戦姫燈炎SYMPHOGEAR!   作:生粋の名無し

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どうも、生粋の名無しです。

今回の投稿は、アンケートの結果が同時投稿になったことの報告と、それに際する注意事項もかねています。

アンケートに参加してくださった方々、ご協力ありがとうございます。結果、同時投稿に決まりました。
それに際して、いくつか説明させてもらいます。

・まず、本編の同時投稿は10年後編を投稿した翌日に─つまり、今回の『絶唱しない』等の作品との同時投稿はしません。
・10年後編の一話分が完成、及び同時投稿する本編の内容の微調整が完了してから同時投稿します。
・今のところの見積もりでは、2期本編と10年後編はほぼ同じタイミングで終わる計算ですが、もしどちらかの話数が会わなかった場合、余った分は単話投稿で上げさせてもらいます。
・10年後編のエピローグと本編の最終回も、別々に上げさせてもらいます。
・そして一番重要なことなのですが─私、まだシンフォギア3期を一切見てません。
なので、10年後編と2期本編が投稿し終えたら、また前みたいに長期間の無投稿期間に入るか、次のツナの過去編が始まると思いますが、どうか皆様の寛大な心で許していただけると幸いです。

それでは、『戦姫絶唱しないSYMPHOGEA!』どうぞ!


戦姫絶唱しないSYMPHOGEAR!        (Gが始まる少々前…)

『装者達の歌』

 

「そういえば前から聞きたかった事なんだけど─戦いながら歌うってアレはどういう仕組みなの?」

「あ、それは俺も思った!」

 

 響達が行動制御解除されてから数週間たった頃、何気ない話をしていた未来が響に尋ね、ツナも食いついてくる。

 

「う~ん…手っ取り早く言うと、シンフォギアってカラオケ装置なんだよね」

「「カ、カラオケ!?」」

 

 そんな二人は、質問相手から返ってきた答えに驚きを隠せない。

 

「そっ!私もよくわかっていないんだけど、シンフォギアから伴奏が流れると、胸に歌詞が湧きあがって来るんだ」

「胸に、歌詞が…?」

「まぁ、そういうこったな」

 

 響の話に未来が首をかしげていると、いつの間にか合流していたクリスが答える。

 

「歌詞もまた、装者が心象に描く風景に由来とした物だと、かつて櫻井女史は言っていたな─思い返してみろ。『疑問、愚問で衝動インスパイア』なんてところなど、実に雪音らしい」

「はぁ!?」

 

 そんなクリスだったが、同じように合流していた翼の話を聞き、顔を赤くする。

 

「おまけに『羅刹インストール』だもんねぇ~!ふふっ!」

「やめなよ響。そんな『傷ごとエグる』ようなこと」

「ぐはぁ!」

 

 続くようにして響、未来からも歌詞を弄られ、クリスは身悶えた後、恥ずかしさのあまり倒れてしまう。

 

「ちょっと、三人とも…」

「ぅぅ…!お前らぁ~!」

 

 ツナがそんな三人に呆れながらもクリスを起こすと、当のクリスは三人を睨み付ける。

 

「フッ…雪音はどこまでも奔放だな」

「ちょっと待て!あんただけには言われたかないぞ!自覚がサッパリかもしれないが、そっちの歌も大概なんだからな!アレが心象由来というのなら、医者も裸足で逃げ出すレベルだッ!」

(確かに…始まりから「颯を射る如き刃」だからなぁ…)

「そういう話なら、もっとスゲー奴がいるだろ?」

 

 ツナがクリスの訴えに心の中で同意していると、これまたいつの間にか合流していたリボーンが話に混ざってくる。

 

「ここには、ガチの中二で技名つけた男がいるじゃねーか」

「「「「─あ!」」」」

 

 そして、リボーンの話を聞いた装者達と未来は、一斉にツナを指差した。

 

「オ、オレ!?」

X(イクス)-BURNER(バーナー)を文字に起こしたら、"X"で"イクス"って読んでるからな」

「確か"X"は、ローマ数字で"10"の意味がある…」

「なーんだ!ツナってば、あんなに『継がない継がない』って言ってるくせに、意識しまくりじゃーん!」

 

 自分に話題が向くとは思っていなかったツナは、響にそう言われ徐々に今までの言動を思い返していく。

 

(今までハイパーモードで叫んでたからあまり気にしてなかったけど…こうして弄られると─かなり恥ずい!)

「うあぁぁぁぁ!」

 

 そして耐えきれなくなったツナは、死ぬ気モードでもないのに声を上げて彼方へと走っていったのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クリスの買い物』

 

「知らなかった…特機部二のシンフォギア装者やってると、小遣い貰えるんだよな…」

 

 通帳をもって、そこに書かれた金額に驚きながらそう呟くクリス。

 そんなクリスは、そのお金の使い道を考えはじめるのだが…

 

「あの(バカ)はきっと…」

『あは、はは─ごはん&ごはん!はは─』

「─とか言って、食費に溶かして損だし…(こっち)はこっちで─」

『常在戦場…常在戦場…』

「─とか言って、乗り捨て用のバイクを何台も買い集めてそうなイメージがあるなぁ…いや、勝手な想像だけど」

 

 そう誤魔化すクリスだが、どうしてもそれ以外で使ってる二人の姿が思い付かない。

 実際の所、響に関してはクリスの想像通り食費に費やそうとしていたのだが…二課に隔離されていた時、響が未来から借りている金を返していないことを聞いていたツナがその事を注意したことで、消費する前に借金返済分に何割か回されていたりする。

 

「そんでツナの奴は─」

 

 そして、最後にツナが金を使う姿を想像するのだが…

 

「…あいつはよくて─貯金か?全く何も想像できねぇ…」

 

 いくら考えても浮かんでこず、首をかしげるクリス。

 なお、当のツナは─響から話を聞くまで給料をもらえたことに気づいておらず、振り込まれた金額をやっと見て、目を見開いたとかなんとか。

 そして悩んだ末に出した答えは─新たに居候になったリボーン達の家庭用品や食費に使うことだったりする。

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

(まあいいか。さって…あたしはどうしたものかな…)

 

 これ以上考えても出てこないだろうと見きりをつけ、自分の使い道を考えたクリスは─

 

 

 

 

 

 

「という訳で、あたしの買い物に付き合ってもらう」

「だからって─」

「なんで俺達が!?」

 

 困惑する弦十郎とツナの手を引き、街中を歩くクリス。

 

「あの二人じゃダメなんだよ」

「傑作アクション映画でも探してるのか?だったら─」

(クリスの事だから、それは絶対ないな…)

 

 弦十郎の推察をツナが心の中で否定していると、クリスが歩みを止めた。どうやら目的地に着いたらしい。

 ツナと弦十郎が上を見上げると─

 

 

 

 

 

 

看板には─仏具店と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

「「ぶつぐてん!?」」

「ふっふ…一番カッコいい仏壇を買いに来たぜッ!」

 

 ツナと弦十郎が驚くなか、クリスは男達を置き去りに中へ入る。

 

「意外というかなんと言うか…想像を絶する渋い趣味をお持ちの用で…」

 

 そうこぼし、ツナと共にクリスの後を追う弦十郎。

 それから数十分後、従業員と共に出てきたツナ達の後ろには、一台の仏壇が…

 

「で、これを運ぶために俺達が呼ばれたと…」

「すまねぇな」

「問題は、どうやって運ぶかだが…」

「それなら大丈夫だ」

 

 一番の問題に頭を悩ませていたツナ達のもとに、一人の黒服の子供が上空から降りてきた。

 そう─ツナの家庭教師であるリボーンだ。

 

「リボーン!」

「リボーン君!?いつの間にこちらの世界に!?」

「弦十郎の質問は後で説明するとして─仏壇(そいつ)を運ぶなら、こうすりゃいいんだ」

 

 弦十郎が目の前に現れた本物のリボーンに驚くなか、リボーンはそう言ってレオンを拳銃に変化させると─ツナの額に狙いを定めた。

 

「ちょっ、リボーン!?まさかここで─」

「いっぺん死んでこい」

 

 リボーンが今から何をするのか気づいたツナが慌てはじめるが、それでどうにかなる訳もなく…

 

 

 

 リボーンが放った弾は、ツナの額を穿いた。

 

 

 

 その光景を一度見たことのあるクリスはあまり驚くことはなかったのだが─今の行動が何をするためのものかを知らない弦十郎は、倒れたツナに慌てて駆け寄る。

 

「何をしている!?こんなところで、しかも自分の生徒に─」

「あー…大丈夫だ、おっさん。ツナの(デコ)をよくみてみろ」

 

 ツナの体を抱き起こし、怒りを露にする弦十郎だったが、クリスにそう言われツナの額を見る。

 すると、ゆっくりと溢れ出す炎が…

 

復活(リ・ボーン)!!死ぬ気で仏壇を運ぶ!!

 

 そして、死ぬ気モードになったツナが自分の皮を破いて勢いよく起き上がった。

 

「甦った…!?しかも、額の炎はハイパー時の綱吉君の…しかし、いつものとは何処か…」

「それも後で説明するとして─」

 

 困惑する弦十郎の横でリボーンは、拳銃になっていたレオンを今度は大型のリヤカーに変化させた。

 それを確認した死ぬ気ツナは、大人一人分はある筈の仏壇を軽々と持ち上げると、壊さないよう優しくリヤカーに乗せる。

 

「三人とも乗れ!」

 

 そして前に回りハンドルを握ると、リボーン達に呼び掛けた。

 いつもの彼からは考えられない言動にまたも困惑する弦十郎だったが、死ぬ気ツナに耐性がついてきていたクリスに手を引かれリヤカーに乗り込む。

 するとツナは─

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

 自動車を上回る速度で走り出すのだった…

 

 

 

 

 

 

 そして5分後…

 

 

 

 

 

 

「だはぁ…」

 

 クリスの案内のもと、彼女の家まで仏壇と弦十郎達を運んだツナは、死ぬ気が解除されるとすぐにその場に倒れこんでいた。

 

「悪ぃなぁ、デカイ荷物を運ばせちまって。おかげで助かった」

「しかし、仏壇なんて買ってどうするつもりだ?」

 

 倒れたツナの代わりに、室内に仏壇を運んだ弦十郎がクリスに問いかける。ちょうどそこへ、リボーンにたたき起こされたツナも合流する。

 

「ふ…あたしばっかり帰る家が出来ちゃ─パパとママに申し訳ねぇだろ?」

「「!!」」

 

 クリスの話を聞いた弦十郎とツナは一瞬驚いた後、笑顔を浮かべる。

 

「─うん、そうだよね!」

「ああ!!」

 

 

 

 その後、クリス達と現地解散したツナは、給付された金の新たな使い道を考えながら、リボーンと共に自宅に歩を進めていた…

 

 

 

(俺も、今度仏壇買おうかな…この世界の母さん達と─この世界の俺の供養に…)

 

 

 

 

 

 

 その翌日…

 

「聞いたか!?昨日出たんだってよ、例の"パンツ男"!」

「聞いた聞いた!」

「俺、実際に見たぜ!本当にパンツ一丁だった!しかも昨日は、リヤカーに仏壇と人を何人かのせて街中走ってやがったんだ!」

「ちょっと待って!?確か、一般的な仏壇でも50~60kgはあるって、父さんの友達が昔言ってた!」

「マジかよ!?ヤベーじゃん"パンツ男"!」

(やっちゃったーーー!!)

 

 クラスメート達の話を聞いていたツナは、仏壇の事を忘れてしまうほど落ち込むのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お仕事』

 

(いつか…世界を舞台に歌を歌ってみたい…だが、この身は剱…ノイズの災厄を振り払うその日までは…防人として、戦場に立つのが運命…)

「翼さん?」

「!あ、あぁ…すまない、沢田」

 

 考え込んでいた翼は、ツナに話しかけられ思考から戻ってくる。

 彼女達が今いるのは二課の広間。

 二課に訪れていた翼は、偶然訪れていたツナと合流し、何気ない話をしていたのだ。

 するとそこへ、緒川が駆け寄ってくる。

 

「翼さん!大変です、翼さんッ!」

「緒川さん?」

「いったい何が…!?」

 

 何かノイズ絡みの事件でも起こったのかと身構える翼。しかし、緒川から返ってきたのは─

 

「それが…クイズバラエティの出演依頼がなのですが…どうします、翼さん?一応、ニューシングルの告知も出来ると」

 

 芸能人ならよくある、番組出演のオファーだった。

 

「クク、クイズって!?私に何を求めての依頼なの!?」

「それはもちろん、クイズの解答ではないかと」

「む、無理です!」

 

 頑なに断ろうとする翼。しかし─

 

「問題。万葉集にも歌われた九州沿岸の防衛のために設置された─」

「─防人ッ!」

 

 緒川に出されたクイズに、素早く反応し答えた。

 

「凄いじゃないですか!」

「ああ、いえ…これくらい日常の基礎知識なので…」

「イヤ…日常で防人なんて言葉使うの、翼さんだけじゃ…」

「続けてどんどん行っちゃいますよ!」

「望むところです!」

 

 呆れるツナを他所に、緒川の問題は続いていく。

 

「問題。長岡藩の藩是であり、かの連合艦隊司令長官山本五十六の座右の銘でもあった─」

「─常在戦場!」

(緒川さんがさっきから出してる問題、どれも翼さんが言いそうな単語だな…)

 

 横で問題を聞いていたツナが、そんなことを考えていると…

 

「問題。つじつまの合わない事を意味する矛盾とは、何物をも跳ね返す盾─」

(あ、この問題は多分…)

「剱だ!」

(やっぱり!)

 

 今までとは毛色の違う問題が出され、翼はツナが予想した通りの答えを出した。だが、彼女の出した答えはもちろん─

 

「ブー!正解は矛です」

「クッ!そちらであったか!」

「イヤイヤイヤ、そちらであったかって…矛しか答えはないし、問題にも『矛』ってあったじゃないですか…」

 

 悔しがる翼と、彼女の一言を聞き呆れ果てるツナ。

 

「意外に行けるじゃないですか。驚きですよ」

「どうやら開花したようですね。私の隠れた才能が…」

(あ、これは…)

 

 落ち込んでいた翼だったが、緒川の煽てにのり、少しずつ調子にのりはじめてしまう。

 そんな彼女を見たツナは、その後の展開を完全に理解した。

 

「では、出演オファーは受ける方向でスケジュール調整しておきますね」

「─って、あれ?ちょ…緒川さん?」

 

 困惑する翼を無視し、スケジュール確認のためにその場を離れる緒川。

 因みに、翼の後ろでは両手を合わせ合掌するツナの姿が…

 

(翼さんの歌を沢山の人に届けるのが、僕の仕事ですからね…これはいい機会になりそうだ…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お見舞い』

 

「もう異常はないのだな、奏」

「おう!この通りさ!」

 

 二課医療施設のとある病室で、何気ない会話をする二人。

 今日は奏が目覚めたお祝いに、翼だけでなく響達装者やツナ、未来、そしてリボーン達別世界組も病室を訪れていた。

 

「お…お久しぶりです!」

 

 翼と奏が仲良く話していると、緊張した面持ちで響が奏に話しかける。

 

「お前─あの時会場にいた!」

「はい!」

 

 響の顔を見て驚いた奏だったが…

 

「そうか…すまねーな。あんなことがあったから、あたしなんかの後釜になっちまって…」

 

─装者になった響と顔を会わせるのは今回が初めてだが、弦十郎や翼から話は既に聞いていた奏は顔に影を落としてしまう。

 そんな彼女を見た響は慌てながら─それでいて笑顔で語りはじめる。

 

「奏さんが謝ることなんて無いですよ!私は、自分から胸のガングニールで戦うことを選んだんです!…そりゃあ最初は、眠ってる奏さんの代わりに頑張るんだー!って必死になってましたけど…今はそんなこと考えず、私個人として戦ってます。それに胸のガングニールがあったから、師匠や翼さんや二課の皆さん、それに了子さんやクリスちゃんに出会えたし、クリスちゃんと分かりあうことができました…むしろこっちがお礼を言いたいぐらいですよ!」

「おまえ…」

「そうか…それならいいんだ─にしても、あの時あたしを助けた男の正体が、こんなひ弱そうな少年だったなんてな!」

 

 そんな響に、奏は穏やかな顔で呟き─直ぐに顔色を変え、その場の空気を明るくさせるようなノリで話を変えた。

 

「でも、あん時は助かった!ありがとな!」

「い、いえ…別に俺、感謝されるようなことは…」

「何を言う。沢田があの場にいてくれたからこそ、こうして奏が生きている訳でな─?どうしたのだ沢田?」

 

 奏に礼を言われ照れていたツナは、小言を言い始めた翼を見て、何故か笑みを浮かべた。

 

「翼さん、奏さんが目覚めてから、前よりよく笑顔を見せるようになったなーって」

「なっ─!?」

「今は真剣な表情してるけど、それでもどこか嬉しそうだし」

 

 ツナがそう呟き、優しげな微笑みを浮かべると、翼は顔を真っ赤にする。

 

「ほほぅ…あたしが眠ってる間に、あの堅物だった翼がこんなになってたとはねぇ…」

「奏まで!?」

 

 まさか奏にも弄られるとは思っておらず、声をあげる翼。

 

 

 

 そんなこんなで時は過ぎていき、面会終了の時間が訪れた。

 

「今日はありがとな!」

「また今度、お見舞いに来ますね!」

 

 病室を出ていくツナ達を笑顔で見送る奏。

 そして、全員が部屋を出ていったのを確認した奏は─

 

「─っはぁぁぁぁ…!」

 

 大きな息継ぎをしながら、布団に顔を埋めた。そんな彼女の頬は、少し赤に染まっていて…

 

「何とか気が付かれずにすんだな…あいつの顔を見ちまうと、どうしてもあの時の事を思い出しちまうんだよなぁ…」

 

 そう呟きながら顔を上げた奏。頬を薄い赤に染める彼女の脳裏には、死の間際にいた自分を助けたツナの顔が…

 

「───っっ!」

 

 声にならない声を上げ、自分の髪をグシャグシャにする奏。

 ライブ襲撃事件(あの時)のツナは過去のジョットの体を借りてはいたのだが、やはり初代と瓜二つなだけはあり、奏の中では「ジョットの顔=ツナの顔」で結びつけられてしまっているのだ。

 

(特にさっき、あいつが微笑んだときはヤバかった─あの顔、あたしを助けたときに見せたのとそっくりそのままだったんだよぉ…)

 

 いつも姉御肌で明るい奏が、乙女のように恥ずかしがる姿はとても珍しい。これはやはり、彼女もツナに…

 ベッドの上で身もだえる奏。実は、そんな彼女の姿をこっそり覗き見ていたものが一人…

 

 

 

 

 

 

「天羽も、か─これで装者は5人目だな。この調子なら、まだまだこれから増えていくだろう…この事に気づいたダメツナがどんな反応をするか、これから楽しみだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Gが始まる少し前…』

 

「紹介するね!」

「えっと…沢田綱吉です。よろしく…」

「そんで、俺がこのダメツナの家庭教師をやってるリボーンだ。よろしくな」

「「よろしく!」」

「よろしくお願いしますわ」

 

 『ふらわー』店内の一角で、左右を響と未来に挟まれているツナと、そんな彼の膝上に座っているリボーンが目の前にいた三人組─安藤・板場・寺島に自己紹介を行う。

 本日は、響達からツナ達の話を聞いた安藤たっての頼みで、こうして顔合わせの場が作られていた。なお今回、セレナとユニと白蘭は沢田宅で留守番、そして『ふらわー』は情報漏洩防止のため、話が終わるまではツナ達の貸しきりになっている。

 

「それにしてもさぁ…初めて響から聞いたときは『マフィアの跡継ぎに殺し屋の子供なんて、どんなアニメのキャラよ!』って思ったけど…こうして目の当たりにすると納得だわ~、リボーン君だけ」

「あ、あはは…俺も、自分がマフィアの跡継ぎなんて受け入れらんないし─って、アニメ?」

「あぁ─アニメがどうこうってのは、ユミの口癖なのよ」

 

 ツナが板場の口癖に戸惑っていると、安藤が板場の補足をする。

 

「まぁ、実際にアニメ化してるからな、俺達」

「な、なに言ってんだ?リボーン」

「なんでもねーぞ」

「ところでさ─()()()()とビッキー達の出会いって、どんなだったの?」

 

 第三の壁を越えようとしていたリボーンにツナが首をかしげていると、安藤が目の前の三人の馴れ初めについて聞いてくる。

 だがツナは、彼女の呼び名に更に困惑することになる。

 

「ワ、ワダツナ…?」

「安藤さんは、少々独特なあだ名をつける癖がおありでして…ですが、慣れてしまえばそこまで気にする程ではありませんわ」

「よくない?何処かの神様みたいな名前でさ!」

 

 三人の中ではキャラが薄い方である寺島が、安藤の癖について説明すると、ツナは苦笑いを浮かべる。

 

「ア、アハハ…そうなんだ…」

(響達の友達、結構クセが強いなぁ…まぁ、俺もキャラの濃い知り合い、結構いっぱいいるけど─そういや、安藤さんの言う神様って、俺も聞いたことある気がするなぁ。なんだっけ…獄寺くんなら直ぐ分かりそうだけど…)

 

 

 

 

 

 

「今、10代目に呼ばれた気が!」スワッ!

「なに言ってんだ?隼人。ツナは今、あっちの世界に行ってんだ。どうやったらおまえに聞こえるってんだ?」

「うっせぇ跳ね馬!俺には確かに10代目の声が!」

「まーまー、落ち着けって─でさ、この問題の解き方ってどうすりゃいいんだ?」

「んがっ─だからさっき教えただろ!ここをこうしてだな…」

「そんで、この式に代入して─にしてもお前ら、やっぱ仲いいな」

「まぁな」「良くねぇ!」

 

 

 

 

 

 

「どうしたの?ツナ」

「う、ううん。何でも…」

 

 一瞬、元の世界と繋がりかけていたツナだったが、未来に話しかけられ引き戻される。

 

「こいつにそんなカッコいい呼び名はいらねーぞ。ダメツナで十分だ」

「そっちの方がよっぽどヤだよ!」

「アハハ!あんた達、アニメよりも漫才の方が向いてるんじゃない?」

 

 そして、ツナがリボーンにツッコミをいれると、その光景を見ていた安藤達三人は笑いだした。

 

「ったく…えっと、安藤さんだっけ?俺の呼び方だけど、『ワダツナ』じゃ違和感があるから、響達みたいに『ツナ』って呼んでくれないかな?」

「いいよ~」

「ありがとう…それで確か、俺と響達の出会いを聞いてたんだよね?」

 

 気を取り直したツナが、安藤に聞かれていた事を思い出す。

 

「響と出会ったのは、俺がこの世界に飛ばされて直ぐだったんだよな─」

 

 そしてツナは、この世界での二年間を思い出しながら、三人に話し始めるのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Gが始まる少し前…その2』

 

「それにしても─ユニさんの声を聞いていると、調ちゃんの事を思い出しますね…」

 

 ツナとリボーンが『ふらわー』で盛り上がっていた頃、セレナが昼食で使った皿を洗いながら呟く。

 

「その調さんとは、セレナさんのお知り合いなんですか?」

 

 そんな彼女の横で手伝っていたユニが訊ねる。

 

「はい─調ちゃんとは同じ施設で一緒に育って、マリア姉さんと切歌ちゃんも含めた4人で、よく遊んでいたものです」

 

 ユニの問いかけに、皿を洗いながらも懐かしい日々を思い浮かべるセレナ。

 

「そうなんですね…でもなぜ、私の声が調さんと繋がるんですか?」

「─ユニさんの声って、どこか調ちゃんに似ているんです。目を閉じて聞いたら、本当に調ちゃんと勘違いしそうなくらいに…」

 

 ユニの問いに答え、彼方の空に視線を向けるセレナ。

 

「皆は今頃、何をしてるのかな…」

 

 

 

 

 

 

「「「─っくしゅん!」」」

「大丈夫?二人とも」

「アタシ達は大丈夫デス。それより、マリアこそ大丈夫なのデスか?」

「ええ…私は平気よ」

「誰かが噂でもしてるのかな…?」

「アタシ達の事を噂する物好きなんて、いったいどこに…」

「三人とも、今は無駄話をしている暇はありません。私達はこの地球を月の落下から防ぐため、一刻も早く準備を整えなければならないのですから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クリスの買い物─その後』

 

 とある平日の朝。多くの学生が登校を始めている時間に、とある家の座敷にリンの音が響く。

 

「おはようさん」

 

 二つの位牌に朝の挨拶をしたクリスが仏壇の前で合掌していると、外から響達の声が聞こえてきた。

 

「朝から騒々しくて悪ぃな…でも、騒々しいのは音楽一家らしいだろ」

 

 そう呟き、深く一礼したクリスは登校の準備を始めるため立ち上がる。

 

「んじゃ、学校(ガッコ)に行ってくる─正直、まだ慣れないし、騒々しいところだけど…パパとママの子供だから、あたしも騒々しいのは嫌いじゃないみたいだ…」

 

 位牌に視線を向けそう呟くと、外で待っていた響達と合流し、リディアンへ向かい歩き始めた。

 

 

 

 そして─

 

 

 

「それじゃ、行ってくるよ」

「「行ってらっしゃい!」」

「行ってら~♪」

 

 時を同じくして、家を出ようとしていたツナは─ダイニングの小型本棚の上に置かれていた小型の仏壇の前に立つ。中には三つの位牌が置かれ、仏壇の側には一枚の家族写真が…

 

「─行ってきます!」

 

 線香を香炉に指し、リンを鳴らして合掌、礼拝をしたツナは、いつものように学校に向かっていった…




本来なら、この回は投票締切前に投稿したかったんですが、なにぶんオリジナルの内容がなかなか思い付かず…
次回は10年後編と2期本編の同時投稿を始めますので、どうか楽しみにしていただければ幸いです。
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