戦姫燈炎SYMPHOGEAR!   作:生粋の名無し

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前回がだいぶ隙間が空いたから今回も更に空くだろうなと思ってたら逆に早くできちゃった。
驚きますよね?自分が一番驚いてます。


ツナの過去(10年後編):③

『あの…一つ聞いていいですか?』

 

 獄寺達と分かれ、ラルと共に京子の捜索に向かう途中、ツナがラルに問いかける。

 

『もし…もし京子ちゃんが捕まってたら─オレ!どうすれば!?』

「ツナ、必死だね…」

「そりゃ、自分の好きなやつが危険な場所に出向いちまってんだ。慌てるのもしょうがねぇだろうよ…」

『修行の足りぬ現段階で敵と戦うべきではない…だがお前が戦おうとするのなら…恐らくオレは止められない…『?』だかこれだけは守れ』

 

─必ず指にリングをつけてハイパー化するんだ─

 

 地上に出たツナ達だが、ツナは怪我のこともあり、近くの公園に隠れ、ラルはステルスリングを用いて情報収集を行っていた。

 

『やはり笹川の妹はまだ捕まっていないようだ』

『本当ですか!?よかったー!!』

 

 情報収集から戻ってきたラルの報告に安堵するツナ。

 

『だが、これほどの監視の中、見つかっていないとすると一体…《バチバチ!》隠れろ!!』

 

 ラルが独り考え込んでいると、遠くから物音が聞こえ、すぐにツナをつれて木の下に隠れる。

 その直後、ツナ達の上空を何者かが通りすぎていった。

 

γ(ガンマ)だ!!』

『あ…あれが?』

『何か見つけたのか?あの方向…(!!まさか…!!)』

「えっと、今γさんが向かった方向には…」

「…まずい、獄寺達が向かった並盛神社がある!!」

 

 翼がγが向かった先にあるものに気付き声をあげる。

 その事にラルも気づいたようで、すぐさまツナに伝える。

 

『ええ!?γって人が獄寺君と山本の所に!?』

『あの方向には神社以外主要な施設はない…』

『じゃあ敵に見っかったの!!?やばいよどーしよう!!』

「すぐに助けに行かねぇと…!」

『こう敵の目が多くては助けにいくのは不可能だ『「!」』それに、たとえオレ達がかけつけて4対1となっても、今のオレ達の戦闘力でγに勝てるかどうか…』

『そ…そんなに強いの!?獄寺君…!!山本!!』

「クッ!ただ見ているしかできないことがもどかしい!」

 

 ツナ達は急いで並盛神社に向かおうとするが、至るところにブラックスペルの兵士達がいるせいで、急ごうにも目立つ動きをすることができずにいた。それに、当初の目的である京子の捜索も終わっていない。

 

『このルートも使えそうにないな』

『どーしよー!これじゃ京子ちゃんを探せない…獄寺君達もやばいってのに!』

「せめて、京子ちゃんだけでも見つけることができたら…」

 

 慌てるツナの姿を見て未来がそう呟いた直後、ツナの頭に小さな物体があてられた。ツナはそれがすぐ近くの家の二階から投げられたことに気付き、その家の表札を確認する。

 

『黒川!?あ!!もしかして黒川花!?』

「また新しい人物の名が出たな…」

「黒川はツナ達と同じ並盛中出身の京子の親友だ。しっかり者で、ツナをダメツナと呼ぶ一人だが、ツナが京子に惚れていることに早くから勘づいていて、ツナをからかいつつも、京子との関係を優しく見守ってくれいてるぞ。あと、この世界の黒川はボンゴレの存在を知っているが、あいつは本来ならマフィアに関わらない側で、好みの男性は年上の男だからツナにはそういった感情を持っていない。だから落ち着け、立花、小日向」

 

 黒川について説明しながら、新しい女性が出てきたことに警戒を露にする響と未来をなだめるリボーン。

 

「ていうかおい!黒川って奴の隣にいるのって…!」

『京子ちゃんもいる!』

「よかった!京子ちゃん、無事みたい!」

「なるほど…今まで見つからなかったのは、彼女がいち早く笹川妹を見つけ、家にかくまっていたからか」

『笹川の妹が敵に未だ見つからない理由が分かったな』

『う…うん!』

 

 その後、ツナは京子達にヒバードのことを伝え、黒川に京子のことを任せて並盛神社に向かった。

 

『大丈夫かな、獄寺君と山本…もっと広い通りから神社に行ければ…』

「これまで沢田達が通ろうとしていた道には全てブラックスペルの兵士がいた…この道が、すぐに並盛神社へ向かえる最後の道のはずだ。もしここにもブラックスペルがいたのなら…」

『どうです?』

『この道も敵でふさがれている。やはり、大きく迂回するしかないな』

『そんな…』

「クッ…やはりダメだったか…」

 

 その後、ツナ達はブラックスペルを掻い潜りながら森を通って遠回りし、並盛神社まであと1km程となったところで、神社がある方向に煙がたっていることに気がつく。

 

『煙だ!!煙が出てる!!』

『…やはりγは獄寺達の所へ…』

「そんな…!」

【頼む…!!無事でいてくれ!!】

 

 ツナ達は急いで並盛神社に向かう。そして、ついに並盛神社にたどり着いたツナ達が目にしたのは…

 

『あれは!!』

「針だらけの、巨大な球?が浮かんでる!?」

「いや、よく見ると動物が引っ付いている。恐らく(ボックス)アニマルだ。そして、所々に浮かんでいる物体の形は雲…雲属性のハリネズミ、か?」

「てかおい!あそこに刺さってるブラックスペル!あいつがγって奴じゃねぇのか!?」

『遅すぎるよ君達』

「ねえ!あのスーツの人ってもしかして…!」

 

 未来が指を指した男性は、雲を足場にして駆け上がり、針に刺さっていたブラックスペル─γを、死ぬ気の炎を纏わせた棒状の武器─トンファーでかち上げた。

 トンファーによる一撃をもろに食らったγはそのまま地面に落下し、気絶。γを倒した男性は、地面に着地すると、球針態で浮かんでいた雲ハリネズミ(ポルコスピーノ・ヌーヴェラ)を匣に収納させた。

 

『雷のリングはいらないな』

『あ…あれって…!!』

『何してたんだい?沢田綱吉』

『ヒバリさん!!』

「あれが、雲雀さん…」

「彼が、沢田の守護者の中で最も強い男か…」

『山本武と獄寺隼人はその林の中だ』

『えっ!?』

 

 雲雀の言葉に驚くツナ。すぐに雲雀が言っていた場所に向かうと、そこには全身傷だらけになり、地面に倒れ混む二人の姿があった。

 

「ひどい…!」

「いくらこいつらが匣を使った戦闘経験が少なかったと言っても、たった一人でここまで追いやるとか…γって奴、どんだけ強かったんだよ!?」

「そして、そのγをたった一人で倒した雲雀という男も、相当な強者…最強の守護者というのは伊達ではないようだ」

『獄寺君!!山本!!』

『大丈夫、命に別状はありません』

『あっ!あなたは…』

『草壁哲矢。雲雀の部下です』

「高校では、雲雀が率いる風紀委員の副委員長だ」

「何でリーゼント…?」

「草壁だけじゃなく、風紀委員のメンバーは全員リーゼントだぞ」

「リーゼントヘアーの風紀委員って、何か矛盾してるような…?」

『とはいえ、すぐに治療は必要だ…アジトへ運びましょう』

「そ、そうだった!急いでアジトに戻らないと!」

『待て…負傷者もいる。今、彼らを抱えあの距離を引き返しハッチに戻るのは危険だ』

『その心配はいりません。我々の出入り口を使えば』

「我々の出入り口…だと?」

 

 翼が草壁の発言に訝しげていると、雲雀がリングをはめ、神社に向かいおもむろに歩きだす。すると、どこからか重いものが動くような音が聞こえ、雲雀が神社の灯籠の中に消えていった。

 

『きっ消えた!!』

「え!?嘘、どういうこと!?」

「恐らく、何らかの方法で隠蔽している隠し扉だろう…確か、霧の炎が構築だったはず…その力で隠しているのではないか?」

『ただ、このまま立ち去るには一つ問題が残っています─雨と嵐のボンゴレリングだ。敵のレーダーに映っているでしょう…ここで反応を消すわけにはいかない』

「なるほどな…もしここでリングの反応を消しちまったら、この神社(隠し扉)の存在がバレちまうかも知れねぇからな」

『わかった。その仕事はオレが引き受けよう』

 

 ラルはそういって二つのボンゴレリングを預かると、その場から離れていき、ツナと草壁は獄寺達を背負って隠し扉を通り雲雀達の隠れ家に入っていった。

 

「…凄い『和』が濃い所だね…」

 

 未来が辺りを見渡してそう呟く。その感想もしょうがない。今、ツナ達が通っている通路は、右手に障子、左手に丸窓、そして天井には満月と燕、そして雲が描かれた絵が下がっており、『和』で満ち溢れた通になっているのだから。

 

『やはり私が2人背負いましょうか?』

 

 そんな『THE・和』な通路を歩きながら、草壁が怪我をしているツナを気遣うように話しかける。

 

『だ…大丈夫です。それよりここって…』

『我々の日本における研究施設の一つです』

『研究?』

『色々と兼ねてますがね…ほら、あそこ』

 

 研究という言葉に首をかしげるツナに草壁が前方を促すと、そこには地下基地にあった非7^3線(ノン・トゥリニセッテ)対策のゲートが設置されており、その先には基地で待っているはずのリボーンの姿があった。

 

『ちゃおっス』

『リボーン!!どうしてリボーンがここに?』

『我々の施設とあなたのアジトはつながっているのです。もっとも、不可侵規定により今まで一度も、ここが開いたことはありませんが』

『群れるのを嫌う、あいつらしいシステムだな』

 

 過去のリボーンがそう呟いた直後、景色が暗転し、今度は治療の終えた獄寺が眠る医療室に切り替わる。

 

『獄寺君はどう?』

『まだ…起きねーぞ─だが、まあつくづくよかったな』

『なっ!何がどこがよかったんだよ!!』

『よかったじゃねーか。ミルフィオーレを相手にオレ達が生き残るため残された道は成長しかねーんだ。それにピンチの次にはいいこともあるはずだ』

『お前な!!みんなケガしたんだぞ!!』

『10代目…『!!』すいません…』

『獄寺君!!』

「よかった!目が覚めたんだ!」

『すいません10代目…全てオレの責任です…』

 

 ツナと響達が喜びを露にするなか、獄寺はツナに気持ちを吐露し始める。

 

『オレ…本当は…こっちの世界に来て…びびってたみたいっス…テンパって山本に当たってあんなことに…』

『獄寺君…』

『山本もそう言ってたぞ。いっぱいいっぱいで獄寺に言わなくていーことまで言っちまったってな』

『な!!じゃあ山本は!!』

『生きてるよ!結構元気に!!』

「それじゃあ、二人とも無事なんだね!」

『…ちぇ。まだ生きてやがったか…』

「口ではこういっているが、先ほど溢していた言葉から、信頼していることがよく分かるな」

【…オレ、自分のことばかりで全然気づかなかった…みんなもこんなに余裕なかったなんて…】

『そりゃーそーだぞ。京子も獄寺も山本もまだまだ乳臭いガキンチョだからな『なあ!?』』

「またツナの心読んだよ…というか乳臭いって…」

『お前らは経験不足で不安定で、すぐに血迷ってイタイ間違いをおかしやがる』

『そ…そこまで言うか!?』

「おいおい、こりゃ言いすぎじゃ─」

『だが、今は死ななきゃそれでいいんだ』

『「え?」』

『イタイ間違いにぶつかるたびにぐんぐん伸びるのが、お前達の最大の武器だからな』

『リボーン…つーか赤ん坊のおまえに言われたくないよ!!』

「フフッ…本当に、ツナさんとリボーンさんは仲がいいですね」

『いいかな、話』

『ひいっヒバリさん!!』

『会いたかったぞ、ヒバリ』

『僕もだ、赤ん坊』

『あのー、ちょっとよろしいでしょうか?』

 

 部屋に入ってきた雲雀がリボーンと何か話し始めようとしていたその時、入り口の縁からジャンニーニが顔を覗かせてきた。

 

『何だ?』

『グッドニュースですよ!情報収集に出ていたビアンキさんとフゥ太さんが帰ってきましたよ』

『フゥ太!?』『アネキが!?』

 

 ジャンニーニの報告を聞いてツナと獄寺が驚く中、リボーンは『ニッ』と笑顔を浮かべる。

 

『言っただろ?ピンチのあとにはいいことがあるってな』

 

『リボーン!!』

 

 医療室に二人の人物が現れ、そのうちの一人の女性がリボーンに駆け寄る。

 

『もう放さない!!愛しい人!!』

「あれが、獄寺さんのお姉さん…?」

「とてもきれいな人ね」

「にしても、リボーンが愛しい人って…」

「ビアンキは俺の4人目の愛人だからな「4人目!?」ビアンキは『毒サソリ』の異名を持つフリーのイタリア人殺し屋だ」

「毒サソリってことは、毒を使って暗殺するってこと?」

「まぁ合ってはいるんだがな…異名の理由は、ビアンキがポイズンクッキングの使い手であることが理由だ」

「ポイズンクッキング─毒料理作り、か…」

「ビアンキはその料理で標的を暗殺するんだが…それと同時に、ビアンキが作る料理はどんなものも必ずポイズンクッキングになっちまうんだ…ちなみに、ポイズンクッキングの威力は、フゥ太の『とっても苦しい毒殺ランキング』で第三位になるほどだぞ」

「なにその怖いランキング!?」

【10年後のビアンキ、見た目変わんないけどなんか激しくなってる?】

『無理もないよツナ(にい)、この時代ではリボーンもツナ兄も死んじゃったんだ』

『もっもしかしてフゥ太ぁ!?』

「フゥ太って確か、さっきランキングがどうのこうのって言われてた…」

「フゥ太は通称『星の王子様』や『ランキングフゥ太』と呼ばれる情報屋で、相手を見ることでその人物の情報を瞬時にランキング化させることができたんだ。フゥ太が作ったランキングはとても正確で、その力を狙ったマフィアから庇護してもらうために、『野望のないボスランキング』1位のツナがいる日本に来日したのが、今ツナの家に居候している理由だ」

「確かに、見ただけで敵の強さを分析できるのであれば、狙われるのは是非もないことだろうな…」

「てか、そのランキングフゥ太にボス認定されちまってんのかよツナは…」

「でもさ、リボーン君はさっき、『ランキング化させることが()()()()()』って言ってたよね?てことは、今は出来ないってこと?」

「あぁ、今のフゥ太はある出来事のせいでランキング能力を失っちまってる…が、情報屋としての目と分析能力は健在だから、今もなお狙っているマフィアは少なくねーんだ」

『ふげ!!』

 

 リボーンが響達にビアンキとフゥ太について話していると、突然苦しげな声が聞こえ響達が振り向くと、獄寺が口から泡をだし、病床から転がり落ちていた。

 

「獄寺さん!?」

「まさか、症状が悪化したのか…!?」

『あ!ビアンキを見て獄寺君が!!』

「…はい?」

「言ってなかったが、この頃の獄寺は幼少期の時にビアンキから受けた仕打ち─ポイズンクッキングがトラウマになっちまってて、ビアンキの顔を見るだけで腹痛を起こして、酷い時は失神、さらに酷い時は石化するほど姉のことが苦手なんだ。まあゴーグルとかで顔の一部が隠れていたら多少は落ち着くがな」

「ビアンキさん、一体何をしたの…?」

 

 響は獄寺がされたことを想像し、身を震わせる。

 

『期待出来そうだぞツナ。こいつらも新しい情報を持ち帰ったらしい『!』』

【そうか!!みんなの情報を集めれば過去に戻る新しい手がかりが見つかるかも!!】

『ヒバリさんも何か知ってそうだし』

 

 そう言いながら振り返ったツナの目に映ったのは─

 

『これ以上群れれば、噛み殺すよ』

 

トンファーを構え、とても不機嫌そうな顔つきの雲雀の姿だった─

 

「結局、ツナを殴ったあとにリボーン君と何も話さずに帰ってったね、雲雀さん…」

「なんだよあいつ!子供みてぇにそっぽ向いて帰りやがって…!」

「まぁ、あれがあいつの生き方みたいなものだから、しょうがねぇな」

「それにしても、ヒバードの発信器は黒川さんの発案だったんだね!」

「信号の途絶も、ただの故障だったらしいしな」

「てか、中学の頃の風紀委員メンバーで財団作るとか、愛校心おかしすぎねえか!?」

 

 現在、響達はツナ達が基地にきて最初に案内された部屋─主作戦室に移動したリボーン達の会話を聞いていた。

 

「それにしても…改めて振り返ると、ツナってこの時代に来て色々ありすぎだよね…」

「始まりが棺桶スタートだしな…」

『…未来に来て2日しかたってないんだ…随分、昔のことみたいだ…』

『だが、こうして心強い仲間と合流できたんだ。これで過去に帰るために本腰をいれられるぞ』

『その通り!僕らもツナ兄達が過去に帰れるように協力をするよ』

『今の所、あなた達と我々の目的にはいくつか共通点がある。我々も力をお貸しできると思いますよ』

『ほ…本当?』

『過去に戻るためにはミルフィオーレの入江正一を倒せばいいのよね』

『あ…うん』

『ミルフィオーレは私の敵でもある。倒すのには何の躊躇いもないわ…それに、あなた達が10年前に過去が変われば、私の愛する人やたくさんの仲間を失うこんな未来にはならないかもしれない…』

「ビアンキさん…」

『今日まで私達のしてきたことも役に立つはずよ』

『そう、僕らは日本にいるミルフィオーレの情報集めをしていたんだ。ミルフィオーレは全部で17部隊あるんだけど、その中でもAランク以上の隊長は6名だけ。そしてその中の2人が日本を任されてるんだ』

『γと…入江正一か?』

『そう、入江正一は日本支部に帰ってきてる『ええ!?そうなの!?』標的はすぐそばってわけさ』

『もっと遠くにいると思ってたよ…なんか緊張してきた…』

『いいニュースはそれだけではないわ。その敵の日本支部アジトの入り口を突き止めたの』

『敵アジトの入り口!?』

『灯台もと暗しだったんだよ。同じ並盛の地下、並盛駅地下のショッピングモールだよ。その先に入江正一はいる』

『え!?で…でも駅に地下なんてあったっけ…!?』

『10年前に着工されて3年前にできたんだ』

「そういえば…沢田が飛ばされる前、三浦が確かそのようなことを言っていたな」

『この情報は大きいぞ!これでこちらから攻め込める』

『せっ攻めるー!?で…でもみんなケガしてるし…』

『ああ、今のオレ達の状態では成功はしないだろうな。γとの戦闘でミルフィオーレの本当の恐ろしさはよくわかったはずだ。入江正一もγと同じ隊長…ってことはそう簡単に倒せる相手じゃねーぞ。それに敵ももう10年前のお前達の存在に気づいていると考えた方がいい…奴らはボンゴレであるお前達を狩るために血眼になってこのアジトを探しているはずだ。このヤバい状況の中を生き延びて、日本支部の入江正一を倒せるかどうかは、お前達が短時間にどれだけ強くなれるかにかかってるんだぞ』

【短時間に強く…】

『守護者の情報収集は僕らがするよ。だからツナ兄は自分の修行だけに専念してよ!』『おまかせを!』

『私が来たからには家事と京子達のことはまかせなさい。あの子達に惨めな思いはさせないわ』

『!!みんな…』

「ツナの回りにいる人達、みんないい人だね…」

「…ツナは、仲間達に恵まれたんだな…」

『…ありがとう、そうする』

 

 ツナが嬉しさを噛み締めながら感謝をのべていると、部屋の中に京子とハルがそれぞれイーピンとランボを抱えて入ってきた。ランボ達幼少組はフゥ太の肩に飛び付き、京子とハルはビアンキの胸元に飛び込んだ。

 そんな感動の再会を響達が微笑みながら見ていると、またも場面が切り替わり、今度はエレベーターにのってどこかへ移動するツナの姿が現れる。

 

「あ!ツナ、ギプスとれてる!」

【ラル・ミルチ…今日から新しい修行だって言ってたけどなんだろう…?ハイパーモードでの炎の強化訓練はもういいのかな?】

「てことは…今はさっき見ていた時間から13日後─()()が行われた日か」

「アレ…?」

「それよりも、なんか飛ばされた空白の時間に何かしてるけど…」

『とりあえず殴るのは勘弁してほしーよな』

「それはそうだよ!ラルさん、容赦なさ過ぎるよ!」

 

 響がツナのぼやきに賛同するなか、エレベーターが止まり、扉が開いた先には─

 

『よっ!』『おはようございます10代目!!』

 

 大怪我をしていたはずの獄寺と山本が先について待っていたのだ。

 

『今日からオレ達も修行復帰するぜ』

『ケガはもういいの!?』

『完璧っス!!体が鈍って困るほどです!!』

『そっか…よかった』

『3人揃ったな』

 

 元気そうな獄寺達を見たツナがホッとしていると、部屋の奥からラルとリボーンが現れた。

 

『予告通り、本日より新しい修行─"強襲用個別強化プログラム"を開始する』

『個別…強化…?』

『この10日間、ツナがラルに1対1で教えられたように、1人に1人ずつ家庭教師をつけ修行だ。リング戦の時と同じだな。例えば、オレが教えるのは─山本だぞ』

 

 そう言って、通常の拳銃を手に取るリボーン。指名された山本はというと、「ヨロシクナー」と言って、いつもと変わらぬ笑顔で受け入れていた。

 

『え゛ー!?リボーンが山本を─!!?だ…大丈夫なの!?』

『ハヤトの担当は私よ』

 

 ツナが山本の身を心配するなか、トレーニングルームに入ってきたのは─

 

『ビ…ビアンキ!?』『ふげぇ!!』

 

 部屋に入ってきたビアンキ()の顔を見て悲鳴を上げながら崩れ落ちる獄寺。

 

『獄寺君!!』

『じょ…冗談ス…よね…』

『やはり姉弟…私も嵐属性の波動が一番強いわ』

 

 そういって、はめていたリングに嵐の炎を灯すビアンキ。

 

『そして修行が無事終わったらあなたにあるものを授けるわ─お父様からよ』

「獄寺さんのお父さんから…?」

『ふごっ』

『絶対ムリだよ!!中止した方がいいって!!』

『おまえは自分の修行に専念しやがれ』

 

 気絶と復帰を繰り返す獄寺を心配するツナに対し、リボーンはそういってツナの額を撃ち抜いた。その衝撃によりツナは獄寺達の後方へ吹き飛ぶ。だが、すぐにツナの額に炎が灯ると、いつの間にか身に付けていたミトンがXグローブへと変化し、グローブと額に灯る炎が膨れ上がる。

 

『すげえ10代目!!また迫力が増してる!!』

『前とはまるで別人だな!また随分差ーつけられたぜ』

 

 獄寺達が感心するのを他所に、ツナは一瞬にしてラルのすぐ近くまで移動する。

 

『はじめよう、ラル・ミルチ』

『オレはお前の指導を下りる』

「え!?なんで急に下りちゃうの!?」

『おまえはオレの思い描くレベルにまるで達していない…短時間ではこれ以上のレベルアップも望めないと判断した』

『だが実際にここまで─』

『おまえの力はこんなものではない!』

 

 ラルがそう訴えた直後、ツナに向かって死ぬ気の炎をまとった球体が飛んできた。

 ツナは空中に逃げて回避したが、球体は軌道を変えてツナの元に再び襲いかかる。

 今度は死ぬ気の炎を展開することによって激突の衝撃を軽減させることに成功するが、球体の勢いは緩む気配を見せない。

 

『気を抜けば死ぬよ』

『おまえは!!』

『君の才能をこじ開ける』

 

 苦戦するツナの元に現れた雲雀はそう告げる。

 

「あんの野郎!いきなり何を!」

『赤ん坊から聞いたとおりだ…僕の知るこの時代の君には程遠いね』

 

 必死に止めようとするツナの姿を見て、雲雀がどこか不満げな表情で呟いていると、ツナが死ぬ気の零地点突破・初代(ファースト)エディションで凍らせて強制的に動きを止めようとする。

 

「さすがに凍らせれちまえばどうすることも─」

『いいや、まだだ!!』

 

 ラルがそう叫んだ直後、ツナの回りを針の生えた雲が覆いはじめる。ツナは必死になって雲を調和させようとするが、雲の増殖スピードがツナの調和速度を上回っていき、ついにはツナを覆い込み、大人の身長を上回る大きさの球体が出来上がった。

 

「ツナ!」

「あれはたしか、γとの戦いで浮かんでいた…!」

『球針態─絶対的遮断力を持った雲の炎を混合した密閉球体。これを破壊することは彼の腕力でも炎でも不可能だ』

 

 雲雀が球針態について説明していると、球体の表面が徐々に薄れはじめ、中で必死に球針態を破壊しようとしているツナの姿が確認できるようになる。

 

「なるほど…どうやらこの空間では俺たちが見れなかったところも写してくれるみてーだ。これはありがたいな」

『密閉され内部の酸素量は限られている…早く脱出しないと─死ぬよ』

『「!!」』

『ふざけんな!!てめーら10日ぶりに現れたと思えば、10代目を殺す気か!!出しやがれ!!』

『弱者が土に返るのは当然のことさ。第一、沢田綱吉を殺す理由があっても生かしておく理由が僕にはない』

「なんで…?雲雀さんはツナの守護者なんだよね?仲間なんだよね…?…なのになんでツナを殺そうとするの…?」

『んじゃあオレ達も修行始めるか』

「おいまてよ!こんまんまツナを放置する気か!?」

『ま、待ってくださいリボーンさん!!このままじゃ10代目が!!』

『ヒバリはやるっつったらやるぜ…』

『わかってるぞ。だからこそヒバリなんだ…歴代ボスが越えてきたボンゴレの試練には、混じり気のない本当の殺意が必要だからな』

「ボンゴレの試練って、確か…!」

「ああ…沢田が、ボンゴレの『業』を見たといっていた試練だ…!」

「なんだ?その、ボンゴレの『業』ってのは?」

「まぁ、このまま見ていれば分かるぞ」

 

 その後、山本はリボーンに連れられ、獄寺はビアンキが至近距離で顔を見せつけて気絶させられ、それぞれの修行場へと向かった。

 そしてツナは、何度も脱出を試みるが成功せず、ただ疲労していくのみ。ついには体力の限界が近づいてきた。

 ツナは最大の炎を一点集中させ、最後の一撃をぶつけるが、球針態が壊れることはなかった。

 

【ダメだ…ビクともしない…】

「ハイパー状態のツナが弱音を吐くなんて…」

【だが、かすかに壁の装甲が溶かされた部分がある─リングの炎の周辺だ。恐らくこいつの弱点は…()()()()()()()()…でも、どうすればこの球体をうち破るだけの、巨大な高純度の炎を…】

 

 ツナは息を荒くしながらその場に座り込む。そんな彼の額の炎は徐々に弱まってきていた。

 

【こんなところで…死ぬわけには…】

「ツナさん…」

【どうすればいい…?まだ、覚悟が足りないのか…】

 

 ついにツナはハイパー化が解除され、その場に倒れ込んでしまう。

 意識が少しずつ遠くなっていくなか、ツナはミトンを外し、指にはめていたボンゴレリングを見つめる。

 

【これ以上…何が望みなんだ…何が…】

 

 心の中で問いかけながら、ツナが目を閉じようとしたその時、ボンゴレリングが輝き始め、ツナの額にボンゴレの紋章を浮かび上がらせた。

 

「あれって確か、私達がこの空間に来たときの…!」

 

 響が自分達の身に起きたことと同じ現象に驚いた直後、世界が暗転し─

 

殺れ

 

『どうか…命だけは助けてくれ!!オレが死んだら子供が…妻が…!!』

ズガン

『ぐぁ!』

 

「な…何なんだよこれ!?」

【何だ…これは!?頭に直接流れ込んでくる…】

 

 最初に映し出されたのは─周囲に死体が散らばるなか、命乞いをしていた人の頭が撃ち抜かれる光景。その光景を皮切りに、様々な景色が映し出されていく─

 

報復せよ

 

『ギャアア!』

 

 ある時は人を家もろとも焼き─

 

嵌めろ 根絶やせ

 

 ある時は人を車ごと爆破し、ある時は機関銃で人を蹂躙していく─

 

「そんな…人が、人の手で…っ!?」

「イヤッ!もう止めて!!」

「ひどい…これはあんまりじゃないですか!!」

【何だ…!?何なんだこれは!!】

「─これが、試練だというのか…?これがボンゴレの─『ボンゴレの…業』っ!!」

 

 その声を皮切りに、ツナの回りに複数の人影が現れる。現れた人物は全員顔が見えず、目元と思われる場所に大空の炎を灯していた。

 

『抹殺、復讐、裏切り、あくなき権力の追及…マフィアボンゴレの血塗られた歴史だ』

『大空のボンゴレリングを持つ者よ─貴様に覚悟はあろうな』

『…え!?』

『この業を、引き継ぐ覚悟が』

 

 一人の人物がツナに問いかけた直後、ツナと─響達の頭に声が響き渡る。

 

『助けてください!!』

 

『!!』

 

『ギャアア!!』

『むごすぎる』

 

『ひ…ふゎ…』

 

『息子を返せ!』

 

『や…やめろ!』

 

『ぐわぁ!!目がぁ!!』

 

『やめろぉぉ!!!』

 

「イヤ!イヤァァ!!」

「クリスさん!?」

「クリスちゃん!?」

「どうしたんだ雪音!?しっかりしろ!」

「しっかりしてクリス!」

 

 ツナが叫ぶと同時に、クリスが両手を頭で抱え、悲鳴を上げながらしゃがみこんだ。

 クリスは子供の頃、紛争地域で今と同じ悲鳴を幾度となく聞いている。それがトラウマとして脳裏に甦ってきているのだ。

 錯乱するクリスを心配する響達。無事に見える彼女達も、未だ頭に聞こえる悲鳴を前に、心が折れかかっていた。

 

『やめろ!!やめてくれ!!』

『目をそらすな!これはボンゴレを継ぐ者の宿命…貴様が生を授かったことの意味そのものだ』

『いやだ!!こんなひどいことはできない!!』

『代価を払わずして力を手に入れることなど叶わぬ』

『偉大なる力が欲しければ、偉大なる歴史を継承する覚悟が必要なのだ』

『いやだ…』

「─もうやめて!もうこれ以上見せないで!!」

 

 響が悲鳴に近い声を上げるが、声が途切れる気配はない。

 

『みんなを守るためなら何だってできるって思ってた…でも…こんな…こんな力なら、オレはいらない!!』

『「!!」何だと!?』

 

 響達でさえ心が壊れそうになる状況で、自分の気持ちを叫んだツナ。その言葉に、響達だけでなく、先程まで錯乱していたクリスも驚きのあまりツナの方を向く。

 

『こんな間違いを引き継がせるなら…オレが…』

 

オレがボンゴレをぶっ壊してやる!!

 

「ツナ…!」

「─あいつ、ギリギリの癖に言ってくれるな…」

【…何言っちゃってんだオレ…みんな…ごめん…】

「沢田!!」

 

 ツナの覚悟を聞き、響達が落ち着いたのもつかの間、すでに限界が来ていたツナが倒れそうになる─その時、すぐ近くにいた人物が彼を受け止める。不思議に思ったツナが受け止めた人物の顔を見ると、驚きを露にする。

 

『きゅ…9代目!!』

「あれが、ツナを10代目に指名した人…」

「おい!さっきまで顔が見えなかった奴らが…!」

 

 いつの間にか悲鳴も聞こえなくなり、再び暗転した空間で、クリスが指差す先には、地面に浮かび上がる巨大なボンゴレの紋章と、その左右に並ぶ歴代ボス達。そしてその奥には─

 

「ボンゴレⅠ世(プリーモ)─ジョット!」

『貴様の覚悟、しかと受けとった』

『何これ…夢…?幻覚…?』

 

E'la nostra ora incisa sull'anello(リングに刻まれし我らの時間)

 

「今のは!?」

『時間…時?』

 

─栄えるも滅びるも好きにせよ ボンゴレⅩ世(デーチモ)

 

「え?」

 

─…お前を待っていた ボンゴレの証をここに継承する─

 

 ジョットがそういうと、ツナの足元にボンゴレの紋章が浮かび上がり、死ぬ気の炎に姿を変えた歴代のボス達がツナと紋章を取り囲む。そして光がツナを包んでいき─

 響達が目を開けると、場所はトレーニングルームに変わっており、ツナが閉じ込められている球体には亀裂が入り、隙間から光が漏れだしていた。

 

『何だ!?何が起こっている!?』

『恭さん、これは!?』

『球針態が─壊れる』

 

 雲雀がそう呟いた直後、球針態が破壊され、大量の煙が溢れ出す。そして、その煙の中から現れたツナの両手には─

 

「ボンゴレリングがついた、X(イクス)グローブ…?」

 

 大空のボンゴレリングを手の甲に宿したグローブ─X(イクス)グローブ Ver.V.R.(ボンゴレリング)が嵌められていた。

 

『越えたな』

『まさか試練の末の形態だとはな…』

『オレも半分自信なかったけどな』

「ちょっと!?」

『飛躍的なパワーアップと言われて、この伝説の試練しか思いつかなかったのが正直なところだ─あんな答えで試練を乗り越えたのは、歴代ボンゴレでツナだけだろうがな』

 

 リボーンがそんなことを言っていると、ツナがグローブに炎を灯した。

 ツナが灯した炎はとても澄んだ、綺麗なオレンジ色に輝いていた。

 

『混じり気の少ない純度が高い炎はああいう澄んだ色になるんだ。大空ならオレンジ、晴はイエロー、雨はブルー、雷はグリーン、嵐はレッド、雲はバイオレット、霧はインディゴにね』

 

 いつの間にか入ってきていたフゥ太が、ランボを抱えながら話し始める。

 

『そして純度が高い炎ほど、属性の特徴をより強く引き出すと言われる』

【不思議な炎だ─頼りなさげだけど、底からあふれてくるような…】

『少しだけ僕の知ってる君に似てきたかな─赤ん坊と同じで僕をワクワクさせる君にね』

 

 不気味な笑みを浮かべながら、懐から匣を取り出した雲雀。

 

『ここから先は好きにしていいんだろ?赤ん坊』

『ああ…そういう約束だからな…』

『じゃあ─始めようか』

 

 雲雀はリボーンに確認を取ると、匣を開匣してトンファーを装備し、雲属性の炎を付与させる。

 

『この闘いにルールはない─君が選べるのは、僕に勝つか…死ぬかだけだ』

『勝つさ』

 

 ツナの発言を聞いた雲雀は、不敵な笑みを浮かべ一言。

 

『来なよ』

 

 ツナは中腰になり、両手を右の腰元まで移動させ手のひらを後ろに向けると、音と炎を残して姿を消した─否、高速で飛んだのだ。

 

『「消えた!?」』

 

 何度か彼の戦いを見たことがある響達装者でさえも目で追えず、フゥ太と同じ反応を示すなか、雲雀は飛び上がると─高速で移動するツナの肩に一瞬手をつけながらかわす。彼はツナの速度に瞬時に対応したのだ。

 突進を回避され、壁に突っ込んでいくツナは何とか体勢を変え壁に足をつけるが、壁が衝撃でめり込んでしまう。

 一瞬、衝撃に顔をしかめたツナは再び雲雀に向かって飛んでいくが─今度は雲雀のトンファーが、がら空きになっていたツナの腹にめり込む。

 ツナは血反吐を吐きながらも、空中で体勢を整えようとし─

 

『体が流れてるよ』

 

 すでに自分より上まで飛び上がった雲雀がトンファーを構えていた。それに気づいたツナは避けるために手を横に向け炎を噴射する。するとツナはそのまま床まで吹っ飛んでいった。

 

「ど、どうしたのツナ!?いつものツナらしくないよ!?」

『どうやらVer.V.R.ってのは、随分ピーキーな特性らしいな』

『「ピーキー?」』

『ああ。ツナの顔を見る限り、あいつの思い通りの炎が出せてねえみてーだ』

『…たしかに沢田の動きはぎこちないが…それは炎のパワーに圧倒されているからではないのか?』

『だったら自分のコントロールできるパワー内で戦えばいいだろ?今はそれすらできてねぇ。恐らくノーマルのXグローブがツナの意思の強さに比例してなめらかに出力を上げていくのに対し、Ver.V.R.ではある地点から急にパワーが跳ね上がる特性なんだろう。だから扱いきれず吹かしすぎたりつんのめったりしちまう』

『…なるほどな』

『先代達がツナに授けた新兵器ってのは、とんだじゃじゃ馬ってわけだな』

 

『ねぇ、君。僕が言ったこと覚えてる?』

『…勝つしかないんだろ?』

【気にいらないやり方だが、生き残る方法はあれしかない…】

「沢田は何をするつもりなんだ…」

【イチかバチか…】

 

 ツナは覚悟を決めると、さっきと同じ速度で雲雀に向かって一直線に飛んでいく。

 

『ダメだっ!カウンターの餌食に!!!』

「ツナ!!」

 

 ラルが忠告した通り、ツナに雲雀の重いカウンターが決まった。ツナはそのまま来た方向にふっ飛び、煙をたてながら転がる。

 

『君にはガッカリだな…弱い小動物には興味ないよ』

 

 雲雀はそうぼやきながら背中を向ける。

 

『直接手をくだす気にもならないよ。匣で…』

 

 そう呟いて匣を取り出そうとして雲雀があることに気づく。それと同時に、煙が薄れはじめ、ツナの姿が見えるようになる。

 ボロボロになり、顔を動かすのがやっとという状態のツナの手には、先ほどの突撃の際に掠め取った雲雀の匣が握られていた。

 

「確かにこれは、沢田が好んでする手ではないが、今できるなかで最も有効な手段だな」

『頼む…』

 

 そう呟きながら、ツナは匣に炎を注入し雲雀に向けて開匣した。

 ツナが呼び出したハリネズミは大空の炎を纏い、雲雀に向かって飛んでいく。だが、雲雀はすぐにリングを嵌めると、もう一つの雲ハリネズミの匣を取り出し、飛んでくるハリネズミに向かって開匣した。

 

「また同じハリネズミだ!」

「まだ持っていたのか!」

 

 二匹のハリネズミがぶつかり合い、炎の衝突が起こる。

 

『気が変わったよ』

 

 二匹の匣アニマルがぶつかり合うなか、雲雀はツナを見据える。

 

『もっと強い君と戦いたいな。それまでは少し付き合おう』

「この野郎、超がつくほどの戦闘狂だな…」

『─で、君たちは…』

 

─匣がどうやってできたのか、知っているの?─




今回は少し(といっても600文字くらいだが)空きがありますが、キリが良さそうなのでここまでです。
前回の投稿までがスランプだったのかどうなのかも判断できない…
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