戦姫燈炎SYMPHOGEAR!   作:生粋の名無し

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なんとかできましたが、ちょっと長くなっちゃいました。


標的(ターゲット)2 ノイズと絶唱、そして…

「なんだ…あれ…」

 

 ツナは視界に広がる光景が信じられず放心していた。

 それも仕方のないことだろう。ライブ会場を襲撃してきた謎の生物のようなもの達が、逃げ惑う人々を襲い、触られた人は一人の例外もなく、全身が灰色になり、粉々に崩れ落ちているのだから。

 

(あの灰色の物体は…炭?まさか、あの化け物に触れた人は全て炭になっているのか!?)

 

 本来のツナであればすぐに「超死ぬ気モード」になり襲撃を阻止しにいっていただろうが、今のツナは珍しく冷静で、放心しつつも謎の襲撃者の特徴について考えていた。そんな時、

 

「なにボーッとしてるの!早く逃げないと!」

 

 隣にいた響が叫んだことで思考の海から戻ってくる。

 

「ねえ響!あいつらは…!」

「あれはノイズ!空間からにじみ出るように突然現れて、人間のみを大群で襲撃して、触れた人を自分もろとも炭素の塊に換える人類共通の驚異として11年前の国連総会で特異災害に認定された存在でしょ!?そんなこと、今の中学生は誰もが知ってるよ!?だから早く逃げないと…!」

 

 ツナが響に襲撃者について聞こうとすると、それよりも早く響が襲撃者ーノイズについて話す。そして席を立ち、近くの通路に向か…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まって!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

─おうとした響を呼び止める。

 

(このままあの通路(あそこ)に向かうのは危ない気がする!)

 

 ツナの超直感が警鐘をならしていた。

 実際、呼び止めたのは正解だった。ツナが響を呼び止めて少しすると、向かおうとした通路には大勢の人が詰め寄せていた。

 もしツナが呼び止めていなかったら、と考えた響は一瞬で青ざめる。そしてツナ達からは見えてないが、大勢の人が通路に一斉に入った結果、何人もの人達が人の圧によって圧迫死していた。

 もし止められずに向かっていたら、響もその仲間入りをしていたかもしれない。青ざめる響を心配しつつ周りを確認していると、人々が詰め寄っておらず、ノイズからも離れた位置にある通路を見つける。

 

「こっちだ響!」

「うわっ」

 

 ツナは響の手を掴み、先ほど見つけた出口に向かう。後ろから聞こえる悲鳴や叫び声から逃げるように走り続け、通路まであと少しのところで、

 

「「あっ!」」

 

 目の前に突如、襲撃してきた個体とは別個体のノイズが現れ、ツナ達に襲いかかろうとする。響は尻餅をつき、ツナは反射的に響を庇うようにして覆い被さる。そして迫り来る死を前に目をつぶる。…だが、いつまでたっても死がこないことに気付き目を開くと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツヴァイウィングの一人である天羽奏が、謎のプロテクターを着て、槍状の武器でツナ達を庇うかのようにしてノイズの攻撃を防いでいた。

 

 

(何でツヴァイウィングの奏さんが…というかなにあの格好!?)

 

 ツナはなぜ奏が自分達のところにいるのか、どうして変な格好をしているのかが理解できず困惑してしまう。ツナが庇っていた響も似たような理由で困惑している。

 

「君達、大丈夫か!?」

 

 そんな二人に奏は無事かどうか聞いてくる。その声を聞いて、二人はなんとか持ち直し、

 

「は、はい」

「大丈夫です…」

 

と答えた。

 二人が無事なことを聞いた奏は一瞬安心した顔をしたが、すぐに気を引き締め、

 

「こいつは私が引き留める!その間に早く逃げろ!」

 

と叫んだ。それを聞いたツナはすぐさま立ち上がり、

 

「ありがとうございます!」

 

 と伝え通路に向かう。そして響も、ツナの後を追うために立ち上がった、その直後、奏の着ていたプロテクターのアーマーから

 

 

 

 

 

 

ピシッ

 

 

 

 

 

 

という音がたち、アーマーに亀裂が走る。

 その亀裂を見た直後、ツナの超直感が再び警鐘をならし始めた。

 

「伏せろ響!」

 

 ツナは超直感と本能にしたがいそう叫び、響の元に向かおうとするが間に合わず

 

 

 

 

 

 

奏が着ていたアーマーの一部が吹き飛び、

 

 

 

 

 

 

「え…?」

 

 

 

 

 

 

その一部が響の胸に突き刺さった

 

 

 

 

 

 

「響ッ!」

 

 破片が刺さった響はその場に倒れこむ。それを見たツナは彼女の名前を叫びながら駆け寄る。

 

「おい、死ぬな!」

 

 そう叫びながら、奏も武器を投げ捨て駆け寄ってくる。

 

「目を開けてくれ!」

「響!なぁ、俺の声聞こえる!?聞こえるなら返事をしてくれ!!」

 

 倒れた響を起き上げ、ツナと奏は必死になって響に呼び掛けるが反応がない。彼女が倒れていた場所には大量の血がついており、今もまだ傷口から血が流れ続けている。そんな彼女にツナは声をかけ続ける。

 

「生きるのを諦めるな!」

 

 奏がそう叫ぶと、声が届いたのか、響の目が開き始める。

 

「ぅ…ぁぁ…」

「響!」

 

 響が目を開けたことに喜ぶツナ。だが、響の目からは徐々に光が失い始めており、目も半開き、傷口からも血が流れ続けている。

 響の意識が戻ったことに一瞬喜んだ奏は、すぐさま目を閉じなにかを考え始める。そして数秒たち、目を開いた奏の顔を見たツナは、彼女の覚悟が決まったこと、その覚悟がどの様なものかに気付く。

 

(奏さん、ここで死ぬつもりだ…!)

「少年」

「!…はい…」

 

 奏の意思に気づいた直後、奏に話しかけられる。

 

「この子をつれてここから逃げろ」

「…奏さんは、どうするんですか…?」

 

 逃げるよう言われたツナは奏にどうするのか問いかける。

 

「私のことは気にするな。今は逃げることだけ考えろ」

「奏さん…」

「この子を任せられるのは君しかいないんだ、頼む」

「っ!…はい…」

 

 そう奏に頼まれたツナは歯を食い縛りながら、響を抱きかかえて通路に走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ありがとう、少年)

 

 奏はツナの姿が見えなくなったことを確認すると、心の中で彼に感謝した。

 

「いつか、心と体、全部空っぽにして、思いっきり歌いたかったんだよな」

 

 そう言いながら、彼女は落ちていた槍状の武器─ガングニールのアームドギアを拾い上げ、ノイズに近づいていく。会場の至るところにいたノイズは、いつの間にか一ヶ所に集まっていた。

 

「今日はこんなにたくさんの連中が聞いてくれるんだ。…だから私も、出し惜しみなしで行く」

 

 そういって奏はもっていたアームドギアを掲げる。その際に、アームドギアの一部が崩れる。

 

「とっておきのをくれてやる…『絶唱』」

 

 そういって彼女は『歌』を歌い始めた。

 

 

 

 

 

 

《Gatrandis babel zigguratーーー》

 

 

 

 

 

 

『絶唱』─それは装者の負荷を省みずに聖異物:シンフォギアの力を限界以上に解放する歌である─

 

増幅したエネルギーを、アームドギアを介して一気に放出する。その力の発現はシンフォギアごとに異なるが、共通して発生するエネルギーは凄まじく、ノイズを始めとするあらゆる存在を一度に殲滅し得る絶大な効果を発揮するが、装者への負荷も、生命に危険が及ぶほどに絶大。

 反動ダメージは装者の適合係数の高さに伴って軽減されるが、彼女の適合係数は低く、『LiNKER』と呼ばれる、聖遺物及びシンフォギアへの適合係数が基準値に満たない者を、投与することによって係数不足分を補い人為的に適合者へと成す、聖遺物の力と人体を繋ぐための制御薬を投与してシンフォギアを纏っているが、現在とある理由でLiNKERの投与を一時中断しており、このまま彼女が絶唱を歌い終わったら─

 

 

 

 

 

 

体が負担に耐えきれず、塵となって完全に消滅してしまうだろう

 

 

 

 

 

 

「いけない奏!歌ってはダメー!」

 

 絶唱を歌っている奏に、ツヴァイウィングの片翼であり、奏と同じシンフォギア装者である風鳴翼が絶唱をやめるよう伝えるが、奏はその忠告を無視して歌い続ける。そしてついに歌が終わる─その直前

 

 

 

 

 

 

奏の全身を激痛がはしる

 

 

 

 

 

 

「うぐっ!」

 

 その激痛によって、奏は絶唱を中断してしまう。唐突に襲ってきた激痛の原因は、絶唱を歌っている途中でLiNKERの効果が切れ、シンフォギアの負担が一気に降りかかった事が原因だ。

 そんな彼女を嘲笑うかのように、ノイズの集団は奏に近づきはじめる。奏は、戦うために立ち上がろうとするが、痛みによって体がいうことを聞かず、立ち上がることができない。そんな彼女にノイズは非情にも近づいてくる。

 

「奏!」

 

 翼は奏の元に行こうとするが、それを阻むようにノイズが襲いかかってくる。

 

「奏逃げて!」

 

 翼はノイズを倒しながらそう叫ぶが、奏は動くことができない。そしてついに、ノイズの中で一番大きい個体が奏の元にたどり着く。そのノイズは、ゆっくりと腕を振り上げる。奏は死を覚悟し、絶唱を歌いきれなかったことと、自分の相方を一人にしてしまうことを後悔しながら目を閉じる。

 

「奏ぇ!」

 

 翼が相方の名前を叫ぶ。それを聞きながら奏は死が来るのを待った。…だが、彼女が死ぬことはなかった。いつまでたっても死がこないことに違和感を感じた奏が目を開くと、目の前には─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒いマントを羽織り、手甲に『Ⅰ』の字が刻まれたグローブをはめ、額に橙色の炎を灯した金髪の男性─初代ボンゴレのボス『大空のジョット』が大型ノイズの攻撃を片手で受け止めていた。




ここまで見ていただきありがとうございます。前回投稿してた作品(設定集)を見てない人はなぜジョットがいるのかわからないと思いますが、それに関しては次回わかります。

追記(2020年12月21日)
誤字報告ありがとうございます!
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