今回も以外と早く出来上がりました。
『クローム髑髏は一命をとりとめました』
『本当!?よかったー!!』
「よかった…無事か…」
副作戦室に集まっていたツナ達と響達は、クロームの無事を聞き安堵する。
『どーやってあの状態から持ち直したんだ?』
『ボンゴレリングです。雲雀がクロームに促したのは、ボンゴレリングそのものの力を引き出し、己の力で生きること…現在、クロームは自分の幻覚で、失われた内蔵を補っています』
『そっ、そんなこと…可能なのかよ!?』
『ですが、今の彼女の力では幻覚は不完全…生命維持がやっとの状態だ…』
『あの…じゃあ…骸はどーなっちゃったの!?』
ツナの問いに対し、草壁は無言で首を横に振る。
『骸の行動については、我々よりもヴァリアーにいた笹川氏の方が詳しいのでは?』
『骸からヴァリアーへの指示は一方的なものだったと聞いている…オレはその指示を信じ行動したが、骸がどこで何をしているかはわからんのだ』
『クロームへの力が一切途絶えたのよ?最悪の事態も考えるべきだわ』
「つまり─死んだ可能性もある、と…」
『そんなぁ!!』
『10代目!あのしぶとい骸です…まだわかりませんって』
『だが、どっちみち5日後にクロームは戦えそうにないな』
『…痛いな』
『心配するな。クロームの不足分はオレが補う』
「ラルさん…」
『そんなこと任せられるわけねーだろ。お前、今座ってんのもしんどそうじゃねーか』
『「!!」』
『リボーンッ』
『何を言っている!!』
「リボーンくん、ラルさんの体調が悪いの知ってたの!?」
『無理すんな…顔を見れば、お前の体調ぐらいわかる。お前の体は
『黙れ!過去から来たお前に何がわかる!』
『オレだって地上に充満している非7^3線を肌で感じたんだ。お前のやろうとしてることの無謀さぐらいわかるぞ』
『だが、非7^3線を放出しているのはミルフィオーレだ!!奴らを倒さなければこの世界は正常には戻らない!!』
今まで見せたことがない表情のラルをみてツナ達が呆然としていると
『え~と、それについてなのですが…どうして非7^3線が地上に漂っているかまだ原因は特定できていません…ミルフィオーレとの因果関係は恐らくあると思われるのですが、決定打がなく…』
『我々も同じく…』
『いや!!奴らの仕業だ!!コロネロもバイパーもスカルも…奴らに殺されたんだ!!─ぐっ』
そこまで叫んだラルだったが、突如倒れてしまう。
『ラル・ミルチ!!』
『大丈夫ですか!』
『さわるな!!立てるっ』
すぐ横にいたビアンキや草壁が近寄るが、ラルは自分の力で立とうとする。
『沢田…『!』5日後だが…これだけ戦力に悪条件がそろっては、おまえが何というか見当がつく…作戦中止はオレが上に伝えに行こう』
「了平さん…」
『ただの貧血だ!!』
『無茶をするなラル…』
『─いえ、やりましょう』
「ツナ!?」
『敵のアジトに行けば、過去に戻ることだけじゃなくって、骸の手がかりも何かつかめると思うんです…それに、そのノン・トゥリニセッテのことも、わかるかもしれないし…』
獄寺達だけでなく、響達シンフォギア組やいつの間にか部屋にいた雲雀がツナの話を真剣に聞く。
『…でも、どっちもゆっくりしてると手遅れになっちゃう気がして』
『うむ』
『それに、やっぱりオレ…こんな
「沢田…」
『並盛の仲間はもちろんだし、クロームやラル・ミルチだって…こんな状況、全然似合わないよ!!』
「─やっぱり、ツナは今も昔も変わらず優しすぎなんだよ」
『はっ!─えと…あのっ!オレはそんな感じです…けど…』
『よく言ったぞ!男だ沢田!!』
『…ガキが』
辛辣な言葉をのべるラルだが、顔をそらしていることから、照れ隠しで言ったのだろう。
『とにかく』ゴクゴク
ツナはリングとミトンを身に付け、死ぬ気丸を飲んでハイパー化する。
『─5日しか時間がない。
『はい!!』『だな!!』
ツナの一言に力強く答える獄寺と山本。三人はそのままそれぞれの修業に向かった…
トレーニングルームにて、ツナの拳と雲雀のトンファーがぶつかり合う。
雲雀の攻撃をしゃがんでかわすツナだが、その動きを予測していた雲雀はがら空きになっているツナの顔を殴り飛ばす。
吹き飛ばされたツナが背後に炎を噴射し勢いを殺すと、そこへ雲雀が迫ってくる。
それを確認したツナは、炎圧を強め蹴りで迎え撃とうとするが、雲雀はトンファーでそれを防ぎカウンターを入れようとする。
ツナは両手を前に向け炎を噴射することでトンファーをかわすと、空中で体勢を整え再び雲雀に迫る。
『驚いたな…沢田さんの動きが格段に良くなっている─ピーキーなあの炎をモノにし始めてるようですね』
そんな二人の戦いを見ていた草壁がそう溢すと、床に座り込みながらも二人の戦いを観察していたラルが否定する。
『それは違うな─奴は2種類の炎を使い分けているんだ』
『2種類…?』
『従来のノーマルグローブの炎は、エネルギーが常に分散するため感覚をつかみやすい─いわば、柔の炎。微妙な出力ができるため、姿勢制御やホバリングなどに適している。対する
「あぁ、なるほど…沢田はあの時、剛の炎だけを噴射していたから、あれだけ暴れたわけか…」
『なるほど、可変式か…考えましたね、ラル・ミルチ』
『オレではない…沢田だ』
『!─ボンゴレの、超直感ですか』
『確かに奴の上達ぶりには何か理由をつけたくなるのもわかるが、そんなくだらぬ迷信、オレは信じない。それに、動きがよくなったとはいえ、戦闘力はまだ話にならん。沢田は
ラルが話し終わった直後、ツナが床に叩きつけられる。
「─彼の今の強さを知る私たちから見れば、これ程傷だらけになる沢田の姿は何とも信じられないな…」
「「確かに…」」
【ダメだ…!!このまま機動力を上げていったとしても、倒せる気がしない…】
『いつまで草食動物の戦い方をするつもりだい?『!?』君はまだ武器を使っていないよ、沢田綱吉』
【武器!?】
雲雀の言葉を聞いて驚いたからなのか、ツナのハイパーモードが切れてしまう。
『眠くなってきた。そろそろ帰る』
『なっ!!ちょっと待ってくださいヒバリさん!!』
必死に呼び止めようとするツナだが、雲雀が彼の言うことを聞くわけもなく、雲雀はそのまま部屋を出ていった。
『オレの修業から4時間ぶっつづけだぞ。少し休め沢田』
『…はぁ…』
ついにはラルからもストップが入り、ツナは休憩に入ることにした。
「なんか…ラルさん、少し優しくなった気がするね」
「あれほど厳しかったのは、彼女も色々抱え込んでいたからなのだろうな…」
『武器を使ってない…?』
【どーいう…ことだろう…?武器っていってもオレ匣持ってないし、
ツナは居住区を歩きながら武器について考え始める。
【そのグローブだって、パンチやチョップで普通に武器として使ってるしなぁ…─!グローブには、まだ使ってない機能があるってことか!?─でも炎を凍らす零地点突破と、炎を出すことしかできそうにないけど…】
「あれ…?ねぇ、ツナの武器ってもしかしてさ…」
【…炎】
『!!』
【そういえば
「XANXUSさんってたしか、白蘭さんが言ってたツナと10代目の座を争ったっていう…」
「そ♪ちなみにXANXUSクンはヴァリアーのボスでもある─つまりスクアーロクン達は彼の部下なんだよ」
【攻撃!!そーだ!!強力な炎をそのまま前に持ってきて、敵のいる方に発射すればすごい技に…!!】
『ん?でも、それって前にやったような…はっ』
【ヒバリさんと初めてVer.V.R.で戦った時に、後ろに吹っ飛んだんだったー!!】
『ダメだぁ~!パワーありすぎなんだよな~』
ツナがそんなことをぼやきながら歩いていると、前方に見覚えのあるモジャモジャ髪を見つける。
『!(ランボ…)』
ランボもツナの気配に気づき、先程怒鳴られたことで恐怖を覚えたランボは段ボールの影に隠れようとする。
その姿を見たツナは、何とか仲直りしようと思い─ランボに気づかれないよう静かに近づくと、ポケットに手を入れ、紙に包まれた飴玉を取りだしてランボのすぐ近くにそっとおいた。
「イヤイヤイヤ、ガキだからってそんな簡単な罠に引っ掛かるわけが─「あ、ランボくん出てきたよ」あった!?」
呆れていたクリスが振りむくと、ランボはよだれを滴し、目を血走らせながら飴玉にゆっくり近づいていた。そしてランボがある程度飴玉に近寄ると─
『わっ!』『ぐぴゃっ!!!』
ツナが声を上げてランボを驚かせた。
『ぴゃ~!!』
『ハハハ!逃がさないぞこいつぅ!』
『はなせっ!!』
ツナは驚いて逃げ出そうとするランボを捕まえると、胸元に抱き寄せ、逃げようとするランボの体をくすぐり始める。
『こちょこちょこちょこちょ~』
『─~ぷ!ギャハハハハ!!』
最初は必死に我慢していたランボだが、ついに限界が来たのか涙が出るほど笑いだす。
『どーだランボ!』
『くすぐったい~!ツナやめろ~♪』
『わ!ランボ、ツバたらすなよ~』
『
「ツナとランボくん、まるで仲良し兄弟みたいだね!」
二人のやり取りを微笑ましく見ていた翼達が思っていたことを、響が口にする。
その後、仲直りしたランボに、過去に戻ったら遊園地に連れていくことを約束すると、もう一人の謝らなければならない人を探し始めた。
『食料庫って、確かこの辺だよな…』
ランボや京子からハルの居場所を聞いて食料庫に来たツナ。回りを見渡しながら少し歩くと、階段の下でうずくまるハルの姿を見つける。
【いたいた!ハル!】
『…!?』
手すりから見下ろしたツナの目に写ったのは─
『う…ぐすっ!ひく…』
─涙を必死に堪えようとするハルの姿だった。
【まっまだ泣いてるー!!ど…どーしよ~】
ツナが慌てふためいていると、彼のダメダメな気配を感じ取ったハルとツナの視線が重なる。
『ほっといてください…日課ですから』
『!』
【日課って…】
「ハルちゃん…」
ハルの言葉がツナは心に突き刺さる。だが、ツナは覚悟を決めると、彼女の近くに向かい始める。
『聞いてくれよハル…今日のは全部オレが悪かったんだ』
ツナは謝りながら階段を下りていく─のだが。
『げっ─うわああっ』
数段下りたところで、ツナは足を滑らせ勢い良く下まで転がり落ちてしまった。
『ツナさん大丈夫ですか!?』
『いつつつ…そ…それより…─本当にごめんな、ハル』
心配してくれるハルに対し、ツナは心のそこからの謝罪をのべる。そんな彼の顔を見たハルは、頬を赤らめる。
『だっ─だったら○XX~!!☆◆@○♠️~!!』
『は!?』
『だったら過去に戻れたら一緒に遊園地行って下さい!!』
『んなー!?なんでそーなるんだよ!!』
『ツナさんムカつくんですもん!!惚れた弱みにつけこんで!!』
『はぁ!?またわけわかんないよ!!…つーかランボとも過去戻ったら遊園地行く約束したとこだぞ?』
『はひ?ツナさん、ランボちゃんと仲直りしたんですか?』
『そ…そりゃあ、怒鳴ったりしてオレも悪かったし…』
『─やっぱりツナさんは、ハルの知ってるツナさんです♥️』
『?』
「こいつ、ツナにベタ惚れしてやがんな…」
『ハルはもう元気です!!困ったときにはいくらでもよりかかってください!!』
『え?』
『京子ちゃんとよく話すんです─ツナさん達が気兼ねなく大暴れできるようにしっかり支えるのが私達の役目だって』
『ふ…ふぅん…』
【よくわかんないけど元気になってるみたいだ】
声をだして気合いをいれだすハルを見て、安心するツナ。
【でも確かにハルの言う通りかもしれないな…オレ達だけで戦ってるわけじゃないんだ】
ツナの怪我に気づいたハルが、キズバンを貼ろうとしている中、ツナは考え込む。
【みんなの支えがあって、初めて思いっきり力を出せるんだ…】
『!!!』
そこまで考えて、ツナはあることに気づく。
【あ…力を出せるのは支えがあるから…支え…そうか!!】
『ハル、サンキュ!!『はひ?』京子ちゃんにもありがとうって言っといて!!絶対だぞ!!』
そういって食料庫をあとにしたツナは、トレーニングルームに向かいハイパーモードになる。
【強力な炎を前方に撃ち出すには─それを受け止める支えが必要だったんだ】
ツナは右手を顔の前に持ってくると、左手を後ろに向け炎を放射し始める。
「この構え─やっぱりツナの武器って!」
「「「
【柔の炎で支え─】
左のグローブから放出していた炎が膨れ上がり─
【剛の炎を─】
右のグローブが輝き出し─
【放つ!!!!】
右手をつきだすと、右のグローブにためられていた剛の炎が放たれた─そして─
ドオン!!
「「「「「─え?」」」」」
響達が気がつくと、先程までの位置にツナはおらず、全員で仲良く音がした方向を見ると─
ツナが壁にめり込んでいた
「─何が起こったぁ!?」
『ちース!』
クリスが全員の心情を叫び、ツナが床に落下すると、先程の衝撃音を聞き付けた山本がリボーンを連れてやってきた。
『いっつ~』
『あ』『お』
『お~いててて…柔と剛の炎の出し方のバランスがこんなに難しいなんて…』
『ツナ!!大丈夫かよ!?』
起き上がったツナに山本が駆け寄る。
『山本!リボーン!─ハハッ…新技を試してみたんだけど…』
『新技!?ど…どーやったらこーなるんだ?』
山本は壁にできた凹みを見ておののく。
『おいツナ─モノにできそーなのか?その技は』
『うーん…どーだろ…むにゃ』ドサッ
『おいツナ!』
『バテて寝ちまっただけだ』
「えーっと…さっきのって、剛の炎を出しすぎて吹き飛んじゃったのかな?」
「そう考えて間違いないだろうな─そういや、このときのオレは、いつも『ダメだ』が真っ先に出てくるツナが『どーだろう』って言ったことに驚いたが、ひょっとしたらひょっとするかもしれねーとも思ってたな」
現在のリボーンがツナの寝顔を眺めながらそう話していると、突如景色が暗転する。
「…あれ?景色が、変わらない?」
「─!あそこに誰かいるぞ!」
クリスが指差した方向を見ると、白いワンピースを着た少女の姿が見えた。
響達が目を凝らして確認すると、その少女の正体は、今も集中治療室で眠っているはずのクロームだった。
予想だにしない人物の登場に響達が驚いていると、クロームの手のひらから粉のようなものがこぼれだし、歯車の形に変わっていく。そして歯車は徐々に合わさっていき、一つの装置が完成した。
そして装置の蓋が開き、まばゆい光が響達の視界を埋め尽くす。
『何…これ…』
「!彼女には、光の中に何があるのか、見えているのか…?」
『何で、ここに…いるの…?』
『近づくな!!』
クロームが光に手を伸ばした直後、何者かが彼女の手をはじく。
「誰だ…?」
光に目がなれてきた響達が見たのは─メガネをかけ、首にヘッドフォンをかけた少年。
『誰…?』
クロームが問いかけると、少年は無言で腕を動かし─
「あ!あの子、リングをつけてる!!」
「しかもあれ、
クリスが何かに気づくと同時に、少年の姿が真っ白の服を着た青年に変化し─そこで再び暗転し、トレーニングルームに変わる。
「ねぇ、さっきの人って…」
『今の…入江正一…?』
響の問いかけに対し、先程まで寝ていたツナがそう呟く。
『…変な夢…ん?』
ツナは起き上がろうとして、布がかけられていたことに気がつき、そばにあった紙を拾い上げる。
『リボーンからだ─「休憩がてら獄寺の修業を見に行く。お前もボスなら部下の状況を把握しろ」─あ!そーいえば獄寺君!ビアンキの修業さぼってんだった!!リング争奪戦の時も平気そうな顔して無茶してたし!!きっとまた修業うまくいってないんだ!!』
獄寺のこれまでを思いだすと、ツナはトレーニングルームを飛び出した。
【大丈夫かな獄寺君…こういうことになると頑張り過ぎちゃうんだよな…】
ツナは寝室や洗濯室など、思いつく限りの場所を探すがなかなか見つからない。そこでツナは、自分がまだ行ったことのなかった階に向かうと、ついに山本とリボーンを見つける。
【何のぞいてるんだろ?あの部屋の中に獄寺君いんのかな?】
不思議に思いつつツナが山本達に近づこうとする。するとツナに気づいた山本がジェスチャーでこっちに来ないよう伝えようとするが、ツナはジェスチャーの意味に気がつかない。
すると突如、ツナの周囲が揺らぎ始める。
『え!?』
「何が起きている!?」
『逃げろツナ!!』
状況を理解できず固まるツナ。そこへ急いで駆け寄った山本が飛び付き、リボーンがツナの顔を蹴って後ろに下がらせた直後、ツナが先程まで立っていた場所を、深紅の炎が壁を破壊して通りすぎていった。
目の前で起こった出来事に響達が驚いていると、壁の奥─煙の中に人影が現れる。
『よし!
そう呟きながら煙の中から現れた獄寺の頭には、威嚇の声をあげる豹柄の猫が引っ付いていた…
その後、獄寺はツナ達に説明するため、食堂に来ていた。
なお、当の説明対象はキッチンにいた京子達からもらった魚を机の上でバリバリむさぼっている。
『わー、猫ちゃん!』
『キュートですねー♪』
「かわいいね~♪」
「元気な子だね~♪」
その姿を眺めていた京子とハル、及びシンフォギア組の何名かが猫の魅力に飲み込まれてしまう。
『すいません10代目!!修業で資料室の壁をぶっ壊してしまって…』
そして獄寺は、部屋をメチャクチャにしたことを謝罪し何度も頭を下げる。
『何で資料室で修業してたの?それにこの猫…本当に嵐の匣兵器なの?』
『オレの場合、修業は紙とエンピツから入るんです…こいつは誤って出しちまって…匣にしまおうとしたんすけど、ひっかいて反抗してくるんスよ』
『そういう場合はリングの炎を与えなければいいんだよ。匣兵器は炎が切れれば活動停止するはずだから』
『んなことわーってるけどよ…炎が切れかかってきた時のこいつの辛そーな顔見るとつい…』
【それって情が移ってんじゃん!!】
「しょうがないよ~。こんなかわいい子に辛そうな顔されたら、私でも炎あげ続けちゃうよ~」
響は獄寺の発言に賛同しつつ、京子達に撫でられて喉をならす獄寺の匣兵器を眺める。
『この子、手足が大きいからきっと大きくなるよ』
『いっぱい食べていいですからね』
『匣兵器が人間の食料食べるなんて聞いたことないけど…』
『マジかよっ!?何でもかじるから空腹だとばかり…やっぱ匣にしまっちまうか…兵器としてもイマイチだしな…』
そういって匣を取り出した獄寺が、収納するため匣兵器に手を伸ばすと、匣兵器が獄寺の顔に飛び付き容赦なく引っ掻いた。
『だあぁ!!』
「うわっ!イタそー…」
【全然なついてないし…】
『おめでたいわねハヤト。修業をさぼってペットの世話とは』
獄寺が痛みでしゃがみこんでいると、彼の修業担当であるビアンキが現れる。
『余計なお世話だぜ!SISTEMA C.A.I.はもう理解した─何なら試してみるか?』
「スイステーマって、さっき壁を吹き飛ばしたあれのこと?」
立ち直った獄寺は自信に満ちた目でビアンキを睨み付ける。するとそこで了平が割って入ってきた。
『おお、ここにおったか!!じ…次期相撲大会について話し合うぞ!!
『またお相撲?』
【む…無理があるんじゃ…】
そんなツナの心配は、京子が信じたことですぐに杞憂と化した。そして副作戦室に集まった彼らに伝えられたのは─
『ミルフィオーレのアジトの図面ですか!?』
『ああ、敵の情報ファイルのいくつかがヒバリのアジトのサーバーに流れ込んでいたのだ。敵のアジトの図面と内部の施設についてのものらしい。見てくれ』
全員の画面にミルフィオーレのアジト内部と思われる地図が写し出される。
「─なんか、パズルみたいな形してるね」
「!─なんでそう思った?」
「え?だって、所々隙間っぽい場所があるし、何ヵ所か通路が途切れちゃってるし、部屋も全部正方形だからこう、簡単に動かせたりしちゃって~なんて─何かいけなかった?」
「んにゃ、別に悪くはねぇが…」
『この図面が本物ならたいしたもんだな。だが一体、誰がこんなことしたんだ?』
『もしかしてだけど…骸ってことは考えられませんか?』
『確かに、こういうやり方は直接マフィアに手を貸さぬあの男らしいとも思える…だが、ファイルの送信は2時頃、途絶えたそうだ…』
『そんな…』
「まだ
『ファイルには他にも用途不明ながら、今作戦のターゲットになりうる特殊な敵施設のデータがあった』
了平がそう言ってツナ達の画面に写した写真は─
『ん…?─あっ』
「この装置って、さっきクロームちゃんが見てた奴じゃない!?」
【これって夢で見た…!!】
「てことは、さっきの風景はツナの夢の内容だったって訳か…!?」
ツナはその場にいる全員に、画面に写し出された装置を見たことがあり、それが夢の中でのことであることを伝えた。
『ふざけているのか沢田!!』
『ひぃっ!すいません!そんなつもりは!!』
『─で、他には何を見たんだ?』
『リボーン!』
『どうなんだ?ツナ』
『え…んと…かすかにしか覚えてないんだけど…入江正一以外の誰かもいてこれを見てたんだ…中にすごく大事なものが入ってるみたいで…』
『大事な、ものか…案外この白くて丸い装置が、入江正一とすべての謎を解く鍵を握っているのかもな』
『正気かリボーン!!たかが夢だぞ!!』
『いいじゃねーか、重要な装置である可能性は高いんだ。ターゲットにしたって損はないはずだぞ』
『ふむ、それはそーだな』
『それに神経がとぎすまされてると、こういう不思議なことはあるもんだ。オレもこのおしゃぶりをゲットする時に似たようなことがあったからな』
『え!?』
『よし、山本。オレ達は修行を再開すんぞ。今んとこお前が一番遅れてるみてーだからな』
『ん?ああ!オッケ!』
部屋を出ていこうとするリボーンのあとを山本が追っていこうとしたところで、またも景色が変わり、ツナの寝室に切り替わった。
「え!ちょっと!?山本さんの修行はどうなったの!?」
『あっれ~!?』
「それで、沢田は一体何を探しているのだ?」
『やっぱりだっ!ど~しよ~!』
なにかを探すツナが部屋を出ると、作業服を着たジャンニーニと鉢合わせした。
『どうかなされたんですか?10代目』
『ジャンニーニさん、その格好…』
『明日に備え徹夜で発明ですよ』
『10代目!!』
『よっ!おっさんも』
ツナがジャンニーニと話していると、獄寺と山本、リボーンの三人がこちらへ歩いてきた。
『みんな!今日、修行はもうアガリ?』
『ええ!バッチリっスよ!』
『オレも今日は休むだけだぜ!』
『いよいよ─明日は殴り込みだな』
「はぁ!?さっきので一気に5日も飛びやがったのか!?」
「ちょっ、山本さんの修行はどうなったの!?」
「おい、ちゃんと聞いてたか?アイツは今『今日は休むだけ』って言ったろ?」
「ということは─「そういうことだ…まぁ、俺が鍛えられる範囲で、だがな」?」
『そ…そうだね…』
『?どーかしたんスか?10代目』
『ラル・ミルチが修行は上々だって言ってたぞ』
『い…いや、な…何でもない!ちょっと用事があって…!後で!』
ツナはリボーン達にそれだけ言って彼らが来た方向とは逆向きに走りさっていく。
【そーだよ…明日は、いよいよ作戦決行の日なのに…もう時間がないのに…なんで大空戦の時、京子ちゃんにもらったお守り、失くしてんだよ~!!】
「お守り…って、あのいつも学校に持ってきてた、魚の絵と『安全必勝』って文字が書いてあるアレ?」
「お、多分それだな─あいつ、こっちの世界でも大事にしてるようだな」
「はい。朝のランニングの時も必ず持っていきますよ」
【こっち来てからずっと持ち歩いてたのに、なんで一番大事な時に~!!】
『トイレで落としたのかな…!?あ~ど~しよ~!!』
そう言ってトイレを探しにいったが見つからず、トレーニングルームに向かおうとした直後、洗濯物を運んでいた京子とぶつかってしまった。それにより辺りに洗いたての服が散らばる。
『ゴメン!!だ…大丈夫?』
『うん。ツナ君は?』
『オレは平気!─あっ、オレ拾うから!』
『一緒にやろ』
【お守り失くしてるから余計にバツが悪いよ~っ】
ツナは気まずさから、あわながら服を集めていく。
『─ツナ君…ありがとう』
『いや、完全にオレの不注意だから』
『え…あ…そーじゃなくて─私が初めてこの時代に来た時、工場跡でツナ君に助けてもらったのに、ずっとお礼、言いそびれちゃってたでしょ?』
『えっ?』
【初めてブラックスペルと戦った時のこと…?】
『あの時すぐ言おうとしたんだけど…ツナ君、気を失っちゃって』
『いっ、いいのにそんなの!!』
『それに…実はあの時のこと、うまく思い出せなかったの…思い出そうとするとどうしても頭が真っ白になっちゃって…』
「えっ!?それって…」
「一時的な記憶喪失か…」
『でもビアンキさんに手伝ってもらって、今日やっと全部思い出したんだ』
『…京子ちゃん…』
『やっぱりあれはツナ君だった!!』
『え…?』
『私、何度もツナ君って叫んでたね!』
『…うん!』
京子の話を聞いて、毒気を抜かれたツナは彼女のように笑顔を浮かべる。
『私、変なんだよ。思い出したくなかったから真っ白だったと思うけど、今日は何度も何度も自分から思い出してるの』
『え!?あの戦いを?こ…怖くならない?』
『うん!』
ツナの問いかけに対し、京子は満面の笑顔で答える。
【か…かわいい…やっぱり京子ちゃんは太陽だ】
「そっか…ツナにとって京子ちゃんは、私にとっての未来みたいな存在なんだ…」
「…ん?今、彼女が持っているものは…」
『あ!!あったー!!お守りー!!』
『あっ、これ?シャワー室の更衣室に落ちてたから届けようと』
『着替える時、ズボンのポケットから落ちたんだ!!』
「アハハ…やっぱりドジだなぁ、ツナってば」
『ゴッ、ゴメン!!普段は大事にしてるんだよ!!ちゃんとポケットに入れてるんだけど!!』
『ん、知ってるよ。リボーン君が教えてくれたから。そこでみんなで相談して、ジャケットにこれをつけてみました!』
そう言って京子が洗濯物の山から取り出したツナのジャケットの内側には、お守りが丁度入る大きさのポケットが縫い付けられていた。以前からお守りをいれる場所に困っていたツナは大喜びでジャケットを受けとる。
『ありがとう!!明日はこれ着て…と……あ…』
『明日は過去に帰るための大事な日なんでしょ?みんな知ってるよ?』
『そ…そっか…』
ツナは少し俯くと、なにやら考え込む。
『京子ちゃん…オレ、必ずみんなを過去に…─』
『無茶しないで…』
『「え!?」』
ツナが顔を上げると、京子が心配そうな表情で見つめていた。
『そーだよね、無茶しちゃ意味ないよね!ハハハ!(かっこつけそびれたー!!)』
『10代目~!!夕飯っスよ~!!』
好きな人の前で格好つけそびれたツナのもとに、夕飯を知らせに獄寺達がやってくる。
その後、みんなで食堂にてパーティーを行い、ビアンキのポイズンクッキングを食わされかけたり、獄寺と山本がジュースと間違えてお酒を飲んだりと、ハプニングに見舞われながらも楽しい時間は過ぎていき、明日の作戦のために眠りにつくツナ達。
「ついにミルフィオーレに特攻か…!」
「見ているこちらも緊張してしまうな…」
「─ねぇみんな、なにか音がしない?ガリガリッて感じの…」
『何の音だ…?』
謎の物音に気づいたツナが部屋を出ると、山本とリボーンもその音に気づき廊下に出ていた。
『ツナも聞こえたか?』『うん』
『どーやらあれみたいだな』
リボーンに指摘された方向を見ると─
『酔っぱらって僕の所まで来たよ』
『ヒバリさんと獄寺君の猫ー!?』
着物を着た雲雀が、獄寺の匣兵器の猫をつまんで歩いてきていた。猫は雲雀から逃げ出そうと必死に壁をひっかいている。どうやらツナ達が聞いた物音はそれだったようだ。
そこへ物音を聞き付けた獄寺が遅れてやってくる。
『ああっ!!てっきり匣に戻ってっかと…何してやがったんだ、瓜!!』
【変な名前つけてるー!!】
「瓜ちゃん、って名前なんだ!可愛い名前だねー」
『シャアア!』
『ンゲェ!!やめろ瓜!』
【いまだなついてないし…】
『君達…』
獄寺が瓜にひっかかれ、その光景にクリスが笑っていると、雲雀の声が聞こえ全員が雲雀を見る。
『風紀を乱すとどうなるか知ってる?』
そう言って雲雀はどこからかトンファーを取り出し構える。
『おっ、おい!!』『てめっ』『ごめんなさい!!』
『…眠い…今度ね』
『ま…待てヒバリ!!』
あくびをひとつして、自分の部屋に戻ろうとする雲雀を獄寺が呼び止める。
『あ…あんがとな…いずれ、この借りは返す…ぜ』
『期待せずに待つよ。獄寺隼人』
『なっ!期待せずだと!?『あ、ヒバリさん!』』
『明日…一緒にがんばりましょうね』
ツナのその言葉を聞いた雲雀は一言…
『いやだ』
そう告げた。そして、その言葉に驚愕するツナ達を無視して言葉を続ける。
『僕は死んでも君達と群れたり、一緒に戦ったりするつもりはない─強いからね』
雲雀はそれだけ言うと、今度こそ自分の部屋に戻っていった。
「なんだろう…『強いから』の一言だけなのに、あの人のことを全然知らない私でも、不思議と納得できちゃう…」
「謎に説得力があるな…」
『お騒がせして申し訳ありません!!』
『い…いいって獄寺君』
『ハハハ!やっぱりヒバリは何年経ってもヒバリだな!』
『オレ達も寝るとするぞ』
その後、それぞれの部屋に戻って再び眠りについたツナ達。そのまま時は過ぎていき─突如、部屋中にサイレンが響き渡り、その音で目を覚ましたツナ達へ出撃命令が下される。
『何なんだ?』
急いで着替えたツナは、他の出撃メンバーと合流し副作戦室に向け走り出す。
『出撃って…?予定より早くない!?』
〔敵の急襲です!!2km離れた倉庫予定地に大部隊が集合している模様〕
〔ヒバリが、すでに向かってるぞ〕
『ヒバリさんが!?』
「お!通信内容も聞き取れるのか。本当にこの空間は何でもありだな」
「感心してる場合じゃないよ!雲雀さんが一人で大人数と戦ってるんだよ!?」
『敵は大勢いるんでしょ?一人じゃ無理だ!!オレ達も行かなきゃ!!』
『ならん!!それではヒバリが体をはる意味がなくなる!!』
『「え!?」』
〔集中した敵の兵力をヒバリが一手に引き受けることで地上と敵アジトの戦力は手薄になるんだ。ヒバリの行動に報いたければ殴り込みを成功させろ〕
「まさか彼は、最初から囮になるつもりだったのか!?」
【そ…そんな…】
〔地上監視ポイントより信号確認!!コースクリア─10代目!!今ならそのままFハッチよりルート312で敵アジトへつっ切れます!!〕
『ぐっ…』
〔お前はヒバリの強さを知ってるだろ?ツナ〕
『…わかった』
【ヒバリさん、頼みます!!】
『開けてくれジャンニーニ!!』
〔了解!!Fハッチ開口!!〕
行くぜ!!!
ツナ達は雲雀に後を託すと、地上に出るためFハッチに向かった…
ついにミルフィオーレ日本支部へ突撃!─というところで、今回は終わりです。
最近コロナがひどいですね…自分は今のところ無事ですが、いつどこで感染するか分からないのは本当に恐ろしい…