戦姫燈炎SYMPHOGEAR!   作:生粋の名無し

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なんとかシンフォギア見始める前に書けました。このタイトルの時点で大体察する人が過半数ですよね。今回はツナ視点のみです。マリア視点は本編で書こうと思います。


標的(ターゲット)5 クリスマスとセレナ

2015年12月25日

 

 ツナが学校に通い始めて二ヶ月、この世界に来て四ヶ月がたった。

 一人暮らしにも慣れ始め、学校では響と未来の三人でよくつるむようになっていた。

 三人でつるむようになってから、ツナの昼食がもっぱらコンビニ飯か購買のパンであることを知った未来が翌日からツナの弁当を作ってくれるようになったり、放課後には響達に連れられ、二人がよく通う店『ふらわー』を紹介されたり、休日には響達がツナの家に遊びに来たりと、いろんなことがあった(ちなみに余談ではあるが、未来に弁当を作ってもらった際、母親である奈々以外の女性に手作り弁当を作られたことが(あまり)ないツナはとても喜び、『ふらわー』では、お好み焼きをひっくり返した際、まだ固まりきっていなかった部分が顔に飛んできて火傷しかけ、響達が遊びに来たときは、同年代の女子を家に上げることに耐性があまりついてないので内心ドキドキしたりと、ダメっぷりを発揮していた)。

 そんなこんなで時は過ぎ、ツナ達の中学校は今日から冬休みに入った。

 

「この世界に来てもう四ヶ月近くたつのか…リボーン達とは未だに連絡がとれないし、元の世界に戻る方法もまだ分かってないけど、必ず戻れるって信じるしかない、か…それにしても、またこの年でクリスマスを過ごすことになるなんてな~…しかも今回は俺と響達だけだし…」

 

 苦笑いしながらそう呟くツナ。

 ツナは現在、家のリビングの掃除をしていた。実は、昨日行われた終業式のあと、響の提案でツナの家でクリスマスパーティーを行うことになったのだ。料理や食材の買い出しは響達がしてくるようなので、自分は響達が来る前に使う部屋を綺麗にしておこうと考えたのだ。

 実はツナ、虹の代理戦争後、十年後の世界で仲間達と共同生活をしていた時、京子達女性陣が家事をボイコットして男だけで家事をすることになった際、まともに家事ができなかったことを思い出し、奈々や家事ができる周囲の人達に家事のいろはなどを教えてもらい、今では家事全般のことは上手になっている。

 そのお陰で掃除は一時間もかからずに終わり、床は埃が一つもなく、足を滑らせない程度に拭き上げられており、流しは水垢すら綺麗になくなっており、包丁や机、さらには窓もピカピカに。さらに家具と壁の隙間も掃除されており、たった一時間弱でリビングとダイニング、及び台所はとても綺麗になっていた。

 

「はぁ…疲れた~」

 

 掃除が終わり、リビングのソファで一息つくツナ。ふと、右手にはめている自分のVG(ボンゴレギア)─大空のリングを頭上に掲げ眺める。

 彼の肉体は今現在、X(イクス)グローブに馴染むことは出来たが、未だにVGは馴染んでいなかった。なので最近は、平日は朝のランニングから(朝食や学校に登校する準備のために)家に帰るまでの短い時間で、休日は響達が遊びに来ない日は何時間もかけてVGをからだに馴染ませる特訓をしている。

 ちなみに、ツナがいた世界では、並盛町の頂点にたっている並盛の風紀委員長であり、十代目(ネオ)ボンゴレファミリーの雲の守護者─本人は『ボンゴレの雲の守護者』と呼ばれることに不満を持っているが─でもある雲雀恭弥が、ツナのものとは形状が違うが同じVGである雲のブレスレットを身に付けていることから、大空のリングをつけて登校しても何も言われることはなかったが、この世界の学校ではさすがに校則違反になるので、普段は鞄のなかにしまい、持ち物検査の時には筆箱の中等に隠したりして登校している。休日は肌身離さず身に付けており、響達に見つかった際はファッションだと言いきった。

 そんなことを思い出し、ある程度の時間大空のリングを眺めていたツナは他にやることがないか探すため立ち上がろうとした。その時─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大空のリングがまばゆく光始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!?なにナニ何!?」

 

 いきなりリングが光だしたことに慌てるツナ。そんな彼の視界を光が埋め尽くす─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光が落ち着くとツナはその場にいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2011年12月25日

 

 光が落ち着き、目を開くツナ。そこは全く見覚えのない建物のなかだった。

 

「んなー!?また翔ばされた!?てかホント何処だよここ!?」

 

 ツナは、数ヵ月のうちに二回もいきなり見知らぬ土地に翔ばされたことに混乱して叫ぶ。周囲をある程度見渡したツナはなにかを思い出したかのように自分の体を見る。

 

「よかった…今回は若返ってないや。…てことは、今は2015年なのかな?でも、VGが光ってたから、ボンゴレリングの力が働いたんじゃ…?」

 

 そう呟きながら、ツナは出口を探すため歩き出す。そしてある程度歩き、少し疲れていると

 

「あれ…?何か聞こえる…」

 

 何処からか音が聞こえ、その音源を探し始める。そしてすぐに音源が壁の向こう側であることに気付き、耳を近づける。

 

「これは…歌?」

(あれ?俺、この歌を何処かで聞いたことが…)

 

 壁の向こうから微かに聞こえる音が歌声であることに気付き、どこかでその歌を聞いたことがあるような気がするツナ。どこで聞いたことがあったのか思い出そうとしていると、歌声が消える。その直後─

 

 

 

 

 

 

ツナの超直感が何かに反応する

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

 嫌な予感を覚えたツナはすぐに後ろに飛ぶ。それと同時に、先程までツナが近寄っていた部分の壁が爆風と共に吹き飛ぶ。後ろに飛ぶと同時に爆風で吹き飛ばされたツナは、空中で身を縮め瓦礫を防ぎ、地面に叩きつけられる前に受け身をとって衝撃を軽減する。

 そして何が起こったのか風穴の先を確認すると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眠っているかのように地面に倒れて動かない黒い生き物と、薄いオレンジ色の髪をした少女が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ツナは身長から、少女が自分の一つ下ぐらいではないかと考える。そしてツナからは横しか見えないが、少女の顔を見て戦慄する。少女の目や口からは血が流れていたからだ。ツナはすぐに立ち上がり、少女の元に向かおうとする。

 その時、少女の近くを瓦礫の粒が通った。

 

(ヤバい、さっきの衝撃で天井にヒビが入ってる!急がないと…っ!)

 

 ツナは、その粒が天井のヒビからこぼれ落ちていることに感づき、少女を助けるために走り出す。そして走りながらツナは大空のリングをポケットにしまい、代わりにミトンとフィルムケースを取り出す。手袋をはめ、フィルムケースから死ぬ気丸を取り出して飲み、「超死ぬ気モード」になると同時に、天井が崩れる音が聞こえる。

 ツナはすぐさまXグローブから炎を噴射し、少女の元に急ぐ。そして瓦礫が少女を襲う─直前に、ツナは地面と平行になっている体制のまま少女を抱きかかえ、そのまま反対側に向かう。少女が向いていた先に他にも人がいたが、その人達からは少女は瓦礫に押し潰されたように見えていた。

 ツナは少女に負担がかからないようにしながら空中で体制を整え、壁の手前で着地する。

 

「おい!大丈夫か!?」

 

 ツナが呼び掛けるが、少女は反応しない。どうやら気を失っているようだ。ツナが再び呼び掛けようとした、その時。ポケットに入れていた大空のリングが再び光出す。そしてツナは少女と共に光に飲み込まれ─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が消えるとツナも少女もいなくなっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年12月25日

 

 再び光に包まれたツナは、気がつくと自分が助けた少女と共に自分の家に戻っていた。

 ツナは「超死ぬ気モード」を解除し、時間を確認する。どうやら飛ばされて戻ってくるまでの時間は自分が体験した時間と同じだったようで、数十分しかたっていなかった。そのことに一度安堵するが、すぐに少女のことを思い出し、状態を確認する。

 少女のからだには目に見える怪我はないようだが内部の負担が大きいようで、未だに意識を失っている。

 少女の状態を確認したツナは、あるものを思い出し二階の自分の部屋に向かい、箱型のものを持って戻ってくる。

 ツナが手に持っていたのは、この世界に翔ばされる少し前に、元・アルコバレーノの一人にして、彼のもつ天才的頭脳ゆえに「ダ・ヴィンチの再来」と謳われた男─ヴェルデから貰っていた医療キットだった。

 実は、アルコバレーノ達は(アルコバレーノ)の呪いを解いてくれたツナにとても感謝していて、虹の代理戦争以降、沢田家によく遊びに来るようになり、その際にヴェルデから性能実験─もとい、感謝の印として渡されていたのだ。因みになぜ持っていたのかについては、リボーンに「いつどんなことが起こるか分かんねぇんだ、もしもの場合に対処できるよう常備しとけ」と言われたからである。

 

 

 

 

 

 

 ここでヴェルデ製医療キットについて少し説明しておこう。

 この医療キットは、「大空の7属性」全ての死ぬ気の炎と、科学の最先端技術、そしてヴェルデの天才的頭脳の三つを用いて作られている。

 医療キットの中にはメインとなる装置の他に、いくつかの(ボックス)が入っており、ヴェルデにしては珍しく、取扱い説明書なんてものも入っている。

 メインとなる装置は、怪我人の状態をスキャンで確認し、自動で治療を行ってくれる。

 治療には「大空の7属性」を用いており、「雨の炎」で痛みを『鎮静』化、「嵐の炎」で壊死した細胞や体内に残る有害物質を『分解』、「大空の炎」で体内の病原菌を『調和』し、「晴の炎」で骨や肉体の細胞を『活性』させ治癒を早め、「雷の炎」を晴の活性で治療した骨をコーティングして『硬化』、傷口が大きいときは「雲の炎」で傷口の周りの細胞を『増殖』させ、「霧の炎」で損傷した臓器を『構築』させる。

 それによって人が手術するよりも早く治療でき、さらにこの装置は、自ら死ぬ気の炎を生み出しチャージするので、使用して数日たてば再び使用可能になるという画期的なものだ。

 だが逆にいえば、使用して数日間は使えることができない。そういうもしもの時のために、死ぬ気の炎を付与している医療道具が入った匣が入っているのだ。

 匣はそれぞれに対応した属性の炎でしか開かないのだが、ツナの持つ「大空」の属性は、対応した炎で開けたときよりも性能は劣るが、「大空の7属性」のなかで唯一全ての属性の匣を開けることができる。

 さらにリボーンの家庭教師(かてきょー)によっていくつかの技術を会得しており、その中には医療技術も含まれているので、もしもの時の治療も可能なのでとても相性がいいのだ。

 唯一の欠点としては、元々応急処置用として作られたため、腹などを大きくぶち抜かれたりしたら、臓器の構築よりも出血多量が原因で対処が間に合わなくなる可能性があるくらいだ。

 

 

 

 

 

 

 医療キットを持ってきたツナは少女をソファに寝かせ、装置を取り出し治療を開始させる。手術を行っていれば一時間以上かかっていただろうが、いろんな行程を飛ばして肉体に直接死ぬ気の炎を干渉させて治療をした結果、治療は30分で終了した。

 治療が終わってから一時間近くがたち、少女が目を覚ます。

 

Де ...?(ここは…?)

「あ!目が覚めたんだね」

 

 少女が目を覚ましたことに安堵するツナ。だが、少女はツナを見たとたん警戒し始める。

 

Хто ти! ?? (あなたは誰!?)Де це! ??(ここは何処!?)

「ちょっ、一回落ち着いて!えーっと─Чи це правильно?(これであってるかな?)

 

 混乱する少女を落ち着かせるため、ツナは少女が話していた言語─ウクライナ語で話しかける。これもリボーンの家庭教師の賜物(?)で、ウクライナ語以外にも多くの言語を話すことができる(因みに英語とイタリア語は完璧)。

 少女は、ツナがいきなり自分と同じ言語で話しかけてきたことに一瞬驚いたが、すぐに頭を縦にふる。

 

Було добре…(よかった…)Ви розумієте японську?(君、日本語は分かるかな?)

Гм?(え?)─えっと、はい、分かります」

 

 少し発音が気になるところもあるが、少女は日本語で返す。少女が日本語で話せることを知ったツナはひと安心する。

 

「よかった、日本語が通じる…君、怪我は大丈夫?」

「はい、大丈夫です。私はセレナ・カデンツァヴナ・イヴといいます。えっと、あなたが私を助けてくれたんですよね?」

「まぁ、そういうことになるかな。俺の名前は沢田綱吉。よろしく」

「よろしくお願いします、沢田さん」

 

 互いに自己紹介をする二人。そして少女─セレナはツナに話しかける。

 

「そういえば、ここは何処ですか?」

「ここは日本にある俺の家だよ。それがどうしたの?」

 

 セレナの質問に軽く答えるツナ。

 

「今日はいつですか?」

「12月の25日だけど…」

 

 ツナの言葉を聞いたセレナは驚くが、ツナはなぜセレナが驚いたのかよく分かっていない。

 

「半日もかからずにアメリカと日本を移動するなんて…あなた、何をしたんですか!?」

 

 その言葉を聞いて意味を理解したツナは慌て始める。

 

「えーっと…そ、そうだ!セレナに聞きたいことがあるんだけど!」

 

 ツナは話をそらすためセレナに質問する。

 

「何ですか?」

「…君を助けたときに近くにいた黒い生き物はなに?それに、あの施設はなんなの?」

 

 話をそらされたセレナは不満そうな顔をしていたが、ツナの問いかけを聞いてすぐに真剣な表情になる。

 

「…このこと、誰にも話さないって、約束できますか?」

 

 セレナの表情から、ことの重大性を理解したツナは無言でうなずく。ツナが了承したことを確認したセレナは、ツナにシンフォギアに関することや、自分がいたF.I.S.施設のこと、そして黒い生き物は「ネフィリム」という完全聖遺物と呼ばれる存在であることを伝える。

 

「シンフォギアにネフィリム、か…」

「あのー…話した私がいうのもなんですが、あまり驚かないんですね?」

「いやー、俺、これまで何回も非日常的なことに巻き込まれてきたからさ、そういうのに慣れてるんだ」

「…何回も非日常的なことに巻き込まれたことがあるって、どんなところに住んでいたんですか…」

 

 あまり驚かないことに違和感を覚えたセレナは、ツナの答えを聞き呆れたような顔をする

 

「あ、あはは…そ、そういえばセレナって何歳なの?」

 

 再び口を滑らせたツナは誤魔化すように聞いてくる。

 

「えっと、二ヶ月前に13歳になりました」

「え?てことは十月生まれ?」

 

 セレナの答えを聞いて少し嬉しそうに問うツナ。

 

「はい、1998年の、10月15日生まれです」

「へぇ、てことは俺の誕生日の次の日なんだ…ん?1()9()9()8()()?」

 

 ツナは最初、セレナの誕生日が自分の誕生日のすぐ近くであることに驚いたが、セレナの一言に違和感を覚える。

 

「ねぇセレナ…今って何年か分かる?」

「えっと…2011年ですよね?」

 

 それを聞いたツナは、ボンゴレリングの力によって自分が四年前のアメリカに翔ばされていたことに気付き─

 

 

 

 

 

 

「過去の人連れてきちゃったーー!!?」

 

 

 

 

 

 

 驚きのあまりつい声に出して叫んでしまった。それをセレナが聞き逃すはずもなく、

 

「ツナさん…今、過去の人がどうとか、言いましたよね?どういうことですか?」

 

 次は見逃さないと言わんばかりに、ツナに問い詰めてくるセレナ。ツナは最初戸惑っていたが、セレナの気迫によってツナが折れ、セレナに死ぬ気の炎のことやボンゴレリングの奇跡のこと、そして─自分がこの世界の住人ではないことを話した。因みに、ほとんどのことは話したが、自分が元の世界ではマフィアのボス候補であることは一切話してない。

 

「そんなことがあるなんて…信じられないです…」

「あはは…俺からしたら、シンフォギアなんてものがあるこの世界の方が信じられないよ」

 

 ツナの話に驚くセレナ。そんな彼女に苦笑いしながら話すツナ。

 

「そういえば、この世界のご両親は…?」

「…実は、この世界に来た日に、ツヴァイウィングっていうツインボーカルユニットのライブに行ってたんだけど、そこでノイズの襲撃にあって、その時に…」

「それは…ごめんなさい」

「いや、セレナは何も悪くないんだから謝らなくてもいいよ…」

 

 ツナがそう言い、その場が静まり返る。

 

「そ、そういえば、セレナは何処か行く宛があるのかな?」

 

 暗い空気を払拭するように、ツナがセレナにこの後どうするのか問いかける。

 

「それは…」

 

 セレナはそう呟き、すぐに黙りこむ。そんなセレナを見たツナはあることを決意する。

 

「もし、行く宛がないんだったら─(うち)に住まない?」

「え?」

 

 ツナの発言に驚くセレナ。

 

「俺の家、元の世界では母さん以外にも5人ほど居候してる人がいたから慣れてるし、この家、俺一人で住んでるから部屋が何ヵ所も余ってるんだ。それに─君がいた場所って、どこかの研究所だったでしょ?もしそこの人に、今現在、セレナが生きてることがバレたら、何されるか分からないし…だから、セレナが大丈夫なら…」

 

 そう言ってセレナに確認をとるツナ。驚いていたセレナはその言葉を聞いて、ツナに微笑み

 

「─はい、よろしくお願いします!」

 

そう返した。その答えを聞き、笑顔を見せるツナ。

 

 

 

 

 

 

 だが、玄関から聞こえたインターホンの音によってその場で固まってしまう。

 

 

 

 

 

 

(そういえば、今日は家で響達とクリスマスパーティーするんだった!)

 

 そこでようやく響達との約束を思い出したツナ。

 

「おーい、ツナー!いるんでしょー!早く鍵開けてー!」

「食材買ってきたよー!」

 

 外から響達の声が聞こえ、セレナを隠れさせようとするが、その際にカーペットで足を滑らせ─

 

「ギャーーー!」

 

机の角におもいっきり頭をぶつけてしまい、痛みのあまり叫んでしまう。

 

「大丈夫ですか!?」

 

 そんなツナを心配するセレナ。

 

「どうしたのツナ!?」

「外まで声が聞こえたけど大丈夫!?」

 

 響達はツナの叫び声が聞こえ、ベランダに回り込んだ。そして─

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

 

 

 ツナは現在、リビングで正座させられており、響と未来は、怒りの形相で正座しているツナを睨み付けていた。響達がセレナを確認した後、立ち直ったツナはすぐに玄関の鍵を開き響達を家に招き入れたが、すぐに二人から有無を言わさず正座させらたのだ。

 

「それじゃあ、彼女が誰なのか…」

「説明して貰えるかな…?」

 

 そう言ってツナに詰め寄る二人。

 

「え、えっと…」

 

 そんな二人にどう説明しようか考えていると、セレナが二人に近づいてくる。

 

「はじめまして…えっと、響さんと未来さん、でしたっけ?」

 

 ツナに詰め寄る二人に、ツナが玄関で二人の名前を読んでいたのを思い出しそう問いかけるセレナ。

 

「う、うん」

「そうだけど…」

「それじゃあ改めて…始めまして、響さん、未来さん。私はツナさんの従妹の『沢田セレナ』って言います」

 

 戸惑う二人にそう答えるセレナ。それを聞いたツナは驚き声を出しかけるが、どうにか飲み込むことに成功する。

 

「ツナの…」

「従妹?」

「はい。ツナさんとは子供の頃からの家族ぐるみの仲だったんですが…」

 

 そこで一度区切り話を続ける。

 

「実はこの前、私の家族が交通事故で全員亡くなったんです…その葬儀の時に、私は父から『困ったときは、ツナくんの家族に頼りなさい』と言われていたことを思い出して、ここに住ませて貰うために今日伺ったんです」

 

 話が終わると、響と未久はセレナに同情したような顔になっていた。

 

「そうなんだ…─そうだ!セレナちゃんはツナから許可は貰えたの?」

 

 悲しそうな顔をしていたが、すぐに笑顔になってセレナに話しかける響。

 

「はい、ちょうど響さん達が来る前に…」

「そっか、よかったね!もしツナが変なことをしてきたら、いつでも私達に頼っていいよ!」

「(||ガーン!)俺って、響達からそんな目でみられてたの!?」

 

 落ち込むツナに、響は「冗談だよ冗談」という。そのやり取りをみて、未来とセレナは笑いだし、ツナと響もそれにつられて笑い始めた。

 ある程度笑いが収まると、響がセレナに、一緒にクリスマスパーティーをしないか提案してくる。セレナはその提案を快く受け入れ、ツナは一度、セレナに住む部屋を紹介させるといって、セレナを連れて階段を上がる。

 

「ごめんねセレナ、あんな嘘つかせちゃって…」

「別に気にしないでください。ツナさん、隠し事や嘘、あまり得意じゃ無さそうですし」

「ウグッ」

 

 図星をつかれ、たじろぐツナ。セレナはそんなツナを見て少し笑ってしまう。

 

「…えっと、響達が来て色々あったけど改めて、これからよろしく、セレナ」

「よろしくお願いします、ツナさん」

 

 その後行われたクリスマスパーティーは四人で楽しんだ。

 セレナがツナの家に住むことになってから、ツナの弁当はセレナが作ってくれるようになった。その事に未来が最初、不満そうな顔をしていたが鈍感なツナはなぜなのか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

そして時が過ぎていく─

 

 

 

 

 

 

 正月などの祝い事の日は四人で集まって祝ったり、セレナの姉であるマリア・カデンツァヴナ・イブが歌手としてデビューしその事にセレナが大喜びしたりといろんなことがあり、そして─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ツナは再び高校生になった




ヤバい、なんかすごい文字数になってしまった…
これで序章は終わりです。一つ設定集をあげてから本編を書こうと思います。

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