デビルサマナー葛葉ライドウ 対 天穂のサクナヒメ   作:カール・ロビンソン

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献立:
玄米粥
七草の糠漬け



幕間『朝餉』

「「「いただきます!!!」」」

 

 さて、こちらは峠の我が家。朝餉の支度を終えた田右衛門達3人は、それぞれ両手を合わせ椀を手に取りまする。そして、粥を啜りますれば口に広がる玄米の香りと、甘さ。そして、胃の腑に落ちる温もりが心を落ち着かせます。

 

「…サクナさん達、まだ帰りませんわね」

 

 粥を一口啜ったココロワヒメは、浮かない御様子。それもそのはず、戦いに赴いた我が友であるサクナヒメが心配でなかろうはずがありません。これでは山海の珍味も美味しくはいただけますまい。

 

「…サクナ様もライドウ殿も一騎当千の強者でございます。御心配なされますな」

 

「んだ! もうすぐ、がへさ帰ってくるだ」

 

「…そうですわね。お二人を信じましょう」

 

 田右衛門とゆいに励まされ、微笑むココロワヒメ。その御顔は雛罌粟の花の様な奥ゆかしい可憐さでございます。

 

「折角なので、作業を進めましょう。お二人にはお手伝いをお願いしますね?」

 

「おお。以前より作っておられた、空を飛ぶ絡繰りとやらですな?」

 

「おら、頑張るっちゃ」

 

 会話を織り交ぜながら続けられる簡素な朝餉。しかし、それは不意に不穏な気配に包まれるのでございます。何か周囲の空気が変わった。異変を察した3人は箸を動かす手を止めるのでした。

 

 刹那、外から何かが崩れる音が聞こえます。それはかなりの大音声。がらがらがら、と建物が崩れるような音が聞こえてくるのでありました。

 田右衛門が腰を上げた次の瞬間、我が家の中に黒い靄の様なものが満ちるのであります。それは悍ましい怨念。いち早くそれを察したるココロワヒメの背筋に、冷たいものが走るのでございます。

 

「みぃたぁされぬうううぅぅぅううううーーーー!!!!」

 

 そして響き渡りまする亡者の悲鳴。刹那、忽ち3人の手足から力が抜け、その場に倒れ伏してしまうのでありました。

 

「こ…これ…は…」

 

 身体を満たす極度の疲労感。そして、身を苛む飢餓感と渇水感。田右衛門は必死に椀に手を伸ばすのです。しかし、先ほどまで椀を満たしていた粥はとうになく、香の物さえ消え失せているではありませんか。

 されど、このままでは飢え死には必至。残された力を振り絞り、椀を口に寄せますれば空の中身を舐める也。微かに残る米の味に、身体の活力が僅かに戻るのを感じます。

 

 辛うじて立ち上がった田右衛門は、ゆいとココロワヒメにも椀を舐めさせた後、壁にその巨体を預けるようにして、外に出ます。そして、そこで見たるは崩れた納屋。先ほどの物音はこれが原因でございましょう。

 あまりの事に田右衛門はがっくりと膝を突くのです。あの有様では、貯蔵していた食べ物も無事ではありますまい。飢餓に苛まれる中、食うものがない。あまりに絶望的な事実に打ちのめされたのでございます。

 

 そして、更に耳を驚かせる轟音が天に響き渡るのです。いつか見た悪夢の再来。火山が再び火を吹き出しておる光景を見るのでありました…

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