょうがないからな…」
沈黙が訪れる。すると部屋から響が出てきて─
「私、戦います!なれない身ではありますが、がんばります!一緒に戦えればと思います!」
そう言って、握手するために手を前に出してくる。
そんな彼女を見た翼は、眉間に皺を寄せ、響から顔をそらす。そのことに響が戸惑っていると─
警報がなり始めた─
「ノイズの反応を確認!」
「本件を我々二課で預かることを一課に通達!」
ツナ・響・翼の三人が指令室にたどり着くと、すでに弦十郎達が対応していた。するとモニターにノイズ出現地点の座標が表示される。場所はリディアンから僅か200mしか離れていなかった。
「迎え撃ちます!」
翼がそう言って指令室を出ていく。それを見た響も現場に向かおうとする。
「待つんだ!君はまだ…」
「私の力が、誰かの助けになるんですよね!シンフォギアの力でないとノイズと戦うことが出来ないんですよね!?─だから行きます!」
「響!」
そう言って響も指令室を出ていく。そのあとをツナも追おうとする。
「綱吉くんも待つんだ!君からもまだちゃんと協力の確認を…」
「…響は、人助けが趣味でしてね…きっと、喜んで協力を受けてくれますよ」
そう言ってツナは振り返る。
「俺は、響が─親友が危ない場所で戦っているのを黙ってみていたくない!それに、もしあいつの身になにかあったら、未来に顔向け出来ない…そして何よりも俺自身を許せない!ここで黙って見ていたら─俺は死んでも死にきれない!」
そう伝えると、ツナは響のあとを追った。
「危険を承知で誰かのためになんて、あの子達、いい子ですね」
「ーー果たしてそうなのだろうか」
弦十郎はそこで一度話を区切る。
「響くんは、翼のように、幼い頃から鍛練を積んできた訳ではない…ついこないだまで、日常の中に身を置いていた少女が、『誰かの助けになる』だけで、命を懸けた戦いに赴けるというのは─それは、いびつなことではないだろうか…」
「つまり、あの子もまた私たちと同じ、こっち側ということね…」
「そして何より、綱吉くんだ…彼は大勢の人のためではなく、自分の親友のために戦場に赴いた。そして、彼の顔からは確固たる覚悟を感じた…戦場に赴くというのに、その覚悟に一切の揺るぎが見られなかった…恐らく、いくつもの修羅場を乗り越えてきたのだろう…あの若さで、彼は一体どれだけの修羅場を経験しているのだろうか…」
弦十郎の言葉に、指令室は静まり返った…
場所はノイズ発生地点に変わる。
避難誘導も行われ、そこには翼と大量のノイズが残っていた。遠くからは避難勧告が聞こえている。
ノイズは突如融合を始め、大型のノイズに変化する。翼はそれに怯まず、聖詠を歌う─
《Imyuteus amenohabakiri tron…》
翼の体にシンフォギアが換装される。
「
歌を歌いながらノイズに迫る─
ノイズの背から羽のようなものが飛んでくる。
「
それを回避するが、羽はブーメランのように向かってくる。それを脚部のブレードで切り裂き、ノイズの後方に着地する。それを追うようにノイズも振り返る。翼はアームドギアを大剣状に変化させる。
すると、シンフォギアを纏い、上空から降ってきた響がノイズに蹴りを入れる。
「翼さん!」
「っ!」
そして落下する響と入れ替わるように翼が高く飛ぶ。響は役に立って嬉しそうな顔をしていたが、それとは反対に翼の顔はどこか怒っているようだった…
落ちていく響を、ハイパーモードになったツナが回収する。
「ハアアア!」
『蒼ノ一閃』
翼の一撃は大型ノイズを真っ二つにし、ノイズは爆散した。
「翼さーん!」
ツナに下ろしてもらった響が、翼のもとに駆け寄る。その後ろからハイパーモードを解除したツナも来る。
「私、今は足手まといかもしれないけれど、一生懸命頑張ります!だから─私と一緒に戦ってください!」
「─そうね」
翼はそう呟くと、響に振り返る。
「あなたと私─戦いましょうか」
そう言って、翼は響に刀を向けた…
初めて10000文字越えたよ…やべぇ…