戦姫燈炎SYMPHOGEAR!   作:生粋の名無し

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なんとかできました。

オリ展開作りましたが、キャラ崩壊してないことを願いたい…


標的(ターゲット)13 悲しき運命を包む大空

「何故どうして? 広い世界の中で」

 

 煙が晴れ始めると、響達の目の前には、衝撃によって削れた地面と、壁の瓦礫に埋もれるクリスがいた。

 

(なんて無理筋な力の使い方をしやがるっ…この力、あの女の『絶唱』に匹敵しかねない…)

 

 するとクリスの身体に黒い筋がはしると同時に、ネフシュタンの鎧が再生を始める。

 

(食い破られるまでにかたをつけなければ…!)

 

 そしてクリスが響の方を向くと、彼女は歌いながらも構えをとき、目をつぶってただ立っていた。その後ろにいたツナも、多少警戒しつつも地面に降り、腕を下ろしクリスの方を見つめていた。

 

「お前ら…バカにしてんのか、あたしを!雪音クリスを!」

「─そっか、クリスちゃんっていうんだ」

 

 響はやっと目を開き、クリスの顔を見る。

 

「ねぇクリスちゃん…こんな戦い、もうやめようよ!ノイズと違って、私達は言葉を交わすことができる!ちゃんと話をすれば、きっと分かり合えるはず!─だって私達、同じ人間だよ?」

「─お前くせぇんだよ…嘘くせぇ…青くせぇ…!」

 

 そう言って響に襲いかかり、蹴り飛ばす。

 

「響!」

 

 クリスは再び蹴り飛ばそうとするが、それをツナが阻止する。

 

「邪魔すんじゃねぇ!」

 

 クリスはツナをおもいっきり殴る。それを両腕でガードし少し吹き飛ばされるも、すぐに空中で体制を整える。

 そして響を追撃しようとするが、侵食が進んでいることに気づき動きを止める。

 

「クリスちゃん…」

「吹っ飛べよ!アーマーパージだ!」

 

 クリスがそう叫ぶと、彼女が纏っていた鎧が吹き飛ぶ。

 

「グア!?」

「ツナ!」

 

 そしてツナにその一部がぶつかり吹き飛ばされる。破片が吹き飛んでいった方向にあった木はボロボロになり倒れる。

 

 

 

 

 

 

《Killiter Ichaival tron…》

 

 

 

 

 

 

「この歌って…」

「見せてやる、イチイバルの力だ!」

 

 クリスを光が包み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イチイバルだと!?」

 

 弦十郎がそう叫ぶと、モニターに『Ichii-Bal』という文字が出てくる。

 

「失われた第2号聖遺物までもが、渡っていたというのか…っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 響は風を両腕で防ぎ、すぐにクリスを見ると赤いシンフォギアを纏っていた。

 

「クリスちゃん、私達と同じ…」

「─歌わせたな…」

「え?」

「あたしに歌を歌わせたな!─教えてやる…あたしは歌が大っ嫌いだ!」

「歌が嫌い…?」

 

「傷ごとエグれば 忘れられるってことだろう?」

 

 クリスは歌い始め、弓型のアームドギアを手に取り響に向かって撃ってくる。

 響はその攻撃から逃げ回るも、先回りされたクリスに蹴り飛ばされる。

 そしてクリスはアームドギアを携行型の2連装ガトリングガンに形成し、銃口を響が飛んでいった方へ向ける。

 

BILLION MAIDEN

 

 両手に構えた2丁4門による一斉掃射を行う。響はギリギリで体制をたてなおし避けるが、周りの木々は無惨に倒れていく。

 クリスの攻撃は終わらない─

 ガトリングを撃ちながら、左右の腰部アーマーを展開し、内蔵の多連装射出器から追尾式小型ミサイルを一斉に発射する。

 

MEGA DETH PARTY

 

 そこらじゅうで爆発が起こり、クリスはガトリングを撃ち続ける。

 彼女が攻撃の手を止めると、目の前には火の海が広がっていた。そして息を整えながら響がどうなったか確認すると

 

 

 

 

 

 

「盾?」

「剣だ!」

 

 

 

 

 

 

 目の前には巨大な剣が地面に突き刺さっていた。

 クリスが上を見上げると、柄の先にまだ入院中であるはずの翼が立っていた。

 

「死に体でおねんねと聞いていたが、足手まといを庇いに現れたか?」

「…もうなにも、失うものかと決めたのだ!」

『─翼、無理はするな』

「…はいっ」

「翼さん…」

「気づいたか、立花!だが私も十全ではない─力を貸してほしい」

「─はい!」

 

 そう言って響が立ち上がると、クリスは再びガトリングを掃射してくる。

 

「慟哭に吠え立つ修羅 いっそ徒然と雫拭って」

 

 翼は歌いながら、クリスのもとに降りていき刀を振るう。それをよけたクリスがガトリングを構えるが、それをクリスごと軽々とかわし、切り払う。そしてクリスがしゃがみでよけると翼は彼女のアームドギアを柄で叩き怯ませる。クリスがすぐに体制を戻すと、すでに彼女の後ろに回っていた翼から刀を突き出される。

 

(この女、以前とは動きがまるで…っ)

「翼さん、その子は─」

「分かっている…っ」

 

「去りなさい!夢想に猛る鼓動 神楽の風に滅し散華せよ」

 

 クリスはガトリングで刀を弾き、互いに臨戦態勢にはいる。

 

(刃を交える敵じゃないと信じたい…それに、十年前に失われた第2号聖遺物のこともたださなければ…)

「そういえば沢田はどうした?」

「ツナはさっき、クリスちゃんが吹き飛ばした鎧の破片に巻き込まれてどこかに…」

「そうか…」

 

 クリスがアームドギアを構えた直後、上から鳥型のノイズが彼女のアームドギアを破壊する。

 そして最後の一匹がクリスに攻撃しようとするが、それを響が身を挺して防ぐ。

 

「立花!」

「お前なにやってんだよ!」

「ごめん…クリスちゃんに当たりそうだったから、つい…」

「─っ!バカにして!余計なお節介だ!」

「命じたこともできないなんて、あなたはどこまで私を失望させるのかしら…」

 

 声が聞こえ、翼は刀を構え、クリスはハッと顔を上げる。

 そして遠くを見ると、木の柵に腕をのせ、手に『ソロモンの杖』を持った女性、フィーネが立っていた。

 

「フィーネっ」

(フィーネ…終わりの名を持つもの…っ)

 

 クリスは顔を下げ、敵である自分のことを庇い傷ついた響を見て、翼の方に突き飛ばす。

 

「こんな奴がいなくったって、戦争の火種くらいあたし一人で消してやる!そうすれば、あんたの言うように、人は呪いから解放されて、バラバラになった世界はもとに戻るんだろ!?」

 

 翼が響を受け止める。そしてクリスの話を聞いたフィーネはため息をつく。

 

「ハァ…もうあなたに用はないわ」

「─な、なんだよ!それ!」

 

 フィーネがそう呟くと、右手が光だし、新たなノイズが作られる。そして、そのノイズ達は翼達だけではなく、クリスにも襲いかかった。翼は響を庇いつつもノイズを対処するが、クリスは放心したままだった。そんな彼女に無慈悲にも襲いかかる…が

 

「ふざけるな!」

 

 さっきまでどこかに吹き飛ばされていたツナが急に現れ、クリスに襲いかかっているノイズを一撃で倒す。

 

「使えなくなったらその場で切り捨てる…そんなのは間違ってる!彼女は一人の人間だ!お前の道具じゃないんだぞ!」

 

 ツナはそう訴えるが、フィーネはそれを無視し夕日に消えていく。

 

「待て!」

 

 ツナはフィーネの後を追おうとするが、ノイズ達に邪魔され見失ってしまう。

 その場にいたノイズを倒しきったときには、いつの間にかクリスもいなくなっていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(奏がなんのために戦って来たのか、今なら少し分かる気がする…)

 

 翼は本部に向かうエレベーターで一人考えていた。

 

(だけど、それを理解するのは正直怖い…人の身ならざる私に、受け入れられるのだろうか…)

「自分で人間に戻ればいい、それだけの話じゃないか。いつもいってるだろ?あんまりガチガチだとポッキリだって─なんてまた、意地悪をいわれそうだ…それに」

『何が『防人』だ!何が『剣』だ!そんなの間違ってる!…あなたは、ただの人間じゃないか!』

「沢田にも、そう言われたしな…」

 

 そう呟きながらエレベーターを降りる。

 

(だが今さら、戻ったところで何が出来るというのだ…)

「いや…なにをしていいのかすら、分からないではないか…」

『好きなことすればいいんじゃねぇの?簡単だろ?』

 

 声が聞こえ振り向くが、そこには誰もいない。

 

(好きなこと…もうずっとそんなことを考えていない気がする─遠い昔、私にも夢中になったものがあったはずなんだが…)

 

 翼は静かな廊下を歩いていく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 特機部二の指令室では、イチイバルのことや雪音クリスのこと等について話していた。

 そこに、先ほどまで検査を受けていた響と、翼と了子が入ってきた。

 

「響、翼さん!どこか、怪我したところはない!?」

「大丈夫だよ、ただの過労だって…」

「私も本調子というわけではないが、傷は直っている方だ」

 

 二人よりも先に指令室に来ていたツナは二人の心配をする。

 

「それよりも、ツナの方は大丈夫なの?吹き飛ばされていってたけど…」

「いや、まあ…あれよりも酷いめにあったことがあるからましというか…ア、アハハ…」

「本当にお前は、元の世界でどんな生活をしていたんだ…」

 

 響は逆にツナのことを心配し、翼はツナの言葉を聞いてあきれ果てる。

 

「翼!…全く、無茶しやがって…」

「…独断については謝ります。ですが、仲間の危機に臥せっているなどできませんでした!」

 

 それを聞いた響が翼の方を向く。

 

「立花は未熟な戦士です。半人前ではありますが、戦士に相違ないと、確信しています!」

「翼さん…」

「─完璧には遠いが、立花の援護ぐらいなら、戦場に立てるかもな」

「…っ!私、頑張ります!」

「─俺としては、翼さんには本調子になるまで休んでいてほしいし、出来れば翼さんだけでなく、響にも戦ってほしくないんですけどね…」

 

 そうツナが呟くと、翼が彼の方を見る。

 

「沢田…その気持ちはありがたいが、ノイズを倒すことが出来るのは私達が纏うシンフォギアと、君の持つ死ぬ気の炎だけだ。沢田がどれほどの死線を越えてきたといえど、君一人だけで全てのノイズ達を対処することは出来ないことぐらい、君でも分かるだろう?」

「でもっ」

「沢田、お前は優しすぎる。その優しさ─甘さは、戦士としては立花より未熟だ。…だが、それが沢田の個性なのだろう。そしてお前の覚悟は、戦士としては未熟だが、人々を守る存在としては立派な覚悟だ」

「翼さん…」

 

 ツナは眉間にシワを寄せながら下を向く。

 

「響くんのメディカルチェックも気になるところだが…」

「ご飯を一杯食べて、ぐっすり眠れば元気回復です!」

 

 だが、そんな響の言葉を聞いて、いつもと変わらない彼女につい吹き出してしまう。

 

「なんで笑うの~!」

「アハハ、いや、ごめん…響らしい答えだったからつい…でも、お陰で少し吹っ切れたよ。ありがとう」

 

 そして響に笑顔を見せた。すると了子がいきなり響の胸をつつく。

 

「のあぁぁ!?何てことを!?」

「んなー!?何してるんですか!?」

「響ちゃんの心臓にあるガングニールの破片が、前より体組織と融合してるみたいなの。驚異的なエネルギーと回復力は、そのせいかもね」

「融合…ですか?」

 

 了子の突然の行動に驚く二人だが、了子の話を聞いたツナは危機感を覚える。

 

(融合ということは、響が聖遺物と一体化し始めているということ…それはとても危険な状態なんじゃないのか…?)

 

 了子はただの可能性だというが、それでも不安を拭いきれないツナ。ふと視線をずらすと、翼も彼と同じようなことを考えているのか、響を見つめて考え込んでいるように見えた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 太陽もすでに沈みきり、街灯がすでについている公園を一人、クリスが歩いていた。彼女はあの後、すぐにフィーネが住んでいた建物に行ったが、そこで殺されそうになりこんなところまで逃げてきていた。

 

「何でだよ…フィーネ」

『ちゃんと話しをすれば、きっと分かり合えるはず!だって私達、同じ人間だよ!?』

 

 響の言葉を思いだし、足を止める。

 

「あいつ…クソッ!」

(あたしの目的は、戦いの意思と力を持つ人間を叩き潰し、戦争の火種をなくすことなんだっ…だけど…)

 

 右手を胸の前で握りしめ、物思いに耽ているといると

 

「ねぇ君!」

 

 後ろから声をかけられ振り向くと、顔は暗くてよく分からないが、ツンツンした髪の少年がこちらに向かってきていた…

 

 

 

 

 

 

「今日も遅くなっちゃったなぁ、セレナ怒ってるかな?…それにしても…響の身に、なにもなければいいんだけど…」

 

 ツナは先ほどの話から、響のことを心配しながら同居人が待つ家に帰っている途中だった。そして、とある公園の前を通りすぎようとすると

 

「ん、誰かいる…こんな時間になにやってんだろう?」

 

 公園内に一人の誰かがいるのを見つけ、立ち止まる。顔は遠くてよく見えないが、服装から女性だと考えられる。

 するとツナは、なぜだかその少女のことを放っておいてはいけない気がして…

 

「ねぇ君!」

 

 その少女のもとに駆け寄っていった。

 

「誰だてめぇ?」

「君、こんな時間に何してるの?」

「うっせぇ、てめぇには関係ねぇだろ…」

「でも、こんな時間に女の子が暗い公園を歩いてるってのも不安だからさ…」

 

 そう言いながら、ツナはその少女に近づいていく。そして街灯によってツナの顔が照らされ、ツナも少女の顔がちゃんと見えるぐらいの距離まで近づき、互いに互いの顔をはっきり視認できるようになると

 

「っ!?お前は!」

 

 ツナの顔を見た瞬間、少女は警戒体制にはいる。ツナはいきなり敵意を向けられて一瞬困惑するが、少女の顔をよく見て正体に気づく。

 

「君はたしか─雪音クリス、だよね?第2号聖遺物『イチイバル』の装者の」

「なんでてめぇがこんなところにいやがる!」

「いや、その…ただ家に帰ろうとしてたら君を見かけて…」

 

 どうにかしてクリスの警戒を解こうとするツナ。すると、遠くから女の子の泣き声が聞こえツナが奥の方を向く。クリスにもその声が聞こえ、警戒を解きツナと同じく声の方を見ると

 

「うぇぇん!」

「泣くなよ!泣いたってどうしようもないんだぞ!」

 

 ベンチに座って泣いている女の子と、その少女に声をかけている少年がいた。ツナとクリスがその二人のもとに近寄る。

 

「だって、だってぇ…!」

「おいこら!弱いものをいじめてんじゃ「ちょっと待ってクリス」あ?」

 

 二人を見たクリスが、少年が少女をいじめているものだと思い注意しようとすると、ツナに止められる。

 そしてツナは二人のもとに近付き、少ししゃがんで目線を少女達と同じ高さにする。

 

「どうしたの?こんなところで泣いちゃって…」

 

 ツナは優しく少女に話しかける。

 

「お父さんが、どっか行っちゃって…」

「そっか、親とはぐれちゃったんだね…」

 

 少女は泣きながらも、ツナに親とはぐれたと話した。それを聞いたツナは少女の頭を優しく撫でる。

 

「君は、この女の子のお兄ちゃんなのかな?」

「そ、そうだけど…」

「それじゃあ今さっきのは、兄として妹を頑張って励まそうとしてたんだな。君も親と離ればなれになって辛いはずなのに…泣かないでよく頑張ったな、偉いぞお兄ちゃん!」

 

 ツナはそう言って少年の頭をポンポンと叩く。すると我慢できなくなったのか、その少年も泣き出してしまった。その事に動揺しながらも、宥めるように二人の頭を優しく撫でていると

 

「ガウッ!」

「ナッツ?」

 

 彼がつけていたリングから、(ボックス)アニマルーー『大空ライオン(レオネ・ディ・チェーリ)』であるナッツが現れる。

 

「あ!猫さんだ!」

 

 先ほどまで泣いていた少女が笑顔を見せながらナッツにさわろうとするが、ナッツはツナの後ろに隠れてしまう。

 

「ごめんね、こいつ俺に似て臆病だからさ…ナッツ、少しの間我慢してくれないか?」

「ガゥ…」

 

 ツナがそう言うと、ナッツは少し怯えながらも少女の膝の上に乗る。

 

「これ、なんか燃えてるけどたてがみ?てことはこいつライオン!?」

「よく分かったね。一応こいつライオンなんだ。たてがみは燃えてるように見えるけど全然熱くないよ」

「「ホントだ!熱く「ない」「ねえ」!」」

 

 ツナが説明している間も少女達はナッツをなで回す。いつの間にか、二人の顔には笑顔が戻っていた。

 

「よし!二人とも元気になったことだし、君たちの親を探しに行こうか!」

 

 そう言ってツナが立ち上がる。

 

「クリスも手伝ってくれないかな?」

「はぁ!?なんであたしが…」

「二人とも、お父さんの顔は覚えてる?」

「「うん!」」

「そっか!じゃあ妹ちゃんの方は俺がおんぶするから、クリスはお兄ちゃんの方、お願い!」

「ちょっとおい!無視すんな!」

 

 そう言いつつも、クリスは少年の手を握り、少女をおんぶしているツナの隣を歩きながら二人の親を探し始めた。

 

 

 

 

 

 

「…あんた、ガキあやすのうまいんだな」

「元の世界で、居候してる三人の子供の相手させられてたから、自然と身に付いたっていうか…」

 

 クリスとツナはそんな話をする。少女達はナッツに夢中で二人の会話は一切耳に入っていないようだ。

 

「じゃああんたは、フィーネが言ってた通り、本当に別の世界から来たって訳か…」

「まあね…(俺のことを知ってたってことはやっぱり、特機部二の誰かが…多分、あの人が『フィーネ』…でも…)」

 

 クリスの一言で、フィーネの正体に気づくが、出来ればそうでないことを信じたいと思うツナ。そんなことを考えながら街中を歩いていると

 

「~♪」

 

 クリスが鼻歌を歌っていることに気がつく。少女達もそれに気づき三人でクリスを見ていると、クリスがその視線に気づく。

 

「な、なんだよ…」

「お姉ちゃん、歌好きなの?」

「…歌なんて大嫌いだ…特に、壊すことしか出来ないあたしの歌はな…」

 

 クリスがそう呟く。

 

「でも、無意識のうちに歌っちゃうってことは、本当は好きなんじゃないかな?それに、さっきのクリスの鼻歌綺麗だったし、俺は好きだな」

「はぁ!?」

 

 だがツナの言葉を聞いたとたんに顔を真っ赤にする。そんな彼女を見て自分がいったことに気づいたツナも顔を赤くし慌てていると…

 

「父ちゃん!」

 

 交番の方から少女達の父親が向かってくる。

 

「すみません、ご迷惑をおかけしました」

「いや、成り行きだから、その…」

「別に迷惑だなんて思ってませんでしたから。ただ、こんな時間に子供二人で公園にいるっていうのが不安だっただけなので」

 

 父親は子供達にお礼をいわせ、家に帰っていった。

 

「さて、用はすんだしあたしは…」

「…ねぇクリス」

 

 親子を見送った後、その場から立ち去ろうとするクリスをツナが止める。

 

「なんだよ、まだあたしに用があんのか?」

「クリス、この後どこに泊まるつもりなの?」

「寝床なんて、そこら辺の公園の遊具の中で十分だろ」

 

 そう言ってクリスは歩みを進める。

 

「─なら、家に来ない?」

「…はぁ?」

「いや、外で寝泊まりするっていうのはちょっと心配だからさ…それに、明日は雨が降りそうな気がするし─俺、居候が増えるのには慣れてるから」

「そんなことはどうでもいい…なんで少し前まで敵だったあたしをそんなに心配するんだ?」

 

 それを聞いたツナは少し考える。

 

「えっと…なんだか、放っておけない気がして…」

「なんだよそれ?」

「それに…君を見てると、どこか悲しそうに見えたから…」

 

 そう言って眉間にシワを寄せ心配そうな顔でクリスを見つめる。その一言と表情に一瞬怯むクリス。

 

「─あぁもう!分かったよ、今夜だけはお前の家に行ってやる!」

 

 ついにクリスが折れ、ツナの家に来ることを受け入れる。

 

「別に、住む場所が見つかるまでいてくれてもいいよ。ただし、住む場所はちゃんとした建物の中じゃなきゃダメだけど」

「あぁはいはい、分かった分かった!」

 

 ツナの話にうんざりしながら家に向かう彼の後をおうクリス。

 

「そういやお前、今さっき居候がどうのこうのて言ってたが、他にも誰か住んでんのか?」

「うん、まぁね…」

 

 そんな会話をしながら歩いていると、ツナの家についた。

 

「ただいまー」

「お帰りなさい!今日も遅かったですね」

 

 ツナが玄関の鍵を開け中に入ると、その後ろからクリスも入ってくる。すると奥の方からセレナが顔を見せ、ツナに近寄る。

 

「あれ?あなたは…」

 

 そしてツナの後ろにいたクリスに気づくと、何かを察したのか、ツナの顔を見る。

 

「訳アリですか?」

「うん、まぁ…」

「分かりました。なら、まだご飯作ってなかったので三人分作りますね!」

 

 そう言ってセレナは台所に向かった。

 

「…あいつも訳アリってことか」

「アハハ…」

 

 ツナは苦笑いしながら、クリスを連れてリビングに向かった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お風呂、上がりましたよ」

「じゃあ、最後は俺が入るね」

 

 ツナ達がリビングに向かい自己紹介をすませた後、クリスは晩御飯をご馳走されるだけでなく、風呂にも一番で入らせてもらっていた。そして現在、ちょうどセレナが風呂から上がり、ツナが風呂場に向かっていった。

 

「ツナさんのお母さんの服、少し残しておいて正解でした。私のじゃクリスさん、きつそうですから…」

「なんか、すまねぇ…」

 

 テラスで涼んでいるクリスの隣に座り、胸元に手を置き顔に影を落とすセレナ。そんな彼女にクリスが謝る。

 

「…なぁおま「セレナです」…セレナは、なんでここに住んでんだ?」

「…私は二年前、とある研究所の事件で瓦礫に潰されかけたところを、ツナさんに助けられました。ですが、私のいた研究施設は、少し非人道的なこともしていて…もし私が生きていることが知られたらどうなるか分からないし…そんなこんなで行く宛もなかった私にツナさんが、『ここに住まないか』と言ってくれたんです」

「それで、おま…セレナはそれに賛成して、偽名まで使ってここに住んでるって訳か…」

 

 そう呟くと夜空を見上げる。

 

「とことん甘すぎるな、あいつは…」

「でもそれは、ツナさんがそれだけ優しいからですよ」

 

 そう言ってセレナも空を見上げる。

 

「ツナさんは、本当は誰とも戦いたくない…誰も傷つけたくない人なんです」

「ならなぜ、あいつは戦場に出てきてやがるんだ?」

 

 セレナを横目にそう問いかける。

 

「それは響さんが─ツナさんの友達が、戦場に向かうからです。ツナさんは自分の力を、自分の仲間や家族、そしてなんでもない日常を守るために使っています。だから、戦場に向かう響さんを守るために、自分も戦ってるんです」

 

 セレナは一度目を閉じる。

 

「本音は、戦おうとする響さんを止めたいんでしょうけど、ツナさんは、相手が揺らがない覚悟をもっていたら、その人の意思を尊重する人ですから…」

「なんでそこまでして止めようとするんだ?友人といえど、所詮は他人だろ?」

「─それは、ツナさんにとって、仲間や家族、友人、そしてその人達と過ごした時間は、いいことも悪いことも全て宝物のように大事だからです」

「風呂上がったよー…二人ともなに話してたの?」

 

 セレナが話し終わった直後、タイミングを見計らったようにツナが現れる。セレナはそんな彼にただの世間話だと話し、クリスをつれて寝室に向かっていった…




うーん…なんとかクリスにフラグが立つイベント作らなければ…

追記(2020年12月22日)

誤字報告ありがとうございます!
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