やっと!初のX-BURNER回を書けました!そして、未来編の厄介な中ボスが…!
『"見透かす"力…超直感─またボンゴレはウチの想像を上回ってきた…ますますそんな男の編み出した─X-BURNERの完成形を見てみたい!待ってろボンゴレ』
そんなことを呟きながら、スパナはパソコンを叩いてコンタクトディスプレイの調整を進める。そんな中、死茎隊はツナに手も足も出ず、全員のされていた。
「さすがツナ!こんなやつらにゃ負けやしねぇ!」
『ええい何してんだいあんた達!!あんなガキ1人に手まどって!!─そーかい燃えたりないんだね!!』
そう言うとアイリスは鞭を取り出し、再び死茎隊をしばきあげる。すると先程まで床に倒れていた死茎隊が起き上がり、全身の筋肉がさらに膨れ上がる。肩の筋肉なんか、頭よりも大きくなっていた。
「ひでぇ…あいつら、もう人としての原型を失っちまってるじゃねぇか!」
『行きな!!』
アイリスの命令と共に、死茎隊がツナに向かって腕を伸ばす。
それを回避したツナは、死茎隊の一人の背後に回りながら考える。
【正攻法じゃ消耗するばかりだな…よし!】
ツナは、回り込んだ死茎隊の周囲を飛び回る。そしてその動きが徐々に速まり─
『
死茎隊の体を炎の渦が包み込んだ。そして渦が晴れると、中からは原型が崩れ、肉の塊みたいになった死茎隊の姿が現れた。
「何あれ!?始めてみたよ!?」
「Xストリームは敵の肉体の周囲を超高速で移動し、相手の器官を片寄らせる技だ。他にも、発生する炎の渦に敵を閉じ込める、なんてやり方もできるぞ」
『ええい何やってんだい!!カス
リボーンが初めてXストリームを見た響達に説明していると、アイリスが鞭をもって肉の塊になった死茎隊に近寄る。
『あんたらこれしか能がないんだよ!!あたいはゴミはいらないよ!!』
アイリスはそう罵りながら何度も何度も鞭で叩く。すると塊になり動けなくなっていたはずの死茎隊が腕を動かした。
『甘いねぇボンゴレ!!こいつらは死なない限り戦い続けるよ!!』
【「何て奴だ…」】
『スパナ、X-BURNER用コンタクトはどうだ?』
『あとちょっと…』
『待ってろツナ…例のブツはもうすぐ完成だ。完璧なX-BURNERならそいつらだって…!』
『甘い甘~い─バ~!!』
そこへ聞き覚えのある声と、見たことのある攻撃がツナに襲いかかる。
『遅いじゃないか!!ジンジャー・ブレッド!!』
『おまたせ♪』
ツナが声の聞こえた方向を見ると、先程倒した個体と同じ種類の服ではあるが、色が真逆の白に変わったジンジャーが宙を浮いていた。
「あいつ、また来やがったのか!」
『気をつけろボンゴレ。そのジンジャーは本体じゃなく人形だ。あんたの超直感は効かない』
『フフッ…スパナ、本当に裏切ってんの♪おせっかいは─死刑決定な♪』
「危ない!」
パソコンをいじりながら話すスパナに、ジンジャーは容赦なく攻撃を行う。
『よけろスパナ!』
ツナがスパナに注意を促すが間に合わず、スパナを爆煙が埋め尽くす。
その光景を見たツナがショックを受ける。すると煙の中から、傷をおいながらも、パソコンを操作しながら走り出すスパナが現れた。
「あいつ…!調整なんかしてないで早く逃げろ!」
『ウチのメカニック魂をみくびるな。させると言ったら必ず完成させる』
「なんという意地だ…!」
『あいつ、妙なもん作ろうとしてるね…先にやっちまった方がいいよ、ジンジャー』
『賛成♪』
スパナがコンタクトディスプレイを作っていることに気づいたジンジャーは、走るスパナに
『ホラホ~ラ♪』
ジンジャーは走るスパナを面白がるように弾を撃ちながら追い詰めていく。
『ガホッ!ゲホッ!』
「あの野郎…あんだけ傷ついてやがるのに、まだツナのコンタクトの調整をしてやがる…!」
『……あと少し…』
「頼む!早く完成してくれ…!」
追い詰められながらも調整を行い続けるスパナ。ツナはそんな彼を助けようと、自分の体に巻き付いた死茎隊の腕を必死に剥がしていく。
『バイバイ、スパナ♪』
『できた』
『スパナ!上だ!!』
「いけない!避けて!!」
しかしツナの努力は報われず、絡み付いていた最後の腕を引き剥がす直前に、ジンジャーの攻撃がスパナを完全に捉えてしまった。
爆発によって、スパナが居た場所から黒煙がたちのぼる。
「スパナさんっ!!」
『ハハハハ!これが裏切り者の末路だよ!ざまーみろってんだ!!』
黒煙がたちのぼるなか、アイリスが爆発に飲まれたスパナを嘲笑う。しかし、スパナの努力は無駄にはならなかった。
黒煙が薄れ始めると、壊れたパソコンの傍で黒焦げで横たわるスパナの姿が…
そんな彼の手には、コンタクトディスプレイが入ったケースが握られていた。
「そういえば…!スパナさん、爆発に飲まれる前に『できた』って…!」
スパナは残った力を振り絞り、ケースをツナに向けて投げた。
『させないよ♪』
『ボンゴレをつかまえな!!』
それを阻止しようとジンジャーと死茎隊が動くが、ツナは死茎隊の腕をかわしケースを掴み─
ジンジャーの攻撃による爆発が、ツナを飲み込む─
『─眠るのはまだ早いぞ、スパナ』
そして、煙の中から現れたツナの両目には、それぞれ二本のスロットルバーが写し出されていた。
『お前が見たがっていた完璧なX-BURNERを見せてやる』
「届いた!スパナさんの努力が届いたんだ!」
「よっしゃ!こっからはツナの反撃開始だ!」
準備が整ったツナを見てもりあがる響達。するといきなり、彼女達とリボーン達の視界に、二本のスロットルバーが写し出される。
「うわ!?こ、これって…!」
「沢田の目に写し出されているディスプレイの映像か!」
「こんなのも見れるなんてな…ホント便利な空間だな」
『ツナ、コンタクトの使い方はわかってるな』
『ああ』
『フフッ♪たいそうもったいつけるけど、要は…ハッタリだね♪』
ジンジャーがそう言ってツナに向けて攻撃を行う。
ツナはその攻撃を右のグローブから柔の炎を噴射して回避する。すると、ツナと響達の視界に写る二本のスロットルバーの内、上のバーのゲージ半分が緑色に染まる。そして、今度は左のグローブから剛の炎を噴射させて移動すると、今度は下のバーのゲージ半分が赤色に染まった。
【よし…正常に作動している】
「スパナさんが言ってた通りだ!」
響は視界に写るバーを見てそう言葉にし、スパナが話していたコンタクトディスプレイの説明を思い出す…
~それは、ツナがコンタクトディスプレイの試運転を行う前のこと~
『説明するぞ、ボンゴレ』
コンタクトディスプレイを目につけ、ハイパーモードになろうとしていたツナにスパナが彼のヘッドフォンをもって話しだす。
『まず、コンタクトはあんたのヘッドフォンと音声で連動させてある。コンタクトの情報は耳からも入るはずだ』
『「耳からも…?」』
『次にディスプレイの見方だが、上のスロットルバーが
「なるほど…それならかなり見やすくなるな」
『そして、X-BURNERだが─「オペレーションX」のかけ声で自動的にコンタクトが発射誘導プログラムを開始する』
「あ!確かにツナがX-BURNERを撃とうとする度に言ってた!あれって気合い入れみたいなものかと思ってたよ…」
『画面がX-BURNER用に切り替わり、両手の位置で動くターゲットが出現し、上下のフルスロットルバーから中心に向けて出力のバランスラインが伸びる。安定したX-BURNERを撃つには、ターゲットを中心に合わせて左右の出力をまったく同じにすること─つまり、両メーターから伸びるラインを一直線にすることだ』
「─って、スパナさんは言ってたけど…」
「左右の腕の軸や左右の炎の炎圧量、そして放つ的…最低でもこの三つの調整を一度に行わなければならないとはな…」
スパナの説明を思いだし、響達がX-BURNERの凄さを改めて理解していると、ツナはスパナの傍まで移動し、空中で反転し静止する。そして─
『オペレーション……………
〔了解シマシタ ボス!
「─って、噂をすれば早速かよ!?」
『……いきなり空中で…?』
完成版の初回を空中で行おうとするツナを心配するスパナだが、そんな不安を打ち消すように、後ろに向けたツナの右手グローブから、過去のツナが今まで出していたものとは比べ物にならない程の大きさと純度の炎を放出し始めた。
「いきなり全力か!」
〔ジンジャー!!アイリス!!聞こえますか!?〕
ツナの放つ炎に気圧されていたアイリス達の通信機から、声が聞こえてくる。
〔モスカのレコーダーから戦闘記録を解析したところ、ボンゴレが起こすその攻撃は、高エネルギーを前方に放つ技だと考えられます〕
〔真っ向から受けては危険だ!!回避だ!!回避しろ!!〕
「!今の男性の声…もしかして、今のが入江さん?」
〔ライトバーナー 柔ノ炎 15万
そんな間にも、ツナのX-BURNERの準備は進んでいく。
コンタクトディスプレイに写し出されたターゲットマーカーが動き回るなか、ライトバーナーを示す上のスロットルバーのバランスラインがゲージ残り一つの状態で止まり、今度はレフトバーナーを示す下のスロットルバーのバランスラインが移動を始める。
そんな中、先程入江から回避命令を受けた筈のアイリスは、回避する様子を見せず、真っ正面からツナを見据えていた。
『アイリス…?』
『強力な飛び道具ってわけかい─面白いじゃないか』
アイリスはツナを見ながら、不適な笑みを浮かべる。
『マッスルスクラムだよ!!』
アイリスがそう命令すると、死茎隊が一ヶ所に集まって肩を組みはじめ、そのまま一体化していき大きな肉の壁が出来上がった。
「合体しやがった!?」
『受けて立つ気か…』
〔ターゲット ロック!ライトバーナー 炎圧再上昇!〕
コンタクトディスプレイに写し出され動き回っていたターゲットマーカーがマッスルスクラム状態の死茎隊を捉え静止し、上のスロットルバーのコントロールラインが移動を再開させる。
〔18万…19万…20万FV!!〕
ライトバーナーのゲージが最端に達し、ツナがゆっくりと左手を前に向け始める。
〔レフトバーナー 炎圧再上昇…19万…20万FV!!〕
さらにレフトバーナーのゲージも上昇を再開させ、
〔ゲージシンメトリー!!発射スタンバイ!!〕
『うおお!!』
ディスプレイの中央に『X』の文字が浮かび上がる。そして─
『
左グローブのクリスタルに蓄積されていた炎が一気に放出され、死茎隊やアイリスだけでなく、ジンジャーすらも巻き込みながら壁を貫いていく。その威力はすさまじく、風圧は傍にいたスパナの身体を浮かせ、一撃だけで部屋三つ分の壁をぶち抜いていき─炎が収まったあとには、炎に焼かれて部屋中黒焦げになった空間が出来上がっていた。
「改めてみても、凄い威力だ…!」
「あれだけのものをくらえば、いくら筋肉が増殖していようとも無事ではすまんだろう…ノイズを炭の欠片も残さず消滅させるほどだからな」
「そういえば余談だが、この基地の壁はすべて死ぬ気の炎への耐性が高い素材で出来てたらしい。そんな代物を三つもぶち抜くとは、今更だが流石だと言えるな」
「それってつまり、威力が化物じみてるってことじゃ…」
〔ジンジャー!!アイリス!!〕
響達シンフォギアメンバーがX-BURNERの威力に驚いていると、ジンジャーの成れの果てである人形の手首についた通信機から、入江正一の声が聞こえてくる。
〔…あまり期待はできないが…もし無事なら応答してくれ〕
『入江正一か』
ツナは通信機を拾うと、ジンジャーの代わりに話しかける。
『お前がオレ達を過去からこの時代に連れてきたのはわかってる』
〔…!!沢田綱吉か!!〕
『どこにいる?研究所と丸い装置はどこにあるんだ!!』
通信機の向こうにいる正一にそう投げ掛けるツナ。しかし、X-BURNERを受けてかなりのダメージが蓄積されていた通信機は、答えを聞き出す前に故障してしまった…
その後、怪我をしているスパナの治療をしていると、リボーン達の元に通信が入る。
『ツナ、草壁から緊急通信が入ったぞ』
『え?草壁さん!?』
『奴もここに来てるが、おまえ達とは無線のシステムが違うからボンゴレアジトに連絡がきてるんだ。それによると─10年前のヒバリが研究所近くの部屋で戦ってるらしい』
『「えっ!?」』
『他の連中も来ちまってるらしい。ラル・獄寺・山本・了平だけじゃなく、ヒバリにクロームにランボにイーピンもな』
『んなー!!?ヒバリさんに…クロームに…ランボにイーピン!?』
「ボンゴレファミリー大集合♪」
「さらに雲雀が10年前と入れ替わってしまっている…これはかなり不味い状況ではないか…?」
『くわしい話は後だ。これで研究所の位置はつかめそうだが、幻騎士って奴と戦ってて、かなりヤバイらしいんだ』
「な!?」
【ゲンキシ…?ヤバイって…】
『ウチもつれてけ、ボンゴレ』
ツナがリボーンの話に夢中になっていると、傷だらけのスパナが同行しようとする。
『ちょっ!でもそのケガじゃ…』
『X-BURNER用コンタクトはデリケートなんだ…メンテナンスはウチにしかできない。それに足手まといにはならない』
そう話すスパナの手には、太くて長いチューブが握られていた。
その後、ツナがチューブの先端を自分とスパナの身体に巻き付けて繋ぎ、スパナは飛んでいる最中に振り回されないよう制御するための小型パラシュートが二つついたバックをからうと、ツナはハイパーモードになり目的の研究所に向け飛翔する。
『大丈夫か?スパナ』
『……問題ない』
いっとき飛び続けた後、スパナが今のスピードに耐えれることを確認したツナは、炎圧をあげさらに速度を上昇させる。
『リボーン、研究所はまだか?』
『ああ、直線ならすぐだがルートが入り組んでてな』
『おまえ…みんながここに来てること、知ってたのか?』
『知らねーぞ。この時代のヒバリ達がクロームとランボ達を勝手に連れ出したんだ。オレ達の目を盗んでな』
『……なんでランボまで…』
「そうだよ!まだ子供のランボ君やイーピンちゃん、それに容態が安定したのか分からないクロームちゃんまで…何で連れてきちゃったの!?」
『そりゃあ、あれだろ?ボンゴレの守護者だからだ』
「守護者だからって理由で…」
『そーいや、ツナ。確認し忘れたんだが…』
リボーンの返答を聞いたツナは、眉間のシワをさらに深くする。そんな彼にリボーンが何か聞こうとしたその時、ツナ達の目の前を壁が塞がんと動き出した。
徐々に閉まる壁の隙間を通り抜け、大きく開けた空間に出たツナは、すぐにチューブを引き、壁が閉まるギリギリのところでスパナを手繰り寄せて分断を阻止する。
『これは…』
『入江の仕業だな『!』獄寺の情報では、奴は基地の中を自由に動かせるらしい』
「なんだと!?」
「えと、つまり…私がメローネ基地の地図を見た時に言ってたことって、大体あってたって…え!?」
『…すごい。さすが正一らしい仕掛けだ』
リボーンの話を聞いたスパナが感心していると、彼らの頭上から今度は巨大なブロックが複数降り注いできた。
それを見たツナは、スパナが巻き込まれないようブロックから少し距離を離してかわしていく。
『リボーン…確認し忘れたことって何だ?』
『お前、大事なお守り忘れてこなかったか?』
「あ、そういえば…」
『…ああ、忘れてない』
リボーンの質問にそう答えたツナの胸ポケットからは、彼のいっていたお守りの紐が隙間から飛び出していた。
「いきなりだけど、ここでメローネ基地について説明するね♪このメローネ基地は、正チャンが僕に頼みこんで作成した超巨大な匣─正確には、匣兵器と言うよりモスカみたいに死ぬ気の炎を動力にした機械ともいえる巨大建造物なのさ」
「はぁ!?この基地全部が、入江って奴の一つの匣だと!?」
「その通り♪300メートル角の立方体で構成されていて、晴属性の炎による活性の力でコケを成長させて、その力で各ブロックを組み変えることが出来るのさ!まあ簡単にいえば、植物を晴の活性で操って、その力で部屋を移動させてるってわけ♪だからそれを応用すれば、
そう言って白蘭が指差した先─上空を見上げた響達の視界に入ったのは、人を容易に飲み込めるほどの大きさまで成長したハエトリソウの群れだった。
「ハァァ!?」
『……これ…』
『「食虫植物ってレベルじゃない…!!」』
巨大なハエトリソウの群れが迫るなか、ツナは胸ポケットのお守りを握りしめ、秘密基地で自分達の帰りを待っている京子達女性陣とジャンニーニ、そして共にメローネ基地に潜入している仲間達の姿を思い浮かべる。
【邪魔をするな!!】
ツナは死ぬ気の炎を纏ってハエトリソウの群れに突っ込んでいき、すべてのハエトリソウを突き抜けていった。その光景をみたシンフォギアメンバーが驚きのあまり固まってしまう。
その後、ツナ達は通り抜けた先で大量の追尾ミサイルに追いかけられる羽目になったが、スパナが持参していきた特製チャフ・フレア砲で撹乱させるファインプレーを見せ難を逃れる。
そしてツナ達は、入江正一の研究所及び目的の装置までのラストスパートである直線の空間に入った。
「ここを通り抜ければ…」
「いよいよ目的のブツにたどり着けるってわけか」
「でも、かなり重要にしてる装置っぽいから、簡単にたどり着けるとは思えないよ…」
「そうそう、人間って大事なものほど厳重に守るからね♪だから正チャンは、最後の関門として
「彼…?それはいったい…」
『そろそろ草壁から連絡があった地点だぞ』
響が白蘭のいう彼が誰なのか不思議そうにしていると、ホログラムのリボーンが目的地が近いことを知らせる。するとツナ達の遥か前方から、なにやら大きな物体がこちらに向けて近づいてきていた。
ツナとシンフォギアメンバーが目を凝らすと、向かってきていた物体はなんと─
【「ロケット!?」】
『まかせろボンゴレ。またウチが
先程多くのミサイルを撹乱させたチャフ・フレア砲を手に持ったスパナを確認したツナは、グローブの炎を操作してスパナの背後に移動する。そして前に出たスパナが、チャフ・フレア砲を前方に放った。
すると不思議なことに、迫ってきていたロケットが徐々に分裂し、最終的に24つの小型ミサイルになるまで分裂すると、トビウオに変化したのだ。
その光景をみたツナは、繋いでいたチューブを切断してスパナを下ろし、向かってくるトビウオ達を死ぬ気の炎を膜状の壁を展開して受け止める。
ツナが展開した壁にぶつかったトビウオ達は爆発を起こし、ツナが発生した煙を潜り抜けると、今度は大きな槍を持った、巨大な鎧が待ち構えていた。
【人…なのか!?】
「なんだ、あの鎧は!?さっきまではあのようなものはなかったはずだぞ!?」
「一体全体どうなってやがんだ!ロケットがトビウオになりやがったと思ったら、今度はでっけぇ鎧が出てきやがって!」
シンフォギアメンバーが目の前で起きている現象に困惑するなか、ツナは鎧に迫り、力を込めた拳を振り抜く。すると鎧は簡単に砕けちり、中から霧が溢れ出す。そしてツナの素肌に謎の切り傷が現れ出した。
「何が起こってるの!?」
「霧─そうか!先程の鎧は霧の炎で『構築』した幻!つまり目に見えない敵が─」
【いる!!】
超直感で気配を感じ取ったツナが後ろを振り返ると、剣を持った男がすぐそばまで迫ってきていた。ツナは振り返ると同時に、迫ってきていた剣をグローブクリスタルで受け止める。すると横から別の気配を感じ、反対の手から炎を展開して防ぐと、爆発が起こる。そして間髪いれず先程爆発したナニカと同じ気配を感じ取ったツナが上に急上昇すると、先程までツナが居た場所で爆発が起こり、男がその爆発に巻き込まれた。
「自爆、したのか…?」
「そうだったとしても一体、どっから爆発物が…」
『よく見破ったと言いたいが、相手が超直感を持つボンゴレである以上、驚きはしない』
翼が落下していく男を観察していると、ツナの背後に突如、先程爆発に巻き込まれ落下していったはずの男が現れた。
「なんでだ!?あいつは確かにさっき、爆発を食らって…!」
「まさか、あれも幻だというのか!?」
度重なる幻術を前に困惑していると、突如周囲の景色が変化する。
「今度は周りの風景まで…」
「こんな何度も幻を見せられちまったら、何が現実か分からなくなっちまう…!」
『ここは通行止めだ。研究所には指一本触れることもかなわぬ』
『ボンゴレ!!そいつが6弔花の幻騎士だ!!』
「あいつが雲雀と戦りあってたっていう…!?」
『なぜ、ここに…?みんなと戦っている相手のはず…』
「そうだよ!なのになんで!?みんなは!?」
『…みんな?貴様の守護者のことか』
響達が困惑するなか、そう呟いた幻騎士に視線が集中する。
『なかなか手こずったが、奴らは今頃─藻屑と化してるだろう』
「なんだと!?」
「嘘、だろ…!?」
『何をした!!』
幻騎士の発言を聞いたツナは怒りを露にし、幻騎士に迫り殴りかかる。しかし、ツナの拳は幻騎士が居た場所に突如現れた骨にぶつかり、横にかわした幻騎士が剣の柄頭でツナの顔を殴る。
「いきなり骨!?」
「しかもあの現れ方…まるで
「お!感がいいね翼チャン!あの骨は、幻チャンが身に付けてる"
白蘭が説明をしている間に、ツナは体勢を立て直し、背後に回った幻騎士に殴りかかりラッシュを行う。
『─所詮、子供』
しかし幻騎士は、ツナのラッシュを手に持った剣で全て防ぐと、再び背中に回り込み、両手の剣で斜め十字に斬りつける。
『ぐああ!!』
「ツナ!!」
そして幻騎士は追い討ちとばかりに、勢いをつけたかかと落としを決めてツナを地面まで叩き落とした。
『ボンゴレ!』
『ぐ…ああ…』
『あいつハンパねーな…オレの見る限り、10年後のヒバリと同じレベルの体術だ…今のツナじゃ歯が立たねぇ…』
「そんな…!」
「それだけじゃないよ?彼には、ボク直々にとあるアイテムを3つ渡してあるんだ♪」
「白蘭さんが、直々に…?」
「おい!奴の様子がおかしいぞ!」
白蘭の言葉に食いついていた響がクリスに促され幻騎士を見ると、彼の体を霧が覆い始めていた。
「1つ目はさっき言ってた、霧属性最高ランクのリングである"骨残像のヘルリング"。2つ目は、匣兵器の開発に携わった人物の一人であるケーニッヒが残した霧属性最強の剣である"
白蘭の話を耳で聞きながら、霧が晴れて大戦装備を身に纏った幻騎士を目の当たりにした響達が息を飲む。
『うう…』
『白蘭様は貴様を全力で倒せと仰せられた─白蘭様の言葉は神の啓示─くつがえることはない』
「神の─」「啓示?」
「さすが幻チャン、ぶれないなぁ!幻チャンはね、以前ワクチンが存在しない流行病に感染して死にかけてたんだ。そんな彼を、存在しないはずのワクチンで救ったのがこのボク♪それ以来幻チャンってば、ボクに忠誠を誓うようになって神様扱いしてくれるようになったんだ」
『無駄な抵抗はやめ、一息に殺されるがいい』
幻騎士は、背中から大量の血を流し、地面で仰向けになっているツナを見ながらそう告げる。
『オレとの実力差は骨身にしみてわかったはずだ…同じことを貴様の守護者共にも言ってきたが、どいつも力の差をわかりつつ抵抗し無惨に散った─貴様はそれほど愚かでもなかろう、ボンゴレ
剣を構え、冷たい目で見ている幻騎士に対し、ツナは痛む体に鞭を打って何とか起き上がる。
『……お前の強さは…よくわかった』
「ツナさん…」
『…だが─わかっていても、オレは
ボロボロになりながらも、そう言って幻騎士を睨み付けたツナの瞳には、未だ確固たる覚悟が残っていた。そして、彼の瞳を見た幻騎士は何やら動揺を見せる。
「沢田達の前に現れてから、一度も表情を変えなかった男が、動揺した…?一体何が…」
『オペレーション…X』
〔了解シマシタ ボス!X-BURNER 発射シークエンスヲ 開始シマス!〕
起き上がったツナは、すぐにX-BURNERを放つ準備を始める。
「きた!X-BURNERなら、例え雲雀の野郎くらい強いやつだって…!」
「しかし、先程のジンジャー・ブレッドとアイリス、死茎隊との戦いで入江正一がX-BURNERの存在を知っていたと言うことは、奴にもまた─」
〔ライトバーナー 炎圧上昇!2万…〕
『それはさせんぞ』
翼の予想通り、幻騎士はツナがX-BURNERの体勢に入ったのを確認すると、すぐさま接近し斬りかかってきた。
ツナはライトバーナーからの放出を止め、すぐに両手をクロスして防ぐが、勢いに負け吹き飛ばされてしまう。
「やはり承知の上かっ!」
「しかもあいつの剣、斬るときにまるで分裂したかのように増えやがった!」
【─だがやはりX-BURNERの情報を知っている…】
吹き飛ばされながらも、何やら考えていたツナはそのまま壁に叩きつけられる。
「ああ!」「ツナ!」
『バカツナめ…ただでさえX-BURNERは発射までにスキがでかいんだ。あれを奴相手にあんなバカ正直に撃てるわけがねえ』
『…問題はそれだけじゃない』
「なに?」
『ボンゴレの
『やはり、そうか…ツナの疲労はピークに達してるんだ…連戦と3回のX-BURNERでもう気力もほとんど残ってねえんだろう…』
『……この出力ではX-BURNERを撃てたとしても…』
「奴を倒すまでには至らない、か…っ」
現状のツナでは打つ手がないことを知り悔しむ翼。
〔─リボーン…〕
すると、ボンゴレの通信に息の荒いツナの声が届いた。その声を聞いたリボーンは、自らの声を潜め話しかける。
『…ツナか?』
〔─頼みがある…〕
『どうしたツナ、言ってみろ』
リボーンがそう言うと、ツナは頼みごとを伝え始める。そしてその頼みごとを聞いたボンゴレ基地メンバーと響達は驚きを見せた。
『なるほど…目には目をか!あいつばかり凶悪な武器を使いまくってずりーからな』
「確かに…それが成功すれば、奴とも戦えるようになるかもしれない…だが…」
『だがそんな手が通用する相手とは思えねーぞ?もしうまくいっても、それは一回だけだ。しかも一瞬だぞ』
『─…一瞬あればいい…』
話し合いが終わり、立ち込める煙から姿を表したツナの前には、ゆっくりと降りてきていた幻騎士が待ち構えていた。
『…我が幻剣の太刀は、分裂させ複数ポイントの同時攻撃が可能。超直感で気づくことができても対処はできぬ』
「やはりか…例えどれ程鍛えた者でも、人の技であそこまで太刀筋を増やすことができるはずもない」
『散るがいい』
そう言い放つと、幻騎士はツナに斬りかかる。
ツナはすぐに上空に飛び回避するも、次の瞬間、彼の周りで爆発が起こり、爆風に巻き込まれてしまう。
「またあの爆発か!いったいどこから攻撃してきやがる…!」
『…当たるなよ…』
『ぐあ!!』
『ボンゴレ!!』
『…ツナ!!』
幾度も起こる爆発の中、ツナは目に見えぬ攻撃から逃れると、そのままどんどん高度をあげていく。それを見た幻騎士は、止めをさすべく彼の後を追う。
『最後にオレに背を向けるとは、愚かな死を選んだな…見損なった』
そしてツナに追い付いた幻騎士は、幻剣で容赦なく斬り捨てた…しかし次の瞬間、幻騎士が斬り裂いたツナの体がまるでノイズが走ったようにぶれ始める。
「よっしゃぁ!あいつ、まんまと偽物に引っ掛かりやがった!」
ガッツポーズをとるクリスの言う通り、幻騎士が斬ったツナは偽物─ツナのヘッドフォンから写し出されたホログラムだった。そして本物のツナは─すでに幻騎士のいる位置から離れた場所で、X-BURNERを放つ準備を着々と進めていたのだ。
〔レフトバーナー 炎圧上昇!2万5000…3万FV〕
その事に気づいた幻騎士は、すぐに方向転換しツナに迫る。
〔ゲージ シンメトリー!発射スタンバイ!!〕
『たった3万!?炎圧が弱すぎる!』
チャージ炎圧の弱さにスパナが驚くなか、ツナはその炎圧で迫りくる幻騎士にX-BURNERを放った。
『こうなれば─斬る!!』
すると、幻騎士は幻剣に霧の炎を集中させ、X-BURNERをど真ん中から斬り割いてツナとの距離を徐々につめ始めた。
『やはり弱い!!』
「いや、これでいい!これで─」
そのまま幻騎士はツナとの距離をつめていき、幻剣がツナの額を捉えた─かに思えた。
『…情報に踊らされたな…』
ツナが静かな声で呟く。
『おまえはX-BURNERを警戒するあまり…太刀筋を分裂させず、最も強力で確実な一本に絞った…それならとれる…』
「更に奴は、一本に絞った際に自らの死ぬ気の炎を集中させた…その行為が、この戦況を覆すとも知らずに─」
『…あの構え』
死ぬ気の零地点突破 改 白羽取り!!!
ツナは、自分の頭に振り下ろされた幻剣を白羽取りするようにして、死ぬ気の零地点突破 改の構えを取るという神業を披露して見せた。
そしてそのまま、零地点突破改で幻騎士の全身から炎を吸いとっていく。
『ぐ!!』
幻騎士は急速に炎を吸われながらもどうにか振り払うが、すでにかなりの炎を吸いとられて息が上がっており、逆にツナは額とグローブから溢れる炎が膨れ上がっていた。
『これで本気で闘える』
『…確かに炎は大きくなったようだが…まるで今まで本気を出せていなかったような口ぶりだな』
『そうだ』
息を整え、表情を崩さずに話す幻騎士に対し、ツナは一言そう答えると、一瞬にして幻騎士の懐に入り込み、強烈なアッパーカットを叩き込んだ。
そしてすぐさま追い打ちをかけようとするが、幻騎士も黙って殴られるつもりはなく、ツナの連撃を幻剣で防ぎつつ、霧の幻覚を用いてツナの背後に回る。
だが、ツナは幻騎士の反応速度を上回る速さで逆に背後をとり、振り向いた幻騎士の頬に渾身の右ストレートを叩き込み、壁に叩きつけた。
「無事に炎を回復できたようだな」
「あいつがどっかのバカみたいな無茶な案を言い出した時はヒヤヒヤしたが、これでやっと麻呂眉やろうをぶっ倒せるぜ!」
『炎力を回復しただけじゃない…モスカ戦の時より最大値が上がってる…戦うたびにボンゴレは強くなっている』
『確かにな…………だがおかしいぞ』
「そう?別におかしいところなんてどこも…」
『幻騎士の動きに精細がない…ツナがいくら強くなったって、こんな差がつくはずねぇ…幻騎士が戦いに集中できてねぇ感じだ』
「確かにリボーンの言う通りだ…沢田が奴に戦う意思を示した時から少し様子がおかしかったが、先程沢田が幻剣を受け止めた直後から、明らかに動揺が見えていた…だが、一体なぜ…?」
「…?どうしたんですか?ユニさん。どこか辛そうな顔をして…」
「大丈夫です…ただ、白蘭に忠誠を誓っている彼を見ていると、少し悲しくて…」
未来が悲しげな表情を浮かべるユニを心配する。その直後、幻騎士が突如忠誠を叫び、溢れ出した霧の炎が彼の体を覆い隠す。
それから少しして、炎の中から現れた彼の姿は最早、人とは言えない─骸骨の姿になっていた。
「お、おおおオバケ!?」
「あれも幻覚なのか!?」
「そう願いたいが…」
「あれは幻覚なんかじゃないよ♪ヘルリングで戦力を増加させたのさ」
「あの…さっきから出てきてるヘルリングって、一体何なんですか?ツナたちが持ってるボンゴレリングとは何が違うんですか?」
「ヘルリングは、死ぬ気の炎が発見される以前より存在してた6種類の「霧属性」最高ランクの呪いのリングなんだ♪そのレア度は5ツ星!それぞれが別の呪いを宿しているとされていて、使用者との契約で強大な力を享受するとされてるよ。けど、その力を得るための必要な契約は地獄との契約で、その力を受けたものは代償としてリング自身に己の精神を食わせることになるのさ」
「精神を、食わせる…!?」
「使用者の中には理性を失い人格が変わってしまう者もいると言われていて、温厚だった人物が凶悪な独裁者になった裏にはこのリングが関係していたとされてるなど、曰く付きのリングなのさ」
『ハァアハハ!!オレにもう弱点はない!さあ、その目玉をえぐってやるぞ』
「なんかキャラ変わってない!?」
「どうやら、理性を失うのは本当らしいな…」
『お前には無理だ、化物』
『へらず口の
理性を犠牲にしてパワーアップした幻騎士は、幻剣を振り回しながらツナに急速に迫った。
ツナは幻騎士の攻撃をグローブクリスタルで防ぎ、一瞬の隙をついて彼の背後に移動し回し蹴りを入れるが、骨残像のヘルリングの効果によって幻覚の骸骨がダメージを肩代わりし、その隙に幻騎士がツナに斬りかかる。
ツナは残撃をすぐに回避し、幻騎士の周りに何度か残像を残してフェイントを入れつつ、再び彼の背後に回る。
そして、あらかじめ予想していたのかすぐさま振り向き斬りを入れてきた幻騎士の攻撃をかわし殴りかかるが、幻騎士も同じく拳を振り抜いており、両者共に見事なクロスカウンターが決まる。
「なんて戦いだ…」
「奴の炎を吸収して強化した沢田と渡り合うとは…相当な精神力を犠牲にしたのだな…だが…」
『やはり、たいして強くなってないな…』
『何!!』
『お前の強さは、研ぎ澄まされた感覚のキレと、それを無駄のない動きに変える、冷静で抑制のきいた判断力にある…頭に血がのぼっていては─恐くない』
「確かにな…今みてぇな力任せよりも、最初みてぇに幻覚で翻弄される方がよっぽど戦りづらいからな」
『…ク─ハァハハハ!!こんなものがヘルリングで増加したオレの力だと思ったか!!真の力はこれからだ!!』
直後、幻騎士の口内が輝きだし、吐き出されるように骸骨が飛び出してきた。
「また骸骨が出てきた!」
「分身か!?」
飛び出した骸骨は、徐々に人を形取っていく。そして、骸骨が化けた人物は─
『…ツナ』
「山本さん!?」
山本に化けた骸骨は、そのままツナの元まで飛んでいき、彼の首に掴みかかった。
骸骨が親友に化け、自分の首を絞め始めたことで混乱しているツナに対し、幻騎士は更に骸骨を増やしていく。次に化けたのは─
『…ボス』
『10代目!!』
「クロームちゃんに、獄寺さんまで…!」
二人も山本と同じく、ツナの元に行き首を力強く締め上げる。
『がはっ』
『しっかりしやがれ、ツナ!そいつらは幻覚だぞ!』
『……わかってる!!』
『おーっと!消していいのかな?その幻覚達と貴様の本当の守護者達の命はつながっているのだぞ!!』
『「何!?」』
幻騎士のもたらした情報に驚くツナの元に、幼少組の二人が追加される。
『ランボにイーピン!!』
「やろう!ツナにハッパかけやがって!」
『奴の言ってることはハッタリだ…と言いてぇが、守護者達との連絡が断たれた今、違うという確証もねぇ…手が出せねぇ…』
「そんな!?」
「では、沢田はこのまま友人達に絞め殺されるしかないというのか!」
『くっ!やめろっ!はなすんだ!!』
ツナは守護者達の幻覚を必死に引き剥がそうとするが、力を緩める気配はいっこうにない。
『ハハハ!!何しても無駄だぞ!!奴らの意思とは関係なく、体が勝手に貴様を怪力でしめつける!!奴らを殺さぬ限り、ふりほどくことは不可能!!貴様に仲間を殺せるのか!?』
「そんなこと、ツナにできるわけがない…!」
「あの野郎…ツナが仲間を殺せないことを理解しててやってやがるな…!!」
「なんて卑劣な真似を!!」
『…沢田』
『沢田さん…』
必死にもがくツナの元に、残っていた三人─雲雀、ラル、草壁が加わった。
『うわああ!!』
そしてツナは、仲間達に首を絞められながら、落下していく…
今回はここまでです。
次回はチョイス戦手前まで行ければいいなと思っています。