辺りが暗くなるなか、ツナと響達がリディアンにつくと、校舎や広場はボロボロになっていた。
「未来…未来ー!皆ー!」
響が叫ぶがなにも戻ってこない。響は足の力が抜けたように座り込む。
「リディアンが─っ!」
翼が気配を感じ上を見ると、壊れた校舎の屋上に了子が立っていた。
「櫻井女史…?」
「フィーネっ!お前の仕業か!」
クリスがそう叫ぶと、了子が笑い出す。
「やっぱり、あなたがフィーネだったんだ…っ!」
「やはり、あなたは気づいていたようね…本当にすごい力ね、あなたの超直感とやらは」
了子はそういって眼鏡をはずし、髪をほどくと光に包まれる。そして了子の姿が変化し、ネフシュタンの鎧を纏ったフィーネに変貌する。
「嘘ですよね…?そんなの嘘ですよね!?だって了子さん、私を守ってくれました!」
「あれはデュランダルを守っただけのこと…希少な完全状態の聖遺物だからね」
「嘘ですよ…了子さんがフィーネというのなら、じゃあ、本当の了子さんは?」
「櫻井了子の肉体は、先だって食いつくされた…いや、意識は12年前に死んだといっていい」
フィーネは自分の正体、そしてどうして覚醒したのかについて話す。
『つまり、本来その身にいたはずの櫻井了子の意識を食らって、
「乗っ取るだなんて下品な言われ方されたくないわ…塗り潰した、とでも言ってくれないかしら?」
「あなたが、了子さんを塗りつぶして…」
「まるで、過去からよみがえる亡霊…!」
それを聞いたフィーネは笑いだし、これまで歴史上で起こった技術の大きな転換期に立ち会った全ての人物が
「シンフォギアシステム!」
「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための、副次品にすぎぬ」
「お前の戯れに、奏は命を散らせようとしたのか!」
「あたしを拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのも、そいつが理由かよ!」
「そう!全てはカ・ディンギルのため!」
すると、地面から巨大な塔が現れる。
「あの模様、エレベーターを降りてる時に見た…!」
(あの時感じた嫌な予感は、この事だったのか!)
「これこそが、地より屹立し、天にも届く一撃を放つ荷電粒子砲─『カ・ディンギル』!」
「こいつで、バラバラになった世界が一つになると!?」
「あぁ、今宵の月を穿つことによってな!」
「月を!?」
『それで月を破壊し、全ての人間の言語を統一化させようって訳か…』
「獄寺くん!」
ヘッドフォンから、獄寺が写し出される。
『先ほどカ・ディンギルについては話しましたが、バベルの塔については話していませんでしたよね…バベルの塔は、旧約聖書の「創世記」中に登場する巨大な塔で、人間が神に挑戦するために建てた塔と言われていますが、聖書のとあるページには、神が降臨してバベルの塔を見ると「人間は言葉が同じなため、このようなことを始めた。人々の言語を乱し、通じない違う言葉を話させるようにしよう」と言った、という意味の言葉が書かれていて、「人類が塔をつくり神に挑戦しようとしたので、神は塔を崩した」という解釈が一般に流布しています』
獄寺はカ・ディンギルの方を向く。
『その話から考えるに、そちらの世界の人間は過去に一度、バベルの塔を作ろうとしたが、それを神に破壊された挙げ句、呪いによって共通言語が封印され人々の言語がバラバラになったんでしょう。そして呪いを解くとする場合、呪いである「バラル」の源は、10代目達が天を見上げたらある存在─月だということです!』
「あら、賢いのね?…そうよ。あなたの言う通り、月こそが『バラル』の呪詛の象徴…あのお方の怒りを買い、雷帝に塔が砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる…果てしなき罰、『バラル』の呪詛をかけられてしまったのだ…私はただ、あのお方と並びたかった…そのために、あのお方へと届く塔を建てようとした…だがあのお方は、人の身が同じ高みになることを、許しはしなかった」
フィーネが月を見上げる。
「人類の相互理解を妨げるこの呪いを、月を破壊することで解いてくれる!そして再び、世界を一つに束ねる…!」
カ・ディンギルにエネルギーがチャージされ始める。
「呪いを解く…?それは、お前が世界を支配するってことなのか!?…安い、安さが爆発しすぎてる!」
「永遠を生きる私が、余人に歩みを止められるなどあり得ぬ」
「─それは、試してみないと分からないぜ?」
三人が振り向くと、ツナはすでにハイパーモードになり、臨戦態勢になっていた。
《Balwisyall Nescell gungnir tron…》
《Imyuteus amenohabakiri tron…》
《Killiter Ichaival tron…》
響達もシンフォギアを纏い臨戦態勢に入る。
「死ぬ気でお前を止める!」
「やれるものならな!」
「疑問…?愚問!衝動インスパイア 6感で感じてみな」
四人はフィーネに向かっていく。
未来は現在、とある部屋に避難していた。
部屋のなかには、彼女のクラスメートである安藤創世、寺島詩織、板場弓美の三人と、藤尭、友里、そしてフィーネと戦った際に怪我をした弦十郎がいた。
「モニターの再接続完了!こちらから操作できそうです!」
モニターには、カ・ディンギルと、フィーネと戦っているツナ達の姿が映された。
「響、ツナ!それに、あの時のクリスも…」
未来のクラスメート三人が響が戦っていることに驚いていると、フィーネが写し出される。
「これが…」
「了子さん…?」
弦十郎から話を聞いていた二人は了子の正体に声をなくす。
「どうなってんの…?こんなのまるでアニメじゃない…っ」
「ヒナ(小日向)はビッキー(響)のこと知ってたの?」
「…ごめん」
未来は顔を伏せながら謝った…
「うぉぉぉ!」
『MEGA DETH PARTY』
クリスが大量のミサイルを放つが、フィーネはそれを鞭の一振りで撃墜する。
煙の中から響と翼が現れ、響が攻撃を仕掛けるがかわされ、翼は刀で斬りかかるが防がれ、逆に刀を絡めとられ遠くに投げられる。
翼はフィーネの攻撃をかわし脚部の刃で斬りかかるが、それも鞭で防がれる。すると、フィーネの横に響が現れ殴りかかる。
フィーネはそれを腕で防ぎ後ろに下がる。
「オレのことも忘れるな」
するとフィーネの真後ろにツナが現れ手刀を当てようとしてくる。
フィーネはそれをギリギリでかわすが、ツナは一瞬でフィーネの目の前に移動し全力で殴り付ける。フィーネはそれを何とか両腕で防ぐが、後ろに吹き飛ばされる。
「本命は、こっちだ!」
そういってクリスが大型ミサイルを放つ。だが、フィーネはそのミサイルを巧みに避けていく。
「スナイプ─デストロイ!」
クリスは残ったもう一つをカ・ディンギルに向け撃ち放つ。
「させるか!」
フィーネはカ・ディンギルに向かっていたミサイルを鞭で撃墜する。だが、それと同時にもう一つのミサイルを見失う。
「もう一発は─っ!」
フィーネが上を見上げると、もう一つのミサイルはクリスがしがみつき、空高く上っていた。
「「クリス!?」ちゃん!?」
「何のつもりだ!」
「チッ…だが、足掻いたところで所詮は玩具!カ・ディンギルの発射を止めることなど…!」
《Gatrandis babel ziggurat edenal─》
空からクリスの歌声が聞こえた。
「これは、まさか!」
「絶唱!?」
「クリス!」
ツナはすぐにクリスのあとを追い飛んでいく。
クリスがミサイルから離れると、腰部アーマーからエネルギーリフレクターを展開される。そしてクリスが二丁の銃型のアームドギアを出し左右に撃つと、弾がリフレクターによって反射・増幅していく。そして両手に持っていたアームドギアをつき出すと、大型レーザー砲に変形させエネルギーを収束させていく。
そしてカ・ディンギルが放たれると同時にクリスもレーザー砲を放つ。
「グアッ!」
ツナは二つの強力なエネルギーのぶつかり合いによる衝撃で地上に向けて吹き飛ばされる。
「一点収束!?押し止めているだと!」
これにはフィーネも驚くが、一時するとクリスのアームドギアにヒビが入り始める。
(ずっとあたしは、パパとママのことが─大好きだった!だから、二人の夢を引き継ぐんだ!)
そしてついにはシンフォギアのアーマーにもヒビが入る。
(パパとママの代わりに、歌で平和を掴んで見せる!)
均衡していた二つのエネルギーも、カ・ディンギルが徐々にクリスのレーザーを押し縮めていく。
(あたしの歌は、そのために─)
「クリスー!!」
そしてクリスは、カ・ディンギルの光に飲み込まれる。
カ・ディンギルのレーザーはそのまま月まで届いたが、一部を破壊するだけにとどまった。
「し損ねた!?わずかに逸らされただと!?」
フィーネがまたもや驚くなか、クリスが地上に落ちてくる。
ツナは、すぐに空中でクリスを抱きかかえた。クリスの体はボロボロになり、口から血を流し眠るように目を閉じていた。
二人の叫びが、ボロボロになったリディアンに響き渡った…
うわー…何か今回、今まで書いた回の中で一番文字数少ない気がする。