デビルサマナー葛葉ライドウ 対 天穂のサクナヒメ 作:カール・ロビンソン
鱒の押し寿司
鮒の寿司
水
「「「「「いただきま~す!!!!!」」」」」
サクナヒメ「ううぅぅ… 旨いのう… 酢飯がすきっ腹に染み渡るわい…」
田右衛門「空腹のせいだけではなく、脂の乗った鱒のこってりとした味わいを、酢飯が受け止めて、得も言われぬ味わいになっておりますな!」
ココロワヒメ「本当に。人はパンのみにて生きるにあらず、とは言いますが。食べるものがないと死んでしまう、と実感しますね」
ゆい「だば、なじょして寿司だげ無事だったはんですか?」
ゴウト『…これは推測なのですが、恐らく疫神の一種であるヒダル神である故に、寿を司る、と書く寿司には手が出せなかったのでしょう』
ココロワヒメ「…なるほど。言霊と言うものですか」
ゴウト『左様。ヒダル神の様な実体のない神は、特に言霊の影響を受けやすいもの、と思われます』
サクナヒメ「ふむ…言葉遊びのようなものじゃが、まあ、これで飢え死にせぬのはありがたいの。ライドウが寿司を教えてくれたおかげじゃ」
ライドウ「はっ! ありがたきお言葉にございます」
ココロワヒメ「絡繰兵に作業は続けさせていますが、なれ鮨の樽とちらし寿司のお櫃が無事なので、明日食べるものには心配なさそうです」
ゴウト『ヒダル神と戦う際には、何か口に入れるものが必要です。せめて、なれ鮨を漬けた米を持って戦わねばなりますまい』
サクナヒメ「うぇ…あれを食べるのか…?」
タマ爺「背に腹は代えられませぬ。乾燥させるなどして、多少でも食べやすくして持っていくしかないでしょう」
ココロワヒメ「ええ。この度の戦、短期決戦で臨まねばいけませんでしょうし。…少々、現状を振り返ってみましょう」
ライドウ「はっ。まず、火山灰の被害は、雨が降る前に田に蓆を敷けたので最小限に留められたと考えます」
田右衛門「ココロワ様の絡繰兵のお陰でございますな。崩れた納屋から蓆と食料を引き出すなど、今の我々には無理でございましたからな」
サクナヒメ「今回は鬼の襲撃は防げた故に、力を奪われることにはなっておらぬしな。かけ流しで田起こしを行えば何とかなるであろう」
タマ爺「しかし、周囲は相変わらず鬼の群れに取り囲まれております。氷の防壁がいつまで持つことでしょうか…」
ココロワヒメ「春までは持ちませんし、まだ鬼は続々集まってくることでしょう。壁を抜かれないためにも防衛する必要がありますね」
ライドウ「その上で、恐らくは火山に潜んでいるヒダル神を討たねばなりません」
サクナヒメ「そうじゃな。あれだけの怨念であれば、オオミズチを再び目覚めさせるに足るであろうからな…」
田右衛門「しかし、峠の周りは鬼に囲まれておりますし、道中も危険ですぞ。普通に行けば、辿り着く前に消耗は避けられませぬぞ」
ゴウト『加えて、ライドウにはもうマグネタイトがない。仲魔の力なしであの強大なヒダル神や悪神を倒すことは無理であろう』
サクナヒメ「もう羽衣もないことじゃしな…わしの力だけではオオミズチを再び鎮めることはできまい。ライドウの力が必要じゃ」
ココロワヒメ「…大丈夫です。策は考えております」
サクナヒメ「おお! 流石ココロワじゃのう! して、その策とはなんじゃ?」
ココロワヒメ「まず、鬼の群れは今作成中の空を飛ぶ絡繰で対処いたしましょう。彼の地までサクナさんとライドウ様を送り込むだけなら、あれで十分なはずです」
田右衛門「なるほど。ほとんどの鬼は飛べませぬしな」
ココロワヒメ「峠の防衛は、私と絡繰兵とアシグモさん、それに田右衛門さんと河童達で行います。都からの援軍が到達するか、サクナさん達がオオミズチを倒すまで持ちこたえれば十分です」
サクナヒメ「む? ココロワと絡繰兵とアシグモはいいとして、田右衛門や河童は鬼相手に戦えるのか?」
ココロワヒメ「壁の上から振りずんばいを用いて、石を投げて貰えれば足止めにはなります」
田右衛門「なるほど! それであれば、拙者でも何とかなりそうですな!」
ココロワヒメ「後はライドウ様の力ですが…ゴウトさん、そのマグネタイトというものは神気でも補えますか?」
ゴウト『はっ。元々マグネタイトは人の精気のこと。もちろん、神気であれば十二分に補えます』
ココロワヒメ「ならば、私の神気をライドウ様にお渡しします。この私とて上級神。十分でございましょう?」
ゴウト『それはもちろん。しかし、ココロワ様は大丈夫なのですか?』
ココロワヒメ「私の力は戦に作用致しません。永続的に失われるものでもないですし、問題ありません」
ライドウ「ありがとうございます、ココロワ様」
ココロワヒメ「この戦、何としても勝たねばなりませぬ故。つきましては、ライドウ様は私と契りを交わしてください」
サクナヒメ「…へ?」
タマ爺「なんと!? ココロワ様が人の子と契りを交わすとは!?」
ゆい「契りどは何ぼいうもはんすか?」
ココロワヒメ「口づけなどを縁起として魂を結ぶ。所謂、結魂というものですね」
サクナヒメ「くくくくく、口づけ!? け、け、け、結婚!?」
ライドウ「…確かにその手順は必要ですが…ココロワ様は大丈夫なのですか?」
ココロワヒメ「この戦、私達が敗北すれば、ヤナトはおろかヤマトも、他の世も危機に晒されます。必勝のために些末なことにはこだわってはおれません」
サクナヒメ「ちょ、ちょっと待て!! ココロワよ、ち、力を渡すのは其方でなければならぬのか!?」
ココロワヒメ「サクナさんはライドウ様と共に戦うので、力を温存する必要があります。田右衛門さんやゆいさんも神になりつつありますが、ライドウ様の力になるにはまだ弱すぎます。残る選択肢は私だけになりますね」
サクナヒメ「ぬ…ぬぬ…」
ココロワヒメ「ふふ…でも、ライドウ様のような素晴らしい男子と契りを結ぶとは…いささか、胸が高鳴りますね…」
ライドウ「申し訳ありませぬ、ココロワ様」
ココロワヒメ「いいえ。ライドウ様ならば私も嫌ではありません。…不束者ですが、末永くお願いいたします」
サクナヒメ「むむむむ……いや、いかん! いかんぞ!!」
タマ爺「おひいさま?」
サクナヒメ「い、いくらライドウとはいえ、わしのココロワを渡すわけにはいかん!! それだけはダメじゃ!!(抱きっ!!)」
ココロワヒメ「デュッフ! フヒヒ…大丈夫ですわ、サクナさん。例え契りを結んだとしても、私の心の中の一番はサクナさんですから…」
「「「「「ごちそうさまでした~!!!!!」」」」」
ココロワヒメ「では、ライドウ様、こちらに…」
ライドウ「はっ!」
サクナヒメ「むむむむむ…」(奥歯ギリギリ…)
タマ爺「おひいさま、男女として結婚するわけではございませぬので…」
ココロワヒメ「グヒヒ…やきもちを妬くサクナさん…可愛い…フヒヒ…」