戦姫燈炎SYMPHOGEAR!   作:生粋の名無し

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どうも、生粋の名無しです。

今回は翼さん大興奮の回。そしてツナとリボーンに関わりの深いあの人が登場します。


ツナの過去(10年後編):⑪

 地上に上がったツナ達が、最後に向かった場所。そこは─

 

『わ~!変わんないっ!!』

『10年間、増築も改築もされずに…』

『極限に健在だな!!』

「ここが、元の世界でツナが通ってた中学校かぁ…」

 

 響達は感慨深そうに、目の前に建つ『並盛中学校』を眺めた。

 

 

 

 

 

 

 その後響達は、ツナ・獄寺・山本・京子の四人の後を追って、彼らの教室である2-Aに入る。

 

山本『オレの席はここだな』

京子『なつかしー!』

 

 四人は自分達の席に着き、未来に飛ばされる前の日々を思い起こす。

 

山本『この角度だと、寝てても気づかれねーんだよな』

獄寺『オレはそんなことしなくても、教師に一発ガンくれてやりゃ寝れたけどな』

「アハハ…二人とも、らしいと言えばらしいんだけどね…」

 

 オレ 今まで…

 学校のことを好きだなんて思ったことなかった…

 

「あ、また開いた」

 

 二人の話を聞いてツナと京子が笑っている横で、三度開かれるノート。

 その後、了平やハル達と合流したツナ達は、学校の屋上に上がる。

 

 でも学校は 10年経っても昔と何も変わらずに迎えてくれて…

 

『この風この風!』

『気持ちいいな…』

 

 忘れていた思い出を たくさん甦らせてくれた

 

『…ツナ』

 

 こんなに楽しかったんだ!!

 

『ねえねえツナ~』

『ちょっとは大人しくしろよ~』

 

 また あの時に戻ったら 絶対もっとかみしめよう

 そう誓ったら

 なんだか 空っぽだった気力が回復していくのを感じたんだ

 

 

 

 

 

 

『しっこでちゃった~』

『んなー!!?』

「「ブフォ!?」」

 

 心地良さそうに風を感じるツナ達をみて、同じように感慨深くなっていた響とクリスだったが、ランボの一言を聞いて吹き出してしまう。他のシンフォギア組三人も驚いてはいたが、二人のように吹き出すほどではなかった。

 

『何やってんだランボ!!』

『ウ○コもでる…』

『ちょっ、まてー!!』

「せ、せっかくいい感じで終わりそうだったのに…」

「あのウシガキ…!」

 

 忌々しげにランボを睨むクリス。そんな彼女を見て、翼達三人は苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『じゃあツナ兄達、メローネ基地にお弁当だけ置いて帰ってきたんだ』

 

 外は暗くなり、夕飯の準備をしているボンゴレアジトの食堂で、フゥ太が味噌汁を掬いながらツナに話しかける。

 並盛中での『ランボお漏らし騒動』の後、ツナ達はフゥ太の言った通り、メローネ基地に弁当を届けた後、直ぐにアジトに戻ってきていた。

 

『うん。入江君もスパナも何か真剣にやっていて、とても話しかけられる雰囲気じゃなかったからね』

「何作ってたんだろう、二人とも…」

「なんにせよ、それだけ『チョイス』とやらは準備が必要な戦いなのだろう」

『なーに!お前達もすぐに、死ぬほど忙しくなるから心配すんな』

 

 目を輝かせる山本と獄寺に対し、ツナはリボーンの言葉を聞いて驚いた顔をする。

 

「あからさまに嫌そうな顔してるね…」

『なんで休み中にそういうこと言うかな…』

『お前達、夕飯くったらちょっとつきあえよ』

『え゛…ちょっとって何だよ…』

【すごい嫌な予感がする…─?】

『そういえば席が空いてるけど、誰の席?』

 

 ふと気がついたツナが、話をそらすようにしてハルに問いかける。

 

『クロームちゃんです…帰ってから一回もごはんを食べてないんです』

「『えっ!?』」

『でも、ごはん食べられるぐらいに回復したって…』

『お部屋の前にごはん…置いてきたんだけど…』

「大丈夫なのかな?クロームちゃん…」

 

 この場にいない少女を心配する響達。その後、夕食の時間になっても、クロームが来る気配はなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なんだよリボーン。こんなとこ連れてきて』

 

 夕飯後、言われた通りリボーンの後をついてきたツナ達は、三人が訪れたことのない謎の部屋の前まで来ていた。

 

『一体、何の部屋スかね…』

「それよりも私、クロームちゃんが心配なんだけど…」

『思ったより早く機動力対策はできそうだな』

『ハイ!スパナなんかに負けられませんからね』

 

 部屋の中からジャンニーニが姿を見せる。

 

『ここはこの時代の、10代目のコレクションルームの一つなんです』

「この時代のツナのコレクション!?チョー気になる!」

『ちょっと失礼しますよ10代目』

 

 響が興奮する中、ジャンニーニがメジャーでツナの足の長さを計り始める。

 

『やっぱり短いですね。

『なっ!?』

「あー…確かにツナって足短いかも」

『何なの一体!?』

『やはりサイズ的にも、ヴィンテージのアレがいいでしょうね…待っててください、すぐ用意しますんで』

 

 そう言ってジャンニーニは、コレクションルームの中に入っていく。

 

「足の長さ…そしてヴィンテージ…もしや…」

『わけわかんないぞ!リボーン!!』

『1日早い課外授業ってやつだな『な?』白蘭に勝つには、リングと(ボックス)だけじゃダメだってことだ』

 

 ツナはリボーンの説明に納得がいかず、さらに問い詰めようとした─その時

 

 

 

 

 

 

 ツナ達を物凄い轟音が襲ってきた

 

 

 

 

 

 

「何この轟音!?」

「廊下に響いてさらに煩くなってやがる…!」

「これじゃあ、ツナ達の声が聞こえないよ!!」

 

 あまりの轟音にほとんどの者が耳を塞ぎつつ、声を大にして話すなか

 

「このエンジン音は…!」

 

 ただ一人、翼だけは耳も塞がず、逆に音に聞き入っていた。

 そんな彼女の瞳が輝いて見えるのは勘違いではないだろう。何せ、ジャンニーニがコレクションルームから持ち出したのは…

 

 

 

 

 

 

 白と青がメインを占め、所々に塗られた黄色が目立つ1台のバイクだったのだから

 

 

 

 

 

 

「これは─」

「バイク!?」

「未来のツナって、こんなものも集めてたんだ…」

『このマシンは私も敬愛するレーサーレプリカですが、最新のテクノロジーでちょっとイジってありましてね─』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HONDAのNSR250R SPロスマンズではないか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャンニーニの説明を遮るようにして、翼がバイクの車種を叫ぶ。

 

「うお!?ビクッた…どうした一体?」

「このバイクはあの本○技研工場が1993年に発表したレーサーレプリカのモデルで、NSR250Rとしては最終モデルなんだ!私も名前では聞いていたが、実際に目にする日が来ようとは…!外観上最大の変更点は、MC21で採用された『ガルアーム』が、片持式スイングアームである『プロアーム』になった点だが、これは耐久レーサーRVFからのフィードバックで「あー、分かった分かった!一回落ち着け!」」

『いいかお前ら。匣兵器だけじゃなく、こいつも白蘭との戦いの前に乗れるようにするからな』

 

 かなり興奮気味に喋る翼をクリスがどうにか止める。気付けば、ジャンニーニの説明は終わり、リボーンが話し始めていた。

 

『はあ?なんでバイクが白蘭との戦いと関係あるんだよ!?』

「それは確かに…」

『正一の情報により、白蘭との戦いがうっすら見えてきたからだ』

『あの"チョイス"っていう?』

『戦場となるフィールドの広さは直径10km。機動力がものをいうんだ』

「『10km!?』」

(ひれ)~っ』

『ボクシングのリングだとすると…極限な広さだな!!』

「スカイタワー何個分!?」

『ですがリボーンさん。オレ達ならともかく、すでに10代目はすばらしい機動力をお持ちですよ』

 

 そんなことを言ってきた獄寺に、リボーンとジャンニーニは揃って人差し指を左右に降りながら舌を鳴らす。

 

『『チッチッチッ』』

『な…なんスか!!』

『恐らく10代目のグローブの炎をはじめとする死ぬ気の炎は、レーダーで探知されます。炎を探知されない移動手段も視野にいれる必要があるのです』

『なるほど~』

「それに、死ぬ気の炎も無尽蔵というわけではないのだろう?移動での消耗が、後々不利になる可能性もある」

「おー!翼チャン頭いい~♪」

『だからって、オレ達中学生だぞ!?バイクなんて乗ったらケーサツに捕まっちゃうよ!!』

『10年前の世界ならな』

 

 リボーンはそう言って、懐から四枚のカードを取り出す。

 

『この時代では、お前達はプラス10歳なんだ。ちゃんとこいつが発行されてんだぞ』

 

 ツナ達は、リボーンから渡されたカードに目を凝らす。そして、顔写真の横に書いてある文字を見て声をあげた。

 

『う…運転免許証~!!?』

『実際、この時代のお前達が使ってた正真正銘の本物だからな』

『ただし周りに迷惑をかけないためにも、教習所で習うことはみっちり学んでもらいますよ?トレーニングルームには、簡単なコースも作りましたので』

『ちょっ、ヤダよオレ~!!バイクなんてムリムリムリ!!』

 

 必死に拒絶しながら、手に持った免許証をリボーンに返そうとするツナ。

 

『本当にダメツナだな…ふつう大喜びするとこだぞ』

「そうだぞ沢田!何をそんなに嫌がる必要がある!」

「翼さん落ち着いて!こっちからの声は聞こえてないから!」

『考えるより感じろだ。とりあえずまたがってみろ』

 

 リボーンにそう言われ、その場でバイクに股がるツナ。

 ツナの足の長さとロスマンズの車高はジャストサイズで、バイクに乗った彼は意外とさまになっていた。

 

「結構似合ってんじゃねーか!」

『決まってますよ10代目!!』

『よし。んじゃ、左手のクラッチを握ったまま、左足を蹴ってギアを一速に入れてみろ』

 

 ツナは言われるまま、クラッチを握り左足のペダルを踏み込む。

 

『よーし、右手でアクセルをぶん回せ!!』

「いや、クラッチを握ったままでそれは─」

 

 ツナがアクセルレバーを最大まで回し、エンジン音が大きくなっていく。

 

『今だ!!クラッチをパッと放せ!!』

「待て!今の状態で放せば─!」

 

 

 

 

 

 

 アクセル全開の状態でクラッチを放したことにより、バイクはウィリーのように前輪が浮き上がり、そのまま後ろに転倒した。

 

 

 

 

 

 

『じゅ、10代目!!』

『大丈夫かツナ!!』

『リボーンさん!!なんで間違った運転方法を教えるんですか!?』

「クラッチレバーはエンジンで発生した動力を操作するスイッチのようなものだ!ああなるのは分かりきったことだぞ!?」

『「最初に怖さを知っといた方がいい。これがオレの教え方だ」』

「無茶苦茶だ!?」

『というか、大事なバイクですよ!!』

『どうだ、楽しかったか?ツナ』

 

 リボーンの指導方針に響達が戦く中、当のリボーンはジャンニーニの注意を無視して床に倒れているツナに話しかける。

 

『─あの…この際白状するけど─オレ…小五になるまで補助輪ないと自転車に乗れなかったんだ…どう考えても、バイクなんて乗れっこないよ…』

「小五って…確かこの時のツナが中二だから…」

「三年前まで補助輪自転車って、えぇ…?」

『チャリンコとバイクってのは別もんだ。第一、人間どこに才能が眠ってるかなんて、案外わかんねーもんだぞ』

「いいこと言ってはいやがるが…」

【…こいつ、絶対やらす気だ…】

 

 こうして 休日2日目は朝からバイク練習の日になったんだ

 

 シンフォギア組が手を合わせてツナの冥福を祈っていると、過去のツナ達の時間が次の日に変わり、場所もトレーニングルームに変わった所でノートが再び開かれる。

 

 でも不思議なことに 獄寺君とバジル君は

 もう大型のバイクの運転までマスターしていたっ!!

 

「獄寺が乗るのは『ハーレーXL833R』か…彼によく似合っているな」

 

 そして さすが山本

 オレと同じ初心者なのに あっという間に自分の手足のようにバイクを操ってたんだ!

 

「すごいな…彼は既にDUCATIの『モンスター900』をうまく乗りこなしている」

 

 お兄さんも 何度も転んでたけど めげることなく…

 みるみる独自のライディングを完成させていった!

 

極限ドリフト!!!』

「そして笹川兄は、沢田と同じHONDAの『NSR250SE PGM-3』─あぁ!そんな曲がりかたをしたら、バイクへの負担が!」

「あのよぉ…あんたが大がつく程のバイクバカだってのはよ~く分かったから、いい加減静かにしてくんねーか…?てか、最後のはあんたが言えたことじゃねぇだろ!?」

 

 クリスが頭を抱えながら、はしゃいでいる翼を注意する。

 そんな中ツナは、一人バイクを停止させると、ヘルメットを外し近くに取り付けられていたベンチに疲労しきった顔で寝転がった。

 

『なんとか転ばなくなったけど…も~、ヘトヘト~』

 

 そんな彼のもとに、見学していたジャンニーニとリボーンが近寄る。

 

『すばらしい上達ですよ10代目!』

『やるじゃねーかツナ』

『よく言うよ…山本なんてウィリーとかしてるのに』

 

 ツナが視線を山本に向けると、初心者だというのに見事なウィリーを決める彼の姿があった。

 

「すごーい!」

「うまいな…彼は本当に初心者か?」

『あいつはボンゴレトップの運動神経を持ってんだ。あれが普通だ─それより、小四まで自転車に乗れなかった奴が、1日でこけずにバイクを乗れるようになった方がすげーぞ』

「そういえばそうだよ。いくら自転車とバイクの構造が違うっていっても早すぎるよね」

『─たしかに…こんなに早く上達できたことなんて人生初かも…』

 

 ツナの言葉を聞いたリボーンが笑顔を浮かべる。

 そこへ、ビアンキがやってきた。

 

『やってるわね─さあ、あなたたち!今夜は歓迎会よ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜は お兄さんとバジル君の歓迎会をやったんだ

 

 風船などが飾り付けられ、『ようこそ!!了平・バジル』と書かれたボードが飾られた食堂で、ツナ達が楽しそうに食事を味わっていた。

 

『いいか、お前ら!!オレが来たからには極限に大丈夫だ!!打倒白蘭!!打倒ミルフィ…』

『バーカッ』

 

 ハイテンションで京子達にミルフィオーレのことを言いかけた了平を獄寺が阻止する。

 

『女子供には、今度の白蘭達との戦いのことは言わねーよーにしてんだろうがっ!!』ヒソヒソ

『おっ…おっとしまった!!10年前の相撲大会の話をしてしまった!!』

「いやだから、それじゃ無理があるだろうがって…」

 

 

 

 

 

 

 こうして 2日間の休みはあっという間に終わって…

 

 

 

 

 

 

 場面が食堂から、ツナの寝室に切り替わる。

 

【いよいよ、明日からは匣を使った修行か─】

 

 ベッドの上で寝転がっていたツナは右手を上に掲げ、ボンゴレリングに意識を集中させる。すると、勢いよく炎が湧き出た。

 

「気力は十分に回復したようだな」

【よし…これなら…】

 

 リングから溢れる炎を見てツナが気を引き締める。

 

 

 

 

 

 

コト…コトト…

『「!!」』

 

 

 

 

 

 

 すると、側の机の上においてあったツナのボンゴレ匣が、一瞬だけ反応を示した。

 

『今…動いた!?』

 

 すぐさま枕から頭を上げ匣を確認するが、すでに静止していた。

 

「おっかしいなぁ…確かに動いた気がしたんだけど…」

【ま…まさかな…炎を注入してないのに…】

 

 見間違いだろうと考えつつも、ツナはもう一度リングに炎を灯す。すると─

 

 

 

 

 

 

コトトトトトト…

『ひいっ─やっぱり動いてるー!!』

 

 

 

 

 

 

 先程より動きの勢いが増した匣を見て驚くツナ。

 

「すごく元気に動いてる…」

『なにこれ!?早く中から出たがってんのか!?』

 

 ツナが匣の動作に戸惑っていると、匣が振動を利用して少しずつ彼に近寄ってくる。

 

『ひいっ!ム…ムリ!!ダメだって!!明日まで開匣しないってみんなで決めたんだ!』

 

 ツナが匣から離れるようにして下がりそう伝えると、匣は動きを止めた。

 

「まさか、言葉が通じているのか…?」

『うーん…』

 

 動きを止めた匣を見たツナは少し考え…恐る恐る匣を手に取り、ベッドの上で胡座をかいた。

 

【もし匣の中がすごくキュウクツで息苦しかったら…ちょっと様子を見るくらいなら…みんなもわかってくれるよな…】

 

 中で苦しんでいるのだろうと考えたツナは、揺れ動く匣を左手で持ちながらリングに炎を灯す。

 

『よし!』

 

 そしてリングを匣の穴に押し込むと、『カチッ』という音がした。

 

『─こんな感じかな?』

 

 数秒間炎を匣に流したツナがリングを匣から離す。

 

『っていうか、何が出るんだ…?』

 

 ツナが中のものに期待を込めていると、少しして匣が輝きだし─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドオッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─という轟音ともに、ツナの部屋で爆発が起こった。

 

「何が起こったの!?」

「分からない…!でも、ツナの匣開いた直後に爆発したように見えた気がする…!」

『なんだよ今の!?』

『知るかよ!!』

 

 続く爆発によって部屋の壁が破壊され、発生した煙が響達の視界を埋め尽くす中、音を聞き付けた山本達がツナの部屋まで向かってくる。

 すると、ツナと同じ大空の炎が廊下と部屋を隔てる壁を破壊し、そこから煙が漏れ部屋の様子が見えるようになった。

 そこで響達が目にしたのは─

 

 

 

 

 

 

凶暴な顔以外の部分が炎のように形をとどめず、鋭い牙を晒しながらツナに襲いかかる化け物と、そんな化け物を必死に押さえるハイパーモードのツナの姿だった。

 

 

 

 

 

「ツナ!」

【こいつ…オレを殺す気だ!!】

『なんだ!!あの炎のかたまりは!?』

「あれは…生き物、なのか?」

『沢田殿の足元に!!』

 

 謎の生物に響達だけでなく山本達も驚愕していると、甚兵姿のバジルが何かを見つけ指差す。

 その先には、蓋の開いたボンゴレ匣が無造作に落ちていた。

 

『ボンゴレ匣!!』

『ってことは、10代目の匣兵器!!』

「ちょっと待って!ツナの匣兵器で動物(?)ってことは─まさか、あれがあのナッツくん!?」

「ウソ!?信じられない…!」

「あれではまるで怪物ではないか!」

『危険だ!下がってろ!!』

 

 響達が脳裏に浮かんだ可愛らしいライオン(ツナの匣アニマル)と目の前の怪物が同じ存在だと知り困惑していると、ツナが襲いかかる怪物─ナッツを上手くいなし距離を取る。

 そして身構え、ナッツが急な方向転換をして迫ってきたところを、ナッツの頭部付近を全力で殴り付ける。それが効いたのかナッツが怯んだ隙をつき、ツナは少し高度を上げると、左手を上に向け炎を噴射し、追い討ちとばかりに先程殴った場所に飛び蹴りを叩き込む。

 それによりナッツが床に向かって勢いよく吹っ飛んでいく。だが次の瞬間、ナッツが自分の炎を巧みに操りツナの四肢を拘束すると、体勢を整え再びツナに襲いかかろうとする。

 それを避けようと、ツナは必死に踠くも拘束が解ける気配はない。

 

【なんてパワーだ!ほどけない!!】

 

 そんなツナの腹部に突撃したナッツは、自分ごとツナを壁に叩きつける。

 

『10代目!!『ツナ!』のやろ!!』

 

 その光景を見ていた獄寺が、ポケットからSISTEMA(スイステーマ) C.A.I.が入った匣を取り出しリングに炎を灯す。するとバジルが止めに入った。

 

『待ってください!!獄寺殿の嵐の匣兵器の特性は"分解"!!ヘタをすれば沢田殿の匣兵器を傷つける恐れがあります!!』

『だったらどーしろっつーんだ!!これ以上、苦しむ10代目を見てらんねー!!』

 

 

 

 

 

 

『拙者が静めます』

『!!』

『皆さんは下がっていてください』

 

 そう言って前に出たバジルは、懐から匣を取り出しリングに青色の炎を灯す。

 

『行くぞアルフィン─開匣!!』

 

 そして匣にリングの炎を注入すると蓋が開き、中から雨の炎を渦巻状に発生させながら一匹のイルカ─雨イルカ(デルフィーノ・ディ・ピオッジャ)が姿を表した。

 

『イルカ!!』

「かわいー!」

「雨属性のイルカ…かなり相性良さそうな組み合わせじゃねーか」

 

 皆がそれぞれ感じたことを呟いていると、雨イルカ─アルフィンは一度小さく鳴き、両胸ヒレに炎を込めていく。

 

 

ドルフィンエッジ!!!

 

 

 アルフィンのヒレから放たれた無数の刃が、ナッツに降り注ぐ。するとナッツが苦しそうなうめき声をあげた。

 

「ナッツ君が苦しんでる…」

『ドルフィンエッジは、体内をえぐる雨の鎮静の炎の刃。いわば対匣兵器用の麻酔です』

 

 バジルが獄寺達にドルフィンエッジの効果を説明する。その時、今までツナを狙っていたナッツの視線がアルフィンに向き、ナッツの体内から無数の炎の弾が放たれる。

 炎の弾はアルフィンの放つ刃を的確に相殺させていきつつ、勢いを増してくる。

 

「ナッツには雨の鎮静が効いていないのか!?」

 

 その光景に一同が驚いていると、ナッツの炎がアルフィンに襲いかかる。

 

『しまった!!』

 

 予想を上回る勢いのナッツにバジルが怯むなか、ナッツの炎はアルフィンを完全に飲み込もうと迫る。

 その時、バジルの横を小さな影が通りすぎ─次の瞬間、膨大な量の雨の炎がナッツに降り注いだ。

 響達はその光景に驚きつつナッツの周囲を見回すと、ナッツの頭上で滑空する一匹の燕が。

 

「あれは雨燕(ローンディネ・ディ・ピオッジャ)!!!」

『お前だけが雨属性じゃないぜ』

『山本殿!!』

 

 雨燕が降らせた雨の炎をもろにくらったナッツはうめき声を上げ、雨から逃げるようにしてツナのボンゴレ匣へと帰っていく。

 

『助かりました!!』

『協力プレーだな!『うう…』!!』

『10代目ぇ!!』

『大丈夫か沢田!!』

 

 壁に寄りかかるツナに獄寺達が駆け寄る。その側では、周囲の水を蒸発させているボンゴレ匣が…

 

『やはり今のは沢田殿の匣兵器…』

『う…うん…普通に炎を注入したつもりだったんだけど…いきなりあんなのが飛び出してきて…』

「ツナ、顔真っ青だ…」

『ですがおかしいです!匣は全て、地球上の生物を模しているはず!』

「いちを私達は、ナッツがライオンモチーフだっていうのは知ってるけど、何であんなのになっちゃったんだろう…?」

『…!!まさかっ!入江の奴が不良品を!!』

『そんなぁ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いいや、今のはツナが悪いぜ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 響達が、ナッツがなぜ怪物のような姿で出てきたのか考えていると、後方から知らない人の声が聞こえた。

 

『あれは、お前の匣兵器本来の姿じゃない。特に、大空の匣はデリケートなんだ。こんな開匣をくり返していたら、使いものにならなくなるぞ』

「何奴!」

 

 響達が一斉に振り向くと─左手の甲に独特な刺青が入れられ、オレンジ色の毛を靡かせる白馬に乗った金髪の青年がいた。

 

「リアル白馬の王子様!?」

『元気にしてたか?弟分』

『ディーノさん!!』

「ディーノって確か、ツナの前にリボーン(こいつ)が家庭教師してたって男か!」

『しっかし─ハハハッ!10年前のお前らは、本っ当ガキだなっ』

『何!』

『いったい何時だと思ってんだ?もうガキは寝る時間だぞ』

 

 脚に大空の炎を纏う馬─天馬(カヴァッロ・アラート)にまたがる青年─ディーノが10年前のツナ達を見て笑っていると、遅れてきたジャンニーニとリボーンが姿を見せる。するとリボーンを見たディーノは、懐かしむような表情を見せた。

 

『また会えるとはな─"我が師"リボーン…』

『なんだその面は。10年たってもヘナチョコが消えねーな』

「リボーン君、それは言いすぎじゃ…」

 

 リボーンの辛口な発言に響が心配するが…

 

『ちぇっ!何年たっても子供扱いかよ』

 

 慣れているのか、ディーノは笑って済ませ天馬から降りようと左足に体重をかけた。すると次の瞬間─

 

 

 

ズリッ

 

 

 

ドッテーン

『いでっ』

 

 

 

 

 

 

─鐙から足を滑らせ、盛大に落下した。

 

『いっつつ…』

「大丈夫ですか!?」

『え!?』

『ドッテーンて…』

『おい…もしかしてよお…』

『おっかしーなー…今日はやけに転ぶっつーか、ドジるっつーか…1kmも離れてねー場所から、ここに来るのに3時間もかかっちまったし…』

「いや、それもうドジじゃなくて迷子!」

『あの…ディーノさん。部下の人は?』

『ん?3時間前に、ロマーリオは草壁と飲みに行かせたぜ』

「彼の部下と、先程の現象にどのような繋がりが…?」

 

 頭をさすりながら、ツナの問いに答えるディーノ。それを聞いたツナ達は確信する。

 

【やっぱり─10年たっても部下の前じゃないと力が出せない体質なんだ─!!!】

「「「「─えぇぇぇぇ!?」」」」

 

 ツナの心の声を聞いた響達が驚きの声を上げるなか、リボーンがディーノについて話し始める。

 

「ディーノはかつて、弱気で臆病な『へなちょこディーノ』と呼ばれてたんだが、俺の家庭教師(カテキョー)と、昔キャバッローネを潰そうとしたイレゴラーレファミリーって奴らとの戦いを通じて、ファミリーと街の皆を守りたいという一念で才能を開花させたんだ。だが、逆にそれが仇になってな…ファミリーの前では優秀なボスだが、1人になるとその実力は激減し、極度の運動音痴になっちまうんだ」

「なにその体質!?」

「部下の前じゃなきゃ、まともになれねーってか…」

「だがそれは、ある意味での究極のボス体質とも言えるのではないか?」

 

 これが 10年後のディーノさんとの再会だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時と場所は変わり、次の日の朝の食堂にて。

 そこでは、昨日合流したばかりのディーノや彼のペット─スポンジスッポンのエンツィオ、部屋に引きこもっていたクロームも混ざり、全員で食卓を囲んでいた。

 だが、その場にいたほとんどの人の視線はディーノに向けられていた。

 

『?なんだよお前ら』

 

 ペットのエンツィオを肩に乗せ、食事をしていたディーノは視線に気づき、笑顔で首をかしげる。

 皆が彼を見つめるのは仕方ない。なにせ彼の食卓は─白米やレタス、ウインナー等が飛び散り、手に持っているお椀からはワカメがはみ出しており─見るも無惨な光景ができていた。

 

「こりゃひでーな…」

「一足先に来たバジルとは真逆だな…」

「た…多分これは、外国の人が使いなれてないお箸での食事と部下の人がいないことが噛み合っちゃっただけだじゃないかな?流石にフォークやナイフでの食事や、手掴みのピザならあんなことには─」

 

 そう言いながらリボーンに視線を向けた未来だが、当のリボーンは無言でボルサリーノを深くかぶった。

 

「嘘でしょ…!?」

 

 部下をつれていないディーノさんはやっぱりスキだらけだったけど─

 10年前と同じ親しみやすいディーノさんでホッとしたんだ!

 

 リボーンの態度から察した未来が驚愕していると、ノートに字が浮かぶ。

 そして場所が切り替わり、アジトのトレーニングルームに移る。

 

『よしっ、そろったな!』

 

 ツナ達の前に立っているディーノがそう話す。そんな彼の後ろには、二人の黒服の男が。

 

「なんかディーノさん、さっきより少し"キリッ"てなってるような…」

「彼達が、ディーノの部下達なのか?」

「ああ、そうだ。そんでディーノの右後ろにいる、エンツィオを頭に乗せてるメガネと髭が特徴的な奴が、ディーノの右腕を勤めてるロマーリオだ」

「さっき金髪が、あのリーゼントと酒飲みに行ってるって言ってた奴か」

『今日から本格的な匣兵器の修行だが─』

 

 リボーンがロマーリオを紹介していると、ディーノが話を進めていく。

 

『リボーンの一番の教え子であるオレが、全体を仕切る家庭教師をすることになった。よろしくな』

『ヘナチョコのあいつなんかにつとまるンすかねー』

『でもディーノさん、部下の前だとすごいし…』ヒソヒソ

『ちなみに今回、オレはその上の役職"家庭教師の精"だからな』

 

 そう話しながら、上からワイヤーに吊るされ降りてきたリボーンは─一冊の本から羽と顔、そして四肢が映えたようなコスプレをしていた。

 

『「妖精になっちゃったよ!!」』

『ディーノがヘボい時は、オレが制裁をくだすから安心しろ』

 

 そう言ってリボーンは、ディーノの顔に容赦なく連続蹴りを叩き込む。

 

『いでで!やめろってリボッブッ!!』

「ちょっ─リボーン君やり過ぎ!」

『ってことで始めるが…その前にクローム、意思確認だ』

 

 またもやディーノに容赦のないリボーンを見て心配する響だが、これまた慣れているディーノはそのまま話を続ける。

 

『お前はボンゴレ守護者であると同時に骸の一味でもある。ミルフィオーレとの戦いには味方として数えていいのか?』

 

 真剣な表情で問いかけるディーノに対し、クロームは少しの間考えると、顔を縦に降った。

 

『私、もっとちゃんとして…強い人になりたい…それが…過去に帰ることにつながると思うから…』

 

─覚悟の灯った目で答えたクロームに、ディーノは満足そうな表情を浮かべる。

 

『よし、頼んだぜ─それと、ランボにも本格的な修行をしてもらう。白蘭を倒すには守護者全員の力が必要だ』

 

 ディーノの話を聞いて、響達がランボの方を向く。

 そのランボだが、彼は床で寝転がりながら、鉛筆をロケットに見立てて一人遊んでいた。

 

「あんな奴が本当に戦力になるのか?」

【本当に仕方…ないのかな?】

 

 そんな彼を見て、心配するツナ。

 

『オレはこの時代のツナに聞いて、お前達のボンゴレ匣のことを多少は知っている。そこから考えて、それぞれに違う修行をしてもらうつもりだ。ちなみに雲雀恭弥は、オレとの修行をもう開始させている』

「えっ!?雲雀さんと!?」

「てかあいつ、見つかったんだな」

『あいかわらずかわいくねーじゃじゃ馬だけどな…じゃあ沢田綱吉!お前から修行内容を言っていくぞ』

『あ…はい!』

「ツナの修行か…どんなのだろう」

「ワクワクするな~!」

 

 ディーノ(兄弟子)に指名され、緊張で体を固くするツナ。そんな彼にディーノが告げた修行内容、それは─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前は、正しく開匣できるまで一人だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─ん?それだけか?」

『え!?…一人って、一人ぼっち…!?』

 

 ディーノから告げられた修行内容に、それぞれの反応を示す。

 

『一人といっても、匣兵器と一緒だぜ?匣にトラブルが起きた時は、使い手がずっと一緒にいてやることだ』

『…それだけ…ですか?』

()()()()()()()

『「えっ?」』

『次に獄寺隼人』

 

 ディーノが言った最後の一言にツナが困惑するなか、ディーノは話を続けていく。

 

『お前は匣初心者である笹川了平と、ランボの面倒をみてやってくれ』

『なにっ!?』

 

 ディーノが告げた修行内容に、額に青筋を浮かべ明らかに不満そうな表情をする獄寺。そんな彼にツナが話しかける。

 

『すごいね獄寺君!もう教える立場なんて』

『えっ!?』

 

 そんなツナの言葉を聞いた獄寺は、先程の不満そうな表情から一変、嬉しそうな表情になる。

 

『いえいえいえ、もったいないお言葉!!自分なんて、まだピヨっ子です!!ですが、お役に立てるのなら、力の限りやらせていただきます!!』

 

 そう言って力強く胸を叩く獄寺。そんな彼に対し、了平とランボは嫌そうな顔をする。

 

『オレは嫌だぞ、タコヘッドの指導なんぞ!極限にクサクサする!!』

「クサクサって何…?」

『ランボさん、あの愚か者嫌~い』

「どの口が愚か者って言ってやがる」

『何とでも言えっ!!オレは10代目にまかされたんだ!!ひきずり回してでも教えこむからな!!』

【オレ、まかせてない─!!】

「勝手に脳内変換してやがる…」

 

 

 

 

 

 

『次にクローム髑髏。お前は匣兵器強化のためにも、半分の時間をアルコバレーノ「マーモン」の残した幻覚強化プログラムで修行し、残りの時間を格闘能力アップに使うんだ…あそこの2人に手伝ってもらってな』

 

 クロームがディーノの指した方を向くと、ゴーグルをつけたビアンキと、彼女に抱き抱えられているイーピンの二人が、軽く手を振っていた。それを見たクロームは、少し嬉しそうな顔をする。

 

 

 

 

 

 

『そして山本武』

『うす!待ってたぜ!!ディーノさん!何やんだ?』

 

 そして最後に呼ばれた山本は、いつもの明るい顔で問いかける。そんな彼にディーノが伝えたのは─

 

『お前はパスだ。待機』

『へっ?』

『パ…パス!?』

「なんで山本さんだけ…」

『つーか、お前には手ー出せねーんだ。お前にヘタなこと教えれば、あいつにぶっ殺されるからな』

『「あいつ?」』

『お前の才能の一番の理解者は本気だぜ─今回の修行で山本武、お前すげーことになるかもな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『修行の説明は以上!!各自、修行場所は自分で選べ。バジルは自分の修行をしながら、みんなのサポートをしてくれるからな』

『よろしくお願いします!』

「結局、山本さんの一番の理解者が誰なのか分からずじまいだったね」

 

 ディーノの説明が終わり、ツナ達がそれぞれの目標を定める。

 

『芝生頭とアホ牛!!ノートとえんぴつを持って図書室に来い!!まずは理論を頭に叩き込む!!』

【獄寺君の理論指導きたー!!】

ヤンキー(見た目)理論派(中身)がやっぱり噛み合ってねーんだよな、あいつ…」

『ありゃあ大変そーだな』

『だね…ところで山本は修行どーするの?』

『まっ!よくわかんねーから、修行が始まるまで自主練だな』

『クローム来なさい。鍛えてあげるわ』

『…はい』

 

 方針が決まり、いざ修行へと向かうツナ達。そんな彼のあとをついていこうとした響達だったが、エレベーター前で翼が突如、後ろを振りかえる。

 

「どうしたんですか?翼さん」

「いや…一瞬、何者かの気配を感じた気がしてな…」

 

 翼はそう呟いてトレーニングルームを見渡すが、特に変わった気配はない。

 

「勘違いじゃねーの?」

「そうかもしれないな…」

 

 響達はツナ達のあとを追って部屋を出ていく。だが、彼女達は気づかなかった。置かれていたツナのバイクの背後で、布のようなものが揺らいでいたことに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トレーニングルームを離れ、個別の練習部屋に来たツナは、左手にボンゴレ匣を持ち、開匣の準備をしていた。

 

『始めるか…』

 

 そう呟き、手に持つ匣を見つめるツナ。

 

【また、あの怪物が出てきたら…どうしよう…】

「何が原因で、ナッツ君があんな化け物で出てきたんだろう…?」

『ええいっ』

 

 脳裏に前日の出来事を思い浮かべたツナは、やけくそ気味にリングに炎を灯す。すると匣が勝手に震え始める。

 

【あの時と同じだ…】

『いいか!今度、暴れたらオレも全力で叩きつぶすぞ!』

 

 ツナが匣に力強くそう伝えると、匣が動きを止めた。

 

「止まった!」

『─言葉が通じた…?』

 

 そう期待したツナだったが─

 次の瞬間、匣が今までとは比べ物にならない荒々しさで震え出した。

 

「怒っている、のか?」

【前より凶暴化してるぞ!!こんな奴、一体どーすりゃいいんだ!?】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、その後も暴れ続ける匣を見て開匣を諦めたツナが、移住区に移動し風呂から上がると、ノートが開かれ文字が浮かぶ。

 

 修行方法は みんな違うけれど

 休憩時間に顔を合わせると 順調かどうかはだいたいわかるんだ

 

『お疲れ様です10代目!!』

『獄寺君とお兄さ…え゛!?』

 

 タオルで髪を拭いていたツナが獄寺と了平、そしてランボの姿をみて驚く。

 何故なら彼らは、ボロボロの顔になって煙をあげており、ランボに至っては自慢のアフロヘアーがチリチリになっていたのだから。

 

『どっ、どーしたのその顔!!』

「一体何があったというのだ!?」

『アホ牛がボンゴレ匣を開けまして…『ランボが!?』気づいたら全員気を失ってました…』

『今日はもう続行不可能だ…』

『大丈夫なんですか?』

『なんとかな…沢田はどうなのだ?開けたか?ボンゴレ匣!!』

 

 首にかけていたタオルで顔を拭いた了平が訊ねると、ツナは首を横に振った。

 

『…いいえ。たぶん今開けたら、前のくり返しです…』

『おまえら、ボンゴレ匣で修行できるだけいいじゃねーか。オレなんかおあずけだぜ…』

「みんな、いまいちみたいだね…」

 

 初日はみんな 不調だった…

 そしてこんな時に限って ずっと眠っていた他の問題が突然やってくるんだ…

 

「問題…?」

『あの…お話があるんですが』

 

 ノートに浮かび上がった単語に響が首をかしげていると、ツナ達にある人物が話しかけた。

 ツナ達が声のした方を振り向くと、三人の女性が立っていた。

 

「京子ちゃんにハルちゃん?」

「ビアンキさんも…何だろう?」

『よっ!おつかれ!』

 

 彼女達を見たツナ達男性陣は、すぐさま顔色を変え笑顔を見せる。

 

『ハル、どーしたんだ?京子ちゃんも一緒…?』

『ごまかしても仕方ないので、単刀直入にいいます』

 

 ハルはそう言うと、一度呼吸を整え、ツナと目を合わせ─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハル達にも、ミルフィオーレやビャクランやボックスのこと…今、起きてることをもっと詳しく教えてください!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『!』』』』

「な…なんでミルフィオーレのこと知ってるの!?」

「まさか─トレーニングルームで感じた気配は、隠れていた彼女達のものだったか!」

『ちょっ─な…ななな…………何を言ってんの?ミ…ミルフィオーレ?ビャクラン?…な、なんだそれ?』

 

 明らかな動揺を見せるツナに対し、ハルがズバズバ踏み込んでいく。

 

『もうごまかされるのはたくさんです!!私達だけが知らない事情を隠してるのはわかってるんです!!ハル達も、みなさんと一緒に生活している以上、真実を知る権利はあります!!』

『うそ…急に…どーして…?─ビアンキ!!』

『私は何も話してないわよ?この子達が自分達の意思と力でつきとめたのよ』

『─ツナ君』

 

 ハルの行動に慌てているツナに、京子が近寄る。

 

『私達も一緒に戦いたいの!』

『!』

【…京子ちゃん】

『京子…!!』

【京子ちゃんがそんなこと…でも…】

 

 京子からの予想だにしない発言に、考え込むツナ。

 

【でもダメだ!!京子ちゃん達を危険な世界に巻き込んじゃ…オレ達の戦いのことなんて知らなくていいんだ!!】

「ツナ…」

『気持ちはうれしいけど…本当にもうすぐなんだ!!もうすぐ、なにもかも終わって、元の世界に帰れるから…だから、オレ達を信じて、もう少し我慢して…くれないかな』

 

 ツナがそう答えると、京子とハルは少しだけ暗い顔をした。

 

『わかりました─では私達も、それなりの措置をとらせていただきます』

『へ?』

「「措置?」」

『ツナさん達が真実を話してくれるまで─』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハル達は家事をしませんし、共同生活をボイコットします!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言ってハルと京子は、『秘密反対!!』『情報の開示を』と書かれた二つの看板を掲げた…




ついに来てしまったボイコット。

次回はおそらくチョイス戦手前かチョイス戦開始直後までは行くと思います。
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