戦姫燈炎SYMPHOGEAR!   作:生粋の名無し

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どうも、生粋の名無しです。

今回は京子達のボイコットからスタートです。
それと本編一期の方で、文字のフォント変換や、読みやすくなるよういくつか追加の改行を行いました。あと、ヴェルデの医療キットについての説明も少し書き足した内容があるので、どうかそちらもご確認ください。


ツナの過去(10年後編):⑫

「「「「「ボ、ボイコットぉ!?」」」」」

『悪いわねツナ。私はこの娘達につくわ』

 

 響達が京子とハルの行動に驚いていると、ビアンキが京子達ボイコット組に加入すると同時に、続々と賛同するものが現れだす。

 

『…私も……ボス、ごめん』

 

 風呂上がりのクロームに…

 

我也是(私も)!!』

 

 彼女に抱き抱えられていたイーピン。

 

『そっ、そんな!!』

【白蘭との戦いまで一週間しかないのに~!!】

『私達も京子達につくわ』

 

 ハル達の表明にツナが驚いていると、女装したリボーン・フゥ太・ジャンニーニが現れそう伝える。

 

『ずるいぞお前達!!』

『修行、しっかりね!』

 

 リボーンはそれだけ言うと、京子達と共に部屋へ戻っていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一応聞くぜ。どうすんだ?ツナ』

 

 場所は変わり、アジトの広間に集まったツナと彼の守護者(雲雀以外の男性のみ)が話し合いを行っていた。

 

『…うん…やっぱり、今の本当の状況やこれからの戦いのことは話せないよ…京子ちゃん達を、あんな壮絶な戦いに巻きこめない…』

『ったくあいつら、10代目のお気持ちも知らずに…オレも話さない方が言いと思います』

『まっ!でも、あいつらだけ知らねーってのも、仲間はずれみてーで、かわいそうだけどな…』

『…』

『それは…そうだけど…』

「こういうところは、今と変わらないな…だが、私はあの二人にも現状を伝える必要があると思う。戦えない者を巻き込みたくない気持ちは分かるが、10年後の世界(こちら)に飛ばされた時点で、彼女達も既に片足を踏み込んでしまっている関係者だ」

「「…」」

 

 自分の考えを述べる翼の横で、二人して俯く響と未来。

 二人の脳裏には、それぞれの記憶が思い出されていた。

 響は、敵だった頃のクリスとの三度目の戦闘─未来が巻き込まれたときのことを。

 未来は、こと座流星群が降ったあの日─響から一緒に見れないことを伝えられたあの日のことを。

 そして二人は、先程のボイコットの場にいた人物に自分の姿を重ねる…響はツナに─そして未来は京子とハルに。

 

 

 

 

 

 

((もしあの時、ツナ(とセレナ)がいなかったら─私も同じことをしてたのかな…?))

 

 

 

 

 

 

 二人が思ったことはほぼ同じだった。

 響の記憶には、クリスを追いかけようとする自分の代わりに、未来に二課のことを伝えてくれたツナ。

 未来の記憶には、響との通話の後に同じく一緒に見れないことを伝えたのち、いつか時が来れば話してくれると言ったツナと、ツナ達が心配してくれていることを教えてくれたセレナ。

 少し違いはあれど、二人の記憶にはツナの存在があった。

 だが、もしあの時、彼が関わっていなかったどうだったか─そんなことを考える二人を、白蘭が横目に見る。

 

(んー、やっぱり二人には響くよねぇ…何せ─()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()())

 

 

 

 

 

 

─ここでこの作品の白蘭について説明しておこう

 

 

 

 

 

 

 この作品において、シンフォギアの世界にはどの並行世界線にも白蘭という人間は元々存在していない。存在していなかった…だが─姿名前は違えど、()()()()()()()()()()()()7()^()3()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は、ほとんどの世界に存在していた。

 それにより白蘭は、シンフォギア(こちら)の世界に来たと同時に、全ての並行世界の白蘭(自分)になりえた人間と繋がり、情報を共有することが出来るようになった。

 つまり彼は、ツナが来なかった世界線─本来(オリジナル)のシンフォギアの道筋を知っている。

 

(にしてもすごいよ、綱吉クン♪本来なら未来チャンは、秘密を抱えてた響チャンへの怒りと、そんな彼女になにもしてあげられない無力な自分への怒りから響チャンから距離を離してたはずなのに、君が干渉したことで変わった─流石にこの世界での未来チャンでも無力さは感じちゃってるけど、その事で怒りを覚えたり響チャンから距離を置いたりはしなかった)

 

 ゆえに白蘭は、二人が辿るはずだった道を潰し、良いルートへと導いたツナに称賛する。

 

(それだけじゃなく、本来なら死んでいたはずの人物も既に二人救ってる─君の行動は、いつも僕を楽しませてくれるね♪)

 

 

 

 

 

 

 白蘭の説明はここら辺にしておき…

 

 

 

 

 

 

『話してはいかん!!これで京子に何かあったら!!京子に何かあったらぁ!!』

『るせーなっ』

 

 考え込んでいた響と未来を引き戻したのは、京子の心配をする了平の叫び声だった。

 

『お兄さん…とにかく今は、修行も大変な時だけど、自分達の家事は自分達でやりましょう』

「意地でも話すつもりはなさそうだな」

『…って口に出してみて思ったけど…自分のこと自分でやるって、当然といえば当然だよね』

『うむ』『はい』『だな』

「うっ…」

 

 ツナの一言に獄寺達が頷く一方で、彼の一言に刺さるものがあった翼が胸を抑える。

 

 

 こうしてオレ達は 修行と家事の両立を目指したんだ!…けど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『洗剤入れすぎじゃね?』

『え』

 

 ツナが操作していた洗濯機から泡が溢れだす。なお、彼が持っている洗剤の箱は中身が空の状態だ。

 

「洗濯機から泡溢れだしちゃってるよ!」

「まさか、洗剤全部入れちゃった!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なになに?みじん切りのコツは、まずたてに細く…』

「そこでも理論からかよ─って!」

『獄寺君!!火!!』

 

 切り方の理論から入っている獄寺の背後で、フライパンで炒めていた食材が引火し燃え盛る。

 

「フライパンが燃えてる!?」

「火の加減間違えてない!?」

『火事だもんね!!』

 

 騒ぐランボを他所に、ツナが消火にあたるが時既に遅し。

 

『あーあ』

「見事に炭と化したな…」

『申し訳ありません!申し訳ありません!!』

 

 ツナに土下座で謝罪しながら、床に頭を何度も叩きつける獄寺。

 

『修行で極限にハラペコなのだ…もうがまんできんぞ!』

『お・な・か・すいた!!』

 

 了平とランボが不満を叫ぶが、流石の獄寺も今回は自分に非があると理解してるのか何も言わない。

 

『しゃーねーなー…カップ麺にすっか』

 

 おまけに 修行の方もうまく行かずに…

 みんなのストレスがたまっていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『ヘックション!!』』』』

『鼻がムズムズする…』

『誰かが噂でもしてんスかねえ?』

『この食事で極限に栄養が足りとらんのだ!!』

 

 昼に続いて晩飯でもカップラーメンを啜るボンゴレ男子勢。

 

『しかし、こーなってはじめて気づくよな─オレ達だけじゃロクに修行もできねーって…』

『本当だよ…戦いはもう迫ってるっていうのに…ここはやっぱり話すべきなのかも…』

いかん!!京子に何かあったらどーするのだ!!』

 

 山本の言葉と今の状況を見て考えを改めようとしたツナだったが、了平の一言に気を引き締める。

 

『そ…そーですよね!!』

「あともう少しだったのだがな…」

「あの女の兄貴がいる限り、ツナが話しそうにはねーな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁ…』

 

 京子達女性陣のボイコットの翌日。

 ツナはため息を溢しながら修行へ向かおうとしていた。そんな彼の元にビアンキが慌てた様子で駆け寄ってくる。

 

『ツナ!!大変よ!!』

「どうしたんだろう?」

 

 

 

 

 

 

『京子がアジトをとび出したの!!何も教えてくれないこんな所にいられないって!!』

 

 

 

 

 

 

「何!?」『何だって!?』

『今なら間に合うわ!急いで追って!!』

 

 京子がアジトを飛び出したと聞いて驚いていたツナは、ビアンキに促されすぐに京子が通ったハッチに向かう。

 

『ジャンニーニ、ハッチを開けてくれ!!』

『京子は街に向かったわ!!』

「早く見つけて連れて帰らないと…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『─ん?ツナをだましてどーする気だ?』

『修行に行きづまってるみたいだから─リフレッシュよ♥️』

『─悪くねーな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【どうしよう…!!京子ちゃんに何かあったら…オレのせいだ…】

 

 そんなことを思いながら、街に続く天端道を走るツナ。

 するとすぐに、前方に京子の後ろ姿を見つけた。

 

「いた!」

『京子ちゃん!!』

 

 近づいたツナが呼び掛けると、京子はすぐに振り返る。

 

『ツナ君!』

「…なあ、アジト出てったって割には、いつもと変わんねー気がすんだが…」

『ツナ君もどこかへおでかけ?』

「お、おでかけ?」

『え?いや…あの─』

『私は買い物にいくところ!今日は一人で外に出ても大丈夫ってビアンキさんが…』

 

 そう話す京子の手には買い物袋が。

 

『へ…?か…買い物?』

「えぇ!?い、いったい全体どういうこと!?」

『今日からまた、みんなの分のご飯も作ることにしたの。今日はごちそうだよ!』

『…あ!』

 

 そこまで話を聞いたツナは、この状況を作り出した人物を思い出す。

 

【ビアンキだましたな!!】

「笹川妹が飛び出したというのはブラフ…意図的にこの状況を作り出すための口実だったわけか…」

『ツナ君、顔色悪いよ?大丈夫?』

 

 そう言って京子が、心配そうにツナの顔を覗き込む。

 

『え…いや…オレ…ボイコットで怒って飛び出したのかと思って─』

『え…?』

 

 ツナが慌てて追いかけてきた理由を話す。すると京子は不思議そうにかしげた後、首を横に降った。

 

『…んーん。もうボイコットは終わりにしたの』

「「え…?」」

『ハルちゃんとツナ君達を信じることにしたんだ!だからもう何も話さなくても大丈夫だよ』

 

 京子は笑顔でそう話した。

 

「よかったじゃねぇか。これで心配ごとが一つ減ったんだしな」

「…そ、そうだよね!京子ちゃん達が栄養満点のご飯作ってくれたら、きっと皆も頑張れる筈だよ!きっと…」

 

 胸の内に取っ掛かりを覚えながらも、言い聞かせるようにして呟く響。

 しかしそんな響と、同じ取っ掛かりを感じていた未来の心は、京子に話したツナの一言に動かされることとなる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いや…話すよ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?な、何で…」

「京子ちゃんは、話さなくてもいいって言ってくれたのに…」

『京子ちゃんを探しながら、初めて京子ちゃん達の気持ちを考えてみたんだ…「「っ!」」そしたら、自分の身勝手さがよくわかったよ…』

 

 

 

 

 

 

『まったく何も知らないのと、何かあるって知ってて教えてもらえないのは、別だよね…もうとっくに、ひどい状況に巻き込んでるのに─もう一緒に戦ってもらってるのに、あるものをないっていうのはひどいことだってわかったんだ…』

「「!!!」」

((一緒に、戦ってる…))

 

 

 

 

 

 

『だから聞いて欲しい…ハルにも後で話すから…』

 

 ツナがそう伝えると、京子は無言で頷く。

 そして二人は河川敷まで降り座りこむと、ノートが開いた。

 

 ─話した…

 今の状況…ミルフィオーレのこと 白蘭のこと…

 奴らがマフィアで オレもボンゴレファミリーの10代目候補だってこと…今までの戦い…

 

「マフィアのことまで…」

「もう完全に吹っ切れたってことか…」

 

 途中 夕日の光の具合なのか 京子ちゃんの瞳がうるんでいるように見えたけど…

 話したんだ…

 

「─ツナは知ってたんだ…秘密をずっと隠し続ける辛さも、その秘密を教えてもらえない悲しさも…」

 

 京子に話しているツナの姿を見ながら、響と未来は胸の取っ掛かりが消えていくのを感じていた。

 

「ねぇ未来…私とツナが、未来に二課のことを話したときのこと、覚えてる?」

「うん…あの時、クリスちゃんを追いかけてった響の代わりに、ツナが話してくれて…その後で、響も話してくれたんだよね」

「ごめんね、未来…多分私、あの時ツナがいなかったら、自分の口からは言えなかったと思う…」

「響…ううん、いいの…私も、ツナやセレナがいなかったら…ボイコットとまでは行かなくても、響のこと避けてたかもしれないから…」

「未来…」

 

 京子ちゃんは 黙ってうなずいてた…

 

『そんな…感じなんだ…』

『うん…』

 

 響と未来がそんな会話をしていると、ツナが京子に全てを話し終えた。

 

『おどろいた…?』

『うん…』

【─本当にこれでよかったのかな…】

「お、おいおい…自分から話しておいて後悔してどーする…」

『話してくれてありがとう、ツナ君』

『え…』

 

 自分の内心とは逆に京子から感謝されたことに一瞬固まるツナ。すると京子がツナの腰元を見る。そこにはチェーンで繋がれたボンゴレ(ボックス)が…

 

『腰についてるのが、ツナ君の匣兵器?』

『あ…うん。これだよ…』

 

 チェーンを外し、匣の底を指でつまんで京子に見えるよう前に出すツナ。

 

『その子が悪さするんだね』

『そうなんだ…とてもこいつは、オレの手にはおえそうになくって』

 

 そう溢しながら、ツナが右中指にはめたボンゴレリングに炎を灯すと、いつものごとく匣が揺れ始めた。

 

「ツナが炎を灯すと、すぐに動き始めるね…」

『こうやって反抗ばかりして、オレを殺す気なんだ』

『わあっ!見せて!』

『え゛!!』

 

 ひとりでに動く匣に興味を抱いた京子が身を乗り出してくると、すぐさまツナが京子から匣を遠ざける。

 

『ダ!ダメだよ、危ないんだ!!京子ちゃんに何かあったら!!』

 

 京子に注意するツナの横で、匣が今まで見せたことのないくらいの激しい動きを見せる。

 

「今までとは比べ物にならないほど荒れてやがるぞ!」

『ホラッ!スキを狙って襲う気だ!!』

『ごめんなさい!!』

 

 その光景を見た京子が身を引くと、匣の揺れも弱まりだす。

 

『こいつ…』

 

 揺れが弱まりだしたのを見て少しづつ呼吸を整えるツナ。

 そんなツナと、小さく揺れる匣を見た京子が、あることに気づいた─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『その子…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…え?』

「仲良く、したい…?」

 

 京子の一言に困惑するツナと響達。

 

()()()()()()()()()になってるもん』

『同じ…気持ち?』

『ツナ君が不安でドキドキすると…一緒に不安になってビクビク~って震えてるみたい』

「た、確かにさっきも、ツナが動揺したと同時に動きが激しくなってたような…」

『…でもこいつは、震えるどころかオレを殺そうと─!!』

 

 そこでツナはあることに気づいた。

 

【あの時も…急に不安になったんだ─何だか怖くなって…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…オレがこいつを拒めば拒むほど、力を増幅させてきた…】

「ということは、つまり…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【まさかこいつ…オレの心を…うつしてるのか…!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「言われてみれば確かに…通常時のナッツは臆病なのに対し、沢田が(ハイパー)死ぬ気モードの時は彼と同じく覚悟の灯った目をしていたな…」

 

 翼達がナッツがあのような姿で飛び出してきた理由に納得するなか、ツナがじっと匣を見つめる。それと同じくして、匣の中にいるナッツも、動きを止め静かにツナを見つめていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハル』

 

 買い出しの途中だった京子と別れ、アジトに戻ったツナが向かったのは、ハルがいる食堂だった。

 

『はーい』

『話が…ある…』

 

 いつもの笑顔で振り返ったハルだったが、真剣な表情のツナを見て徐々に笑顔が消えていく。

 

 京子ちゃんに話した今の状況や ミルフィオーレのことや ボンゴレや オレのこと 今までの戦いを

 ハルにも話したんだ…

 

 

 

 

 

 

『…そんな感じなんだ…ハル?』

 

 ツナが話し終えると、ハルの表情は無表情のまま固まっていた。

 

『おい、ハル!大丈夫か?』

 

 そんな彼女にツナが話しかけると、ハルはすぐさま笑顔を浮かべた。

 

『は…はい!!大丈夫ですよ!!話してくれてありがとうございます!!』

 

 元気な顔でそう答えるハルだが、彼女が無理に笑っていることは響達だけでなくツナも気づいていた。

 

 最近 ハルのウソは見抜けるようになってきた

 

『すごい話ですね!!びっくりしました~!!』

「…」

『あっ!ツナさん今、修行中なんですよね?わざわざハルのためにスイマセン!もう行ってOKですよ『へ?』修行の時間がもったいないです!』

『でもお前…全然大丈夫じゃないじゃん…』

『はひ!?なっ、何言ってるんですか!?ハルは知りたかった話を聞けたんですよ!!大満足で嬉しくてお腹いっぱいです!!さあ行ってください!!』

 

 慌てた様子で急かすハルを心配そうに見るツナだったが…彼女の内心を感じ取ったツナは、これ以上彼女に負担はかけまいと、それ以上詰めよらないことにした。

 

『わかった。じゃあ行くな!─あ』

『はひ?』

『いつもご飯作ってくれてありがとな』

『!─そんなにあらためられると照れます!ツナさんもファイトです!!』

『ん』

 

 そんなハルに一言答えると、ツナは台所を後にする。

 

『いってらっしゃーい!』

 

 そして、ツナを笑顔で見送るハル─だが響達は見た。ツナが台所から出ていった直後、足の力が抜けて座り込むハルの姿を。

 

『ツナを困らせまいと、よく我慢したわね』

 

 響達がハルを心配していると、二人の話をこっそり聞いていたらしいビアンキが現れる。

 

『─すごく…ショックです…ツナさん達が何かやっていることは知ってたけど…こんなに大変だなんて…知らなくて…何も知らずにわがままばっかり言って─くやしい…です…!』

 

 そう言って、目から溢れる涙を拭うハル。そんな彼女を、ビアンキが優しく抱き寄せる。

 

『ハルはがんばってるわ』

『─うっ…』

 

 ビアンキにそう言われたハルは、我慢できずついに泣き出してしまう。

 そんな彼女を見ていた響達だったが、ここは大空のリングが見せている記録の空間。気づけば、ツナが向かった方とは逆側から、徐々に景色が消え始めていた。

 それに気付いた響達は、名残惜しそうにしながらも、すぐにツナの後を追った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『京子ちゃんとハルに話をしたってみんなに報告しなきゃ…お兄さん怒るかなぁ…?』

 

 台所を後にしたツナがそう呟きながら作戦室に入ると、既に獄寺達守護者3人とリボーン、そしてディーノが集まっていた。

 

『ディーノさん!!』

「あれ?ディーノさんって確か、雲雀さんの修行に行ってたような…」

『よぉツナ!修行の進み具合をチェックしに来たぜ!家事にばかりうつつをぬかしてねーだろーな』

『え…は…はい。京子ちゃんにヒントをもらって、少しだけ(こいつ)のことがわかってきたんだ。多分もう暴れたりはしないと思う…』

『お?』『ついに!』『すげっ!!』

『さすが10代目っス!!』

『でもまだやってみないとわからないけど…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん?今、何か…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン♪ ランラン♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ツナ達が盛り上がっていたその時、何処からか楽しげな歌声が響いてくる。

 そして作戦室にあったメインモニターに、某レトロゲームに出てくる黄色のアイツを彷彿とさせるミニキャラが複数映し出される。

 

「白いパッ○マン?」

『何の放送だ?』

『ジャンニーニ、何これ?』

 

 可愛らしい映像とリズミカルな歌声に緊張感なくツナと了平に対し、ジャンニーニは焦りながらパソコンを操作していた。

 

『それがわかりません!何者かに回線をジャックされています!!』

「敵の攻撃か!」

 

ランランランランラーン

 

 ジャンニーニが対処に頑張るなか、画面に映し出されたミニキャラ達は中央に密集していき─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビャクラン♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミニキャラ達が吹き飛び、中からピエロのような服を着たSDサイズの白蘭が現れた。

 

『なぁ!?』

「うひゃあ!?」

『ハハハハッ!!』

 

 ツナと響がいきなり現れた白蘭に驚いていると、画面から笑い声が聞こえ、映像が硝子のように砕け散る。

 そしてすぐに画面が切り替わり、先程のCGではなく本物の白蘭が映し出される。

 

『どう?面白かったかい?』

『白蘭!!』

「─てかなんだよあのパフェ…見てるだけで胃もたれしそうな盛り付けだがよ…」

『退屈だから遊びにきちゃった!食べるかい?』

 

 そう言って白蘭は、手に持っていたパフェを前につき出す。

 そんな彼のパフェは、チョコレートにさくらんぼ、マカロンにアイスクリームなど、和洋全ての菓子類が山盛りに盛られており、クリスの言ったように見てるだけでも胃にくるものだった。

 

「さ、流石にそれはちょっと…」

『やろう!』『おちょくってんのか!?』

『なーんてね!本当は"チョイス"についての業務連絡さ』

 

 所謂夢盛りされたパフェをスプーンですくい、口に運びながらそう話す白蘭。

 

『ぎょうむ…れんらく?』

『ほら、日時については言ったけど、場所は言ってないよね』

「あ…確かに!」

 

 そして、白蘭は笑顔を浮かべながら告げる。

 

 

 

 

 

 

『6日後─お昼の12時に並盛神社に集合』

 

 

 

 

 

 

『!!』

「それってまさか…!」

『並盛で戦うの…!?』

『んー…どーだろーね?とりあえず必要な準備して、仲間は全員連れてきてね─()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

『なに!!』『全員って─』

『京子ちゃんやハルも!?』

「そんな…!」

『そこに意味があるんじゃないか─みんなで来ないと君達は失格だからね』

『な!?』

『ちょっと待て!!』

 

 目蓋を開き、冷たい眼差しを見せながら告げる白蘭。

 

『じゃあ、修行がんばってね~♪』

『おい!』

 

 そして話すだけ話した白蘭は、最後にそれだけ伝えると通信を切った。

 

『そんな…京子ちゃん達を戦闘の真っ只中へ!?』

『こりゃ、秘密どうこうって話じゃなくなってきたぜ…』

『─こうなるとツナが、京子やハルに状況を説明しちまったのは正解だったな』

 

 未だ『家庭教師の精』の格好をしていたリボーンがそう呟くと、獄寺と山本─そして了平が、驚いた顔でツナへ振り返る。

 

「リボーン君、いつの間にその事を知って…」

『ゴ…ゴメン…オレ話したんだ…やっぱり、京子ちゃん達にも事実を知ってもらうべきだと思って─』

 

 

 

 

 

 

沢田あぁ!!

 

ガッ

 

 

 

 

 

 

 ツナがその場にいた仲間達に、京子達二人に話したことを伝えると、了平が壁を全力で殴り付けた。

 了平のパンチによって、壁には拳一つ入るほどの大きさの穴と、無数の亀裂が出来上がる。

 

「素の殴りで、これほどの威力を…!」

『京子は…どうなった…』

『お兄さん…あの…』

『てめぇ、何暴れてやがる!!』

 

 怒りで全身を震わせる了平を見て怯えあがるツナ。

 そして了平がツナに掴みかかろうとしたところを、山本が了平の首もとに腕を回して止める。

 

『おちつこーぜ、センパイ』

『京子はどうなった!?』

「了平さん…」

『─ちゃ…ちゃんと聞いてくれました…』

 

 ツナは怯えながらも、京子達がしっかり聞いてくれたことを伝える。

 すると了平は動きを止め、目元に涙を貯める。

 

『ツナの判断は間違ってなかったと思うぜ了平…この状況では遅かれ早かれだ』

『くっ…』

『お兄さん…』

 

 ディーノの一言に、了平は歯を噛み締める。

 

『にしても白蘭のやつ、どーやって回線に入り込んだんだ?』

「─それもそうだな…一体どのような方法で…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『セキュリティがザルなんだぁ─アマチュア共がぁ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話をそらすようにして、リボーンが呟いた問いに第三者が答えた。

 声を聞いたツナ達が部屋の入り口を見る。

 

『あっ!』

『てめーは…!』

 

 そこには─

 

 

 

 

 

 

─大きなマグロを持ったスクアーロがいた─

 

 

 

 

 

 

『スクアーロ!!』

『みやげだ』

 

 ツナ達がそれぞれの反応を見せるなか、スクアーロは近くにいたディーノにマグロを押し付ける。

 

「「「「「何故にマグロ…?」」」」」

『遅かったなスクアーロ─生徒がおまちかねだぜ』

『え?生徒…?』

『!もしかしてよ…』

 

 ディーノにマグロを渡したスクアーロは早足である男に近寄る。

 

『オレの家庭教師って…』

 

 そして…呑気に笑っている山本に近づいたスクアーロは─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガッ

 

 

 

 

 

 

 容赦のない一撃を山本の顔に叩き込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ス、スクアーロさん!?」

「いきなり何を!」

 

 突然の行動に困惑する響達。だがスクアーロは止まらない。

 山本の顔を殴り付けた直後、すぐに彼の腹部に膝蹴りをキメる。

 

『がはっ!?』

 

 その一撃に山本が呻き声をあげるが、スクアーロは暴行の手を止めない。

 そしてついには、山本の歯も一本抜け落ちてしまう。

 

『ぐあっ!』

『山本ぉ!!』

 

 ツナの叫びが虚しく響く…

 

 

 

 

 

 

 スクアーロの暴行は山本が意識を失うまで続いた。

 

「や、山本さん…」

「ひどい…」

 

 山本が意識を失ったのを確認したスクアーロは、彼を肩に担ぎ上げる。

 そんな彼の足元は、歯茎から今もなお垂れ落ちる血で赤く染めていた…

 

『山本!!』

『殺しやがったか!?』

『まったく─殺してやりてぇぜ』

「なに!?」

『このカスはあずかってくぞぉ』

『えぇ!?そんなこと!』

 

 山本を連れていこうとするスクアーロに駆け寄ろうとしたツナだったが、ディーノが腕を出して止める。

 

『ここはスクアーロにまかせるんだ『でも…』山本のことはオレ達よりわかっている』

『そんな…』

 

 こうして 山本はスクアーロと姿を消した…

 

 スクアーロが部屋を出ていったのと同時にノートが開かれる。

 

『メチャクチャだ…あんな暴力的なやり方…』

『沢田』

 

 スクアーロのやり方を見て顔に影を落としていたツナに、了平が話しかける。それに答えるようにして、ツナが振り返ると─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バキッ

 

 

 

 

 

 

 了平がツナの顔に、右ストレートを叩き込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「了平さん!?」

『ぐはっ!?』

 

 殴られたツナは後ろに吹き飛び、壁に頭をぶつける。

 

『おい了平!』『10代目!!』

『やはり京子を巻き込んだことは、許せん!』

「だからって殴らなくても!『─だがオレも男だ…』!」

『この一発で次に進むことにする!!』

『てめーよくも10代目に!!ぶっ殺してやる!!』

『おちつけ獄寺!!』

 

 この日はみんなの溜まっていたモヤモヤが一気に吹き出したようなひどい一日だった…

 

「これは、本当にひどいな…」

「雲雀は勝手行動で、山本はどっかに連れてかれ…獄寺と笹川に関しちゃこの通り荒れまくりだ…」

「こんなんじゃ、チョイスまでに間に合わないよ…」

 

 

 

 

 

 

 でも この日からみんなが変わりはじめた…!

 

 

 

 

 

 

「え…?」

 

 予想外の言葉に響が困惑していると、景色が変わりツナの個室特訓部屋に切り替わる。

 そこにはグローブを外した状態でハイパー化し、右中指に大空のボンゴレリングをはめ、左手にボンゴレ匣を持ったツナの姿があった。そんな彼の鼻根部にはキズバンが貼られており、先程の出来事の直後であることが伺える。

 

 自分のすべきことをやって

 それが一つの方向に噛み合っていった

 そして 決戦の日を迎える頃には─

 

 

 

 

 

 

 オレ達の修行は、完璧に仕上がったんだ!!!

 

 

 

 

 

 

 そこでノートが閉じられると、ツナがリングに炎を灯し、匣の口に押し込む。

 すると、匣の蓋は光を漏らしながらゆっくりと開いていき─

 

 

 

 

 

 

 そこで景色が切り替わり、医療室の前に立つツナが映し出された。

 

「えぇ!?いいところでおあずけなの!?」

 

 期待を裏切られた響が嘆いていると、ツナが扉をノックする。

 

『誰だ?』

『あ…オレです』

 

 ツナが中に入ると、点滴とベッドサイドモニタをつけられ、ベッドに横になっているラル・ミルチの姿があった。

 

「ラルさん!」

「メローネ基地から戻ってきてから全く見かけなかったけど、意識が戻ってたんだ!」

『来るなと言ったはずだ』

 

 ラルがツナを見ると、目元を険しくする。

 

『いよいよなんです…白蘭と(リアル)6弔花との決戦』

『わかっている…オレも這ってでも行くつもりだったが、足手まといになるとリボーンに、はっきり止められた』

「ファインプレーだよリボーン君!」

『ラル・ミルチ…』

『修行はうまくいったと聞いた…やれるんだろうな?』

 

 真剣な眼差しで訊ねるラルに、ツナは無言でうなずく。

 

『白蘭を倒せば、ラルやリボーンを苦しめる非7^3線(ノン・トゥリニセッテ)も世界から消えるって入江君が言ってた…だからもう少しまってて』

 

 穏やかな表情でそう伝えるツナ。

 

『甘ったれが言うようになったな』

『本当はラルにも、修行の成果、見て欲しかったんだけど…』

 

 照れ臭そうにしながらツナがそう溢すと、ラルは一瞬目蓋を潜め、ツナから顔を背けるようにして体を横に向ける。

 

『俺は寝る!行け』

『!?─あの…もう少し話したいんだけど…』

『とてつもなくねむい』

「もしかしてラルさん、怒ってる…?」

「ラルはCOMSUBIN(コムスビン)の教官時代の頃から、鬼教官と呼ばれるほど甘えや妥協を良しとしない性格だが、無茶をする無鉄砲さや不器用なとこがある生真面目な奴だ。自分の弟子を誉めるなんて滅多にねぇ。これはラルなりの照れ隠しだろうな」

『…わかった。じゃあ行ってきます!』

 

 リボーンがラルの言動について(ラル本人が聞いたらキレるであろう)考察をしていると、ツナが部屋を出ていく。

 

『ビアンキ!!』

 

 そして階を移動し、居住区に向かったツナはビアンキを見つけ駆け寄る。

 

『なんか今日のために…服を用意してくれたって聞いたんだけど』

『ええ、更衣室に全員分あるわ。レオンの耐炎糸で作った、特別な戦闘服よ。京子やハルも手伝ってくれたの』

「ちなみに、今のツナが使ってるセーターも、レオンの耐炎糸で作られてるぞ」

「「へぇー」」

『そ…そうなんだ!ありがと!』

 

 ツナがビアンキに礼を伝えるが、その顔はどこか暗い。

 

『何か言いたそうね』

『え?あ…うん─京子ちゃんやハルの様子が気になって…大丈夫かなって思って…』

 

 ビアンキが訊ねると、ツナが心配そうに眉を潜めて話す。

 

「ツナさん…」

『怖がってなかった?』

『むしろ興奮してはしゃいでるわ─今のところね』

『そっか…ならいいんだけど…』

「その明るさがいつまで持つかが問題だ…」

 

 ビアンキの話を聞いたツナは、少し不安そうな顔をしつつも、皆が集まっているであろう更衣室に向かった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ビアンキさんの言ってた戦闘服って、どんなのだろうね?」

「レオン君の糸で作ったって言ってたから、鎧みたいなのではないだろうけど…」

 

 響達シンフォギア組とユニは、更衣室の前でそんな話をしていた。

 ツナの後を追って更衣室まで来ていた響達だったが、さすがに男の着替えは見せられないと、リボーンに外で待っておくようにと言われてたのだった。

 

『う~ん、強烈な女の子達だな~…まだ耳がジンジンするよ~』

 

 そんなこんなで、更衣室前で雑談をしていた女性陣。

 するとそこに、派手に荒れた寝癖をつけ、メガネの奥で寝ぼけ眼を浮かべる入江が現れた。彼の言葉から察するに、京子とハルに叩き起こされたのだろう。

 

「ふふっ、すっごい寝癖!」

「服がメローネ基地で会った時のまま…あれからずっと頑張ってたのかな?」

『って、いかんいかん!!今日は大事な決戦の日!年長組の僕がしっかりしないと!正一!!』

 

 そう自分自身に言い聞かせた入江は、手櫛で髪を整え、眠気を振り払って目をキリッとさせる。

 

『ゴホン…失礼するよ』

 

 そして響達の体をすり抜け、更衣室のドアを開く。

 響達は中を見ないよう、慌てて手や腕で顔を隠したが…

 

『わあっ!!』

 

 入江が驚いた声をあげたことを不思議に思い、そっと中を覗く。そして─

 

「「「うわぁ…!」」」

「「おお…!」」

 

 中にいたツナ達の服装を見た響達シンフォギア組は、驚きの声をあげた。

 

 

 

 

 

 

 そこにいた彼らは、シワのない白シャツに上品な黒のネクタイ、そしてツヤのある黒のスーツでかっこよく決めていたのだ。

 

 

 

 

 

 

『入江君!』

『おせーぞメガネ野郎』

 

 ユニ以外の女子がツナの姿に見惚れている中、入江に気付いたツナ達は一斉に振り返る。

 

『君たち、その格好!!決まってるじゃないか!!』

『本当はちょっと照れくさいんですけど…』

『オレがこの戦いのためにオーダーしたんだ』

 

 ツナが言葉通り照れていると、脚立に上ったリボーンが話し始める。

 

『ボンゴレマフィアの起源は、住民を守る自警団だ。歴代ボンゴレファミリーはその役割を果たす時、この正装に身を包み、命を懸けて戦ったんだ』

「つまりこの服装こそが、ボンゴレの真の戦闘服と言うことか…」

『な…なんだよ!マフィアをちょっと、カッコよくイイモンみたいに言って…』

『元々のボンゴレはイイモンだってことだ。その後で、口では言えねーようなこともしてるかもしれねーけど…『それが問題なんだよ!!』』

『でも今回の戦いはまちがっていない!!絶対に君達は正しいんだ!!』

 

 いつもの喧嘩(ツナの一方的な文句とそれを無視するリボーン)を始めた二人に入江が割ってはいる。そんな彼の顔からは必死さが伝わってきた。

 

『正一君…』

『前にも話したけど─7^3が白蘭さんの手に渡れば、大変なことになる!!白蘭サンを倒すことが、世界を救うことになるんだ!!

「そういえば、何で入江さんはここまでして白蘭さんを倒すのに必死なんだろう?」

「確かにな…古くからの友人の過ちを正すため、としては感情的すぎる…」

『せ…世界を救うって…』

 

 入江の話の規模に、理解が追い付けないツナ。そんな彼に、リボーンがあることを伝える。

 

『そんなでかい話、ピンとこねーだろ?お前達は()()()()()()()()()()()()()()()()

『え?』

「いやいや、ダメでしょ気にしないと!?じゃなきゃこの世界もツナ達の世界も─!」

お前達は1()0()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「!!」

『うむ!』『それなら…』『はい!』

「なるほど…今の発言は、『世界を救う』という重すぎる使命よりも、元の目標である『元の時代に帰ること』を意識させることで、沢田達の緊張を多少なりとも和らげる策があったか」

「まぁ、そんなところだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『よし、準備できたな』

 

 更衣室での会話の後、後からやって来たクロームとランボは守護者用のスーツを、入江・スパナ・ジャンニーニ・バジル・フゥ太、そして他の女性陣は別に作られていた非戦闘員用の制服に着替え、並盛神社付近の出入口に繋がるハッチに全員集結していた。

 そんななか、リボーンが確認するように呟くと、それに答えるようにしてツナがネクタイを整える。

 

『いくぞ』

 

『『『『『『おお!!』』』』』』

 

 ツナ達の声がハッチ内に響き渡る。

 そしてハッチが開かれ、彼らは共に、並盛神社へと向かう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─11時50分 並盛神社─

 

『誰かいるんか?』

 

 白蘭に告げられた予定時刻より10分早めにたどり着いたツナ達。

 そんな彼らが神社の階段を上りきると、神宮のど真ん中に謎の人工建設物が設置されていた。

 

『何だ…?コレ』

「演舞とかの舞台じゃないだろうし…」

『お祭りの山車(だし)でしょうか?』

『お祭りだもんね~!!』

『近づくな!!ミルフィオーレかもしれねぇ!!』

 

 ツナが不思議そうに眺めるなか、ハルの言った『お祭り』という単語に反応したランボがはしゃぎ始め、獄寺が敵の罠を考えて身構える。

 そんな彼らの反応を見た入江は、『忘れてた』と言わんばかりの苦笑いを浮かべ、目の前の物体の正体を告げる。

 

『ゴメンゴメン!言い忘れてたね─これは僕らの基地ユニットだよ』

「基地ユニット!?」

『工事を装って、今朝早めに運び出しておいたんだ。君達のバイクも収納しておいたよ』

『はひ~!!これが10日間ずっと作っていたモノなんですねー!!』

 

 ハルがランボを抱えながら基地ユニットを眺めていると、ランボが基地ユニットの上に上がりたがるが、それは抱き上げているハルとジャンニーニの口頭注意で止められる。

 

「なーんか見た目は、覆い隠してるシートのせいでダサく見えるな」

『何か、さえねー感じだな…中を開いたらポンコツってことはねーだろーな』

『できることはやったよ!!』

 

 獄寺に睨まれ、少し焦った声で答える入江。そんななかツナは、一人ソワソワと周囲を見回していた。

 

【山本とヒバリさん、まだかな…】

「あ!そういえば…」

「二人とも、それぞれの経路で場所と時刻は知っている筈だが…まだ来てないようだな」

ヒバリさーん!!山本ー!!

 

 しびれを切らしたツナが大声で名前を呼ぶが、周囲から返事が来る気配はない。

 

『何をやっとるんだあいつら!!決戦だというのに!!』

『まさか、来ないつもりでは…』

『修行を失敗した可能性もあるしな』

 

 ツナ達に暗い雰囲気がたちこめる。特にリボーンの一言は、ツナや獄寺達、そして響達の脳裏に、スクアーロに連れていかれる山本の姿を思い出させた。

 

『だ、大丈夫ですよ!!きっと来ます!!それにまだミルフィオーレの連中だって、姿も形も見せていないんですから!!』

 

 そんな彼らを励ますようにバジルが言う。

 

「そ、そうだよね!それに時間までは後少しあるし…『お』?」

 

 バジルの言葉を聞いた響が気を取り直していると、パソコンを操作していたスパナが不思議そうな声を漏らす。

 

『死ぬ気の炎が接近している…バカでかい』

『何だって!?』

『異様なスピードだ』

「もしかして、噂をしたらってやつじゃない!?」

 

 スパナの話を聞いた響は、接近しているのが山本と雲雀ではないかと考え笑顔を浮かべる。

 するとその直後、ツナ達を覆い込むようにして雲の影が重なった。

 

「あれ?急に曇った?」

『ん…おかしいぞ?とっくにウチらの位置と重なって─!上!

 

 響が突如暗くなったことに首をかしげていると、反応の位置を特定したスパナが空を見上げる。

 スパナにつられてツナ達や響達が上を見上げるとそこには、並盛神社上空で徐々に規模を拡大させていくドス黒い雲が浮かんでいた。

 

『何だ?』

『カミナリ雲!?』

 

 上空に突如現れた雲にツナ達は困惑する。

 だがそれは並盛町の住民も同じようで、所々から声が上がり始める。

 そんななか、並盛神社を簡単に覆い尽くせる規模まで広がった雲の中央から、ツナ達を照らすようにして光が放たれる。

 そして─

 

 

 

 

 

 

『やあ、諸君♪』

 

 

 

 

 

 

 雲の中から、巨大な男の顔が現れた。

 

『ひいいっ!何アレー!?』

「でっか!?」

『元気そうじゃん!綱吉クン』

 

 情けない顔で叫ぶツナに、雲から現れた男は親しげに話しかける。

 そこでやっと、ツナは男の正体に気づいた。癖のある髪型に左目の下にある三つ爪のマーク。それは間違いなく─

 

『びゃっ、白蘭─!?』

 

─敵の大将である白蘭の顔だった…




今回の内容が、10年後編で一番ギスギスして一番成長した出来事ですよね…
次回はついにチョイス戦。どこまで行けるかわかりませんが頑張ります。
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